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対談> 更なる女性の登用で、特色ある宮大を!

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対談> 更なる女性の登用で、特色ある宮大を!
宮崎大学清花アテナ男女共同参画推進室
News Let ter
2014 年 3 月発行 No.11
国 立 大 学 法 人 宮 崎 大 学 清 花 ア テ ナ 男 女 共 同 参 画 推 進 室
http://www.miyazaki-u.ac.jp/kiyohana/
E-mail: [email protected]
CONTENTS
ア テ ナ の う ご き ………………………………………………………1
策定しました!男女共同参画基本計画……………………………3
<対談>更なる女性の登用で、特色ある宮大を!……………4
宮 大 で Jump! ~ 宮 崎 大 学 で 活 躍 す る 研 究 者 た ち ~ …………6
数 字 で 見 る 宮 崎 大 学 ………………………………………………8
M の 横 顔 宮 崎 大 学 子 育 て 応 援 プ ロ ジ ェ ク ト ………………8
お 知 ら せ ………………………………………………………………8
編 集 後 記 ………………………………………………………………8
アテナのうごき
本学が「くるみんマーク」を
取得しました
管理職向けセミナーを
開催しました
このほど、宮崎大学が宮崎労働局長より次世代育成支援
平成 25 年 9 月 26 日、本学において、管理的立場にあ
対策推進法に基づく「子育てサポート企業」に認定され、
る教職員を対象とした男女共同参画推進セミナーを開催
平成 25 年 11 月 14 日に本学において認定交付式が開催
し、役職教育職員や次長以上の事務職員など約 70 名が参
されました。
加しました。
これは、本学が次世代育成支援対策推進法に基づいて平
「グッドプラクティスに学ぶ~本学が目指すべき女性活
成 23 年4月1日から平成 25 年 3 月 31 日までを対象期
用の手法と効果」と題した本セミナーでは、講師として九
間として策定した行動計画の目標達成や、男性の育児休業
州大学総長特別補佐の樗木晶子教授、静岡大学男女共同参
取得といった次世代育成に関する複数の認定基準を満た
画推進室の的場啓一准教授を迎え、各大学の取り組みにつ
したことを受け認定されたものです。認定式では、宮崎労
いて事例報告をお願いしました。
働局の松竹泰男局長から菅沼龍夫学長へ認定証が手渡さ
2 機関の事例を踏まえ、後半は丸山亜子准教授(教育文
れました。本県において「子育てサポート企業」として認
化学部)の進行によるディスカッションを行いました。会
定を受けたのは2年ぶり5社目です。
場からは「女性教員を積極的に登用することで大学にどう
認定式において、菅沼学
いった利点があるか?」「女
長は「認定によって、これ
性限定公募の実施に対する
までの取り組みを社会的に
学内からの反応は?」といっ
認めていただいた。今後よ
た 具 体 的 な 質 問 も 相 次 ぎ、
り一層働きやすい環境の整
本学における今後の女性活
備に努めたい」と感想を述
用の方向性について考える
べました。
機会となりました。
ちしゃ き
女子高校生のためのサイエンス体験講座を開催しました
平成 26 年 3 月4・5日の 2 日間にわたり、本学において、「女子高校生のためのサイエンス体験講座」を開催しました。
平成 20 年度から県立高校入試の日程に合わせて開催する本講座は、主に理系に対する女子高校生の進路選択支援を目的と
しており、2 日間で約 70 名が医・工・農学部等で実施されたさまざまなプログラムに参加しました。
例年、応募者多数によりプログラムに参加できない希望者が多いことを受け、今回はプログラムに参加できなかった高
校生を対象とした「スペシャル企画:先輩リケジョが教える宮大の魅力」と題したイベントも開催しました。この企画では、
過去に本講座を受講した女子学生 13 名の協力を得て、学
内施設等の見学、ランチを取りながらの交流などを行いま
した。学生との交流も通じて、自身のこれからの進路や可
能性について改めて考える機会となったようです。午後か
らは、理系漫画家として活躍する はやのん 氏を迎えたセミ
ナーも開催し、参加者は「新しい何かにチャレンジするこ
と」
「いろんな人との出会いを大切にすること」など自身の
体験を踏まえたメッセージに耳を傾けていました。
(左)スペシャル企画で講演するはやのん氏
(右)フロンティア科学実験総合センターでのプログラムの様子
ドイツにおける男女共同参画について
学びました
平成 25 年度 宮崎大学度女性研究者奨励賞
表彰式を開催しました
平成 26 年 1 月 9 日、本学教育文化学部に勤務した経験
優秀な業績を挙げた本学の女性研究者に対して贈られ
を持つウルズラ・リヒター先生を講師に迎え、
「ドイツに
る女性研究者奨励賞の平成 25 年度表彰者が決定し、平成
おける女性を取り巻く状況―とくに大学人をめぐる状況に
26 年 2 月 27 日に表彰式が開催されました。
ついて」というテーマでご講演いただきました。
受賞したのは、<研究業績部門>として永濵清子さん
現首相も女性というドイツは、日本に比べ女性の登用や
(農学工学総合研究科 2 年)、<教育活動部門>として真
男女共同参画が進んでいるように感じられますが、「長時
智代さん(農学部 GAP 事業推進室)の 2 名で、式では菅
間利用できる保育施設が十分でない」
「重要なコミュニケー
沼龍夫学長が賞状と記念品を授与し表彰し、「それぞれの
ションの場となる飲み会に女性は参加しづらい」など、ま
すぐれた成果を生かし、さらなる活躍に向けて頑張って
だまだ女性が十分の活躍を阻害する要因が残っているとの
いただきたい」と激励の言葉が寄せられました。
こと。実際にドイツに暮らすリヒター先生のお話に、参加
今回は、表彰式開催に合わせて、今年度の表彰者や過
者は興味深く聞き入っていました。また、大学での女性教
去の同賞表彰者による研究発表、
「Athena リサーチアシス
員数や人事制度、優
タント制度」や「宮
秀な女子学生を育て
大病院キャリア支援
るためのプログラム
枠制度」などを利用
も紹介され、現在の
した教職員による成
我が国における現状
果報告も実施し、多
を振り返るよい機会
くの教職員が参加が
となりました。
しました。
策定しました!
宮崎大学男女共同参画基本計画
本学オリジナルキャラクター
「みやだいもうくん」
本学では、平成 23 年 3 月に学長より提示された「宮崎大学における男女共同参画推
進のための『菅沼プラン』」に基づき、本学における男女共同参画推進体制の確立など
を進めてきましたが、その取り組みをさらに展開することを目指し、このたび「宮崎大
学男女共同参画基本計画」を策定しました。本ページでは、その概要と進捗状況をお知
らせします。
計画期間
本計画の期間は、平成 25 年度から 28 年度末までの 4 か年とします。なお、計画期間においては年度
ごとに進捗状況を確認するものとします。
達成目標
○役員等管理的立場にある女性教職員の数(※ 1)
○教員における女性の割合
1 名(平成 24 年 4 月) ⇒
15.6%(平成 24 年 4 月)
⇒
3名
20%
7.0%(平成 24 年 5 月)
⇒
10%
第 4 回宮崎大学男女共同参画シンポジウム
を開催しました
第 6 回 Q-wea 学習会が
開催されました
平成 26 年 1 月 11 日、本学において「第 4 回宮崎大学
平成 26 年 3 月 13・14 日、沖縄科学技術大学院大学
男女共同参画シンポジウム」を開催しました。
「見つめて
(OIST) ならびに琉球大学において、九州・沖縄アイラン
みようあなたのこれまで×わたしたちのこれから~育児と
ド女性研究者支援ネットワーク(Q-wea)の学習会が開催
1.
一人ひとりの個性を重んじ多様な能力を伸ばす教育の実施
介護、それぞれのかたち」と題した本シンポジウムでは、
されました。オブザーバー 1 機関を含む 10 機関から 23
男女共同参画およびジェンダーに関する授業科目の整備や教職員に対する意識啓発等に取り組みます
2 つのテーマによる分科会と全体会が行われ、約 70 名が
名が参加した学習会には、本学からも 2 名が参加しました。
参加しました。
OIST を会場に行われた初日は、久保真季 OIST 副学長
3.ワーク ・ ライフ ・ マネジメントの実現へ向けた取り組みの展開
「育児」をテーマとした分科会では、育児休業を取得し
による講演、山縣ゆり子熊本大学副学長による事業概要紹
効果的な広報活動による意識醸成とともに、育児期や介護期における教職員の負担軽減に努めます
た男性や、複数回の育児休業取得を経ながら働き続ける女
介などに加え、各機関の現状・課題を共有するためのグルー
4.女性教職員の積極的な登用・活用
性など、4人の教職員から育児の現状について発表が行わ
プワークが行われました。2 日目は琉球大学に場所を移し、
5.男女共同参画の実現へ向けた学内体制の整備
れました。
「介護」をテーマとした分科会では、家族の介
現在の取り組みを確認しながら、今後の Q-wea のあり方
更なる体制整備に加え、ハラスメント対応・清花アテナ男女共同参画推進室の機能充実等に取り組みます
護に取り組む教職員や介護に関する研究に取り組む教員な
や可能性について意見を交わしました。
6.地域社会との連携
ど3名が、各自の体験等を発表しました。全体会では、部
平成 21 年 9 月に開催された「宮崎発!九州アイラン
局長が登壇し、男女共同参画推進に関する各部局の現状・
ド女性研究者支援シンポジウム」を契機にスタートした
課題が報告され、参加者は熱心に耳を傾けていました。
Q-wea ですが、各参加者とも九州・沖縄における女性研究
菅沼学長は「今後
者支援の推進におけ
取り組むべき課題も
る重要な枠組みとし
感じるシンポジウム
て今後も活用してい
だった。今後の皆さ
く こ と を 共 有 し、2
んの一層の協力をお
日間の有意義な学習
願いしたい」と感想
会を終えることがで
を述べました。
きました。
○事務系管理職者における女性の割合
※ 1 役員等管理的立場にある者:学長、理事、副学長、監事、理事補佐、学部長、「教育研究評議会」構成員、
「経営協議会」学外委員
基本方針
2.有機的なつながりと深まりを生み出す研究環境の実現
研究に取り組みやすい環境の整備や、学部等を超えた研究者同士の交流促進に努めます
ロールモデルの紹介や各部局における数値目標の設定等に取り組みます
中・高校生を対象とした次世代育成や他機関との連携により地域の男女共同参画の実現に貢献します
基本計画の推進に当たっては、全学の男女共同参画推進委員会に、新た
に男女共同参画基本計画推進ワーキンググループ(以下「WG」
)を設置し
ました。今年度は、特に「女性教職員の積極的な登用・活用」についてテー
マを絞り、主に数値目標の達成へ向けて取り組むべき事項や方向性につい
て協議を重ねています。
女性教員比率の向上については、新たに「女性教員比率向上ガイドライ
ン(案)
」の作成し、今後各部局等への働きかけを進めることを予定してい
ます。また、事務系管理職者における女性比率の向上については、複数名
の女性職員へのヒアリング調査等を実施し、次年度以降に目標達成に向け
て必要となる環境整備や制度のあり方について検討を行う予定です。
<対談>
更なる女性の登用で、特色ある宮大を!
たけ い
しげ み
竹井 成美 先生(教育文化学部
は せ がわ のぶ み
音楽教育 教授)長谷川
信美 先生(農学部
長谷川先生 今は就職も厳しいので、いくら優秀でも大学院進
畜産草地学科 教授)
迎えがあるので帰ります」と言う方も出てきてい
卒で就職を選択するというケースが少なくありま
ますし、若い世代の意識は着実に変化しているな
せんね。優秀な女子学生はたくさんいますが、育
と感じますね。
の場合、教授が行う研究のサポートが多くなって
しまい、なかなかトップネームの論文が書けない
のが現状です。もちろん、学生も含めてチームで
研究をやっていますから、そういう状況を変えて
いくのが難しいのも事実ですが…。
着任したころ、まだまだ女性教員は
めずらしい存在だった
いろんな場面でどちらかの性別が一人だけだとや
――長い間、宮崎大学に勤務してこられたご経験を振り返って
印象に残っている出来事などがあればぜひお聞かせくださ
い。
竹井先生
昭和 57 年に着任したとき、学部教員のうち女性
は 6 人程度だったと記憶しています。まず驚いた
のではないでしょうか?重点的に支援・育成して、
科省が『増やしなさい』と言っているから仕方な
他大学に送りだすぐらいのシステムができたらい
くやっている」…まだまだそんな雰囲気があるよ
いですよね。優秀な学生については、指導教員だ
うな気がしてなりませんね。
けではなく、学部全体で支援する体制があっても
竹井先生
していたことがあるのですが、初めて講義をする
日に講義室の扉を開けたら学生が「ぎゃー」っと
聞くと、
「女の先生が来た!」と。
それくらい女性の教員はめずら
いう意味でも、昨年秋に石川千佳子先生(教育文
長谷川先生 30 代後半の娘がいます。宮大に着任したときに
長谷川先生 トップに立ちたい、と思う女性は少ないかもしれ
性が増えてきたなぁという印象
ませんね。
竹井 成美 先生
教授に昇任したのは 16 年前ですが、当初、運営
――男女問わず活躍できる環境を整備するためにも、これまで
あまりいなかった女性リーダーの存在は不可欠だと思いま
すが、そういった意欲を持つ女性が少ないという現状をど
のように解消していけばよいとお考えですか?
する会議では四苦八苦の連続で、抵抗勢力のよう
竹井先生
――少数派であるからこそのご苦労もあったのではないでしょ
うか?
なものを少なからず感じたことはあります。長谷
やはり「たった一人きりの女性」という存在では
なく、組織の中に複数で女性が存在することが必
川先生もいろいろとご苦労があったんじゃないで
要ではないでしょうか?だからこそ、女性にもさ
すか?
まざまな仕事に積極的に手を挙げてほしいですね。
長谷川先生 私は、獣医学科に助手として着任した方に続いて
二人目の女性教員だったのですが、確かに、ここ
長谷川先生 複数の女性がいれば、会議などでもずいぶん存在
では言えないようなことも含めていろいろありま
した(笑い)。
他大学の農学系の学部と比べて、宮大農学部の女
性教員比率はどうなんですか?
竹井先生
長谷川先生 村上学部長がいろいろと頑張っ
して多いほうではないですね。
たことがあるんですよ。
女性教員が本学で十分に活躍で
きる環境を整えるためにも、農
長谷川 信美 先生
――子どもさんが小さい頃など、印象に残っていることや大変
だったことはありますか?
長谷川先生 私より娘のほうが大変だったんじゃないでしょう
か(笑い)。仕事で朝早く家を出なくてはいけな
いことも多く、お弁当などもほとんど本人が作っ
てましたからね。
――まさに、娘さんと二人三脚でキャリアを築いてこられたの
ですね。
竹井先生
最近は、出産・子育てを経験する女性教員が増え
ています。まさに、女性研究者支援や男女共同参
画推進の取り組みがひとつのきっかけになって、
じゃないかな、と思います。
――理系分野の場合、
「そもそも女性の応募が少ない」という
声を聞くことも少なくありません。農学部の場合、女子学
生比率は高くなってきていると思いますが、それが女性研
究者そのものの増加につながりにくい背景としてどんなこ
とをお感じですか?
もします。退職を前に思うのは、
「大学とは一体
何か」ということ。社会の変化に伴って大学も変
わる必要はあるとは思いますが、
「大学とは一体
何か」ということを常にみんなで考える…そんな
機会を大切にしてもらいたいと思いますね。
長谷川先生 子育てを経験した私に、藤原先生が意見を求めて
くださったように、いろんな背景を持った人がそ
れぞれの実感を踏まえて意見を出し合える雰囲気
ができるといいなと思います。
竹井先生
ディに女性の登用が進むといいですよね。
すので、すごくいい環境になってきたと思います。
ておられますが、現時点では決
ういう時期に現場を去ることは少し申し訳ない気
実はお嬢さんとは、ザハール・ブロンさんという
そういう方をサポートする環境が整いつつあるん
教育文化学部はすでに 20%以上の女性教員がいま
立て込んで大変だろうと思うことばかりです。そ
――退職後のことについて、何かお考えですか?
感が違うと思いますよ。だからこそ、もっとスピー
――昨年策定した「宮崎大学男女共同参画基本計画」では、教
員に占める女性の割合を平成 28 年度末までに 20%にする
という目標を掲げています。
大改革が進むでしょうし、職員の皆さんも業務が
はちょうどアメリカの大学に留学していました。
バイオリニストの音楽祭実行委員としてご一緒し
そういう役割を引き受けたがらない女性も多い。
現在は教育文化学部も優秀な女
員を増やすべきだと思います。
竹井先生
的に手を挙げる女性が少ないですよね。むしろ、
しい存在だったんだと思います。
学部に限らず、もっと女性の教
家族で築くキャリア、職場で広がる理解
大学運営はもちろん、アクティブラーニング導入
のように教育手法が変わるなど、これからさらに
たるような支援ができるといいですね。
――長谷川先生は子どもさんがお一人いらっしゃいますよね。
本ではマネジメントするような仕事に対して積極
竹井先生
しながらも、個人としての成果にきちんと光が当
らいですから、まだまだ遅れていますよね。そう
とは、画期的ですばらしいことだと思います。日
――大学に対する思いや期待があればお聞かせください。
よいのではないかと思います。研究チームには属
化学部)が本学で初めて女性の評議員になったこ
言うんです。「どうしたの?」と
で、心強いです。
上位職への登用についても、つい 6 年前に附属幼
稚園長になったのが女性で初めてだったというぐ
(現在の本学医学部)では、ラテン語の講義を担当
竹井先生
ことをこれまでの経験で強く感じてきました。「文
みません、私、女です」と性別変更を申し出ると
いうことだったんですよね(笑い)。宮崎医科大学
竹井先生
特に若い世代の女性に対する手厚い支援が必要な
ていたこと!着任後初の仕事は庶務に行って「す
さまざまな背景を持つ構成員が
きちんと大学のあり方と向き合うべき
女性研究者を育てるためには、大学院生のような
はり存在そのものが認識してもらいにくいという
まずは女性を増やすこと
そうすればもっと存在が認識されるはず
のは、受け取った組合員証の性別欄が「男」になっ
竹井先生
最近では、若い男性の先生の中にも「子どものお
学を躊躇する学生は多いですよ。男女問わず学部
て切れていないように感じます。特に若い研究者
「男女共同参画」
「女性研究者支援」という言葉が取り組むべき課題として認識される前から、
本学で活躍してきた二人の女性教員が今春定年退職を迎えられます。学部も研究分野も異な
るお二人に、これまでのご経験を踏まえた思いと期待をお話し頂きました。
竹井先生
退職を迎えることへの感慨はあまりないんですよ
(笑い)。どちらかというと、自分の預かった学生
たちが特に大きな事故もなく無事に巣立ってくれ
たこと、それぞれの場で活躍してくれていること
の安堵感のほうが大きいです。退職後は、しばら
く宮崎で生活し、いずれは母が暮らす地元の大分
に戻ることになると思います。母ともほどよい距
離感を保ちながら生活するのがいいのかな、と次
の暮らし方を考えているところです。
長谷川先生 私は娘も宮崎で暮らしていますし、退職後も宮崎
で生活する予定です。
――今日は本当にありがとうございました!
長年のご経験をもとにお話しいただく内容は、非常に重みのあ
るものでした。清花アテナ男女共同参画推進室としても、竹井先
生、長谷川先生からの期待に応えられるよう、性別を問わず働き
やすい環境の実現へ向けた取り組みをさらに続けていきたいと思
います。
長谷川先生 以前、農学部の藤原先生が学長だったとき(平成
13 ~ 15 年)、「女性の研究者を増やすためにどん
なことが必要か」と尋ねられたことがあります。
そのときに私は「保育所を作ってください」と申
し上げました。それが次の住吉学長の在任中に「く
すの木保育園」というかたちで実現したのがとて
もうれしかったですね。やはり子どもが生まれれ
ば当然子育てが必要で、保育所は働き続けるため
に不可欠ですよね。そういう環境が整えば、働き
続けられる女性も増えますから。
左から 長谷川 信美 教授、竹井 成美 教授
宮 大 で Jump !
~宮崎大学で活躍する研究者たち~
宮崎大学にはさまざまな研究・教育にかかわ
る研究者が在籍しています。このコーナーでは、
毎回異なるテーマにスポットを当て、活躍する
研究者を紹介します。今回は、揃って本学に勤
務する研究者ご夫婦の登場です。
した。それなのに、結果として自分のキャリアを生
かして好きなことを続けられる今の仕事に就けた私
は、本当に幸せ者だと思います。今振り返ると、私
にとって、育児を楽しみながら主婦として過ごした
一年間は、とても貴重な時間でした。
丈人先生 宮崎では研究にかかわるような仕事自体が多くはあ
りませんし、夫婦揃って同じ大学で研究ができると
■農学部 准教授 稲葉 丈人 先生
は思っていませんでした。とても幸運だったと思い
愛知県出身。名古屋大学大学院生命農学研究科 で博士(農学)の学位を取得。日本学術振興会海外特別研究員ならびにマサチュー
セッツ大学アムハースト校の博士研究員としてアメリカで研究に従事。帰国後は岩手大学 21 世紀 COE プログラム特任准教授など
を経て、平成 22 年 3 月から本学 IR 推進機構特任助教。平成 24 年 4 月から現職。
愛知県出身。東京大学大学院農学生命科学研究科で博士(農学)の学位を取得。平成 17 年 4 月から岩手大学で博士研究員として
5 年間勤務。夫の異動に伴い宮崎へ。本学 IR 推進機構研究員、山村フェロー研究員を経て平成 24 年 4 月から現職。
靖子先生 とても住みやすいですよ。
丈人先生 梅雨時期のじめじめした感じはつらいですけど、夏
は名古屋に比べれば過ごしやすいくらいです。
丈人先生 私の場合は、自分で雇用しているスタッフとうまく
ています。自分で研究室を運営して感じるのは、機
器類にお金をかけるよりも、もっと人にお金をかけ
たほうが働きやすくなるのではないかということで
靖子先生 少なくとも、私の周囲の研究者や先生方は、アクティ
費の一部を事務処理等をサポートしてくれるスタッ
けないということをデメリットに感じることはあり
ます。この前も、東京で大切な面接がある日に台風
が接近していて、どうなることかと思いました。搭
乗する飛行機を一便早めて事なきを得ましたが…は
らはらしましたね。これはどうしようもないことで
すけど。
フの雇用に充てられるようにすれば、仕事の効率が
良くなりもっと研究成果も上げられるのではないか
なとは思います。制度を変えれば良いだけで予算は
―丈人先生には Athena リサーチアシスタント制度(※) も利用
していただいています。
丈人先生 Athena リサーチアシスタント制度を活用して、主
靖子先生 家事や育児は二人でうまく分担してこなしていま
ころまでこぎ着けています。少額でもいいので、継
こそ限られた時間で集中しよう!という気持ちで頑
張っています。限られた時間内でパフォーマンスを
上げるためにはどうしたらよいかを、最近は常に考
えています。
―今後の更なるご活躍を期待しています。ありがとうございま
した!
インタビュー中の様子からも、お二人がお互いの研究を理解し、
考え方を尊重し合っていることが十分に感じられました。これか
らも、このお二人のような教員・研究者がきちんと教育・研究に
取り組めるよう、支援をしていくことが欠かせません。
※アテナリサーチアシスタント制度
「Athena リサーチアシスタント制度」とは、出産や育児、介護
などを理由に、研究時間が十分に確保できない本学専任教員
や研究者(ポスドク)に対して、研究補助者を雇用するため
の経費を配分するものです。なお、本制度により雇用できる
スタッフは本学の学部生・大学院生のみとなっています。
左から 稲葉 丈人 准教授、稲葉 靖子 特任助教
♪宮
ると思います。
に学生の長期休暇中に集中的に支援してもらってい
仕事にかけられる時間は減りましたが、忙しいから
たいなと思います。
必要ありませんので、大学にとってもメリットがあ
―非常にお忙しい中、二人の子どもさん(3 歳・1 歳)を育て
ていらっしゃるわけですが、うまくバランスをとって生活す
るための工夫があれば教えてください。
す。子どもが生まれる前に比べると明らかに研究や
※丈人先生は子どもたちが寝た後に、靖子先生は子どもたちが起きる前
に、それぞれ時間を確保してメールチェックややり残した業務をこな
しているそうです。
す。例えば、研究室を運営するための基盤経費と教
員の人件費を一つのパッケージにして、自分の人件
くありません。ただ、飛行機に乗らないと東京に行
靖子先生 研究室のメンバーを増やして、よい仕事をしていき
6:00 靖子先生 起床
6:30 丈人先生 起床
7:00 朝食
8:30 二人で子どもをくすのき保育園に登園させ、出勤
…それぞれ 研究・講義など…
17:30 靖子先生勤務終了後、帰宅して夕食の準備
18:00 丈人先生勤務終了後、保育園へお迎え~帰宅
19:00 夕飯
20:00 入浴(子どもさんは丈人先生と一緒に)
21:00 頃 子どもさん&靖子先生 就寝
0:00 頃 丈人先生 就寝
連携してなるべく仕事を効率よく回すように心掛け
―研究する環境としての宮崎大学はどうですか?
ブな人が多いです。また、機器類に関して不満は全
―今後、どういう研究者を目指していらっしゃいますか?
丈人先生 教科書に残るような研究成果を出したいですね。
■テニュアトラック推進機構 特任助教 稲葉 靖子 先生
―お二人とも愛知県のご出身だそうですが、宮崎の印象はどう
ですか?
ます。
丈人先生&靖子先生 1 日のスケジュール
ます。時間数は非常に少ないのですが、
学生に手伝っ
てもらった仕事をもう少しで論文発表できそうなと
続的に支援してもらえると本当に助かりますね。
―非常に近い分野の研究をしておられるということで、仕事に
ついて話し合うようなこともありますか?
学内保育所 くすの木保育園
本学では、医学部がある清武キャンパス敷地内に、事業所内保育施設とし
て「くすの木保育園」を設置しています。本学教職員・大学院生であれば誰
でも利用することができ、平成 19 年 4 月の開設以来、多くの子どもたちが
のびのびと成長しています。
運営は保育専門の民間業者に委託しており、医師・看護師の当直勤務等に
対応できるよう週 2 回(火・木)の終夜保育を実施しています。また、不定
期な利用に対応できる一時預かりプランや病気回復期に利用できる病後児保
育も完備しています。定員は 32 名で、教職員が安心して勤務できるよう、
きめ細かで丁寧な保育に心掛けています。
靖子先生 話し合うことでヒントをもらったり、アイデアが湧
いてくることもあります。
丈人先生 家での食事のときに研究の話をしていると、上の子
が「おしゃべりしたらダメ!」と割って入ってきま
す。たぶん、話題についていけないのがイヤなんで
しょうね(笑い)
。
―靖子先生は、出産を機にしばらく主婦をなさっていた時期が
あるそうですが…。
靖子先生 私は、家族と離れて暮らしてまでキャリアを積むつ
もりはなかったので、夫の宮崎大学への異動が決ま
り岩手大学を退職するときも、躊躇はありませんで
した。研究は好きでしたが、宮崎では私の研究キャ
リアを生かせる場所は少ないと思ったので、研究以
外の他のことに挑戦するのもよいかなと考えていま
宮大きっずサマースクール
平成 24 年度から、小学校の夏季休業中において、本学関係者(教職員・
学生等)が保護者である小学 1 ~ 6 年生の児童を対象とした学童保育を実施
しています。平成 25 年度は 15 日間にわたって開催し、さまざまな小学校の
子どもたち延べ 279 名が参加しました。
このきっずサマースクール最大の特徴はさまざまな学部・センターの教員
等により提供される多彩なプログラムです。平成 25 年度はコンテンポラリー
ダンス、科学実験、農場見学など 18 プログラムを実施しました。
終了後に実施した利用者へのアンケートでも「研究室など学内施設でいろ
いろなことを体験できる時間を増やしてほしい」という声が強く、本学なら
ではのプログラム提供が大きな魅力となっています。
大の
子育
て支
援♪
数字で見る宮崎大学
宮
大
に
ま
つ
わ
る
さ
ま
ざ
ま
な
数
字
を
し
ま
す
皆さんは、
宮崎大学に一体何人ぐらいの「教授」がいるかご存知ですか?
正解は 184 名です(平成 26 年 1 月現在)
。本学における正規雇用教員(助
教以上)の総数が 685 名なので、教員全体の約 4 分の 1 が「教授」とい
うことになりますが、皆さんは多いと思いますか?少ないと感じますか?
それでは、教授の中で女性は一体どれくらい在籍しているのでしょうか?本学全体に
9.2%
宮崎大学における教授職の
女性比率(平成 26 年 1 月現在)
おける女性教授の数は 17 名。割合にしてみると、教授職に就いている教員のうち、わ
ずか 9.2%に過ぎません。
ちなみに、部局ごとに女性教授の在籍状況を見てみると(かっこ内は部局ごとの比
率)、教育文化学部 8 名(21.6%)
、医学部 7 名(14.6%)
、工学部 0 名(0%)、農学部
1 名(2.0%)
、センター等施設 1 名(11.1%)となっています。女性教員の積極的な採
用のみならず、上位職への登用も今後の課題といえそうです。
の横顔
-宮崎大学子育て応援プロジェクト
このコーナーでは宮崎大学で配布中の「子育てバッジ・シール」
「子育て応援バッジ・シール」を利用している人にスポットを当てます
お知らせ
「宮大病院キャリア支援枠」を
運用しています
財務部財務課 事務職員 木上 浩徳 さん
本学では、平成 24 年 10 月から「宮大病院キャリア支
私は、今年度、2 ヶ月の育児休業を取らせていただい
さまざまな理由から離職・休職している医師が緩やかに
た。男性職員の育休は希有な事例であったが、そんな
職場復帰できる場を提供することを目指したもので、利
無理を職場の方々は快く受け入れて下さり、本当に有
用できる方は次の通りです。
り難く思っている。
育児を通して、技術面での成長はもとより、精神面
での成長を感じている。子の出生を機に、ライフスタ
イルを激変せざるを得なくなった。すべて子ども優先
の生活。必要に迫られ、自分の生活リズムや趣味を諦
める。最初はストレスにも感じたが、子どもへの深い
愛情からか、自然に我慢出来るようになる。こうして
精神面でも、また一歩親に近づいている気がしている。
多用な価値観やライフスタイルを共有する職場で、
育休や子育てに関する理解の深化、仕事と育児を両立
し易い環境をより一層醸成するためには、パパ・ママ
教職員と育児未経験者が子育てに関する経験談等を共
有することが必要なのではないかと思う。子どもがい
てくれるからこそ、新米夫婦は前向きな苦労を重ね、
人として成長し、親になっていく。育児をとおして気
づく、親や周囲の方々への深い感謝。自分もこんな大
切に、愛情をいっぱい注いで育てもらったのだと。だ
から、私は、皆が私に与えてくれた愛情以上に子ども
に愛情を込めて育てたいと強く思う。
編集後記
通常は 4 ページの本紙ですが、今回は、基本計画策定のお知
らせや、大先輩となる先生方からのメッセージなどもりだくさ
んの内容をなんと 8 ページでお届けすることができました。国
の施策でも注目される女性活用ですが、一過性ではなく、性別
問わず誰もが能力を発揮できるための恒常的な環境を目指し
て、私たちも微力ながら頑張っていきたいと思っています。
援枠」(以下:支援枠)を運用しています。支援枠とは、
■育児または介護等によりフルタイムの勤務が困
難な医師
■休職中で復職を希望する医師
■スキルアップのため専門分野以外の知識や経験
を必要とする医師
支援枠を利用する場合は非常勤医員での採用になり、
当直勤務や時間外呼び出し、超過勤務等が免除されます。
「子育てしながら、医師としてのキャリアは継続させたい」
「体調を崩していたが、無理のない範囲で仕事に戻りたい」
といった希望を持つ医師の方にぜひご利用いただきたい
制度で、平成 25 年度は延べ 4 名が利用しました。
勤務に当たっては、清花アテナ男女共同参画推進室の
コーディネートにより、診療科と協議して柔軟な勤務形
態を選択できます。本制度の運用によ
り、さらに多彩な人材が活躍できる環
境の実現を目指しています。関心のあ
る方はお気軽にお問い合せください。
宮大病院キャリア支援枠利用者が
着用するバッジ
国立大学法人 宮崎大学
清花アテナ男女共同参画推進室
http://www.miyazaki-u.ac.jp/kiyohana/
E-mail: [email protected]
木花キャンパス 〒 889-2192 宮崎県宮崎市学園木花台西 1-1
Tel&FAX:0985-58-7508 内線:(92)7508
清武キャンパス 〒 889-1692 宮崎県宮崎市清武町木原 5200
Tel&FAX:0985-85-1252 内線:(95)2327
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