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JP 2008-524992 A 2008.7.17 10 (57)【要約】 【解決手段】 微生物を
JP 2008-524992 A 2008.7.17 (57)【要約】 【解決手段】 微生物を用いて生体内変換により生体異 物化合物の代謝物を産生する方法であって、前記生体異 物化合物はシクロスポリンISA247であり、界面活 性剤の混合物中、前記微生物に到達されるものである。 前記方法をスケールアップし、例えば、リアクタ中、生 体内変換により大量の代謝物を産生することができる。 本発明の方法により産生される代謝物は、治療量モニタ リングまたは薬学的応用分野の標準として、抗体産生に 利用することができる。 【選択図】 図1 10 (2) JP 2008-524992 A 2008.7.17 【特許請求の範囲】 【請求項1】 微生物中で生体異物化合物の少なくとも1つの代謝物を産生する方法であって、 (a)前記生体異物化合物と界面活性剤との混合物を提供する工程と、 (b)前記混合物を前記微生物の培養液に添加する工程と、 (c)前記代謝物が形成するのに十分な時間、前記培養液を培養する工程と を有する方法。 【請求項2】 請求項1記載の方法において、前記混合物は、前記生体異物化合物、溶媒、および前記 界面活性剤を有するものである。 10 【請求項3】 請求項2記載の方法において、前記溶媒は、アルコールである。 【請求項4】 請求項3記載の方法において、前記アルコールは、エタノールである。 【請求項5】 請求項1∼4記載のいずれかの方法において、前記溶媒は、アルコールおよびDMSO の両方を有するものである。 【請求項6】 請求項1∼5記載のいずれかの方法において、前記微生物は、Actinoplane s sp.、Streptomyces griseus、Streptomyces 20 setonii、およびSaccharopolyspora erthyraeaから 成る群から選択されるものである。 【請求項7】 請求項1∼5記載のいずれかの方法において、前記微生物は、Cunningham ellaechinulataである。 【請求項8】 請求項1∼5記載のいずれかの方法において、前記微生物は、Nerospora c rassaである。 【請求項9】 請求項1∼5記載のいずれかの方法において、前記微生物は、Actinoplane 30 s spである。 【請求項10】 請求項1∼9記載のいずれかの方法において、前記界面活性剤は、PEG 400、ヒ マシ油、ミリスチン酸イソプロピル、グリセリン、クレモホール(登録商標)、ラブラゾ ール(登録商標)、TWEEN(登録商標)40から成る群から選択されるものである。 【請求項11】 請求項1∼10記載のいずれかの方法において、前記生体異物化合物は、免疫抑制剤お よび抗菌化合物から成る群から選択されるものである。 【請求項12】 請求項1∼11記載のいずれかの方法において、前記生体異物化合物は、シクロスポリ 40 ン化合物である。 【請求項13】 請求項12記載の方法において、前記シクロスポリン化合物は、ISA247である。 【請求項14】 請求項12記載の方法において、前記シクロスポリン化合物は、シクロスポリンAであ る。 【請求項15】 請求項1∼14記載のいずれかの方法において、前記代謝物は、IM1−d−1、IM 1−d−2、IM1−d−3、IM1−d−4、IM1−c−1、IM1−c−2、IM 1−e−1、IM1−e−2、IM1−e−3、IM9、IM4、IM4n、IM6、I 50 (3) JP 2008-524992 A 2008.7.17 M46、IM69、およびIM49から成る群から選択されるものである。 【請求項16】 請求項1∼15記載のいずれかの方法において、前記微生物は、Saccharopo lyspora erthyraea(ATCC 11635)である。 【請求項17】 請求項1∼16記載のいずれかの方法であって、この方法は、さらに、 前記培養液から前記代謝物を単離する工程を有するものである。 【請求項18】 生体内変換系での使用に適した微生物を同定する方法であって、a)代謝される化合物 の構造を既知の酵素活性と比較する工程と、b)前記既知の酵素活性を発現した酵素を同 10 定する工程と、c)前記同定された酵素を発現した微生物を同定する工程と、d)生体内 変換系に前記同定された酵素を発現した微生物を使用し、前記化合物の代謝物を作成する 工程とを有する方法。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、化合物の代謝物の調整法、より具体的には、生体内変換によるその代謝物の 調整に関する。 【背景技術】 【0002】 20 患者に医薬品を投与する際、患者に治療量の薬物が投与されていることを確認するため 、前記薬物の血清濃度モニタリングが必要となることが多い。これは、治療量モニタリン グ(TDM)と呼ばれる。TDMにより、親化合物および/または1若しくはそれ以上の 前記親化合物の代謝物を測定することができる。代謝物は、前記薬物が体内から排泄され やすくなるように、酵素、一般には肝酵素が作用して薬物を分解または修飾した時に形成 される。前記親化合物が急速に代謝される場合、TDMの目的で、代謝物の濃度を測定す ることが最も都合がよいと考えられる。そのような測定には、イムノアッセイが利用され ることが多い。 【0003】 代謝物を測定するTDMアッセイがイムノアッセイの場合、そのアッセイの使用に対し 30 て所望の特異性を有する抗体を作成および/または選択するために、前記薬物、または前 記薬物の単離、精製代謝物が使用されることがある。或いは、前記精製代謝物を利用し、 前記親化合物に特異的な抗体、つまり、前記親化合物と前記親化合物の代謝物との間の最 小限の交差反応性を示す抗体を限定することもある。従って、TDM用に抗体を産生する のに適した代謝物を一定量入手するため、単離代謝物の効率的な産生法が必要である。 【0004】 代謝物は、TDMと関係のない使用法を有することもある。代謝物は、薬学的に重要な 活性を有することもある。例えば、代謝物は薬物動態の改善、薬理活性の上昇、または生 物学的利用能の向上など、有益な特徴を示す。親薬剤化合物の代謝物自体が、有用な治療 となることもある。例えば、A77 1726はレフルノミドの活性代謝物であり、ヒド 40 ロキシ−tert−ブチルアミドはHIV治療薬ネルフィナビルの活性代謝物であり、4 −OH−タモキシフェンはタモキシフェンの活性代謝物である。前記代謝物が活性を示す 場合、大量の前記代謝物を効率的に産生する方法が求められる。或いは、1若しくはそれ 以上の前記代謝物が有毒であることもある。そのため、薬物の代謝様式、その結果生じる 代謝物、およびこれらの代謝物の活性に関する知識は、薬物の活性を理解する上で重要で ある。この情報は、薬物の承認前に必要となることもある。前記代謝物とその特徴を特定 するため、十分な量の前記代謝物を産生、単離する必要がある。 【0005】 代謝物を産生する一つの方法は、ヒトなどの哺乳類に前記薬物を投与し、血液、尿、胆 汁などの体液を回収し、これらの体液から代謝物を抽出、精製、単離するものである。一 50 (4) JP 2008-524992 A 2008.7.17 般に、薬物から前記薬物の代謝物への変換である生体内変換は、ヒト患者の肝臓において は、肝シトクロムP450酵素群(CYP450またはP450)によって達成される。 前記P450酵素ファミリーには、胆汁または尿中に排泄するため、化合物の溶解性を高 めるように作用する、推定70種類程度の酵素が含まれる。生体内変換による代謝物の形 成をモニタリングするため、親化合物を標識し、前記代謝物を認識できるようにすること も可能である。代わりに、高圧液体クロマトグラフィー分離および質量スペクトル解析に よりその結果をモニタリングする場合、同様の構造を有する薬物を同時に分析することも ある。第二の親化合物の生体内変換法は、生体内変換系として全臓器、組織スライス、ま たは肝細胞などの培養細胞を用いるものである。第三の方法では、哺乳類細胞から調整さ れたミクロソームが利用されることもある。これらのアプローチでは動物の分離株を使用 10 するため、前記代謝物に望まない汚染物質が導入される危険性がある。より大量で1若し くはそれ以上の前記代謝物が求められる場合、これらの方法はスケールアップすることが 難しい。さらに、前記親化合物を代謝物に変換するため、微生物を用いた生体内変換を利 用することもある。 【0006】 生体異物が高い親油性である、つまり大規模発酵法に用いる水性培養液に非常に溶けに くい場合は、大量の代謝物を産生することが特に困難となる可能性がある。従って、効率 的に大量な不溶性生体異物の代謝物を産生する方法が必要である。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 20 【0007】 本発明は、微生物を用いた生体内変換により、生体異物化合物の代謝物を産生する方法 を提供するものである。前記生体異物化合物は、界面活性剤との混合中において前記微生 物にさせることもできる。前記方法をスケールアップし、例えばリアクタで生体内変換す ることにより、大量の代謝物を産生することも可能である。本発明の方法により産生され た代謝物は、例えば治療量モニタリングまたは薬学的応用分野の標準として、抗体産生に 利用することができる。 【課題を解決するための手段】 【0008】 従って、本発明の一観点は、微生物中の生体異物化合物の少なくとも1つの代謝産物を 30 産生する方法を提供し、この方法は、 (a)前記生体異物化合物と界面活性剤との混合物を提供する工程と、 (b)前記混合物を前記微生物の培養液に添加する工程と、 (c)前記代謝物が形成するのに十分な時間、前記培養液を培養する工程と を有する。 【0009】 前記混合物は、前記生体異物化合物、溶媒、および前記界面活性剤を有する。前記生体 異物化合物に適切ないかなる溶媒も使用することができる。例えば、前記溶媒はエタノー ルなどのアルコールとすることもできる。前記溶媒は1以上の物質を有することもある。 いくつかの実施形態では、前記溶媒はアルコールおよびジメチルスルフォキシド(DMS 40 O)の両方を有する。 【0010】 前記微生物は、前記生体異物化合物を代謝することができるいかなる微生物とすること もでき、ヒトと同じ前記生体異物化合物の代謝経路を持つものが好ましい。特定の実施形 態では、前記微生物がActinoplanes sp.、Streptomyces griseus、Streptomyces setonii、Saccharopol yspora erthyraeaから成る群から選択される。前記微生物は、Cunn ingham ellaechinulata、Nerospora crassa、ま たはActinoplanes sp.とすることもできる。 【0011】 50 (5) JP 2008-524992 A 2008.7.17 前記界面活性剤はいかなる適切な界面活性剤とすることもでき、本開示の教示に基づき 、当業者が特定することができる。例えば、前記界面活性剤は、ポリエチレングリコール (PEG)400、ヒマシ油、ミリスチン酸イソプロピル、グリセリン、クレモホール( 登録商標)(ポリオキシヒマシ油)、ラブラゾール(登録商標)(カプリロカプロイルマ クロゴールグリセリド)、およびTWEEN(登録商標)40から成る群から選択するこ とができる。 【0012】 前記生体異物化合物は、水溶液中の溶解度が低い化合物が好ましい。いくつかの実施形 態では、前記生体異物化合物が免疫抑制剤および抗菌化合物、好ましくはシクロスポリン 化合物、より好ましくはISA247またはシクロスポリンAから成る群から選択される 10 。前記代謝物は、好ましくは、IM1−d−1、IM1−d−2、IM1−d−3、IM 1−d−4、IM1−c−1、IM1−c−2、IM1−e−1、IM1−e−2、IM 1−e−3、IM9、IM4、IM4n、IM6、IM46、IM69、およびIM49 から成る群から選択される。 【0013】 本発明の方法はさらに、選択的に、前記培養液から前記代謝物を単離する工程を有する ことができる。 【0014】 本発明の別の観点では、生体内変換系での使用に適した微生物を同定する方法を提供し 、a)代謝される化合物の構造を既知の酵素活性と比較する工程と、b)前記既知の酵素 20 活性を発現した酵素を同定する工程と、c)前記同定された酵素を発現した微生物を同定 する工程と、d)生体内変換系において、前記同定された酵素を発現した微生物を使用し 、前記化合物の代謝物を作成する工程とを有する。特定の実施形態では、様々な微生物の ゲノム配列を前記同定された酵素の配列と比較し、それによって前記酵素を発現した微生 物を少なくとも1種類同定することで、前記微生物を同定することができる。 【0015】 本発明の1若しくはそれ以上の実施形態の詳細は、添付図面および以下の記述で説明さ れる。本発明のその他の特徴、目的、および利点は、記述および図、および請求項から明 らかとなるであろう。 【発明を実施するための最良の形態】 30 【0016】 本発明では、微生物を用いた生体内変換により、生体異物化合物の代謝物を産生する方 法を提供する。特に、前記生体異物化合物は、界面活性剤と混合して前記微生物に到達さ せる。前記方法をスケールアップし、例えばリアクタで生体内変換することにより、大量 の代謝物を産生することが可能である。本発明により産生された代謝物は、例えば治療量 モニタリングまたは薬学的応用分野の標準として、抗体産生に利用することができる。 【0017】 多くの薬学的に活性な化合物は水溶液に難溶性である。例えば、シクロスポリンおよび 特定の他の免疫抑制剤(ラパマイシン、アザチオプリン、ミゾリビン、およびFK506 (タクロリムス))は、水性環境で難溶性を示すことが知られている。本発明者らは被験 40 化合物としてシクロスポリン誘導体であるISA247を用い、微生物発酵を利用して首 尾よく難溶性化合物の代謝物を調整することが可能であることを発見した。本発明をさら に詳細に説明する前に、他に指示がない限り、本出願書類で使用されている用語を以下に 定義する。 【0018】 定義 本明細書では、「生体内変換」という用語は、生細胞、特に微生物の細胞による化合物 の代謝プロセスを指す。 【0019】 「生体異物化合物」、または「生体異物」は、本来は微生物に存在しない化合物である 50 (6) JP 2008-524992 A 2008.7.17 。生体異物化合物は、薬学的に活性なこともある。本発明の生体異物化合物は、好ましく は、水に容易に溶けない。例えば、前記化合物の水溶性は、25℃で1mg/ml以下、 0.75mg/ml以下、0.5mg/ml以下、0.25mg/ml以下、0.1mg /ml以下、0.08mg/ml以下、0.06mg/ml以下、0.04mg/ml以 下、または0.02mg/ml以下とすることができる。 【0020】 「シクロスポリン化合物」は、免疫抑制作用を有するシクロスポリン、またはその誘導 体である。前記用語は、天然由来のシクロスポリン、シクロスポリンA∼Z、ISA24 7、米国特許第4,108,985号、第4,210,581号、および第4,220, 641号明細書に開示されているような合成および人工のジヒドロ−およびイソ−シクロ 10 スポリン、米国特許第4,384,996号、第4,703,033号、第4,764, 503号、第4,771,122号、第4,798,823号、第4,885,276号 、第5,525,590号、第5,643,870号、第5,767,069号明細書で 示されているような誘導体化シクロスポリン、および国際公開第WO02069902号 、第WO03033010号、第WO03030834号、および第WO0405068 7号明細書で提供されているシクロスポリン誘導体化合物を含む。 【0021】 ISA247およびその代謝物 ISA247(ISATX247またはISA)およびそのISA関連ファミリーにつ いては、米国特許第6,613,739号および第6,605,593号明細書に図示さ 20 れている。シクロスポリンAと同様、ISA247はほぼ完全に疎水性アミノ酸から成る 環状ウンデカペプチドである。これらのアミノ酸の多くは、通常、哺乳類タンパク質には 認められない。図1は、ISA247の構造と、この分子の環状ペプチド環を有する11 アミノ酸残基を図示している。図のように、前記アミノ酸残基は時計回りの方向に番号が 付けてある。図1に示す通り、11員環アミノ酸の11アミノ酸のうち7アミノ酸がN− メチル化されている。残り4つのプロトン化された窒素原子はカルボニル基と分子間水素 結合を形成することができ、これがCsAおよびISA247のシクロスポリン骨格の硬 度に実質的に貢献している。CsAの溶解度は25℃で約0.04mg/mlである。水 溶性が低いため、シクロスポリンAの生物学的利用能は、ヒトに経口投与した場合で30 %以下であることが知られている。ISA247も同様に水溶性が低い。 30 【0022】 ISA247は、サルコシン残基(3文字の略語はSarであり、サルコシンはメチル 化グリシン残基であり、MeGlyと略されることもある)、D−およびL−アラニン( Ala)残基のいずれか1つ、α−アミノ酪酸残基(Abu)、バリン(Val)残基、 N−メチルバリン(MeVal)残基、4つのN−メチルロイシン(MeLeu)残基、 および(4R)−4−[(E)−2−ブテニル]−4,N−ジメチル−L−トレオニン( MeBmt)と呼ばれる、シクロスポリンに特有の、アルケンを含む9炭素である、β− 水酸化アミノ酸を含む。ISA247の化学名は、シクロ{{(E)−および(Z)−( 2S,3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−メチル−2−(メチルアミノ)−6,8−ノ ナジエノイル}−L−2−アミノブチリル−N−メチル−グリシル−N−メチル−L−ロ 40 イシル−L−バリル−N−メチル−L−ロイシル−L−アラニル−D−アラニル−N−メ チル−L−ロイシル−N−メチル−L−ロイシル−N−メチル−L−バリル}である。そ の実験式は、C63H111N11O12.Iである。分子量は約1214.85である 。 【0023】 ISA247は、シス−ISA247(またはZ−ISA247)およびトランス−I SA247(またはE−ISA247)の2つの異性体として存在することが知られてい る。図2Aおよび2Bは、ISA247のトランスおよびシス体を示している。前記IS A247化合物のシス体およびトランス体の混合物は、CsAよりも毒性が低く、強力で あることが分かった(米国特許第6,605,593号および第6,613,739号明 50 (7) JP 2008-524992 A 2008.7.17 細書を参照)。さらに、ISA247は、シス体およびトランス体の混合物として、前記 混合物がトランス異性体を高比率で含む場合、CsAよりも毒性が低く、強力であること が分かった。ISA247を参照した場合、ISA247はシスおよびトランス異性体の 混合物であり、前記混合物は前記化合物のトランス異性体を多く含むこともあることは、 当業者が理解することとする。前記異性体化合物は混合物として存在し、シス:トランス 比は1:99∼99:1の範囲である。 【0024】 ISA247代謝物は以下のように記述することができる。式1の化合物であって、 【化1】 10 20 【0025】 R1は以下の群から選択される。 【0026】 (8) JP 2008-524992 A 2008.7.17 【化2−1】 10 20 30 【0027】 【化2−2】 40 【0028】 式中、R2はCH3およびHから成る群から選択され、R3はCH2CH(CH3)2 およびCH2C(CH3)2OHから成る群から選択され、R4はCH(CH3)2およ びC(CH3)2OHから成る群から選択される。 【0029】 前記ISA247化合物のアミノ酸1で修飾されたISA247代謝物の構造は、表1 50 (9) JP 2008-524992 A 2008.7.17 に示されている。長方形の部分は、修飾されたアミノ酸1とシクロスポリン構造の環状部 分を形成するアミノ酸2∼11であり、図1を参照のこと。表1はアミノ酸1で修飾され たISA247代謝物の完全な表ではない。例えば、アミノ酸1代謝物は、5、6、7、 または8員環を含むこともできる。 【0030】 【表1−1】 10 20 30 【0031】 (10) JP 2008-524992 A 2008.7.17 【表1−2】 10 20 30 【0032】 (11) JP 2008-524992 A 2008.7.17 【表1−3】 10 20 30 【0033】 ISA247代謝物にはN−脱メチル化代謝物を含み、前記N−脱メチル化は、例えば IM4n(つまり、ISA247 Metabolite,N−demethylati on at amino acid−4)などのアミノ酸のアミド結合にある、少なくと も1つのメチル化窒素で起こる。N−脱メチル化は、アミノ酸−3(IM3n)、アミノ 酸−4(IM4n)、アミノ酸−6(IM6n)、アミノ酸−9(IM9n)、アミノ酸 −10(IM10n)、またはアミノ酸−11(IM11n)で起こる可能性がある。I 40 SA247代謝物には水酸化代謝物も含み、前記水酸化は、例えばアミノ酸4、6、9、 または10(IM4、IM6、IM9、またはIM10)などの少なくとも1つのメチル ロイシンアミノ酸、またはバリン残基5(IM5)またはメチルバリン残基11(IM1 1)で起こる。IM46ではアミノ酸4および6のいずれも水酸化され、IM49ではア ミノ酸4および9のいずれなども水酸化される。N−脱メチル化および水酸化代謝物が組 み合わされることもあり、表1に示す通り、N−脱メチル化または水酸化にアミノ酸−1 が変化した代謝物が組み合わさることもある。ISA247代謝物には、ISA247の 水酸化代謝物のグルクロニド、スルホニド、グリコシル化、およびリン酸化誘導体である 代謝物も含む。同時係属中で指定代理人に譲渡された米国特許出願第号(弁護士整理番号 16593−009001、2005年12月19日出願)では、ISA247代謝物お 50 (12) JP 2008-524992 A 2008.7.17 よびその使用法を提供している。 【0034】 ISA247代謝物の調整法 ISA247の代謝物は、まずシス:トランスISA247の50:50混合物を投与 された被験者のヒト全血を用いて分析した(実施例1)。図3は、この被験者の全血から 単離した代謝物の代謝プロフィールを示したHPLCスキャンである。ヒト全血に有機抽 出法を用い、代謝物を抽出、乾燥、メタノールに再溶解し、質量分析と連動したクロマト グラフィー法により同定した。図3に示す通り、ヒト全血では、少なくとも3つのジオー ル代謝物、2つの水酸化代謝物、および3つのN−脱メチル化代謝物が検出可能であった 。 10 【0035】 ISA247代謝物を産生するため、イヌ肝ミクロソーム試料も使用した(実施例2) 。ISA247代謝物はこの方法で生産可能であるが、その収率は低く、コストは高かっ た。従って、このアプローチを用いて、意味のある量のISA247代謝物を得ることは 実用的ではない。 【0036】 これまでの経験では、本発明以前に、多量のCsAおよびISA247の代謝物を産生 する方法として慣習的な生体内変換法が報告されていなかったが、これはおそらくこれら の化合物が親油性の性質を持つためである。理論に縛られることは望まないが、問題は、 ISA247などの疎水性化合物が、培養を行い前記産生物の代謝物を処理するために用 20 いる、ろ過器、カラム、その他の器具の表面に付着する傾向を有することであると本発明 者らは考えている。また、これらの非常に高い親油性の化合物は、培養中微生物の水性環 境で溶液に溶けない。培養された微生物は、代謝するためにこれらの親油性化合物に近づ くことができない可能性がある。いくつかの観点では、微生物の増殖試料に薬物を提供す ることが、哺乳類に薬物を提供することと差がない。前記薬物の生物学的利用能を向上さ せる製剤が必要なこともある。 【0037】 ヒトでは、シトクロムP450酵素がCsAから代謝物を形成することが知られている 。シトクロムP450酵素はISA247代謝物の形成にも作用することが分かってきた 。特に、シトクロムP450酵素のCYP3A4は、シクロスポリンおよびISA247 30 の代謝に関与する酵素として同定された。ヒトで得られた代謝プロフィールと同様のプロ フィールを作成するため、前記生体内変換系では、微生物の活発な増殖および代謝に適し た培地と培養条件下で増殖し、ヒトシトクロムP450酵素に相当する微生物の酵素を有 する微生物を利用する必要がある。 【0038】 生体内変換法はSmithら(Arch.Biochem.Biophys.(197 4)161:551−558)が例示している。UrlackerおよびSchmid( Curr Opin Biotechnol.(2002)13(6):557−64) は、原核生物のP450モノオキシゲナーゼ酵素を用いて生体内変換を行うことができる 、と指摘している。VenisettyおよびCiddi(Current Pharm 40 aceutical Biotechnology(2003)4(3):153−16 7)は、新規薬物を見つけるため、天然の薬物に微生物を応用することを提案した。 【0039】 Sebekia benihanaにより、メタノールに溶解したシクロスポリンAの [γ−ヒドロキシ−MeLeu]4シクロスポリン(AM4)および[γ−ヒドロキシ− MeLeu]4[γ−ヒドロキシ−MeLeu]6シクロスポリン(AM46)への生体 内変換は、米国特許第6,255,100号明細書に開示された。しかし、CsAをヒト に投与する場合、TDM用に産生され、モニタリングされる主な代謝物はAM1(アミノ 酸−1、MeBmtで水酸化されたCsAの代謝物)、AM9(アミノ酸9位のMeLe uで水酸化された代謝物)、およびAM4n(アミノ酸4位のMeleuで脱メチル化さ 50 (13) JP 2008-524992 A 2008.7.17 れたCsA代謝物)であることに注意する必要がある(LeGatt et al.,C lin Biochem.(1994)27(1):43−8)。そのため、Sebek ia benihanaは、CsAの哺乳類代謝プロフィールを模倣した代謝プロフィー ルを提供しない微生物を例示している。 【0040】 本明細書では、生体内変換を利用し、ISA247の代謝物を産生できることを証明す る。実施例3に示した通り、ISA247および界面活性剤TWEEN(登録商標)40 (ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート)を含む混合物をSaccharop olyspora erytheraeaに到達させることで、ヒト血液に認められるI SA247代謝物の主なカテゴリーは、すべて産生された。特に、7種類のISA247 10 代謝物が検出され、それはIM4n(アミノ酸4でN−脱メチル化されたISA247代 謝物)、IM9(アミノ酸9で水酸化されたISA247代謝物)、IM4(アミノ酸4 で水酸化されたISA247代謝物)、IM1−c−1(表1を参照)、IM1−d−1 (表1)、IM1−d−2(表1)、およびIM1−d−3(表1)であった。微生物に よって産生されるISA247代謝物の種類、数、量は異なり、前記産生は培地を変更す ることで最適化することができる(実施例5)。さらに、特定の微生物では、異なる界面 活性剤または溶媒を使用することで、代謝物の量が増加するか、産生プロフィールが改善 することがある。例えば、Saccharopolyspora erytheraea を使用した場合、PEG 400およびグリセロールにより代謝物の産生量が多くなるが (実施例4)、TWEEN(登録商標)40は、Beauvaria bassiana 20 により産生される代謝物の種類をかなり増加させた(実施例6)。 【0041】 その結果、本発明の一観点では、微生物中の生体異物化合物の少なくとも1つの代謝物 を産生する方法を提供し、この方法は、 (a)前記生体異物化合物と界面活性剤との混合物を提供する工程と、 (b)前記混合物を前記微生物の培養液に添加する工程と、 (c)前記代謝物が形成するのに十分な時間、前記培養液を培養する工程とを有する。前 記方法は、選択的に、さらに前記培養液から前記代謝物を単離する工程を有することもあ る。 【0042】 30 本発明の特定の実施形態では、本明細書に示したような溶解性の低い化合物、特にシク ロスポリン(例えば、ISA247およびCsA)、マクロライドラクトン(例えば、F K506)、およびトリエンマクロライド(例えば、ラパマイシン)などの免疫抑制化合 物の代謝物を大量に産生するin vitro生体内変換系を提供している。適切な生体 異物化合物については、詳細を以下に考察する。 【0043】 さらに、親化合物−界面活性剤の混合物を増殖培地に前記微生物を含めた生物反応混合 物に添加後、前記生物反応を一時、前記親化合物が代謝される条件下で進めることができ る。前記目標時間の後、前記代謝物を前記生物反応混合物から抽出し、高圧液体クロマト グラフィーおよび質量スペクトル解析(HPLC−MS)などのクロマトグラフィーによ 40 り分離精製する。核磁気共鳴分析を利用し、個々の代謝物が互いに単離されたことを確認 し、その構造を確認することができる。別の化学構造として確認された個々の代謝物は、 その後のアッセイで標準として使用することができる。 【0044】 精製された代謝物は、TDMアッセイで使用されることもある。例えば、ISA247 は、免疫抑制を達成し、移植臓器の拒絶反応を抑制するのに十分な量で、臓器移植患者に 投与することができる。前記患者で適切な薬物濃度が維持され、従って、移植臓器の拒絶 反応を予防するために適切な免疫抑制剤の濃度を維持していることを確認するため、時間 を置いて前記患者から採血することもある。ISA247の血中濃度を測定することもあ る。さらに少なくとも1種類の代謝物の血中濃度をモニタリングし、前記患者の身体が予 50 (14) JP 2008-524992 A 2008.7.17 測可能な方法で前記薬物を代謝していることを確認することもある。前記患者の系から前 記薬物を排泄するように患者自身の代謝が機能していない場合、未代謝の活性薬物の血中 濃度が上昇し、患者の投与法に変更が必要となることもある。定量は、例えばイムノアッ セイまたはHPLC−MSにより行うことができる。同様に、ISA247またはその代 謝物の1つに特異的な抗体を開発することもできる。 【0045】 本発明のいくつかの実施形態では、エタノール中のISA247をグリセロールと混合 し、次にSaccharopolyspora erytheraeaを含む生体内変換 系(ATCC 11635など)に添加する。他の実施形態では、前記生体内変換系にI SA247を添加する前に、PEG 400をエタノール中のISA247と混合する。 10 他の実施形態では、前記生体内変換系にISA247を添加する前に、ヒマシ油をエタノ ール中のISA247と混合する。他の実施形態では、前記生体内変換系にISA247 を添加する前に、ミリスチン酸イソプロピルをエタノール中のISA247と混合する。 他の実施形態では、前記生体内変換系にISA247を添加する前に、クレモホール(登 録商標)をエタノール中のISA247と混合する。他の実施形態では、前記生体内変換 系にISA247を添加する前に、ラブラゾール(登録商標)をエタノール中のISA2 47と混合する。他の実施形態では、前記生体内変換系にISA247を添加する前に、 TWEEN(登録商標)40をエタノール中のISA247と混合する。 【0046】 さらなる典型的な生体異物化合物 20 水溶液で溶解性が低い薬物のさらなる例には、鎮痛薬/解熱剤(例えば、アスピリン、 アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ブプレノルフィン、塩 酸プロポキシフェン、ナプシル酸プロポキシフェン、塩酸メペリジン、塩酸ヒドロモルホ ン、モルヒネ、オキシコドン、コデイン、酒石酸水素ジヒドロコデイン、ペンタゾシン、 酒石酸水素ヒドロコドン、レボルファノール、ジフルニサル、トロラミンサリチル塩、塩 酸ナルブフィン、メフェナム酸、ブトルファノール、サリチル酸コリン、ブタルビタール 、クエン酸フェニルトロキサミン、クエン酸ジフェンヒドラミン、メトトリメプラジン、 塩酸シンナメドリン、およびメプロバメート)、抗喘息薬(例えば、ケトチフェンおよび トラキサノックス)、抗生物質(例えば、ネオマイシン、ストレプトマイシン、クロラム フェニコール、セファロスポリン、アンピシリン、ペニシリン、テトラサイクリン、およ 30 びシプロフロキサシン)、抗うつ薬(例えば、ネフォパム、オキシペルチン、ドキセピン 、アモキサピン、トラゾドン、アミトリプチリン、マプロチリン、フェネルジン、デシプ ラミン、ノルトリプチリン、トラニルシプロミン、フルオキセチン、ドキセピン、イミプ ラミン、パモ酸イミプラミン、イソカルボキサジド、トリミプラミン、およびプロトリプ チリン)、抗糖尿病薬(例えば、ビグアニドおよびスルホニルウレア誘導体)、抗真菌薬 (例えば、グリセオフルビン、ケトコナゾール、イトラコナゾール、アンフォテリシンB 、ナイスタチン、およびカンジシジン)、降圧薬(例えば、プロプラノロール、プロパフ ェノン、オキシプレノロール、ニフェジピン、レセルピン、トリメタファン、フェノキシ ベンズアミド、塩酸パルジリン、デセルピジン、ジアゾキシド、グアネチジンモノサルフ ェート、ミノキシジル、レシナミン、ニトロプルシドナトリウム、インドジャボク、アル 40 サーオキシロン、およびフェントラミン)、抗炎症薬(例えば、(非ステロイド系)イン ドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、イブプロフェン、ラ ミフェナゾン、ピロキシカム、(ステロイド系)コルチゾン、デキサメサゾン、フルアザ コルト、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、およびプ レドニゾン)、抗悪性腫瘍薬(例えば、シクロフォスファミド、アクチノマイシン、ブレ オマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、メトト レキセート、フルオロウラシル、カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、メチル− CCNU、シスプラチン、エトポシド、カンプトテシンおよびその誘導体、フェネステリ ン(phenesterine)、パクリタキセルおよびその誘導体、ドセタキセルおよ びその誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、タモキシフェン、およびピポスルファ 50 (15) JP 2008-524992 A 2008.7.17 ン)、抗不安薬(例えば、ロラゼパム、プラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパ ム、クロラゼプ酸二カリウム、ジアゼパム、パモ酸ヒドロキシジン、塩酸ヒドロキシジン 、アルプラゾラム、ドロペリドール、ハラゼパム、クロルメザノン、およびダントロレン )、抗片頭痛薬(例えば、エルゴタミン、プロプラノロール、イソメテプテン・ムケート (isometheptene mucate)、およびジクロラルフェナゾン)、鎮静 剤/睡眠薬(例えば、ペントバルビタール、ペントバルビタール、およびセコバルビツー ルなどのバルビツール酸塩、および塩酸フルラゼパム、トリアゾラム、およびミダゾラム などのベンゾジアゼピン)、抗狭心症薬(例えば、β−アドレナリン遮断薬、ニフェジピ ン、およびジルチアゼムなどのカルシウムチャネル遮断薬、およびニトログリセリン、硝 酸イソソルビド、四硝酸ペンタエリスリトール、および四硝酸エリトリチルなどの硝酸塩 10 )、抗精神病薬(例えば、ハロペリドール、コハク酸ロキサピン、塩酸ロキサピン、チオ リダジン、塩酸チオリダジン、チオチキセン、フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン 、エナント酸フルフェナジン、トリフルオペラジン、クロルプロマジン、ペルフェナジン 、クエン酸リチウム、およびプロクロルペラジン)、抗不整脈薬(例えば、ブレチリウム トシレート、エスモロール、ベラパミル、オミオダロン、エンカイニド、ジゴキシン、ジ ギトキシン、メキシレチン、リン酸ジソピラミド、プロカインアミド、硫酸キニジン、グ ルコン酸キニジン、ポリガラクツロン酸キニジン、酢酸フレカイニド、トカイニド、およ びリドカイン)、抗関節炎薬(例えば、フェニルブタゾン、スリンダク、ペニシラミン、 サルサラート、ピロキシカム、アザチオプリン、インドメタシン、メクロフェナメート、 金チオリンゴ酸ナトリウム、ケトプロフェン、オーラノフィン、アウロチオグルコース、 20 およびトルメチンナトリウム)、抗痛風薬(例えば、コルヒチン、およびアロプリノール )、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、ヘパリンナトリウム、およびワルファリン・ナトリウ ム)、血栓溶解薬(例えば、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、およびアルテプラーゼ )、抗線溶薬(例えば、アミノカプロン酸)、血液レオロジー作用薬(例えば、ペントキ シフィリン)、抗血小板薬(例えば、アスピリン)、抗けいれん薬(例えば、バルプロ酸 、ジバルプロックスナトリウム、フェニトイン、フェニトインナトリウム、クロナゼパム 、プリミドン、フェノバルビトール(phenobarbitol)、カルバマゼピン、 アモバルビタール・ナトリウム、メトスクシミド、メタルビタール、メフォバルビタール 、メフェニトイン、フェンスクシミド、パラメタジオン、エトトイン、フェナセミド、セ コバルビトール・ナトリウム(secobarbitol sodium)、クロラゼプ 30 酸二カリウム、トリメタジオン)、抗パーキンソン病薬(例えば、エトスクシミド)、抗 ヒスタミン薬/かゆみ止め薬(例えば、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、クロルフ ェニラミン、マレイン酸ブロムフェニラミン、塩酸シプロヘプタジン、テルフェナジン、 フマル酸クレマスチン、トリプロリジン、カルビノキサミン、ジフェニルピラリン、フェ ニンダミン、アザタジン、トリペレナミン、マレイン酸デキシクロルフェニラミン(de xchlorpheniramine maleate)、メトジラジン、および)、抗 菌薬(例えば、硫酸アミカシン、アズトレオナム、クロラムフェニコール、パルミチン酸 クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、パルミチン酸クリンダ マイシン、リン酸クリンダマイシン、メトロニダゾール、塩酸メトロニダゾール、硫酸ゲ ンタマイシン、塩酸リンコマイシン、硫酸トブラマイシン、塩酸バンコマイシン、硫酸ポ 40 リミキシンB、コリスチメセートナトリウム(colistimethate sodi um)、および硫酸コリスチン)、抗ウイルス薬(例えば、インターェロンα、β、また はγ、ジドブジン、塩酸アマンタジン、リバビリン、およびアシクロビル)、抗菌薬(例 えば、セファゾリンナトリウム、セフラジン、セファクロール、セファピリンナトリウム 、セフチゾキシムナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォテタン2ナトリウム、 セフロキシムeアゾチル(cefuroxime e azotil)、セフォタキシム ナトリウム、セファドロキシル一水和物、セファレキシン、セファロチンナトリウム、塩 酸セファレキシン一水和物、セファマンドール・ナファート、セフォキシチンナトリウム 、セフォニシドナトリウム、セフォラニド、セファドロキシル、セフラジン、およびセフ ロキシムナトリウムなどのセファロスポリン、アンピシリン、アモキシシリン、ペニシリ 50 (16) JP 2008-524992 A 2008.7.17 ンGベンザチン、シクラシリン、アンピシリンナトリウム、ペニシリンGカリウム、ペニ シリンVカリウム、ピペラシリンナトリウム、オキサシリンナトリウム、塩酸バカンピシ リン、クロキサシリンナトリウム、チカルシリン2ナトリウム、アゾシリンナトリウム、 カルベニシリンインダニルナトリウム、ペニシリンGプロカイン、メチシリンナトリウム 、およびナフシリンナトリウムなどのペニシリン、エチルコハク酸エリスロマイシン、エ リスロマイシン、エリスロマイシン・エストレート、ラクトビオン酸エリスロマイシン、 ステアリン酸エリスロマイシン、およびエチルコハク酸エリスロマイシンなどのエリスロ マイシン、および塩酸テトラサイクリン、ドキシサイクリン・ハイクラート、および塩酸 ミノサイクリンなどのテトラサイクリン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン)、抗 感染薬(例えば、GM−CSF)、気管支拡張薬(例えば、塩酸エピネフリン、硫酸メタ 10 プロテレノール、硫酸テルブタリン、イソエタリン、イソエタリン・メシラート、塩酸イ ソエタリン、ビトルテロルメシラート(bitolterolmesylate)、塩酸 イソプロテレノール、硫酸テルブタリン、酒石酸水素エピネフリン、硫酸メタプロテレノ ール、エピネフリン、および酒石酸水素エピネフリンなどの交感神経刺激薬、臭化イプラ トロピウムなどの抗コリン薬、アミノフィリン、ジフィリン(dyphylline)、 硫酸メタプロテレノール、およびアミノフィリンなどのキサンチン、クロモグリク酸ナト リウムなどの肥満細胞安定薬、ステロイド化合物およびホルモン(例えば、ダナゾール、 テストステロン・シピオネート、フルオキシメステロン、エチルテストステロン、テスト ステロン・エナテート(testosterone enathate)、メチルテスト ステロン、フルオキシメステロン、およびテストステロン・シピオネートなどのアンドロ 20 ゲン、エストラジオール、エストロピペート、抱合エストロゲンなどのエストロゲン、酢 酸メトキシプロゲステロン、および酢酸ノルエチンドロンなどのプロゲスチン、トリアム シノロン、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキ サメタゾンナトリウム、酢酸デキサメタゾンプレドニゾン、酢酸メチルプレドニゾロン懸 濁液、トリアムシノロン・アセトニド、メチルプレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナ トリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリ ウム、トリアムシノロンヘキシアセトニド、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシピオ ネート、プレドニゾロン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸パラメタゾン、テブト酸プレド ニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、およびコハク酸ヒド ロコルチゾンナトリウムなどのコルチコステロイド、およびレボチロキシンナトリウムな 30 どの甲状腺ホルモン)、血糖降下薬(例えば、グリブリド、クロルプロパミド、トルブタ ミド、およびトラザミド)、脂質低下薬(例えば、クロフィブラート、デキストロサイロ キシン・ナトリウム、プロブコール、プラバスタチン(pravastitin)、アト ルバスタチン、ロバスタチン、およびナイアシン)、抗潰瘍薬/逆流防止薬(例えば、フ ァモチジン、シメチジン、および塩酸ラニチジン)、制嘔吐剤/制吐薬(例えば、塩酸メ クリジン、ナビロン、プロクロルペラジン、ジメンヒドリナート、塩酸プロメタジン、チ エチルペラジン、およびスコポラミン)、および油溶性ビタミンを含む。これらの溶解性 が低い化合物の代謝物は、本発明の方法により産生することができる。 【0047】 微生物 40 生体内変換を成功させるために適した微生物は、前記親化合物を代謝させる能力を有す るシトクロムP450酵素などの微生物酵素の有無に基づき選択することができる。生体 内変換法に有用と考えられる微生物は、シトクロムP450活性を有する細菌、真菌、お よび放線菌などである。これらの酵素を有する生物は、ISA247投与後の血液または 尿に認められる代謝物と生体内変換または微生物変換試料を用いた場合に認められる代謝 物を比較することで、経験的に同定することができる。例えば、CYP3A4は、テスト ステロンを水酸化することで6β−ヒドロキシテストステロンを産生する能力により特徴 付けられるヒトP450酵素である。前記酵素はクロトリマゾールおよびナリンゲニンな どの化合物により阻害される。これはカルバマゼピン、フェノバルビタール、およびリフ ァンピンにより誘導される。シトクロムP450活性を有する酵素を発現し、増殖培地で 50 (17) JP 2008-524992 A 2008.7.17 増殖する微生物は、テストステロンを前記培地に導入するときに6β−ヒドロキシテスト ステロンを産生するはずであり、この産生は既知の阻害薬および誘導薬の影響を受けるは ずである。CYP3A4によって代謝される他の基質には、例えば、アセトアミノフェン 、ジアゼパム、テオフィリン、ワルファリン、タキソール、およびニフェジピンを含む。 同様に、これらの化合物が微生物を含む培地に導入されると、前記微生物が前記酵素を発 現している場合、前記基質を代謝するはずである。 【0048】 既知の解明された酵素は、既知の解明された活性を有するものである。代謝化合物の構 造を既知の酵素活性と比較することで、前記化合物の代謝活性を有する酵素を同定するこ とが可能である。前記同定された酵素の有無について、微生物をスクリーニングすること 10 も可能である。そのため、本発明の一観点では、生体内変換系での使用に適した微生物を 同定する方法を提供しており、前記方法は、a)代謝される化合物の構造を既知の酵素活 性と比較する工程と、b)望みの酵素活性を発現した酵素を同定する工程と、c)前記同 定された酵素を発現した微生物を同定する工程と、d)生体内変換処理に前記同定された 酵素を発現した微生物を使用し、前記化合物の代謝物を作成する工程とを有する。この方 法を用いることで、化合物の代謝物を産生するために有用と考えられる微生物を同定する ことができる。 【0049】 或いは、遺伝子配列データを用い、微生物の遺伝子配列と、例えばCYP3A4などの シトクロム酵素をコードした既知の哺乳類遺伝子の配列とを比較することで、有用と考え 20 られる微生物を同定することができる。適当な遺伝子配列を有し、適切な条件で増殖させ た微生物は、目標酵素を発現しているはずである。対照化合物に加え、特定のヒトP45 0酵素を阻害または誘導する化合物は、両方の系で検討することができる。 【0050】 特定のシトクロム酵素によって代謝されることが知られている薬物には、(1)CYP 1A2により分解されるアセトアミノフェン、芳香族アミン、カフェイン、エストラジオ ール、イミプラミン、フェナセチン、テオフィリン、およびワルファリン、(2)CYP 2D6により分解されるアミトリプチリン、ブフロロール(bufurolol)、カプ トプリル、クロゼピン(clozepine)、デブリソキン(debrisopuin e)、フレカイニド、フルオキセチン、ハロペリドール、メトプロロール、メキシレチン 30 、スパルテイン、チモロール、トモキセチン、プロプラノロール、およびコデイン、(3 )CYP3A4により分解されるアセトアミノフェン、ジアゼパム、アミオダロン、ベン ズフェタミン、カルバマゼピン(carbemazepine)、シクロスポリン、ジギ トキシン、ジルチアゼム、エリスロマイシン、エトポシド(etopiside)、フル タミド、イミプラミン、リドカイン、ロラチジン、ニフェジピン、ミダゾラム、レチノイ ン酸、ステロイド、タモキシフェン、タキソール、テルフェナジン、THC、ベラパミル 、およびワルファリンを含む。 【0051】 CYP3A4酵素を発現し、生体内変換法に有用と考えられる微生物には、Actin oplanes sp.(例えば、ATCC番号53771)、Streptomyce 40 s griseus(例えば、ATCC 13273)、Saccharopolysp ora erythraea(例えば、ATCC番号11635)、およびStrept omyces setonii(例えば、ATCC番号39116)を含むが、これだけ に限らない。シトクロムP450酵素を発現することができる他の有用な微生物には、A mycolata autotrophica(例えば、ATCC番号35204)、S treptomyces californica(例えば、ATCC番号15436) 、Saccharopolysora hirsute(例えば、ATCC番号2050 1)、Streptomyces lavandulae(例えば、ATCC番号552 09)、Stretomyces aureofaciens(例えば、ATCC番号1 0762)、Streptomyces rimosus(例えば、ATCC番号288 50 (18) JP 2008-524992 A 2008.7.17 93)、Bacillus subtillis(例えば、ATCC番号55060)、 およびNocardia asteroids(例えば、ATCC番号3318)、Sa ccharomyces cerevisiae(例えば、ATCC番号20137また はATCC番号64667)、Aspergillus nidulans(例えば、A TCC番号32353)、Cunninghamella echinulata va r. elegans(例えば、ATCC番号36112)、Rhizopus sto lonifer(例えば、ATCC番号6227b)、Candida apicola (例えば、ATCC番号96134)、Coprinus cireneus(例えば、 ATCC番号MYA−727、MYA−726、MYA−728、MYA−729、MY A−730、MYA−731)を含む。 10 【0052】 適切な培養時間、培養条件、抽出および精製法の選択は、当業者に周知である。選択し た微生物の増殖は、例えば炭素および窒素などの栄養素、緩衝系、および微量元素を含む 適切な増殖培地を利用し、増殖を促すpH、温度、および給気条件を利用し、当業者が達 成することができる。典型的な炭素供給源には、グルコース、マルトース、デキストリン 、でんぷん、ラクトース、スクロース、糖蜜、大豆油などを含む。適切な窒素供給源には 、大豆ミール、綿実ミール、魚粉、酵母、酵母エキス、ペプトン、米ぬか、肉エキス、硝 酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなどを含む。リン酸塩、塩化ナトリウム、炭酸カルシ ウムなどの無機塩類を添加することもできる。前記微生物の増殖ステージによって、異な る増殖培地を使用することもある。 20 【0053】 Saccharopolyspora erythraea(例えば、ATCC 11 635)、Saccharopolysora hirsute(例えば、ATCC 2 0501)、Amycolata autotrophica(例えば、ATCC 35 204)によるシクロスポリンおよびシクロスポリン誘導体の生物変換での使用に適した 、微生物を増殖させるための典型的な条件および培地は、Corconan,Metho ds in Enzymology 43:487−498(1975)、米国特許第5 ,124,258号、第6,043,064号、および第6,331,622号明細書に 提供されている。Actinoplanes sp.(例えば、ATCC番号53771 )の増殖条件は、米国特許第5,270,187号明細書に例示されている。 30 【0054】 微生物によるマクロライドのその水酸化および/または脱メチル化代謝物への生物変換 のための典型的な増殖条件には、1)米国特許第5,268,370号に例示され、Ac tinomycete sp.(Merck Culture Collection MA 6474;ATCC番号53828)を用いた、L−679,934(FK−50 6)からその代謝物L−683,519への脱メチル化について開示された増殖条件、お よび2)米国特許第5,202,258号に提供された増殖条件を用いた、Actino planes sp.(ATCC番号53771)によるL−679,934からL−6 82,993またはL−683,590からL−683,742への脱メチル化を含む。 Actinoplanes spp. ATCC 53771、Saccharopol 40 yspora erthyreae ATCC 11653、Streptomyces lavandulae ATCC 55209、Stretomyces aureo faciens ATCC 10762、Streptomyces rimosus ATCC 28893、Bacillus subtillis ATCC 55060 、およびNocardia asteroids ATCC 3318を用い、ラパマイ シンの水酸化代謝物(例えば、24−OHラパマイシン)および/または脱メチル化代謝 物(例えば、39−O−脱メチル化ラパマイシン)を産生することができる(Kuhnt ,M.,et al,1997,Enzyme and Microbial Tech nology 21:405−412)。 【0055】 50 (19) JP 2008-524992 A 2008.7.17 界面活性剤 本発明の方法の実施形態での使用に適した界面活性剤は、微生物の増殖環境に導入する 前の加圧滅菌処理に耐えることができる。適切な界面活性剤は生体適合性界面活性剤であ り、これだけに限らないが、例えばPEG 300、PEG 400、PEG 600( BASFのルトロール(登録商標)E 300、ルトロール(登録商標)E 400、ル トロール(登録商標)E 600、ルトロール(登録商標)F 127、およびルトロー ル(登録商標)F 68としても知られる)といったポリエチレングリコールなどの非イ オン性界面活性剤、ラブラゾール(登録商標)(Gatte Fosse、フランスCe dex)などのカプリロカプロイルマクロゴール−8グリセリド、Tween(登録商標 )20、Tween(登録商標)21、Tween(登録商標)40、Tween(登録 10 商標)80、Tween(登録商標)80K、Tween(登録商標)81、およびTw een(登録商標)85(ICI Americas Inc.、ニュージャージー州B ridgewater、Aldrich Chemical Company Inc. (ウィスコンシン州Miwaukee)より入手)などのポリオキシエチレンソルビタン 脂肪酸エステル、グリセリン(BDH Fine Chemicals、オンタリオ州T oronto)、ヒマシ油(Wiler Fine Chemicals Ltd、オン タリオ州London)、ミリスチン酸イソプロピル(Wiler Fine Chem icals Ltd、オンタリオ州London)、クレモホール(登録商標)EL(S igma Chemical、ミズーリ州St Louis)、およびPluronic s(登録商標)F127およびPluronics(登録商標)L108(BASF)な 20 どのポロキサマーを含む。その他の使用できる界面活性剤には、チロキサポール[4−( 1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールポリマーとホルムアルデヒドおよびオ キシラン]などの潤滑剤または乳化剤として作用することができる界面活性剤、BASF のクレモホール(登録商標)A25、クレモホール(登録商標)A6、クレモホール(登 録商標)EL、クレモホール(登録商標)ELP、クレモホール(登録商標)RHおよび Rhone Poulenc CoのAlkamuls EL620などのポリエトキシ ル化ヒマシ油、HCO−40などのポリエトキシル化硬化ヒマシ油、およびポリエチレン 9ヒマシ油を含む。 【0056】 使用できる他の界面活性剤には、ポリソルベート20、ポリソルベート60、およびポ 30 リソルベート80、クレモホール(登録商標)RH、ポロキサマー、Pluonics L10、L31、L35、L42、L43、L44、L61、L62、L63、L72、 L81、L101、L121、L122、PEG 20アーモンドグリセリド、PEG 20トウモロコシグリセリドなどを含む。適当な界面活性剤には、アルキルグルコシド、 アルキルマルトシド、アルキルチオグリコシド、ラウリルマクロゴールグリコシド、ポリ オキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリオキシ エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステ ル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリグリセロール脂 肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリド、ポリオキシエチレンステロール、ポリオ キシエチレン植物油、ポリオキシエチレン硬化植物油、ポリオキシエチレンアルキルエー 40 テル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂 肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポ リオキシプロピレンブロック共重合体、ポリグリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエ チレングリセリド、ポリオキシエチレン植物油、ポリオキシエチレン硬化植物油、PEG −10ラウレート、PEG−12ラウレート、PEG−20ラウレート、PEG−32ラ ウレート、PEG−32ジラウレート、PEG−12オレアート、PEG−15オレアー ト、PEG−20オレアート、PEG−20ジオレアート、PEG−32オレアート、P EG−200オレアート、PEG−400オレアート、PEG−15ステアレート、PE G−32ジステアレート、PEG−40ステアレート、PEG−100ステアレート、P EG−20ジラウレート、PEG−25グリセリルトリオレアート、PEG−32ジオレ 50 (20) JP 2008-524992 A 2008.7.17 アート、PEG−20グリセリルラウレート、PEG−30グリセリルラウレート、PE G−20グリセリルステアレート、PEG−20グリセリルオレアート、PEG−30グ リセリルオレアート、PEG−30グリセリルラウレート、PEG−40グリセリルラウ レート、PEG−40パーム核油、PEG−50硬化ヒマシ油、PEG−40ヒマシ油、 PEG−35ヒマシ油、PEG−60ヒマシ油、PEG−40硬化ヒマシ油、PEG−6 0硬化ヒマシ油、PEG−60トウモロコシ油、PEG−6カプレート/カプロン酸グリ セリド、PEG−8カプレート/カプロン酸グリセリド、ポリグリセリル−10ラウレー ト、PEG−30コレステロール、PEG−25フィトステロール、PEG−30大豆ス テロール、PEG−20トリオレート、PEG−40ソルビタンオレアート、PEG−8 0ソルビタンラウレート、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE−9ラウリ 10 ルエーテル、POE−23ラウリルエーテル、POE−10オレイルエーテル、POE− 20オレイルエーテル、POE−20ステアリルエーテル、トコフェリルPEG−100 コハク酸塩、PEG−24コレステロール、ポリグリセリル−10オレアート、スクロー スモノステアレート、スクロースモノラウレート、スクロースモノパルミテート、PEG 10−100ノニルフェノール類、ポロキサマーのPEG 15−100オクチルフェ ノール類、PEG−35ヒマシ油、PEG−40硬化ヒマシ油、PEG−60トウモロコ シ油、PEG−25グリセリルトリオレート、PEG−6カプレート/カプロン酸グリセ リド、PEG−8カプレート/カプロン酸グリセリド、ポリソルベート20、ポリソルベ ート80、トコフェリルPEG−1000コハク酸塩、およびポロキサマーのPEG−2 4コレステロールなどポリオールの反応混合物も含む。さらに、アーモンドオイル、ババ 20 ス油、ボラージオイル、ブラックカラント種子油、キャノーラ油、ココナッツ油、トウモ ロコシ油、綿実油、月見草油、ブドウの種から取った油、ラッカセイ油、からし油、オリ ーブオイル、パーム油、パーム核油、ピーナッツ油、菜種油、ベニバナ油、ゴマ油、サメ 肝油、大豆油、ひまわり油、硬化ヒマシ油、硬化ココナッツ油、硬化パーム油、硬化大豆 油、硬化植物油、硬化綿実油およびヒマシ油、半硬化大豆油、大豆油、グリセリルトリカ プロエート、グリセリルトリカプリレート、グリセリルトリカプレート、グリセリルトリ ウンデカノエート、グリセリルトリラウレート、グリセリルトリオレート、グリセリルト リリノレート、グリセリルトリリノレネート、グリセリルトリカプリレート/カプレート 、グリセリルトリカプリレート/カプレート/ラウレート、グリセリルトリカプリレート /カプレート/リノレート、グリセリルトリカプリレート/カプレート/ステアレート、 30 飽和ポリグリコール化グリセリド、リノール酸グリセリド、カプリル酸/カプリン酸グリ セリドなどのオイルを使用することもできる。さらに、界面活性剤および/またはオイル および/またはアルコールの混合物を使用することもできる。 【0057】 本発明のいくつかの実施形態では、活発に増殖している微生物培養液に添加する前に、 選択した親油性生体異物をアルカノールおよび適切な非イオン性界面活性剤と混合する。 前記親化合物をアルコールと混合する場合、前記アルコールはエタノールとすることがで きる。さらに適切なアルコールには、メタノール、イソプロパノール、1−プロパノール 、および当該分野で周知の他の適切なアルコールを含む。 【0058】 40 溶媒 本発明のいくつかの実施例では、前記生体異物化合物を微生物培養液に添加する前に、 溶媒と混合する。前記溶媒は、前記生体異物化合物と混合する前に、殺菌されることもあ る。選択的に、界面活性剤も前記生体異物化合物−溶媒混合物に添加される。本発明に適 した溶媒は、前記微生物の増殖および代謝を抑制しない、いかなる溶媒とすることもでき る。前記溶媒は、非極性、非プロトン性極性、またはプロトン性極性とすることができる 。例えば、前記溶媒には、ベンゼン、トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭 化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルt −ブチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエー テル系溶媒、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノールなどのアル 50 (21) JP 2008-524992 A 2008.7.17 コール、塩化メチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタンなどのハロゲン含 有溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホロトリアミ ドなどの他の溶媒を含む。前記溶媒はDMSOではないことが好ましい。 【0059】 以下の実施例は本発明を説明するために提供され、いかなる方法でも、本発明の範囲を 制限するものとして解釈されない。本発明は、特にその好適な実施形態を参照して示され 、説明されるものであるが、添付の請求項で定義された本発明の観点と範囲から逸脱せず に、本発明に様々な形態および詳細の変更を加えることができることは、当業者が理解す ることとする。 【0060】 10 実施例 以下の実施例では、次の略語は次の意味を有する。定義されていない略語は、一般に受 け入れられた意味を有する。 ℃=摂氏温度 hr=時間 min=分 secまたはS=秒 μM=マイクロモル mM=ミリモル M=モル濃度 20 ml=ミリリットル μl=マイクロリットル mg=ミリグラム μg=マイクログラム mol=モル pmol=ピコモル ATCC=アメリカンタイプカルチャーコレクション PBS=リン酸緩衝食塩水 CSA=シクロスポリンA TDM=治療量モニタリング 30 LC=液体クロマトグラフィー MS=質量分析 PEG=ポリエチレングリコール 一般的な材料および方法 液体クロマトグラフィー(LC)の条件 液体クロマトグラフィー(LCまたはHPLC)では、長鎖炭化水素基を多孔質シリカ 基質に化学的に結合することで形成された固定相を有するカラム、つまりWaters Symmetry C8、2.1×50mm、3.5μm分析カラム(Waters c at# WAT 200624)と、Perisorb RP−8(Upchurch Scientific cat# C−601)を充填したガードカラム2×20mm( Upchurch Scientific cat# C−130B)を使用した。前記 LCプログラムで利用された溶媒の割合と流速を表2に示す。 【0061】 40 (22) JP 2008-524992 A 2008.7.17 【表2】 10 【0062】 質量分析(MS)の条件 質量分析では、Applied Biosystems/MDS Sciex API 3000(分析ソフトウェアv1.2)機を用いた。ランタイムは15分、注入量は5μ L、ガードカラム温度および分析カラム温度は60℃とした。手動設定は以下の通りであ る。ターボイオンスプレーは8000、ターボイオンスプレー水平設定は+4、ターボイ オンスプレー外側設定は10とした。前記Sciex機は、表3に示したパラメーターで 設定した。 【0063】 20 (23) JP 2008-524992 A 2008.7.17 【表3】 10 20 30 【0064】 表4は、イオンおよびイオン特異的な機器設定を示している。 【0065】 (24) JP 2008-524992 A 2008.7.17 【表4】 10 【実施例1】 【0066】 全血からのISA247代謝物の調整 ISA247(シス:トランスISA247の50:50混合物)投与後のヒトから全 血を採取した。tertブチル−メチル−エーテル(またはメチルtertブチルエーテ 20 ル、MTBE)を用い、全血からISA247およびその代謝物を抽出し、乾燥、エタノ ールに再溶解した。2mLのMTBE(cat.No.7001−2;Caledon) を200uLの血液に添加し、10分間振盪、2分間テーブルトップ型遠心分離機で遠心 分離させた。上部のMTBE層を除去し、真空濃縮した。この残渣を200uLのメタノ ールに再溶解した。ミクロソーム試料および生体内変換試料の抽出と同様、胆汁と尿の抽 出を行うことができる。抽出したら、代謝物をHPLC−MS、NMR、または本分野で 既知の他の方法により特徴付けることができる。図3は、一般的な材料および方法で説明 した通りに行われたLC−MSの結果を示している。全血のISA247代謝物には主に 3群あり、ジオール、水酸化、脱メチル化代謝物である。 【実施例2】 30 【0067】 イヌ肝ミクロソーム試料によるISA247代謝物の産生 イヌミクロソームの調整 イヌ肝ミクロソームは以下の方法で調整した。肝臓を取り出した後、1.15%塩化カ リウム(KCl)で灌流し、小片に角切りにし(約25g)、Polytronホモジナ イザーを用い、15,000rpmで3∼5分、大きな塊が冷却した粉砕用緩衝液(0. 1Mリン酸緩衝液pH 7.4、4℃、緩衝液:肝臓の比1:1)中に分解するまで粉砕 することでホモジネートを生成し、これには肝ミクロソームなどの膜結合性細胞小器官が 含まれた。前記粒子状物質から上清をデカント後、前記上清を90分間、100,000 ×gで遠心分離し、ペレットと上清を得た。タンパク質含有量は、Lowryのタンパク 40 質測定により決定した。このミクロソーム試料のタンパク質濃度は約23.2mg/mL であった。酵素活性の損失を避けるため、ミクロソームを4.0または6.0mLずつ− 80℃で保存し、凍結融解の繰り返しを避けた。 【0068】 以下の成分を257mL三角フラスコに徐々に加えた。57.3mgのNADP、25 4mgのグルコース−6−リン酸、および23.0mgのNADPHを6.0mLのリン 酸緩衝液(pH 7.4に調整)に添加した。次に、2.0mLの5.0mM MgCl 、および6.0mLのグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(10単位/mL、CA LBIOCHEM、カリフォルニア州San Diegoから入手可能、Cat.No. 346774)を前記溶液に添加した。最後に、10mLのリン酸緩衝液(pH 7.4 50 (25) JP 2008-524992 A 2008.7.17 )を添加した。前述の通り調整した用量6mLのイヌ肝ミクロソームを前記フラスコに添 加した後、ISA247を添加し、環境を制御した恒温器/振盪器で37℃、2時間、2 50rpmにて培養した。2時間の時点で、500μLの2M HClを添加し、前記反 応を停止した。 【0069】 次に、この方法で産生される代謝物を有機溶媒で抽出し、さらに高圧液体クロマトグラ フィー(HPLC)で分離した。前記代謝物は、さらにエレクトロスプレー質量分析(M S)およびNMRで特徴を決定した。得られた代謝物のプロフィール(データは示されて いない)は、ヒト全血と同等であった。しかし、前記イヌミクロソームのジオールははる かに少なかった。 10 【実施例3】 【0070】 Saccharopolyspora erythraeaを用いた生体内変換による ISA247代謝物の産生 この実施例では、ヒトシトクロムP450ミクロソーム酵素に相当する微生物の酵素を 含む微生物を利用した生体内変換系と、前記微生物の活発な増殖に適した培地について説 明する。前記生体内変換系に添加する前に、水に難溶性の親化合物をエタノールおよび界 面活性剤と混合した。この実施例では、ISA247のエタノール溶液をTWEEN(登 録商標)40と混合し、次にSaccharopolyspora erytherae a(ATCC 11635)を含む生体内変換系に添加した。 20 【0071】 開始培養液は以下の通り調整した。酵母エキス4g/L、麦芽エキス10g/L、デキ ストロース4g/L、および寒天2g/Lを含む、ISP2斜面培養の試験管15本(1 6×26mm、各6ml)を調整した。これらの成分を最高1リットルの脱塩水中で混合 し、必要に応じてNaOHでpHを7に中和した。前記培地は30分間100℃で滅菌し た。前記試験管は使用するまで4℃で保存した。各斜面培地にSaccharopolv spora erythraea(ATCC番号11635)を播種した。播種した斜面 培地を滅菌条件下、室温で3週間培養した。 【0072】 前培養液を第I相培地に移した。第I相培地は10g/Lデキストリン、1g/Lグル 30 コース、3g/L牛肉エキス、10g/L酵母エキス、5g/L硫酸マグネシウム、およ び400mg/Lリン酸カリウムで調整した。これらの成分を最高1リットルの脱塩水中 で混合し、必要に応じてNaOHでpHを7に中和し、2つのバッフル付き250mL培 養フラスコそれぞれに50mLずつ入れた。前記培地は30分間100℃で滅菌した。S accharopolyspora erythraeaを含む斜面培地試験管に、前記 培地5mLを入れた。前記斜面培地表面の細胞をこすり落とし、前記懸濁液2.5mLを 各フラスコに入れた。前記フラスコを27℃でLabline恒温器に入れ、250rp mで3日間(72時間)振盪した。 【0073】 第I相フラスコの内容物を3300rpmで5分間遠心分離し、上清をデカントするこ 40 とで、第I相培地から第II相培地にSaccharopolyspora eryth raeaを移し、ペレットを得た。5mLの第II相培地を前記ペレットに添加し、前記 試験管をボルテックス、次に3300rpmで4分間遠心分離した。前記上清を再びデカ ントした。前記ペレットは第II相培地に再懸濁した。前記懸濁液をバッフル付き培養フ ラスコ中、第II相培地50mLに添加した。 【0074】 第II相培地には、10g/Lグルコース、1g/L酵母エキス、1g/L牛肉エキス 、および11.6g/Lの3−N−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)緩衝液を 含めた。これらの成分は1リットルまでの脱イオン水に混合し、次に50mLを2つのバ ッフル付き培養フラスコ(250mL)に分配した。5M NaOHでpHを7.0に調 50 (26) JP 2008-524992 A 2008.7.17 節後、前記培地を30分間100℃で加圧滅菌処理し、その後冷却した。TWEEN(登 録商標)40はISA247およびエタノールと混合する前に加圧滅菌処理した。 【0075】 ISA247(EおよびZ異性体の約50/50混合物4mg)を95%エタノール( 0.1ml)に溶解し、次に0.4mlのTWEEN(登録商標)40(ポリオキシエチ レンソルビタンモノパルミテート、Cat.No.P1504、Sigma−Aldri ch、ミズーリ州St.Louis)と混合した。前記親化合物−界面活性剤の混合物は 、次に前記第II相培地中、Saccharopolyspora erythraea に添加した。ゼロ時間のサンプルを入手、凍結した。各フラスコのキャップを閉め、27 ℃でInnova恒温器に入れ、170rpmで振盪しながら、120時間培養した。 10 【0076】 第2のサンプルは前記第II相培地から入手した。前記ゼロ時間のサンプルおよび前記 第2のサンプルは、tert−ブチル−メチルエーテル(cat.No.7001−2、 Caledon)により抽出した。前記抽出代謝物をメタノール(HPLCグレード)に 再溶解し、前述のLC−MSで分析した。図4に示す通り、この方法で得られた代謝物プ ロフィールは、ヒト全血から得られた代謝物プロフィールと同等である(実施例1を参照 )。前記生体内変換混合物を分析した際、7種類の代謝化合物があることが分かり、それ はIM4n(アミノ酸−4でN−脱メチル化されたISA247代謝物)、IM9(アミ ノ酸−9で水酸化されたISA247代謝物)、IM4(アミノ酸−4で水酸化されたI SA247代謝物)、IM1−c−1(表1参照)、IM1−d−1(表1)、IM1− 20 d−2(表1)、IM1−d−3(表1)であった。従って、ヒトの血液において明らか となったISA247の代謝物8種類中7種類が、この生体内変換系で産生された。 【実施例4】 【0077】 Saccharopolyspora erythraeaを用いた生体内変換におい て前記界面活性剤を変化させる影響 様々な界面活性剤の影響を検討するため、Saccharopolyspora er ythraea(ATCC番号11635)の活発に増殖する第II相培養液を前述の通 り調整した。エタノール(0.33ml)中ISA247(56mg、EおよびZ異性体 の50/50混合物)を含む試験管7本を調整した。界面活性剤(試験管1本につき0. 30 67ml)を以下の通り、各試験管に添加した。 試験管1−PEG 400(ポリエチレングリコール400、Carbowax−Fis her Scientific、ニュージャージー州FairLonn); 試験管2−ヒマシ油(Wiler Fine Chemicals Ltd、オンタリオ 州London); 試験管3−ミリスチン酸イソプロピル(Wiler Fine Chemicals L td、オンタリオ州London); 試験管4−グリセリン(BDH Fine Chemicals、オンタリオ州Toro nto、ロット番号120343/73865); 試験管5−クレモホール(登録商標)EL(Sigma Chemical、ミズーリ州 40 St Louis); 試験管6−ラブラゾール(登録商標)(Gatte Fosse、フランスCedex) ;および 試験管7−TWEEN(登録商標)4 (Aldrich Chemical Comp any Inc.、ウィスコンシン州Milwaukee)。 【0078】 前記親化合物−界面活性剤混合物を活発に増殖しているSaccharopolysp ora培養液に添加し、ゼロ時間のサンプルを採取した。27℃で振盪しながら5日間培 養後、サンプルを入手、抽出し、前記代謝物を実施例4に示す通り定量した。図3および 4に示したものと同等なHPLCピークの曲線下面積は、存在する代謝物量の指標として 50 (27) JP 2008-524992 A 2008.7.17 測定した。前記HPLCピークは、IM4nと同定されたN−脱メチル化代謝物1種類、 IM4およびIM9と同定された水酸化代謝物2種類、IM1−c−1と同定された環状 代謝物1種類、およびジオール代謝物3種類、つまり、IM1−d−1、IM1−d−2 、およびIM1−d−3と同定された前記ISA247化合物の1アミノ酸で形成された ジオールに対応した(表1を参照)。7種類の前記界面活性剤は、前記生体内変換試料の 代謝物産生を亢進させる活性が、すべて等価ではなかった。図5に示す通り、前記生体内 変換試料にグリセリンまたはPEG 400を添加すると、産生される代謝物の量が大き く増加した。しかし、ヒマシ油、ミリスチン酸イソプロピル、クレモホール(登録商標) 、ラブラゾール(登録商標)、TWEEN(登録商標)40すべてを添加すると、界面活 性剤なしの試料中での代謝物産生よりも、前記生体内変換試料中での代謝物の産生が増加 10 した(図示せず)。 【実施例5】 【0079】 様々な微生物を用いた生体内変換 様々な微生物がISA247からのISA247代謝物産生について評価され、これに はCurvularia lunata(University of Alberta Microfungal Collection and Herbarium(UA MH)9191、ATCC 12017)、Cunninghamella echin ulata var. elegans(UAMH 7370、ATCC 36112) 、Curvularia echinulata var. blakesleena( 20 UAMH 8718、ATCC 8688a)、Cunninghamella ech inulata var. elegans(UAMH 7369、ATCC 2626 9)、Beauvaria bassiana(UAMH 8717、ATCC 715 9)、Actinomycetes(ATCC 53828)、Actinoplane s sp.(ATCC 53771)、Cunninghamella echinul ata(UAMH 4144、ATCC 36190)、Cunninghamella echinulata(UAMH 7368、ATCC 9246)、Cunning hamella bainiere(echinulata)(UAMH 4145、A TCC 9244)、およびSaccharopolyspora erythraea (ATCC 11635)が含まれる。 30 【0080】 これらの微生物について、代謝物の変換収率(産生された既知のISA247代謝物の 量)および代謝多様性(産生された異なるISA247代謝物の数)をスクリーニングし た。前記微生物は第I相で増殖させ、第II相でISA247とともに培養した。ISA 247を前記発酵培地に添加後、前記培地からサンプルを採取し、ヒトの標準的なISA 247代謝物プロフィールと対比してLC−MSで分析し、回収した代謝物を同定および 定量した。96時間の生体内変換サイクルで各菌株を一次検査した後、改良された培地組 成を選択するため、代謝物の変換と代謝多様性が最も高い組み合わせの菌株2種類を、異 なる培地組成を持つ第III相培地で再度検討した。 【0081】 40 第I相/第II相の方法 検討した各微生物は、培養液特異的な寒天斜面培地で管理した。汚染を避けるため、す べての斜面培地は1ヵ月前に調整した。調整した寒天培地は123℃および分圧360m mHgで58分間加圧滅菌処理し、若干冷却し、6mLを滅菌した16×125mm培養 管に正確に量った。前記寒天を前記培養管に入れた後、前記培養管を斜面に置いて斜面培 地を作り、前記寒天が固まるまで冷却、ラベルを付け、27℃で1∼2週間培養した。A TCC 11635およびATCC 53771は、ISP寒天(0.4%酵母エキス、 1%麦芽エキス、0.4%デキストロース、および2%粒状寒天)を用いて胞子形成した 。ATCC 53828、UAMH 8717、およびUAMH 8718は、ジャガイ モデキストロース寒天(PDA、蒸留水中3.9%)を用いて胞子形成した。UAMH 50 (28) JP 2008-524992 A 2008.7.17 4145、UAMH 7369、UAMH 7370、およびUAMH 9191は、穀 類斜面培地(10%混合穀類、乾燥、好ましくは乳児用栄養物、2%粒状寒天。前記穀類 は滅菌の前後で混合し、前記穀類が凝集し、前記斜面培地で寒天の分配が不十分になるの を防ぐ)で胞子形成した。2週間培養後、各微生物を微生物特異的な寒天に播種し、27 ℃に戻した。前記斜面培地が完全にコロニーで覆われてから、前記斜面培地はできれば第 I相で直ちに使用するか、必要であれば4℃に保存した。 【0082】 その後、2mLの滅菌第I相培地(ISP種培養液を含む。1%デキストリン、1%グ ルコース、0.27%牛肉エキス、1%酵母エキス、0.004%硫酸マグネシウム、お よび0.036%二リン酸カリウム、pH 7.0)を、検討対象の微生物を含む原料斜 10 面培地に添加した。滅菌接種ループを用い、前記コロニーを取り除き、ボルテックスした 後、得られた懸濁液を、滅菌した250mLのバッフル付き培養フラスコに含まれる、5 0mLの滅菌第I相培地に添加した。各フラスコは96時間培養し、バイオマスを増加さ せてから、第II相でISA247を添加した。 【0083】 第II相に移すバイオマス(生物量)を調整するため、前記細胞を十分に洗い、第I相 の残渣を取り除いた。第I相の内容物を無菌的に50mL遠心分離用円錐管に移し、5分 間3300rpmで遠心分離し、デカントして上清を取り除いた。前記細胞は過剰な第I I相培地5mL(3.65% MOPS、0.31%酵母エキス、3.14%グルコース 、および0.31%牛肉エキス、pH 7.0)で洗い、再度3300rpmで5分間遠 20 心分離し、その後、前記上清をデカントし、調整直後の第II相培地5mLを添加した。 前記得られた混合物を十分ボルテックスし、無菌条件下、250mLのバッフル付き培養 フラスコに入った50mLの無菌第II相培地に定量的に移した。ISA247の一部( 0.5mL、56mg/mLのISA247(主にトランス型)の33.75%エタノー ル(95%):66.25%グリセロール溶液)を前記培地に添加し、前記混合物を激し く振盪した。一定分量のサンプルを採取し(0.5mL、96時間の第II相発酵中、1 2時間間隔で採取)、LC−MS分析まで−80℃で保存した。96時間後に発酵を修了 した。 【0084】 第III相 30 第III相では、ATCC 53771およびATCC 11635株を種培養液とし て培地C(2%グルコース、2%デンプン、0.5%酵母エキス、2%大豆タンパク質、 0.32% CaCO3、0.25% NaCl)において96時間培養した後、個別の 同型試験で、無菌的に培地3(2%グリセロール、0.5%ペプトン、0.5%酵母エキ ス、0.2%牛肉エキス、0.1%(NH4)2HPO4、0.1% CaCO3、0. 3% NaCl、0.03% MgSO4−7H2O、pH 7.0)または培地16( 2%グルコース、1%グリセリン、1%ペプトン、1%肉エキス、2%大豆タンパク質、 0.5% CaCO3、0.5% NaCl、pH 7.0)に移した。前記発酵培地の 粘性が一貫しているため、LC−MSのサンプルを採取する場合は注意した。 【0085】 40 (29) JP 2008-524992 A 2008.7.17 【表5】 10 【0086】 LC−MSによる代謝物分析 −80℃で保存したサンプルを解凍し、16×10mmの培養管にラベルを付け、分析 するサンプルを示した。0.5mLの各サンプルから200μLずつ取り除き、内部標準 20 として25uLの1mg/mLCsA(シクロスポリンA)溶液を添加した。2mLのH PLC−グレードメタノールを各サンプルに添加し、前記サンプルにキャップを付け、2 0分間振盪した。前記サンプルは3300rpmで1分45秒間遠心分離した。前記上清 を清潔でラベルを付けた16×10mm培養管にデカントし、減圧濃縮し、有機溶媒を除 去した。乾燥し、前記代謝物と親薬物を含む層を200μLのHPLC−グレードメタノ ールに再溶解し、前記サンプルは定量的にオートサンプラーバイアルに移した。サンプル を15分間脱イオン水と0.01%酢酸/酢酸ナトリウムで測定し、12分間m−TBE (メチルtert−ブチルエーテル)およびHPLC−グレードメタノールを増量した勾 配を開始した。 【0087】 30 図6は、ヒト参加者からプールしたサンプルの典型的な代謝物について、質量分析シグ ナルと保持時間を対比したグラフである。表6は、認められたイオン質量、対応する定量 可能なISA247代謝物、およその保持時間をまとめている。定量されたイオン質量は 、1223、1237、1239、1253、1255、1267、および1271など であった。ここでは2つのジオール(IM1−d−1およびIM1−d−4)が検出され たが、実施例1では3つのジオール(IM1−d−1、IM1−d−2、およびIM1− d−3)が検出された点に注意すること。この相違の理由は、ISA247のトランス体 はIM1−d−1およびIM1−d−4に代謝されるが、ISA247のシス体はIM1 −d−2およびIM1−d−3に代謝されるためである。実施例1で使用された親化合物 はシス:トランスの50:50混合物であり、この実施例の親化合物は主にトランス−I SA247であったため、前記代謝プロフィールは前記ジオールと異なっていた。 【0088】 40 (30) JP 2008-524992 A 2008.7.17 【表6】 10 【0089】 相対変換率(%)は、検出された定量化可能な各代謝物のピーク曲線下面積(AUC) と内部CsA標準の曲線下面積の比から、以下の式により計算した。 変換率(%)=(代謝物AUC)/(CsA内部標準AUC)×100 結果 生体内変換96時間後の代謝多様性を表7にまとめた。チェックマークは、定量可能な 20 量の代謝物が産生されたことを示している。表8は、検討された各微生物が産生した各代 謝物の量を示している。 【0090】 【表7】 30 【0091】 40 (31) JP 2008-524992 A 2008.7.17 【表8】 10 20 【0092】 従って、本実験で検討した微生物の中では、ATCC 11635が最も大きな変換率 と代謝多様性を示した。ATCC 11635サンプルでは、既知のヒトISA247代 謝物8種類が検出された。UAMH 4145は8種類中6種類の代謝物を産生した。大 量のIM4nを発生させる(6.66%)という固有の能力があるため、研究室で使用さ れることが多いATCC 53771は、8種類中5種類のヒト代謝物を産生した。AT CC 53828は8種類中4種類の代謝物を産生し、これらの代謝物産生はそれぞれ少 30 量であったが、まれな代謝物1239が産生された。UAMH 7369およびUAMH 7370は、それぞれ4種類の代謝物を産生した。UAMH 9191およびUAMH 8718は、それぞれ6種類の代謝物を産生した。UAMH 8717は3種類の代謝 物を産生した。 【0093】 微生物の選択において考察される別の要因は、ISA247には「まれな」代謝物があ るという点であった。「まれである」とは、IM1−d−4、1239、および1255 などATCC 11635が大量に産生しない代謝物と定義される。IM1−d−4はA TCC 11635、UAMH 8717、およびUAMH 9191に存在するが、A TCC 11635により最も大量に産生された。微生物株ATCC 11635、AT 40 CC 53771、ATCC 53828、UAMH 7370、UAMH 8717、 UAMH 8718、UAMH 9191はすべて1239を産生した。最も大量に産生 する微生物はUAMH 8717であった。イオン1255に対応する代謝物は、ATC C 11635、UAMH 4145、ATCC 53771、UAMH 8717によ り産生され、変換率が最も高いのはATCC 11635であった。 【0094】 この実験の第III相では、ATCC 11635およびATCC 53771が培地 3および培地16で培養され、前記培地の効果を比較した。図7は、ATCC 1163 5の結果を示している。培地3および培地16は、IM1−d−1、IM1−d−4、お よびIM1−c−1を除き、各代謝物を同量ずつ産生した。IM1−d−1の産生は培地 50 (32) JP 2008-524992 A 2008.7.17 3で減少し、培地16では検出可能なレベルで存在していなかった。IM1−d−4の産 生は培地3および培地16のいずれにおいても減少した。IM1−c−1の産生は培地3 で10%増加した。図8は、ATCC 53771中のISA247代謝物の産生におけ る、培地組成の影響を示したグラフである。IM1−d−1はISP2培地を用いた場合 にのみ検出され、IM9およびIM4は培地3および培地16を用いた場合にのみ検出さ れた。IM1−d−4を除き、ほとんどの前記代謝物は培地3および培地16を用いるこ とで増量した。従って、前記微生物の増殖培地を変更し、生体内変換の作用を最適化する ことができる。 【実施例6】 【0095】 10 Beauvaria bassianaを用いた生体内変換における界面活性剤と溶媒 の影響 実施例5では、Beauvaria bassiana(UAMH 8717)のみが わずかにISA247代謝物を産生した。界面活性剤または溶媒によって産生プロフィー ルを変化させることができるか否かを検討するため、ジメチルスルホキシド(DMSO) およびTWEEN(登録商標)40を(実施例5で使用した)グリセロールと比較した。 0.5mLの56mg/mL ISA247溶液(33.75%エタノール中(95%) 、グリセロールの代わりに66.25% DMSOまたはTWEEN(登録商標)40) を50mLの培地に添加した。同じ第I相および第II相培地と実施例の方法を用いた。 【0096】 20 図9に示す通り、界面活性剤としてグリセロールを使用すると、IM1−d−4、12 39、および1255が形成し、DMSOではIM1−d−1、IM4n、IM4が形成 し、TWEEN(登録商標)40ではIM1−d−1、IM1−d−4、1255、IM 4n、IM9、およびIM4が形成した。変換量も劇的に変化した。結果的に、生体内変 換結果は、前記親化合物を到達させるために使用される溶媒または界面活性剤を変更する ことで最適化することができ、当業者が特定の溶媒、界面活性剤、培地を選択し、代謝物 の組み合わせに含まれる特定の代謝物の産生を増加させることができる。 【0097】 本明細書で引用された文献、特許、特許出願書類はすべて、それぞれ個別の文献、特許 出願書類、または特許が具体的かつ個別にそのまま参考文献として組み込まれることが示 30 されている場合と同程度に、本明細書でそのまま参考文献として組み込まれている。 【0098】 本発明の多数の実施例について述べてきた。それにもかかわらず、本発明の観点と範囲 から逸脱せずに様々な修正を加えることができることは、理解されるものとする。 【図面の簡単な説明】 【0099】 【図1】図1は、ISA247の構造を示すものである。ISA247のアミノ酸残基が 数で示されている。ギリシャ文字は、アミノ酸1の炭素の位置を示している。 【図2】図2Aおよび2Bは、それぞれ、ISA247分子のトランス(E−)およびシ ス(Z−)異性体の構造を提供するものである。 40 【図3】図3は、シス:トランスISA247の50:50混合物を投与された被験者の ヒト全血から単離した、ISA247代謝物のプロフィールを示したHPLCスキャンで ある。 【図4】図4は、実施例4で説明した生体内変換法により単離したISA247代謝物の プロフィールを示したHPLCスキャンである。 【図5】図5は、生体内変換系において、異なる界面活性剤がISA247代謝物の産生 に与える影響を示したグラフである。 【図6】図6は、主にISA247のトランス異性体を含むISA247製剤を投与され た被験者の、ヒト全血から単離したISA247代謝物のLC−MSプロフィールを示し ている。 50 (33) JP 2008-524992 A 2008.7.17 【図7】図7および8は、それぞれ、Actinoplanes sp.(ATCC 5 3771)およびSaccharopolyspora erythraea(ATCC 11635)による、ISA247代謝物の産生に対する培地3および培地16の影響 を比較したものである。 【図8】図7および8は、Actinoplanes sp.(ATCC 53771) およびSaccharopolyspora erythraea(ATCC 1163 5)それぞれによる、ISA247代謝物の産生に対する培地3および培地16の影響を 比較したものである。 【図9】図9は、Beauvaria bassianaによるISA247代謝物の産 生に対する異なる溶媒および界面活性剤の影響を示したものである。 【図1】 【図2】 10 (34) 【図3】 【図4】 【図5】 【図6】 JP 2008-524992 A 2008.7.17 (35) 【図7】 【図9】 【図8】 JP 2008-524992 A 2008.7.17 (36) JP 2008-524992 A 2008.7.17 【手続補正書】 【提出日】平成20年5月21日(2008.5.21) 【手続補正1】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0006 【補正方法】変更 【補正の内容】 【0006】 生体異物が高い親油性である、つまり大規模発酵法に用いる水性培養液に非常に溶け にくい場合は、大量の代謝物を産生することが特に困難となる可能性がある。従って、効 率的に大量な不溶性生体異物の代謝物を産生する方法が必要である。 この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日 以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。 【特許文献1】中国特許出願第1483815号明細書 【特許文献2】カナダ特許出願第2390572号明細書 【非特許文献1】KEIHLMANN et al.,"The biotransfo rmation of chrysene to trans−1, 2−dihydr oxy−1, 2−dihydrochrysene by filamentous fungi.", Can. J. Microbiol.,1996,Vol.42, No. 6, pp. 604−608; 【非特許文献2】URLACHER and SCHMID,"Biotransfor mations using prokaryotic P450 monooxyge nases.", Current Opinion in Biotechnolog y,1 Dec. 2002, vol. 13, No. 6, pp. 557−5 64; 【非特許文献3】YOU et al.,"Anaerobic DDT biotra nsformation: enhanced by application of surfactants and low oxidation reducrion potential.", Chemosphere, 1996,Vol.32, N o.11, pp.2269−2284 (37) JP 2008-524992 A 2008.7.17 【国際調査報告】 10 20 30 40 (38) JP 2008-524992 A 2008.7.17 10 20 30 40 (39) JP 2008-524992 A 2008.7.17 10 20 30 40 (40) JP 2008-524992 A 2008.7.17 10 20 30 40 (41) JP 2008-524992 A 2008.7.17 フロントページの続き (81)指定国 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM), EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF, BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO, CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LC,LK,L R,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY ,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW (72)発明者 トレパニール、ダニエル、ジェー. カナダ国、ティー6アール 3イー1 アルバータ、エドモントン、ハスウェル プレイス 14 17 Fターム(参考) 4B063 QA06 QA18 QQ05 QQ23 QR03 QR74 4B064 AG37 CA03 CC03 CD20 CE10 DA01 10