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治療計画装置の安全利用

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治療計画装置の安全利用
治療計画装置の安全利用
和田 数幸
フィジックスサポート
1
放射線治療における治療計画装置とは
今回は外照射の治療計画装置を扱います。
2
放射線治療における治療計画装置とは
3
•
病巣に対して放射線の入射方法を検討し、適切な線量が処
方できているか確認するためのシミュレーターです。
•
医師の処方を実現するためには・・・
•
X線発生装置(リニアック)の仕様を正しく反映できていること。
•
患者情報を取り扱うことができること(主にCT画像)
•
吸収される線量を正しく計算できること。
放射線治療(外照射)における治療計画装置
4
放射線治療(外照射)における治療計画装置
多くの情報を集約して
計画情報を作成する。
多くのことが手作業
5
どのプロセスにおいて事故が多いの?
6
有害事象の発生件数 (WHO調べ)
問
診
・処
方
7
位
置
決
め
・固
定
具
シ
ミ
ュ
レ
ー
シ
ョ
ン
・画
像
コ
ミ
ッ
シ
ョ
ニ
ン
グ
プ
ラ
ン
ニ
ン
グ
デ
ー
タ
転
送
患
者
セ
ッ
ト
ア
ッ
プ
治
療
(
照
射
)
http://www.who.int/patientsafety/activities/technical/radiotherapy_risk_profile.pdf
治
療
効
果
の
レ
ビ
ュ
ー
複
数
要
因
ニアミスの発生件数 (WHO調べ)
問
診
・処
方
8
位
置
決
め
・固
定
具
シ
ミ
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シ
ョ
ン
・画
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コ
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(
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射
)
http://www.who.int/patientsafety/activities/technical/radiotherapy_risk_profile.pdf
治
療
効
果
の
レ
ビ
ュ
ー
複
数
要
因
治療のプロセスは?
9
放射線治療(外照射)における治療計画装置
治療に必要な流れ
治療方針の決定
治療用CTの撮影(固定具含む)
治療計画
照合装置で計画取り込み
照射前確認(位置合わせ)
照射
10
放射線治療における治療計画装置とは
治療計画装置の流れ
画像の取り込み
輪郭作成(ターゲットとリスク臓器)
入射ビームの決定
線量評価
照合装置へのプラン転送
11
独立検証・QAプラン
治療用のCT撮影で大事なこと
12
治療用の画像
→
腫瘍の位置情報を正確に把握すること。治療時には正確に
セットアップを再現する必要があります。寝台もフラットになっ
ていたり、レーザーマーキングができるようになっています。
固定具なども作成する場合があります。
→
近年は放射線治療の高度化に伴い、画像から密度補正を行う
ケースが増えてきました。この場合は、CT値と密度を結び付
ける相関テーブルが必要になります。
13
治療用の画像
治療計画には密度とCT値の相関グラフを登録
して、線量計算に役立てます。
14
治療用の画像
15
治療用の画像
密度の分かっているロッドから判定
治療計画装置によって電子密度か物理密度
の登録に分かれるため確認することが必要
16
治療用の画像
撮影条件を変えても良い?
17
治療用の画像
施設で決めた撮影条件を使用しています!
CTと密度の相関関係は撮影条件によって変化します。
撮影方法や条件などの手順を作り、守る必要があります。
撮影条件は別装置では同一とは限りません。装置ごとに決定します。
定期的なチェックも必要です。
18
画像の取り込みで確認したいこと
19
治療用の画像
DICOMだから大丈夫だよね?
20
治療用の画像
画像の左右反転でポジショニングエラー
断面は足側/頭側のどちらを要求しているのか。
取り込み時の設定を確認しましょう。
21
治療用の画像
外部装置で作成した輪郭のずれ
•
22
各社の画像取扱の定義が異なる場合があります。
治療用の画像
電子密度割り当てミス
DICOM規格にない
自動で割り当てられるわけではありません。
同じCT装置でも、撮影条件にあわせた相関テーブルを用意しているかもしれません
23
治療用の画像
•
幾何学的情報の確認
− 患者方位・FOV・Tilt・スライス厚・ポジション
− 再構成画像で計画可能か
− 距離
•
24
Window/Level
参考: JSMP TG01 X線治療計画システムに関するQAガイドライン
治療用の画像
治療計画の操作確認も
25
•
患者ID
•
輪郭の抽出
•
内挿機能
•
自動マージン
•
電子密度割り当て
•
点・線・マーカー定義
参考:X線治療計画システムに関するQAガイドライン (JSMP TG01)
治療用の画像
その他の精度確認は?
26
CTとMRのFusion
•
治療計画装置のFusionはどのくらいの精度がでるのか?
マルチモダリティで使用できるファ
ントムを活用しましょう。
27
装置確認のタイミング
•
新しい装置が入ったとき
•
バージョンアップしたとき
•
転送経由が変わったとき
それ以外にも
28
•
呼吸制御ミス
•
蓄尿・排尿の連絡ミス
•
失敗・別目的画像の送信
リニアックの機械的構造・出力特性の登録
29
リニアックとビームデータ
リニアックの機械的特徴・配置
各部構成と方向
30
整形装置配置
MLC
リニアックとビームデータ
リニアックの機械的特徴・配置
例えば・・・
各部構成と方向
ガントリ
コリメータ
31
リニアックとビームデータ
CouchのIsocentric回転の方向が逆に登録
されていたことがあった。
使用頻度が低くかったために
長い間検証されなかった
32
リニアックとビームデータ
リニアックの機械的特徴・配置
各部構成と方向
ウェッジ
33
リニアックとビームデータ
Wedgeの向きが逆方向で登録されていた
34
リニアックとビームデータ
リニアックの出力特性(ビームデータ)
X線の出力
水中での測定
測定データ
メーカにより装置の構成が異なります。
出力特性は装置ごとに異なります。
35
参考:Accelerator beam data commissioning equipment and procedures: Report of the TG-106 of the
Therapy Physics Committee of the AAPM, Med. Phys. 35 (9), 4186
リニアックとビームデータ
Wedgeに関する測定値が間違っていた。
36
リニアックとビームデータ
膨大な登録項目と測定データを取得します。
得られた特性を治療計画装置に反映します。
これらは手作業で行われます。
37
どうやって確認しているの?
38
リニアックとビームデータ
線量計算に関わるコミッショニング
ビームモデリング検証
単純条件で、計算と検証値が許容範囲内か
想定される治療内容を予め検証
臨床条件で、計算と検証値が許容範囲内か
患者QA 独立検証
治療プランを別個の計算システムや手計算でチェックしてみる。
治療内容と同等で、測定可能な条件で、実際に測定してみる。
39
リニアックとビームデータ
登録と計算が正確であれば良いのかな?
40
リニアックとビームデータ
・リニアックの出力校正の計算シートを更新した。
TMR(10x10,10cm)を測定しなおして正確な値に修正した。
→計画装置の絶対線量登録値との乖離
41
リニアックとビームデータ
リニアックと治療計画をセットで考える
リニアックの出力特性を維持する!
故障や経年変化により、計画装置登録時と比べて出力特性が
変わっているかもしれません。
定期的QAで見つかった変動や故障を修復する場合は原状回
復に努めます。
治療計画に関わる内容か検討する。
もし、出力特性が元に戻らないようであれば、計画装置の中の
ビームデータを変える必要も検討しなくてはなりません。
42
リニアックとビームデータ
計画通りの治療ができているかな・・・
定期的なQA
治療方針とリソースから
施設のプログラムを用意
43
参考: Task Group 142 report: Quality assurance of medical accelerators Med. Phys. 36 (9), 4197
日本医学物理学会からAAPM TG142和訳が発刊されています。こちらも参考にされて下さい。
登録間違い以外にも
間違った計画をしていないかな・・・
想定外のことをしていないかな・・・
44
プランニング・転送
どんな間違いがありえるのだろう?
45
プランニング・転送
Weight Point(処方点)の設定ミス
いつものMUと違うなあ・・・
不均質領域・PTV外・ビルドアップ領域・線量勾配が
急峻な領域など、通常設定しないところにした。
46
プランニング・転送
計画者によって輪郭が異なる
47
プランニング・転送
アルゴリズムの設定ミス
48
プランニング・転送
アルゴリズムの設定ミス
いつものMUと違うなあ・・・
診療エビデンスでのアルゴリズムはどうか?
アルゴリズムの選択と検討
49
参考:JSMP TG02 X 線線量計算の不均質補正法に関する医学物理ガイドライン
プランニング・転送
Physical Wedgeと同じMUでVW(Virtual Wedge)を
照射した。(Wedge照射法の切り替え)
Physical Wedgeは照射量が多い
VWでは同じ照射量だと過剰照射に
なってしまう。
患者QAや再プランニングもしなかっ
た・・・
いつものMUで良いのかな・・・
50
プランニング・転送
プラン転送で起こりえること
・治療予定外の計画情報送信
・計画情報の欠落
・リニアックで再現できないパラメータの送信
・間違った照射情報の手動入力
手動入力の個所が多いところでは、ミスも多い
51
参考:Recommendations for the QA of external beam radiotherapy data transfer. AAPM TG 201
プランニング・転送
大間違いをしていないか手計算する。
実際に測定してみるために、同じ計画内容をファントムで計算
する。
別のシステムで計算する。(中身の測定データも独自に取得し
ているのが望ましい)
セカンドチェック
52
参考:ESTRO Booklet No7 /
AAPM TG53
ヒューマンエラー
53
原因
54
•
情報不足・確認不足
•
知識不足・経験不足
•
プロトコルの未作成
•
指示間違い
•
ルール違反
•
コミュニケーション不足
•
計画装置の不具合
対策
55
•
気付いたら報告
•
手順書・チェックリストの作成・見直し
•
計画プロトコルの作成
•
力量による作業内容の分担化とトレーニング
•
コミュニケーションツールの使用・ワークシートの使用
•
システムの一元化・自動化
•
適切なリソース
参考文献
•
「詳説 放射線治療の制度管理と測定技術」 中外医学社
2012
•
「放射線治療計画におけるリスクマネジメント」 放射線治療
かたろう会 ワーキンググループ 2010
※ http://katarou-kai.kenkyuukai.jp/journal2/ からダウ
ンロードできます。
56
•
「X線治療計画システムに関するQAガイドライン」 医学物理
27 (6) 2008
•
「放射線治療における安全確保に関するガイドライン」 日
本放射線技師会出版会 2005
57
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