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北海道支部通信 - 日本山岳会北海道支部

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北海道支部通信 - 日本山岳会北海道支部
日本山岳会
108
2015年11月10 日発行 第
号
北海道支部通信
公益社団法人
日本山岳会
北海道支部
支部長
西山泰正
WEB「日本山岳会北海道支部」で検索 http://jac-hokkaido.com/
[事務局]〒 003-0026 札幌市白石区本通 1 丁目南 2-38 [事務局長]藤木俊三 E-mail: [email protected]
恒例のお月見山行は函館山と袴腰岳で
函館山 10 月 24 日
文:鈴木幹 写真:藤木俊三・鈴木貞信
札幌からバスチャーターの予定でしたが、参加人数の
関係でマイカーに変更になりました。札幌を出発する頃
から雲行きは怪しく、途中から雨が強くなり、今日の山
行は中止では?との不安を持ちながら、集合場所の昆布
館に到着。現地は小雨でしたが、函館のリーダーさんか
ら、予定の庄司山に行くのは登山道がぬかるみで無理と
の説明があり、登山道の良い函館山に変更。
ロープウェイ駅近くのレストランで函館の街を一望しな
がらの昼食。雨も上がり、日が差し始め、何コースもあ
る中から、一般コースとは違う宮の森コースを選んでい
登山口にて
ただき、13:50 登山口着。
スタートして黄色い濃淡の紅葉の中、ミズナラ、カシワ、
シナなどの落ち葉を踏みしめながら真っすぐ伸びた杉林
を抜け、14:30 に七曲コース着。ここから七曲コースで
すが、「実際には 27 曲がりあります」との説明に「これ
は大変」と思ったものの、曲がりを数えながら所々にあ
る番号標識と照らし合わせているうちに、標高差 170m
を登り切り、地蔵山見晴台に 15:00 着。ここからは、
晴れていると下北半島や津軽半島が見えるのですが、今
日は立待岬と津軽海峡の海しか見えませんでした。
(2 面に続く)
【目次】
◉創立 50 周年記念式典のご案内…………… 3
◉雪崩講習会のお知らせ…………………… 4
◉ 2016 山スキー山行のお知らせ………… 5
◉第 6 回岩登り研修報告…………………… 6
◉支部合同会議報告………………………… 8
◉全国支部懇談会開催のご案内…………… 8
◉スケッチクラブ “ 定天 ”を描く……………… 9
◉北海道山岳団体交流会報告……………… 9
紅葉の汐見山コースを下る
◉『夏山登山教程』出版記念祝賀会に出席して… 10
編集・レイアウト:田中健
日本山岳会北海道支部通信
(1 面からの続き)
次の千畳敷からの眺めは、絵葉書にある湾に挟まれ
た函館の街を、夜景の様子と重ねて見ることができ、野
ブドウの青紫、グミやツルリンドウの赤い実に迎えられ、
下山の汐見山コースには、黄色に混じって赤やオレンジ
の紅葉が多く見事でした。
この一周 5㎞ 2 時間 10 分のコースには、幕末当時
の戦いの跡の建造物やその時代に関わった人々の碑もあ
り、歴史の重みを感じる山行にもなりました。心地よい
秋の山を満喫し 16:05 登山口着。下山後小雨に当たり
ましたが、今夜の懇親会を楽しみに宿へと向かいました。
袴腰岳 10 月 25 日
袴腰岳の山頂で雪が降り出した
林で眺望がよく、右後方に雁皮山、右前方(東)に三森山、
左後方に庄司山、遥か南方に下北半島がかすんで見える。
文:横川政行 写真:藤木俊三
雪がちらついたり、雲間から日がさしたり、天候が目まぐ
前日宿泊した湯の川温泉・大黒屋旅館を 6:15 にス
るしく変わる。三角山 889 mに到着する。ここで帯広の
り、7 時にアメダス登山口に到着する。若干の降雪もみ
後、お別れをする。少し下り、コルを過ぎると、急な登
タートする。赤川町、新中野ダムを過ぎ赤井川林道に入
方 3 名と他 2 名の計 5 名が下山するので、集合写真の
られ、防寒の服装で登山に入る。
りとなったが、一気に登りつめ頂上に到着する。さらに
松葉が適当なクッションとなって足に優しい。30 分ほど
まで往復し、レーダー基地のある横津岳などの景色を堪
700 m余の尾根に出る。低い笹とブナとダケカンバの疎
われるように早々と集合写真を撮り、下山とする。下りは、
トドマツが主体の林の中の緩やかな登りで、落ち葉と
5 分進むと、眺望の良いピークがあるということで、そこ
で第 2 登山口、さらに 30 分ほどで樹林帯を抜け、標高
能する。頂上で昼食を摂るが、雪が降り出し、吹雪に追
刈られた笹が濡れていて滑ったが、1 時間 50 分ほどか
けて全員無事下山する。
晩秋の寒さと降雪にめげず、函館市最高峰に登頂でき
て充実した山行だった。お世話下さった函館の皆様、本
当にありがとうございました。
* * *
○ 参加者 CL 野納邦昭、A 班 L 横川政行、
B 班 L 三戸部清文、C 班 L 土屋繁、
今田美知子、海川敏雄、大崎勝子、片岡次雄、神埜和之、
佐生冠治、助田梨枝子、鈴木貞信、高橋武夫、竹内正明、
田島祥光、燕美乃、西山泰正、平田健三、藤木俊三、
八木橋貞美、鈴木幹、稲垣正策(懇親会のみ参加)
吹雪の中の下山となった
日本山岳会北海道支部
2016 年 新年交流会
【日時】2016 年 1 月 13 日(水)18 時〜 21 時
【場所】ルーム白石 札幌市白石区本通 1 丁目南 2-38 秀岳荘白石店裏
【会費】2,000 円位 【申込締切】1 月 8 日(金)
【申込先】藤木俊三事務局長 TEL:090-1642-2725
E-mail:[email protected]
2
2015 年 11 月 10 日発行 第 108 号
公益社団法人 日本山岳会北海道支部
創立
50 周 年 記 念 式 典
日時
2015 年
12 月 12 日(土)
式典◉ 15:30 〜 16:20(15:00 開場) 祝宴◉ 16:30 〜 19:00
会場
ロイトン札幌
式典◉ 2F リージェントホール 祝宴◉ 2F ハイネスホール
札幌市中央区北 1 条西 11 丁目 TEL : 011-271-2711
地下鉄東西線・西 11 丁目駅 1 番出口より徒歩 3 分
行事内容
【式典】
❖支部長式辞 ❖来賓挨拶 ❖祝電披露
❖ 50 周年報告
50 年のあゆみ◉オホーツク分水嶺踏査報告◉ 50 周年目の事業報告
【祝宴】
❖鏡開き ❖祝盃 ❖新会員・会友の紹介
❖テーブルスピーチ ❖プレゼント抽選会
【特別企画】
❖ 50 周年記念品贈呈 ❖スケッチクラブ作品展示 ❖会員著書販売
会費
6,000 円
(支部会員、会友、会員会友)
二次会
「つる」
(南 1 条西 5 丁目敷島南 1 条ビル B1F)で開催
【申込締切】11 月 27 日(金)
【申込方法】出欠、お名前、会員・会友番号、電話番号を、添付 word ファイル
あるいはメール、電話、FAX にて下記宛てにご連絡ください。
【申込先】今田美知子会員 E-mail:[email protected]
TEL・FAX:011-899-3536(留守録可)
3
日本山岳会北海道支部通信
ビーコン操作講習会と雪崩講習会のお知らせ 事業担当:鈴木貞信
❶ビーコン操作講習会 2015 年 12 月 11 日(金)
【日時】12 月 11 日(金)10:00 ~ 12:00
【場所】札幌・中島体育センター前敷地(札幌市中央区中島公園 1-5 /地下鉄南北線・幌平橋駅下車)
※なるべく公共交通機関利用のこと
【講習内容】初心者対象および 2 つの埋没ビーコンの捜索方法
【装備】ビーコン、プローブ、シャベルを持参。※ビーコンのない方は 4 台まで貸し出し可
【募集】15 人 【申込締切】11 月 27 日(金) 【申込先】鈴木貞信雪崩研修委員長 ※連絡先は下記
●雪崩講習会 山スキーをする方、冬山に入る方は受講してください
【講習内容】机上講習:雪崩発生のメカニズム、雪崩危険予知と行動判断、各種テスト方法と観察、コンパニオンレスキュー
実地講習:ピットテスト、雪崩に対する危険度判断、ビーコン捜索、コンパニオンレスキューなど
【装備】ビーコン、プローブ、シャベル、スノーソー(できれば)、筆記用具、講習会テキスト、観察カード、15 倍ルーペ、
山スキー(シール含)あるいはスノーシュー(③のメムロスキー場リフト乗り場ではスキー着用)を持参。
※ビーコンのない方は貸し出しますが、冬山に入る方はできるだけご持参ください。
【参加費】テキストを持っていない方はテキスト代 1500 円+観察カード代 200 円がかかります。
③帯広・北網地区と④函館地区で宿泊希望の方は別途宿泊費がかかります(各地区の項参照)。
※会員外の方は各自傷害保険に入っていること。希望される方にはご紹介します。
❷札幌地区 2016 年 2 月 20 日(土)~ 2 月 21 日(日)
【募集】20 人 【申込締切】2 月 5 日(金)
【申込先】鈴木貞信雪崩研修委員長 ※連絡先は下記
【日時】2 月 21 日(日)8:00 ~ 15:45
【場所】藻岩山スキー場横東斜面
(札幌市南区藻岩下 1991)りんゆう観光事務所集合
※車の方はスキー場第 3 駐車場利用のこと
実地講習
机上講習
【日時】2 月 20 日(土)13:00 ~ 18:20 【場所】りんゆうホール
(札幌市東区北 9 条東 2 丁目 りんゆう観光 3F)
❸帯広・北網地区 2016 年 2 月 13 日(土)~ 2 月 14 日(日)
実地講習
机上講習
【募集】15 人 【申込締切】1 月 22 日(金)
【申込先】鈴木貞信雪崩研修委員長 ※連絡先は下記
【日時】2 月 13 日(土)13:00 ~ 17:20 【場所】芽室南地区コミュニティセンター
(芽室町西 2 条南 6 丁目 1)
【日時】2 月 14 日(日)8:00 ~ 14:30
【場所】新嵐山スキーリゾート・メムロスキー場
(芽室町中美生 2 線 42)
【宿泊】福井旅館(芽室町西 6 条 9 丁目 1)1 泊 2 食付 5,000 円(暖房費別・飲み物などは各自持参)
❹函館地区 2016 年 1 月 23 日(土)~ 1 月 24 日(日)
実地講習
机上講習
【募集】15 人 【申込締切】12 月 25 日(金) 【申込先】海川敏雄会員 ※連絡先は下記
【日時】1 月 23 日(土)13:00 ~ 17:20 【場所】北海道立森少年自然の家・ネイパル森
(森町駒ヶ岳 657-15)
【日時】1 月 24 日(日)8:00 ~ 14:30
【場所】グリーンピア大沼周辺
【宿泊】ネイパル森 1 泊 2 食付 2,200 円
【申込方法】氏名、年齢、住所、電話番号、宿泊希望の有無(❸❹のみ)を明記して下記宛にお申し込みください
【申込先】❶❷❸:鈴木貞信雪崩研修委員長 TEL・FAX: 011-372-3687 携帯:090-5988-1839
E-mail: [email protected]
❹:海川敏雄会員 TEL・FAX: 0138-52-1473 E-mail: [email protected] 4
2015 年 11 月 10 日発行 第 108 号
2016 年 山スキー山行のお知らせ 事業担当:岡田秀二
今シーズンの山スキー山行の予定をお知らせします。参加希望者は下記要領でお申し込み下さい。
なお、雪崩講習会未受講者 ( 机上講習のみの方を含む ) は、今年度支部主催の雪崩講習会の受講をお願い致
します。また、受講済みの方も今年の受講をお勧めします。 ❶ 1 月16日(土)◉ 朝里川温泉スキー場 リフト利用 ( 一日券 2,900 円、60 歳以上 2,500 円 )
【集合場所・時間】スキー場センターハウス 9:00 【申込締切】1 月 8 日(金)
❷ 1 月27 日(水)◉ イワオヌプリ 五色温泉コース 登り 1 時間 下り 40 分
60歳以上 3,800 円 )
28 日(木)◉ ニセコ HANAZONO リゾート リフト利用 ( 一日券 5,100 円、
【集合場所・時間】五色温泉別館駐車場 10:00 【申込締切】1 月 20 日(水) 【宿泊】五色温泉別館 素泊まり@ 5,000 円 自炊共同食(夕食・朝食)
55歳以上 3,800円 )
❸ 2 月11 日(木)◉ 星野リゾート トマムスキー場 リフト利用 ( 一日券 5,400円、
【集合場所・時間】ザ・タワー 9:30 【申込締切】2 月 4 日(木)
❹ 2 月24日(水)◉ 狩勝山 登り 2 時間 30 分 下り 1 時間
25日(木)◉ サホロリゾートスキー場 ゴンドラ利用 ( 一日券 5,000 円、60歳以上 4,000 円 )
【集合場所・時間】狩勝峠駐車場 ( 富良野から帯広に向かって右側 ) 10:00 【申込締切】2 月 17 日(水)
【宿泊】未定
❺ 3 月 5 日(土)◉ 白井岳 北斜面 登り(ゴンドラ利用後)3 時間 30 分、下り 1 時間
【集合場所・時間】札幌国際スキー場スキーセンター 8:30 【申込締切】2 月 27 日(土)
※都合により予定を変更する場合がありますのでご了承下さい。
【個人装備】ヘルメット(全コース推奨)、三種の神器、スキーシール、スキーアイゼン(❷❹❺)
【申込方法】締切までにメールまたは FAX 等で下記宛に、氏名・年齢・住所・携帯電話番号・車両№をご連絡ください
【申込先】岡田秀二会員 E-mail:[email protected]
TEL:090-8895-5913 FAX:011-375-4142
山スキー・メーリングリスト
山スキー山行についての情報をメーリングリストで配信します。登録を希望される方は、上記岡田会員宛に
メールアドレスをお知らせください。なお、昨年登録されている方は自動継続致しますが、登録を解除した
い方、アドレスを変更された方はご連絡ください。 北海道
雪山ガイド
最新版
北海道の山メーリングリスト編
山スキーやスノーシューで登れる北海道の雪山コースを、3D マッ
プやグレード表を交えてわかりやすく紹介して大好評の「雪山
ガイド」に、4 年ぶりの増補改訂版が登場。日高、知床の山など
17 コースが新たに加わり、448 ページと 50 ページ以上も増ペー
ジ。当支部の会員も編集・執筆を担当しています。
北海道新聞社刊
B6 判/ 448 ページ/オールカラー
定価:本体 2300 円+税
5
11 月 28 日発売
日本山岳会北海道支部通信
第 6 回(最終)岩登り研修報告[赤岩]
文:植田拓史 写真:京極紘一・田中健
10 月 13 日に行われるはずだった今年最後の岩登り
研修だが、事前の悪天予報のため 15 日に延期。7 名と
少人数ながら、延期の甲斐あって秋晴れの青い空と海、
美しい紅葉を眺めながらのクライミングとなった。
いつも通り赤岩峠の駐車場に集合し、京極リーダー率
いる益田、佐藤、植田の東大壁チームと沼崎リーダー率
いる鈴木、田中の不動岩稜チームに分かれて行動開始。
東大壁チームは佐藤ルートを目標に定め、京極と植田、
益田と佐藤というコンビでロープを結びあって登攀開始。
1P、京極さんがロープを伸ばしていくが抜口のホール
ドが悪い箇所で冷たい強風に手が凍えて力が入らず、無
理せず下降、植田がトップ交代。久しぶりの外岩で余
裕なく、岩にしがみつくようにずり上がる。ヌンチャクも
掴みながら微妙なところを越え、立木と残置スリングで
セルフビレイ。京極さんも上がり、二人でほっとひと息。
後続は益田さんが危なげなくリード、フォローの佐藤さ
んもスムーズに登る。あっという間に追いつかれてしまっ
たので、2 ピッチ目に取りかかる。
2P、通称八の字クラック。15m と短いが、通常カム
海をバックにテーブルリッジを登る鈴木会員
手のかかりも良く、簡単にクリアできるかと思ったが、中
などを使用するのだろうか、残置ハーケン、リングボルト
間で数少ないランニングビレイを取った後、だんだんと
など中間ビレイ点が少ない。二本あるクラックの右側は
バランシーな登りになる。ここまでフルパワーで登ってき
た疲れ、ザックの重み、ブランクによる余裕のなさ、墜
落した場合の落下距離による精神的プレッシャーなどが
一気に押し寄せる。呼吸が浅く早くなり、側壁に突っ張っ
た左足が震えてくる。誰に聞かせるでもなく「駄目かもし
れない」という言葉がもれる。焦りながら何度も右手、
左手の位置を直し、バランスを崩さないように体を持ち
上げる。クラックの出口に体を押し上げると終了点、ケ
ミカルアンカーが見えて力が抜ける。終了点はテラス状
になっており、海岸線までスッパリと切れ落ちた高度感、
東大壁の迫力が身に迫る。
3P、京極さんがトップで行く。難易度は前 2P よりは
落ちるようだが正直余力がなかったので有難い。京極さ
んは楽しむようにゆっくりと登っていく。完全に姿が見え
なくなってほどなく、海風に乗ってかすかにビレイ解除の
コールが聞こえる。上方から自分を確保してくれている
安心感をかみしめながら、最終ピッチを一手、一歩ずつ
登っていく。後ろには、トップ交代した佐藤さんがすぐ後
ろに登って来ているのが見える。
傾斜がゆるくなった奥に京極さんが確保してくれている
のを見つけ、近づいたところで後方から大きな声が聞こ
える。壁の下からなので姿は見えない。落石か、滑落か、
東大壁・八の字クラックをリードする植田会員
6
2015 年 11 月 10 日発行 第 108 号
内容はわからなかったが、切羽詰まった声に聞こえた。
その後、声が止んだので二人とも無事だろうと思い、ロー
プを回収していると佐藤さんが現れた。聞けば我々と少
し違うルートを上がったところで岩が剥がれ落ち、あわ
やビレイしている益田さんに当たるところだったそうだ。
体には当たらなかったものの、横にまとめておいたメイン
ロープを直撃し真っ二つに切断、その回収などに時間が
かかったとのこと。益田さんに直撃していたら、あるい
は佐藤さんと益田さんの間のロープが切断されていたら、
と考えるとぞっとする。本当に無事で良かった。最後は
窓岩を望みながら踏み跡をたどって遊歩道へ出た。
一方、沼崎グループは不動岩稜に取り付いたが、海か
反省会の様子
てもらい、指導してくれた講師の方々に感謝」
(植田拓史)
ら吹き上げる冷たい強風に1P で断念してテーブルリッジ
「東大壁での落石は、正直楽しいだけだった私の岩登
に移動。こちらは不動の稜線に風が遮られていて快調に
リッジをクリアして、頭頂で待つ京極パーティーと合流し、 りに、当たり前にあるはずの『厳しさと怖さ』の片鱗を
赤岩での研修を終えた。
見せつけられた。決してなめていた訳でないが、その圧
えおか」
)でコーヒーを飲み、肉まんを食しながら、14
竜也)
倒的な迫力に、少しの間震えが止まらなかった」(佐藤
終了後は小樽市地獄坂の「地獄坂文学資料館」
(旧「す
「研修日が平日なので現職の会員が参加できないとの
時から16時まで反省会を行った。
声も聞く。土曜・日曜も組み込んでは?」(一鐡巌)
最初に講師の沼崎さんから、「今年度の岩登り研修は
などなど色々と話題は尽きなかったが、夏の登攀だけ
火曜日に6回組んだが、天気の巡り合わせが悪く、イン
ドアが3回、赤岩が2回、中止が1回となってしまった。 でなく冬のアイスクライミングの研修や夏の穂高岳での
最終は 10 月 13 日が雨の予報のため延期して本日行っ
合宿など前向きな話や、京極さんのカフカズでのビッグ
テーブルリッジを登攀して、今年度の岩登り研修の最後
てしまった。
成果が現れてきた」と講評があった。
○アシスタント 京極紘一、益田敏彦
たが、秋晴れの良い天気に恵まれ、東大壁と不動岩稜、 クライミングの話なども出て、あっという間に時間が過ぎ
○講師 沼崎勝洋
を飾ることができた。若い世代が着実に力をつけるなど
○参加者 鈴木貞信、植田拓史、佐藤竜也、田中健
「スケールが大きく難しい東大壁を研修の最後に登れ
○反省会のみ参加 一鐡巌 てよかった。高度感のあるビッグルートをトップで登らせ
「ヌプリ」46 号 原稿募集
2016 年 4 月に支部報「ヌプリ」46 号を発行します。紀行文やエッセー、山の歴史や評論などの原稿
をお寄せください。下記担当者にお問い合わせの上、1 月 31 日までに原稿をお送りください。
[担当]田中健 TEL:090-4225-2786 FAX:011-621-6849 E-mail:[email protected]
「日本山岳会関西支部八十年史」
北海道支部への寄贈図書
「JAPANESE ALPINE NEWS Vol.16 2015」
B5 判/ 218P/ 2015 年 5 月/日本山岳会関西支部
B5 判/162P/2015 年/ The Japanese Alpine Club
「近畿分水嶺踏査」
「寒冷の系譜 北大山岳部九十周年記念
海外遠征史 1926 〜 2016」
B5 判/ 92P/ CD-R 付/ 2015 年 5 月/日本山岳会関西支部
B5 判/402P/ 2015 年 5 月/北海道大学山の会
「山の履歴簿 山と人の関わり」渡辺隆 編著
第一巻 北海道南西部 456P/2013 年 4 月
第二巻 北海道中央部 412P/ 2015 年 6 月
DVD「北大山岳部創立九十周年記念
映像で見る海外遠征史」
3 枚組/ 2014 年 6 月/北大山岳部・北大山の会
A5 判/北海道出版企画センター
7
日本山岳会北海道支部通信
平成 27 年度 支部合同会議報告
文・写真:藤木俊三
9 月 26 日(土)
、27 日(日)に、東京・四谷で平成
27 年度支部合同会議が開催されました。全国の支部の
支部長、事務局長と本部役員等が一堂に会し、会務報
告や意見交換をするこの会議に、当支部からは西山支部
長と事務局長の私・藤木が出席しました。全国 32 支部
と本部の役員、事務局関係者を合わせると出席者は 90
名近くという、総会に次ぐ規模の会議です。
日本山岳会が直面する大きな課題は、会員の減少
と高齢化、それに伴う財政の悪化です。2000 年度に
5990 人だった会員数は 2014 年度年度には 5036 人
に減少、一方平均年齢は 59 歳から 67.8 歳に上昇、
永年会員など会費免除の会員が増えたこともあって会費
収入は 1500 万円以上も減少しています。経常収支は
会議には 90 名近くが出席
部のブロック化が提案されました。全国 32 支部を 9 つ
2013 年度がおよそ 700 万円の赤字、前年度も 600
万円の赤字ということで危機的な状況です。
のブロックに分けてグループ単位で各支部が協力して講
任の小林政志会長(小樽生まれ、札幌南高校出身)か
です。ちなみに北海道支部は 1 支部1ブロックというこ
従来の「会員増強・財政基盤検討」
「収益事業・会員サー
業をやってきたこともあり、「あえて新たなグループ化が
な形で会の活性化を考えていこうというものです。
異論も出ました。ともかく支部ブロック化の具体的な事
化」と「Youth Club の強化」です。それによって若い
われます。また本部では、来年からスタートする「山の日」
演会や研修会、登山会などの事業を推進するというもの
こうした事態を受け、会議の冒頭であいさつした、新
らは、
本部の特命委員会として「日本山岳会再生委員会」 とになり、従来通りです。ただ、複数の支部がブロック
を立ち上げたことが報告されました。この再生委員会は になる東北や九州の支部などからは、これまでも交流事
ビス」の 2 つのプロジェクトチームを統合し、トータル
必要なのか」「屋上屋を架すことにならないか」などの
会長が再生の柱として挙げたのは「支部事業の活性
業の進め方についても再生委員会で討議されるものと思
にからめた事業を各支部、各ブロックで積極的に進めて
正会員を増やし、会費収入を増やしていこうという狙い
会員増強につなげていきたい考えのようです。
です。さらに本部からは、支部事業の活性化策として支
第 32 回全国支部懇談会[新潟]開催のご案内
【日時】2016 年 4 月 9 日(土)〜 10 日(日)
【会場】岩室温泉 ゆもとや(新潟市西蒲区/上越新幹線・燕三条駅より車で約 30 分)*無料送迎バスあり
【主催】公益社団法人 日本山岳会越後支部
【日程】4 月 9 日(土)◉開会式 ◉講演会「弥彦山の植物」石澤進氏/「山・人・酒」平田大六氏
◉交流会 ◉二次会
4 月10 日(日)◉親睦登山 A コース 弥彦山塊縦走コース 標高差 494m 約 5.5h 定員 35 名
B コース 弥彦山・旧裏参道コース 標高差 520m 約 4h 定員 65 名
C コース 弥彦山塊周遊コース 標高差 122m 約 4h 定員 35 名
【参加費用】16,000 円(1 泊 3 食付/二次会・親睦登山込)
【申込締切】12 月 12 日(土)
【申込方法】北海道支部で取りまとめて申し込みます。下記宛てに、氏名、住所、自宅電話番号、携帯電話番号、
親睦登山の希望コース(第二希望まで)をお知らせください。
【申込先】藤木俊三事務局長 TEL:090-1642-2725 E-mail:[email protected]
8
2015 年 11 月 10 日発行 第 108 号
スケッチクラブ「定山渓天狗岳を描く」
文・写真:芳賀淳子
10 月 10 日、スケッチクラブの今年最後となる秋のス
ケッチ会は「定山渓天狗岳を描く」でした。
当日は晴天、10 時に八剣山果樹園前の駐車場に集合
した8名は、
「定天」のよく見える別の駐車場まで移動し、
紅葉、黄葉に彩られた岩肌の凛々しい姿に感動しながら、
絵筆を動かすこと2時間、満足してスケッチを終了しまし
た。西本果樹園に場所を移し、たわわに実るリンゴの樹
の下でお弁当をたのしみ、今度はリンゴ園と「八剣山」
を取り合わせてのスケッチに熱中しました。リンゴ、クリ、
マルメロなどをお土産に 15 時、帰路につきました。
○参加者:東一男、金子由美子、杉本拓子、川原勝利、
外山知子、芳賀孝郎、芳賀淳子、和田享子(会員友人)
リンゴの樹の下でスケッチ
重廣恒夫監事、芳賀会員宅を訪問 文・写真:田中健
前関西支部長で北海道支部会友でもある重廣恒夫
監事が 9 月 1 日、札幌市中央区の芳賀孝郎会員宅を
訪問し、旧交を温めた。
107 号に掲載した群別岳への山行を終えた翌朝、
西山支部長、田中会員とともに白石ルームから芳賀宅
へ。元副会長の芳賀さんとはかねてより親交のあった
重廣さんだが、自宅訪問は初めて。元ハガスキー社
長の芳賀さんが自宅 2 階に作ったスキー博物館を見
学し、近所にお住まいの北大山の会の中村晴彦氏も
交えて歓談。
芳賀淳子会員が世界最高峰エベレスト=チョモラン
り南西壁にも挑んだ重廣さんが、求めに応じてサイン
マを南北両面から描いた絵に、北壁の初登攀者であ
をするというひと幕もあった(写真)。
2015 年度 北海道山岳団体交流会報告
文:藤木俊三
年に一度、道内の山岳関係の9団体が集まって意見を
団体の道央地区勤労者山岳連盟の長水洋会長による開
月 8 日(木)に札幌・丸井今井デパート 10 階のレスト
して開宴、その後各団体から活動報告がありました。
当日は超大型の台風 23 号が北海道に接近し、札幌
月に開催する旨を報告し、各団体代表に式典出席を要請
会の挨拶のあと、当支部・西山支部長の音頭で乾杯を
交換し親睦を深める「北海道山岳団体交流会」が、10
西山支部長からは、支部創立 50 周年記念式典を 12
ラン「メインディッシュ」で開かれました。
市内でも最大瞬間風速 30.5㍍を観測する大荒れの天気
しました。また、山の日制定にからめたボランティア事業
日本山岳会北海道支部、札幌山岳連盟、HAT-J北
の協力を呼びかけました。山のトイレを考える会からも
山のトイレを考える会、北海道道央地区勤労者山岳連盟
山岳ガイド協会の酒井理事による締めの乾杯のあと、
開会の直後、2009 年に始まったこの交流会の発起
さつして、嵐の夜の交流会は和やかなうちにお開きとな
でしたが、北海道山岳連盟、北海道勤労者山岳連盟、 としての廃道復活、笹刈り等の登山道整備への各団体
海道支部、日本ヒマラヤ協会、北海道山岳ガイド協会、 同様の提案がありました。
(今年度主管団体)の 9 団体から 33 名が出席しました。 来年度の主管団体、札幌山岳連盟の堀内副会長があい
りました。
人的な存在で、4 月に黒岳で亡くなった当支部の植田惇
慈元副支部長を偲び、全員で黙祷を捧げました。主管
9
日本山岳会北海道支部通信
増子麗子会員が会長を務める北見の山岳会「クー
ラカンリ」が「夏山登山教程」を出版した。ク―ラカン
リ(7554 m)は、私の山仲間・平井一正氏(日本
山岳会名誉会員)が総隊長を務めた神戸大学西蔵
学術登山隊が 1986 年に初登頂したチベットの山で
ある。今回私たちは平井一正氏にお供して 10 月 31
日、北見・黒部ホテルでの出版記念祝賀会に出席し
た。私は祝賀会で以下のような挨拶をした。
この「夏山登山教程」は内容が充実した見事な
登山教程書である。この一冊を読み、それを実行
したならば、
安全な夏山
登 山を楽し
『夏山登山教程』出版記念祝賀会に出席して
文:芳賀孝郎 写真:長谷川雄助
むことが可能
一 度の事 故も
なく安全登山に
成功している。
私はこの「夏
山登山教程」が平井一正氏の山歴にあやかって登
になると思う。地方の山岳会がこのような夏山登
山者に幸運をもたらたすことを祈る。
山教程を出版するケースは少ないと思う。しかも
山岳会の名称は「クーラカンリ」と地方山岳会に
はない国際的な大胆な名前である。クーラカンリ
記念祝賀会では多くの方々と交流を深めた。その
てこの登山教程が出来上がったと思う。
してもらった。1952 年(昭和 27 年)、京大山岳部
た。平井一正氏は 1958 年のチョゴリザから、サ
とともに、私たちもしばし山々に見入っていた。
して 2003 年のルオニイまで、5回の遠征で4回
○出席者(当支部関係) 芳賀孝郎、長谷川雄助、
翌日増子氏に知床連峰が間近に見える場所まで案内
とは「天帝の峰」という意味で、天帝の恵みに依っ
今回京都から平井一正氏に出席していただい
ルトロカンリ、シェルピカンリ、クーラカンリ、そ
厳冬期知床連峰初縦走隊のメンバーであった平井氏
芳賀淳子、京極紘一、吉野勝夫、田中清子
の初登頂を成功させた。且つ半世紀に及ぶ遠征で
夏山登山教程
山岳会「クーラカンリ」編 芳賀孝郎 監修
増子麗子・有光泰之・奥村由樹子・工藤笑子・斉藤美穂・濵名二三子 著
内 容
1. 登山の目的 2. 登山の装備 3. 登山の栄養と食事
好 評
4. 応急手当 5. 山の気象と荒天対策 6. 登山計画 7. 登山技術研修会 8. 対外協力 9. 登山施設の利用
発売中
10. 救助要請 11. 環境保護 12. 夏期登山
13. 集団登山 14. 主な夏山登山コース 15. 山の風景・動物・植物
株式会社あいわプリント刊 A5 判/ 174 ページ/定価 本体 2000 円+税
*秀岳荘、Amazon 等で入手できない場合は増子会員(TEL:090-6266-0396)までご連絡ください
[ 日本山岳会北海道支部創立 50 周年記念事業募金 ]
11 月 9 日現在の募金総額 1,468,000 円
【9 月 26 日以降にご寄付いただいた方のお名前】
10,000 円 ❖ 花島徳夫、別所武 3,000 円 ❖ 石田要久 (敬称略・順不同)
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