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三菱東京UFJ銀行 経済調査室ニューヨーク駐在情報 The Bank of
三菱東京UFJ銀行 経済調査室ニューヨーク駐在情報 The Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ, Ltd. Economic Research Group (New York) Toshiki Iwaoka 岩岡聰樹 Managing Director & Chief Economist +1 (212)782-5701, [email protected] May 4, 2012 No.17 雇用の減速は想定通り (前月比、千人) 非農業部門雇用者数は 3 ヶ月連続で伸びが鈍化 本日公表された 4 月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+11 万 5 千人、民間 雇用者数が同+13 万人となり、ともに 3 ヶ月連続で伸びが鈍化した。 業種別には(第 1 図)、製造業の伸び 第1図:非農業部門・民間雇用者数の推移 300 運輸・倉庫 が前月の同+4.1 万人増から今月は同+1.6 万人へ低下したのが目立つ。非製造業セ 250 教育・医療 クターは同+11.6 万人と、前月の同+12.8 200 娯楽・宿泊 万人から小幅の減速にとどまったが、今 150 専門ビジネ 年 1~2 月頃の約 20 万人増ペースと比べ スサービス 100 小売業 るとかなりスローダウンした状況が続い 50 卸売業 ている。非製造業の内訳では、運輸・倉 0 庫の減少と娯楽・宿泊及び教育・医療で 製造業 -50 の減速が目立ったが、専門サービスの伸 建設業 びと、2・3 月に減少となった小売業が増 -100 10 11 12 (年) 加に転じたことで相殺される形となって (資料)米国労働省統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 いる。 失業率は 8.1%と前月から 0.1%低下。就業者数は減少したものの、労働参加率低下の影響 がより大きく出た。週平均労働時間は 34.5 時間で前月から不変、賃金は前月比+0.0%、前 年比+1.8%と前月から伸びが低下し幾分弱めの内容となった。 雇用減速は必要なスピード調整 既に当レポートで指摘してきた通り、ここ数ヵ月の雇用の減速は想定通りの動きである。 昨年末から今年初にかけた雇用の増加ペースは、需要(産出)のペースを上回っており、 持続性が無いためだ(次頁第 2 図)。政策効果により成長率を 3%レベルへ押し上げること BTMU Focus USA Topics May 4, 2012 Page 1 FRB は動きにくい 今後の金融政策を占う上で注目された雇用統 計だが、FRB が様子見スタンスを続ける材料と しかならないであろう。雇用は緩慢ながらも回 復が続いているほか、失業率も低下が継続して いるためである。バーナンキ議長は先月の FOMC 後の記者会見で「失業がもはや改善して いないと判断されれば、それは政策オプション を検討するうえで重要な意味を持つ」としてい る。 足元の失業率低下は、労働参加率の低下によ るところが依然大きく、実態として労働市場の 回復力が強まっているわけではないが、もし失 BTMU Focus USA Topics May 4, 2012 (前年比、%) 4 2 0 -2 実質GDP成長率 -4 非農業部門民間雇用者数 -6 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 (年) (注)雇用者数の直近値は2012年4月実績。 (資料)米国労働省統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 6.0 採用者数(左目盛) 25 NFIB・中小企業雇用計画(右目盛) 20 5.5 15 5.0 10 4.5 5 0 4.0 (増加-減少、%) 第3図:中小企業の雇用スタンスと採用者数 (百万人) 注目は中堅・中小企業の雇用スタンス 緩やかな雇用回復を続けるうえでポイン トとなるのは、これまで雇用を牽引してきた 中堅・中小企業の雇用スタンスである。企業 の採用者数が低水準ながら緩やかな回復傾 向にあることは以前にも指摘したが、これは NFIB(全米独立事業者協会)が公表する中小 企業楽観度指数の雇用計画と概ねパラレルに 動いている(第 3 図)。 同指標はこのところ低下傾向が鮮明になっ ているが、今後、振れを均してみて回復基調 が途切れないかには注視が必要だろう。仮に 頭打ちになるようであれば、上述した雇用の スピード調整という側面だけでなく、内需を 中心とする緩慢な景気回復への懸念や、今後 の財政政策の不透明感などが重石になってい る可能性を検証する必要が出てくる。 第2図:実質GDP成長率と雇用者数 6 -5 3.5 -10 3.0 -15 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 (年) (注)民間ベース。 (資料)労働省、NFIB資料より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 第4図:労働参加率の推移 68 67 66 (%) が出来ないのであれば、景気回復を続けるう えである意味必要なスピード調整と言える。 逆に、月間+10 万人台前半程度の緩やかなペ ースであれば、今後も回復持続が期待できる であろう。 65 64 63 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 (年) (資料)米国労働省統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 Page 2 業率の低下が遅すぎるとして FRB が追加措置に踏み切るには、これまでの失業率低下の背 景や構造失業に関する FRB の見方をまず修正する必要があるだろう。 以 上 当資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、金融商品の売買や投資など何らかの行動を勧誘する ものではありません。ご利用に関しては、すべてお客様御自身でご判断下さいますよう、宜しくお願い申し上げ ます。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、当室はその正確性を保証するもので はありません。内容は予告なしに変更することがありますので、予めご了承下さい。また、当資料は著作物であ り、著作権法により保護されております。全文または一部を転載する場合は出所を明記してください。 The information herein is provided for information purposes only, and is not to be used or considered as an offer or the solicitation of an offer to sell or to buy or subscribe for securities or other financial instruments. Neither this nor any other communication prepared by The Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ, Ltd. (collectively with its various offices and affiliates, "BTMU") is or should be construed as investment advice, a recommendation to enter into a particular transaction or pursue a particular strategy, or any statement as to the likelihood that a particular transaction or strategy will be effective in light of your business objectives or operations. Before entering into any particular transaction, you are advised to obtain such independent financial, legal, accounting and other advice as may be appropriate under the circumstances. In any event, any decision to enter into a transaction will be yours alone, not based on information prepared or provided by BTMU. BTMU hereby disclaims any responsibility to you concerning the characterization or identification of terms, conditions, and legal or accounting or other issues or risks that may arise in connection with any particular transaction or business strategy. While BTMU believes that any relevant factual statements herein and any assumptions on which information herein are based, are in each case accurate, BTMU makes no representation or warranty regarding such accuracy and shall not be responsible for any inaccuracy in such statements or assumptions. Note that BTMU may have issued, and may in the future issue, other reports that are inconsistent with or that reach conclusions different from the information set forth herein. Such other reports, if any, reflect the different assumptions, views and/or analytical methods of the analysts who prepared them, and BTMU is under no obligation to ensure that such other reports are brought to your attention. BTMU Focus USA Topics May 4, 2012 Page 3