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「第8回 Asia Regulatory Conference」開催・参加報告

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「第8回 Asia Regulatory Conference」開催・参加報告
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2015年5月号 No.167
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「第8回 Asia Regulatory Conference」開催・参加報告
−アジア製薬団体連携会議(APAC)の規制許認可チーム活動について−
製薬協は、2015年2月4日と5日の両日、台湾・台北で開催された「第8回 Asia Regulatory Conference (ARC)」に共同
運営者として参加しました。基調講演で製薬協の活動の一環を紹介するとともに、薬事規制にかかわる2つのパネル
ディスカッションを主催しました。
会場風景
はじめに
2015年2月4日と5日、「第8回 Asia Regulatory Conference (ARC)」が、台湾の代表的なランドマークである超高層ビル・台
北101に近 接した 台 北インターナショナルコンベンションセンターで 開 催されました。ARCは 国 際 製 薬 団 体 連 合 会
(International Federation of Pharmaceutical Manufacturers & Association、IFPMA)により推進されており、開催国を変え
ながら、ほぼ2年ごとに開催されています。第8回 ARCの共同運営には、製薬協のほかに、開催国の台湾製薬協(International
Research-Based Pharmaceutical Manufacturers Association、IRPMA)や台湾当局(Food and Drug Administration、FDA)
、
DIA(Develop Innovate Advance)も参加しています。また、今回ははじめてアジア太平洋経済協力会議(Asia Pacific
Economic Cooperation、APEC)の薬事規制調和委員会(Regulatory Harmonization Steering Committee、RHSC)からも
後援を受けて開催しました。
本カンファレンスにはアジア各国の規制当局、製薬企業、アカデミアなど、総勢250名以上が参加し、2日間にわたり、ア
ジアの薬事規制について活発な議論が繰り広げられました。
第8回 ARCのメイントピックスとして、Good Review Practice(GRevP)
とGood Submission Practice(GSubP)の2つが挙げ
られました。GRevPとGSubPの概要は以下の通りです。
GRevP:APECのRHSCが作成した規制当局のための医薬品承認審査に関するガイドラインであり、世界保健機関(World
Health Organization、WHO)
での採択に向けたプロセスが進行中です。
GSubP:アジア製薬団体連携会議(Asia Partnership Conference of Pharmaceutical Associations、APAC)が新たに提案
している、新医薬品の承認申請に携わる者が留意するべき内容を取りまとめた業界基準です。本基準は申請とその管理の
質を改善することによって医薬品登録プロセス全般の質と効率を高めることを目的とします。
これら2つのガイドラインの関係は、後述する製薬協の松原明彦常務理事による基調講演で紹介されましたが、本カンファ
レンスのオープニングにおいても、台湾FDAのYu-Mei Chiang氏により、規制当局のためのGRevPと申請者側のGSubPが一
体となってはじめて、Good Registration Management(GRevPとGSubPを包括した医薬品登録全般に関する上位コンセプ
ト)を達成できると説明がありました。規制当局や製薬業界の枠を超えて、産官一体となってこのコンセプトに取り組んでい
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ることがARC内で深く共有されました。
製薬協では、APACの活動を通して、アジアにおける薬事規制のコンバージェンス(convergence、合致や収束などの意)
に向けた課題に取り組んでおり、その一環としてGSubP作成を推進しています。本カンファレンスでは、基調講演で製薬協
の松原明彦常務理事がAPACの概要を紹介するとともに、GSubPおよび薬事規制のコンバージェンスに関する2つのパネル
ディスカッションを主催しました。また、製薬協から、APACメンバーでもあるアステラス製薬の佐々木功氏および第一三共
の長尾公則氏が、それぞれのパネルディスカッションに参加して、議論を活発に盛り上げるとともにリードしました。
製薬協 松原明彦常務理事による基調講演
APACは、革新的な医薬品をアジアの人々に迅速に届けるために製薬業界から規制
当局へ改善提案を提唱することを目的として、製薬協とアジアの11の製薬団体を軸に
構築したプラットフォームです。APACの傘下では、現時点で、以下の2つのExpert
Working Groupを構成しています。
・創薬連携Expert Working Group(Drug discovery alliances EWG、DA-EWG):各国
の現状とニーズに応じた2国間交流の場を構築し、アジア全体の産学官創薬オープン
イノベーションのプラットフォームに発展させ、アジア発創薬を実現させます。
・規制・許認可Expert Working Group(Regulations and approvals EWG、RA-EWG):
アジアにおける早期申請・承認実現に向けた提言を行い、各国規制当局と協議します。
製薬協 松原 明彦 常務理事
新薬承認審査結果の相互受け入れを目指し、薬事規制のコンバージェンスに向けた
課題に取り組みます。
RA-EWGでは、基本コンセプトとしてGood Registration Managementを推進してお
り、当局のGood Reviewを支援するとともに、アジア各国で高品質の新薬申請と早期承認を目指してGSubPガイドラインを
作成しています。また、規制当局との対話を推進する目的で、製薬産業側の観点からアジアにおける共通の課題を抽出し、
アジア各 国 の 規 制 当 局 に向 けた 提 案 書を作 成しています。RA-EWGの 活 動 が、アジアにお けるGood Registration
Managementに深く貢献していくことを期待します。
パネルディスカッション:
APAC の提案する新薬申請のためのGSubPガイドライン ̶ アジア製薬団体の新しいイニシアチブ
●
●
座長
John CW Lim 氏(Ministry of Health、シンガポール)、富永 俊義 氏(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 国際担当上席審議役)
パネリスト 佐々木 功 氏(製薬協)
、Churn-Shiouh Gau 氏(Center for Drug Evaluation、台湾)、Kum Cheun Wong 氏(Singapore
Association of Pharmaceutical Industries、シンガポール)
、Justina Molzon 氏(元Food and Drug Administration、アメリカ)、
Woo Yong Oh 氏(Ministry of Food and Drug Safety、韓国)
パネルディスカッションの様子
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最初にAPAC RA-EWGのサブリーダーを務める佐々木氏よりAPAC GSubP(案)の目的、概念、構成について講演がありま
した。申請者が質の高い申請を行うための自主規範となるべきGSubPは、規制当局の主導するGRevPと相補的にGood
Registration Managementを構成し、両者のシナジー効果により新薬の早期承認が期待できること、その内容の中でも特
に申請者と審査当局のコミュニケーションが重要な役割を果たすことを述べました。
続いてGau氏より、現状としてアジア各国の規制に十分配慮されていない申請が審査の負担となっており、APACの提案
するGSubPはその解決策となり得るとの強い期待が示されました。ここでも申請者と審査当局のコミュニケーションの重要
性が確認されました。
Molzon氏からは、過去10年間にアメリカで医薬品審査スピードに影響を与えた因子を分析した報告(Scientific and
Regulatory Reasons for Delay and Denial of FDA Approval of Initial Applications for New Drugs 2000-2012, JAMA.
2014;311(4):378-384)について紹介がありました。申請や審査を見直し改善することや申請の前に審査当局と十分なコミュ
ニケーションをとることが早期承認につながるとの支持的な見解が示されました。
パネルディスカッションでは会場から、GSubPガイドライン制定に向けた計画、各国における施行までのプロセスやタイ
ムライン、適用範囲などの質問が多数挙がりました。GSubPの趣旨が、すでに会場全体から実際の指針として受け入れら
れ支持されていることを実感しました。最後に座長の富永氏およびLim氏により規制当局と申請者が協力して医薬品を届け
ることの重要性が熱く語られセッションは終了しました。
ホットトピック:
レギュラトリーコンバージェンス ̶特にAPEC地域での取り組み
●
●
Justina Molzon 氏(元Food and Drug Administration、アメリカ)
Silk Vogel 氏(Ministry of Health、シンガポール)、長尾 公則 氏(製薬協)
座長(兼パネリスト)
パネリスト
パネルディスカッションの様子
本セッションでは、APEC域内でのハーモナイゼーションの進め方や、アジアにおける持続的な変革を推進するために行
う当局と業界の活動を討議しました。
最初にMolzon氏より、APEC RHSCの最新状況が紹介されました。RHSCは2009年6月に設立され、現在はAPECの15の当
局が参画し、APEC域内での薬事規制のコンバージェンスによる安全な医薬品へのアクセスを支援しています。この薬事規
制のコンバージェンスの推進のために、国際共同治験(Multi-Regional Clinical Trials、MRCT。日本主導)、GRevPと医薬品
と医療機器の組み合わせ製品(台湾主導)などのPriority Work Area(PWA)を設定して取り組んでいます。さらに今回、新た
にGSubPもPWAの1つとして取り組んでいくことが紹介されました。また、GRevPがWHOガイドラインとして採択された際の
基盤となるよう、GRevPトレーニング環境の整備を進めていくことが、今後の重要点の1つとして示されました。
次にVogel氏より、シンガポールのDuke国立大学大学院でシンガポール当局と一緒に取り組んだMRCTに関するトレーニ
ング成果の発表がありました。このトレーニングは、規制当局側のMRCT受け入れについて理解を高めるために開発され、
APECにより承認された世界初の画期的なプログラムです。2014年3月に3日間にわたり、APEC地域16ヵ国からMRCTに携わ
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るシニアレベルの当局審査官、製薬企業、アカデミア約50名が参加し実施されました。グループワーク、模擬演習、オンラ
イン学習モジュールなどを利用し、規制当局と臨床専門家が議論するためのプラットフォームが提供され、レギュラトリーサ
イエンスを促進する効果的な成果が得られたことが紹介されました。
APAC RA-EWGのリーダー長尾氏より、APACで取り組んでいるアジア地域における薬事規制のコンバージェンスの発表が
ありました。RA-EWGでは、2012年からTask A「Good Registration Management」
とTask B「新薬承認申請要件に特化したコ
ンバージェンス」に取り組んだ活動をしています。Task Aでは、すでに紹介したGSubPガイドラインのほかに、薬事相談シス
テムや審査の透明化など重要度の高い5つの項目を提言書にまとめ、各国の製薬団体が当局と議論する際の基本文書として
作成しています。Task Bでは、RA-EWGで各国の薬事規制要件を調査し作成したAnalysis Reportを基に、新薬承認申請要件
に特化して追加分析を行いました。優先度の高い要件を選択し、当局向け提案書の準備を進め、新薬承認申請要件の調和
に向けた取り組みをしています。今後のAPAC RA-EWGの活動としては、GSubPを積極的に展開することでAPECの推進する
GRevPを支援し、アジアにおけるGood Registration Managementの普及に貢献していくと発表しました。
最後に
今回のARCは、APAC RA-EWGを通して推進しているGSubPを、アジア各国で医薬品の承認申請・審査に携わる関係者に
広く紹介・浸透する非常に良い機会となりました。今後も今回のような機会を活用し、APAC RA-EWGの活動の認知度を高め
ていくともに、アジア各国との協力関係をさらに深めて、アジアにおける薬事規制のコンバージェンス推進を目指します。
クロージングセッションの様子
右から、Estelle Michael 氏(IFPMA)、Justina Molzon 氏(元FDA)、佐藤 淳子 氏(PMDA)、
Liling Liu 氏(台湾FDA)、長尾 公則 氏(JPMA)、Chih-Ping Yang 氏(台湾製薬協)、David Jeffreys 氏(IFPMA)
(規制・許認可エキスパートワーキンググループ 畠山 伸二、田路 眞理、坂井 敦子)
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