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論文A班
平 成 25 年 度 5 秋季セミナー大会 第 2 テーマ 日本における CSR の現状とその拡大策について 10 15 20 25 日本大学経済学部証券研究会 A 班 1 目次 序 章 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.3 5 第 1章 CSR・ SRI の 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.4 第 1節 CSR の 概 要 第 2節 SRI の 概 要 第 3節 CSR と ス テ ー ク ホ ル ダ ー の 利 害 関 係 10 第 2章 15 第 1節 日本 第 2節 アメリカ 第 3節 ヨーロッパ 第 4節 日本と欧米各国の比較 第 3章 20 CSR の 拡 大 に 伴 う 障 害 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.16 第 1節 CSR の 規 格 第 2節 CSR に お け る 費 用 と 利 潤 の 関 係 の 矛 盾 第 3節 CSR の 拡 大 と 問 題 点 第 4章 25 各 国 の CSR の 現 状 と 比 較 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.9 CSR 拡 大 の た め に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.20 第 1節 CSR の 定 義 を 明 確 に す る た め に 第 2節 CSR に お け る 費 用 と 利 潤 の 関 係 第 3節 CSR の あ る べ き 姿 終 章 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.25 参 考 文 献 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.26 30 2 序章 21 世 紀 、 あ ら ゆ る 場 面 で 企 業 の 社 会 的 責 任 が 問 わ れ て い る 。 最 近 だ と 、 JR 北 海 道 が レ ー ル 異 常 を 97 か 所 も 放 置 し て い た 問 題 、 カ ネ ボ ウ 化 粧 品 が 販 売 し 5 た一部の美白化粧品を使用すると、肌がまだらに白くなる危険があるとして、 製品を自主回収することになった問題など企業の不祥事が相次いでいる。 アメリカの経営学者、ピーター・ファーディナンド・ドラッカーが「企業の 目 的 は 顧 客 の 創 造 で あ る 。」と 述 べ た 。利 益 を 追 求 す る だ け で な く 、顧 客 の 欲 求 を満たさなければ企業は事業を展開することができず、継続して売り上げを伸 10 ばすこともできない。先ほども述べたように、昨今、企業の不祥事が多く発覚 する中で、企業はより多くの顧客を創造することができているのだろうか。そ こ で 問 わ れ て く る の が 企 業 の 社 会 的 責 任 、 い わ ゆ る CSR で あ る 。 近年、多くの企業では、利益追求だけでなく、事業活動が社会へ与える影響 に 責 任 を 持 ち 、 積 極 的 か つ 主 体 的 に 社 会 貢 献 や 情 報 公 開 な ど に 取 り 組 む CSR 15 を 重 要 な も の と し て 認 識 し は じ め て い る 。し か し 、日 本 で は CSR が そ こ ま で 広 く 知 ら れ て い な い の が 現 状 で あ る 。ア メ リ カ の フ ォ ー チ ュ ン 誌 で は 、 「世界でも っ と も 尊 敬 さ れ る 企 業 ラ ン キ ン グ 」 が 50 位 ま で 発 表 さ れ て お り 、 ラ ン キ ン グ の 評 価 項 目 に は CSR に 関 す る 項 目 が い く つ も 含 ま れ て い る 。ラ ン キ ン グ の 上 位 は 欧 米 の 企 業 で あ る が 、 日 本 勢 は ト ヨ タ が 29 位 で あ る 。 こ の こ と か ら 日 本 の 20 企 業 に は 、 ま だ ま だ CSR が 広 ま っ て い な い こ と が う か が え る 。 ま た 、 CSR の 具体的な内容については国、地域によって異なり、国際的な定義がない。 そ こ で 本 稿 で は 、 第 1 章 で CSR に つ い て 定 義 し て い く 。 第 2 章 で は 、 日 本 と 欧 米 諸 国 の 現 状 に つ い て 述 べ 、比 較 す る こ と で 日 本 の CSR と 欧 米 諸 国 の 違 い に つ い て 触 れ て い く 。そ し て 日 本 で CSR が 拡 大 す る た め に 障 害 と な る も の 、そ の 25 障害に対する解決策については、第 3 章・第 4 章で述べていく。 3 第 1章 第 1節 CSR・ SRI の 概 要 CSR の 概 要 5 CSR( Corporate Social Responsibility ) と は 企 業 が 事 業 活 動 に お い て 利 益 を優先するだけでなく、地球環境・地域社会・倫理などの側面においても、法 律で定めるレベルを超えて積極的に顧客、株主従業員、取引先、地域社会など の様々なステークホルダーとの関係を重視しながら果たす社会的責任である。 10 主 に 地 球 環 境 保 護 、企 業 統 治 と 積 極 的 な 情 報 開 示 、ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 の 支 援 、 消 費 者 に 対 す る 誠 実 な 対 応 、従 業 員 に 対 す る 職 場 環 境 の 改 善 な ど が 挙 げ ら れ る 。 CSR 活 動 の 定 義 は 企 業 ご と に 違 い 、 具 体 的 に は 、 日 本 IBM : 企 業 が 持 続 的 に 発 展 す る た め に 、 「社会からみて好ましい存在」 15 として信頼されることを目指す。 ボ ー ダ ホ ン : 成 果 や 価 値 の あ る ビ ジ ネ ス 活 動 を 行 い な が ら 、人 々 の 生 活 と 環 境 に 良 い 環 境 を 与 え る こ と を 目 指 す 。こ の 概 念 に は 、社 会 や 環 境 と の 相 互 関 係 を マ ネ ジ メ ン ト し 、評 価 す る こ と や 、主 要 な ス テ ー ク ホ ル ダ ー の 課 題 を 明確に理解することも含まれる。 20 松 下 電 器 産 業 : 経 営 理 念 に 基 づ き 、当 社 の 経 済 的・社 会 的・環 境 的 活 動 を グ ロ ー バ ル な 視 点 で 再 点 検 し 、そ の 説 明 責 任 を 果 た し 、企 業 価 値 を 高 め る こ とを目指す。 と い う 風 に CSR 先 進 企 業 の 定 義 は 非 常 に わ か り や す い も の と な っ て い る 。CSR 25 に 取 り 組 む 企 業 は 自 社 の 言 葉 で 、自 社 に 合 っ た CSR の 定 義 を す る こ と が 望 ま し い。その際、従来からある経営理念やビジョン、経営方針との関連性も考慮す る必要がある。それらに含まれている顧客重視、環境配慮といった考え方は、 す べ て CSR に 通 じ る も の で あ り 、 CSR の 定 義 と 整 合 性 が と れ て い な け れ ば な ら な い 。CSR は よ り 広 い 意 味 で 社 会 の 要 請 、要 求 に 答 え る た め の 考 え 方 と し て 30 見 な さ れ て い る 。明 確 化 さ れ た 法 や 規 則 に 従 う も の に 対 し て 、CSR は ス テ ー ク 4 ホルダーに対して責任ある組織活動を定記し貢献するものである。それによっ て、業務プロセス改善によるコスト低減、技術サービス革新、企業イメージの 向上と様々なメリットが期待される。 また、企業が法にのっとってステークホルダーや社会からの期待や要求に応 5 えることをコンプライアンスという。法律は最低限守らなければならない、最 もハードルの低い「社会からの要求」と認識すべきだろう。コンプライアンス は法令・条例その他の規制、社内ルールや業務マニュアル、企業倫理・社会的 規範の三つの領域で構成されており、あくまで「法律を守って違反しない」と い う よ う な 狭 く 消 極 的 な 意 味 合 い が 強 く な っ て き て い る 。コ ン プ ラ イ ア ン ス は 、 10 CSR と い う 大 き な 仕 組 み の 一 環 に す ぎ な い の で あ る 。 第 2節 SRI の 概 要 SRI と は 、 従 来 の 財 務 分 析 に よ る 投 資 基 準 に 加 え 、 企 業 を 社 会 的 視 点 か ら 評 15 価し、投資活動を通じて社会・倫理・環境といった点などにおいて社会的責任 を果たしているかどうかを投資基準にし、投資行動をとる社会的責任投資のこ と を 言 う 。社 会 的 な 責 任 に 対 す る 意 識 が 薄 い 企 業 は 、不 正 行 為 を 行 う な ど し て 、 結 局 は 投 資 家 に と っ て 大 き な ダ メ ー ジ を 与 え る 会 社 で あ る 可 能 性 も 高 く 、逆 に 、 社会的な責任に対する意識が強い会社は、長期的、持続的に業績を高めていけ 20 る 会 社 で あ る 可 能 性 が 高 い と い う 考 え に 基 づ い て い る 。 SRI の 発 端 は ア メ リ カ で起こったエンロン事件での不正発覚事件や、エンロン事件を上回るアメリカ 史上最大の倒産、ワールドコムの粉飾決算事件を機に企業の社会的責任の軽視 が問題となったアメリカで生まれ、全世界に広まっていった。 SRI に は SRI 投 資 家 か ら 見 て 、優 れ て い る 企 業 に 積 極 的 に 投 資 を 振 り 向 け る 25 戦 略 (ポ ジ テ ィ ブ ス ク リ ー ニ ン グ )や 、 逆 に 投 資 家 か ら 見 て 劣 っ て い る 企 業 を 投 資 対 象 か ら 排 除 す る 戦 略 (ネ ガ テ ィ ブ ス ク リ ー ニ ン グ )が あ る 。 故 に 、 劣 る と 考 えながら企業に投資を続け、企業の経営者と改善に向けた対話を行う手段も SRI の 一 種 に な る 。 そ し て 、 SRI で 用 い ら れ る 投 資 排 除 基 準 で は 、 ク ラ ス タ ー 爆 弾 や 地 雷 に と ど 30 まることなく、国際条約の規制対象とはならない一般的な武器の製造に関わる 5 企業までも投資排除する基準や、たばこ、アルコール、ギャンブル、核兵器、 豚 肉( イ ス ラ ム 系 の 場 合 )、動 物 実 験 な ど の 関 連 企 業 を 投 資 対 象 か ら 除 外 す る 基 準などが用いられている。 SRI の 種 類 は 、 5 ① コ ミ ュ ニ テ ィ ー 投 資 : 限 定 さ れ た 地 域( コ ミ ュ ニ テ ィ ー )の 抱 え る 問 題 を 改善、状況を向上させるための組織やプロジェクト等への投融資行動。 ② 環 境 配 慮 型 投 資 : 環 境 問 題 に 特 化 し た SRI で あ り 、 二 酸 化 炭 素 の 排 出 量 や植林事業の状況など様々な企業の環境行動を評価し、行う投資。 10 ③ CSR 経 営 評 価 に よ る 投 資 : ト リ プ ル ボ ト ム ラ イ ン に 基 づ い た 経 営 評 価 を 行い、その結果に基づいて行う投資。 ④ グリーン購入 : 社会性や環境に配慮した企業や商品を選別して購入する行 動 。一 般 に は 、環 境 配 慮 型 行 動 に 分 類 さ れ 、投 資 に は 分 類 さ れ な い が 、企 業 か ら も の を 購 入 す る こ と を 投 資 で あ る と み な し 、 グ リ ー ン 購 入 を SRI の 一 15 形態とすることがある。 ⑤ 環 境 修 復 投 資 : 土 地 を 利 用 し て 収 益 を あ げ て い た が 、土 壌 汚 染 対 策 を 行 い 健 全 な 土 壌・地 下 水 環 境 を 将 来 社 会 に 引 き 継 ぐ 投 資 。企 業 が 環 境 債 務 と 計 上 す る こ と が 多 く な っ て い る 。今 で は 、さ ら に 環 境 に 優 し い 企 業 か 、法 律 遵 守 しているかなどが基準に加えられることが多い。 20 と リ タ ー ン を 多 様 な 形 で 捉 え た 広 義 の SRI を 含 め た 具 体 的 な 例 と し て 五 つ が 挙 げられている。 社会的責任の達成度を企業ごとに評価ないし格付けし、評価の高い企業に投 資 を す る 。欧 米 に お い て は 、社 会 的 責 任 投 資 が 盛 ん に 行 わ れ て い る こ と も あ り 、 25 国 際 標 準 化 機 構( ISO)で CSR の 規 格 化 が 進 め ら れ て い る 。ISO は 市 場 、環 境 、 人 間 、 社 会 、 コ ー ポ レ ー ト ガ バ ナ ン ス の 5 分 野 、 110 項 目 か ら な る 評 価 項 目 を 設定し、企業の社会的責任の達成度を評価する仕組みを作成している。環境へ の取り組みが優れている企業に対する社会的責任投資は特に「エコファンド」 と呼ばれ、日本においても投資信託に導入されている。 30 SRI は も と も と 欧 米 の 教 会 な ど が 、 キ リ ス ト 教 の 教 義 を 基 準 に 非 論 理 的 な 企 6 業を投資対象からはずすネガティブスクリーンから始まったとされているが、 現在は社会的責任への取り組みが優れている企業を選別し、これらの企業を対 象に投資を行うポジティブスクリーンが中心となっている。 SRI に よ っ て 社 会 的 責 任 の 達 成 度 の 高 い 企 業 に 社 会 投 資 が 集 中 す れ ば 、 こ う 5 した企業の株式上昇、企業価値の増大をもたらすことになるため、一般株主や 経 営 者 は ま す ま す 社 会 的 責 任 の 達 成 度 を 高 め よ う と す る こ と に な る 。 SRI は 企 業を社会的責任の達成度を高めるように方向づける意味を持つ。 第 3節 CSR と ス テ ー ク ホ ル ダ ー の 利 害 関 係 10 CSR に 対 す る 期 待 や 評 価 は 時 代 と 共 に 変 化 し て い く が 、何 が 企 業 に 求 め ら れ ているのかを感じ取りステークホルダーとの信頼関係を保つことは変わらない であろう。ステークホルダーとして、まず思いつくのが株主と顧客である。そ のほかにも従業員、仕入先、地域住民などステークホルダーは企業によって異 15 なり、重要度や優先順位も変わる。企業にとってステークホルダーからの信頼 を得ることは、利益に繋がる道となるだろう。仕事への態度や会社への態度が 従業員の行動に繋がり、サービスの有能性や商品価値が上がることによって、 顧客維持率が上がり、資産収益率・営業総利益・売上が増えることとなる。そ のためには、 20 ① 企業を取り巻くステークホルダーを洗い出す。 ② ステークホルダーのニーズを把握する。 ③ 満足度を高めるステークホルダーの優先順位をつける。 25 ④ 最後に具体的に取り組む。 こ の よ う に CSR に 関 す る ス テ ー ク ホ ル ダ ー の 関 心 や 要 請 を い か に 把 握 し 、企 業の重要課題の決定に際し、どのように反映したのかを明らかにすることが求 30 められる。また、具体的な目標を設定しそれを達成するための活動と成果、取 7 り組むべき課題を提示することが重要である。そしてそれらは、信頼できる企 業であるかを評価する際に役立てることができる。具体的にそれぞれのステー クホルダーとの利害関係を見てみると、 5 ①雇用に関する取り組み・労働安全衛生に関する取り組み・人権に関する取り 組みなどにより、従業員満足度を高め、会社への忠誠心が高まれば従業員が 定着し、顧客サービスの向上や業務改善といった様々な効果が得られる。 ②顧客のニーズを細かく把握して製品やサービスの品質を高めて顧客満足度を これまで以上に徹底することで顧客満足度が向上し、結果として売り上げ増 10 加が期待できる。また、企業としては信頼性が失われては事業も成り立たな い。法規制遵守はもちろん、社会規則を遵守し、取引先との折衝などあらゆ る場面で倫理的に行動することは、社会からの信頼を得る第一歩である。ま た、地域と密接な関係のある小売業や地域に工場を持つ製造業などでは、地 域社会からの信頼を得ることは必要不可欠である。そのためには地域のイベ 15 ントに積極的に参加、自社の施設を休日に地域住民に開放するなど、地域復 興に協力することも必要である。 ③工場見学を積極的に行うなど、工場からの環境汚染や災害に対する地域住民 の不安を払拭することも重要である。 ④積極的に情報開示することによって、株主や投資家とコミュニケーションを 20 取ることも重要である。 ⑤ CSR の 取 り 組 み を 通 じ て 現 場 の 従 業 員 を 含 め た 企 業 全 体 で 、 経 営 理 念 の 意 味 を 問 い 直 し 、個 々 の 業 務 レ ベ ル で 実 践 さ れ て い る か を 評 価 す る こ と が 重 要 である。 25 結 論 と し て 、企 業 が CSR 活 動 を 行 う こ と は 、企 業 と ス テ ー ク ホ ル ダ ー の 双 方 にとってメリットがあると考えられる。 8 第 2章 第 1節 5 各 国 の CSR の 現 状 と 比 較 日本 日 本 の CSR の 起 源 は 、 江 戸 時 代 に あ る と 考 え ら れ る 。 1651 年 か ら 1716 年 は元禄バブルと言われ、江戸時代の高度経済成長期であった。材木商を中心と した事業者本位の「投機的で一発勝負型」の豪商が、華々しくも愚かな商活動 を 展 開 し て い た 。こ れ ら の 豪 商 は 、幕 府 や 藩 の 役 人 と 結 託 し た 政 商 型 の 商 人 で 、 役人接待や賄賂を中心とした短期的な利益追求に奔走していた。しかし、元禄 10 バブルの崩壊とともに、江戸時代の高度経済成長も終息し、幕府の財政は破綻 することとなった。 こうした経済環境の変化を受けて、 「 投 機 的 で 一 発 勝 負 型 」の 豪 商 達 も 徐 々 に 消えていくこととなった。このような先人達の反省に立って、それ以降の商業 活 動 を 、長 期 的 に 立 っ た 、地 道 で 顧 客 本 位 の 事 業 運 営 へ と 転 換 す る こ と に な る 。 15 1960 年 代 か ら 1970 年 代 に か け て 公 害 問 題 と し て マ ス コ ミ の 注 目 と な り 、1980 年 代 に は 社 会 貢 献 活 動 な ど を 通 じ て 、 一 般 化 と な っ て い っ た 。 そ し て 1990 年 代になり、欧米企業のグローバル化に伴って新たな重要課題として浮上し、大 きくクローズアップされるようになった。 CSR 活 動 の 過 去 と 現 在 で は 、 企 業 行 動 自 体 の 変 化 が 起 こ っ て い る 。 80 年 代 20 の 企 業 行 動 を 表 す キ ー ワ ー ド は「 多 角 化 」で あ っ た が 、90 年 代 後 半 以 降 は「 選 択と集中」という言葉に代表されるように、企業は、本業に経営資源、生産資 源を集中し、企業価値を高める戦略をとっている。非財務的要素、すなわち環 境問題や社会問題が企業の中枢課題として位置づけられ、そのような問題への 対 応 が 企 業 価 値 の 判 断 に 含 め ら れ る よ う に な っ た 。1980 年 代 半 ば に 施 行 さ れ た 25 男女雇用機会均等法の影響もあり、女性が企業活動全般に大きく関わってきた ことが挙げられる。それにより、男女を問わずに、出産、子育て、などのプラ イベートな生活と仕事が両立できるように求められるようになった。また情報 技術の発達は生活を豊かにしたが、一方で瞬時に伝わる情報は南北の区別なく 社 会 全 体 に 流 さ れ る た め 、人 々 は 公 平・公 明・公 正 と い う CSR の 原 則 に 敏 感 に 30 なった。 9 さらには、環境問題も高まっていき、科学的データによって地球環境の悪化 が明白なものとなった。そのため、生物多様性や生態系を守ることの重要性に 至り、実効力のある対策の実施が不可欠となっていき、またその環境で長く企 業を持続させることも考慮されている。 5 こ の よ う に CSR は 企 業 の 利 益 だ け で な く 、環 境 や 人 権 に つ い て も 考 慮 す る こ と で 、永 続 的 に 企 業 活 動 が で き る よ う に と 考 え ら れ た も の で あ る 。CSR 活 動 の 趣旨には賛成するが、実際に何をやっているのかを詳しく知っている企業は少 な い だ ろ う 。 CSR の 普 及 の た め に は 、 こ う し た 企 業 の 周 り が CSR を 理 解 で き るように考慮していくべきだ。 10 第 2節 アメリカ ア メ リ カ に お け る CSR は 政 府 の 介 入 が ほ と ん ど な く 民 間 企 業( C= corporate) が主体的に取り組んでいる。主な取り組みは地域社会への利益の還元である。 15 アメリカは地域社会から州、州から国家、というような社会構造をしており、 その社会構造上、成功した者が地域社会に利益の一部を還元する、という仕組 みが出来上がっている。またアメリカでは、個人や企業が金銭を慈善団体に寄 付 し た り 、社 会 貢 献 的 な 活 動 を し た り す る フ ィ ラ ン ソ ロ ピ ー と い う 概 念 が あ り 、 こ の 活 動 に 還 元 さ れ た 利 益 の 一 部 が 使 わ れ て い る 。そ し て ア メ リ カ の 場 合 、 「企 20 業はグローバルな課題に義務を負っている」と考え方がアメリカ人の間で広ま り、社会的・環境的課題の解決に向けた企業の取り組みに高い期待感を示して いる。故にアメリカ企業は利益を追求するだけでなく、法律の遵守、環境への 配 慮 、コ ミ ュ ニ テ ィ ー へ の 貢 献 な ど が 求 め ら れ 、CSR が よ り 一 層 問 わ れ る よ う になってきた。 25 こ の よ う な 社 会 の 意 識 が 企 業 に 自 主 的 な CRS 活 動 を 促 し た 要 因 は 、1980 年 代 半 ば に 軍 需 産 業 の 不 祥 事 が 表 面 化 し て 以 降 、2001 年 に は 利 益 操 作 が 明 る み に 出 た エ ン ロ ン の 経 営 破 綻 、 ま た 2002 年 の ワ ー ル ド コ ム 、 タ イ コ な ど で の 利 益 操作が明るみに出た事件などの企業の不祥事が相次いだ。それにより、企業倫 理が重視されるようになり、社会が企業に対して責任を求める風潮が高まって 30 き た か ら だ と 思 わ れ る 。加 え て ア メ リ カ は 、1964 年 ま で 人 種 差 別 を 法 律 で 認 め 10 ていた国であり、故に人権問題に対して昔から関心が高く、この問題を軽視す る企業に対しては世間の風当たりが厳しいことも一因だと考えられる。 ま た 、 ア メ リ カ で CSR の 普 及 を 後 押 し し て い る の は SRI の 規 模 拡 大 が 要 因 だ と も 考 え ら れ る 。1920 年 、キ リ ス ト 教 が 資 金 運 用 に あ た っ て 軍 需 、ア ル コ ー 5 ル、ギャンブルなどに関わる企業を投資基準に見合わない企業として投資先か ら排除する行動により、企業の社会的責任を問うたことに始まった。その後、 ベトナム戦争、環境問題、人種差別など「社会的、環境的に問題のある企業に は 投 資 し な い 」 と い う 企 業 の 社 会 的 責 任 に 投 資 行 為 を 反 映 さ せ る こ と で 、 CSR と 結 び つ い た 。こ う し た 背 景 か ら 、CSR を 企 業 に 促 す よ う な 形 で SRI が 拡 大 し 10 た。 ア メ リ カ の SRI 市 場 は 、2003 年 に 一 旦 縮 小 し た も の の 、2005 年 以 降 順 調 に 拡 大 を 続 け て き て い る 。2012 年 現 在 の 世 界 の SRI 市 場 の 総 額 は 13.6 兆 ド ル で あ り 、2012 年 現 在 で は ア メ リ カ の SRI 市 場 の 総 額 は 3 兆 7440 億 ド ル( 374 兆 円 )で あ る 。こ の う ち ア メ リ カ が 占 め る 割 合 は 28% で あ り 、ヨ ー ロ ッ パ に 次 ぐ 15 規模である。 そ し て 、近 年 注 目 さ れ て い る ESG( E-環 境 、S-社 会 、G-企 業 統 治 )と い う 評 価項目があり、この評価項目はいずれも企業が事業を展開するにあたって配慮 や 責 任 を 求 め ら れ る 重 要 課 題 で あ る 。 ア メ リ カ で も ESG 要 素 を 考 慮 し た 投 資 が 増 加 傾 向 に あ る 。 下 の 図 の 中 で も ESG 要 素 を 考 慮 し た 投 資 が 大 半 を 占 め て 20 い る 。 2010 年 と 比 較 し て も ESG 要 素 を 考 慮 し た 投 資 は 3 割 近 く 規 模 が 拡 大 し ているのに対し、株主決議はほぼ横ばいになっている。 11 図 1 米国における持続的責任投資 ( 10 億 ド ル ) 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2010 2012 166 533 1,502 2,018 2,157 1,704 2,123 2,554 3,314 473 736 922 897 448 703 739 1,497 1,536 N/A 84 265 592 441 117 151 981 1,106 639 1,185 2,159 2,323 2,164 2,290 2,711 3,069 3,744 ESG を 組み込んだもの 株主決議 に関わるもの 上記 2 者 の重複分 合計 出 典 :The Forum for Sustainable and Responsible Investing(US SIF) 「 2012 Report on Sustainable and Responsible Investing Trends in the United 5 States」 よ り 筆 者 作 成 注 : 二 重 集 計 を 避 け る た め 、ESG 組 み 込 み 投 資( 地 域 社 会 向 け 投 資 を 含 む )と 株 主 決 議 に 関 わ る 投 資 の 重 複 分 を 除 い た 。 上 記 重 複 分 に つ い て は 1997 年 分 よ り 調 査 を 開 始 し た た め 、 1995 年 分 に 該 当 す る デ ー タ は な い 。 10 こ の こ と か ら ESG 要 因 を 考 慮 す る 資 産 運 用 会 社 や 地 域 社 会 向 け 投 資 機 関 、 機関投資家などが増えてきている、あるいは投資する金額が増加していると考 え ら れ る 。 故 に 企 業 側 と し て は SRI の 対 象 先 と な る よ う に 、 今 後 も CSR 活 動 にさらに力を入れて従事していくことが見込まれる。 15 第 3節 ヨーロッパ ヨ ー ロ ッ パ の CSR は 、 ア メ リ カ と 起 源 を 同 じ く し 、 ヨ ー ロ ッ パ で の CSR の 定 義 は「 CSR と は 企 業 が 社 会 問 題 と 環 境 問 題 を( 従 来 の 財 務 問 題 と 同 じ よ う に )企 業 の 責 務 と し て 、利 害 関 係 者 と の や り 取 り の 中 に 自 主 的 に 組 み 込 む こ と 」 12 と さ れ て い て 、主 な 特 徴 と し て は 、強 力 な NGO/NPO に 代 表 さ れ る 市 民 の 手 を 借りた民主主義構造が作られている点にある。 中 で も EU の CSR に 対 す る 取 り 組 み の 中 で 大 き な 意 味 を 持 つ も の が 、欧 州 委 員 会 が 2001 年 7 月 に 発 表 し た 「 CSR の た め の 欧 州 の 枠 組 み の 促 進 」 と 題 さ れ 5 た グ リ ー ン ペ ー パ ー で あ る 。こ こ で は 、CSR が「 リ ス ボ ン 戦 略 」に よ い 影 響 を 与 え る 限 り 、積 極 的 に 取 り 入 れ て い く と い う も の で あ っ た 。 「 リ ス ボ ン 戦 略 」と は 、2000 年 3 月 に リ ス ボ ン 欧 州 理 事 会 で 策 定 さ れ た 経 済・社 会 政 策 の 枠 組 み で あ り 、 EU を 「 よ り 多 い 雇 用 と よ り 強 い 社 会 的 結 合 を 確 保 し つ つ 、 持 続 可 能 な 経済発展を達成しうる、世界で最も競争力があり、かつ力強い知識経済」の地 10 域 に す る と い う 戦 略 目 標 で あ る 。つ ま り EU で は 、CSR を 持 続 可 能 な 発 展 と 社 会的結合に役立つと考えていることになる。 こ の よ う な EU の 考 え 方 に は 、 次 の よ う な 背 景 が あ る 。 EU 統 合 は 、 効 率 の良い経済を目指し、モノ、カネ、ヒトが自由に動くことで資源の最適分配を 実 現 さ せ る も の で あ っ た 。し か し 、現 実 に は 、ヒ ト は 他 の ふ た つ の 要 素 と 違 い 、 15 経済合理性に従って自由に動けるものではないので、かえって失業問題を深刻 化させることになった。これまでは、失業問題は政府が解決すべき課題であっ た が 、 EU が 加 盟 各 国 に 課 し た 財 政 条 件 に よ り 、 従 来 の よ う な 財 政 出 動 に よ る 雇用創出は出来なくなっている。しかし、失業問題から派生する社会の不安定 化 や 、そ れ が 引 き 起 こ す 経 済 の 停 滞 こ そ 、EU が 最 も 懸 念 し て い る こ と で あ り 、 20 こ れ が リ ス ボ ン 戦 略 以 降 、 EU の 様 々 な 政 策 の 中 で 繰 り 返 さ れ る 「 持 続 可 能 な 発展」と「社会的結合」という二つの言葉の根元にある現実である。 このことから、ステークホルダーの中でも従業員を中心とした問題を大きく 取 り 上 げ て い る 意 味 が 理 解 で き る 。 グ リ ー ン ペ ー パ ー は 、 CSR に つ い て 、「 内 部 的 側 面 」と「 外 部 的 側 面 」に 分 け て 検 討 を 加 え て い る 。 「 内 部 的 側 面 」に つ い 25 ては、 「 企 業 の 内 部 に お い て は 、社 会 的 責 任 の 実 践 は 、第 一 に 、雇 用 者 に 影 響 を 与えるものであり、人的資源、健康、安全性、及び管理の変化などの側面に関 係しており、環境に関わる責任の実践は、特に生産において使われる資源の管 理に関わるものである」としている。内部的側面として、従業員に関わる問題 と 、環 境 へ の 配 慮 が 指 摘 さ れ て い る わ け で あ る が 、特 に 前 者 が 強 調 さ れ て い る 。 30 外部的側面としては、まず、地域社会が挙げられているが、ここでも、地域の 13 住民の雇用の促進をうたっている。さらに、企業は、それを取り巻く地域社会 の住民の健康、安定、繁栄に依存している。他にビジネス・パートナー、サプ ライヤー、消費者等のステークホルダーとの関係、人権への配慮等に具体的な 言及がなされている。 5 続 い て ヨ ー ロ ッ パ の SRI に つ い て 述 べ る 。 ま ず 、 ヨ ー ロ ッ パ SRI の 投 資 家 の 特 徴 は 、責 任 投 資 に 振 り 分 け ら れ る 投 資 の 大 部 分 が 、機 関 投 資 家 の 資 金 で あ る 。 また、欧州では責任投資への投資資金が急速に拡大しているとはいえ、個人投 資 家 の 伸 び は 機 関 投 資 家 よ り も 進 み が 遅 く 、2009 年 と 2011 年 の 調 査 を 比 較 し 10 てみると、図のようになる。 図 2 投資家の属性別内訳 出 典 : 国 立 NPO 法 人 社 会 的 責 任 投 資 フ ォ ー ラ ム HP よ り 引 用 15 続 い て 、こ れ か ら の SRI を 牽 引 し て い く の は 、下 の 図 の 調 査 か ら 、機 関 投 資 家であると考えられる。 14 図 3 SRI を 牽 引 す る 要 因 出 典 : NPO 法 人 社 会 的 責 任 投 資 フ ォ ー ラ ム HP よ り 引 用 5 上 位 5 項 目 は 2010 年 の 調 査 か ら 変 化 が な い も の の 、 法 制 面 の ニ ー ズ が 重 要 度 で 5 番 目 か ら 2 番 目 へ と 躍 進 し て い る こ と は 注 目 さ れ る 。短 視 眼 的 な 言 動 に よ り 、さ ら に 金 融 危 機 を 招 く の を 避 け る た め に 、欧 州 各 国 お よ び EU の 議 員 が 、 これまで以上に投資家に注目するようになっていることが要因と考えられる。 これらの要因は重要ではあるが、同時にそれは内からの圧力や透明性について 10 覆い隠す要因ともなり得る。なので、透明性のある投資行動をとれば、受益者 はより良い情報を得られることとなり、多くの投資家が同様の投資行動をとる ようになる可能性が見込める。 こ こ ま で で わ か っ た こ と は 、欧 州 の SRI マ ー ケ ッ ト に お け る 主 役 は 機 関 投 資 家であり、少数の大口機関投資家の新たな投資委任によって資産総額が伸びて 15 いるにすぎない。責任投資のどの投資方針においても、投資額が伸びている理 由 を 、 SRI の 資 産 が 市 場 の パ フ ォ ー マ ン ス を 上 回 っ て い る こ と や 、 個 人 投 資 家 市 場 か ら 資 産 が 流 入 し て い る 要 因 に 帰 す る こ と は で き な い 。単 に 既 存 の 投 資 を 、 新たな投資先へと入れ替えているにすぎない。なので、各投資家たちが、多く の目を集めるような投資を行い、今まで目がいかなかった人たちにも投資を促 20 すことができるようになると、一層進展していくと思われる。 15 上 記 よ り 、 各 国 の CSR 活 動 の 特 徴 に 以 下 の 相 違 点 が 見 ら れ た 。 5 日本:社会貢献、法令遵守、自然環境の保護 ヨーロッパ:社会問題と環境問題への対応、 アメリカ:地域の利益還元 し か し 、ア メ リ カ 、ヨ ー ロ ッ パ で は CSR の 日 本 と 成 り 立 ち が 異 な り 、進 む べ き 方向が異なると考察ができる。 10 第 3章 CSR の 拡 大 に 伴 う 障 害 日本では、相次ぐ公害や企業不祥事に対する企業批判の高まりにより、企業 に 社 会 的 な 責 任 を 問 う 声 が 大 き く な り 、ア メ リ カ で 広 が っ て い た CSR 論 が 輸 入 15 さ れ 、 議 論 を 繰 り 返 し て き た 。 ま た 、 図 4 よ り 分 か る よ う に 2003 年 以 降 、 日 本 で は CSR に 関 す る 記 事 の 掲 載 件 数 が 格 段 に 増 加 し 、 日 本 の 社 会 で CSR 活 動 に注目が高まっていることが分かる。その結果が企業は様々な社会問題の責任 に目を向けることとなった。 し か し 、図 5 よ り 、CSR の 認 知 度 は 約 3 割 に と ど ま り 、日 本 の 社 会 に お い て 、 20 CSR が 浸 透 し て い な い こ と が 分 か る 。 ま た 、 第 2 章 か ら ア メ リ カ や 欧 州 ほ ど CSR が 日 本 の 社 会 で 広 く 取 り 組 ま れ て い な い よ う に 感 じ る 。 第 3 章 で は 、「 CSR の 規 格 化 」、「 ス テ ー ク ホ ル ダ ー と の 利 害 関 係 」 か ら 見 え て く る こ と か ら 、 日 本 に お け る CSR の 拡 大 の 問 題 点 を 述 べ て い く 。 25 16 図 4 CSR の 語 彙 を 含 有 し た 新 聞 記 事 掲 載 件 数 ( 検 索 ヒ ッ ト 数 ) の 推 移 1400 1200 1000 800 検索ヒット数 600 400 200 0 出典:日経テレコンより筆者作成 5 図 5 CSR 環 境 に 関 す る 企 業 の 取 り 組 み を そ の 程 度 知 っ て い る と 思 い ま す か ? 内容を詳しく 知っている, 9.8% 聞いたことがな い, 38.7% 内容をある程度 知っている, 26.7% 内容まで知らな い, 24.8% 出 典 : 2010 第 1節 No.2 調査情報研究誌 ECPR より筆者作 CSR の 規 格 10 CSR は 経 済 産 業 省 や 日 本 液 剤 団 体 連 合 、経 済 同 好 会 に よ っ て 指 標 が 述 べ ら れ 、 ま た ISO( 国 際 標 準 化 機 構 ) に よ り ISO26000/SR が 発 行 さ れ て 、 国 内 で も 国 17 際 的 に も 規 格 さ れ て い る 。CSR は 多 く の 機 関 で 規 格 化 さ れ 、あ ら ゆ る 企 業 は そ れ ら に 対 応 し よ う し て い る と こ ろ か ら 、CSR の 必 要 性 は 社 会 的 に 認 め ら れ て い ることが分かる。 しかし、評価機関によるランキング上位の企業は戦略として表面上は規格化 5 さ れ た CSR に 従 う と 共 に 、 企 業 は 規 格 化 に よ っ て 形 骸 化 さ れ た CSR 活 動 を 企 業 独 自 の CSR 活 動 よ り 優 先 す る 。 規 格 化 さ れ た CSR 活 動 に 沿 っ た 活 動 を し て い る の で 横 並 び 感 が 否 め な い 。こ れ は 企 業 の CSR 概 念 や 定 義 、ス テ ー ク ホ ル ダ ー と の 利 害 調 整 が 不 明 確 で あ り 、 企 業 が CSR を 曖 昧 に 捉 え て 、 CSR 活 動 を し ていることが要因であるからである。 10 こ の よ う に 、 企 業 は CSR の 解 釈 が 曖 昧 で あ り 、 CSR 活 動 の 取 り 組 み に 戸 惑 っていることが分かる。 第 2節 15 CSR に お け る 費 用 と 利 潤 の 関 係 の 矛 盾 企 業 が ス テ ー ク ホ ル ダ ー に 対 し て 負 う 責 任 の こ と を CSR と す る な ら ば 、企 業 は社会の望む企業である必要がある。 よって、社会の目的である社会の利益を実現するには、企業の利潤の最大化 のために、ステークホルダーとの利害調整が必要となる。つまり、企業の利益 の最大化が、社会の利益の実現のための手段となる。よって、両者の関係は図 20 6 のような、目的と手段の関係が成り立つ。 図 6 目的と手段の連鎖 企業観 社会観 手段 目的 手段 ステークホルダーと (企業の)利潤の最大化の の利害調整 実現 出 典 : CSR と 市 場 25 目的 社会の利益の実現 市 場 機 能 に お け る CSR の 意 し か し 、こ の 概 念 は 社 会 の 期 待 す る CSR で あ る が 、企 業 が 利 害 調 整 と し て 社 会の利益と企業の利益の乖離をなくすために、ステークホルダーに支払う費用 18 の負担が前提となっている。 一 方 、経 済 主 体 の CSR と し た 場 合 、企 業 の 利 潤 を ス テ ー ク ホ ル ダ ー に 支 払 う 費用にあてることは、企業の経済的目標である利潤の最大化と矛盾することに なる。加えて、経済学においては、企業は生産主体であり効率的な経済活動行 5 う こ と で 、 利 潤 を 最 大 化 す る と い う こ と も CSR で あ る と す る 論 も あ る 。 ま た 、こ の 企 業 が ス テ ー ク ホ ル ダ ー に 対 し て 負 う 責 任 の こ と を CSR し た 場 合 と 経 済 主 体 の CSR と し た 場 合 の 、 費 用 と 利 潤 の 矛 盾 か ら 、 CSR に 要 す る 費 用 と市場における利潤の関係性をどう解釈すればいいかが、明確にされていない ことが分かる。 10 第 3節 CSR の 拡 大 と 問 題 点 第 1 節 の CSR の 解 釈 が 曖 昧 で あ る こ と と 、 第 2 節 の CSR の 定 義 と CSR に お け る 費 用 と 利 潤 の 関 係 が 不 明 確 で あ る こ と か ら 、CSR の 定 義 が 統 一 さ れ て い 15 な い と い う こ と が 考 え ら れ る 。統 一 性 の な い 定 義 で は 、CSR 活 動 は 図 ? か ら 分 かるように企業にとって、とっつきにくい物と判断され、また企業が積極的に CSR に 取 り 組 ま な け れ ば 、 一 般 市 民 に CSR が 広 く 浸 透 す る と は 考 え に く い 。 ゆ え に 、 CSR の 解 釈 の 仕 方 が 多 数 多 様 で あ り 、 不 明 確 で あ る こ と が CSR 拡 大に伴う障害となる問題点であると考えられる。 20 19 図 7 企 業 規 模 別 ・ CSR に 取 り 組 ま な い 理 由 具体的に何をするか決まっていない 現下の経営環境では導入は厳しい 人手がいない 時期尚早 71.4% 48.3% 35.0% 33.3% 20.0% 5.0% 10~50人 54.9% 51.5% 31.4% 29.4% 17.6% 9.8% 51~100人 57.9% 30.0% 27.3% 36.8% 28.9% 9.1% 10.5% 101~200人 201~300人 53.8% 32.1% 21.4% 14.3% 301~1000人 38.5% 15.4% 0.0% 1001人~ 出 典:み ず ほ 総 合 研 究 所「 企 業 の 社 会 的 責 任 に つ い て の ア ン ケ ー ト 」 より筆者作成 5 第 4章 CSR 拡 大 の た め に 前 述 し た よ う に 、CSR 拡 大 に 伴 う 問 題 点 は CSR の 定 義 が 統 一 さ れ て お ら ず 、 10 不 明 確 な 点 に あ る 。本 章 で は 、そ の 解 決 策 、そ し て CSR の あ る べ き 姿 を 考 え て いく。 第 1 節 CSR の 定 義 を 明 確 に す る た め に 15 CSR の 定 義 が 統 一 さ れ て い な い こ と が 、 企 業 に と っ て CSR に 取 り 組 み づ ら い状況となっていることは確かだ。しかし、国際的・国内的に統一された定義 が存在しないのが実情であり、定義を統一し、明確にすることは困難である。 あ ら ゆ る 定 義 の 中 か ら 共 通 点 を 見 出 し 、CSR の 基 本 的 な 概 念 を 理 解 す る こ と が 必 要 で あ ろ う 。 そ こ で 、「 CSR セ ミ ナ ー 」 へ の 参 加 を 提 案 す る 。 CSR に 精 力 的 20 な 企 業 が 定 期 的 に 開 講 し て お り 、「 CSR と は 何 か 」 を 中 心 に 、 企 業 価 値 に 繋 げ て い く 活 動 を 行 う た め の ノ ウ ハ ウ を 提 供 し て い る 。「 CSR へ の 意 欲 は あ る が 何 か ら 始 め れ ば よ い か 分 か ら な い 」、「 始 め て み た も の の 成 果 が 得 ら れ な い 」 と い う よ う な 企 業 は 、セ ミ ナ ー に 参 加 を す る こ と で CSR に 対 す る 理 解 が 深 ま る だ ろ 5 う 。様 々 な 企 業 の CSR を 参 考 に 、企 業 理 念 や 事 業 の 特 色 を 活 か し た 自 社 独 自 の 定義を築いていくことが理想だ。そして、その定義を社内全体に浸透させてい く こ と が 重 要 で あ る 。多 く の 社 員 が 意 味 を 理 解 し て CSR に 関 わ る こ と は 、企 業 価 値 に 繋 げ る 近 道 と な る 。定 期 的 に 社 内 で も CSR セ ミ ナ ー を 行 っ て い き 、社 内 全 体 で CSR へ の 理 解 を 深 め て い く べ き で あ る 。 従 業 員 に と っ て も 、 CSR の 取 10 り組みを知ることで、自社への誇り、仕事へのやりがいにも繋がっていくだろ う。 第 2 節 CSR に お け る 費 用 と 利 潤 の 関 係 15 前 章 で 、CSR に お け る 費 用 は 企 業 が 目 指 す と こ ろ の 利 潤 の 最 大 化 に 矛 盾 し て いると問題提起した。そこで、企業が適正な利潤を実現するために「社会的費 用の私的費用化」が期待されている。これにより、社会と企業の利益の乖離を 解消させようという考えである。例えば、不祥事を防ぐための内部統制や、環 境、人権に関する問題意識の啓発等の従業員研修に要する費用は、社会的費用 20 の私的費用化と言える。社会的費用の私的費用化を怠った場合に伴う損失は、 企業の経営に重大な損害を生むこととなり、結果的に企業の経済的目的である 利 潤 と 相 反 す る 結 果 を も た ら す こ と と な る 。よ っ て CSR に お け る 費 用 は 時 間 軸 の中で見ると、将来の市場への投資と言えるだろう。 25 21 第 3 節 CSR の あ る べ き 姿 こ れ ま で 述 べ て き た よ う に 、CSR の 定 義 は 曖 昧 で 捉 え 方 は 国 や 地 域 、企 業 に よって異なるが、 「 社 会 的 責 任 を 果 た す 」と い う 大 き な 軸 を も と に 企 業 価 値 の 向 5 上 へ と 繋 げ て い く 活 動 で あ る 点 に お い て は 、 共 通 し て い る 。「 CSR は 経 営 と 一 体 化 し た も の 」と い う 捉 え 方 が 今 後 の 発 展 に 活 か さ れ て い く だ ろ う 。本 節 で は 、 そ の 根 本 的 な 考 え を も と に CSR の あ る べ き 姿 を 考 察 し て い く 。 ① 持 続 的 な CSR 活 動 10 CSR は 、 今 現 在 の 市 場 だ け で な く 、 10 年 、 20 年 後 の 市 場 へ 向 け た 活 動 で も あ る 。つ ま り 前 述 し た よ う に 、CSR は 今 後 の 企 業 へ の 投 資 と い う こ と な の で あ る 。 こ れ は CSR の 本 質 的 な 価 値 観 で あ る 、「 サ ス テ イ ナ ブ ル = 持 続 的 活 動 」 と 通 ず る 。 企 業 の 持 続 的 発 展 の た め に は 、 CSR の 継 続 が 不 可 欠 な の で あ る 。 例えば、自動車会社や家電会社が環境に配慮した製品の開発に力を入れてい 15 るのは、環境問題の深刻化による事業存続の危機をまぬがれるためだ。また、 全くもって市場がなかった国で事業を展開することにより、市場の拡大に成功 している企業もある。学校などで講習会を行うことも未来の市場を拡大するこ とに繋がる一つの方法だ。将来の企業人となる世代、今後、消費活動の中心と な る 世 代 に 向 け て 、そ の 企 業 な ら で は の 技 術 や 知 識 を 交 え た 講 演 を 行 う こ と で 、 20 自 社 の PR か つ 人 材 育 成 の 一 歩 と な り 得 る だ ろ う 。 ② 企 業 独 自 の “ ら し さ ” を 取 り 入 れ た CSR 活 動 CSR の 規 格 化 に よ り 、他 社 と の 差 別 化 を 図 る こ と が 難 し く な っ て い る こ と は 、 前でも述べた。差別化を図れないということは、企業価値にも繋がりにくい。 25 CSR を 経 営 活 動 に 繋 げ て い く た め に は 、そ の 企 業 に し か で き な い 活 動 を 行 っ て いく必要がある。その企業独自の製品、技術力、開発力などを用いて社会に貢 献し、企業の利益へと繋がる活動をしていくことが求められる。 ここで、資生堂が行っている「メーキャップアドバイス」と呼ばれる活動を 紹 介 す る 。 資 生 堂 は 1990 年 代 初 め よ り 、 一 般 的 な フ ァ ン デ ー シ ョ ン や コ ン シ 30 ーラーではカバーが難しい、あざや傷跡などに対応したファンデーション「パ 22 ーフェクトカバー」の開発に取り組むとともに、医療機関と連携して皮膚の疾 患 に 悩 む 方 々 へ の メ ー キ ャ ッ プ ア ド バ イ ス を 行 っ て き た 。2006 年 6 月 に は 、東 京・銀座の本社に「資生堂ライフクオリティービューティーセンター」を開設 し、医療機関での実習や専門的な教育を受けたスタッフが、こうした悩みを抱 5 え た 方 々 に 対 し て 無 料 で メ ー キ ャ ッ プ ア ド バ イ ス を 行 っ て い る 。2009 年 4 月 に は中国や台湾でも開設し、グローバルに展開している。これは、資生堂が培っ た開発力と技術力を存分に活かした社会貢献活動だろう。また、こうした技術 力の高いスタッフの活躍は、企業価値を高めることにも繋がる。 10 ③ ス テ ー ク ホ ル ダ ー を 重 視 し た CSR 活 動 CSR を 経 営 活 動 と 結 び つ け て い く た め に は 、 ス テ ー ク ホ ル ダ ー と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 重 視 す る こ と が 必 要 と さ れ る 。そ こ で 求 め ら れ る の が 、CSR 報 告 書 の 掲 載 だ 。CSR 報 告 書 は ス テ ー ク ホ ル ダ ー と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ツ ー ル として非常に重要であり、内容の充実性はどの企業も取り組むべき課題だ。近 15 年 で は 、 KPI( Key Performance Indicator ) と 呼 ば れ る 「 重 要 業 績 評 価 指 標 」 を 取 り 入 れ た CSR 報 告 書 を 作 成 し て い る 企 業 が 増 え て い る 。 KPI と は 、 目 標 に達する度合いを数値化したものであり、ステークホルダーにとってその企業 の CSR を よ り 評 価 し や す い も の に し た 。 投 資 家 に お い て も KPI は 有 力 な 情 報 源 と な り 、 SRI の さ ら な る 発 展 へ と 繋 が っ て い く だ ろ う 。 20 ま た 、 企 業 は 自 社 の CSR 活 動 を 積 極 的 に 情 報 発 信 し て い く べ き だ 。 こ れ は 、 一般財団法人 経 済 広 報 セ ン タ ー が 2012 年 10 月 25 日 ~ 11 月 5 日 ま で 行 っ た CSR に 関 す る ア ン ケ ー ト の 一 部 で あ る 。 企 業 の CSR に 関 す る 情 報 を 、 ど の よ う な 機 会 、メ デ ィ ア を 通 じ て 知 る か を 聞 い た と こ ろ 、こ の よ う な 結 果 と な っ た 。 25 23 図 8 CSR の 取 り 組 み を 知 る 機 会 40% 報道、ニュースなど 36% CSR報告書、社会・環境報告書など 35% 企業の公式サイト、フェイスブックページなど 32% 企業広告(テレビ、ラジオ、新聞、看板など) 23% 年次報告書、アニュアルレポート 17% 企業・工場見学、地域交流など 12% 商品、サービス、店頭、従業員 5% 家族、知人、友人 3% その他 19% 知る機会がない (複数回答) 出 典:一 般 財 団 法 人 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45% 経 済 広 報 セ ン タ ー「 CSR に 関 す る 意 識 調 査 報 告 書 」よ り 筆者作成 5 こ の 図 か ら 分 か る よ う に 、 報 道 番 組 や テ レ ビ CM で 企 業 の CSR 活 動 を 発 信 していくことで、多くの消費者に活動内容を把握してもらい、企業価値へと繋 げていくことが今後も求められる。そして、フェイスブックやツイッターなど のソーシャルネットワークは有益な発信源だ。これらを利用することで、情報 10 発信だけでなく、ステークホルダーとの意見交換も可能となる。ステークホル ダ ー の 声 を 次 の 活 動 へ と 活 か し て い く こ と で 、よ り 経 営 的 な CSR 活 動 に な っ て い く だ ろ う 。だ が 、企 業 に と っ て 都 合 の よ い 情 報 だ け を 選 ん で 開 示 し た の で は 、 有益なコミュニケーションとは言えない。第三者の意見に耳を傾け、客観的な 目線を持つことを忘れてはならない。企業において最も身近なステークホルダ 15 ーである従業員の声も取り入れていくことが望ましい。 ま た 、 NPO/NGO と の 連 携 は 、 活 動 に 広 が り と 深 さ を 持 た せ る 。 例 え ば 、 発 展途上国での事業の展開を進めていくにあたり、自社内だけで行うことは難し い が 、そ の 分 野 に お い て 専 門 的 知 識 と 経 験 を 持 つ NPO/NGO と 連 携 す る こ と で 円滑に進めることができる。 24 終章 序 章 で 述 べ た よ う に 、CSR に は 国 際 的 な 定 義 は な く 、第 1 章 で 述 べ た の は 一 5 般 論 で あ る 。 故 に 、 国 ご と に CSR の 解 釈 が 異 な り 、 第 2 章 で 述 べ た と お り 、 国 ご と に CSR 活 動 へ の 取 り 組 み 方 は 様 々 で あ る 。そ の こ と か ら 、日 本 で も 企 業 ご と に CSR へ の 取 り 組 み 方 は 多 種 多 様 で あ る こ と が わ か る 。 ま た 、 第 3 章 で 述 べ た よ う に 、 日 本 で は CSR が 一 般 市 民 に 浸 透 し て お ら ず 、 CSR と い う 言 葉 があまり知られていない。そこから第4章では、拡大策として、ステークホル 10 ダ ー を 重 視 し た CSR 活 動 、 企 業 独 自 の “ ら し さ ” を 取 り 入 れ た CSR 活 動 、 持 続 的 な CSR 活 動 を 挙 げ た 。 以 下 の 点 を 踏 ま え て 考 察 す る と 、日 本 で CSR は 一 般 市 民 に は あ ま り 認 知 さ れ て い な い 。し か し 、拡 大 策 で も 挙 げ た よ う に 、企 業 独 自 の CSR を 展 開 す る こ と に よ り 、 一 般 市 民 は CSR と い う 言 葉 を 知 ら な く て も 普 段 の 生 活 で 企 業 が CSR 15 に準ずる活動を行っていることを知ることができる。 結 論 と し て 、日 本 は 継 続 し て CSR の 拡 大 を 継 続 し て い き 、一 般 市 民 も 言 葉 を 知 ら ず と も CSR に か か わ っ て い く 環 境 を 作 っ て い く こ と が 、 CSR の 認 知 度 を 上げる一歩だと思われる。 20 25 参考文献 <書籍> ・海野みづえ 5 細 田 悦 弘 ( 2011)『 企 業 ブ ラ ン デ ィ ン グ を 実 現 す る CSR( 企 業 の社会的責任』産業編集センター ・小 河 光 生( 2010) 『 ISO26000 で 経 営 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