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アフリカザンビア産のバナナの茎の繊維を使用した フェアートレードなバナナペーパーの 製造技術 2016年10月作成 寿堂紙製品工業株式会社 会社概要 社名 寿堂紙製品工業株式会社 設立 昭和22年2月 資本金 77440千円 代表取締役 代表者山田樹孝 所在地 東京都板橋区弥生町60-4 事業内容 封筒製造・祝儀用品製造・情報処理・ダイレクトメール制 作全般・卒業証書(学位記)デジタル発行システム 1 製品化の背景 ■開発を手掛けるきっかけとなった事由 原料のバナナ繊維はオーガニックのバナナの茎から取る事が出来ます。約1年弱で 成長する茎は切り倒さないと次の茎が伸びてこない為に今までは全て廃棄処分され ていました。この茎から繊維を取って日本へ輸出する事で、仕事が出来て、雇用が生 まれました。仕事が無い時は村の人々は生活の為に、違法伐採をして材木を売ったり 、野生動物を殺してツノや肉を売って生計を立てていました。この仕事のお陰で、子 供たちが学校に行ったり、マラリヤ防止の為の蚊帳を買ったり、電気の無い家にソー ラーランプをつけたりすることが出来る様になりました。現在は約250人以上の生活 を支えています。森の木を切る必要がない為、森と森に住む絶滅危惧種も守ることが 出来ます。このバナナペーパーのコンセプトを世界に広げる為、フェアートレードなバ ナナペーパーを作っています。バナナペーパーで出来た製品を使う事により野生動 物保護(生物多様性)、自然環境保護、雇用を生み出して貧困の救済、持続可能な社 会の創生、フェアートレードについて「学ぶ、知る、伝える」事を世界に発信するために 、Made with Itabashiで開発・販売・宣伝の活動をしなければならないと考えています 2 ザンビアサウスルアングア国立公園 3 ザンビアでの収穫と現地スタッフ(エンフェ村) 4 製品技術の内容(1) バナナペーパーは、地球環境の保護、砂漠化を防ぐ、生物多様性の維持、貧困問題の 解決、持続可能な社会の構築を目指し、WFTOの認定する「世界初の紙でのフェアトレ ードマーク」認証取得しました。原材料のバナナ繊維はアフリカのサウス・ルアングア国 立公園 エンフエ村で作られています。その繊維を日本に輸入して粉砕を行い、越前和 紙の製造技術で古紙と配合して紙に加工して、バナナペーパーを作りました。(協力工 場:福井県越前市小畑製紙所) アフリカの現地では紙を作る為の薬品が使用出来ません(輸入も出来ません)。各種の 薬品を使用するのには大規模なプラントが必要になり、電力&水&薬品を中和する技 術が必要になるためです。その為に日本の和紙の技術を使っているのが最大の特徴で す。繊維を柔らかくして、繊維の漂白殺菌を行い、紙の強度を出して、印刷&プリンター の適正を上げるために独自の表面処理を行ない現在の紙品質に仕上げています。 ◎次ページから越前和紙の工場の生産工程を紹介します 5 バナナ繊維(輸入時の状態)と粉砕工程 繊維の状態で輸入します 国内で粉砕をします 6 バナナ繊維22%と古紙パルプ78%を攪拌 7 機械漉きで紙を抄造(越前市小畑製紙所) 8 巻き取り工程 9 断裁工程(紙の完成) 10 他類似品との比較 フェアートレードな製品ですので、価格面の 相違と言う経済的な考え方だけでは比較出来 ません。エシカル(道義的、道徳的)な価値 観が認められる製品なのか、そうでは無いの か、その相違でザンビア産バナナペーパーは 価値があると認められています。 11 環境に対する貢献(1) 紙を作る際に利用する木の生長が20~30年に対し、バナナの茎は8ヶ月~1年で成長しま す。茎は約5~8mになります。バナナの実は高所に実が付きます。実を採取するには根元か ら切り倒すと、又、茎が伸びて先に実がなります。切り倒した茎は今までは破棄していました。 世界のバナナ総生産量は約1億3千200万トン(国連食料農業機関2009)。世界で廃棄され ている茎の量は約10億トンと推測されていて、全ての繊維を効率的に取り出すと約5000万t のパルプが製造できると言われています。2011年世界のパルプ生産量は約1.8億トン(日本 製紙連合会)。バナナ繊維で紙パルプの27%の分を賄える量になります。熱帯林が分布する アフリカ地域、南アメリカ地域およびアジア地域のうち東南アジアで特に森林の減少が続いて います。世界の人口の約20%占める先進国はペーパーレスの傾向がありますが、アジアを 中心とした80%を占める途上国の紙の消費量の伸びは、今後大きくなる事が予想されます。 国連は、今後10年間で途上国の紙の需要を300%と試算しています。このまま紙が消費さ れるとすれば、さらに森林伐採量を増やす必要が出てきます。計画的に植林、紙の再生利用 、非木材資源の利用を積極的に行わず、森林伐採を続けていれば世界中のパルプの供給は できないと考えられています。 12 環境に対する貢献(2) FSC(森林認証紙)の普及と言う考え方もありますが、木はパルプに出来るまで30年以上 かかります。30年は資源として伐採ができないと言う事です。FSCの利用だけでは紙資源 の確保は困難になって来ます。FSCの紙も使用後は古紙にリサイクルされています。バナ ナ繊維の様に非木材紙の利用も並行して考えていかなければならないのです。バナナは 地球上で一番消費されている果物です。廃棄されている原材料(茎)が豊富にあると言うの も利点になります。バナナの生産地は地球上でも赤道に近い温暖な地域で作られていま す。この地域の貧困率が高い事も考えなければならない事です。短期間で生長するバナ ナの巨大な葉と茎は樹木に比べて相当量のCO2を吸収します。現地ではオーガニックなバ ナナ畑で栽培していますので化学肥料等は使用していません。弊社はフェアートレードな バナナ繊維22%の他に、再生古紙を78%配合して紙を作っています。 毎年日本の面積の約1/3に当たる森林が地球から消失しています「出典: WWF (2008年) 」この現実がある事、それを解決しようとしている紙が日本に存在する事!を世界中に発信 する為に、弊社は製造管理、宣伝、販売を行っています。 13 バナナチームと子供たち 村の女性たちは生れて今まで仕事 をした事が有りませんでした。教育 も受けられませんでした。バナナの 繊維を取る仕事が出来たので、皆 喜んでいます。 子供たちも教育を受ける事が出来 るようになりました。 14 資料1:バナナペーパーで作られた製品 名刺・メッセージカード・封筒・シール・包装紙・ボールペン ・ペーパークラフト・ワインラベル・賞状ケース・賞状用紙・ ノート・手帳・七夕短冊・折り紙等々 15 資料2(国連の広報頁より) 2015年の9月25日-27日、ニューヨーク国連本部において、「国連持続可能な社会を構築する サミット」が開催され、150を超える加盟国首脳の参加のもと、その成果文書として、「我々の世界 を変革する:持続可能な開発のための2030年までの行動計画」SDGsが採択されました。 1: 貧困をなくそう2: 飢餓をゼロに3:すべての人に健康と福祉を4: 質の高い教育をみんなに5: ジェンダー平等を実現しよう6: 安全な水とトイレをみんなに7: エネルギーをみんなに そしてクリーンに8: 働きがいも経済成長も9: 産業と技術革新の基盤 をつくろう10: 人や国の不平等をなくそう11:住み続けられるまちづくりを12: つくる責任つかう責任13: 気候変動に具体的な対 策を14: 海の豊かさを守ろう15: 陸の豊かさも守ろう16: 平和と公正をすべての人に17: パートナーシップで目標を達成しよう 16 ありがとうございました 17