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2003年5月 事業説明会(5月9日) 「PHSシステム関連事業
1 2003年5月 事業説明会(5月9日) 「PHSシステム関連事業戦略」 神野 純一 統括事業部長 スピーチ内容 <スライド21:ユビキタス時代を見据えた通信機器事業展開−> 当社の通信機器事業は、大きく2つに分類する事が出来ます。1つ目は本日 のテーマで有ります、PHSシステム関連事業でございます。 2つ目は前回2月の説明会で社長の西口よりご説明いたしました、世界4拠 点でワールドワイドに開発・製造・販売を行っておりますCDMA事業でご ざいます。 <スライド22:通信システム機器統括事業部の事業内容−> このスライドでは、当社、通信システム機器統括事業部の全体像をご覧いた だいております。 その事業目標は「モバイル&IPをキーワードに、通信システムビジネスに おける、確固とした不動の地位を築く事」でございます。 ここで言う通信システムとは、通信インフラの基幹となる無線基地局、及び その付帯装置や各種端末等を含む、トータル・ソリューションを示します。 2 実は、事業発足の原点となったのはPHSテクノロジーでありますが、現在 では、スライドで御覧いただけますように、様々なシステムへと進化し、発 展してまいりました。 中でも特に、図ではオレンジで示しております、 「モバイルPHSシステム」、 「(WLL)ワイヤレス・ローカルループ・システム」、そして「ワイヤレス・ インターネット・システム」の3つのシステムは、PHS規格をコア技術と して、京セラ独自の、特筆すべき技術力と柔軟な発想で、これを更に進化さ せたものです。 その移動性・通話品質・データ転送スピードを飛躍的に向上させ、グローバ ルな市場で、加入者数や採用地域を拡大し、更にIPネットワークの世界へ と参入しております。 その結果、日常生活やビジネス等の、あらゆるシーンにおいて、より一層便 利で、快適な通信環境をつくりあげることができます。 <スライド23:京セラPHSシステム関連事業の展開> 先程も述べましたが、これらPHSシステム関連の3つのシステムでは、当 社独自に先鋭的な技術革新を実現し、一段と優れたシステムへと発展させて 3 参りました。 その基礎となる技術要素として、スライドの左側に示します、アダプティブ・ アレイ・アンテナ技術、空間分割多重技術、そして、GPS フレーム同期技術 の3つがございます。 これらの技術要素を駆使する事により、スライドの右側に示しますような、 異なる3つのシステムへと進化し、夫々の事業分野へと裾野を広げて参りま した。 これらシステムは、横軸に移動性、縦軸に伝送速度を定義した場合、スライ ドに示しますように、夫々のポジションを区別する事が出来ます。 まず右下の「モバイルPHSシステム」の特長は、音声品質の良さと、高速 なデータ通信サービスを比較的安価な通話料にて提供出来るところに有りま す。また、端末自体の送信電力が微弱であり、この事により、バッテリーラ イフを延ばし、長時間通話が可能な、大変利便性の高いシステムとなってお ります。 続いて、左下の「WLLシステム」ですが、一般的には発展途上国向けに、 4 無線技術を用いる事により、大変短い工期で、通話品質の良い電話サービス を、安価な通話料金で提供する事が出来ます。 最後に、 「ワイヤレス・インターネット・システム」ですが、これを一言で表 現しますと、無線版 ADSL サービスが適切かと思われます。このシステムは比 較的、先進国向けとしての需要に期待をしております。 夫々の国や通信オペレータの違いにより、その発展段階や、ネットワーク状 況、用途が異なるのは通例で有ります。従いまして我々は、客先ニーズに応 える為に、これら3つのシステムの中からより最適なものを選択し、グロー バルな市場に向けて、より柔軟にシステムを提供する事が出来ます。 それでは、具体的に夫々3つのシステムの事業展開について、御説明申し上 げます。 <スライド24:モバイルPHSシステム事業(1) −海外PHS市場の展開−> まずモバイルPHSシステム事業について、ご説明申し上げます。 5 尚ここでは、「PHS」と簡略化して表現致します。 当社は海外市場におけるPHS事業展開に注力しており、日本の場合と同様 に基地局と端末の双方を提供しております。 国内においては、音声通信としてのPHS事業は縮小トレンドにあり、その 用途はパケットデータ通信へとシフトが急速に進んでおります。 ところが、アジアにおいては、音声通信としてのPHSシステムに対するニ ーズは非常に旺盛です。PHSの普及が既に始まっている代表的な地域とし て、中国や台湾、タイがあります。 台湾では携帯電話の普及率が100%を超えているにも関わらず、台北地区 に限定して、PHSサービスを開始してから僅か1年半あまりで、加入者数 が50万人を突破しています。また、PHSユーザーの90%程の人達が、 GSMを併用しており、受信時には、ネーションワイドにサービスエリアを 持つGSMを、発信時には通話料が安く、通話品質の良いPHSと言ったよ うに、両端末を使い分けています。また、本年後半より、台中、高雄等の他 の都市へとサービスを拡張する見込みです。 6 そして既に、日本の DDI ポケット社との国際ローミングサービスを実現して おり、同様にパケットデータ通信の需要を掘り起こす動きも見受けられます。 前期2003年3月期における海外市場向け売上高は約420億円でござい ましたが、こうした既存市場における需要拡大とインド、ベトナムといった 新 規 市 場 を 開 拓 す る こ と に よ っ て、今 期 2 0 0 4 年 3 月 期 に は売 上 高 600億円を目指して参ります。 <スライド25:モバイルPHSシステム事業(2) −中国における展開−> 御覧のスライドには、中国でモバイルPHSシステムを既に導入した都市の ほんの一部を地図上に示して有ります。 当社は既に、1995年夏の時点で、上海においてPHSシステムのトライ アルを行い、その普及活動に専念し始めました。それから約4年が経過した、 1999年中頃より中国電信が初期導入を決め、無線市内電話網“シャオリ ントン”と称して、サービスをスタートしました。これを皮切りに中国各都 市の電信局(PTT)に飛び火し、導入に拍車が掛かる事となりました。 7 中国ではPHSを携帯電話と区別して、固定電話を補完する為の無線アク セスとして、位置付けております。背景には、中国電信の分割の結果、携帯 電話サービスの許認可は中国移動に移り、中国電信自体には固定電話事業が 残り、移動体への事業参入が出来なくなった為です。そこで、都市間のロー ミングを制限し、あくまで、携帯電話とは異なるシステムとして、PHSを 採用したのです。 御存知の様に、中国では一人っ子政策が浸透し、且つ、夫婦共稼ぎが主流で す。昼間は留守がちな家庭にとって、むしろ固定電話の必要性は低く、逆に、 新たに固定電話に加入しなくても、通話料や端末価格が携帯電話と比較して も格安なPHSが、一般市民からの爆発的な支持を得る事が出来たのです。 中国では、2002年末時点で、約300を越える都市に拡大し、その加入 者は1,300万人に及びます。2003年中にはより拍車が掛かり、加入 者数は更に1000万人∼1,300万人程度増加するものと予測しており ます。 中国電信は、当社の提供するパケットデータ通信を採用し、本年7月よりサ 8 ービスをスタートする計画です。我々はこれに対応した、新型多チャネル基 地局、PHSパケットサーバー、並びにハイエンド端末(ブラウザホン)を 市場投入する計画です。 <スライド26:モバイルPHSシステム事業(3) −機器事業と部品事業とのシナジー―> 続いて、PHS端末の飛躍的な普及を目論み、その核となるPHSエンジン、 つまりPHS端末のコアとなるチップセットを中心としたモジュールでござ いますが、この開発を昨年来進めて参りました。現在、これが完成し、販売 活動を進めておりますが、既に数百万台を超える受注規模に達しております。 このチャンスを充分に活かし、年間1000万台を目標に、一層の事業拡大 を目指して参ります。 勿論、エンジン内部には京セラ製・電子部品を積極的に採用しており、機器 事業と部品事業とのシナジー追求を狙うのは、申すまでも御座いません。 <スライド27:WLLシステム事業(1)> 続きましてワイヤレス ご説明申し上げます。 ローカル ループ(WLL)システムにつきまして、 9 基地局から送信する電波を端末に集中し、また、周囲からの電波干渉を抑制 するのが、アダプティブ・アレイ・アンテナ技術の特長でございます。これ を更に発展させ、高出力パワーアンプと指向性アンテナを用いる事により、 半径15kmのサービスエリア内の、最大3,400世帯のユーザーに、安 定した無線電話サービスを実現する事が出来ます。未だ通信インフラの整備 が遅れている国々や地域、或いは、有線ではカバーが困難なケース等、有線 電話網の代替システムとして採用されております。 設置工事は簡単で、各家庭の屋根の上にポールを立て、それにアンテナを取 り付け、屋内の電話器とケーブルで接続します。通常、基地局側は電話局の 局舎内に設置し、アンテナは屋上のタワーに取り付けます。後は、各家庭と 局舎間を無線で接続するだけです。 有線の工事に比べ、コスト面、工期の面で優位であり、特に発展途上国向け として最適なシステムです。 <スライド28:WLLシステム事業(2)−海外の展開−> ここに示しますのは、既に当社のWLLシステムを導入済みの海外の国々で 10 す。本システムの傾向として、初期サービスが開通した後、各々のインフラ 整備計画にあわせて順次サービスエリアが拡張されますので、今後将来、基 地局、加入者端末共に、継続的なリピートオーダーが期待出来ます。 世界的な見地からは、相当数の国々において、固定電話の普及率は皆無に近 く、想像を絶する規模の需要がそこに存在します。こうした国々での通信イ ンフラ整備に、当社WLLシステムを積極的に活用し、進歩発展の一助を担 います。 <スライド29:ワイヤレスインターネットシステム事業(1)> 最後に、ワイヤレス・インターネット・システムについてご説明いたします。 御覧のスライドには、横軸に移動性、縦軸にデータ伝送速度を示しておりま す。この図で御理解頂けます様に、本システムは、第三世代携帯電話、いわ ゆる、3Gよりも移動性には欠けますが、実行レベルの伝送速度では、上回 っております。逆に、無線 LAN と比較しますと、その逆の傾向を示し、ちょ うどその中間に位置付けられます。 下り伝送速度は、最大で1Mbps ですが、大半のユーザーに対して、実行レ ベルで、850Kbps 程度のサービスを提供出来るところが、他のシステム 11 と比較して異なる大きな特長です。これも、アダプティブ・アレイ・アンテ ナ技術、空間分割多重技術等の寄与するところです。 利用イメージの一例を示しますと、パソコンに PC カード型の端末を差し込み、 室内・屋外の場所を問わず、家庭でも、職場でも、客先や出先等、日常の生 活空間のあらゆるシーンにおいて、高速インターネット接続やメールの送受 信等のサービスを享受する事が出来ます。 本システムは高速移動を前提にしておりませんので、その点では3Gに劣り ますが、ポータビリティー、つまり、ハンドオーバー機能を備え、低速での 移動性は充分に確保しております。 更に、ネットワークへの常時接続が可能で、IP網を対象に、投資総額を抑 えてネットワークを構築する事が可能です。 従来、無線環境では不可能とされた、MPEG4によるフル画面での、リア ルタイム・ビデオ・ストリーミングや3Dデータの高速ダウンロード等を、 低コストで実現する事が出来ます。 12 <スライド30:ワイヤレスインターネットシステム事業(2) −海外の展開−> このスライドの左側では、現在開発の終盤を迎えております、本システム用 の基地局、EMS 及び、PCMCIA カードの製品写真を御覧頂けます。また、右側 の地図上には、本システムの導入を検討中の国々を示しております。 現時点ではオーストラリアのオペレータであるCKW社への導入が確定して おり、更に韓国のKT、中国の中国電信、また米国の各客先とのフィールド・ トライアルを実施、或いは計画中であります。 これと同時に、IEEE802.20として、国際標準化作業にも注力しており ます。 <スライド31:ワイヤレスインターネットシステム事業(3) −2003年3月 韓国KTでのデモンストレーションー> このスライドは今年3月、韓国テレコム(KT)にて、当社システムを使用 してデモンストレーション及びプレス発表をした時のものです。当日は cdma2000-EVDO との比較試験等も取り入れ、自信に満ちたデモを繰り広げる と共に、参加者からの多くの賞賛を得る事が出来ました。 13 我々は、来るユビキタスネットワーク時代の到来を見据え、通信ネットワー クのニーズを先取りし、無線によるブロードバンド・インターネットアクセ スの市場を、積極的に切り開いて参ります。 <スライド32:PHSシステム関連事業の売上目標> 只今、御説明申し上げました「モバイルPHSシステム」「WLLシステム」 「ワイヤレス・インターネット・システム」の各事業を推し進める事により、 3年後の2006年3月には現在の売上高500億円を100%UPの 1、000億円を目標に、更に成長し続けて参ります。