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コーディネーター みなさんこんにちは、早速議論をすすめたいと思います

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コーディネーター みなさんこんにちは、早速議論をすすめたいと思います
パネルディスカッションの内容
■ コー ディネーター
みなさんこんにちは、早速議論をすすめたいと思います。これからの議論は3つのセッショ
ンに分かれて進めていきたいと思います。
はじめに、今回の温泉表示のきっかけになった昨年の温泉地の偽装表示を含むいろんな
問題について、その中身を学問的に話していただいたうえで、利用者が そういった温泉騒
動を受けて、どのように行動、見方を変えたのかという点を議論していただければと思いま
す。
第2セッションでは、利用者が温泉地を選ぶ際の基準、何を基準にして選択しているの
か、情報は選択の決め手になるのかどうかという点を含め て、別府の温泉カルテの試みに
ついて感想、ご意見をちょうだいできればと思います。
最後のセッションでは、温泉地が今後取り組むべきことは何か、いわば結論として利用者
にやさしい表示とはどういうものなのか、特に大分に望むものは何か ということでまとめた
いと思います。3つのセッションをとおして、パネリストの皆さんからのお話が温泉宣言にな
るとご理解いただければと思います。
まず、昨年の問題についてアカデミックな視点から松田先生からお話し頂き、そのあと利
用者の見方についてそれぞれの第一線の方からお話をいただきたいと 思います。
それでは、松田先生お願いします。
■松田氏
皆さんこんにちは、札幌国際大学の松田と申します。私の専門は温泉文化論なんですけ
れども、温泉文化って一言でいえば信頼だといえると思います。
私たち消費者と、温泉経営者、温泉行政との信頼関係、これが私たちが、例えばいろんな
書物に表れてくるようになったのは奈良時代、千二、三百年前なんで すけれども、その間
千年以上の間で、温泉と私たち日本人の間で培われてきたもの、それが温泉文化というも
のなんですけれども、その根幹をなすものが信頼な んですね。
ですから、今日環境省の温泉法の施行規則の改正があって、こういう大分県で前向きな
取り組みをしてるんですけれども、他の業界からしたら今回のような情 報開示は遅かった。
逆に考えれば、消費者と温泉行政との間の信頼関係がある前提で、これまで加温とか加水
とかそういった事実を表示しなくてもいいような形 でこれたんですね。これ(信頼関係)を一
部の温泉経営者に破棄された。これが今回の改正の直接的な原因であった。ただ、情報開
示は時代の流れですから、報 道が長く続いたのは時代が求めていたということなんです
ね。
全国でこの日に併せて催しをしているのはここだけだと思いますが、そういう意味で受け
身ではなくて、能動的に利用者にやさしく、イコール勝ちにいくとい う姿勢が積極的に表れ
ているということで、非常に好ましいなと・・・。
昨日ホテル白菊さんに止めて頂きました。丁度2年ぶりでしたが、明らかにお湯の質が変
わっていましたね。ああいう別府を代表する宿のひとつが前向きな形 で受け止めていること
は意義があるし、別府の可能性を予感させるものだと思います。
それで、去年長野の白骨温泉の入浴剤の使用の発覚がきっかけとなって、あのような事
態になりました。この意味を温泉学の専門家からしていくつか話させて 頂きます。そのあ
と、8月に、これは7月に発覚したんですけど、これは読者からの投書による発覚だったんで
すけれども、そのあといろんなところであったの は、たぶん温泉地内部からの情報だったと
思います。
8月以降、井戸水を温泉と称して入湯税までとってきたということがありました。水道水を
温泉と言ってきたことより、温泉に入浴剤を入れた方がまだいいよ ね(ということを聞いた
が)、私は全部それを否定しました。 私の理解では入浴剤を入れる方がレベルが低いで
す。今、別府にも、日本全国にも、海外から観 光客が増えています。小泉首相が一千万人
超えろと。実際本年も614万人の外国人が入ってきています。その中で、国際化とは地域
性を今まで以上に出すこと なんです。自分たちの個性というものを。これは中国にあるもの
を日本で出しても意味がないんですね。
白骨の場合は入浴剤を入れて白濁させた。ましてライバルとなる草津温泉の入浴剤を入
れた。白骨は歴史、文化性、長いいろんな文人が関わってきた名湯とい われているところ
です。そういう中で、入浴剤を入れることによって自分達の文化、歴史性、個性そのものを
否定したんです。
自分に自信がないところに何万円もかけて行きますか?これは大変な問題なんです。最
新の情報では、今年の夏に専門家を呼んで学習会を開くと言う・・・。 一年も放置しているん
ですね。それでお客さんが来ないというのも無理がない話なんです。
昨年の偽装問題以来39%客が減ってまだ回復できない。実際はそれまで前年比20%台
で伸びていましたら、実際は60%前後の減のままでいると。これは 消費者は正解です。全
国に3100以上温泉地があるんですから、信頼できないところに行く必要はない。温泉文
化、信頼を回復できるように努力を内外に見え るようにしてくれればいい。それで、明らか
に消費者は反応したと言うこと。
東京都内に大江戸温泉物語とか豊島園に大型温泉施設ができた。都内の大都市のどま
んなかにある温泉施設を、今までの山ん中とか、別府とか、本来の温泉施 設との違いは何
なのか、それを明確に示していかなければ、こういった白骨状況はつづく。
日本人は時が経てば忘れるだろうと旧態然とした観光業者とか温泉経営者はそう思って
いるんだと思います。そういう人は60代前後だとしますと、今の主役 は30代前後の人たち
で、価値観は変わってきています。
大分県が表示の日に併せてやったことは、心意気だけでも十分リードしている。これが結
果につながるといいなと思っています。以上です。
■コーディネーター
ありがとうございました。昨年来の問題点、まず温泉の信頼関係が壊れたんだというご指
摘でございます。
それでは、そういった信頼関係が壊れたことを受けて、利用者がどういった見方をするよう
になったのか、お客さんを送る側のJTBの熊野さんお願いしま す。
■熊野氏
現在地位活性化、地元温泉地が元気になって、全国、世界各地からお客さんを呼んで楽
しいまちづくりをしていこうというところを担当しています。
今質問いただきました偽装表示、これが話題になった時点で、私は丁度福岡で営業の担
当をしていました。その温泉表示の問題がある直前どういう状況だった かといいますと、米
国の同時多発テロ、サーズ、鳥インフルエンザと、どこ行っても旅行業大変ねと言われまし
た。ちょっと落ち着いたら、今度はお客様から温 泉地の偽装表示についてどこに行っても聞
かれました。
お客様はまず不信感、不安感、だまされたという感覚が渦巻いていたと思います。実際お
客様からの言葉、問い合わせが急増しました。この温泉は本物なの? と、本物ということば
をよく聞きました。
残念なことに、関係のない温泉地の宿泊が落ちてしまった。そのときに大きく感じたのは、
言葉が先行しすぎたというのは大きく感じました。源泉かけ流しっ て何なのという言葉をお
客様は簡単に言われましたが、本当に求めていたものと乖離があったように感じました。
お客様の見方として、100%源泉掛け流しが良しとされるのが現状でしょうけれども、調
査の結果、温泉の成分を非常に気にしますという方が50%いまし た。じゃあ、それだけ騒
いで注目された県ですけれども、温泉成分はそうでもないよ、実際は立地条件、アクセス、
食、サービス、価格といったものを利用者の 皆さんが注目している。両論併記というか、温
泉の成分も当然重要だし、社会問題になり宿泊者が減るというこ とがありましたが、それ以
外のものも重視するというのが利用者の見方だと思います。以上です。
■コーディネーター
次に受け側として経営者の側からのご意見をうかがいたいと思います。
■後藤氏
自分は今まで、50年間、ただひたすらお客様に何を喜びを与えるかとうことでいつも勉強
して参りました。でも何を今までやってきたかというと、日本の田 舎をつくって自然をつくろ
う、そして個性有る温泉をつくろうということで、黒川温泉は田舎づくりをやってきた訳です。
そして温泉もどんなことをしたらお客 様が喜ぶかということで、勉強してきました。
今まで温泉をいかに温泉らしく見えるかということで勉強してきました、でも今日郡司先生
の話を聞いて・・・、50年間毎日掃除してきてあんまりきれいす ぎるわけです。2日置くと赤
みがでますが、これはきたないということで今まで掃除してきました。でも今日先生の話を聞
いてちいっと考えを変えないかんかな ということで今日思いました。
今から僕たちは何をせないかんかといいますと、個性。別府は別府。今日は3年前に来
て、久しぶりにまいりました。ほんとに活性化してほんとにすごいな と、いま黒川温泉に来る
お客さんで通過型の50%は別府に泊まっているんではないかと耳にしております。いま、
そういう状態です。
■コーディネーター
ありがとうございました。それでは、地元別府温泉の鶴田さんお願いします。
■鶴田氏
今回、一連の騒動のもとで、後ろにたくさん温泉カルテを並べていますけども、こういうきっ
かけは全てお客様にあって、よくここまでやるなと言われまし た。
きっかけは偽装温泉問題の前にさかのぼるとレジオネラの問題と、2002年ほどまでさか
のぼってしまいます。ほぼ3年前ぐらいから温泉の情報公開を我々 は考えていました。特に
別府の場合はほんとに傑出した世界でも例のない温泉地で外湯の数が400ありますから、
これをどうしてお客さんにお知らせしようか という、ほんとに悩みに悩んだというところがあり
ます。いろんな方からご助言をいただきました。すでに郡司さんは別府温泉はすばらしいと
言っていただい て、それを一般のお客さんにどうしてお伝えするのか、今旅行の主流の層
になる女性の皆さんにどうしてお知らせしようかというのが一番キーになったことで す。
今、熊野さんがおっしゃったのは、言葉がとてもたくさん混乱して、天然温泉とか、源泉10
0%かけながしとか・・・。ひとつひとつ解説をしろと言われて も全くできないんですね。こうい
う事情もありました。これを全てある意味で解決できたのが温泉カルテの表示の仕方ではな
いかと思います。
後藤さんがおっしゃられたようなお客様の側に立って考えると、分かりやすく疑問がすぐと
けるような表現はなにか。この表現には苦労したところがあって、 別府が大好きだといわれ
る郡司さんとか、齊藤さんとか、いろんな方の知恵がつまって、やっとここまできたから、すこ
しはお客様にわかりやすくなったかなと いうのが今です。もっと分かりやすくするためにいろ
んなことをやっていきたいと思います。
■コーディネーター
言葉の先行といいますか、言葉と利用者が求めている者の乖離があるんではないかとい
う点をふまえて今回別府で新しい試みをはじめるということになったと いうことだと思いま
す。
大分に、温泉利用施設は1054カ所ございます。今回の改正に併せて、別府の中で今回
22施設が新しい表示を始めることになった訳です。この表示につい て、特にどういったこと
が感じられるのか、ご意見をお聞かせ願えればと思います。
まず郡司さんからお願いします。
■郡司氏
温泉カルテですけれども、ほんとにすごいですね、浴槽内と源泉の泉質を2つ表示しよう
と。これは費用もかかるしすごいことだと思います。それと、いまま で私が個人的にやってき
た色、味、においなどを表示してしまおうというのは非常にすごいと思います。
私は単なるお客ですからわがままなことを申し上げますが、温泉地の問題点がいろいろで
ましたよね。あの中で、ファンとしては水道水は良くないと思います ね。それと、ほとんどの
宿、施設さんがやっていると思うんですが、加水、投薬などなるべくやっていないところを選
んでいます。私が書いているのはそういう のを行っていないところなんで、実際は行ってい
るところは多いんですね。
分かりやすくいうと、循環というのはビールの飲み残しをもう一度出しているようなもので
すから・・・。要は使い回しているわけですよね。これはお客様に 対して失礼だと思うし、小さ
くていいので、「ここは源泉掛け流ししています」という例がたくさんあります。例えば下部温
泉は28℃くらいなんですが、メイ ンのお風呂(のお湯)は加工しない。加工したものは横に
ついている、「ここで暖まりなさいよ」と。
山口県も多くて、32℃とぬるま湯状態なんですが、小さい加熱浴槽があって非常に安心
できるし、潔いなと。やはり源泉そのままの良さを知っているし、泡 は付くし、ほのかな湯の
香はある。
松田先生が温泉は文化だとおっしゃいましたが、建物とかの他に、湯の使い方、旅館のお
もてなしは世界に誇れる無形文化もたくさんあると思います。
今回の大分県のカルテはすばらしいということで、満点をさしあげたいと思います。
■コーディネーター
ありがとうございました、では、エージェントの立場から熊野さんお願いします。
■熊野氏
今のご質問で、お客さんはどういった基準で温泉地を選び、どういう情報が必要か、温泉
カルテについてどう思うかということですが、弊社は年間2500万 人の宿泊のお申し込みを
いただいております。毎年JTBの宿泊白書を発刊して分析しています。その中で、温泉に行
く動機のベスト3についてです。まず日常 からの解放、次に食、次に温泉の保養、休養とい
うベスト3です。では、どういうプログラムを体験したいのというところで、今までの傾向と変
わってきたの は、まず全身マッサージ、次にエステを受けたい、新しいプログラムの経験を
したい。じゃあ、温泉に求めるものは何なのというところで、ひとつは料理、ふた つめにお
湯、まさに温泉です。3つめに、ただお湯があるだけよりも景色ですね、海、山、川、湖、いろ
んな自然と一体となった温泉、そこで感じるにおい、空 気、音、景色、風情。4点めにやはり
旅館で受けるサービス。こういったものがお客様が求めるものだろう。というデータがあがっ
ています。
実際、私もそうですけども、温泉にいって命の洗濯というか、癒しにつながるものを求めて
日々温泉につかるということをやっております。
では、別府温泉の温泉カルテについてどう思うかということですが、まさに郡司さんと一緒
ですね。今日のフォーラムのタイトルにありますけれども、利用者 にやさしいというのが個
人的には第一に感じます。いままでの分析表というのが、やはり専門家でないと、ぼくたち
旅行のプロでもわかりません。今回のカルテ はだれでも理解できる。ほんとに利用者にや
さしいなと。さらにいえば、別府の実力を見せつけられる。全国有数の別府を見せつけられ
る材料になる。
一番最初に戻りますが、利用者の不信感を払拭でき、安心感を求められるのが最大のメ
リットだと思います。
■コーディネーター
熊野さんから温泉カルテについてお褒めをいただきました。では、黒川温泉の立場から別
府温泉の表示についてどういう感想を持たれたのか、後藤さんにお話 をお聞きしたいと思
います。
■後藤氏
これは自分が50年まえから何を思うてきたかというと、温泉は、温泉が一番大事というこ
とを今まで言い続けました。でも今日フォーラムにきて、別府の方 がこの温泉を活かしてで
すよ、やるっちゅうことは僕はほんとに別府の生きる道と思います。今はなんか魅力が無か
らんとお客さんは来てくれません。昔は別府 は子共のラクテンチとかいろいろあって、ぼくた
ちも子供を連れてまいっておりました。それからちょっと魅力が落ちたなという感じで、今は
元に戻ってほんと にがんばってるなという姿がみえました。ほんとにがんばってください。こ
れは成功すると思います。
■コーディネーター
ありがとうございました。あたたかい、力強いエールをいただきました。
それでは、温泉教授の立場から松田先生に温泉カルテについてのご意見をちょうだいで
きればと思います。
■松田氏
別府の温泉カルテも含めてね、今回の改正で日本中の温泉施設があの4項目の情報をを
出さないとダメになったんですね。だめになったっていうことはその情 報の中で、どう差別化
できるのか、利用者はどういう基準でその温泉地を今後選んでいけるのかということを考え
ていかなければ勝てていかないんです。東京と 大分県も熊本県も最低限あの情報になると
いうことなんです。
今まで私たち消費者は温泉に対する信頼を持っていましたから、温泉という名のもとで
は、どんな温泉も同じレベルだと理解してきたんですね、一般には。
では差別化は何か、それがもっぱら建物であったり、見栄えであったり、施設の豪華さで
あったり、料理であったり、接客であったり、そういうプラスアル ファの情報でお客さんは温
泉を選んできたんですよ。ただ、その前提は温泉ていうものがあるから。で、温泉経営側は
錯覚するわけですね。温泉の要素は温泉だ けではない、風呂だけではない、料理もある、
接客もあるでしょう、と。それは当然です。ですけども、別府の温泉で、湯布院の温泉で、料
理だけで東京とかの 一流のホテルの料理に勝てる、そしてそれだけ呼び集められるという
ところはどれだけ手をあげられますか。日本で15000くらいの温泉旅館がありますけど
も、我々消費者は、温泉が街にない、家庭の風呂と違うレベルの天然の温泉だから、プラス
アルファして、先ほどの宿から流れる情報をもとに向かっていった。
今から情報が流れるということは、温泉にも様々がありますねということですね。消費者は
どのようにしてその情報を読むのか、それをきちんと押さえないと だめですね。
私はず~っと、温泉には本物とまがいものがあるということを言ってきて、最初は読者の方
も仰天していました。まあ、それから10年くらいたって、あ、そ うだなと・・・。ようやく去年わ
かったなと・・・。ただ、去年わかったのは偽物の温泉なんですよ、私は偽物の温泉があると
は言っていないんですよ。これ、 はっきりと消費者側も経営側も覚えないとだめですよ。偽
物とまがい物はなにか。偽物は対象には入っていないんです。
去年の騒動の中で偽物はわかりますか。それは温泉法。法律にのっとっていないものを
偽物といっているんです。例えば掘削する許可を得ないで掘ってしまっ た。それは許可され
ていれば温泉だけども、(無許可だから)温泉でないというのが湯布院の例でしょ。それから
利用許可書が掲示されていない。要するに去年 出ている偽物温泉というのは法律にのっと
っていないから偽物なんです。
だけどこれから問題になるのは、本物に対するまがいものなんです。何かというと、温泉
の定義に合わないものがまがいものなんです。それが、今回の情報の 中で加水とか、加
温、入浴剤とか、薬剤とか、循環とか、その情報の中から読んでいけるんです。
そしたら、どの部分が決めてになるのか、私たちは温泉が本物であるうえにプラスアルファ
を他の料理とか接客に求めていく。今まで温泉法で掲示が義務づけ られた分析表に一番
近い温泉に入れるかどうかなんです。だから、私は温泉法の改正なんて簡単ですよといっ
てきた。ゆう出地点のお湯の分析は貼られているけ ど、私たちが実際に入る浴槽の分析と
2つ掲示してくださいとずっ と求めてきて、そのなかで別府のカルテには両方入っていて、
非常にすぐれているということですね。
ということは温泉の本質は鮮度です。郡司さんは換水が必ずしも良いことではない、浴槽
の中で熟成されればいいと・・・。わたしにすれば地下で熟成されて いるんです。温泉はもと
ももと地表で得られないから価値があるんです。要するに地表で酸化されます。
たとえば後藤さんの新明館は一日何百人と入浴客がいます。それを毎日換水しないと危
険です。今回カルテで非常に小さく扱われているのは、レジオネラ菌は じめ感染症のことで
す。非常に安易です。もう忘れたんですか?2、3年前の問題を。もうちょっときちんとチェッ
クの態勢とかをきちんとしないとダメです。
ですから、まず、今回情報を消費者が読んでいくうえでは、いかに鮮度が重要か、その中
では浴槽のお湯をどんだけとりかえるか。ただ、一日数十人だけのと ころは湯量などによっ
ては一日おきだったりでもよいでしょう。ただ、土曜日に千人近く入るようなところをお湯を換
えないとだめですよ。これがこれから一般 の特に若い人たちの求め方の差になると思いま
す。
今回の温泉カルテについていえば、別府がなぜこれまで苦戦していたのか考えてくださ
い。せっかく世界で一番目2番めに多いゆう出量を誇りながら、湯量の 少ない他の温泉地
と同じレベルで、同じ土俵で相撲をとってきたんです。まったく個性を殺してきたんですね。
せっかく湯量が多いのに循環して安易に手抜きを してきた。他は湯量が少ないからそうして
きたんですよ。湯布院もせっかく湯量が多いのにその多さを感じられない宿がたくさんあると
いうこと。これではだめ ですよ。自分たちの土俵で戦わないとだめじゃないんですか。
そういう意味で、カルテはその部分に別府の若い経営者が気がついて、数年前から意識
を持っているから、今に合わせてこういうことができるんですね。ま あ、それが個性というも
の、国際化という意味だと思うんです。
今回のカルテについていえば、浴槽でも分析をする。それはいいです。長野県でも私は温
泉の委員をしていますけれども、そういうふうにしようとしているん ですが、長野県の経営者
は勇気が無くてなかなか参加してこないですけどもね。
もうひとつ、温泉業界は非常に不思議でならないのは、私たちはお金を払う前に、表示を
受けてこの宿に泊まろうとか、温泉施設に入ろうかとか言うんですけ ども、温泉カルテの中
でもまだチェックインしてからでないと分からない。もちろんホームページとかそういうもので
掲示するんでしょうけども、最低限の情 報、別府らしい情報を玄関先に掲示することです
よ。それで選択肢を広げてあげることですよ。こんな世界無いですよ、俺たちは嘘をつかな
いということを前提 にして、これまで温泉文化って信頼のなかで耐えてきたんです。
いろんな業者から人口温泉の機器がおくられてきます。松田先生入ってみて良かったら宣
伝してって。温泉は人口温泉に勝てるのかって書きたいくらいなんで すよ。それは、温泉と
家庭の風呂の違いは還元系か酸化系かです。その機械は家庭の水道水の塩素を抜いて
還元系に戻していくんですけどもね。まだそんな本を 書かないつもりですけども、日本人は
すごくまめですから、機械に勝てないような温泉、ただ表示すればいいっていう問題でなく
て、せっかく大分はそれにかな うようなレベルにある。だから20、30件でなくて、400施設
くらいあるんですね。だから前向きにやっていただきたい。それから、大分県の取り組み、別
府市の取り組みは勇気があるし進んでいます。3年前までは草津が泉質--宣言というの
をやりました。今回温泉カルテによって、群馬をしのぐような、何歩か 先に進んだことは確か
です。実のあるものにしていただきたいと思います。
■コーディネーター
ありがとうございました。
特に別府温泉、湯布院、大分の優れた温泉資源の量を活かした他の温泉地と違った、こ
れこそ個性だということで、自分の土俵で相撲をとるという意味での評 価をいただいたと思
います。最後にこれからの温泉地が取り組むべきこと、大分に望む、まさに利用者にやさし
い表示とは何かということについて、松田先生か ら補足があればいただいて、みなさんから
も一言づついただきたいと思います。
■松田氏
この会場に来てからいろんなテレビとかから電話がかかって、コメントをっていうことで、そ
の中でも話したんですが、今回の環境省の問題、逆に弱点をみつ けてください。その部分
をどうやって大分県が補って長所にしていくか考えないと、それが戦略・・・。
湯布院が1970年代にやってきたことは、したたかさとしなやかさ・・・、戦略ですよ。大分
はそれを持っているはずなのに、別府はそれがなかったという ことですよね。
手がかりを一つお教えしますよ。いま、加水、加温、投薬とか問題があるなかで、今回の
一部改正は非常に危機だと思っています。加水の問題です。今まで経 営者は温度が高
い、少ない、濃すぎる、など加水の問題との戦いだったと思います。透明だから水を加えて
もわからないだろうという良心との戦いだったと思い ます。そしたら今回の温泉法の改正に
より、加水を明示してその理由をかけばOK・・・。どう読み取ります?それが証拠に加水率
という言葉を、去年本のなか で初めて使いました。別府も今使っています。去年秋に出した
本のなかで、源泉率という言葉を使いながら、いわば果汁100%と同じです。加水20%と
いう ことは源泉率80%と同じです。私たちのデータでは、どの程度の加水まで還元が生き
ているかというデータも持っています。今回その加水率を全く明示するよ うに指示がされて
いないんですね。だから私は温泉ゼミナールの中で、こういうふうに象徴的にいいました。
真水を湧かして、そこに源泉を一滴たらしても温泉 という・・・。いうとは書いてないけど、現
実的にはいえている。今回それを国は公然と認めたことになる。非常に私は大変なことにな
るとおもっています。今 回の一部改正のメンバーの中に法律の専門家がいるとは思えない
んです。ということは逆に言えばこれからそこに焦点が移ると思います。
別府は、大分県はそうでないということを明示することがストロングポイントになります。勝
てます。温泉のあまりない東京も大阪も大分も同じレベルの情報 しか出さなかったら勝てな
いんです。
それから、今の温泉の主役はだれですか。60代、70代の人ではないんです。もちろん元
気いいけど、あと何十年か後にはお客さんにはならないんです。 20代、30代の人はあと5
0年間お客さんなんです。彼らはアメリカ流の情報の方が白黒はっきりしていていいです。
今、まだ私は文化っていうのが専門ですから、日本人の正直なところを買いたいですよ、
でもアメリカなら機械で測定しますよ。はい、温泉カルテのなかで加 水無いって書いている
けどそうなのか・・・って。私たちもORPっていう機械をもっています。それで計って翌日には
加水していないかわかりますよ。これか ら問題となるのは、ようやく食品と同じように、不当
表示のときにものすごいダメージになりますよ。
それともうひとつの弱点は30万円以内の罰金ってなってますけど、だれがチェックしてス
タートしたんですか。県なり、一つの温泉地なり、互いに監視し あってほころびが出ないよう
にすることです。ようやく温泉業界も他の業界と同じような土俵にあがってきたということで
す。しかも監視の態勢がないままにス タートしてしまったということです。ということは、そこ
をきちんと補完していけば勝てるということですね。
■コーディネーター
ありがとうございました。
特に今回始まった環境省の表示に向けて、不当表示の問題と加水の問題、特に源泉率
のあたりの表示を資源の多い大分は力をいれることで強いポイントになる だというありがた
いご指摘をいただきました。
続きまして熊野さんのほうから、大分に求めるもの等をお願いします。
■熊野氏
私のほうからは、温泉に入っていただける方、また、宿泊していただける方、お客様のニー
ズに正対しないといけないだろうと。一番はお客様。こちらに正対 して、スピードをもった対
応が非常に重要だと思います。
お客様の変化のスピードが非常に速くなっています。聞き飽きたことばかもしれませんが、
お客様の求めるもの、旅行形態、風呂のかたち、数年前は部屋付き 露天風呂を求めるお
客さんはわずかだったんですね。今は部屋付き露天風呂をパンフレットに載せないと売れな
いと言うところも一部でてきています。ですか ら、やはりお客様の変化についていけるスピ
ードをもって、正対してそれに対応していくべきだろうと思います。それが温泉表示にもある
のかなと思います。
もうひとつ、温泉カルテを含めた情報のプロモーション。宣伝告知をいかに万人に伝えて
いくか、ということ。これは非常に難しいと思いますし、当然旅行会 社もお手伝いさせて頂き
ますけれども、ここ(別府)がいくら取り組んでも、いくらカルテを作っても、知っている人がい
なければ一緒です。プロモーション手 法が大事だと思います。
それから、九州中の温泉とか地域ででよく聞かれること、別府は元気かえ?と、どこが一
番元気かえと、いろんなことを聞かれますけれども、常に肌で感じま すけれども、別府の取
り組みは常に進んでいて元気だと思います。オンパク、冬の花火にしても元気だと思いま
す。是非、このスピードをもった対応を継続して 頂き、全国をリードできる温泉地であってい
ただきたいと思います。
■コーディネーター
ありがとうございました。スピードとプロモーションということで、ぜひやっていただきたいと
いうことだと思います。
それでは後藤さんのほうからお願いします。
■後藤氏
黒川温泉は自分、うちを売るよりも温泉を売れと、そして利益を出そうとすれば街を創れと
いう思想で徹底している。それが何かと申しますと、人が、お客さ んが温泉を評価するのは
一軒ではないと思う。全体像を想像して評価するのがお客さんだと思います。それからみ
て、各温泉地を見てみらんですか、それをどう しても気持ちのいい、お客さんが感動ある温
泉地、これが一番先に見えんとなかなかお客さんが宣伝してくれません。だから一軒ではな
かなか評価がないという こと。だから、全部を良くして、町中が一丸となってそいういう雰囲
気を作ってお客さんを呼ぶことが大事だと思います。
これは今まで自分が経験して、これはですね、見てみらんですか、いい温泉地っちゅうと、
全部で取り組んで全部で景観づくりもしとるわけ。それをお客さん が評価するわけ。これが
温泉地づくりの大切なことだと思います。
でも、それをやって黒川もちょっと失敗しています。それは何かというと、昼来るお客さんは
ほとんど通過型です。これは何かというと、別府に泊まり、湯布 院、内牧、周辺に泊まり、そ
うするとどういう声が出てくるかというと、昼あんまりうろうろしていると、ここには泊まりたくな
いっちゅうことをお客さんがよ く言います。にぎわいすぎるということを言われるわけです。
どこがどうしてどげんするかというのはなかなか難しいことですな。だから今からそのことに
も、 一生懸命やろうと思います。みんなも一生懸命やってください。
■コーディネーター
ありがとうございました。
温泉地全体でとりくむことが評価につながるということでございます。
では、別府の鶴田さん、これからこの表示をどのようにプロモーションしていくのかお聞か
せください。
■鶴田氏
今日、松田先生の熱弁を聞かせていただいて、ある意味で自信を持ちました。今回ここま
でやってよかったなと・・・。基本的にどうも、今回を機にこれまで 明確に書かないといけなく
なると、お客さんの温泉水そのものにたいする興味がもうひとつランクアップするんじゃない
かなと思いました。
今までは、先ほどの話だとお湯にこだわっている人はだいたい半分くらいだっていう話が
ありましたが、今日きっと夕方のニュースでは別府を出して頂けるん じゃないかと期待して
居るんですが、今回の表示で逆に、悪く言えば非常に温泉の質そのものが劣る温泉地はひ
ょっとしたら落ちていくのかもしれない、と。仲 間が業界にいるんであまり言いたくないんで
すが、どのようにして温泉の質を維持するかというのはとても大切なことになって、我々は温
泉資源の保護を含めて きちっとやらないといけないなといのが松田先生の話を聞いた感想
でした。
で、これから、今日22軒が掲示しました。月末くらいまでに31軒くらいまでになって、その
あと外湯関係が10軒弱増えてきまして、現に旅館関係で申し 込みが10数件あります。今
年の目標としては、観光客が集中する施設80軒くらいまで表示をお願いして、別府にきた
ら温泉カルテのコピーを集めてまわるみ たいな温泉好きが増えると、郡司さんのような名人
にはなれないかもしれませんが、それに近づくような人が男性も女性も・・・、今まではマニア
系の男性が多 かったんですが、女性も増えてくるかなあとか期待をいだきながら、カルテの
普及に我々の協会で一緒にやっていきたいなと。
それから女性に受けのいい、お湯の感覚評価のところは温泉Gメンがチェックをやるわけ
ですね。実は名前を明かしているのはリーダーの齊藤名人なんです ね。実は郡司さんもG
メンです。松田先生も3000湯くらい入ってらっしゃいますよね、是非名誉Gメンにぜひなっ
ていただきたいなと思いまして、別府に来 たときに評価が当たっているかどうか、チェックし
ていただくための名誉Gメンとしてご就任いただきたいというのがこれからの抱負です。
■松田氏
そしたら、大分県は本気だということで、知事、市長さんにも名誉Gメンになっていただくく
らいの、これだけ真剣ですよ、トップがアピールしてますよ、と いう条件のもとでならせてい
ただきます。
■コーディネーター
それは宿題とさせていただきまして、最後に郡司さんからご意見をいただければと思いま
す。
■郡司氏
温泉を利用する一人として、この表示は非常にうれしいことです。いままで加水率、循環か
どうかなどを一生懸命観察していたんですね。それが明らかに明示 されるということは簡単
になりました。でも松田教授がおっしゃられたように、かなりの覚悟が必要だなと。不当表示
になったら、わざわざやって信頼を落とし てしまうことになるので覚悟が必要である。でも私
としてはうれしいことです。
今後の大分に望むことはいろいろとあるんですが、一言で言えば、源泉を大切に使うとい
うことですかね。そうすれば大分全県にわたって良い湯が多いので ね、個性もありますし、
源泉を大切に使う、新鮮さが重要、以上でございます。
■コーディネーター
ありがとうございました。非常に短い時間だったと思いますけれども、それぞれのパネリス
トさんから本当に貴重な意見をいただきました。
とにかく大分は湯量も豊富だ、種類も多いと。この長所といいますか資源をいかして、源泉
を大切にしながらこれを表示していく、それぞれの個性をもった表 示をしていくことがこれか
ら強みになるんだろうし、また外に対するプロモーションにもなるんだろうと思います。
そして、お客様のために全体で取り組むことの大切さも指摘を受けたところでございます。
今回22カ所からの表示のスタートでございますが、大分県内には 1000を越える施設がご
ざいます。そういったところが全て、いろんな形で利用者にやさしい、本当に見て分かる表示
に取り組んでいく方向をこれから確認さ せていただいて、そして、これがまさに湯の国の大
分である、と。名誉温泉Gメンとして、知事と別府市長にも・・・、というお話もございました。そ
ういうの を含めて、全体として大分が取り組むと、いうことを確認させていただいて、この会
を終わらせていただきたいと思います。どうもパネリストの皆さんありがと うございました。
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