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帰化アサガオ類の 地域全体への まん延を防止するための ほ場周辺管理

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帰化アサガオ類の 地域全体への まん延を防止するための ほ場周辺管理
農林水産省委託プロジェクト研究
「気候変動に対応した循環型食料生産等
の確立のための技術開発」成果
帰化アサガオ類まん延防止技術マニュアル
帰化アサガオ類の
地域全体への
まん延を防止するための
ほ場周辺管理技術
Ver.2
(独)農業・食品産業技術総合研究機構
中央農業総合研究センター
2011年11月
ほ場周辺でアサガオのような雑草を
見かけたことはありませんか?
これらは外国から侵入した帰化雑草で
帰化アサガオといいます。
輸入
外国の雑草種子が
混ざっている飼料
雑草種子が
混ざっている飼料
雑草の侵入まん延経路
堆厩肥
から?
雑草侵入
運搬中に
落下? 種子生産
・まん延
広げるのは
農業機械?
人? 水?
侵入初期の多くは
ほ場周辺で発生して
います。ここで防除し
ないと・・・
ほ場内や地域
全体でまん延したら
防除がますます困難
になります!
帰化アサガオの
地域全体へのまん延を防ぐには
ほ場周辺の管理が重要です
-1-
ほ場周辺の帰化アサガオは
種子を作ってほ場内や
地域全体に広がっていきます
侵入初期に適期に防除
し、種子を作らせないで
下さい。
大豆畑に入り込むと、
除草剤が効きにくく、
つるが大豆にまきつくの
で、防除は大変困難にな
ります。
大豆を押しつぶす帰化アサガオ
帰化アサガオは気温が高いほど生育がよく、温暖化によって
分布域や被害の拡大が予想されます。
-2-
地域全体へのまん延を防ぐには
種子を作らせないことが重要です
花が咲いたら直ちに防除!
畦畔や農道脇などで見かけたら、
種子を作らせないように
開花・結実前に防除することが重要です。
ほ場周辺では、刈り取りや
非選択性茎葉処理除草剤で防除します
結実前に年に3回は必ず防除!
1回目の防除:6月上旬
2回目の防除:8月中旬
3回目の防除:9月下旬(茨城県つくば市の例)
帰化アサガオ類の
生育と要防除時期
防除
防除
防除
×
×
×
霜
4月
5月
6月
7月
8月
9月 10月 11月
※帰化アサガオ類は4月から10月まで長期にわたり発生し
て開花・結実するので、年1回の防除では不十分です。
-3-
こんなところが要注意です!
マルバルコウが繁茂した大豆畦畔
ホシアサガオが繁茂した水田畦畔
マルバルコウがからみついた道路と水路の間のフェンス
-4-
防除方法と注意事項
刈り取りによる防除
【注意点】
・再生防止のために地際から刈り取るか抜き取る
・種子の後熟防止のために刈り取った株を放置しない
5cmの高さで
刈り取っても…
刈り株の節からつるが伸び、
1週間後には1m近くになりま
す。
刈り取り
株
未熟種子が
入っている緑色
の果実
3週間後、果実は茶色
く乾燥し、中に完熟種
子ができています。
開花後に刈り取って放置すると、緑色の果実の中の未熟
種子が後から熟して発芽力のある種子になります。
-5-
除草剤は使用上の注意を
よく読んで、登録内容に
従って使用して下さい。
非選択性茎葉処理
除草剤による防除
【注意点】
・グルホシネート液剤(バスタ液剤)等が有効
・上の方の葉や先端だけでなく株元まで十分かかるよう
に散布する
・周りの作物にかからないように散布する
下の写真はグルホシネート液剤(500ml/100L相当)を
から下に散布した時の1週間後の状況です。
先端だけ
に散布
株元に
散布
株元に散布すると先端まで枯
れます。
先端だけに散布すると
かかったところだけ枯れて
株元の方は枯れません。
葉が重なっている時は、株元ま
でかかるようにていねいに散布
する必要があります。
-6-
帰化アサガオの種類と特徴
ほ場周辺で問題となっている帰化アサガオは、ヒルガオ科で
サツマイモの仲間ですが、花が次々と咲き、種子で増えます。
原産地は熱帯および温帯アメリカです。つる性で気温が高い
ほど生育が旺盛になります。
すでに日本に数種類が侵入しています。発生が多いのは、関
東以西ですが、東北地方でも確認されています。
温暖化によって
分布域と生育量が
大きくなることが
予想されます
サツマイモの葉
マルバアメリカアサガオ (アメリカアサガオ
の変種で葉に切り込みがない。その他の
形質は変わらない。)
葉やつるやガクに毛が多い。
子葉の切れ込みは小さく丸みをおびる。
ガクはつぼみの頃から先端が細長く大きく
反り返る。
花は赤~青色と様々で直径約3cm。
アメリカアサガオ
-7-
マルバルコウ
葉に毛がない。子葉の切れ込みは小さく丸みをおびる。
花はオレンジ色で直径約1.5~2cm。
ホシアサガオ
マメアサガオ
葉に毛があるがめだたない。
子葉の切れ込みが深くとがっている。
花はピンク色で直径約1.5~2cm。葉
から飛び出して咲くように見える。
葉に毛があるがめだたない。
子葉の切れ込みが深くとがってい
る。葉の縁が紫になりやすい。
花は白色、まれにピンク色で直径
約1.5~2cm。
-8-
帰化アサガオを侵入初期に
防除してまん延を防ぎましょう
ほ場周辺においても密度が高くなると、防除が困難になりま
す。侵入初期の防除が有効です。
帰化アサガオは条件がよいと一株で数千~数万粒の種子を
作ります。種子は寿命が長く、土の中で何年も生きていて、水
田にしても死にません。ほ場周辺をよく観察し、帰化アサガオ
を見つけたら、種子ができる前に防除してください。
ほ場内に侵入したら防除がますます困難になります。土壌処
理剤や選択性茎葉処理剤が効きにくく、つるがまきつくため機
械除草も困難です。
帰化アサガオを地域全体にまん延させないため、侵入初期
に種子を作らせないタイミングでの防除が重要です。
大豆畦畔からほ場内へ侵入するマルバルコウ
参考となる資料
(独)農研機構 平成21年度研究成果情報(共通基盤・雑草部会)
・温暖地での帰化アサガオ類の出芽開花結実時期に基づく圃場周辺の要防除時期
・温暖地以北の大豆畑における帰化アサガオ類の発生状況と被害内容
大豆ほ場内における防除マニュアルも作成予定です・・・
-9-
 本資料は農林水産省委託プロジェクト研究(気候変動対策プロ)
「気候変動に対応した循環型食料生産等の確立のための技術開発」
の成果に基づいて作成されました。
 「帰化アサガオ類の地域全体へのまん延を防止するためのほ場
周辺管理技術」およびその関連情報は、農研機構中央農業総合
研究センターのホームページに掲載しています。
 本資料についての問い合わせは下記にお願いします。
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構
中央農業総合研究センター
雑草管理担当 澁谷知子・黒川俊二
〒305-8666 茨城県つくば市観音台3-1-1
TEL : 029-838-8481(代)
E-mail : [email protected]
警戒種リスト
オオブタクサ
-大豆畑への侵入が危惧される雑草形態・特徴
同定のカギ
北米原産の帰化植物。高さ3~6mにもな
る。茎も葉もざらつく。葉は対生で,葉柄は長
く,葉身は20〜30cmとなる。葉身は掌状に3
〜5裂し,クワの葉に似る。
・葉がクワの
葉に似る。
・高さ3~6m
の大型草種
花は雌雄別につく。雄頭花は枝先に青く長い
花穂となり,黄色の筒状花からなる。その基
部に単生または塊状に雌頭花がつく。
果実は硬化した総ほうに包まれた偽果で,
倒卵形で長さ5〜10mm,中央に2〜4mmの
先が尖った嘴状の突起が1個,そのまわりに
4〜8個の嘴状の突起があり,王冠のような
形である。種子生産量は5000個/株以上とい
う報告がある。
全国各地で分布が確認されている。
種子で繁殖する。土中の種子寿命は21年に
も及ぶ。
出芽深度は、2~16cm。春からだらだら発生
する。成長が速く他の作物や雑草を競合で抑
圧する。7月中旬より開花・結実する。
種子散布様式は不明だが、アレチウリと同様
に水系で拡散しているようである。
雑草害
主に河川敷などでまん延している。肥沃で湿った場所を好む。
密生すると95%の光を遮る。飼料用トウモロコシ畑では初期生育で完全に抑圧され、収穫
不能になるケースがある。大豆畑への侵入事例はまだ多くないが、生育速度の速さから初
期の競合が深刻になると考えられる。
2012.6.11
2012.7.5
トウモロコシ畑に一面に発生
Ver.1.
お問い合わせ
(独)農研機構
中央農業総合研究センター
雑草管理担当
澁谷知子・黒川俊二
〒305-8666
茨城県つくば市
観音台3-1-1
029-838-8481(代)
[email protected]
防除のポイント
すでに2mを超えるオオブタクサ
水系で種子が移動し拡散している可能性が高い。水田輪作地帯では地域全体に急速
に拡散することが懸念される。少数でも見つけたらすぐに防除し、地域全体へのまん
延を防ぐ必要がある。
花期が7月中旬以降であることから、それ以降種子を付けさせないことが重要。
トウモロコシではアトラジン、トプラメゾンの効果が高い。大豆作では効果が期待できる
土壌処理剤や選択性の茎葉処理除草剤はほとんどない。
写真:上から、「出穂期」、「芽生えと幼植物」、「被害トウモロコシ畑」。
-1-
Ambrosia trifida
オオブタクサ
発生生態
大豆畑での防除方法
警戒種リスト
地域でのまん延を防止するためのポイント
☆侵入・拡散の防止
オオブタクサの種子は輸入飼料に混入して日本に侵入すると考えられる。畜産堆肥から
の侵入を防止するため、発酵熱が60℃以上に達した完熟堆肥を使用する。
また、ほ場周辺が種子源となっていることが多いため、ほ場周辺の防除を徹底する。
農業機械での拡散を防ぐため、侵入していないほ場から発生程度の小さい順に作業を行
う。
☆侵入初期の防除
☆河川敷に隣接するほ場は要注意
大きな川の河川敷にまん延している場合が多くそこから侵入してくるので特に注意する。
☆まん延ほ場では埋土種子を減らす方向での対策を
オオブタクサは7月中旬以降に結実するため、大豆などの実取り用の作物で手取り除草
が困難なまん延圃場では、種子生産を防ぐことは難しい。多回刈りする牧草などに転換
するなど、種子を生産させずに埋土種子をできるだけ減らす対策が必要である。ただし、
水稲へ戻すと水系で他のほ場へ拡散させる危険性がある。水稲に戻す場合には他のほ
場への拡散がないか地域全体でのモニタリングが必要である。
有効な防除体系
日本での大豆畑での発生事例が少なく、今のところ有効な防除体系の情報はない。
有効な防除ツール
機械的・耕種的・化学的防除のいずれにおいても情報が少なく、効果は不明である。化学
的防除に関しては米国での情報が得られている。
オオブタクサ
まん延を防止するために
ほ場で一旦まん延すると防除が困難である。侵入初期の段階で手取り除草により徹底防
除する。
大豆作で有効とされる除草剤の使用基準
除草剤
薬量
処理方法・時期
イマザモックスア
ンモニウム塩
200-300mL/10a
出芽直前~出芽揃の茎葉兼土壌処理
生育期、収穫30日前までの畦間処理
(北海道のみ)
グリホサートカリ
ウム塩液剤
200-500mL/10a
畦間処理、収穫前日まで
グルホシネート液
剤
300-500mL/10a
畦間・株間処理、収穫28日前まで
※上記の情報はアメリカなどでの文献情報に基づくものです。その効果については検討
が必要な場合があります。
※除草剤の使用にあたっては、ラベルをよく読み、よく理解した上で使用方法を遵守して
ください。
※本パンフレットは、農林水産省委託プロジェクト研究「気候変動に対応した循環型食料生産等の確立のための技術開発」および
農研機構研究課題「生物情報に基づく帰化雑草の侵入・まん延警戒システムと長期的雑草管理法の構築」の成果に基づいて作成
されました。
-2-
2012.10
作成版
アレチウリ
警戒種リスト
(特定外来生物)
-大豆畑への侵入が危惧される雑草-
同定のカギ
・キュウリや
カボチャに似
ている
・トゲだらけ
の果実が塊
となって結実
な
結実
する
形態・特徴
北米原産の帰化植物。つる性で
5-8mに達する。軟毛に覆われた
丈夫な約10cmの葉柄に、最大
25cmの5浅裂の葉身がつく。
5枚の花弁からなる緑白色の花
をつける。雌雄異花で、雄花は
非常に長い柄の総状花序とな
り、雌花は短い柄の先に頭状花
序となる。
3-15個の果実が塊となって結実し、1個の果実に1個の種子を含む。種子は大きく
(10×15mm)、暗褐色で平たく、多くのトゲを持つ果皮に包まれる。1株あたり4,50078,000個の種子を作る。
,
個 種 を作る。
発生生態
芽生えはキュウリやカボチャとよく似ており、
いわゆる’野良’カボチャと見間違いやすい。
出芽は、4月から10月ぐらいまで長期にわた
り、除草剤による防除が行われた後に出芽し
たものも問題となる。開花は短日で促進さ
れ、9月以降に出芽したものは、植物体が小
さくても開花・結実する。
雑草害
主に河川敷などでまん延し、在来植生を抑圧することから特定外来生物に指定。
発生密度が1本/m2以下と低い場合でも、個体サイズが大きいため甚大な減収をもたらす。
飼料用トウモロコシ畑では1m2あたり1.5-2本程度で80%の減収、2.8-5本で90-98%の減
収となる。大豆畑では壊滅的な被害をもたらし収穫不能となるケースもある。
2011.8.16
2011.9.20
一見きれいな大豆畑が一ヶ月後…
Ver.2.
お問い合わせ
(独)農研機構
中央農業総合研究センター
雑草管理担当
澁谷知子・黒川俊二
〒305-8666
茨城県つくば市
観音台3-1-1
029-838-8481(代)
[email protected]
防除のポイント
ダイズを覆い尽くすアレチウリ
水系で種子が移動し拡散している可能性が高い。水田輪作地帯では地域全体に急速
に拡散することが懸念される。少数でも見つけたらすぐに防除し、地域全体へのまん
延を防ぐ必要がある。
花期が8月下旬以降であることから、それ以降種子を付けさせないことが重要。特に、
稲刈り後に発生したアレチウリが種子を作るまで生育する事例も観察されていること
から、秋に残草している個体についても徹底防除すること。
写真:上から、「生育中のアレチウリ」、「果実・実生」、「被害大豆畑」。
-1-
S
Sicyos
angula
atus
アレチウリ
北海道以南で分布が確認されている。
警戒種リスト
大豆畑での防除方法
(特定外来生物)
機械的防除
中耕培土では株間
のアレチウリを防除
できない。
侵入初期の防除が
重要
一旦まん延すると防除が
困難である。侵入初期の
段階で手取り除草により徹
底防除する。
河川敷に隣接する
ほ場は要注意
化学的防除
ほ場全体に
まん延する前に
少数発生したアレチウリ
手取り除草
少数の発生でも目立
つので、侵入初期に
手取り除草で徹底防
除する
除する。
アレチウリは秋まで発生が
続くため、大豆など実取り
用の作物では種子生産を
減らすことは難しい。8月下
旬までに収穫できる作物に
転換するなど、埋土種子を
できるだけ減らす対策が必
要。ただし、水稲へ戻すと
水系で他のほ場へ拡散さ
せる危険性がある。
除草剤情報
アレチウリ
まん延を防止するために
大豆に登録のある
選択性除草剤は効 大きな川の河川敷にまん
延している場合が多くそこ
果が低い。非選択
から侵入してくるので特に
性除草剤の畦間処 注意。
理はつるが邪魔をし
が 魔を
まん延ほ場では
て作業が困難。
埋土種子を減らす
方向での対策を
下記の情報はアメリカなどでの文献情報に基づくものです。その効果については検討が
必要な場合があります。
※除草剤の使用にあたっては、ラベルをよく読み、よく理解した上で使用方法を遵守して
※除草剤の使用にあたっては
ラベルをよく読み よく理解した上で使用方法を遵守して
ください。
除草剤
薬量
処理方法・時期
グリホサートカリ
ウム塩液剤
200-500mL/10a
畦間処理、収穫前日まで
グルホシネート液
剤
300-500mL/10a
畦間・株間処理、収穫28日前まで
※特定外来生物に指定されているため、生きたまま植物体(発芽可
能な種子も含みます)を他の場所に運ぶことは規制されています。
特に、手取り除草 を行う際は植物体を生きたまま移動させることが
ないよう注意してください 詳しくは地方環境事務所等にお問い合わ
ないよう注意してください。詳しくは地方環境事務所等にお問い合わ
せください。
※本パンフレットは、農林水産省委託プロジェクト研究「気候変動に対応した循環型食料生産等の確立のための技術開
発」および農研機構研究課題「生物情報に基づく帰化雑草の侵入・まん延警戒システムと長期的雑草管理法の構築」の成
果に基づいて作成されました。
-2-
2011.11
作成版
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