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推算糸球体ろ過率( ) 推算糸球体ろ過率(eGFR)の HbA1cによる補正

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推算糸球体ろ過率( ) 推算糸球体ろ過率(eGFR)の HbA1cによる補正
2013年11月25日記者レク
推算糸球体ろ過率(eGFR)の
推算糸球体ろ過率(
)
HbA1cによる補正に関する検討
大阪市立大学大学院医学研究科
腎臓病態内科学
石村 栄治、津田 昌宏
309,946
300,000
(人)
わが国の慢性透析患者数の推移
250,000
日本透析医学会 統計調査委員会報告2013
全人口の約450人に1人
206,134
200,000
150 000
150,000
103,296
100,000
50,000
36,397
スライド1
0
80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12
透析導入原因疾患の推移
(2012年末)
44.1%
糖尿病性腎症
慢性糸球体腎炎
腎硬化症
CKD診療ガイド2012 日本腎臓学編(2012年6月)
19.4%
12 3%
12.3%
11.2%
スライド2
糖尿病の合併症
糖尿病は合併症がこわい病気。
糖尿病の3大合併症
ものが見えにくい。
→ 失明
網膜症
腎臓がダメになる
腎症
手足のしびれ
神経障害
腎不全が進行すると、元に戻らない。
⇒早期診断 早期治療が大事
⇒早期診断、早期治療が大事。
スライド3
糖尿病性腎症の診断
微量アルブミン尿⇒蛋白尿
早期の糖尿病性腎症の診断に有用。
糸球体濾過率(GFR:glomerular filtration rate)
糖尿病性腎症に限らず、いわゆる腎機能の
評価に有用。
評価に有用
⇒本日のメインテーマ
スライド4
腎機能(GFR)評価の方法
GFR:糸球体濾過率
 不要なゴミを外に出す(濾過する)機能が残っている
か。
 ゴールドスタンダードはイヌリンクリアランス。
ゴ ルドスタンダ ドはイヌリンクリアランス
 GFRが低下するとゴミがたまる。
血清クレアチニン(体にたまるゴミの代表格)
⇒この値が8.0mg/dlを超えると、透析導入。
eGFR:推算糸球体濾過率
血清ク
血清クレアチニン・年齢・性別から、GFRを推測。
年齢 性別から
を推測
スライド5
イヌリン:人体に無害
◆チコリ◆[科名]キク科オグルマ属(Inula)
[分類]多年生草本
[学名]Cichorium intybus
[学名]Chicory
[和名]キクニガナ(菊苦菜)
[原産地]北ヨーロッパ
原産地 北
パ
スライド6
腎機能(GFR:糸球体濾過率):イヌリンクリアランス
1%イヌリン生理食塩水
300mL/時
-15分
飲水 500mL
30分
100mL/時
135分
45分
飲水 180mL
採血①
完全排尿
Cin
(i 90 min.)
(in
i )
採血②
採尿①
前日21時から、絶食。午前中、3時間の時間的拘束。
蓄尿の上、複数回の採血、採尿が必要。
合計700mlの飲水と300mlの点滴(計1000mlの水分)負荷。
合計700mlの飲水と300mlの点滴(計1000mlの水分)負荷
スライド7
⇒手間がかかる。入院が必要。
腎機能の評価
 イヌリンクリアランス測定には入院が必要で、手
間がかかる上
間がかかる上に、もともと体液貯留のある患者
もともと体液貯留 ある患者
には検査が出来ない。
 一度の採血のみでGFRを推測したい。
2009年、日本腎臓学会が、736例のイヌリンクリ
アランスを測定し 血清クレアチニンからGFRを
アランスを測定し、血清クレアチニンからGFRを
推測できる計算式(eGFR)を作成した。
eGFR: 194 × Age
-0.287
× Cr -1.094
× 0.739(if
0 739(if female)
f
l )
スライド8
eGFRの利点と欠点
(利点)
 一度の採血のみで、年齢と性別で計算が可能
⇒患者さんの負担が軽く、医療者側もすぐに判断が
可能。
(欠点)
 年齢、性別、体格の違いで、誤差が生じる
年齢 性別 体格の違いで 誤差が生じる
⇒2009年に発表された計算式において、年齢、性
別を組み込む事で補正
糖尿病では、高く数値が出てしまう。
糖尿病では
高く数値が出てしまう
⇒なぜ、糖尿病でeGFRが高くなるか、
、
、
わかっていない。
スライド9
糖尿病性腎症におけるeGFR高値の問題点
実際は腎機能が悪 の
実際は腎機能が悪いのに・・・
患者も医療従事者もまだ大丈夫、と勘違い
患者も医療従事者もまだ大丈夫 と勘違
腎機能の低下に伴い、薬の量を調節(通常は
減量)する必要があるが 、通常量の薬を投与
してしまう可能性
他の合併症(心血管イベント等)の評価の遅れ
適切な透析導入の遅れ
スライド10
糖尿病と非糖尿病でのeGFRの比較
2)
((ml/min./1.73m
/
/
diabetics (n = 40)
r =0.683
p <0.0001
eGFRccr
120
90
60
non-diabetics (n = 40)
r =0.930
p <0.0001
30
0
0
30
60
Cin
90
120
(ml/min./1.73m2)
同じGFR(Cin)でも糖尿病では
eGFRが高い値となる。
が高 値となる
スライド11
eGFRcr/Cinに対する重回帰分析
スライド12
eGFRcr/Cin
eGFRcr/Cin
eGFRcr/Cin
model1
model2
model3
全症例
( 80)
(n=80)
β
p
β
p
β
p
年齢 (years)
(
)
0 215
0.215
0 0668
0.0668
0 103
0.103
0 3032
0.3032
0 046
0.046
0 7424
0.7424
性 (男=0, 女=1)
0.157
0.1472
0.139
0.1256
0.188
0.1199
Body mass index (kg/m2)
-0.023
0.8376
-0.046
0.6215
-0.003
0.9872
平均血圧 (mmHg)
-0.031
0.7805
0.118
0.9065
-0.033
0.7887
空腹時血糖 (g/dl)
0.281
0.0195
---
---
---
---
ヘモグロビンA1C (%)
---
---
0.585
<0.0001
---
---
糖化アルブミン (%) (n=53)
( =53)
---
---
---
---
0 553
0.553
0 0002
0.0002
R2/p
0.182
0.0106
0.400
<0.0001
0.355
0.0009
スライド13
クレアチニン尿細管排泄率(Ccr - Cin)/ Ccrと
血糖コントロールの単相関関係
n = 59
r = 0.359
0 359
p = 0.0053
0.6
0.8
(Ccr – Cinn)/Ccr
(Ccr – Cinn)/Ccr
0.8
0.4
0.2
0
-0.2
n = 35
r = 0.536
p = 0.0009
0.6
0.4
0.2
0
-0.2
-0.4
4
6
8
10
Hemoglobin A1C
12
(%)
-00.44
5
10
15
20
25
30
Glycated Albumin
35 (%)
diabetics
non-diabetics
血糖コントロールが悪化すると、クレアチニン尿
細管排泄率が増加する。
スライド14
何故 糖尿病でeGFRが見掛け上大きくなるのか
何故、糖尿病でeGFRが見掛け上大きくなるのか
血糖コントロールが悪いと、
見掛け上eGFRが大きくなることが、
分かった。
eG
GFRcr//Cin
eGFRcr/Cin の比率(eGFRcr/Cin))が大きいと、
2.5
n = 80
eGFRcrが見掛け上大きくなる。
r = 0.605
p < 0.0001
2.0
1.5
1.0
0.5
0
eGFRをHbA1Cで補正したらより正確に。
Y = 0.428 + 0.085 * X
40
4.0
60
6.0
80
8.0
10 0
10.0
12 0
12.0
Hemoglobin A1C
eGFRcr/Cin = 0.428 + 0.085 * Hemoglobin A1C
Cin = eGFRcr /(0.428 + 0.085 * Hemoglobin A1C)
(%)
まとめ
当研究において、血糖コントロールが悪化す
ると GFRが腎機能を過大評価することを示
ると、eGFRが腎機能を過大評価することを示
し、HbA1Cによる補正式を作成した。
血糖コントロールが悪化すると、尿細管クレア
チニン分泌が増加し、eGFRが腎機能を過大
評価する原因の 端であることが示唆された。
評価する原因の一端であることが示唆された。
HbA1Cによる補正式により、eGFRとCinの相関
係数及び一致率は改善し、臨床的にはeGFRcr
をHbA1Cで補正した式が有用であると考えら
れた。
スライド15
新しい計算式に期待されること①
腎機能をより正確に測定できるようになる。
早期発見、早期診断が可能になる。
適切な投薬、治療、検査が可能になる。
低血糖等の無用な薬の副作用だけでなく、心
低血糖等の無用な薬の副作用だけでなく
心
血管イベントや造影剤腎症に対して、より適
切なリスクマネ ジメントが可能になる
切なリスクマネージメントが可能になる。
スライド16
新しい計算式に期待されること②
末期腎不全への移行を減らす、もしくは時期
を延ばすことができ 患者のQOL及び医療
を延ばすことができ、患者のQOL及び医療
経済にも効果がある。
適切な時期に透析導入をできるようになる。
適切な時期に透析導入をできるようになる
スライド17
今後の展望
新しい計算式を用いて、これまで報告されてい
る腎機能(eGFR)の低下による影響の再評価。
(
)
糖尿病薬の適性使用及び副作用としての腎
糖尿病薬 適性使用及び副作用とし
腎
機能障害の見直し。
糖尿病性腎症における、造影剤腎症のリスク
糖尿病性腎症における
造影剤腎症のリスク
評価の再検討。
スライド18
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