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臨床不要通知改訂の背景と レーザ医療機器開発に寄せる期待
平成28年10月22日(土) 第37回日本レーザー医学会総会 産学官合同シンポジウム2 「正しいレーザー治療の発展に必要なもの –レーザー治療におけるEBM-」 臨床不要通知改訂の背景と レーザ医療機器開発に寄せる期待 金田 悠拓1、 冨岡 穣2、 市川 雄大3、 鈴木 由香4 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA) 1医療機器審査第一部、2信頼性保証部、3医療機器審査第三部、4医療機器審査第二部 日本レーザー医学会 COIの開示 演題発表に際し、 開示すべきCOIはありません。 筆頭演者:金田 悠拓 本日の内容 • 背景 • 新しい通知の内容 • 開発に寄せる期待 背景 • 平成20年11月28日 「レーザ手術装置の承認申請に際し添付すべき臨床試験 の試験成績に関する資料の取扱いについて」(以下、「臨床不要通知」という) (薬食機発第1128001号通知) 既に承認されたレーザ手術装置の実績を踏まえて、臨床不要の範囲を以下 に拡大 1. 2. 3. 4. 5. ダイオードレーザ ネオジミウム・ヤグ倍周波数レーザ パルスホルミウム・ヤグレーザ 炭酸ガスレーザ ネオジミウム・ヤグレーザ ※注意事項として、以下の記載あり 本基準に定めるレーザ手術装置は、「切開、止血、凝固及び蒸散」を使 用目的、効能又は効果とする手術用機器(レーザメス)である。 適用外例:光化学治療、温熱治療、疼痛治療、あざ治療、しわ取り、脱 毛、結石破壊、血管(腫)治療、眼科用のレーザ装置等 背景 • これまでの取扱い レーザメスの範囲に限った臨床不要の範囲を明示 • レーザ医療機器の審査で生じる問題点・疑問点 レーザメスのみの治験免除通知は開発に有益か? (今の医療現場では、レーザメスが求められている?) レーザメス以外の装置はどう開発すれば良い? (波長の色素選択性を利用した機器、美容機器、等) 従来の通知発出当時の医療現場のニーズ レーザメス その他のレーザ機器 医療現場のニーズ 従来の通知の範囲 従来の通知:平成20年11月28日付薬食機発第1128001号厚生労働省医薬食品 局審査管理課医療機器審査管理室長通知「レーザ手術装置の承認 申請に際し添付すべき臨床試験に関する資料の取扱いについて」1 現在の医療現場のニーズ レーザメス 医療現場のニーズ その他のレーザ機器 従来の通知の範囲 レーザ技術の発展に伴い、低侵襲治療、多くの診療科での応用が 可能に。 【問題点】医療現場のニーズに反して、開発の参考になる通知が 存在しなかった。 今回の改訂通知の範囲 ※ レーザメス その他のレーザ機器 医療現場のニーズ 改訂通知の範囲 ※PDTや眼科領域は通 知の対象から除く。いず れも、従来の通知でも対 象外。 通知改訂の目的: 医療現場のニーズを反映した評価指標を提示する。 具体的には、レーザメスの臨床不要範囲は残しつつ、レーザ医療機 器全般の評価指標(臨床試験の要否の考え方含む)を示す。 取り組みの内容 • 専門協議の全体像 本会議(親会議) レーザメスの定義や 評価に対する基本的な 考え方を検討 各診療科の考えをフィードバック 各診療科のWorking Group 皮膚科 形成外科 美容外科 耳鼻咽喉科 歯科、口腔外科 具体的な疾患に対する エビデンスの有無や 評価方法を検討 これまでの経緯 専門委員(基礎、臨床含む)と改訂(案)について議論 1. 2. 3. 4. 5. 6. 第1回 親会議(H26年7月) 皮膚科・形成外科・美容外科Working Group*(H26年10月) 第2回 親会議(H26年11月) 耳鼻咽喉科Working Group * (平成27年2月) 第3回 親会議(平成27年3月) 歯科・口腔外科Working Group*(平成28年5月) *Working Groupでは、特定の診療科に特化した専門委員と議論 平成28年6月29日付薬生機審発0629第4号通知 「レーザ医療機器の承認申請の取扱いについて」が発出された。 通知の内容 ○通知の構成 本文: ・用語の定義や基本的な考え方をまとめた。 別添: ・基本的な考え方に沿って、具体的な評価項目や臨床要否 の判断方法をまとめた。 通知 別添1の内容 レーザ医療機器に共通した性能及び安全性に関する評価指針 申請書上に規定が必要な項目、評価が必要な項目を提示 (但し、各製品の特性に応じて、該当する項目を評価すれば 良い。) プローブや先端チップ等との組み合わせ評価が必要である ことを明確化 通知 別添2の内容 レーザ医療機器の使用目的 レーザ医療機器の承認申請に際しては、当該機器の開発の経緯及び外国 等の使用実態に鑑みて、想定される適切な使用目的を全て承認申請書に 記載すること。 1.臨床不要通知の対象とされた使用目的(外科的処置) ・生体組織の切開 ・止血 ・病変組織の切除、凝固又は蒸散 2.1.以外の使用目的(例) ・う蝕、歯石の除去 ・皮膚良性色素病変の治療 ・刺青の除去 ・皮膚血管病変の治療 ・脱毛 ・皮膚の瘢痕の治療、結石の破砕、等 通知 別添3及び4の内容 レーザ医療機器の性能評価指針 ○外科的な処置 レーザメスであることの根拠として、使用模擬試験を 追加。 スペックの範囲の限定は廃止。 ○外科的な処置以外 基本的に、従来の審査の要求事項を明示した。 通知 別添5の内容 臨床試験成績の要否の考え方(ディシジョンツリー) ① 使用目的及び作用原 理が同一の既承認品 が存在するか ③ 波長の組織選択性を 利用した治療・処置か いいえ はい いいえ はい ④ 使用目的は別添2の1. に該当するか ② 性能及び使用方法 に既承認品との同等 性が認められるか いいえ はい いいえ はい はい ⑤ 既承認品との差分にかか る臨床的な影響を非臨床 試験によって評価可能か いいえ 臨床試験成績の提出不要 原則、臨床試験成績の提出が必要 通知 別添5の内容 臨床試験成績の要否の考え方 原則、臨床試験成績の提出が必要 ⑥ 治療に関する十分な エビデンスが存在する場合 性能および安全性を裏付ける根拠となりうる文献が十分にある場合は、 それらをまとめた臨床評価によって、臨床試験成績の提出を省略するこ とは可能 【注意事項】 文献による評価の妥当性は、事前にPMDAに相談して頂きたい。 文献による評価であっても、申請区分は改良(臨床あり)か新医療機器になる。 <参考> 臨床評価報告書及び臨床評価相談用資料作成の手引き (https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/consultations/0019.html) 開発に寄せる期待 • 通知改訂によって、審査の要求事項を明確にしたため、新しい 医療機器の開発において、大いに参考にして頂きたい。 • 通知の解釈や運用について、ご不明な点があれば、PMDAにご 相談ください。 • 通知改訂を通じて、レーザ医療機器の開発促進につながること を期待している。 • 医療現場からのニーズの高い医療機器については、厚生労働 省にて、早期導入に関する要望書の募集も行っているため、ご 活用頂きたい。 (http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000095066.html) ご静聴ありがとうございました。