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第3章 新見市における電子投票制度導入効果 1 導入に要した

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第3章 新見市における電子投票制度導入効果 1 導入に要した
第3章
1
新見市における電子投票制度導入効果
導入に要した費用の積算
新見市の電子投票の場合、全国初の電子投票という特別の要因があり、電子投票機等
のレンタル料については非常に少ない費用で済んだ反面、ソフト改修費、啓発のための
費用など初めての電子投票ということで必要になった費用もあり、今後、電子投票の実
績を重ねることにより、安定した費用の積算ができることになると考えられる。
○電子投票の実施に要した経費
12,866千円
(内訳)
電子投票機等レンタル料
2,625千円
非常用発電機(投票所設置)
550千円
模擬投票などの啓発費
1,149千円
ソフト改修費(画面表示(フリガナ)追加) 5,460千円
記録媒体(320枚)買い取り等
1,791千円
その他
1,291千円
○一般的経費
37,787千円
開票作業の時間短縮で生み出された人件費削減
△ 550千円
選挙実施に当たって要した経費総額
2
50,653千円
費用対効果の測定
新見市の場合、電子投票の導入に12,866千円の費用を要したが、投開票時の運
用費用の削減は、開票作業の時間短縮で生み出された人件費の削減の550千円であっ
た。
費用面での比較では、電子投票の導入費用を開票時間の短縮など運用費用の削減でカ
バーすることはできなかった。
しかし、効果という点では、開票宣言後、25分で約90%の開票率で速報を正確に
発表することができるなど自書式投票ではなし得ない効果が認められた。
また、電子投票部分については疑問票などの無効投票が無く、選挙人の意思を正確に
反映させることができ大きな効果があった。
さらに、投票におけるバリアフリー化という点でも自書式投票ではなし得ない非常に
大きな成果が認められた。
3
選挙結果の迅速かつ正確な公表
電 子 投票分 は、 市長選 1 5, 0 6 6 人( 89 . 53 %)、 市 議 選 15 ,0 6 6人
(89.52%)の開票結果を開票宣言後25分で正確に発表している。
他方、自書式による不在者投票は、市長10.47%、市議10.48%であったが、
その開票に120分を要している。
単純に計算すると、電子投票分では1人当たり1分で約600票を処理したことにな
り、自書式投票分では1人当たり1分で約1票処理したことになることから、電子投票
分が約600倍の速さで処理できたこととなる。
- 16 -
前回(平成10年6月)は、市長選が無投票であったが、市議選の開票に3時間20
分要した。また、前々回(平成6年6月)の市長・市議選では、開票に4時間を要して
いる。
このような点を考慮すると、電子投票の導入により選挙結果を迅速かつ正確に公表す
ることができた。
区
市 長 選 挙
市 議 選 挙
計
数
16,827人
16,829人
33,656人
電子投票機での投票者数
(開票に要した時間)
15,066人
( ― )
15,066人
( ― )
30,132人
( 25分)
不 在 者 投 票 者 数
(開票に要した時間)
1,761人
( ― )
1,763人
( ― )
3,524人
(120分)
投
4
分
票
者
開票事務の効率化、迅速化
電子投票分の開票事務は、2人の職員が
43投票所分の記録媒体(コンパクトフラッ
シュ)を集計機(パソコン)に挿入し集計す
るもので、30,132人分を25分で集計
できたことになり、大幅に効率化、迅速化が
図られている。
不在者投票分は、自書式のため32人の職
員が約3,500票を処理するために、2時
間を要した。
5
有権者の投票意思の正確な反映
市長選挙及び市議会議員選挙の開票結果は、
次表のとおりとなっており、今回の投票におけ
る無効投票は、不在者投票(自書式投票)の市
長選挙で53票、市議会議員選挙で29票だけ
となっている。このため、前々回の市長選挙に
おける179票(白紙投票を除く)、前回の市
議会議員選挙の65票(白紙投票を除く)に比
べ大幅に少なくなっており、有権者の投票意思
を正確に反映したといえる。
他方、今回の電子投票においては、「投票し
ないで終了する」という画面表示を設定し、選
択ができるようにしたため、「投票しないで終
了する」を選択した人が市長選挙で253票、
市議会議員選挙で100票と自書式投票の白紙
投票に比べ多くなっている。
- 17 -
(市
長
選
挙)
区
分
今回 (H14.6.23)
前回 (H10.6.14)
投
票
者
数
16,827人
有
効
投
票
16,518票
18,425票
無 効 投 票
(内白紙投票)
53票
― 票)
242票
( 63票)
り
3票
0票
投票しないで終了
253票
―票
持
ち
帰
(
無
投
票
前々回 (H 6.6.19)
18,667人
(市議会議員選挙)
区
分
今回 (H14.6.23)
前々回 (H 6.6.19)
投
票
者
数
16,829人
17,542人
18,668人
有
効
投
票
16,685票
17,429票
18,454票
無 効 投 票
(内白紙投票)
持
ち
帰
り
投票しないで終了
6
前回 (H10.6.14)
29票
― 票)
(
(
113票
48票)
15票
100票
214票
63票)
(
0票
―
票
0票
―
票
バリアフリー化(有権者の利便性の向上)
新見市の電子投票においては、タッチパネル方式を採用していたため、投票用紙に候
補者名を書くことが困難な選挙人も候補者名の部分をタッチペンで触れるだけでよく、
また、操作補助制度、視覚障害者には音声ガイダンスによる投票もあったため、これま
では代理投票(→P.48)などを余儀なくされていた選挙人も自分で操作し投票することが
できた。
代理投票者数は、今回の選挙では25人で、前回、前々回の約1/2に減少している。
また、点字投票は、前々回が市長選と市議選でそれぞれ2票ずつ、前回が市議選で1
票であったが、今回の選挙では点字投票はなかった。
これらのことは、電子投票によるバリアフリーの効果と考えることができる。
(代理投票、点字投票の状況)
区
分
今回 (H14.6.23)
前回 (H10.6.14)
前々回 (H 6.6.19)
代 理 投 票 者 数
25人
42人
52人
点 字 投 票 数
0票
1票
- 18 -
4票 (2票ずつ)
(1)
操作補助制度
電子投票特例法により、電子投票機の操作が困難な選挙人のために操作補助制度が設
けられ、電子投票機の操作についての助言、介助などを行うことができることとなった。
この制度は、選挙人の申立てにより、投票管理者が投票立会人の意見を聞き、補助者
2人を選任し、補助者の1人が投票機の操作についての助言、介助などの措置を行い、
他の1人がこれに立ち会う。なお、この制度においては、補助者は選挙人に代わって電
磁的記録媒体に記録する操作を行うことはできないこととなっている。
しかし、自書式でないため自分で候補者の氏名を書けない選挙人であってもタッチペ
ンでの選択が可能であれば、代理投票によらなくても自分自身で投票ができたため、投
票の秘密を侵されることもなく、高齢者等にも好評であった。
今回の選挙では、129人が操作補助制度を利用して投票を行った。
(2)
音声ガイダンスによる投票
視覚障害者用には、投票機の端子にヘ
ッドホンと専用のキーボードを接続して
音声投票が可能になるようにした。
音 声 投 票は 、 「 ○ 」 「 △ 」 「 × 」
「↓」「↑」が立体的にかたどられた5
つボタンのある専用端末をヘッドホンか
ら流れるアナウンスに従って操作するも
ので、画面を一切見なくても投票でき
る。そのため、点字の読めない視覚障害
者にも分かるようになっていた。
今回の選挙では、3人が音声ガイダン
スによる投票を行った。
視覚障害者は、ヘッドホンで案内を聞
きながら操作し、候補者の選択も自分の
ペースですることができた。
事前に、(福)岡山県視覚障害者協会の
協力を得て、実際に25人の視覚障害者の意見を聴取したところ、「事前の説明事項は
理解できましたか」との質問に、「大変よく理解できた」13人(52%)、「まあまあ
理解できた」8人(32%)と84%の人が理解できたと答えた。
また、「ボタン操作による候補者の選択は容易にできましたか」との質問に「自分で
容易に選択できた」21人(84%)、「自分で選択できたが難しかった」3人(12%)
と96%の人が自分で選択できている。
7
省資源効果
電子投票機で投票するため、不在者投票分等を除き投票用紙が不要となり、紙資源の
節約効果があった。
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