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下水道のエネルギー消費の 現状

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下水道のエネルギー消費の 現状
資料2−3
下水道のエネルギー消費の
現状
1.下水道施設におけるエネルギー消費量の推移
○下水道施設における電力・燃料消費量は、下水道普及率の増加に伴い年々増加傾向
○処理場における水処理の電力消費量が38%と最も大きい割合を占めている
○下水道施設のエネルギー消費量は、一次エネルギー換算で2003年度において約
72.6PJ(=約188万原油換算kl)に達しており、我が国全体の一次エネルギー総供給量
のうち約0.3%を占める
下水道施設のエネルギー消費量の経年変化(一次エネルギー換算)
80
70
電力・燃料(ポンプ場)
石炭等(処理場)
エネルギー消費量(PJ)
60
都市ガス等(処理場)
重油等(処理場)
50
電力(処理場、
その他)
40
電力(処理場、
汚泥処理)
30
20
電力(処理場、
水処理)
10
0
96
97
98
99
年度
00
01
02
03
出典:下水道統計
2.下水処理場におけるエネルギー消費原単位
○下水処理場におけるエネルギー消費原単位は、規模が小さいほど大きく、かつばらつ
きも大きい
<算定式>
【水処理を行う処理場の場合】
下水処理場におけるエネルギー消費原単位=下水処理場の電力・燃料消費量[MJ]/年間処理水量[m3]
【汚泥処理のみを行う処理場の場合】
下水処理場におけるエネルギー消費原単位=下水処理場の電力・燃料消費量[MJ]/年間処理汚泥量[トン]
処理場のエネルギー消費原単位(水処理を行う場合)
処理場のエネルギー消費原単位(汚泥処理のみ)
1
4
エネルギー消費原単位
(原油換算kl/トン(湿重量))
エネルギー消費原単位
(原油換算kl/千m3)
0.8
0.6
0.4
0.2
0
3
2
1
0
0
20,000
40,000
60,000
日最大処理水量(m3/日)
80,000
100,000
0
10,000
20,000
30,000
40,000
下水汚泥年間処分量(トン(湿重量)/年)
出典:下水道統計
3.処理プロセス別のエネルギー消費特性
○汚泥処理のうち、焼却・溶融を行っている場合は、原単位がその分大きくなるが、他の
汚泥処理工程(濃縮・脱水等)が原単位に与える影響は軽微
下水処理場における処理プロセス別のエネルギー消費原単位
エネルギー消費原単位(原油換算kl/千m3)
1
水原単位(Kl/千m3)
(水+泥)原単位(Kl/千m3)
0.8
(水+泥+焼)原単位(Kl/千m3)
0.6
(水+汚)の
回帰曲線
0.4
(水+汚+焼却)の
回帰曲線
0.2
(水)の
回帰曲線
0
0
100,000
200,000
300,000
日最大処理量(m3/日)
400,000
※処理場を「水処理のみ」、「水処理+汚泥処理(焼却・溶融なし)」、「水処理+汚泥処理(焼却・溶融あり)」に分類
500,000
出典:下水道統計
4.下水道施設における省エネ技術例
○沈砂地・主ポンプ・・・スクリーン設備間欠運転、揚砂設備間欠運転、池順次・交互運転、流入水量に応じた池
数制御、主ポンプ運転の効率化、主ポンプ揚水量の平準化(管きょ、調整池を利用)
○水処理工程
1.最初沈殿地・・・流入水量に応じた池数制御、掻き寄せ機・汚泥引き抜きポンプ間欠運転
2.反応タンク・・・送風量適正化、散気装置酸素移動効率の向上、散気装置目詰まリ防止対策、消泡水量の適
正化、間欠散水
3.最終沈殿池・・・掻き寄せ機間欠運転、返送汚泥ポンプの回転数制御、余剰汚泥ポンプ間欠運転、スカム捕
捉効率の向上(返流水量の低減)
4.高度処理・・・水中攪拌機の間欠運転、硝化液循環ポンプ・返送汚泥ポンプの回転数制御、砂ろ過装置・生
物膜ろ過装置洗浄工程の最適化
○汚泥処理工程
1.濃縮・・・濃縮性能の向上、固形物回収率の向上、機械濃縮動力の低減
2.消化タンク・・・消化タンク投入汚泥濃度の管理、消化タンクの温度管理、消化タンク保温の強化、消化タンク
攪拌機の低動力化、蒸気配管加温設備の断熱強化、加温ボイラ・温水ヒータ自動制御
3.脱水・・・供給汚泥濃度の管理、脱水汚泥の低含水率化、搬送設備も含めた脱水機系列の制御、機械脱水
動力の低減
4.焼却・・・汚泥焼却炉稼動計画と脱水汚泥発生量との適合、適正負荷率運転、脱水汚泥の低含水率化、補助
燃料の低減、自燃時間の拡大
5.省エネ型機器の導入による省エネ効果の例(超微細気泡)
○水処理時の電力消費の大半は、ブロアの動力用であり、超微細気泡を導入することに
より、ブロアの電力消費量を約20%(処理場全体の電力消費量の5%に相当)削減可能
と試算される
超微細気泡の導入による省エネ効果の試算
例えば、5万m3/日の規模の下水処理場において、ブロアに超微細気泡を導入することで、
ブロアの電力消費量を約20%、処理場全体の電力消費量を約5%削減できると試算される
ブロア ,
ブロア電力の
4,500( kWh/d)
消費電力
20%削減
ブロア ,
3,600( kWh/d)
※
消費電力
19,035kWh/d
19,035
kWh/d
19,935kWh/d
19,935
kWh/d
(処理場全体)
その他 ,
15,435( kWh/d)
削減分 ,
900( kWh/d)
(処理場全体)
処理場全体で その他 ,
15,435( kWh/d)
約 5%削減
※5万m3/日を想定
通常時
超微細気泡導入時
<省エネ効果の例>
・京都市洛南浄化センター
超微細気泡を導入した系列における水処理
の電力消費量を約48%削減
・コスト削減効果の試算
処理場全体の電力消費量を5%削減した場
合、電気代に換算して年間約1,800万円のコス
ト削減効果が期待される
6.運転管理による省エネ効果の事例(燃焼の最適化)
○省エネのソフト対策として、燃料消費量の多くを占めると考えられる下水汚泥の焼却工
程における焼却条件の最適化等が挙げられる
○大阪府今池処理場では、下水汚泥の燃焼の最適化等を図ることにより、当該下水処理
場の燃料消費量を約16%削減
○引き続き、省エネ対策を実施することによるエネルギー消費量の削減ポテンシャルにつ
いてデータ分析を行う
下水汚泥の燃焼の最適化による省エネ効果の試算
(大阪府大和川下流今池処理場)
・処理水量:8.6万m3/日
・流動空気圧損を24∼25kPaに管理すること等による流動床焼却炉の燃焼の最適化をはじめ、汚泥濃
度の改善、ケーキ貯留時間の短縮化等により、処理場全体の燃料消費量を約16%削減
・燃料代に換算して年間約600万のコスト削減に相当すると試算される
資料2−4
下水道における温室効果
ガスの排出状況
1.下水道施設からの温室効果ガス排出量
○2004年度の下水道施設からの温室効果ガス排出量は二酸化炭素換算で約700万tCO2(全国の温室効果ガス排出量の約0.5%を占める)
○温室効果ガス排出量の内訳を見ると、エネルギー起源CO2が約62%を占めるほか、下
水汚泥の焼却に伴うN2Oの排出量が約24%に達している
○平成17年4月に閣議決定された「京都議定書目標達成計画」において、N2O排出量削
減対策として、下水汚泥焼却施設における燃焼の高度化が盛り込まれた
下水道施設からの温室効果ガス排出量
¾代表的な温室効果ガスの一つ
¾N2Oは、燃焼工程や微生物の働き等により発生
¾N2Oの地球温暖化係数は310
→N2Oを1削減することは、CO2を310削減することと同等の効果
その他(CH4), 0.3%
汚泥焼却(N2O)
24%
水処理(N2O)
10%
合計
700万t-CO2
(2004年度)
燃料
(CO2)
7%
水処理(CH4)
4%
ポンプ場電力(CO2), 6%
<一酸化二窒素(N2O)とは>
<下水道でN2O対策が必要な理由>
処理場
電力
(CO2)
50%
¾燃焼過程でのN2Oの発生は被燃焼物中の窒素に由来
¾下水汚泥の窒素含有率は他の廃棄物に比べて大きい
¾今後とも下水汚泥発生量・焼却量は増加する見込み
¾特に、主流の流動床炉におけるN2O排出係数が大きい
被燃焼物
N含有率(%)
排出係数
g-N2O/t
下水汚泥
5
下水汚泥
294∼1,508
一般ゴミ
1
一般ゴミ
21∼180
2.下水汚泥の高温焼却によるN2O排出削減
○高分子凝集剤を用いて脱水した下水汚泥を、流動床炉において焼却する場合、燃焼温
度を通常の焼却(800℃)から高温焼却(850℃)に転換することにより、汚泥焼却量当た
りのN2O排出量を約6割減少させることが可能
○高温焼却に転換する際に、補助燃料の追加投入に伴ってCO2排出量が若干増加する
が、N2O削減効果はその増加分を上回っている
○2010年までに、該当するすべての焼却施設において高温焼却を実施し、N2O排出量を
約130万t-CO2削減することが求められている
高温焼却によるCO2、N2Oの排出量の変化の事例
N2O排出量(万t-CO2)
20,000
5割減
18,000
CO2排出量(kg-CO2/d)
GHG
高温焼却によるN2O削減効果の見込み
重油
汚泥処理
16,000
対策なしの場合の
2002年の排出量
193万t
水処理
14,000
CO 2
削減量
12,000
対策なしの場合の
2010年の排出量
241万t
電力
2002年の排出量
163万t
10,000
削減量
約130万t
8,000
6,000
1990年の排出量
85万t
燃焼の高度化による
第一約束期間の排出量目標
109万t
4,000
2,000
0
対策前
対策後
※2004年度において、高分子流動床炉131基
のうち62基で高温焼却実施
下水汚泥焼却量
3,060千t
下水汚泥焼却量
4,785千t
下水汚泥焼却量(見込み)
5,582千t
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