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シンガポール事務所

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シンガポール事務所
シンガポール事務所
【訪日観光客の誘致に向けて】シンガポール
去る6月8日(月)、シンガポールにおいて、北海道観光プロモーション(Hokkaido Autumn &
Winter Tourism Promotion 2009)が開催された。これは、昨年に引き続き、北海道観光推進機
構等が主催し、シンガポール国内の旅行代理店、航空会社、メディア関係者等、60 名余りを招
いて行われたものである。日本からは、北海道観光推進機構、ひがし北海道観光事業開発協議
会(宿泊施設事業者、観光協会、行政組織から構成)、JR 北海道等の関係者、約 10 名が参加し
た。
冒頭、主催者から「北海道には、日本で“ナンバー1”
のものが沢山ある。この機会を通じて多くの商品が造成
され、大勢の方が北海道に来てくださることを期待して
いる。」との挨拶があり、およそ1時間にわたり、日本か
らの参加者によるプレゼンテーションが行われた。その
後、事業者ごとのテーブルに分かれての商談会となり、
テーブルに列ができるなど、その様子からは、シンガポ
ール側の北海道に対する関心の高さが窺われた。
北海道観光プロモーションの様子
今回のプロモーションでは、その内容が、的を射て洗練されたものであったことが、大変、
印象的であった。シンガポールにおける大型休暇の時期に対応した具体的な情景、観光スポッ
ト、旅行プランを提示し、あるいは、JR 北海道が、子ども連れの訪日旅行客を想定した企画列
車の紹介を行うなど、コンセプトを明確にした誘客の姿勢が顕著に表れていた。
「ターゲットを絞り込んだ観光客誘致の取り組みは、より効果的である。」と話すのは、当地
シンガポールの大手日系旅行代理店。シンガポールにおける北海道の高い知名度は、自然発生
的に起きた現象ではない。10 年以上に及ぶこのような取組みが、ここへ来て開花したのだと聞
く。
「訪日旅行客の誘致に即効性のある方法はない。旅行代理店を地道にまわり、観光資源の紹
介や周遊プランの提案を行うなどの継続的な取組みが、次第に認知度を高め、訪日旅行の具体
的な行先を選定する際に名前が挙がるようになる。」と関係者は口を揃える。
以下に、過日、当地の大手日系旅行代理店の方々から伺った、訪日旅行客誘致に関するポイ
ントを幾つか紹介する。
○ 特定の地域を行先とするグループツアーの商品造成や販売は、ツアーへの参加者があ
る程度見込まれる段階で行うことになる。その意味では、まず、シンガポール国内での
認知度(知名度)を高めていかなければ、グループツアーを売り出すことは難しい。
○ シンガポール国内で知名度を上げる「特効薬」は、すぐには思い付かない。大金を使
って宣伝広告を大量に出せれば良いのかもしれないが、費用対効果を考えれば、旅行代
理店を地道にまわることがベターではないか。そもそも、旅行代理店に情報がなければ、
訪日旅行を検討しているお客様へ具体的に紹介する術もない。旅行代理店側としても、
情報がコンスタントに入ってくれば、提案や商品造成に繋げ易い。
○ 旅行代理店では、日本の空港に到着してからの一連の行程を考える。シンガポールか
らは、直行便が飛んでいる空港のいずれかが、IN・OUT の場所となる。訪日旅行に際し
ては、JR パスの購入者が多く、移動方法がきちんと組み立てられれば、地方にも足を
1
運んでもらえる。限られた地域のみではなく、広域での取組みや PR を行うことが望ま
しい。
○ 総じて、シンガポール人はリピーターになり易く、訪日旅行者はリピーターが多い。
ホスピタリティーとサービスの質の高さで旅行者を引き付けることができるのが、日本
の魅力である。
○ シンガポール人の日本に対する眼差しは、
「産業が発達している」というもの。最近で
は日本国内の産業観光や体験型施設も増えてきているが、英語による説明等の外国人向
けの対応ができていないところが多いのが残念であり、このようなインフラを整備する
ことは重要であると思われる。
○ シンガポールで観光プロモーションのイベントを開催する際は、対象を絞り、目的を
はっきりさせることが効果的である。更に、例えば、その後、日本へのファムトリップ
を行い、実際に商品になり得る行程表を提示するような繋がりがあれば、商品造成に結
び付いていくだろう。
○ シンガポール人にとっての旅行シーズンは、5-6月、11-12 月のスクールホリデーか、
旧正月(1月ないし2月)の時期となっている。これらのシーズンに照準を合わせた
適切な時期に PR することが大切である。
現在、シンガポールを含む東南アジア地域からの訪日旅行客の誘致に関心を寄せる地方自治
体は少なくない。誘客の取組みは、種を播き、芽を育て、美しい花を咲かせ、大きな果実を収
穫するといった、さながら植物を育てるプロセスにも似ている。昨今、日本政府観光局(JNTO)
が発表したところによれば、新型インフルエンザの感染拡大、景気低迷による中長距離旅行の
手控え、シンガポールドル安などの影響を受け、シンガポールからの訪日旅行客数は、本年2
月以降、減少を続けているとのこと。しかしながら、現下の厳しい状況の中でも、地道な取組
みは、いずれ訪れる次の機会への大きな布石となるはずである。当事務所でも、東南アジア地
域からの訪日旅行客の誘致について有益な情報を収集し、国内の地方自治体に還元するなどの
サポートを今後も積極的に行っていきたいと考えている。
(参考:2009.6 北海道観光プロモーションへの出席、日系旅行代理店訪問
2009.6.24 JNTO 発表資料「訪日外客数・出国日本人数(2009 年 5 月推計値)」)
(小松所長補佐
長野県派遣)
【ハラル産業の動向について】マレーシア
2009 年5月6日から 10 日にかけて、マレーシアの首都クアラルンプールで開催された「第
6回マレーシア国際ハラル見本市(MIHAS)」の売上げが、昨年の 22 億リンギット(MYR)(約
※
592 億円 )から 45.5%増加の 32 億リンギット(約 861 億円)となり、過去最高を記録した。
MIHAS を主催したマレーシア貿易開発公社(MATRADE)のノハルディン・ノルディン最高経営
責任者(CEO)によると、ハラル食品とサービスの重要性が世界的に認識され始めたことが、今
回の過去最高を記録した要因であるとのこと。さらに同氏は、来年の売上げは世界経済の回復
と新型インフルエンザの沈静化に伴い、35 億リンギット(約 942 億円)に達するだろうと述べ
た。
ハラル(HALAL)食品とは、イスラム法に基づきイスラム教徒が正当に食することができる食
品を意味する。日本では、豚肉を食べることや飲酒が禁じられている等の慣習が一般的に知ら
2
れているが、宗派や各国の宗教指導者の解釈によって多様な基準が存在している。また、ハラ
ル産業とは豚肉やアルコールといった食品だけに限らず、化粧品や生活用品、またハラル食品
を提供するイスラム教徒向け観光旅行など、産業としての波及先は多岐に渡る。
マレーシア政府はハラル産業を重点分野と位置付け、自国を「Global Halal Hub(世界のハ
ラル産業のハブ)」とする戦略を打ち出し、ハラル産業開発公社(Halal Industry Development
Corporation)主導のもと、ハラル工業団地の造成などハラル産業振興施策を実施している。
日本ではこれまであまり馴染みがなかったハラル産業だが、世界のイスラム教徒人口から推
測すればその経済規模は非常に大きく、当事務所の所管国内を見ると、世界最大のイスラム教
徒人口を有するインドネシア(約2億人)、イスラム教を国教とするマレーシア及びブルネイ、
また 12 億人の人口を抱えるインドにも1億人を超えるイスラム教徒が存在している。当事務所
においては、2008 年8月の自治体国際化フォーラムで「東南アジアのハラル産業」のタイトル
で特集を組み、国別の状況やコラムを交えハラルについてより詳細に紹介している(下部に URL
記載)。
JETRO(日本貿易振興機構)では、日本企業向けにハラル市場への進出に向けたセミナーを7
月下旬に東京・大阪で開催する。セミナーでは、ハラル産業開発公社及びマレーシア投資開発
庁の代表者が、ハラル食品を含むマレーシアの食品分野に対する投資優遇措置や食品産業の動
向及びハラル食品市場の可能性等について講演する予定であり、日本においても徐々にハラル
産業の今後が注目されつつあるようである。
このように、イスラム国市場への進出は日本企業にとって新たなビジネスチャンスとして捉
えられている。自治体においても、地元の特産品を海外展開しようとする際に、今後「HALAL」
を売りに PR してはいかがだろうか。日本産品が「安心」、「安全」そして「高品質」なことは、
海外市場においてイメージとして広く認知されており、新たなマーケットとしてのハラル産業
市場においても、日本産品の強みを活かし差別化を図ることができれば、販路拡大に繋がるこ
とも見込まれる。
※1MYR≒26.9 円で計算
【自治体国際化フォーラム
第 226 号
「海外事務所特集」より】
http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/sp_jimu/226_1/index.html
(「MATRADE」、「日本国外務省」及び「JETRO」ホームページ等
(矢部所長補佐
参照)
宮城県派遣)
【フィリピン・アロヨ大統領が訪日】フィリピン
フィリピン共和国のアロヨ大統領が、6月17日から20日までの日程で日本を訪問した。
このうち18日には、首相官邸で麻生太郎首相と会談を行った。
日本・フィリピン間では、国交正常化50周年の2006年12月に「親密な隣国間の包括
的協力パートナーシップ」の共同声明に署名が行われている。この声明では、政策対話の推進、
経済連携協定発効に向けた協力、経済協力、ミンダナオ和平の一層の推進、エネルギー分野で
の協力、手続の簡素化による防災協力の円滑化、人的交流及び文化事業を通じた相互理解の促
進、地域的及び国際的課題についての協力及び連携の促進等の分野での協力関係の構築で合意
している。
「日・フィリピン経済連携協定(EPA)」は共同声明に先立つ2006年9月に署名、紆余曲
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折の上、2008年12月11日に発効した。貿易及び投資の自由化及び円滑化、ビジネス環
境の整備、人材育成等を含む幅広い分野での協力等について規定している。
今回の会談で両首脳は、経済、外交、安全保障等の分野に渉る日本・フィリピン間の協力強
化を目指す「戦略的協力パートナーシップに関する共同声明」に署名した。経済分野だけでな
く外交・安全保障分野でも協力強化を目指す内容となっている。
経済分野では、EPA 発効を踏まえて日本からの投資を促進し、インフラ整備、人材育成など
を焦点にした投資環境の整備や、政府開発援助(ODA)を通じた物流インフラ整備や金融支援な
ど総額約430億円の円借款を行うことなどで合意した。
外交・安全保障分野では、外務次官級による政策協議や外務・防衛当局間協議の定期的な開催
で合意。ソマリア沖やマラッカ海峡等における海賊問題が船舶の安全航行の上で重大な脅威と
なっているとの認識も共有した。
5月上旬、EPA に基づき、フィリピンより283名の看護士及び介護福祉士候補者が訪日し
た様子は記憶に新しい。アロヨ大統領は訪日最終日である6月20日、看護士候補者36人が
研修中の海外技術者研修協会東京研修センター(東京都足立区)を訪問。候補者は医療機関、
介護保険施設等での実地研修に先駆け、当センターなど国内5つの研修機関で日本語の習得や
生活習慣の理解を中心に半年間の研修を重ねている。大統領は授業参観や候補者との懇談を行
い、資格取得に向けてあらためて激励を行った。
(2009 年 6 月 19 日付日本経済新聞インターネット版、同 6 月 21 日毎日新聞インターネット版、
同 6 月 30 日 NNA.ASIA、日本国外務省ホームページ等 参照)
(大塚所長補佐
長崎市派遣)
【インド初の海上高速道路開通】インド
インド初となる海上高速道路「バンドラ・ウォ
ーリ・シーリンク」が 6 月 30 日、一部開通した。
開通式典は、インド国民議会派(コングレス党)
バンドラ
総裁であるソニア・ガンディー氏やマハーラーシ
ュトラ州首相のアショク・チャバン氏など 25 名の
政治家が参加し、音楽や花火、レーザー光線ショ
ーできらびやかに彩られた。7 月 1 日から 5 日ま
ウォーリ
では無料で通行ができる。
ムンバイ
このシーリンクは、全長 5.6km の8車線で、建
設費は 165 億ルピー(約 323 億円。1 ルピー=1.96
円(6 月 30 日現在))。ムンバイの交通渋滞緩和の
ために建設された。ムンバイでは、これまで 1 日
あたりの交通量が 12 万 5000 台にも上っており、
インドでは自動車所有者が増えているため、交通量は更に増えることが予測されている。これ
までは、ムンバイ郊外のバンドラからウォーリまで 40 分かかっていたのが、この道路開通によ
り8分で行けるようになる。
インドでインフラ整備は必須なのだが、民間企業の資金不足、土地所有権争いなどによりイ
ンフラ整備工事が遅延されることが頻繁にあるのが現状である。
バンドラ・ウォーリ・シーリンクは 2000 年に建設が決まったが、地元漁師たちからの訴訟や
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反対が度重なり、着工に至ったのは 2004 年であった。今回の開通は 8 車線のうち 4 車線のみで、
年内には残り半分が完成されると見込まれている。
(30th June, The Straits Times 等 参照)
(望月所長補佐
東京都派遣)
【タイ、ラオス、ベトナム間で直通トラック輸送が可能に】ラオス
アジア開発銀行(ADB)より、タイ、ラオス、ベトナムの3
か国間で直通トラック輸送が可能になったとの発表が 6/11
にあり、同日3か国の国境でトラックの認可式典が行われた。
同区間は、ミャンマーからベトナムまでのインドシナ半島
を東西につなぐ「東西経済回廊」と呼ばれる幹線道路の一部
で、今まではタイとベトナムが外国からのトラックの乗り入
れを禁じていたため、ラオスで一旦貨物を積み替えなければ
ならなかったが、今後は国境において貨物の積み替え無しで
輸送できるようになり、輸送にかかるコストや時間の削減が
可能となった。
まずは、3か国それぞれ 400 台、合計 1200 台のトラックに
対して許可証が発行される。
東西経済回廊はアジア開発銀行主導の大メコン経済圏
(GMS)構想の1環であり、日本は国際協力機構(JICA)を通
して各プロジェクトを積極的に支援し、インフラ整備を進め
[出典:NNA ASIA Web Site]
ている。東西経済回廊が活性化することにより、単に企業や運送事業者にとってのメリットが
増加するだけではなく、タイ・ラオス・ベトナムのそれぞれの沿道地域の投資先としての魅力
度がアップし、ひいては経済発展につながることが大いに期待される。
(JIJI News 6/12、NNA ASIA 6/11 等
(有滿所長補佐
参照)
鹿児島県派遣)
【ミャンマー投資における考察】ミャンマー
6 月 9 日(火)から 12 日(金)にかけて、クレアの専門家派遣事業の協議や政治・経済事情
調査のためミャンマー連邦を訪問した。政府機関や日系企業から聴取した情報をもとにミャン
マー投資における現状及び今後の展望について考察したい。
ミャンマーは人口 5,737 万人(2008 年現在)、面積約 67 万 7,000k ㎡(日本の 1.8 倍)の国
土を有し、北部及び北東部は中国と、東部はラオスと、南東部はタイ、西部はインド及びバン
グラディッシュと国境を接する。国土の中部及び南部は熱帯に属し、肥沃な土地に恵まれ、農
業が主力産業となっている。近年では大規模な天然ガス田が開発され、ミャンマーの輸出を牽
引するなど天然資源も豊富な国である。
政体は、1988 年の軍事クーデター以降国軍が実権を握り、現在はタンシュエー上級大将を首
班とする国家平和発展評議会(SPDC)が最高機関となっている。軍事政権は政権掌握後、経済
政策において、社会主義政策を放棄し、市場開放政策を打ち出したが、輸入の急激な伸びによ
5
り、90 年代の後半には深刻な外貨不足に陥った。軍事政権は次第に内向きな外交政策を展開す
るようになり、海外送金規制などが行われている。以降、ミャンマーの経済及び投資状況につ
いて、具体的な数値をもとに考察していく。
ミャンマーの一人当たり GDP は 257 ドル(2006 年度・IMF 推定)とされている。2006 年の政
府発表によれば、91-95 は平均 7.5%、以後年平均 8%を超える安定的な経済成長を示してい
る。産業構造については第一次産業が 50%を越え(2005 年度・政府統計)、うち農業が 40%を
上回る農業依存の産業構造といえる。
輸出入については、ミャンマー政府は輸出第一主義を採っているため、輸出額が必ず輸入額
を超えることが条件とされており(輸出で稼いだ外貨で輸入する)、2007 年度においては、輸
出約 64 億ドル、輸入約 33 億ドルとなっている。主な輸出先はタイで約 45%を占めている。主
な輸入先は中国、シンガポール、タイの 3 カ国で、これらの国々で約 66%を占めており、主に
一般・輸送機械などを輸入している。日本は全体で輸出 3%、輸入 7%となっており、主な輸出
品は一般機械・輸送機械、輸入品は衣類や魚介類の比率が高くなっている。
近年のミャンマーへの外国投資は全体を通して低調といえる。2005 年度はタイの水力発電投
資により、投資額が 60 億 6,570 万ドルと飛躍的に増加したが、2006 年度には 7 億 5,270 万ド
ル、件数は 12 件、2007 年度には 1 億 7,270 万ドル、件数は 7 件にとどまった。投資先は石油、
ガス、鉱業など天然資源関連が大部分を占めている。1988 年の市場開放後 2009 年の 1 月まで
の投資累積額のトップは、タイが 74 億 700 万ドルで 2 位の 18 億 6,100 万ドルのイギリスに大
差をつけている。日本は 2 億 1,300 万ドルと 12 位にとどまっており、2002 年度以降新規投資
は 0 件となっている。次に、ミャンマー投資におけるメリット・デメリットについて触れてお
く。
メリットについては、主に以下の点が挙げられる。
・ 豊富な労働力。15-60 歳を労働人口と想定した場合、全人口の約 6 割が労働人口である。
一般賃金は縫製工場の作業員で 30~40 ドル/月とされている。
・ 天然ガスや鉱物資源のほか、水産・森林資源など豊富な天然資源に恵まれている。
・ 全国民を通じての良好な親日感情。
・ 治安の良さ。
デメリットについては、主に以下の点が挙げられる。
・ 社会主義政策放棄後も残る硬直的な経済構造や、不透明な経済政策による慢性的な財政赤
字・通貨価値の下落。
・ インフラ面の未整備。特に電力については、都市部のヤンゴンでも頻繁に停電が発生して
いる。
・ 海外送金規制や、外貨引き出し制限。
・ 売上げに対して付加される 10%の輸出税(取引先から輸出代金相当額がミャンマーの銀行
に振り込まれると、そこから 10%天引きされた金額が各口座に振り込まれる)。
・ 予測不可能な政府の経済政策の変更。また、制度の変更が紙媒体で公表されることが少な
いため、その都度該当省庁に確認する必要がある。
・ ミャンマーに対して経済制裁を科している欧米諸国から、政治的な圧力を受ける可能性が
ある。
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以上がミャンマー投資における主なメリット・デメリ
ットといえる。経済発展の潜在力は十分あるが、法令や
インフラ整備の不十分な点等がミャンマー投資の課題と
なっている。
今回、ミャンマーで訪問したチーク木材を取り扱う㈱
藤本木材の藤本専務によると、現地労働者は真面目で、
汚れ仕事も厭わずこなしてくれるが、技術レベルは総じ
て低く、教え込むのに苦労するとのことであった。教育
も 90 年代の大学閉鎖や今も続く暗記中心の学習法の影
響などから低迷しており、高い能力を持つ職員の確保は
木材加工ラインに並ぶ現地労働者の様子
難しく、引き抜きも多いとのことである。
ミャンマー政府は現在、民主化体制への移行に向け、2003 年に制定された 7 段階の民主化ロ
ードマップを進めてきている。新憲法に基づき 2010 年に行われる予定の総選挙の結果次第では、
これまでの政治・経済情勢に変化が起こる可能性があり、欧米諸国の経済制裁にも影響を与え
ることが予想される。
一方、政府は ASEAN などの国際組織への積極的関与及び 2015 年の ASEAN 経済共同体への参加
表明など、前向きな対外政策を展開しつつある。ミャンマーの今後の動向に注目していきたい。
(6/9-6/12 ミャンマー出張時の聞き取り等
(矢島所長補佐
7
参照)
東京都大田区派遣)
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