...

JFAテクニカルレポート∼ FIFA U-17世界選手権 ペルー2005(抜粋) JFA

by user

on
Category: Documents
19

views

Report

Comments

Transcript

JFAテクニカルレポート∼ FIFA U-17世界選手権 ペルー2005(抜粋) JFA
②ゴールに向かう−しかけ
FIFA U-17世界選手権 ペルー 2005
■グループリーグ(2005年9月16日∼23日)
順位
中国
1△1
3
ガーナ
1△1
1△1
4
ペルー
0●2
0●1
(1)大会全般
①技術のあるチーム
技術のあるチーム(メキシコ、ブラジル、
ストタッチの良さ、背後を狙えるキックの
1△1
トルコ
2
メキシコ
1●2
3
オーストラリア
0●1
0●3
4
ウルグアイ
2●3
0●2
1●2
アメリカ
DPR K
イタリア
3○2
3○1
2○1
3○0
1
アメリカ
2
朝鮮民主主義人民共和国
2●3
3
イタリア
1●3
1△1
4
コートジボワール
1△1
0●3
順位
グループD
3○2
2○0
2○1
1○0
1△1
失点
差
4
2
2
にスペースがあればDFでさえもしかけてい
5
3
2
1
く。当然ながらボールを失うことも多いし、
3
3
3
0
逆にカウンターを受けることも多い。しか
1
1
4
-3
し、強烈なまでのゴールへ向かう姿勢をみ
失点
差
るとサッカーの原点をそこに見た気がする。
ブラジル オランダ
1
ブラジル
2
オランダ
1●2
3
ガンビア
3○1
0●2
4
カタール
0●6
3●5
2○1
ガンビア
1●3
2○0
9
6
3
3
6
6
2
4
3
2
5
-3
0
3
7
-4
失点
差
ードに差し掛かると、強烈にしかけてくる
4
3
チームもある。また、ブラジルはMFからも
4
2
どんどんしかけて数的優位をつくり、決定
7
-1
的なチャンスをつくり出していた。FWにお
8
-4
いてはゴール前で一瞬の隙があれば振り向
失点
差
いてしかけていた。
コートジボワール 勝点 得点
7
7
1△1
6
4
3○0
6
4○3
4
1
3●4
カタール
6○0
5○3
3○1
4
勝点 得点
1●3
6
9
4
5
6
8
5
3
6
6
4
2
0
4
14
-10
ッションし、特にサイドでアタッキングサ
③ゴールに向かう−人もボールも動く
ボールがパワーONのときは、ゴールを奪
うためにどんどんスペースへ飛び出してい
がつくったスペースに次の選手、またその
■決勝トーナメント(2005年9月25日∼10月2日)
コスタリカ
メキシコ
アメリカ
トルコ
④高いテクニックと絶対的な運動量
中国
優勝したメキシコ、準優勝のブラジル、
精度、狙う意識・準備が必要になってくる。
両チームとも攻守にわたっての絶対的な運
ブラジル
優勝したメキシコ、準優勝のブラジル、3位
動量はすばらしかった。チームの一端を担
朝鮮民主主義人民共和国
のオランダ、4位のトルコだけでなく、決勝
うために徹底して動き、オーバーラップし
トーナメントに残ることができなかったア
て数的優位をつくり出す。また、どんどん
選手がつくったスペースに次の選手という
延
1
3
※90分間で勝敗が決しないときは、延長戦(15分×2)を行う。
※延長戦で勝敗が決しないときは、PK戦を行う。
4
0
ように「Create space, Exploit space」を連
続して行っていた。また、どんどん背後か
らも飛び出してくる動きが多く、人も動き、
0
2
3
0
5
1
3
4
ボールも動かすことによって相手を混乱さ
優勝:メキシコ
せ、チャンスをつくり出していた。
準優勝:ブラジル
■しかけ メキシコvsブラジル
第3位:オランダ
3
延 2
2
1
オランダ
1
トルコ
ブ
ラ
ジ
ル
8
もないミスからの失点、またはリスク管理
フリカ勢も卓越した基本技術の高さを持っ
持ち出し、しかけて突破していく。それを
ができずに簡単に失点をしてしまう場面が
トがいた。FKなどのセットプレーからの得
ていた。
支えているのは高いテクニックであるのは
多かった。
点が多かったことも考えると(守備が悪い
ら、どんどん積極的にゴールへ向かうプレ
③A代表を意識したチームづくり
言うまでもない。その中での動きの質(動
⑥その他
ともいえるが)
、キックの精度を持った選手
ーが多く見られた。まず、ゴールへ向かい
局面においては、A代表を彷彿させるプ
き出すタイミング、状況を理解し的確な場
ガンビアのCF⑨M.Ceesay(195cm)
、中
ながらもダイレクトプレーができないとき
レーも随所に見られた。システムにおいて
所へ動くこと)が悪いときもあるが、良い
国のCF⑧X YANG(189cm)
、イタリアの2
は、プレーの原則をしっかりと踏まえて、
もA代表と同じスタイルのチームが多かっ
動きの方が断然多く、その絶対量はすばら
トップのCF⑪S.Foti(192cm)と⑨C.Tiboni
幅・厚みを使いポゼッションを行っていた。
た。しかしながら、当然ミスも多い。積極
しい。
ブラジルのウォームアップでは、かなり
的にゴールを奪いに行く、ボールを奪いに
また、守備においても前線からプレッシ
狭いスペースで4対4のポゼッションを行っ
行く中でトライ&エラーを繰り返し、経験
ャーをかけて積極的にボールを奪おうとし
さらに持久力があるといった選手が増えて
ていた。試合では人工芝ということもあり、
を重ねながらレベルを上げる、これがA代
続ける。最後までプレッシャーが続かない
きているのではないかと思われた。
狭いスペースで足の裏を使った技術を発揮
表につながっていくのであろう。
ときもあるが、選手はトライ&エラーの繰
(189cm)など大型化が目立った大会であっ
思われる。
り返しの中で成長し、またタフな試合を重
ラウンドがますます増えてくることを考え
ブに移籍、すばらしい経験と徹底した戦術
ねる中でどんどんレベルが上がっていくで
ると、足の裏を使う技術も必要になってく
を学んでいく選手もいる。また、既に現在
あろう。
るであろう。また、スペースが一瞬の遅れ
ヨーロッパでプレーしている選手も多く、
⑤大人のサッカーとの差
で消えてしまう現代サッカーにおいては、
彼らがこれからますます成長し、A代表の
ブラジルに代表されるように、大会を通
定の基本技術の高さがあるといえる。その
より一層の精度の高いファーストタッチや
レベルを押し上げていくであろう(トルコ
して好不調の波が大きく、安定したプレー
中でも上位に進出したチームには、突出し
た「個の力」を持つ選手がいた。その選手
②基本レベルの高さ
シコの⑧Dos Santosは現在スペイン・バル
中は難しく、例えばラインコントロールが
一人の力で局面を打開し、大きな変化をも
セロナでプレーしている)
。
前半の途中で早くもできなくなり、とんで
たらしチャンスをつくっていた。
3
メ
キ
シ
コ
9
2
9
7 19
8 10
ブ
ラ
ジ
ル
6
2
4 10 3
おり、どのポジションの選手においても一
ができないチームが多かった。90分間の集
3
18
■人もボールも動く ウルグアイvsメキシコ
1
基本技術の高さはスタンダードになって
の半数近くがドイツなどでプレーし、メキ
5
ト
ル
コ
①タレント
キックが要求されてくるであろう。
9
10
メ
キ
シ
コ
■基本レベルの高さ トルコvsブラジル
(2)技術・戦術分析
また今大会後、ヨーロッパのビッグクラ
2
7
を育成していくことも大切になってくると
た。大型化し、技術もありスピードもある、
する場面が多々あった。今後、人工芝のグ
14
また、多くのチームにFKのスペシャリス
るといえる。個人の技術をベースにしなが
18
また、オランダのようにアタッキングサ
ードまではワンタッチ、ツータッチでポゼ
く動きが見られた。最初に動き出した選手
トルコ、オランダ)が勝ち残った大会であ
まず、ゴールへ向かう。DFの背後を狙う。
まず、ゴールに向かってしかけていた。
チャンスがあれば前を向いてしかける。前
5
勝点 得点
1△1
1
グループC
ペルー
2○0
1○0
1△1
メキシコ オーストラリア ウルグアイ 勝点 得点
トルコ
グループB
オランダ
1.フィールドプレーヤー編
1△1
2
2005年9月16日∼10月2日、ペルーにて「FIFA U-17世界選手権」が行われました。
同大会のJFAテクニカルスタディグループ(上野展裕/加藤好男)による視察報告をお送りします。
そのためには、卓越したドリブルとファー
ガーナ
コスタリカ
順位
大会優勝を果たしたメキシコ © MEXSPORT/AFLO
中国
1△1
1
順位
JFAテクニカルレポート∼
FIFA U-17世界選手権
ペルー2005(抜粋)
コスタリカ
グループA
※各グループ上位2チームが決勝トーナメント進出
3
18
4
8
7
5
ウ
ル
グ
ア
イ
1
19
活動報告
JFA GK
インセーブも多く、時にシニアGKのような
した。ただ、各チームの攻撃者たちの技術
広い守備範囲を発揮してDF背後のスペース
も高く、DFラインとGKの間のスペースへ
トルコ、メキシコなどはバイタルエリアを
を守ったり、高さの面でも大型GKの特徴を
低くて速い正確なクロスを蹴り込んできた。
うまく攻略し、効果的な攻撃を繰り返した。
最大限生かしたプレーをしていた。
このシーンでの判断とプレーでは、GKによ
中でもブラジル・メキシコは、MFもしくは
②シュートストップ
ってレベルの差が浮き彫りとなった。日ご
④バイタルエリアの攻防
攻撃においては、ブラジル、オランダ、
DFが中盤から、時にはDFラインからどんど
17歳という年齢で190cm以上ある大型GK
ろ行われている各国リーグのレベルや選手
んしかけていき、相手を抜くことでバイタ
は、通常動きが緩慢であったり、敏捷性で
の質によって、こうした状況に慣れている
ルエリアを攻略し、またはオーバーラップ
劣る選手が多いが、この大会へ出場してい
GKは良い対応をしていた。
により数的優位をつくることによってバイ
るGKは、比較的動きもシャープで身体能力
⑤攻撃への参加
タルエリアを攻略していった。一方、トル
の高さを感じさせる。したがって、シュー
プレースキックでのミスキックは前述し
コ、オランダはスペースへのしかけだけで
トストップの場面でも良い反応から広範囲
たが、GKが手から離すキックにおいては、
なく、センターFWへくさびを入れ、素早く
を守れるGKが多かった。また力強いプレー
各チームのGKとも正確かつ飛距離あるボー
サポートすることによりバイタルエリアを
も随所に発揮して、今後イージーミスを減
ルを蹴ることができていた。試合の流れや
攻略した場面が多かった。
らしていけば世界レベルのシニアGKの域に
リズムによる配球においては、チームによ
達していくであろう。
り違いが見られた。素早いスローイングに
③ブレイクアウェイ
よってGKからのビルドアップを試みるチー
2.ゴールキーパー編
DFラインの背後をより広く守るという点
ムと、ロングボール中心の攻撃に終始する
では、再三積極的なプレーが見られた。相
GKとに分かれた。オランダのGKはバック
FIFA U-17世界選手権ペルー2005へ出場し
手スルーパスへの対応や1対1の場面で落ち
パスも積極的に引き出し、チームでボール
た16チームの大会登録GKは各3名、計48名
着いて基本に忠実なプレーで対応するシー
ポゼッションをしていてチームの目指して
であった。全体の平均身長は182.8cmで、
ンも数多くあった。もちろん予測や目測を
いるサッカーがよく出ていた。
平均体重は75.8kgであった。近年の国際大
誤って、勢いだけで飛び出してしまうプレ
⑥セットプレー
会におけるGKの大型化は進んでいるが、こ
ーもあったが、今後へつながる積極的なプ
セットプレーでは、GKの守備範囲の広さ
の17歳の世界大会でもその傾向は強く、体
レーでのミスともいえる。ただ、精神的に
やゴールキーピングにおける技術の差が大
格の部分では十分シニアのレベルに到達し
未成熟な面もあってPKを与えてしまった
きく表れた。ベスト4に進出したGKとグル
ているといえる。
り、警告をもらうといったGKもいた。
ープリーグで敗退したチームのGKとの差
④クロス
は、セットプレーの対応力の差といっても
(1)大会GK
GK大型化のNo.1はブラジルで平均
191cm/83kgで、次にトルコの同189cm/
大型GKたちは、クロスにおける守る範囲
過言ではない。DFの組織化はもちろんのこ
81kg、そしてイタリアの同189cm/80kgと
も広く、高さにおける優位さを存分に発揮
と、CKでクロスに対して直接チャレンジで
■ブレイクアウェイ オランダvsトルコ
この数字が登録GK3人の平均であるから、
の対応力が低いなどといった面が直接差と
なって表れた。
180cm/72kgとなり、16チーム中15番目が
DPR KOREAの同179cm/69kgであった。
⑦アジアのGK
ト
ル
コ
1
中国、DPR KOREAといったアジア地区
いかに各国GKが大型化しているのかが分か
予選=AFC U-17サッカー選手権大会2004=
る。
で日本と同じグループの2チームが今大会の
大会ベスト4となったメキシコ、ブラジル、
2
オランダ、トルコの先発GK4人の平均は
9
3
オ
ラ
ン
ダ
10
11
いたGKたちであったが、GKプレーの面で
は大人と子どもの中間点である一面が多く
見られた。どのGKもすばらしいファインセ
ーブをしたかと思うと、考えられないイー
ジーミスをしてしまったり、自制のきかな
いファウルを犯してしまうなど、不安定な
面も数多く見られた。
ただその中でも、上位に進出したチーム
のGKたちは積極的にプレーしていて、ファ
20
退場となるなど精神面で不安定な面があっ
1.ウォーミングアップ
3.アングルプレー(ステッピング)
①グリッドハンドパスを回す ②パントキック
キーファクター
・観る(状況把握)
・コミュニケーション
・構えとそのタイミング
・安全確実なキャッチ
身体の正面でキャッチ
両手でキャッチ
一回でボールをつかむ
※以下、すべてのトレーニングにパリーゾーンを設ける
FWからハーフウェー付近の選手にバックパスをし、そこからサ
イドへ配球する
(1)ワンコントロール
大きさ:16.5m×16.5m
用具:マーカー、ボール、ビブス
※留意点
・トレーニングの最初として、しっかりコミュニケーションをとらせる
・けが防止のため、活動量を確保する ・基本技術の確認
FW
①
2.トレーニング1
②
③
※FWはセカンドボールにつめる
①キャッチング&ローリングダウン
(2)外→中
ワンコントロールからスタート
シューターは、初め2タッチ。後、1タッチもあり
スロー
トルコディフェンスラインの背後に出され
たボールに対して、トルコGK①V.Babacan
は積極的に出て行くが、オランダ⑨
D.Biseswarにかわされてしまい、がら空き
になったゴールへシュートをうたれる。し
かし、トルコ②M.Yilmazがゴールに戻って
きており、シュートを防ぐことができた。
また、トルコ③F.Bikmazも戻ってきており、
中に折り返されたときにも対応できるポジ
ショニングをとっている。ここではGKがミ
スではあるが今後につながる積極的なプレ
ーをしている所と、ディフェンスの選手と
の連携の良さに注目したい。
キーファクター
・構えとそのタイミング ・適切な移動方法
・安全確実なキャッチ 身体の正面でキャッチ
身体の面の前方でボールをキャッチ 一回でボールをつかむ ・プレーの方向
●正面のキャッチ
オーバーハンド アンダーハンド バウンジングボール
●ポストから移動して
キーファクター
・スタートポジション 構え、位置、タイミング ・観る 状況把握、タイミング
・適切な移動方法(素早い移動) ・ポジショニング ・構えとそのタイミング
・安全確実なプレー キャッチorディフレクト の判断 プレーの方向
トレーニング1 すべてのトレーニングセッションに導入
②ダイビング/ディフレクティング ・FWを入れる ・パリーゾーンをつくる
た。DPR KOREAのGKは15歳という年齢で
大会最年少GKとなったが、好プレーとイー
(2)GKプレー分析
体格では、十分シニアレベルに到達して
トへ進み、ベスト8となった。中国GKはゴ
発揮したが、対イタリア戦で2回警告を受け
すると身長で10cm、体重で7∼8kgの体格差
①全般
テーマ【シュートストップ】
グループリーグを突破して決勝トーナメン
ールキーピングの面ですばらしいプレーを
191.5cm/80.5kg、アジアのGKたちと比較
となった。
JFA Goalkeeper Project since 1998
きなかったり、直接FKのシュートに対して
続く。これに対して、アジアから出場した
カタールは同180cm/79kgで、中国は同
プロジェクト
U-15日本代表(AFCユース選手権一次予選)
© Jリーグフォト
(株)
10月21日∼30日、ストライカーキャンプと合同で行
われたGKキャンプのトレーニングメニュー
(U-18トレーニング)
、AFCユース選手権一次予選を
勝ち抜いたU-18、U-15日本代表の報告を
お送りします。
ジーミスの両面が混在した。しかしながら、
(C)
(B)
ダイビング
187cm/70kgの体格で中学生と考えるなら
ば、大変将来性のある良いGKといえるであ
●トレーニングの考え方
つかむか弾くかの判断とそのプレー向上を重点課題とした。
●弾く際のプレー
安全第一でゴールライン外へ弾くも、相手ボールであり、セットプレーである。
セットプレーでの得点率が高いという面では得策ではない。パリーゾーン(24ペー
ジ参照)へ弾くことで味方と連携し、攻撃へつなげられればそれが良い。だたゴー
ル前へリバウンドをつくらないことも重要である。
スロー
(A)
ろう。
オーバーハンド
キャッチ
※JFAテクニカルポートは、2006年2月
に発刊予定です。
(A)FW (B)球拾い (C)待機
味方の攻撃へ
アンダーハンド
コーチ
判断
バーの上へ、
ポストの横へ
両手
キーファクター
・構えとそのタイミング ・身体の側面で着地 ・踏み込み足
・プレーの方向 ・安全確実なプレー つかむか弾くかの判断
相手ボール
(CK)
弾く方向
ディフレクティング
片手
パリーゾーンへ
味方の
攻撃へ
●選手のローテーション:GK→(A)→(B)→(C)
21
JFA Goalkeeper Project
活動報告 JFA GKプロジェクト
2.トレーニング1
テーマ【ブレイクアウェイ】
3.高い位置からのロングフィードの処理
(1)クロスのキャッチングⅠ
1.ウォーミングアップ
2.ローリングダウン&フロントダイビング
①グリッド内で2人一組さまざまな動きを入れる
②コーチの指示した動作をする
①フリー ②FWを入れて
2人組で①静止球にローリングダウン
②静止球にフロントダイビング
スロー
キーファクター
コーチ
FW
・観る
・コーディネーション
大きさ:15m×15m
用具:マーカー、ボール、ビブス
3.トレーニング1
①キャッチング&フロントダイビング
4.FW2対GK1
キーファクター
キーファクター
・構えとそのタイミング
・安全確実なキャッチ ・身体の正面でキャッチ
・一回でつかむ ・プレーの方向
パンチ
or
ミスコントロール
(2)クロスのキャッチングⅡ
キーファクター
コーチの挙げた色をコールする
(観るタイミング)
左右から行い、さまざまな球質の
クロスボールに対応する
・スタートポジション
構え、位置、身体の向き
・観る
状況把握、タイミング
・判断∼決断の声
「キーパー」or「クリア」
・安全確実なプレー
目測
キャッチorパンチングの判断
踏み切り足(プレースペース
の確保)
ジャンプのタイミング
ボールをとらえる位置
パンチングは、遠く、高く、ワ
イドに
・スターティングポジション
・観る
・構えとそのタイミング
・チャレンジ&ステイ
・駆け引き
・粘り強い対応
・安全確実なプレー
スロー
キック
●FWは5秒以内でコーンゴール
を狙う
コーチ
キーファクター
・スターティングポジション
構え、位置、身体の向き
・目測
・判断∼決断の声
キーパーorクリア
・安全確実なプレー
キャッチorパンチングの判断
踏み切り足(プレースペース
の確保)
ジャンプのタイミング
ボールをとらえる位置
パンチングは、遠く、高く、ワ
イドに
(ボールポジションとスタートポジションの意識付け)
FWからハーフウェー付近の選手にバックパスをし、そこからサ
イドへ配球する
キーファクター
・スタートポジション
構え、位置、身体の向き
・観る
状況把握、タイミング
・DFとのコミュニケーション
(ゴール前の組織化)
ラインコントロール、マー
クの指示など
・目測
・判断∼決断の声
「キーパー」or「クリア」
・安全確実なプレー
キャッチorディフレクトの判
断
・DFとの連携
プロテクション&カバーリ
ング
・守備から攻撃への切り替え
テーマ【ディストリビューション】
5.2対1+GK
6.サイドから切り込まれたときの2対1の状況
3人でパスを回し、コーチの合図で2対1のスタート
(最後にパスを出した選手がDF)
ワンプッシュから配給する
(1)5人グループでボール1個or2個
キーファクター
キーファクター
・スタートポジション
(シュートに
も対応)
構え、位置、身体の向き
・観る
状況把握、タイミング
・構えとそのタイミング
・判断∼決断
チャレンジorステイ
・DFとの連携
指示の声
プロテクション&カバーリング
・安全確実なプレー
・スタートポジション
(シュートに
も対応)
構え、位置、身体の向き
・観る
状況把握、タイミング
・判断∼決断
チャレンジorステイ
・DFとの連携
指示の声
プロテクション&カバーリング
・構えとそのタイミング
・安全確実なプレー
FW
FW
DF
コーチ
テーマ【クロスの対応】
①パス&コントロール
②キャッチング&ローリングダウン
(2)4対2 ポゼッション
大きさ:15m×15m
8∼10mグリッド
用具:マーカー、ボール、ビブス
GK+ストライカーキャンプ© AGC/Schuichiro Hara
(1)バックパスの処理
キーファクター
・観る
・コミュニケーション
・バックパスへの準備と対応
身体の向き、サポートの位置
ファーストタッチ、ヘッドア
ップ
タイミング
・パスの質と精度
①グリッド内でハンドパス、さまざまな動きを入れる
②名前を呼んでハイボールコンタクトなし→コンタクトあり
キーファクター
・周りを観る
・コミュニケーション
・開始姿勢
・声
・プレーエリアの確保
・安全確実なキャッチ
大きさ:16.5m×16.5m
用具:マーカー、ボール、ビブス
キーファクター
・観る
・コミュニケーション
・身体の向き
・サポートプレー
(角度、距離、タイミング)
2.ディストリビューション
1.ウォーミングアップ
22
1.ウォーミングアップ
ボールサーバー以外の2人において
①1人が手を挙げる→そこにパス
②2人が手を挙げる→どちらかにパス
③誰も手を挙げない→クリアリング
(トップへ)
(2)スローorキック
キーファクター
・観る ・コミュニケーション ・声 ・パスの質と精度
ボールサーバーはコーチ
①1人が手を挙げる→そこにパス ②2人が手を挙げる→どちらかにパ
ス
③誰も手を上挙げない→クリアリ
ング
GK+ストライカーキャンプ© AGC/Schuichiro Hara
23
JFA Goalkeeper Project
活動報告 JFA GKプロジェクト
3-1.効果的なディストリビューション
3-2.効果的なディストリビューション(5名の場合)
3サードでのゲーム。攻撃者のみ自分の前のグリッド侵入OK
キーファクター
サーバーはコーチ①ターゲットゴールへのキックorスロー
②コーンゴールへスロー
③味方選手を使ってゴールへ
・ゴールを守る
・観る
・コミュニケーション
・パスの優先順位
・パスの質と精度
・バックパスへの準備と対応
身体の向き、視野の確保
ファーストタッチ、ヘッドア
ップ
タイミング
・守備から攻撃の切り替え
キーファクター
・ゴールを守る
・観る
・コミュニケーション
・パスの優先順位
・パスの質と精度
・バックパスへの準備と対応
身体の向き、視野の確保
ファーストタッチ、ヘッドアッ
プ
タイミング
・守備から攻撃の切り替え
コーチ
ンチングする際の方法とパンチングゾー
ンを意識したトレーニングを行った。
PKに対しては、今まで行ってきた基本
トレーニングを行い、対DPR KOREA戦
では引き分けで終了した際の出場権をか
けたPK戦も考えられるため、チーム全体
としても取り組んだ。
●攻撃への参加
ディストリビューション(配球)を意
識したトレーニングを主に行った。時間
帯、リズム、得点差、流れを考えたプレ
ーでキックおよびスローイングによる配
球の正確性と距離、パススピードを意識
したトレーニングを行った。またチーム
としてもGKからのキックをターゲットに
当て、そこから攻撃するカウンターのト
レーニングも行った。
※GK+ストライカーキャンプは、スポーツ振興くじ助成金を受けて実施しました。
U-18日本代表チーム
AFCユース選手権2006一次予選
【報告者】加藤好男(GKプロジェクトリーダー)
1.GKテーマ
へ(ポストの横へか、バーの上へか)か、
ーニングと弾く方向などをシュートスト
それとも遠くワイドに味方へつなぐこと
ップ同様に行った。
ができるのか・・・という点を追求した。
また、ミドル、ロングシュートを想定
して、人形による障害物を配置したシュ
ートストップトレーニングを行った。GK
①積極的かつ堅実なゴールキーピング
から見たシューターやボールの視界を遮
②良い準備(位置と姿勢)・・・観る−状
断して、混戦から飛び出てくるボールや
況把握−予測−判断(決断)−実行
(プレー)
障害物などに当たって方向変化するボー
ルに対する対応を主に行った。
③DFとの連携・・・コミュニケーショ
ン&コンビネーション
3.成果
図A パリーゾーン
・大会を全勝かつ失点0で1位となり、本
大会への出場権を獲得したこと。
・事前キャンプを含め、モチベーション
図B パンチングゾーン
パンチングする際に図の中の円状の
GK+ストライカーキャンプ© AGC/Schuichiro Hara
が高く、集中してトレーニングや試合
テーマと対中東対策や開催地インドにお
に取り組んでいたこと。
ける暑熱対策、中央アジアや東南アジア
次予選に向けた最後の準備を行った。
2.事前合宿
ゾーンへ行う。GK自身の前方でパンチ
・テーマに対して積極的にトライして、
する際は、斜め前方。GK自身の頭上お
対策、そしてオーストラリア対策などを
2試合通じて安定したゴールキーピン
よび後方でパンチする際は、斜め後方
加味していかなければならない。また高
グを行えたこと。
校年代の選手は、進路による環境の変化
トレーニングでは、状況判断、ポジシ
(1)トレーニング
となる。したがって味方選手は、その
・攻撃への参加から、DPR KOREA戦で
ゾーンへカバーに入り、味方攻撃へと
があり、情報を収集することと各大会視
ョン移動、構え、そしてプレーそれぞれ
はGKによるゴールキックを確実にター
展開する。
察によるコンディションの把握に努めな
のスピードアップを意識し、なおかつ安
ゲットへ送り、そこから貴重な決勝点
ければならない。2006年1月には、カタ
全確実なプレーをするという難易度の高
へとつながったこと。
ールにおける国際ユース大会出場が予定
いテーマに継続して挑戦し、特にクロス
セットプレー時においても同様で、
弾く際の方向を楕円状のゾーンとし
こうした共通理解をチームで行うこと
・試合に出場できなかった選手も良いコ
の守備とサイドからのFK、CKなどリス
ー・・・弾く技術とその方法(どこへ、
てゴール前にリバウンドをつくらない
でピンチを未然に防ぎ、チャンスへ転
されていて、同年代の各国と対戦する機
ンディションを維持し、またチームの
タートの守備にも取り組んだ。
ようにすること。またこのゾーンへ弾
換することにつながる。GKによるパン
会が得られる。こうした中から、今まで
どのように)
一人としてチームの勝利に貢献したこ
今回の代表チームは高さの面では確実
⑤クロスへの対応・・・守備範囲拡大、
くことで味方と連携してマイボールと
チングミスの多くの原因は、無理にパ
の個人、グループ、チームの課題に際し
と。
性を持っていない。その点を補うにはGK
コンタクトプレー、パンチングスキル
し攻撃へつなげる。安易にコーナーキ
ンチング方向を変えることによるもの
て再度トライさせ、新たな課題の抽出と
4.課題
がより広い守備範囲を持つことが必要に
ックとすることは、相手ボールであり、
であり、上記の方法がミス撲滅にもな
改善策立案を行う。
向上
る。
・初戦のチャイニーズ・タイペイ戦では、
U-15日本代表チーム
なる。この点に関して選手は勇気を持っ
セットプレーの得点率が高いことを理
④つかむか弾くかの判断とそのプレ
⑥セットプレーへの対応・・・DFの組織
化、意識の配分、攻撃への切り替え
解する。
過緊張および気負いからクロスに対し
て動き出しが早くボールを後逸してピ
⑦攻撃への参加・・・ディストリビュー
ンチを招いたこと。常に平常心でプレ
ション(配球)、サポートプレー他
ーすること。
⑧リーダーシップ
2.GKトレーニング
●シュートストップ
つかむか弾くかの判断とそのプレーに
ず自分自身が安全確実に一度でキャッチ
できる範囲を知ること(シュートされた
●セットプレーへの対応
●クロスへの対応
FK、CK、PKなどの対応トレーニング
【報告者】川俣則幸(U-15日本代表GKコーチ)
1.事前合宿でのテーマ
(図C)、クロスに対してマンマーキング
の付き方、GKとの連携、特にGKがプレ
クトが取り上げている育成年代のGKが意
ーする際に、プロテクションとカバーリ
ンに際して、瞬時の組織化で課題が残
識すべき3つのテーマ(①積極的なゴー
ングの徹底を図ることができた。
ったこと。
ルキーピング、②良い準備、③DFとの連
携)を押さえつつ、ハイプレッシャー下
あるものの、今後へ向けて依然課題と
で、観る&状況判断、ポジショニング、
なること。
守備の組織、これらをできるだけ素早く
5.今後の展開
行うこと。その上で安全確実な技術発揮
を主に行った。FKでは、壁を立て視界を
状況など)。そして弾くと決断した際の技
ロスボールへの対応トレーニングの他、
遮られた際の対応を中心に行い、視点を
術(両手、片手、手のひら、指、拳など
低くて速いボールに対するトレーニング
どこへ置くか、意識の配分をどのように
予選通過できたものの2006年の本大会
キーワードで追求し、さらにチーム全体
の部位と手の出し方)、また弾く際のその
(アーリークロス対策)を主に行った。た
するかなどトレーニングをした。またCK
に向けて、第2次強化期間としてプラン
の課題でもある「クロスの守備」「リスタ
に際しては、つかむか弾くかの判断やパ
ニングしていく。今後に向けた共通する
ートの守備」にも継続して取り組み、一
24
チーム全体としても、GKと連動したク
ロスの守備確認のトレーニングを行い
る壁の立て方とそのコミュニケーショ
守備範囲拡大のための通常行われるク
だその際、パンチングにおける技術トレ
も生かされることとなった。
これまでの合宿と同様に、GKプロジェ
ボールの距離、高さ、スピード、回転、
方向では、安全第一でゴールラインの外
て取り組んでくれた。これは試合の中で
・セットプレーの対応でDF組織化におけ
・GK個々の課題において、改善されつつ
おいて徹底してトレーニングをした。ま
AFC U-17サッカー選手権一次予選
図C
C
を行っていくことを「スピード」という
25
JFA Goalkeeper Project
活動報告 JFA GKプロジェクト
しかし、第1戦とは異なりテレビでの中
クロスに走り込んだ相手FWとGKの間に
淡路島での事前合宿ではマカオ戦と韓
継、日韓両国の観客などまさにアウェー
入りプロテクションをしてくれたおかげ
国戦を想定して、滝川第二高校、セレッ
の雰囲気の中で行われた。立ち上がり硬
で、GKは安全確実なキャッチングができ
ソ大阪U-18との練習試合を行う予定であ
さの見られた日本は、韓国のパスワーク
たという守備面での連携がうまくできた
ったが、選手が合宿に合流する時間差が
対応に追われていた。この時間帯に微妙
こと。次にGKからのディストリビューシ
生じたり、風邪によるコンディション不
な判定からPKを与え失点した。ここで崩
ョン(配球)も、攻撃の優先順位を常に
良などでメンバーが揃わず、当初の予定
れず、自分たちのペースで試合が進めら
意識しながらできるだけ味方に確実にパ
とは異なりメンバーを固定せずに試合を
れるまで我慢したことが、その後の追い
スをするというチーム戦術通りだった。
することになった。GKも廣永(F東京U-
上げにつながった。
素早く逆サイドを見て、GKの動きを見て
(2)練習試合
18)が滝川第二高校戦の後に負傷したた
GKの廣永は、チーム立ち上げのころの
攻撃方向に向きを変えた齋藤にスローイ
め、セレッソ戦を欠場するなど、必ずし
彼自身の課題であったクロスの守備とDF
ングし、パスの出し手であるGKと、受け
も予定していた準備ができたわけではな
裏スペースのカバーリングなど安定した
手である選手の連携がうまくできたこと
かった。
プレーでチームの守備に貢献した。そし
により得点につなげることができた。守
て後半、右からの相手クロスをキャッチ
備、攻撃にわたりチームとして取り組ん
して、左の齋藤(横浜FMユース)にスロ
できたことに本番の舞台でチャレンジし、
ーイングをしたことが攻撃の起点となり、
得点を挙げられたことは、一次予選突破
齋藤の同点弾につなげることができた
という結果に並ぶ成果と言える。
(3)一次予選
韓国・パジュに入ってからは、対戦国
にメンバーなどの情報を与えることに注
意して、システムやフォーメーションが
容易に分かるトレーニングを避けながら、
今までやってきたことの確認とコンディ
(図D)。
図D
4.課題
試合の中での廣永のパフォーマンスは、
「普段通りの力を発揮する」という意味で
ションの調整を行った。GKはここで、
すばらしいものだった。常にアグレッシ
CKやクロスの守備を再度確認した。
先に行われた韓国代表とマカオ代表と
ブさを失わずに判断し、プレーすること
の試合で、韓国が14点取って勝利した。
に挑み続けたことを評価したい。一方で
その結果を踏まえ、日本がより有利に韓
失点にこそならなかったが、後半終了間
国戦を迎えるためには、マカオ戦におい
際、ペナルティーエリアの外まで飛び出
て15点差以上つけて勝つことを一つの目
してヘディングそしてボレーでのクリア
標とした。立ち上がりから得点を重ねる
をし損ねて相手にボールを渡してピンチ
試合展開で、GKがボールにプレーする機
を招いたプレーに関しては、試合の中で
会がほとんどなかった。しかし国際試合
時間帯や流れを意識したプレーをすると
の持つ独特の雰囲気に慣れておくことは
いう面で課題が残った。
また、GKをグループとして振り返ると、
次の韓国戦に向けた良い準備となった。
初めて代表として公式戦を戦うことに対
選手同士のポジション争いが不足してい
して非常に高いプレッシャーを感じてい
たことも挙げられる。複数の力の拮抗し
る様子で、試合後選手からもかなり緊張
たGKが互いに競い合い、切磋琢磨できる
ように、さらなるGKの発掘、育成、強化
したという感想が出た。
続く韓国戦は、引き分け以上で日本の
1位突破が決まるという条件で迎えた。
このプレーでは、まずクロスに対して
GKがプレーする決断を声で伝え、DFが
も最終予選に向けた課題である。
5.まとめ
今回はチームとしても、合宿の立ち上
がりに、風邪で発熱する選手が出たり、
GKも廣永が指を負傷して、予定していた
練習試合でプレーできなかったりとアク
シデントが起こった。しかし城福監督か
ら、そうしたアクシデントも本番にはつ
きもので、それをもプラスに変えていけ
る選手、チームでなければ試合で結果を
出すことはできないと言われていたので、
選手は慌てることなく、普段の力を発揮
してわれわれの目標としてきた「自分た
ちのサッカーをして一次予選を突破する
こと」ができた。今回の経験を生かし、
最終予選に向けて、さらにチーム、選手
個々が成長を続け良い結果が出せるよう
U-18日本代表vsU-18チャイニーズ・タイペイ代表(AFCユース選手権2006)/© Jリーグフォト
(株)
26
に努力していきたい。
27
ホルガー・オジェック氏©Jリーグフォト
(株)
公認S級コーチリフレッシュ研修会
∼ホルガー・オジェック氏の講演から∼
FIFAクラブワールドチャンピオンシップ
トヨタカップ ジャパン2005分析
2005年12月19日、東京ガーデンパレスにて公認S級コーチ
ルイテハド(サウジアラビア)も、ルーマニ
アから大変経験の豊かなA・ヨルダネスク氏
リフレッシュ研修会が行われました。
今号では当日ホルガー・オジェック氏(FIFAテクニカルディベロップ
が監督をしました。ヨーロッパの監督により、
組織立った、構造のしっかりしたチームをつ
メントヘッド)が行ったFIFAクラブワールドチャンピオンシップトヨ
くっていくという性質があります。一方、南
タカップジャパン2005の分析をお送りします。
米のスタイルは、もっと個人技やショートパ
スをつないでいくという手法です。
また、テクニックの違いが見られました。
それを行っていました。例えば、リバプール
ヨーロッパでは、もっとターゲットに向けて、
FC(イングランド) vs デポルティボ・サプ
一つタッチしスコアしようとする形ですが、
リサ(コスタリカ)
。リバプールはスペース
南米のサッカーはどちらかというと、もう少
公認S級コーチ・リフレッシュ研修会を行
がない中でもプレーができました。イングラ
しいろいろと楽しんで、時々ゴールがあると
う上で、プレゼンをする側がまずはアイデア
ンドのプレミアリーグでは、普段からスペー
いうことを忘れてしまいそうなプレーがあり
を提示し、皆さんがそれを考えて皆さんなり
スがない中でプレーしています。国内リーグ
ます。そのような違いが傾向としてあります。
に発展させていくということが重要かと思い
がそういう状況になっているから、そうしな
ます。私の理念として、世界でもサッカーの
くてはならないのです。
攻撃・守備のアイデア
ことをすべて知っている人はいません。サッ
サプリサは、ラテンアメリカのスタイルで、
もう一つ大変面白かったのは、ボールのデ
リバリーのクオリティーです。ボールのリリ
ース、そしてフィニッシュ。競争力のある、
カーは経験ということでもあり、アプローチ
もっと個人技でスペースを広げた中で行うと
インターナショナルのサッカーで成功したい
でもあり、いろいろな要素が組み合わさって
いう形でした。一般的に国内リーグのスタン
のであれば、ここが一番重要です。最後のタ
それで成功につながるのです。だからこそ、
ダードが違います。ヨーロッパのトップリー
ッチが正しくないと、そこまでやってきたこ
一つの答えを出すということはなく、いろい
グでプレーをしていると、ゲームのペースや
とがすべて無駄になってしまうのです。プレ
ろなオプションがあるのです。もちろん、あ
プレッシャーが違います。サウジアラビアや
ーに多くのエネルギーをかけすぎて、フィニ
るチームを責任を持って見るということであ
コスタリカのリーグとは違ってくるわけで
ッシュのところでしっかりと集中できないよ
れば、どのオプションでいくかということを
す。
うでは間違いです。これが重要な側面であり、
決めて確信を持っていなくてはなりません。
各チームの中で、インターナショナルプレ
コーチとしてはそこを追求していかなくては
昨日決勝が終わったばかりの「FIFAクラブワ
ーヤーは、チーム全体のレベルを上げていく
なりません。良い潜在能力、良いテクニック
ールドチャンピオンシップ トヨタカップ ジ
という役割があります。ヨーロッパで今起き
があったとしても、テクニックはもっとター
ャパン2005(以下、FCWC2005)
」について、
ている状況、海外の選手しかいないチームが
ゲットに向けられたものでなければなりませ
まず、攻撃・守備のアイデアをお話ししたい
あるという現象は好ましくありません。しか
ん。
と思います。6大陸連盟からチャンピオンが
し、日本の場合は限られた人数の、海外のク
集ったわけですが、チームによりさまざまな
オリティーが高い選手がいます。彼らはキー
スタイルが見られました。
プレーヤーでなくてはなりませんが、国内の
テクニカルスタディグループ(TSG)でゲ
才能がそこでブロックされてはいけません。
ームを視察し分析をしました。いくつかのプ
数少ない海外の選手が大変優れた選手であれ
レーシステムが見られました。1-3-5-2あるい
ば国内の選手が育つのに役立ちます。
は1-3-4-3という組み合わせもありました。ス
ターゲットに向けたテクニック
各チームのシステム
次は各チームのシステムで特に目に付いた
点を説明します。
(1)アルイテハド(サウジアラビア)
アルイテハドの⑪チェコは「フリースピリ
イーパーシステムもあり、フラットディフェ
ット」といわれ、チームの中で唯一、全く一
ンスもありました。
また、プレッシャーがかかりスペースが非
ヨーロッパのスタイルが見られました。シ
つのタスクを与えられていない、自由を与え
常にタイトになっていました。いろいろなチ
ドニーFC(オーストラリア)はドイツ人の
られている選手ですが、実際にはあまりイン
ームがそれぞれの理念、方向性にしたがって
P・リトバルスキー監督、リバプールもそう
パクトがありませんでした。実際には⑧マフ
でしたし(R・ベニテス監督/スペイン)
、ア
ナ・アブシュギールが走り回って彼の分も運
27
動量を科せられてしまったわけです。
る、そして②シシーニョはとにかく押し上げ
くり上げるにも至らなかった。サンパウロは、
皆さんは監督として、プラスアルファ何か
てすぐカバーに入る、右サイドに関して自分
脅威を感じることなくずいぶん楽をさせても
できるだろう、プレーメイカー、指令塔とし
の役割をよく分かっているという感じでし
らったようです。決勝という場合に、前のゲ
た。⑪アモローゾも非常に危険な選手、経験
ームから5名も変えるということは良いので
も豊富ですし、優秀なゴールゲッターです。
しょうか。アルアハリはやはり5名変えてき
FIFAクラブワールドチャンピオンシップの分析
を語るオジェック氏©Jリーグフォト
(株)
1
2
て大きな役割を担ってくれるだろうという期
4
待をかけた選手がいて、実際にこの期待に応
21
14
えなかった場合に、こういう選手をチームの
中に置いておくのはどうでしょうか。確かに
20
FIFAクラブワールドチャンピオンシップトヨタカップジャパン
サンパウロFCvsリバプールFC©Jリーグフォト
(株)
1
11
1
8
17
がまったく違います。ちょっと私は意外な思
5
個人的に良い選手かもしれませんし、ボール
7
扱いもうまいかもしれない。ただし、それは
3
2
と思いますが、他の選手が彼のために走らな
れられるのかどうか、これは一つ大きな疑問
を投げかけると思います。
実際にそれが今回は起き、彼が下がってい
たために、中央のスペースがほぼ完全にオー
プンな状態になってしまっていました。攻撃
10
(2)アルアハリ(エジプト)
14
9
8
図2.アルイテハド(vs FCサンパウロ)
・コンパクトなディフェンスブロック。
・MFのセットアップは変わらない
・Kチェコが自由に動く。ほとんどが深いポジションから。
Hマナフ・アブシュギールはKチェコをカバー、後半は
サン パウロのBシシーニョをブロック。
・Qは右サイドからアタッカーをサポート。
・Rモハメド・ノールは前線のCモハメド・カロンをサポ
ート。2人で危険な攻撃のコンビを形成。
・ロングボールのオプション。ストライカーは1対1に強く、
常に相手DFを脅かす。
・MFとトップの間にギャップができすぎる。
・出足は相手を恐れすぎていた。
うするか、を考えていただきたいと思います。
(4)デポルティボ・サプリサ(コスタリカ)
デポルティボ・サプリサは、いわゆる中南
図4.アルアハリ(vs アルイテハド)
そうすればどんどん引き込まれていくかと思
図7.サンパウロ FC(1-3-5-2)
ディフェンスが弧を描いているという形で
(3)シドニーFC(オーストラリア)
す。これは非常に興味深いものでした。これ
サンパウロFCが今大会優勝しましたが、そ
シドニーFCは、伝統的な1-4-4-2のシステム
が自分の気に入るか入らないかというのは別
こまですばらしいかというと、そこまででは
ですが、⑲ドワイト・ヨークがなかなか驚く
問題であり、それは皆さんで判断すればよい
ないというのが私の意見です。決勝戦は確か
に、勝つべくして勝ちました。というのはリ
ことでしたが、前線で2対3となり、後ろから
した。いろいろなスタイル、いろいろな哲学
チェスターユナイテッド(イングランド)に
ていくことが大切です。アディダスブロンズ
バプールが十分なパフォーマンスを発揮でき
味方からのサポートも得られないという状況
が顕著になってきたと思います。アルアハリ
も在籍し、UEFAチャンピオンズリーグ優勝
ボールを獲ったのは②クリスティアン・ボラ
なかったからです。リバプールの第1試合サ
でした。MFとトップの間のギャップが空き
もそうです(図3、4参照)
。1-3-5-2、あるい
経験があります。その彼が今このチームで
ーニョスでした。ドリブルも強く、常に斜め
プリサ戦には、明確なフォーメーションがあ
すぎでした。攻撃は「バミューダトライアン
は1-3-4-3のどちらかを使っていました。一直
MFをやっているということに関して、私は
に入り込んできます。彼は今回の大会でも特
りました(図8参照)
。常にラインを押し上げ、
グル」が一つの攻撃起点としてアドバンテー
線のラインでプレーしている、2つのシステ
長年知っている選手ですが、MFでこういう
に光った選手の一人でした。
1
とにかくスペースをどんどん圧縮し、プレッ
ジになれるということでした。この3人のプ
ム、2トップと3トップの両方を使い分けてい
プレーをするとは思ってもみませんでした。
レーヤーによるところも大きいということで
ます。
でも非常にすばらしく、シドニーのキープレ
6
5
かなか興味深い側面です。こんなことが許せ
るのでしょうか。ホームであればできるのか
得点もし、まだ得点能力も衰えていないとい
2
17
14
12
もしれない、つまり国内リーグであればそこ
4
8
9
かもしれません(図1、2参照)
。
1
3
16
23
一番前線に長身でロングボールを受けるのが
非常にうまい⑮P・クラウチ、⑨D・シセも長
19
8
2
うところを見せてくれました。彼は今このポ
ジションでのプレーを楽しんでいると私は感
22
までの必要はないのかもしれませんが、ヨー
ロッパでこんなプレーをしたら大問題になる
ンプレーヤー、左サイドの⑥J・A・リーセ、
5
し主導的な役割を果たし、ゲームメイクとし
ても、すばらしい才能を発揮していました。
11
12
身です。そして⑧S・ジェラード、前線によ
く押し上げていたと思います。チームのモー
ターとして、うまくゲームメイクをしていま
した。サイドからクロスを上げてすばらしい
じましたし、シドニーも彼がいなかったらこ
得点シーンにつながりました。ボレーシュー
こまでは来られなかった、6位に終わってい
トも非常にすばらしかったと思います。
たかもしれません。
4
21
14
8
18
11
3
7
16
14
20
そして昨日の決勝ですが、非常に残念でし
1
図3.アルアハリ(vs アルイテハド)
・1-3-5-2/1-3-4-3
・7人で守備ブロックを形成。
・攻撃のトライアングルは完全に自由を与えられている
(バミューダトライアングル)
・Nハッサン・モスタファがDFとトップの間のリンクプレ
ーヤー。
・確実なパスプレー。
・前線でコンスタントにポジションを変えるが、あまり相
手の意表をつくことがない。
・CKの守備の際に、攻撃の3人は前線に残る。
19
12
22
2
3
15
10
図1.アルイテハド(vs アルアハリ)
・堅実な4バック。センターで空中戦に非常に強い。
・MF4人。Nサウド・ハソソがスクリーンプレーヤー。Rモハメド・
ノールがスピードあるドリブルでトップへ。Kチェコが「フリー」
、
Hマナフ・アブシュギールが豊富な運動量で動き、Kチェコを
カバー。ウイングでプレーするが、センターにも入ってくる。
・トップの③モハメド・カロンと⑦モハメド・ハイダルはポジション
をあまり変えない。
ロングボールの後サポートがないことが多い。
28
図6.サプリサ(vsシドニーFC)
・4バックがボールサイドへ効果的な移動。
・コンパクトなディフェンスブロック。相手の攻撃時には、
全員が自陣に戻る。
・DFからトップへロングボール
・確実なコンビネーションプレーからリズムを変える。
・Hワルテル・センテノがMFでチームにアイデアを与える。
・Bクリスティアン・ボラニョスがスピードのあるダイア
ゴナルドリブル 11
14
6
8
9
15
図8.リバプールFC(vs サプリサ)
・1-4-4-2 フォーメーション。
・チームのライン間の連携がよくとれている。
・2人のスクリーンプレーヤー
(Vシソコ、Nシャビ・アロンソ)。
・確実なコンビネーションプレー。Nが良い配球。
・Vシソコが効果的にボールを奪う。
・効果的なウイングプレー、クロス
・HS.ジェラードが右のインサイドでダイナミックなプレ
ー。
最も影響力のあるプレーヤー。
・ID.シセが運動量があり、テクニックがあり、運動能力
の高いプレーヤー。
・OP.クラウチが非常に長身のターゲットプレーヤー。
ロングボールを受ける。
・左右でロングスロー。
(5)サンパウロFC(ブラジル)
図5.シドニーFC(vs サプリサ)
・伝統的な1-4-4-2。
・プレーヤーは基本ポジションから柔軟に動く。
・4バックはコンパクトに前線に押し上げ。MFのスペースも
コンパクト。ボール保持者にプレッシャーをかける。
・SD.ヨークが攻撃の組み立てをコントロール。
・アウトサイドのプレーヤーは非常にアクティブ。
・FW プレーヤーはポジションをコンスタントにチェンジ。
・全般的に組織と組み立ては優れている。
12
なかったということで、彼の才能も生きなか
ったのです。これは監督が今後、検討してい
4
23
3
かなくてはいけないことだと思います。第1
11
試合は非常にバランスがとれていて、ライン
14
10
6
10
8
か? 監督に考えがあって采配をしているの
で、これを批判するわけにはいきません。た
を物語っています(図7参照)
。いわゆる従来
だ私自身が監督だったとしたら、それもこの
型の背の高いスイーパーがいて、2人がマン
クラブの世界一を決める決勝という重要な局
ツーマンマーク、このエリアで常にサポート
面で勝つ可能性があるときに、ベストなチー
しています。そして⑩ダニーロが非常にスキ
ムでいくはずだと思います。第1試合でうま
ルのある優秀な選手で得点チャンスを多くつ
く機能していたベストチームがあったのにそ
くり、クロスもよく入れていました。⑦ミネ
れを変えてしまった。同じチームのレベルと
イロは忙しく常にスペースをオープンにす
は思えなかったです。自分たちのリズムをつ
7
7
8
していた。しかし監督は5人も選手を変えた
サンパウロFCは、システム自体がすべて
2
14
22
間のリンクもよく、コンパクトなサッカーを
のです(図9参照)
。皆さんはどう感じました
FIFAクラブワールドチャンピオンシップトヨタカップジャパン
サンパウロFCvsリバプールFC©Jリーグフォト
(株)
21
22
た。というのは、まったく周りの選手が使え
2
4
23
17
シャーをかけていきました。2人のスクリー
ーヤーになりました。チームの他の選手に対
7
12
(6)リバプールFC(イングランド)
ことですが、こういうことを一つ一つ観察し
ったことに私はびっくりしました。これもな
います。
米の典型的なチームでした(図6参照)
。常に
べき選手でした(図5参照)
。FWとしてマン
に、自陣に戻らずディフェンスに参加しなか
何か見たときには、今度は自分に置き換えて
どうするだろうか、自分のチームだったらど
今回の国際試合で新たな側面が見えてきま
1
たのは、ある一つの側面なので、皆さんはこ
考えてみてもらいたいと思います。自分なら
トップに出し、攻撃的MFが走り込むという
すが、この攻撃の3人の選手がCKの守備の際
FCWC2005を見てきました。私が今日紹介し
こから考えていただければいいと思います。
11
はロングボールをディフェンスから⑱モハメ
ド・ノールや⑰イブラヒム・ソウェドらの2
6
7
12
22
くてはいけない、彼のためにお膳立てをいろ
なかった、これを果たして監督として受け入
以上、簡単なまとめということで
8
2
17
いをもって見ました。
4
5
14
はまた皆さんで議論していただければいいか
こういったプレーの結果が大したことになら
3
6
18
戦術的にやらなくてはなりません。このこと
いろとしなくてはいけない、その結果、彼の
ましたがそれは5・6位決定戦のことで、意味
2
19
4
5
1
3
●:リバプール
○:サンバウロ
図9.リバプールFC(vs サンパウロFC)
リバプールは緒戦から5人を変えて臨んだ。リズムをつかむ
ことができず、初戦のパフォーマンスとは比較にならなか
った。
サンパウロFCは、彼らがすでに試しているシステム1-3-52(スイーパー)で臨んだ(同じスタイルと組織、優れたゴ
ールキーパー)
29
スポーツの社会科学
サッカー文化論
(西村章一氏/※3)状況は、社会人にとっ
て、この頃のサッカーが「大会に備えて行
クラマーの「4つの提言」
と
日本サッカーリーグの誕生
©AGC/JFAnews
−アマチュアスポーツからプロスポーツへ−①
じゃないか」
(長沼健氏/※4)。
うだけの非日常的な活動」であり、日常生
「10月22日の雨中練習のときは、サッカ
活の一部にはなり得なかったことを物語り
ー記者にも連絡があって、昼間相娯園のク
ます。学生サッカーからは「引退」して
ラブ・ハウスで、クラマーが、日本サッカ
「OB」となり、本業を持つようになってい
ーの将来について、熱情込めた記者会見を
た社会人選手は、
「OBサッカー」の域を出
したんです。2年後のアジア大会のために、
ることはなかったし、アマチュアリズムの
今日から練習をはじめなければならん、今
中にあって、そこから逸脱することもでき
後もヨーロッパで国際試合の経験を積まな
ませんでした。
きゃならん、というようなことだったが、
■カップ戦とリーグ戦の比較
そのときはリーグのことが出ない。そこで
カップ戦
リーグ戦
ノックアウト方式
(負ければ終わり)
総当たり方式
(負けれも次がある)
短期間
シーズン中の
単発イベント
非日常的な行事
中塚義実(筑波大学附属高校教諭)
どうしてもやろうということが決まったん
長期間
シーズンそのものを
形成
日常生活の一部
移動を伴う
生活圏で行われる
主催者が運営
当事者による自主運営
記者側からリーグのことはどうしたんだ、
と質問したら、クラマーは、リーグについ
ての私の考えは、君たちはとうに知ってい
るはずじゃないか。それだのに日本のサッ
2006FIFAワールドカップ ドイツの組み合
わせが決まりました。いよいよワールドカ
であるだけでなく、
「日本スポーツの父」で
制したのは1960年の古河電工でした。そし
もあります。私たちはもっともっとクラマ
てこの年、西ドイツ(当時)西部地区の主
ーさんのことを伝えていく必要があるので
任コーチをしていたクラマーさんが来日さ
はないでしょうか(次ページ右下参照)
。
れます。
クラマーの「4つの提言」
て必要なのではないかと考えられた。
(3)底辺の拡大:トップコンディションの
っていた。ところがその夜には、リーグを
ゲームを毎週お客さんに見てもらうことは
実現することが決まったわけなんですね。
」
普及にも役立つ。
(牛木素吉郎氏/※5)
。
ここで述べられた「クラマーの4つの提言」
8チームのホーム&アウェーの場合、年間
14試合のうち7試合がアウェーで、日曜日
の試合のために土曜日の勤めを休んだとし
(1)国内のトップリーグを作ること
ても、年間7日休むだけです。これまでも、
(2)優れた指導者を養成すること。そのた
天皇杯に参加するチームは、集中開催のた
めの組織を作ること
クラマーさんの母国、ドイツで全国リー
運営をまかなっていくのがアマチュアとし
カー界はやろうとしないじゃないか、と言
は次のとおりです。
はじめに
©AGC/JFAnews
(3)代表チームを強化すること。そのため
めに一週間は休んだのだから、それと比べ
てもそう変わりはありません(JSLのチー
というわけで今回のテーマ設定になりま
天皇杯全日本サッカー選手権大会に初優
グ(ブンデスリーガ)が発足したのは1963
に欧州遠征を毎年行うこと
ムは天皇杯予選は免除とされました)
。東海
した。もっとも、ここで紹介するのは、ク
勝したとはいえ、純粋なアマチュアであっ
年です。意外に新しいと思われるかもしれ
(4)芝のグラウンドを作ること
道新幹線が東京オリンピックのときに開通
その前年である2005年は、
「日本における
ラマーさんが日本を去ってからの物語が中
た古河電工では、もちろん本業が優先です。
ませんが、それ以前から地域ごとにリーグ
ドイツ年」として、全国各地でさまざまな
心です。今から40年前にクラマーさんが残
当時の様子は次のコメントから分かります。
戦は行われており、地域のクラブからいく
行事が行われました。サッカー関連では
された「4つの提言」をきっかけに生まれた
「学生と社会人では圧倒的に練習量の差
つかのチームがレベルに応じたリーグに参
「日独サッカー交流展」が開かれ、
“日本サ
日本サッカーリーグの話は、アマチュアス
がありました。社会人は、土曜日の午後か
加することで、人々のスポーツライフが形
ッカーの父”デットマール・クラマーさん
ポーツからプロスポーツへと発展してきた、
日曜日、もしくは祭日にしか練習ができな
成されていたのです。
を囲んで、2005年11月13日・14日に「Jリ
日本サッカーの成長の物語です。
かったんですよ。練習するグラウンドもな
日本でも欧米のようなリーグを作ろうと
日立本社、三菱重工、古河電工の代表が集
くて、いろいろなところのグラウンドを借
いう動きがなかったわけではありませんが、
まり、設立準備委員会をつくることになり
り歩いていたんです。都市対抗の期間中だ
それが具体化するにはきっかけが必要でし
ました。その後、東海地区から名古屋相互
って働いていましたからね。私はその頃販
た。
「クラマーの4つの提言」は、タイミン
銀行と豊田織機が、関西地区からヤンマー
売部にいましたが、昼は営業で外を歩き、
グとしても絶妙だったと言えるでしょう。
が参加することとなり、初年度の8チームが
夜、都市対抗の試合に出るといった具合で
それは次のような場面で述べられます。
決まりました。当初、大学にも呼びかけま
ップイヤーですね。
ーグ百年構想シンポジウム」が、その前日
に「サロン2002公開シンポジウム」が開か
れました。80歳になるクラマーさんからは、
日本リーグ発足以前の
社会人サッカー
魂が込められた、熱い言葉をお聞きするこ
とができました。
シンポジウムの準備をしていて気になっ
明治維新以降に外来文化としてスポーツ
を受け入れ、普及と強化の担い手となって
した」
(長沼健氏/※1)
日本リーグのねらいと誕生
1964年12月25日に、東洋工業、八幡製鉄所、
「今にして思えば、東京オリンピックの
したが、毎年メンバーが変わるので秋にな
いたのは、大学などの高等教育機関でした。
この頃の社会人サッカーの大会は、都市
閉幕近く、もう試合は全部終わって閉会式
らないと戦力が安定しないことや、学校か
の名前を知らない(もしくは、名前しか聞
この流れを受けた学生スポーツは、長い間、
対抗と天皇杯のみで、いずれも短期決戦、
を待つだけのときだけど、10月22日に選手
らもらっている体育活動の予算を日本サッ
いたことがない)若い世代が増えているこ
トップレベルのサッカーの唯一の受け皿で
一カ所に集まっての集中開催、ノックアウ
村で、練習をやろうじゃあないか、という
カーリーグ(JSL)には使えないことなど
とと、サッカー以外の種目の方がクラマー
あり、大学卒業後は、たとえ日本代表選手
ト方式のいわゆるトーナメント(※2)の大
ことになった。日本のサッカーにとって、
から断念しました。
さんのことをあまりご存知でないというこ
であったとしても、本格的なサッカーの場
会でした。このため、当時の強豪である古
東京オリンピックがゴールインであっては
とです。サッカー界の方向性を示してくだ
には恵まれませんでした(「引退」して
河電工や八幡製鉄、東洋工業といったチー
ならん、これがスタートなんだ。それで雨
さったクラマーさんは、
「日本サッカーの父」
「OB」となる学校運動部“だけ”のスポー
ムが公式戦で対戦する機会はほとんどなく、
がじゃぶじゃぶ降る中を、千歳烏山の第一
(1)競技力向上:トップレベルの選手に日
ツライフは、いまだにこの状態にあるとい
大多数のチームは、年に数試合しか公式戦
生命相娯園グラウンドに行って練習をした。
常のトレーニングの目標を与え、激しい試
えるでしょう)
。企業内でも大学サッカーの
のチャンスがないような状況でした。
そしてその夜、代々木の選手村のミーティ
合の経験を積ませて国際試合への準備をす
日独サッカー交流展より。
中央が長沼健氏、右隣がクラマー氏、その右隣は岡野俊一郎氏/©AGC/JFAnews
「大会の半月くらい前から会社を休んで、
ングで、日本のサッカーを上昇させるには
の昼に試合をしたあと月曜日には出社でき
ます。
クラマーさんの提言から約2カ月後の
たことがあります。それは、クラマーさん
OBたちが集まって同好会的な活動を始めて
したので、広島や北九州のチームも、日曜
JSL発足のねらいは、次の3つに集約でき
るでしょう。
ること。
いましたが、天皇杯の歴代優勝チームから
がしゃがしゃと練習をしてコンディション
どうすればいいか、ということを話し合っ
(2)アマチュアスポーツとしての基盤の整
わかるように、大学や大学のOBも含めた混
を作りチームをまとめる。その他のときは
た。そのときクラマーさんが、いろいろな
備:会社員としての仕事を守りながら高い
成チームが、1960年代半ばまで優位に立っ
会社の仕事はするが、サッカーのためのコ
提案をした中に、リーグのことがあり、す
技術のスポーツを続けていける方法だとい
ていました。企業チームが初めて天皇杯を
ンディションというようなことは考えない」
ぐ翌年春からできるかどうかは別として、
うこと。ある程度、興行収入で自分たちの
こうしたことも、JSL発足の背景にはあ
ったようです。<次号に続く>
<引用・参考文献>
※1:
「日本リーグ強豪の歴史 古河電工」
サッカーマガジン19(12)
、1984年12月号
※2:トーナメント
(tournament)
とは、つづりに「tour」が
入っていることから分かるように、一カ所に集まって
勝者を決める大会のことで、負ければ終わりの「ノッ
クアウト・システム」や総当たりの「リーグ・システム」
といった大会形式とは無関係です。
※3:
「座談会、70年代の日本サッカーリーグ」、
日本サッカ−リーグ年鑑'70
※4・※5:
「座談会 日本リーグの発足と将来」
、日本
サッカーリーグ年鑑'66
デットマール・クラマー氏
プロフィール
1925年4月4日、西ドイツ・ドルト
ムント生まれ。1960年、第18回
オリンピック競技大会(1964/東
京)に向けた強化・指導にあたる
ため日本代表コーチとして来日。
以後、日本サッカーの強化、指導
© Jリーグフォト
(株)
者養成、ユース育成等の礎を築
き、
“日本サッカーの父”と称される。第19回オリンピ
ック競技大会(1968/メキシコ)では、アドバイザー的
役割を果たし、日本の3位に大きく貢献。1971年、勲
三等瑞宝章、1996年、日本サッカー協会75周年記念
功労賞受章、2005年、日本サッカー殿堂初代掲額者。
※D・クラマー氏のプロフィールは次ページ参照
30
31
年代別指導指針⑪ 10を
世界のトップ
目指して!
JFA技術委員会
U-12 まずはゴールを目指す!そのためのコントロール
ファーストタッチ(コントロール)∼U-12
時間とスペースがなくなってきている現代
とやいろいろなボール(浮き球やいろいろな
のサッカーにおいては、攻守の切り替えのス
角度から来るボール)を自分の思ったところ
状態でのコントロールなどです。
今回、紹介するトレーニングは、状況が変
ピード、プレー自体のスピード、判断のスピ
にコントロールできるスキルの獲得は非常に
化する中で自分の思ったところにコントロー
ードがますます要求されるようになってきま
大切になってきます。トレーニングでは、実
ルできるスキルの獲得を目指し、また、次の
す。その土台となるパーフェクトスキルをこ
際にゲームで起こる状況を切り取って反復す
プレーを意識したコントロールの獲得にフォ
の年代に身につけることが重要となります。
ることも大切にしていかなければいけませ
ーカスしていきます。
個人で状況を打開するために必要なドリブ
ん。例えば、ゴール方向の前方にスペースが
ルやスクリーン・ターンなどを身につけるこ
ある状態のコントロールや、相手を背負った
トレーニング1 パス&コントロール
ルール
・ は外の からグリッド内でボールを受
ける
・ は外から受けたボールをワンタッチでグ
リッドの外にコントロール(ボールを受けた
辺以外にコントロール)し、外の4カ所のどこ
かにパスする、パスをしたらそのステーショ
2005ナショナルトレセンU-12(東海)©AGC/JFAnews
ンに移動
・ もパスを出したら中のグリッドに移動
(ワンタッチしてパス)
イントロダクション
・ボールの数は2個→4個に増やしていく
・中のグリッドの大きさは時間とスペースを
「ボールコントロールは次の部屋に入る鍵だ。
この鍵さえあれば、サッカーというゲームではなんでもできる。
」
デットマール・クラマー
確保するために、はじめは大きめに設定する
キーファクター
●コミュニケーション:
今回から、ファーストタッチをテーマに、
次のプレーに移れるところにコントロール
トロールにストレスを感じないで自由にボー
レッシャーの中でプランのあるファーストタ
U-12・14・16と年代別に取り上げていきたいと
ルを扱うことができること。ボールコントロ
ッチをすることに関しての不足が挙がってき
思います。アナウンスしていますが、ここで
ールに自信があるから、ヘッドアップして周
ています。残念ながら国内の大会ではプレッ
の目的はトレーニングオーガナイズを発信す
りを観ることができる、そして判断をする。
シャーが甘く、ボールコントロールをしてか
ることではありません。オーガナイズは例と
また、その判断を直前で変えることが可能に
ら次のプレーを探している場面が多いと言え
他のボールや他のプレーヤーがいる中で
して示していきますが、選手としての完成期
なります。ただボールをうまくコントロール
ますが、世界のトップレベルではボールを受
状況の変化も観ながらスペースにコントロ
に世界で闘える選手になるために、何を年代
するだけではなく、次のプレーを成功させて
ける前にプレーを判断し、ボールを持った選
ールできるようにする
別に獲得させていくのかという考え方を理解
一連のプレーとなるわけです。その状況に応
手のOnのプレーに対して、Offの周りの選手
●良い準備:
していただき、年代が高くても低年齢での課
じた判断とファーストタッチを実践し、クリ
が素早く連携して攻撃を行っています。
題に問題があれば、そこに立ち戻ることをし
エイティブにプレーをしていくことが狙いに
てもらいたいと考えます。
なります。
ファーストタッチすなわちボールコントロ
また、現代サッカーはプレッシャーのある
ールは、ボールがOnでプレーをする初めに
中でのプレーおよび判断のスピードがますま
くる技術です。言い換えればこのプレーがう
す要求されてきています。JFAでは毎回、各
するためにはどこにパスがほしいのか、ま
た、誰からパスをほしいのか意思表示は不
可欠
●周りを観る:
ボールだけの関係から判断を変えられる
国内では見えてこない技術的な課題が世界
ようにするためのポジションはどこか。ま
トップレベルのプレッシャーからは浮かび上
た、身体の向きを変えるだけで見えるもの
がってきていることを、われわれコーチは認
が多くなる
識する必要があると思われます。
●コントロールの質:
ではどの年代でボールコントロールの技術
ボールコントロールにストレスがあって
まくいかなければ、次からのプレーがうまく
世界大会のTSG(テクニカルスタディグルー
は獲得されていくのか、そして年代別に何に
は、ギリギリで判断を変えることができな
いきません。つまり自分がボールをプレーす
プ)を組み、世界のトップレベルと日本のギ
フォーカスして指導していき、プレッシャー
い。左右両足のコントロール、アウトサイド、
る土台(基礎)になるプレーがファーストタ
ャップを分析しています。その中で、日本選
の中でもクリエイティブにプレーができる選
ッチであると言えます。
手もプレッシャーが甘ければボールコントロ
手を育成していくのかを考えていきたいと思
ではファーストタッチをどのように考えて
ールを正確に行い、クリエイティブなプレー
います。
いくことが必要なのでしょうか。ボールコン
を実行することができていますが、厳しいプ
32
インサイドのコントロールなど、さまざまな
コントロールができることが大切。また、外
のプレーヤーのコントロールの質も大切に
したい
33
トレーニング2 5対5 6ゴールゲーム
ルール
①コーン間をパスが通り、味方につながれば
得点
②コーン間をドリブル通過して、その後、パ
スが味方につながれば得点
※同じゴールを連続して通っても得点になら
ない
※グリッドの大きさ、ゴールの大きさはプレ
ーヤーのレベルによって調整する、狭すぎる
と判断する時間とコントロールするスペース
がなくなる
キーファクター
●ボールを簡単に失わない
・ゴールへの意識:
サッカーの本質であるゴールを奪う・ボ
ールを失わないことはいつも忘れてはいけ
ない
●良い準備(周りを観る)
・ポジショニング:
ゴールを奪うためにどこにポジションを
とったら良いのか気づかせる。ボールの移
動中でも状況の変化も観ることが大切
●ファーストタッチ:
ゴールをするためのコントロール、ボー
ルを失わないためのコントロール、どちら
の方向にもコントロールできる技術を身に
つける
●パスの質:
味方が次のプレーに移れるところにパス
を出すことができるか(スピード・角度・
タイミング)
●コミュニケーション:
パスの受け手がタイミングよく動き出す
ことも相手に対しての意思表示である。次
のプレーをお互いに共有するためのコミュ
ニケーションは大切である
2005ナショナルトレセンU-12(東海)©AGC/JFAnews
34
2005ナショナルトレセンU-12(東海)©AGC/JFAnews
J F A
P H Y S I C A L
F I T N E S S
P R O J E C T
JFAフィジカルフィットネスプロジェクト
©Jリーグフォト㈱
JFAフィジカルフィットネスプロジェクト
より効果的なフィジカル測定活用の
アイディア②
菅野淳(JFAフィジカルフィットネスプロジェクト)
ますが、ローパワーは「回復する」という
せるのが苦手なため、前半の20分過ぎの中
意味において非常に重要な体力要素の一つ
盤以降、または試合の後半にかけてガクッ
です。サッカーの試合の場面では、大半が
と運動量が落ちるのが特徴です。試合を決
グに落とし込むことは確かに難しい側面が
ジョギングやウォーキングです。それは、
定づけるのは瞬間的なスピードやパワーで
あります。しかし、アイデア次第で測定と
来るチャンスのときに100%ハイパワーを
あり、とても重要な体力要素ですが、それ
トレーニングをしっかりリンクさせること
発揮するために準備しているようなもので
を試合開始から終了まで発揮させるために
ができます。
す。このローパワーの低い選手は、試合開
もローパワーは必要であると考えられます。
トレーニングに落とし込む
フィジカル測定の結果を直接トレーニン
ローパワーを例にとって説明しましょう。
ローパワーは必要ないという言葉も聞かれ
始直後の数本のスプリントはこなせるけれ
ども、その後ATPやグリコーゲンを回復さ
ローパワーのトレーニングを行うときは、
グルーピングが重要になります。ただゆっ
35
J F A
P H Y S I C A L
F I T N E S S
P R O J E C T
くりとランニングをしているだけでは、そ
事実です。そこで、種目数を限定して行っ
のときの疲労回復には役立ちますが、ロー
てみてはいかがでしょうか。基本的に知り
次に、測定種目そのものをトレーニング
してみてはいかがでしょうか。ジョギング
が冷えないように、ステーションを多くし
そして最後に、測定種目をウォーミング
やストレッチングなどを十分に行った後、
パワーの向上にはつながりません。よりロ
たい体力要素は、スタミナ(持久)系、ス
て、ペアで測定・記録しても構わないでし
として実施することです。例えばスタミナ
アップとして取り入れてみることです。
これらの少々高い強度の種目を取り入れる
ょう。ぜひいろいろなアイデアを出して、
ーパワーを効率よく効果的にトレーニング
するためにはVMA(45-15法)による測定結
ピード系、パワー系、コーディネーション
系のトレーニングのついでに「今日のトレ
YOYOテストをウォーミングアップとして
ことによって、その後のボールを使ったト
フィジカル測定を身近なものにしてみてく
系の4つです。例えば、この4要素を測定す
ーニングはVMAだよ」とか、パワー系のト
導入してみる、あるいはアジリティテスト
レーニングにもスムーズに移行できること
ださい。
果が有効になります。測定結果より、おお
るために必要な代表的な測定項目は、
レーニングを行う日に「今日のトレーニン
をウォーミングアップの仕上げとして実施
間違いなしです。順番待ちが多すぎて身体
よそ2つないし3つのグループに分けること
YOYOテスト、50m(20m)走、バウンデ
グはパワー系中心でバウンディングを3種目
ができます。また、測定結果から最大酸素
ィング、シャトルラン、以上の4種目です。
測定しながらやってみよう」というように、
摂取量を算出して、その70%とか80%とい
これならそんなには負担にならないと思い
測定種目そのものをトレーニングとして行
う走速度を決定すればそれぞれのグループ
ませんか。もちろん他に知りたい項目があ
ってみるのもアイデアの一つではないでし
のトレーニングの強度を決めることができ
ます。
カテゴリー
測定日
を与えたら、いつまでたっても改善しない
のではないのか」という疑問を持つ指導者
N
の方も多いのですが、決してそのようなこ
身長
とはなく、選手に対して最適な走速度を設
U-13
U-14
U-15
U-18
05.08.23
05.08.23
05.04.14
05.02.20
体重
形態測定
ワーが改善されると断言できます。むしろ、
ローパワーが優れた選手と同じ負荷を与え
ょうか。
■2005年度実施測定 平均値の報告
「ローパワーが劣る選手に遅いスピード
定することにより、確実に効果的にローパ
ればそれに置き換えることも可能です。
体脂肪率
ドルパワーのトレーニングになってしまい、
22
27
30
172.8
175.2
177.6
55.2
62.3
66.5
70.2
14.0
13.5
12.2
除脂肪体重
−
50m
−
YOYO
てしまうと、劣っている選手にとってはミ
24
168.4
13.5
−
633.3
−
580.0
60.7
768.3
−
−
6.85
6.65
©Jリーグフォト㈱
©Jリーグフォト㈱
シャトルラン
12.2
11.7
11.9
−
ます。そして、ローパワーはまったく改善
アジリティ1
15.3
15.1
15.4
−
されずにただキツイだけのトレーニングに
アジリティ2
8.3
−
なってしまって、モチベーションまでもが
右1
28.8
−
40.7
−
右フリー
40.4
−
48.9
−
身長
0 150.1 58 157.3 316 162.9 265 167.8 96 169.2 123 170.6 144 171.5 55 168.7 8 173.1 8 170.2 12 176.0 1
左1
25.4
−
38.4
−
体重
0
左フリー
28.8
−
43.8
−
20m
4.1
3
3.9 65
3.7 323
3.6 254
3.5 72
3.4 148
3.3 160
−
50m
8.6
3
8.4 64
7.9 316
7.9 232
7.4 61
7.1 149
7.0 160
シャトルラン
15.0
3
3
目的の違ったトレーニングになってしまい
低下してしまう危険性があります。
Running
Long Kick
簡潔に行う
スロー
最後になりますが、フィジカル測定が重
要であることは重々承知でも、確かに時間
や場所、労力がいるのでなかなか取り入れ
られないという意見があることも確かです。
Jump
8.6
8.6
スローイン
15.3
16.5
17.2
SJ
28.1
31.5
32.5
■2005年度実施測定 平均値の報告
11
12
13
14
15
16
17
18
35.2
3.3 62
3.5 7
3.3 10
3.3 9
3.4 1
0
3.8 3
6.9 62
7.4 7
6.9 10
6.9 9
6.6 1
0
7.3 3
13.9 62 13.4 303 12.9 242 12.7 63
12.7 137 12.4 158 12.1 64
12.4 8
12.3 11
12.3 10
0
0
12.4 3
19.7 57 18.7 256 17.6 222 16.6 37
17.6 88
17.0 98
17.0 60
16.9 7
17.0 10
19.0 9
0
0
17.8 3
9.0 82
8.5 69
8.7 34
8.6 7
8.6 10
8.6 9
0
0
8.8 3
CMJ
32.4
36.6
37.5
39.6
アジリティ1
16.5
CMLA
28.5
43.1
44.7
48.8
アジリティ2
11.6
3
10.0 58
9.8 245
9.5 189
9.6 36
30.6
34.2
36.5
38.7
ロングキック右1
15.6
3
19.8 36 24.4 218 27.9 171 31.7 69
33.5 119 34.4 111 34.4 37
32.9 7
35.3 10
31.8 6
0
0
0
119.6
145.4
151.2
162.4
ロングキック右F
19.0
3
24.1 36 28.9 218 31.9 170 37.5 71
38.6 134 40.9 143 40.2 53
36.9 7
39.3 10
41.0 6
0
0
0
58.2
ロングキック左1
8.4
3
16.4 36 18.7 217 22.0 172 24.6 69
26.2 121 29.4 111 26.8 36
30.3 7
32.9 10
24.6 7
0
0
0
ロングキック左F
10.3
3
18.9 36 21.7 217 23.4 172 29.0 71
30.4 138 33.1 144 31.2 53
28.7 7
28.8 10
31.3 7
0
0
0
7.5
3
10.7 32 12.7 200 13.8 172 15.3 77
16.5 158 17.1 162 17.5 75
14.8 7
17.0 11
17.1 10
21.7 1
0
13.5 3
6.1 8
6.4 10
6.2 10
6.5 1
0
5.5 3
6.1 56
6.0 8
6.4 10
6.3 10
6.8 1
0
5.2 3
6.5 43
6.1 8
6.7 10
6.8 10
7.1 1
0
5.8 3
54.0 103 54.3 105 56.2 51
58.0 2
57.0 4
垂直跳び
右片足
6.04
6.79
6.21
−
左片足
6.11
6.83
6.31
−
スロー
両足
6.39
6.57
6.66
−
ホッピング右
0
4.6 48
5.1 219
5.5 171
5.6 20
6.1 72
6.2 120
6.1 55
反応
0.39
0.43
ホッピング左
0
4.6 48
5.1 219
5.6 171
5.6 20
6.0 72
6.2 120
1.83
バウンディング
0
5.2 48
5.8 218
6.0 187
6.3 34
6.2 85
6.4 120
3.12
垂直跳
0
39.7 43 44.5 202 48.7 168 51.8 43
0
83.1 16 70.9 104 88.7 101 80.6 37 106.4 45 113.1 88 115.3 39
0
16.6
いるクラブも少なくないでしょうから、た
Speed
−
−
10m
1.96
20m
3.37
56.8
−
−
1.86
−
1.90
−
だでさえ測定するのが大変なのに種目数が
40m
6.02
5.69
−
−
マルチステージ
多すぎるとうんざりしてしまうというのも
50m
7.37
6.98
−
−
45・15
36
0 171.8 3
72.8 3
け簡潔に行うことが大切です。なにか大そ
うことです。指導者一人で指導・運営して
32
0
で大切なのは、フィジカル測定をできるだ
始めに、測定種目の選定はシンプルに行
24
65.0 1
できないという意見もよく聞きます。そこ
は実にシンプルに行うことができます。
22
67.3 12
Total
Hop/Bounding
21
64.0 8
59.3 122 61.0 144 62.4 55
6J
ているかもしれませんが、やり方によって
20
59.5 8
40.5 58 45.5 314 50.1 263 56.6 96
試合が重なってしまい、1年に1回しか測定
れた大掛かりな仕掛けが必要なように感じ
19
平均 N 平均 N 平均 N 平均 N 平均 N 平均 N 平均 N 平均 N 平均 N 平均 N 平均 N 平均 N 平均 N 平均 N
4
15.4 16 18.0 21 18.5 11
18.5 48
19.2 39
20.4 9
54.1 9
0
0
0
92.2 5 101.3 3 125.0 1
0
0
0
17.8 7
0
1
0
0
18.1 4
20.0
37
日本女子代表チーム報告
ルスタジアムで固定式のゴールが設置し
ァーストタッチで前を向くことが徹底さ
てある。芝の状態は普通であった。他は、
れている。
試合会場の隣にあるサブグラウンドで行
前半は、コミュニケーション不足から
なでしこジャパンの第7回強化キャンプ(2005年11月10日∼16日)、
U-19日本女子代表のミャンマー遠征(2005年11月9日∼17日)の
報告をお送りします。
った。移動式ゴール、ミニゴールなどが
くるミスパスと不用意なミスから、得点
あり便利であった。ここでは、ミャンマ
には至らなかった。
ーの男子U-20代表がトレーニングを行っ
ていた。
い、カウンターに対するリスクマネージ
なでしこジャパン(キリンチャレンジカップ2005)©Jリーグフォト㈱
④気候
なでしこジャパン∼第7回
強化キャンプ(Jヴィレッジ)
【報告者】
大橋浩司
(日本女子代表
(なでしこジャパン)
監督)
■ キャンプを終えて
ンマー代表チームとの2試合を含めて、
3
全体的には、フィニッシュの精度から
後半はメンバーを入れ替え、攻撃から
守備に変わった際のポジション修正を行
メントを徹底した。
高温多湿であり、晴天続きであった。
チにおいてもオフ・ザ・ピッチにおいて
も選手にチャレンジすることを求めた。
攻守の切り替えは速くなったが、フィ
ニッシュの精度が低く、得点は1点を上
「経験」をテーマとして、オン・ザ・ピッ
⑤宿舎、食事
げたにとどまった。
ビュッフェスタイルの食事で、アジア
ユース年代の選手を見ていると、国内
各国の料理が並んでいた。選手が栄養の
<修正点>
では力を発揮することはできても、国外
バランスを考えながら食事を選択できる
●守備
シュートトレーニングでは、ペナルテ
に出ると力を発揮できなくなる選手が見
メニューであった。
今回のキャンプは、U-19日本女子代表
ィーエリア内でのワンタッチの精度、シ
られる。その要因は、食事の問題であっ
のミャンマー遠征と重なったこともあり、
ュートの精度について重点を置いた。ボ
たり、コンディショニングの問題であっ
メディカルルーム、ミーティングルーム
21名の選手を招集して行った。
逆算したトレーニングについて取り組ん
■ はじめに
1
だ。
・ファーストディフェンダーの徹底。
部屋は、2人部屋で特に問題はなく、
ールを失わないで、シュートに持ってい
たりする。この遠征においては、食事に
もしっかりと確保されていた。また、セ
ゲームで勝利するために何をすべきか
くためのパス&サポートも行った。特に
関しては、水についてはミネラルウォー
キュリティーが万全であり、移動に関し
をテーマに1年間キャンプを行ってきた。
ハイプレッシャー下においての個人の判
ターをお願いしたが、それ以外について
ては、常にポリスコントロールで動くこ
そのためには、ゲームにおける個々の判
断を強調した。
は積極的に食事をとることを選手に要求
とができた。
断が非常に重要になってくる。ゲームに
高校生とのゲームにおいて、相手の強
した。また高温多湿の環境下、どのよう
おいて個々の的確な判断・プレーを出す
さ・速さを消せるゲームを要求した。ゲ
にしたら自分のコンディションが維持で
には、チームのコンセプトが大切である。
ームでは、一つの判断・プレーのミスか
きるのか、メディカルスタッフの協力を
また、コンセプトがあらゆる状況に対応
ら失点する状況設定であった。毎試合得
得ながら、自ら取り組んでいけるようチ
できるようにするには、個々の技術・戦
点が奪えたことは成果であった。
ャレンジした。
術がベースになってくる。
また、ゲームにおいてのハードワーク、
遠征全体を通してみると、食事面やコ
そういう意味において、1年間取り組
勝利するための駆け引き(自チームのリ
ミュニケーション面に関しては、積極的
んできた個人技術・戦術のレベルアップ
ズムを保持するには、相手チームのリズ
に取り組んでいる様子が見られた。コン
は、今後もさらに要求していきたい。
ムを崩すには)などは改善しつつあるが、
ディショニングに関しては、メディカル
さらなるレベルアップが必要である。
スタッフから指導されたことを、帰国し
■キャンプのねらい
L・リーグ終了時なので、以前にけが
①コンセプトの確認
主導権を握る攻撃
アクションを起こすための積極的な守備
をしていた選手などは、左右の下腿・ふ
くらはぎの測定を行った。現在もけがが
②個々の戦術・技術の確認と、レベルアップ
③東アジア女子サッカー大会での課題の
修正フィニッシュの精度
ハイプレッシャー下でボールを
失わないプレー
早い攻守の切り替え
早い判断をするためのプレーの質の向上
■ スケジュール
AM
10日
11日
12日
13日
14日
15日
16日
38
てからも各自取り組むように促した。
■ 概 要
ちの選手も含めて、選手によっては左右
1.5∼2.5cmの違いが見られた。今後もさ
らにけがをする可能性が高いので、普段
2
①日程
日程については、11月8日∼17日に遠
のトレーニングでのケアが必要である。
征を行い、当初13日と15日の両日にミャ
また、今後の取り組むべきフィジカルト
ンマー代表と試合をする予定であったが、
レーニングも確認した。
相手国の要請により、15日の試合を11日
U-19日本女子代表チーム
ミャンマー遠征
【報告者】今泉守正(U-19日本女子代表監督)
②試合会場
●攻撃
求し、チャンスと観たら積極的に前線に
出ていくこと。前のプレーヤーを追い越
すプレーも要求した。
・前を見ること
3
・パススピードが弱い
<修正点>
・全体的に運動量の不足
●守備
■チームとしての狙い
・クロスに対する入り方
●コミュニケーション
自分の意志を伝える。仲間と相談する。
●チャレンジ
失敗を恐れるな
●ハードワーク
常に次の準備をしろ
・フィニッシュの精度
■守備のテーマ
「ゴールへの入り口をふさぐ」
●ファーストディフェンダーの徹底
●連動
●ブロックで動く
■攻撃のテーマ
「ゴールへの入口をさがせ」
●シュートから考える
●ボールを動かす
●人が動く
試合会場となったユーストレーニング
シュアップはできるが、背後への準
備が遅れる
2試合目(13日)
日本 4-0 ミャンマー
・状況に応じた相手の追い込み方
・アプローチ
・チャレンジ&カバー
初戦の修正点から、守備においてはフ
●攻撃
ァーストディフェンスの徹底とマーキン
・フィニッシュの精度
グの徹底を求めた。前線からの方向の限
・クロスの質
定と中盤のプレッシャーが功を奏し、相
・動き出しのタイミング
手の攻撃の起点をつくらせなかった。ま
・コミュニケーション
た、ボランチの2人のスペース支配がう
・クロスに対するポジショニング
まくいき、バイタルエリアをふさぐこと
ができた。さらにボールを奪うためにコ
■ 終わりに
ンパクトディフェンスをさらに意識し、
挟み込んで奪うことを習得したい。
1試合目(11日)
日本 1-0 ミャンマー
・ラインコントロールにおいて、プッ
4
この遠征を通して、今まで、U-19で招
攻撃においては、コミュニケーション
集してきたメンバーとすでに代表でプレ
をしっかりととりながら、お互いの要求
ーしている豊田奈夕葉、宇津木瑠美(と
を伝えること。バイタルエリアを攻略す
もに日テレ・ベレーザ)といった選手と
ることを指示した。
のチームとしての意思統一、どんな環境
PM
センターは、ホテルからバスで15分程度
日本は、3-5-2のシステム、ミャンマー
ボールを奪ってからの守備から攻撃の
下でも力を発揮できるたくましさを身に
フィジカルテスト・ゲーム
の所にあった。ピッチの状態は良好であ
は5-3-2のシステムでスタートする。主導
切り替えの点で、相手より上回り、中央
つけること、一人ひとりが自立した選手
った。
権は日本が握るものの、パスミスが多く
のプレーヤーへのパスがよく通り、ボラ
として、オンもオフも行動できることを
得点に至らない。ミャンマーは、守備的
ンチからの展開や、トップへのくさびに
求めた。
な戦術からボールを奪うと、カウンター
よるバイタルエリアのスペース支配がで
きた。
パス&サポート
ポゼッション&シュート
ゲーム
■ たくましい選手を目指して
1
守備
ゲーム
コンビネーション&シュート
ゲーム
宇津木瑠美(日本女子代表vsオーストラリア女子代表)©Jリーグフォト㈱
守備
・クロスに対する守備
・しかけることの不足
に変更することとなった。
2
パス&サポート
ポゼッション&シュート
■ ミャンマー代表戦について
特に声とアプローチスピードの徹底
・相手のビルドアップに対する前線の
今回のミャンマー遠征は、A代表選手
③練習会場
も含めて21名の選手が参加した(けがな
2カ所で行った。ホテルからバスで5分
をしかけてくる。2トップは、スピード
どのため2名辞退)。今回の遠征は、ミャ
のアウン・サン競技場は、昔のナショナ
があり、日本のDF陣を苦しめた。またフ
運動量を増やすことをゲーム前から要
できたところと改善を求めるところを
明確にして、アジア予選に向けてチーム
をビルドアップしていきたい。
39
2005JFA
スーパー少女プロジェクト
スタンディングへ段階を踏んで指導を行っ
面でとらえるといった点を意識させた。
た。常に下から側面を(地面に)着くこと
初めてのトレーニングで緊張の見られる
を意識させた。人工芝の上ということで選
選手もいたが、開始時のプレーに比べそれ
手に恐怖心もなくスムーズに入ることがで
ぞれの選手に改善が見られ、トレーニング
きた。投げるボールに対しても安全にボー
最後のゲームでは随所に良いプレーが見ら
ルをキャッチしてから倒れるといった形で、
れた。選手の吸収力の高さや、意識してト
今まで行ってきた構えからキャッチングの
レーニングに取り組む姿勢など意欲が感じ
流れがあるということも意識させた。そこ
られた。
でのキャッチングもローリングすることが
(3)増田亜矢子選手(TEPCOマリーゼ)ト
先にならずに安定したキャッチングをして
レーニング参加など∼18日午後
からローリングするといった良いプレーも
L1リーグ・東京電力女子サッカー部マリ
ーゼ所属の増田亜矢子選手(前ページ写真、
© Jリーグフォト㈱
第1回トレーニングキャンプ
2005年12月17日∼19日/Jヴィレッジ(福島県)
【報告者】
西入俊浩(ユニバーシアード日本女子代表GKコーチ)
□JFAスーパー少女プロジェクトとは
日本の女子サッカーの「U-15年代選手の発掘と育成」を目的に2004年からス
タートしたのが「スーパー少女プロジェクト」である。このプロジェクトでは現在、
世界と日本の間にもっとも差があると考えられるゴールキーパー(GK)
というポ
ジションに限定して行われているプロジェクトである。
この年代の現状として、続けるチーム・環境がないなどの理由により選手数
の急激な減少などが見られる。その中でサッカーを続けている選手の中には非
常に可能性を持ち、身体的なものや身体能力、GKの専門的な指導を受けるこ
とで著しく成長する選手が存在するのではないかと考えられる。そして、GKと
いうポジションはフィールドプレーヤーと同じような資質を求められるが、サッ
カーで唯一手を使える特性のあるポジションでもある。そういったことから、現
在または今までにサッカー競技を行っていない少女の中にも将来、可能性のあ
をとらえる位置、手の出し方・形、身体の正
る選手になるのではないかと考えられる。実際に昨年度の同キャンプには、バ
スケットボール・バレーボール・陸上といった他競技からの参加選手も見られ
た。また、2004年3回のキャンプの中でよりサッカーの楽しさやGKというポジ
ションに目覚めた選手もおり、その後の全国大会に出場し活躍した選手やU-17
日本女子代表に選ばれた選手もいた。
こういった将来の日本女子サッカー界を背負って立つ可能性のある"スーパ
ー少女"を発掘、育成を図り、GK強化、女子サッカーの普及・強化と総合的な
活性化につなげていくことを趣旨として2004年から立ち上げられたのが、
「JFA
スーパー少女プロジェクト」である。2005年度も今回のキャンプを含めて2006
年3月までに4回のキャンプを実施する予定である。
っている選手のハイボールに対しての良い
キャンプに参加した。
キャッチや、ゲーム中のプレーヤーの中で
3.総括と今後への展開
今回、2泊3日と短い期間ではあったが、
トレーニングの初めに増田選手の経験談
も随所にハイボールに対する良いプレーが
いろいろな部分でこのプロジェクトの成果
などを踏まえたレクチャー&質疑応答を行
見られた。また、シュートに対してローリ
が見られたと思う。初めて応募してきた選
い、トレーニングへと入った。ウォームア
ングダウンによってゴールを守るというプ
手を対象に今回のキャンプは行われ、まず
ップを選手と同じように行い、その後、選
レーも見られた。
はサッカーの楽しさ・GKの楽しさを感じて
手たちは増田選手のGKトレーニングを見学
した。一つ一つのプレーを正確に行う姿、
(5)フットベースボール∼19日午前
最終日には、2日間の成果やリラックス
もらう、基本的な技術の習得というテーマ
で行った。
トレーニングに取り組む姿勢、前日のトレ
も踏まえてフットベースボールを行った。
ーニングで指導されたことを実際のトップ
ウォームアップの中にロングスローを入れ
はあったが、選手自身それぞれに良い成果
選手がプレーしている姿を間近に見ること
たり、ロングキックなどを入れてから、ゲ
があったのではないかと思う。経験者は今
ができ、選手たちは非常に良い刺激を受け
ーム開始となった。比較的ゲームの中でキ
まで得た技術に、さらに細かい部分にも目
たと思う。
ックの飛距離の出る選手、狙いを持って蹴
を向けてトレーニングに取り組んだ。未経
る選手も見られた。未経験の選手も、ある
験者はすべてが初めてづくしであったと思
程度ボールを蹴ることができた。また、守
うが、サッカーの楽しさ、GKの楽しさなど
基本姿勢・キャッチングとおさらいをし
備面でも前日にハイボールを行ったことも
を感じられたのではないかと思う。また、
た中で、新たにハイボールのキャッチング、
あり、ボールの落下地点に入りキャッチす
最初のゲームではできなかったプレーが、
クロスに関してトレーニングを行った。実
るといった良いプレーも見られた。キャッ
トレーニングでコーチからの指導を受け、
際に増田選手のクロスボールのトレーニン
チできなくても落としたボールをすぐキャ
最後のゲームでは随所に良いプレーとして
グを見た後で、選手たちは良いイメージの
ッチしてスローしたり、自分に向かってき
見られる場面があった。
中でトレーニングを行えた。しかし、片足
たボールを後ろにそらすことなく、しっか
での踏み切り、ボールをとらえる位置、ジ
りと自分の身体の正面でボールをとらえる
今回のキャンプでも選手によって大きくレ
などのプレーも見られた。
ベルの差が見られた。今後の展開としては、
(4)ハイボールキャッチ・クロス・ローリ
ングダウン∼18日午後
さなどが見られた。キャッチングと同様に
(6)その他∼コミュニケーション
経験者・未経験者それぞれレベルの違い
2004年度のキャンプでもそうだったが、
そういったことも踏まえて、2004年度のキ
身体の正面でキャッチすること、コーチが
各トレーニングのウォームアップ中にコ
ャンプ参加者や今回のキャンプで何名かい
持っているボールに対してのボールへのア
ミュニケーションの要素を含んだものを入
た将来に可能性が期待される選手たちを対
1990年4月2日以降 生まれの少女、③【身長】
キック力(右・左)
、スローインについて測
プローチなどとグループによって時間をか
れた。今回初めてサッカーに触れる選手、
象としたトップレベルグループでのキャン
170㎝以上、④【50m走】8.1秒以内とした。
定を行った。
けてじっくりと指導を行った。
キャンプといった宿泊でのトレーニング、
プ、継続してのビギナーグループなどのグ
また、一部のグループではローリングダ
全国各地から集まり初めて出会う選手、小
ルーピングでのキャンプを検討し、考えて
ウンのトレーニングも入れ、導入段階とし
学5年生∼中学3年生と幅のあるカテゴリー
いかなくてはならない。
てボールを抱えての状態で、長座∼膝立∼
など。難しいと思われたが、ピッチの上で
参加選手24名のうち、18名がサッカーを
第1回目のトレーニングキャンプの参加選
行っている選手(13名がGK)
。それ以外は
手は、全国からの応募(自己推薦)によっ
水泳・陸上・バレーボール・ソフトボール
て選出された、U-15(小学5年生∼中学3年
といった他競技の選手が6名であった。
生)の選手24名(都合により1名不参加)
最後のハンドパスゲームでもゴールに入
前例中央)も、ゲストプレーヤーとして同
ャンプしてキャッチする際のバランスの悪
1.参加選手たち
© Jリーグフォト㈱
見られた。
初めてサッカーを競技として行う選手は、
(2)シュートストップ(基本姿勢・構え・
キャッチング)∼18日午前
初めは構えることもせず、来たボールを
また、今回のキャンプで行った個人面談
ただキャッチするといったプレーや、ぎこ
も、オフの部分でも選手同
の中で地元に戻ってのトレーニング環境、
ちない構えからキャッチするといったプレ
士が打ち解けて、良い雰囲
次のカテゴリーへの進路などサッカーを楽
しめる環境、GKとしてプレーできる環境な
である。2004年度の同キャンプ参加者から
スパイクを履く、GKグローブをつけること
ーが目立った。その中でどのような構えを
気となっていた。また、夜
の応募も多く見られたが、今回は初応募選
も初めてで、他の選手に聞いたり、教え合
すればあるいは準備すれば、スムーズにボ
のミーティングや増田選手
どいろいろと調査でき、選手一人ひとりの
手のみを集めて実施した(今年度、同プロ
ったりといった中でのキャンプスタートと
ールをキャッチすることができるかを意識
への質問などもしっかりと
状況を把握できた。このあたりも踏まえて、
ジェクトの趣旨の一つとしてビギナーグル
なった。
させて、手の置く位置、スタンス、重心、
自分の意見を述べたり、積
今後、選手へのサポート体制や今回の反省
構えるタイミングなどを重点において指導
極的に発言・質問したりと
点を生かし、第2回目以降のキャンプでのト
をした。その中で、次にボールをキャッチ
いった積極性も見られた。
レーニングの方向性などを検討していかな
するという重要なプレーへとつなげた。良
ゲーム中でのチームミーテ
くてはならない。近い将来の日本女子サッ
い準備・構えができ、いざキャッチとなる
ィングでもいろいろな意見
カー界を背負って立つ可能性のある「スー
と恐怖心から身体が後ろへ下がってしまった
があり、プレーする部分以
パー少女」を発掘・育成していく強化とと
り、ボールを挟み込んでキャッチしたりとい
外での選手の積極性や意欲
もに、普及・活性化といった面でも重要と
う選手が見られた。キャッチする際のボール
の高さが見られた。
なるプロジェクトとなるように・・・。
ープとトップレベルグループに分けて実施
するという点から)
。今後の第2回目以降で
2.今回のキャンプにおける成果
2004年度の参加選手や、今回参加した選手
をグルーピングして、キャンプを実施して
いく予定である。募集した参加資格は、①
将来のなでしこジャパン(日本女子代表)
のGKを目指す意欲のある少女、②【年齢】
40
(1)身体測定・フィジカルテスト・スキル
テスト∼17日午後
身長、握力(右・左)
、垂直跳び、立位体
前屈、反復横跳び、30m・50mスプリント、
© Jリーグフォト㈱
41
Fly UP