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地域から世界へ~地域に支えられ

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地域から世界へ~地域に支えられ
初期段階からの関与で信頼関係を築く
4月7日の開所式には、首都サンチャゴから遠く離れたサイトにも
かかわらず、
ピニェラ大統領やゴルボーン鉱業大臣が出席しました。
「大統領をはじめ関係者は口々に、本プロジェクトが環境への配慮、
労働の安全、女性を含めた雇用拡大、人材育成などに貢献している
鉱山プロジェクトへの実績を活かして と繰り返し言及していました。本プロジェクトがチリ経済にとっていかに
銅は、電線、電気機器、半導体、
自動車、建材などに広く使われる
重要であるかを実感し、
そして鉱山事業のイメージ向上にも貢献し
重要資源です。
日本は、明治・大正期まで世界有数の銅産出国で
ているのだと改めて認識しました」
と豊田調査役。
したが、現在は全量(銅精鉱で年約 500 万トン)
を輸入しています。
銅を初め、
アルミニウム、亜鉛、
ニッケル、
レアメタルなどの非鉄金属
このうちチリからの輸入が約 4 割を占めており、
チリは日本にとって、
は、
インフラからハイテク製品まで幅広く用いられており、
日本の産業
「近年は、新興経済国の成長で銅の需要が拡大する一方、既存
乗りをあげています。
そのような中、
日本企業は世界各地で資源開発
鉱山の産出量・品質の低下もあって供給不足が懸念され、世界的
プロジェクトに取り組んでおり、JBICはこれまでの実績を活かしながら、
に銅鉱山の権益獲得競争が激しくなっています。
日本企業も1990
日本企業を支援していく方針です。
年代から権益確保を強化しており、JBICがファイナンス面で支援し
「熾烈な権益獲得競争を勝ち抜いて長期かつ大規模な投資を行う
てきました」
と豊田調査役。
必 要がある資 源 開 発においては、
今回のエスペランサ銅鉱山開発プロジェクトは、権益を持つ英国
案 件の初 期 段 階から積 極 的に関
法人アントファガスタ社が 2007 年に共同出資者を募り、中国企
与し、パートナーや 相 手 国 政 府と
業や日本企業などが応札しました。
日本企業のこれまでのチリでの
Win-Winの関係を作っていくことが
鉱山開発の実績、
さらに、
それらの開発に対するJBIC の融資実績
重要です。
お互いのニーズを満たす
が高く評価され、最終的には丸紅(株)
がパートナーとして選ばれま
信頼関係を作ることが、今後も資源
した。
資源・環境ファイナンス部門
鉱物資源部 第 1 ユニット
ます」
と豊田調査役は語っています。 豊田 康平 調査役
の安定的確保につながると考えてい
その後、
ファイナンスの組成段階で金融危機が起き、協調融資を
行う欧米金融機関からの融資額が予定より減ることとなりましたが、
JBICは当初の予定から銅の引取量増加を前提に融資枠を拡大。
エスペランサ銅鉱山の権益取得・開発事業に対する融資
この結果、銅の引取量は当初予定していた21 万トン/年から30
JBIC は、2009 年 5 月、英国法人アントファガスタ社と丸紅が出資する
万トン/年に増えることとなりました。
チリ法人エスペランサ社に対し、民間金融機関、
カナダ輸出金融公社、
ドイ
開発事業に関する融資は2009 年 5月に、権益取得に関する融
ツ復興金融公庫などとの協調で、エスペランサ銅鉱山の開発事業資金とし
順調に進み、2010 年 12月に予定通り生産が開始され、2011 年
て総額 10 億 5,000 万ドル限度のプロジェクトファイナンスによる融資契
約に調印しました。
また、同年 8 月には丸紅の全額出資子会社との間で、銅
鉱山の権益を 30 %取得するための資金として、民間金融機関とともに総
3 月に最初の銅精鉱を積載した船が日本に到着しました。市場が
額 6 億 5,000 万ドル限度の貸付契約に調印しました。エスペランサ銅鉱山
混乱する中でJBICがタイムリーに融資を提供したことについて、
の年間生産量(銅精鉱)約 70 万トンのうち、約 30 万トンを日本企業が引き
アントファガスタ社からは、
「大きなスケジュールの遅れが回避され、
取る予定です。
表紙 コンテナ埠頭にて
(©Royalty-Free/Corbis/amanaimages)
国際協力銀行では、本誌を季刊で発行しています。
URL: http://www.jbic.go.jp
資は同年 8月にそれぞれ融資契約を調印しました。
その後、開発は
2011年7月発行 にとって必要不可欠な重要素材です。世界的には、資源メジャーに
よる供給の寡占化が進んでいるほか、中国なども資源獲得競争に名
Tel. 03-5218-3100 国際協力銀行 企画・管理部門 国際経営企画部 報道課
銅資源の長期安定的確保に欠くことのできないパートナーとなって
います。
国際協力銀行の広報誌
の意が示されました。
2011 July
JBIC TODAY(ジェービック トゥデ イ )2011 年 7月号
ほぼ予定通りにプロジェクトの生産を開始することができた」
と、感謝
〒100-8144 東京都千代田区大手町1丁目4番1号
2011 年 4月7日、
チリのエスペランサ銅鉱山の開所式が行
われました。本プロジェクトに関してJBICは、
日本企業が権
益を取得するために必要な資金の融資のほか、鉱山の開発
資金に対してプロジェクトファイナンスを提供しています。銅
地金の原料となる銅精鉱の生産はすでに2010 年末に始ま
り、本プロジェクトからの銅精鉱を積んだ最初の船がこの3月
に日本に到着しました。
Vol. 9
9
資源・環境ファイナンス部門 鉱物資源部 第 1 ユニット 豊田康平調査役に聞く
July
銅精鉱年産 70 万トンのうち30 万トンが日本へ
2011 Vol.
チリ共和国のエスペランサ
銅鉱山で開所式
JBIC TODAY
S P O T L I G H T
特集
地域から世界へ
地域に支えられ、
世界に羽ばたく日本製品
わが社の海外物語
Spotlight
タイ工場の高機能フィルムづくりを支援
大化工業株式会社
(大阪府枚方市)
チリ共和国のエスペランサ
銅鉱山で開所式
Q
H
I
uarterly
ighlights
「株式会社国際協力銀行法」が公布・施行されました
2011年4月28日、
「株式会社国際協力銀行法」が成立し、同年5月2日に公布・施行されました。これによ
り、株式会社日本政策金融公庫の国際部門であるJBICは、2012年4月1日に同公庫から分離し、株式会社
国際協力銀行となります。
株式会社国際協力銀行は、現行の業務を基本としつつ、先進国向け輸出金融、短期のつなぎ資金や日本企
業による外国企業の買収資金などを支援する投資金融、中堅・中小企業を含む日本企業の海外事業支援の
ためのツー・ステップ・ローン、通貨スワップへの保証などの業務が拡充されます。
(一部の業務は2011年度
中から先行実施される予定です。)
2 0 1 1 . 0 4∼2 0 1 1 . 0 6
2010年度、46億ドルのツー・ステップ・ローンを
913件の日系海外現地法人が行う事業向けに
政策金融機関である株式会社日
本政策金融公庫の国際部門です。
日本と国際経済社会の健全な発
展 、国 民 生 活 の 向 上を使 命とし
て、輸出・輸入金融、投資金融、事
2010 年 12 月、JBIC は、海外事業支援緊
業開発等金融、保証、ブリッジロー
急業務の一環として、外貨資金の安定的な調
ン、出資、調査などの業務を行っ
達を必 要としている日本 企 業( 特に中 堅・中
ツー・ステップ・ローンの企業規模別転貸先件数
(2010 年度実績)
小、中規模、準大手企業)の海外での事業を
大企業
215件
支 援 するた め 、日 本 の 金 融 機 関 を 公 募し、
JBIC の主要業務
資源
海外における資源開
発、
取得の促進
(株)みずほコーポ
(株)三菱東京 UFJ 銀行、
中堅企業
レート銀行、
( 株)三井住友銀行、
( 株)西日本
シティ銀行に対し、2010 年度に合計 46 億ド
準大手企業
206件
ルのツー・ステップ・ローンを供与しました。本
資金は 913 件の日本企業の海外現地法人が
海外ビジネス支援
中堅・中小企業
229件
中小企業
141件
88件
中規模企業
263件
行う事業向け転貸資金に充当されました。
「 JBICインフラ・
投資促進ファシリティ」を創設
JBIC は、4 月 1 日、パッケージ型インフラ
資 金を最 大 限 動 員しつつ支 援することを目
的に、
「 JBIC インフラ・投資促進ファシリティ
環境
「円高・
E-FACE は、政府の「新成長戦略」
融機関との協調融資により4 億ドルを限度と
デ フレ 対 応 の た め の 緊 急 総 合 経 済 対 策 」
するプロジェクトファイナンス契約の調印を
「パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会
詳しい内容は JBIC WEB サイト
をご覧ください。
www.jbic.go.jp/ja/special
住友商事(株)が韓国電力公社、アブダビ
「環境投資
ア・環 境ファシリティ
( FACE )」、
水・電力庁との共同で設立した SAPCO が建
イニシアティブ( LIFE Initiative)」を発展・拡
設する約 1 , 600 MW の天然ガス焚き複合火
充させたものです。
力発電所事業を支援するもので、2014 年の
( 1 )クリーンエネ
E-FACE の下、JBIC は、
完成時には同国の電力供給量の 12 %程度を
ルギー、鉄道、水、スマートグリッドなどのプ
担う予定です。
ロジェクト、
( 2 )途上国 M&A 案件や巨額資源
本プロジェクトへ の 支 援 は 、資 源 保 有 国
権益取得案件、
( 3 )省エネ・新エネ事業、アジ
UAE との関係強化とともに、日本企業が参
ア向け事業などに対し、出融資、民間金融機
画する事業の支援を通じて両国間の経済関
関の融資への保証を積極的に行うことで、プ
係強化にもつながります。
石炭、シェー ルガスの 権 益 取 得を支 援
JBIC TODAY JULY 2011
パッケージ型インフラ海外展開支援
出融資
クリーンエネルギー事業
鉄道事業
(再生可能エネルギー等) (都市間、都市内)
融資
水事業
スマートグリッド
関連事業
出資
豪州の炭鉱権益の追加取得を支援、
保有権益 96 %に
JBIC は、5 月 23 日、双日(株)の豪州法人
Sojitz Coal Resources Pty Ltd.(SCR)と、
民 間 金 融 機 関との 協 調 融 資により総 額 1 億
カナダのシェールガス鉱区権益
50 % 取得を支援
JBIC は、4 月 27 日、カナダの Cordova
Gas Resources Ltd.( CGR )との間で総
額 2 億 5 , 000 万カナダドル限度の貸付契約
4,471万ドル限度の貸付契約に調印しました。
本融資は、SCR がクイーンズランド州のミ
ネルバ炭 鉱 権 益 の 51 % を追 加 取 得する資
金となります。追加取得で SCR の保有権益
は 9 6 % となり、同 社 が 操 業・販 売を担 いま
じて、ブリティッシュコロンビア州のシェール
す。なお、同炭鉱の石炭(一般炭)の約半分以
ガス鉱 区 権 益 50 % の 取 得を支 援 するもの
上が日本の電力会社やセメントメーカーに販
で、各社はシェールガスをLNGとして日本へ
売され、日本のエ
輸入する可能性も検討します。日本企業が北
ネルギー資源の
米ガス市場で権益を確保することは、ガス供
確保や安定供給
給源の多様化やアジア LNG 市場の需給緩和
に寄与します。
にもつながります。
出融資
保証
出資
民間
海外投資環境資料を提供
海外ビシネス展開を考える企業向
けに、5月にタイとベトナムの投資環
境調査資料を発行しました。
「タイの投資環境」
http://www.jbic.go.jp/ja/investment/report
/2011-002/jbic_RIJ_2011002.pdf
「ベトナムの投資環境」
http://www.jbic.go.jp/ja/investment/report
/2011-003/jbic_RIJ_2011003.pdf
JBIC では「 JBIC メールマガジ
ン」を発行し(原則毎月第 2 、第 4 水
曜日)、国内外のJBIC職員のレポー
トや調査報告、イベントやセミナー
の様子などを紹介しています。
ご希 望 の 方 は 、W E B サ イト の
「メール配信サービス」からご登録く
ださい。
http://www.jbic.go.jp/ja/news-letter
/index.html
巨額資源権益取得案件
貿易・海外投資移動相談室
出資
融資
出資
途上国M&A案件等への投資促進
途上国M&A案件
融資
7 月 1 日からミッション・分野別の
部門制を導入しました。資源・環境
ファイナンス部門、インフラ・ファイ
ナンス部門、産業ファイナンス部門
を設置し、企画・管理部門、審査部門
を加えた5 部門体制で、各分野・セク
ターのノウハウや専門性を集約し案
件の組成能力を高め、JBIC のミッ
ションをより機動的・戦略的に遂行し
ていきます。
詳細は、WEB サイトをご覧くだ
さい。
http://www.jbic.go.jp/ja/about/press
/2011/0701-02/index.html
JBICメールマガジンを発行
(E-FACE)の対象案件例
JBICインフラ・投資促進ファシリティ
エクスカーベーターによる掘削の様子
02
行いました。
合決定事項」などを踏まえ、既存の「JBICアジ
国際金融社会への
貢献
国際金融の知見・ノ
ウハウ、現地事情の
情報提供
プロジェクトファイナンス
J B I C は 、5 月 1 6 日 、アラブ 首 長 国 連 邦
( UAE )アブダビ首長国法人シュワイハット・
アジア・パワー・カンパニー社( SAPCO )と、
シュワイハット S 3 天然ガス焚き複合火力発
電プロジェクトを対 象に、邦 銀 3 行などの 金
( E-FACE )」を創設しました。
JBIC
ナレッジ提供
部門制の導入について
図っていきます。
地 球 環 境 保 全 を目
的とする海外での事
業の促進
JBIC の知的貢献
UAE の複合火力発電に
ロジェクト支援と民間資金の積極的な動員を
日本の産業の国際
競争力の維持、向上
国際金融秩序の混
乱への対処
nformation
2011.
0 4∼2 0 1 1 .
06
海外展開などの戦略的プロジェクトを、民間
国際協力銀行( JBIC )は、日本の
ています。
日本企業の投資促進支援と、
発電プロジェクト支援
環境分野およびアジア向け案件へのリスクマネー供給等
省エネ・新エネ事業
アジア向け事業
JBICでは、貿易・海外投資の手
続きや、長期資金の調達方法など
に関する移動相談室を開催して
に調印しました。本融資は邦銀との協調融資
います。
です。
●盛 岡
●東 京
本融資は、三菱商事(株)、東京ガス(株)、
●仙 台
●横浜
中部電力(株)、大阪ガス(株)が、CGR を通
山口県宇部市で環境国際セミナーを開催
4 月 26 日、宇部環境国際協力協会の主催、
開催時期・場所につきましては
JBIC WEB サイト
ラビジネスに関して具体的な調査データ・事
宇部市、JBIC の共催で環境国際セミナーが
例をあげて紹介しました。また、テーマ「海外
開催されました。
における環境等のビジネスに対する公的支
本セミナーでは、JBIC の廣田泰夫西日本
援制度」では、JBIC の融資制度を中心に講
国際営業部長が「海外事業展開と環境問題」
演を行いました。
をテーマに、新興諸国での環境問題やインフ
●太田(群馬) ●名古屋
http://www.jbic.go.jp/ja/
investment/consultation/index.html
をご覧いただくか、
新技術・産業ファイナンス部
第 3 ユニット
電話:03 - 5218 - 3579 まで
お問い合わせください。
JBIC TODAY JULY 2011
03
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uarterly
ighlights
「株式会社国際協力銀行法」が公布・施行されました
2011年4月28日、
「株式会社国際協力銀行法」が成立し、同年5月2日に公布・施行されました。これによ
り、株式会社日本政策金融公庫の国際部門であるJBICは、2012年4月1日に同公庫から分離し、株式会社
国際協力銀行となります。
株式会社国際協力銀行は、現行の業務を基本としつつ、先進国向け輸出金融、短期のつなぎ資金や日本企
業による外国企業の買収資金などを支援する投資金融、中堅・中小企業を含む日本企業の海外事業支援の
ためのツー・ステップ・ローン、通貨スワップへの保証などの業務が拡充されます。
(一部の業務は2011年度
中から先行実施される予定です。)
2 0 1 1 . 0 4∼2 0 1 1 . 0 6
2010年度、46億ドルのツー・ステップ・ローンを
913件の日系海外現地法人が行う事業向けに
政策金融機関である株式会社日
本政策金融公庫の国際部門です。
日本と国際経済社会の健全な発
展 、国 民 生 活 の 向 上を使 命とし
て、輸出・輸入金融、投資金融、事
2010 年 12 月、JBIC は、海外事業支援緊
業開発等金融、保証、ブリッジロー
急業務の一環として、外貨資金の安定的な調
ン、出資、調査などの業務を行っ
達を必 要としている日本 企 業( 特に中 堅・中
ツー・ステップ・ローンの企業規模別転貸先件数
(2010 年度実績)
小、中規模、準大手企業)の海外での事業を
大企業
215件
支 援 するた め 、日 本 の 金 融 機 関 を 公 募し、
JBIC の主要業務
資源
海外における資源開
発、
取得の促進
(株)みずほコーポ
(株)三菱東京 UFJ 銀行、
中堅企業
レート銀行、
( 株)三井住友銀行、
( 株)西日本
シティ銀行に対し、2010 年度に合計 46 億ド
準大手企業
206件
ルのツー・ステップ・ローンを供与しました。本
資金は 913 件の日本企業の海外現地法人が
海外ビジネス支援
中堅・中小企業
229件
中小企業
141件
88件
中規模企業
263件
行う事業向け転貸資金に充当されました。
「 JBICインフラ・
投資促進ファシリティ」を創設
JBIC は、4 月 1 日、パッケージ型インフラ
資 金を最 大 限 動 員しつつ支 援することを目
的に、
「 JBIC インフラ・投資促進ファシリティ
環境
「円高・
E-FACE は、政府の「新成長戦略」
融機関との協調融資により4 億ドルを限度と
デ フレ 対 応 の た め の 緊 急 総 合 経 済 対 策 」
するプロジェクトファイナンス契約の調印を
「パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会
詳しい内容は JBIC WEB サイト
をご覧ください。
www.jbic.go.jp/ja/special
住友商事(株)が韓国電力公社、アブダビ
「環境投資
ア・環 境ファシリティ
( FACE )」、
水・電力庁との共同で設立した SAPCO が建
イニシアティブ( LIFE Initiative)」を発展・拡
設する約 1 , 600 MW の天然ガス焚き複合火
充させたものです。
力発電所事業を支援するもので、2014 年の
( 1 )クリーンエネ
E-FACE の下、JBIC は、
完成時には同国の電力供給量の 12 %程度を
ルギー、鉄道、水、スマートグリッドなどのプ
担う予定です。
ロジェクト、
( 2 )途上国 M&A 案件や巨額資源
本プロジェクトへ の 支 援 は 、資 源 保 有 国
権益取得案件、
( 3 )省エネ・新エネ事業、アジ
UAE との関係強化とともに、日本企業が参
ア向け事業などに対し、出融資、民間金融機
画する事業の支援を通じて両国間の経済関
関の融資への保証を積極的に行うことで、プ
係強化にもつながります。
石炭、シェー ルガスの 権 益 取 得を支 援
JBIC TODAY JULY 2011
パッケージ型インフラ海外展開支援
出融資
クリーンエネルギー事業
鉄道事業
(再生可能エネルギー等) (都市間、都市内)
融資
水事業
スマートグリッド
関連事業
出資
豪州の炭鉱権益の追加取得を支援、
保有権益 96 %に
JBIC は、5 月 23 日、双日(株)の豪州法人
Sojitz Coal Resources Pty Ltd.(SCR)と、
民 間 金 融 機 関との 協 調 融 資により総 額 1 億
カナダのシェールガス鉱区権益
50 % 取得を支援
JBIC は、4 月 27 日、カナダの Cordova
Gas Resources Ltd.( CGR )との間で総
額 2 億 5 , 000 万カナダドル限度の貸付契約
4,471万ドル限度の貸付契約に調印しました。
本融資は、SCR がクイーンズランド州のミ
ネルバ炭 鉱 権 益 の 51 % を追 加 取 得する資
金となります。追加取得で SCR の保有権益
は 9 6 % となり、同 社 が 操 業・販 売を担 いま
じて、ブリティッシュコロンビア州のシェール
す。なお、同炭鉱の石炭(一般炭)の約半分以
ガス鉱 区 権 益 50 % の 取 得を支 援 するもの
上が日本の電力会社やセメントメーカーに販
で、各社はシェールガスをLNGとして日本へ
売され、日本のエ
輸入する可能性も検討します。日本企業が北
ネルギー資源の
米ガス市場で権益を確保することは、ガス供
確保や安定供給
給源の多様化やアジア LNG 市場の需給緩和
に寄与します。
にもつながります。
出融資
保証
出資
民間
海外投資環境資料を提供
海外ビシネス展開を考える企業向
けに、5月にタイとベトナムの投資環
境調査資料を発行しました。
「タイの投資環境」
http://www.jbic.go.jp/ja/investment/report
/2011-002/jbic_RIJ_2011002.pdf
「ベトナムの投資環境」
http://www.jbic.go.jp/ja/investment/report
/2011-003/jbic_RIJ_2011003.pdf
JBIC では「 JBIC メールマガジ
ン」を発行し(原則毎月第 2 、第 4 水
曜日)、国内外のJBIC職員のレポー
トや調査報告、イベントやセミナー
の様子などを紹介しています。
ご希 望 の 方 は 、W E B サ イト の
「メール配信サービス」からご登録く
ださい。
http://www.jbic.go.jp/ja/news-letter
/index.html
巨額資源権益取得案件
貿易・海外投資移動相談室
出資
融資
出資
途上国M&A案件等への投資促進
途上国M&A案件
融資
7 月 1 日からミッション・分野別の
部門制を導入しました。資源・環境
ファイナンス部門、インフラ・ファイ
ナンス部門、産業ファイナンス部門
を設置し、企画・管理部門、審査部門
を加えた5 部門体制で、各分野・セク
ターのノウハウや専門性を集約し案
件の組成能力を高め、JBIC のミッ
ションをより機動的・戦略的に遂行し
ていきます。
詳細は、WEB サイトをご覧くだ
さい。
http://www.jbic.go.jp/ja/about/press
/2011/0701-02/index.html
JBICメールマガジンを発行
(E-FACE)の対象案件例
JBICインフラ・投資促進ファシリティ
エクスカーベーターによる掘削の様子
02
行いました。
合決定事項」などを踏まえ、既存の「JBICアジ
国際金融社会への
貢献
国際金融の知見・ノ
ウハウ、現地事情の
情報提供
プロジェクトファイナンス
J B I C は 、5 月 1 6 日 、アラブ 首 長 国 連 邦
( UAE )アブダビ首長国法人シュワイハット・
アジア・パワー・カンパニー社( SAPCO )と、
シュワイハット S 3 天然ガス焚き複合火力発
電プロジェクトを対 象に、邦 銀 3 行などの 金
( E-FACE )」を創設しました。
JBIC
ナレッジ提供
部門制の導入について
図っていきます。
地 球 環 境 保 全 を目
的とする海外での事
業の促進
JBIC の知的貢献
UAE の複合火力発電に
ロジェクト支援と民間資金の積極的な動員を
日本の産業の国際
競争力の維持、向上
国際金融秩序の混
乱への対処
nformation
2011.
0 4∼2 0 1 1 .
06
海外展開などの戦略的プロジェクトを、民間
国際協力銀行( JBIC )は、日本の
ています。
日本企業の投資促進支援と、
発電プロジェクト支援
環境分野およびアジア向け案件へのリスクマネー供給等
省エネ・新エネ事業
アジア向け事業
JBICでは、貿易・海外投資の手
続きや、長期資金の調達方法など
に関する移動相談室を開催して
に調印しました。本融資は邦銀との協調融資
います。
です。
●盛 岡
●東 京
本融資は、三菱商事(株)、東京ガス(株)、
●仙 台
●横浜
中部電力(株)、大阪ガス(株)が、CGR を通
山口県宇部市で環境国際セミナーを開催
4 月 26 日、宇部環境国際協力協会の主催、
開催時期・場所につきましては
JBIC WEB サイト
ラビジネスに関して具体的な調査データ・事
宇部市、JBIC の共催で環境国際セミナーが
例をあげて紹介しました。また、テーマ「海外
開催されました。
における環境等のビジネスに対する公的支
本セミナーでは、JBIC の廣田泰夫西日本
援制度」では、JBIC の融資制度を中心に講
国際営業部長が「海外事業展開と環境問題」
演を行いました。
をテーマに、新興諸国での環境問題やインフ
●太田(群馬) ●名古屋
http://www.jbic.go.jp/ja/
investment/consultation/index.html
をご覧いただくか、
新技術・産業ファイナンス部
第 3 ユニット
電話:03 - 5218 - 3579 まで
お問い合わせください。
JBIC TODAY JULY 2011
03
特集
地域から
世界へ
地域に支えられ、世界に羽ばたく日本製品
戦後復興期から高度成長期にかけて、日本の産業は輸出を大きな柱として発展してきました。
海外生産へのシフトが進んでも、なお重要部品は日本製の製品であるケースも多く、国内製造業
にとって輸出が大きな支えとなっている状況に変わりはありません。
2008 年秋以降の金融危機を乗り越え、アジアを中心とした新興国は再び景気回復を示し、
世界経済を牽引しています。これら成長著しい新興国をターゲットとした先進国企業のマーケット
確保の動きは、中国や韓国という新興国の台頭により、競争が一段と激しさを増しています。
こうした環境の下、日本の製造業も高度な技術を活かして、顧客のニーズに的確に応えながら、
世界を舞台にビジネスを展開しています。
造船業のように関連産業の裾野が非常に広い産業はもちろん、新興国市場を舞台に輸出を
拡大する最先端企業の製造現場では、日本国内各地で地元社会に支えられながら、輸出品を
通じて世界とつながっています。
本号では、国際協力銀行(JBIC)が日本企業と一緒に取り組んだ輸出案件を取り上げ、日本の
地域と世界のつながりについて紹介します。
写真提供:三菱重工業
(株)
長崎造船所
ることが一般的でした。ところが、2008 年秋の金融危機以
ドッグで共に働く協力企業の社員、さらに舶用機器の専
ます。さらに、日本造船工業会によると、2010 年 4月現
降、それまで船舶ファイナンスの中心を担ってきた欧州の金
門メーカーも多く関わります。舶用機器および部品の数
在で加盟企業 18 社の造船部門の人数は計約 2 万 5,000
船主の資金調達を支援
融機関からの資金供給が細り、船主の多くはすでに発注し
は1 隻当たり30 万点を超えるとも言われ、非常に裾野の
人であり、パートナー企 業の人数も合わせると約 5 万
日本の造船業は、戦後の経済復興と輸出振興を牽引し、
ている船舶の支払いのため、これまでとは異なる資金調達
広い産業の一つと言えます。また、日本の造船業界が
3,000 人が造船産業に直接携わっています。
1960 年代に入って世界最大級のタンカーや大型貨物船を数
を模索する必要が生じました。この支払いが滞れば、受注
使用する鋼材などの原材料は年間 400 万トンを超えるとも
このほか、三菱重工業の場合には、舶用機器および
多く建造するなど、まさに「造船大国ニッポン」
として世界の
した日本の造船業界にも大きな打撃となります。
言われ、日本経済全体にとっても造船産業は大きな存在
部品の直接取引先は1,000 社以上にわたり、これらの舶
海に君臨してきました。しかし、韓国が国をあげて造船業を
こうした状況を受けて、JBICは金融危機後、船舶の輸
育成し、輸出を拡大させてきたほか、近年は中国の造船業
出金融に積極的に対応してきました。三菱重工業(株)
(本
も急速に台頭してきたことから、現在、日本の造船受注量
社・東京)が輸出するロールオン・ロールオフ式貨物船
は世界 3 位に後退しています。それでも、徹底したコストダ
(Ro-Ro 船)4 隻について2010 年 10月に調印したシンガポー
ウンと、ハイテクを駆使した省エネ・環境負荷性能の向上
ルとマルタの船主向けバイヤーズ・クレジット2 件(協調融資
によって、建造量を維持してきました。
総額は計約 232 百万ドル)
もその一環となります。
1. 地域経済を担う造船業
となっています。
例えば 三 菱 重 工 業は、長 崎、神 戸、
下関、横浜に造船所があり、同社の船舶
事業に関わる社員数だけで約 3,600 人に
上ります。さらに各造船所では、パートナー
企業と呼ばれる請負業者が社員とともに建
2008 年秋の金融危機以降、環境は変化しました。船舶
造に携わり、こうしたパートナー企業の社
の建造は受注から2 年から5 年もの期間を要する長期に及
ぶプロジェクトです。その代金の多くは船主への引渡し時に
地域経済への貢献
員だけでも約 3,200 人に上ります。つまり、
支払われることが一般的であるため、船主は引渡しのかな
日本の造船業は、瀬戸内海や九州地方に集中してい
三菱重工業の造船事業に直接関わる雇用
り前から、場合によっては契約時点から資金調達を検討す
ますが、建造に当たっては造船会社の社員だけでなく、
だけで約 6,800 人が従事していることになり
04
JBIC TODAY JULY 2011
ロールオン・ロールオフ式貨物船
(Ro-Ro船)
JBIC TODAY JULY 2011
05
特集
地域から
世界へ
地域に支えられ、世界に羽ばたく日本製品
戦後復興期から高度成長期にかけて、日本の産業は輸出を大きな柱として発展してきました。
海外生産へのシフトが進んでも、なお重要部品は日本製の製品であるケースも多く、国内製造業
にとって輸出が大きな支えとなっている状況に変わりはありません。
2008 年秋以降の金融危機を乗り越え、アジアを中心とした新興国は再び景気回復を示し、
世界経済を牽引しています。これら成長著しい新興国をターゲットとした先進国企業のマーケット
確保の動きは、中国や韓国という新興国の台頭により、競争が一段と激しさを増しています。
こうした環境の下、日本の製造業も高度な技術を活かして、顧客のニーズに的確に応えながら、
世界を舞台にビジネスを展開しています。
造船業のように関連産業の裾野が非常に広い産業はもちろん、新興国市場を舞台に輸出を
拡大する最先端企業の製造現場では、日本国内各地で地元社会に支えられながら、輸出品を
通じて世界とつながっています。
本号では、国際協力銀行(JBIC)が日本企業と一緒に取り組んだ輸出案件を取り上げ、日本の
地域と世界のつながりについて紹介します。
写真提供:三菱重工業
(株)
長崎造船所
ることが一般的でした。ところが、2008 年秋の金融危機以
ドッグで共に働く協力企業の社員、さらに舶用機器の専
ます。さらに、日本造船工業会によると、2010 年 4月現
降、それまで船舶ファイナンスの中心を担ってきた欧州の金
門メーカーも多く関わります。舶用機器および部品の数
在で加盟企業 18 社の造船部門の人数は計約 2 万 5,000
船主の資金調達を支援
融機関からの資金供給が細り、船主の多くはすでに発注し
は1 隻当たり30 万点を超えるとも言われ、非常に裾野の
人であり、パートナー企 業の人数も合わせると約 5 万
日本の造船業は、戦後の経済復興と輸出振興を牽引し、
ている船舶の支払いのため、これまでとは異なる資金調達
広い産業の一つと言えます。また、日本の造船業界が
3,000 人が造船産業に直接携わっています。
1960 年代に入って世界最大級のタンカーや大型貨物船を数
を模索する必要が生じました。この支払いが滞れば、受注
使用する鋼材などの原材料は年間 400 万トンを超えるとも
このほか、三菱重工業の場合には、舶用機器および
多く建造するなど、まさに「造船大国ニッポン」
として世界の
した日本の造船業界にも大きな打撃となります。
言われ、日本経済全体にとっても造船産業は大きな存在
部品の直接取引先は1,000 社以上にわたり、これらの舶
海に君臨してきました。しかし、韓国が国をあげて造船業を
こうした状況を受けて、JBICは金融危機後、船舶の輸
育成し、輸出を拡大させてきたほか、近年は中国の造船業
出金融に積極的に対応してきました。三菱重工業(株)
(本
も急速に台頭してきたことから、現在、日本の造船受注量
社・東京)が輸出するロールオン・ロールオフ式貨物船
は世界 3 位に後退しています。それでも、徹底したコストダ
(Ro-Ro 船)4 隻について2010 年 10月に調印したシンガポー
ウンと、ハイテクを駆使した省エネ・環境負荷性能の向上
ルとマルタの船主向けバイヤーズ・クレジット2 件(協調融資
によって、建造量を維持してきました。
総額は計約 232 百万ドル)
もその一環となります。
1. 地域経済を担う造船業
となっています。
例えば 三 菱 重 工 業は、長 崎、神 戸、
下関、横浜に造船所があり、同社の船舶
事業に関わる社員数だけで約 3,600 人に
上ります。さらに各造船所では、パートナー
企業と呼ばれる請負業者が社員とともに建
2008 年秋の金融危機以降、環境は変化しました。船舶
造に携わり、こうしたパートナー企業の社
の建造は受注から2 年から5 年もの期間を要する長期に及
ぶプロジェクトです。その代金の多くは船主への引渡し時に
地域経済への貢献
員だけでも約 3,200 人に上ります。つまり、
支払われることが一般的であるため、船主は引渡しのかな
日本の造船業は、瀬戸内海や九州地方に集中してい
三菱重工業の造船事業に直接関わる雇用
り前から、場合によっては契約時点から資金調達を検討す
ますが、建造に当たっては造船会社の社員だけでなく、
だけで約 6,800 人が従事していることになり
04
JBIC TODAY JULY 2011
ロールオン・ロールオフ式貨物船
(Ro-Ro船)
JBIC TODAY JULY 2011
05
特集
地域から世界へ
地域に支えられ、
世界に羽ばたく日本製品
2. 世界に広がる日本の先進技術
建て輸出クレジットラインを設定しました。小森コーポレーショ
用機器メーカーに部品を納入するメーカーも数多くありま
集
船主からは日本企業の先進的な省エネ技術に注目が集
す。このように業界全体で非常に多くの企業が関わって
運
まっています。日本の造船企業の中には、こうした機運
います。
よう
の高まりをビジネス機会と捉えてさらなる成長につなげよ
新興経済国への輸出が広がる印刷機械
行って実績を積み、2008 年には南米で60 台以上の販売実
今回 JBIC が融資したRo-Ro 船は、三菱重工業の長
とする動きが広がっています。
印刷は文化のバロメーターと称されますが、新興国の成
印刷は文化のバロメーターと称されますが、新興国の成
績をあげています。
崎造船所(長崎県長崎市)で作られました。戦前から大
施
2011 年 5月に株式会社国際協力銀行法が公布・施
長とともに印刷市場も大きく伸長しています。新聞・雑誌の
型船を建造してきた同社の長崎造船所は、地域経済の
た
行されたことを受け、開発途上国向けに限られていた
講読層の広がりだけでなく、商品のパッケージなども美しい
高度な技術を世界に
中心となっています。
い
JBICの輸出金融が今後、船舶など特定の分野につい
印刷が求められ、高品質な多色刷りオフセット印刷機の需
高度な技術を武器とする印刷機械の輸出において、主な
受注量では、中国、韓国を追う立場ですが、燃料価
後も
て先進国向けにも拡充される予定です。JBICは今後も
要が高まっています。
競争相手はドイツ企業です。金融危機によって落ち込んだ
格の上昇や、国際的な環境意識の高まりから、世界の
日本の造船業を支援していきます。
一方、日本国内では、今後大き
一方、日本国内では、今後大きく印刷需要が増える余地
世界の印刷機械需要ですが、最大の需要国である中国を
は少なく、景気の低迷もあって商業印刷、出版印刷ともに
はじめとした新興国では、景気回復に伴い印刷機械の需要
需要低迷が続いています。そうした中でも環境負荷低減の
も回復傾向を示し、新興国を舞台に競争が激しさを増して
ニーズは高まっており、国内の印刷機械メーカーは揮発性
いるのが現状です。こうした中、小森コーポレーションでは
溶剤の削減、植物油インキの採用、水なし印刷の導入など
今後、ASEAN 諸国、インド、南米などでの販売を強化す
世界最高水準のグリーンプリンティング技術を究めてきまし
るとともに、同社が得意とする高度な特殊印刷機械技術を
た。高品質で環境性に優れた印刷機械・技術で先進国市
活かして、紙幣、パスポート、IDカード向け印刷機などの
場のみならず、成長著しい新興国市場に展開していくこと
拡販や、デジタル印刷分野への参入を目指しています。
が、国内の印刷機械メーカーのテーマとなっています。
こうした先端技術を支えているのが、2009 年に完全稼働
オフセット印刷機のリーディングカンパニーである(株)小森
した最新鋭のつくばプラント
(茨城県つくば市)
と、子会社
コーポレーション(本社・東京)は1923 年に創業し、1970
の(株)小森マシナリー(山形県東置賜郡高畠町)です。
クルーズ客船
三菱重工業 長崎造船所 香焼工場
ンはこのクレジットラインを活用してオフセット印刷機の輸出を
年代から欧米への輸出を開始、1980 年
競合国とのイコールフッティング確保が、
事業継続に欠かせない
三菱重工業株式会社 代表取締役 常務執行役員 船舶・海洋事業本部長 原 壽
への輸出を本格化してきました。現在で
は、同 社の輸出比 率は約 7 割に達し、
欧州、北米、アジアに広く印刷機を供給
氏
しています。さらに、2000 年代に入って
今回の Ro-Ro 船 4 隻の融資については、船主から JBIC の
さを増す受注競争に臨む方針です。コストを下げるために海外
融資が得られたことを深く感謝され、その後の自動車運搬船
で生産するという選択肢もありますが、当社はこうした高付加
の追加受注にもつながりました。
価値船を創造するためにも、国内の造船所は守り続けなけれ
金融危機による船舶金融の縮小は依然として解消されてお
ばいけないと考えています。
ブラジルでは、JBIC が 2003 年にブラ
らず、新規受注が停滞しているのが現状です。しかし、造船は
韓国、中国、欧州の造船業界は、輸出先が先進国か途上国
ジル最大の商業銀行のブラデスコ銀行と
事業を継続しない限り地域の雇用確保はもとより、培ってきた
にかかわらず、ファイナンス面も含め国をあげて受注を支援し
技術も継承できません。当社は快適なクルーズと省エネ性を
ています。日本の造船業を守るために、こうした競合国との
実現した大型客船、海底の資源探査を行う海洋船などの高性
イコールフッティングが確保されるよう、関係者が一丸となっ
にブラジル政府系のブラジル銀行と50 億
能・高付加価値の船づくりにも注力していくことで、一段と激し
て努力を続けていくことが重要と考えています。
円および 20 百万ドル限度の、円・ドル両
ロールオン・ロールオフ式貨物船(Ro-Ro 船)
船首尾部または船側から港の岸壁を結ぶ斜路を構え、車両甲板を持つ貨物船。運搬される車両は、
自走で搭載(Roll on)
・
揚陸(Roll off)できる船(Roll on/Roll off 船)。
06
代には中国、香港、ASEAN 諸国など
JBIC TODAY JULY 2011
ブラジルなど南米の市場開拓に着手しま
した。
20 億円および 20 百万ドル限度、2004 年
小森コーポレーション つくばプラント 印刷機械
オフセット印刷
オフセット印刷は、水と油性のインキの反発を利用して原版からインキを転写
(オフセット)
して印刷し、さらにこれを紙などに再転移する印刷方式です。
輸出クレジットライン
輸出金融の一形態で、日本からの設備などの輸出を促進する
ために、あらかじめ一定金額の融資枠を設けておくものです。
JBIC TODAY JULY 2011
07
特集
地域から世界へ
地域に支えられ、
世界に羽ばたく日本製品
2. 世界に広がる日本の先進技術
建て輸出クレジットラインを設定しました。小森コーポレーショ
用機器メーカーに部品を納入するメーカーも数多くありま
集
船主からは日本企業の先進的な省エネ技術に注目が集
す。このように業界全体で非常に多くの企業が関わって
運
まっています。日本の造船企業の中には、こうした機運
います。
よう
の高まりをビジネス機会と捉えてさらなる成長につなげよ
新興経済国への輸出が広がる印刷機械
行って実績を積み、2008 年には南米で60 台以上の販売実
今回 JBIC が融資したRo-Ro 船は、三菱重工業の長
とする動きが広がっています。
印刷は文化のバロメーターと称されますが、新興国の成
印刷は文化のバロメーターと称されますが、新興国の成
績をあげています。
崎造船所(長崎県長崎市)で作られました。戦前から大
施
2011 年 5月に株式会社国際協力銀行法が公布・施
長とともに印刷市場も大きく伸長しています。新聞・雑誌の
型船を建造してきた同社の長崎造船所は、地域経済の
た
行されたことを受け、開発途上国向けに限られていた
講読層の広がりだけでなく、商品のパッケージなども美しい
高度な技術を世界に
中心となっています。
い
JBICの輸出金融が今後、船舶など特定の分野につい
印刷が求められ、高品質な多色刷りオフセット印刷機の需
高度な技術を武器とする印刷機械の輸出において、主な
受注量では、中国、韓国を追う立場ですが、燃料価
後も
て先進国向けにも拡充される予定です。JBICは今後も
要が高まっています。
競争相手はドイツ企業です。金融危機によって落ち込んだ
格の上昇や、国際的な環境意識の高まりから、世界の
日本の造船業を支援していきます。
一方、日本国内では、今後大き
一方、日本国内では、今後大きく印刷需要が増える余地
世界の印刷機械需要ですが、最大の需要国である中国を
は少なく、景気の低迷もあって商業印刷、出版印刷ともに
はじめとした新興国では、景気回復に伴い印刷機械の需要
需要低迷が続いています。そうした中でも環境負荷低減の
も回復傾向を示し、新興国を舞台に競争が激しさを増して
ニーズは高まっており、国内の印刷機械メーカーは揮発性
いるのが現状です。こうした中、小森コーポレーションでは
溶剤の削減、植物油インキの採用、水なし印刷の導入など
今後、ASEAN 諸国、インド、南米などでの販売を強化す
世界最高水準のグリーンプリンティング技術を究めてきまし
るとともに、同社が得意とする高度な特殊印刷機械技術を
た。高品質で環境性に優れた印刷機械・技術で先進国市
活かして、紙幣、パスポート、IDカード向け印刷機などの
場のみならず、成長著しい新興国市場に展開していくこと
拡販や、デジタル印刷分野への参入を目指しています。
が、国内の印刷機械メーカーのテーマとなっています。
こうした先端技術を支えているのが、2009 年に完全稼働
オフセット印刷機のリーディングカンパニーである(株)小森
した最新鋭のつくばプラント
(茨城県つくば市)
と、子会社
コーポレーション(本社・東京)は1923 年に創業し、1970
の(株)小森マシナリー(山形県東置賜郡高畠町)です。
クルーズ客船
三菱重工業 長崎造船所 香焼工場
ンはこのクレジットラインを活用してオフセット印刷機の輸出を
年代から欧米への輸出を開始、1980 年
競合国とのイコールフッティング確保が、
事業継続に欠かせない
三菱重工業株式会社 代表取締役 常務執行役員 船舶・海洋事業本部長 原 壽
への輸出を本格化してきました。現在で
は、同 社の輸出比 率は約 7 割に達し、
欧州、北米、アジアに広く印刷機を供給
氏
しています。さらに、2000 年代に入って
今回の Ro-Ro 船 4 隻の融資については、船主から JBIC の
さを増す受注競争に臨む方針です。コストを下げるために海外
融資が得られたことを深く感謝され、その後の自動車運搬船
で生産するという選択肢もありますが、当社はこうした高付加
の追加受注にもつながりました。
価値船を創造するためにも、国内の造船所は守り続けなけれ
金融危機による船舶金融の縮小は依然として解消されてお
ばいけないと考えています。
ブラジルでは、JBIC が 2003 年にブラ
らず、新規受注が停滞しているのが現状です。しかし、造船は
韓国、中国、欧州の造船業界は、輸出先が先進国か途上国
ジル最大の商業銀行のブラデスコ銀行と
事業を継続しない限り地域の雇用確保はもとより、培ってきた
にかかわらず、ファイナンス面も含め国をあげて受注を支援し
技術も継承できません。当社は快適なクルーズと省エネ性を
ています。日本の造船業を守るために、こうした競合国との
実現した大型客船、海底の資源探査を行う海洋船などの高性
イコールフッティングが確保されるよう、関係者が一丸となっ
にブラジル政府系のブラジル銀行と50 億
能・高付加価値の船づくりにも注力していくことで、一段と激し
て努力を続けていくことが重要と考えています。
円および 20 百万ドル限度の、円・ドル両
ロールオン・ロールオフ式貨物船(Ro-Ro 船)
船首尾部または船側から港の岸壁を結ぶ斜路を構え、車両甲板を持つ貨物船。運搬される車両は、
自走で搭載(Roll on)
・
揚陸(Roll off)できる船(Roll on/Roll off 船)。
06
代には中国、香港、ASEAN 諸国など
JBIC TODAY JULY 2011
ブラジルなど南米の市場開拓に着手しま
した。
20 億円および 20 百万ドル限度、2004 年
小森コーポレーション つくばプラント 印刷機械
オフセット印刷
オフセット印刷は、水と油性のインキの反発を利用して原版からインキを転写
(オフセット)
して印刷し、さらにこれを紙などに再転移する印刷方式です。
輸出クレジットライン
輸出金融の一形態で、日本からの設備などの輸出を促進する
ために、あらかじめ一定金額の融資枠を設けておくものです。
JBIC TODAY JULY 2011
07
特集
地域から世界へ
地域に支えられ、
世界に羽ばたく日本製品
つくばプラントでは、世界初となるオフセット輪転印刷機と中
ション工場」を実践しており、こうした先進的な取り組みが注
型オフセット枚葉印刷機などの一貫生産を行っています。同
目を集め、印刷関係者を主とした多くの見学者が訪れてい
プラント内には「小森グラフィックテクノロジーセンター」を設置
ます。
し、印刷業界に向けて最新情報や教育などの提供を行って
O
オピニオン
輸出クレジットラインで期待される
日印両国の互恵関係強化
います。一方の小森マシナリーでは小型オフセット枚葉印刷
ICICI 銀行 香港支店チーフエグゼクティブ兼アジア・中東・アフリカ地域統括
機を生産しています。その輸出比率は、つくばが約 7 割、
スディル・ドール 氏
マシナリーが約 8 割と高く、両プラントでは、ミクロン単位の
1969 年生まれ。インド経営大学院アーメダバド校修了。ANZ グリンドレイズ銀行の貿易金融担当、スタンダード・チャー
タード銀行のシニア・リレーションシップ・マネージャーなどを経て ICICI 銀行入行。現在は、アジア・中東・アフリ
カ地域の支店・事務所の統括責任者であるほか、ICICI 銀行の海外資金調達に関する責任者でもある。
精密な加工をはじめとするきめ細かい作業が行われていま
す。それぞれつくばでは約 750 人、マシナリーでは約 300
人が働いており、地域の雇用促進にも貢献しています。
また、つくばプラントではソーラーパネルを壁面に設置し、
太陽光発電によってプラント内の電力の一部を賄うほか、プ
ラント内で使用する油や紙の再利用を徹底する「ゼロエミッ
ブラジルのサービスセンター
つくばプラント
エンドユーザーに行きわたる
融資サポートを
株式会社小森コーポレーション 海外営業本部 輸出三部 部長 氏
的な成長を追及するためには、環境に配慮した経済活動
済 見 通しで、2010 年 のインドの 成 長 率 見 通しは9.7%、
に取り組む必要があると考えます。このため、多岐にわたっ
2011 年は8.4%となり、先進国の成長率見通しである2010
て日本の環境技術が導入される可能性は大きく、日本企業
年の2.7%、2011 年の2.2%を大きく上回りました。インド政
だけでなく、インド企業にとっても、こうしたクレジットラインの
府自身も、2011 年度の経済成長が 9%程度に加速すると
重要性は増していると考えます。技術の伝承もインドの持
予測しており、インド経済は引き続き力強く成長を続けてい
続的な成長に貢献するものと期待されます。
くと思われます。
2010 年 10月のシン首相訪日時に行われた日印首脳会談
インド第 2 位の商業銀行であるICICI 銀行は、JBICとの
では、2 国間経済連携協定(EPA)の合意が発表され、
間で2009 年 3月に1 億ドルを、そして2011 年 3月には153
2011 年 2月には両国政府が調印しました。年内にはEPA
億円をそれぞれ限度とする輸出クレジットラインの設定契約
の発効が予定されており、日本の技術のさらなる導入に追
を締結しました。これらのクレジットラインは、日本製品を購
い 風となることが 期 待されています。ICICI 銀 行でも、
入しようとするインド国内の取引先に対して、JBIC からの資
EPAによってさらに強まる日印の良好な関係の下、南アジ
金提供を受けたICICI 銀行が融資する仕組みです。大規
アに広がるネットワークを活用して日本の技術が求められて
模なプラント輸出に限らず、小規模の機械や設備において
いる案件を探していきたいと考えています。
も日本からの導入をスムーズに進めるための仕組みであり、
クレジットライン設定に当たっては、お互いの立場を説明
ICICI 銀行の支店網を活用しながら、日本の優れた製品を
しながら、時間をかけて条件を固めていきました。JBICと
広く導入する取り組みに活用されています。
は以前から、インド国内の裾野産業を支援するための事業
ICICI 銀行はこれまで、クレジットラインを活用して、新聞
開発等金融や、インドでのクリーン開発メカニズム(CDM)
輪転機や工作機械、タグボートなど高品質の日本製品の導
候補プロジェクトに資金供給するための事業開発等金融で
入資金を提供してきました。新聞輪転機はインド国内の新
取引があり、良好な関係を築いてきました。この輸出クレジッ
聞社に導入され、日々の新聞発行に役立てられています。
トラインの設定に当たっては、JBICの担当者と何度も会い、
また、タグボートはインドの港で、貨物船の誘導に使われて
深い議論を経たことで、お互いの信頼関係をさらに強化す
精密機械のオフセット印刷機は海外での生産は難しく、当社
ためには、ファイナンスの提案も含めた販売は、今後一層重
としては国内で高度な技術を育てて、世界に製品を展開する
要になると考えています。
います。自動車関連企業では、製品需要の拡大に応じてさ
ることができたと考えています。
ことを目指しています。印刷の需要は人口と所得に左右される
JBIC には、これまで輸出クレジットラインという地場銀行を
まざまな工場に日本の工作機械を導入しました。日本製の機
ICICI 銀行とJBICは、双方を戦略的パートナーと位置
と言っても過言ではなく、新興国の経済成長が進めば、より高
経由した形で、印刷機械のユーザーに資金供給してもらってき
度な印刷技術が求められるようになります。
ました。JBIC の輸出クレジットラインを活用しているというこ
械設備はインドにおいて、伝統的に高い評価を得ています。
づけながら、日印両国の発展のためにこれまでも力を尽くし
実際、ブラジルやインドでは高級な化粧品や家電に使われる
とが、ユーザーの信用力の裏づけともなるため、ユーザーか
国連の世界人口白書(2010 年)によると、2050 年にはイ
てきました。ICICI 銀行は今後も、JBICとのパートナーシッ
パッケージの印刷需要が増えています。また、今後は紙幣や
らは大変感謝されています。今後ますます激しさを増す競争に
立ち向かうために、JBIC にはさらなるリスクテイクへの挑戦
ンドの人口が 16 億人となり、中国の14 億人を抜いて世界
プを強化しながら、日本の技術を活用してインドの発展に貢
パスポートに使われるような偽造防止技術のニーズも、新興国
や先進国においてますます強まると思っています。こうした商
を期待しています。
最大となるとも予想されています。こうした中、インドが持続
献していきたいと考えています。
機を捉えることが産業の生き残りを左右すると考えます。その
08
久保寺 俊安
国際通貨基金(IMF)が 2010 年 10月に発表した世界経
JBIC TODAY JULY 2011
ご注意:記載内容はICICIグループの商品やサービスの勧誘や推奨を目的としたものではございません。将来の見通しに関する記載は、
さまざまなリスク、不確実性、条件によって左右
されるため、
記載内容と異なる結果となることがあります。また、本記事は情報提供と研究での利用を目的としており、金融取引に関するアドバイスを目的としたものではありません。
JBIC TODAY JULY 2011
09
特集
地域から世界へ
地域に支えられ、
世界に羽ばたく日本製品
つくばプラントでは、世界初となるオフセット輪転印刷機と中
ション工場」を実践しており、こうした先進的な取り組みが注
型オフセット枚葉印刷機などの一貫生産を行っています。同
目を集め、印刷関係者を主とした多くの見学者が訪れてい
プラント内には「小森グラフィックテクノロジーセンター」を設置
ます。
し、印刷業界に向けて最新情報や教育などの提供を行って
O
オピニオン
輸出クレジットラインで期待される
日印両国の互恵関係強化
います。一方の小森マシナリーでは小型オフセット枚葉印刷
ICICI 銀行 香港支店チーフエグゼクティブ兼アジア・中東・アフリカ地域統括
機を生産しています。その輸出比率は、つくばが約 7 割、
スディル・ドール 氏
マシナリーが約 8 割と高く、両プラントでは、ミクロン単位の
1969 年生まれ。インド経営大学院アーメダバド校修了。ANZ グリンドレイズ銀行の貿易金融担当、スタンダード・チャー
タード銀行のシニア・リレーションシップ・マネージャーなどを経て ICICI 銀行入行。現在は、アジア・中東・アフリ
カ地域の支店・事務所の統括責任者であるほか、ICICI 銀行の海外資金調達に関する責任者でもある。
精密な加工をはじめとするきめ細かい作業が行われていま
す。それぞれつくばでは約 750 人、マシナリーでは約 300
人が働いており、地域の雇用促進にも貢献しています。
また、つくばプラントではソーラーパネルを壁面に設置し、
太陽光発電によってプラント内の電力の一部を賄うほか、プ
ラント内で使用する油や紙の再利用を徹底する「ゼロエミッ
ブラジルのサービスセンター
つくばプラント
エンドユーザーに行きわたる
融資サポートを
株式会社小森コーポレーション 海外営業本部 輸出三部 部長 氏
的な成長を追及するためには、環境に配慮した経済活動
済 見 通しで、2010 年 のインドの 成 長 率 見 通しは9.7%、
に取り組む必要があると考えます。このため、多岐にわたっ
2011 年は8.4%となり、先進国の成長率見通しである2010
て日本の環境技術が導入される可能性は大きく、日本企業
年の2.7%、2011 年の2.2%を大きく上回りました。インド政
だけでなく、インド企業にとっても、こうしたクレジットラインの
府自身も、2011 年度の経済成長が 9%程度に加速すると
重要性は増していると考えます。技術の伝承もインドの持
予測しており、インド経済は引き続き力強く成長を続けてい
続的な成長に貢献するものと期待されます。
くと思われます。
2010 年 10月のシン首相訪日時に行われた日印首脳会談
インド第 2 位の商業銀行であるICICI 銀行は、JBICとの
では、2 国間経済連携協定(EPA)の合意が発表され、
間で2009 年 3月に1 億ドルを、そして2011 年 3月には153
2011 年 2月には両国政府が調印しました。年内にはEPA
億円をそれぞれ限度とする輸出クレジットラインの設定契約
の発効が予定されており、日本の技術のさらなる導入に追
を締結しました。これらのクレジットラインは、日本製品を購
い 風となることが 期 待されています。ICICI 銀 行でも、
入しようとするインド国内の取引先に対して、JBIC からの資
EPAによってさらに強まる日印の良好な関係の下、南アジ
金提供を受けたICICI 銀行が融資する仕組みです。大規
アに広がるネットワークを活用して日本の技術が求められて
模なプラント輸出に限らず、小規模の機械や設備において
いる案件を探していきたいと考えています。
も日本からの導入をスムーズに進めるための仕組みであり、
クレジットライン設定に当たっては、お互いの立場を説明
ICICI 銀行の支店網を活用しながら、日本の優れた製品を
しながら、時間をかけて条件を固めていきました。JBICと
広く導入する取り組みに活用されています。
は以前から、インド国内の裾野産業を支援するための事業
ICICI 銀行はこれまで、クレジットラインを活用して、新聞
開発等金融や、インドでのクリーン開発メカニズム(CDM)
輪転機や工作機械、タグボートなど高品質の日本製品の導
候補プロジェクトに資金供給するための事業開発等金融で
入資金を提供してきました。新聞輪転機はインド国内の新
取引があり、良好な関係を築いてきました。この輸出クレジッ
聞社に導入され、日々の新聞発行に役立てられています。
トラインの設定に当たっては、JBICの担当者と何度も会い、
また、タグボートはインドの港で、貨物船の誘導に使われて
深い議論を経たことで、お互いの信頼関係をさらに強化す
精密機械のオフセット印刷機は海外での生産は難しく、当社
ためには、ファイナンスの提案も含めた販売は、今後一層重
としては国内で高度な技術を育てて、世界に製品を展開する
要になると考えています。
います。自動車関連企業では、製品需要の拡大に応じてさ
ることができたと考えています。
ことを目指しています。印刷の需要は人口と所得に左右される
JBIC には、これまで輸出クレジットラインという地場銀行を
まざまな工場に日本の工作機械を導入しました。日本製の機
ICICI 銀行とJBICは、双方を戦略的パートナーと位置
と言っても過言ではなく、新興国の経済成長が進めば、より高
経由した形で、印刷機械のユーザーに資金供給してもらってき
度な印刷技術が求められるようになります。
ました。JBIC の輸出クレジットラインを活用しているというこ
械設備はインドにおいて、伝統的に高い評価を得ています。
づけながら、日印両国の発展のためにこれまでも力を尽くし
実際、ブラジルやインドでは高級な化粧品や家電に使われる
とが、ユーザーの信用力の裏づけともなるため、ユーザーか
国連の世界人口白書(2010 年)によると、2050 年にはイ
てきました。ICICI 銀行は今後も、JBICとのパートナーシッ
パッケージの印刷需要が増えています。また、今後は紙幣や
らは大変感謝されています。今後ますます激しさを増す競争に
立ち向かうために、JBIC にはさらなるリスクテイクへの挑戦
ンドの人口が 16 億人となり、中国の14 億人を抜いて世界
プを強化しながら、日本の技術を活用してインドの発展に貢
パスポートに使われるような偽造防止技術のニーズも、新興国
や先進国においてますます強まると思っています。こうした商
を期待しています。
最大となるとも予想されています。こうした中、インドが持続
献していきたいと考えています。
機を捉えることが産業の生き残りを左右すると考えます。その
08
久保寺 俊安
国際通貨基金(IMF)が 2010 年 10月に発表した世界経
JBIC TODAY JULY 2011
ご注意:記載内容はICICIグループの商品やサービスの勧誘や推奨を目的としたものではございません。将来の見通しに関する記載は、
さまざまなリスク、不確実性、条件によって左右
されるため、
記載内容と異なる結果となることがあります。また、本記事は情報提供と研究での利用を目的としており、金融取引に関するアドバイスを目的としたものではありません。
JBIC TODAY JULY 2011
09
わが社の海外物語
大化工業株式会社(大阪府枚方市)
タイ工場の高機能フィルムづくりを支援
技術に裏打ちされた幅広い製品 ら手がけたい」
との思いでスタートさせました。以来、ポリエ
祓川社長は、「タイ工場はタ
大化工業株式会社は、食パンや麺類などの食品包装用
チレン、ポリプロピレンなどをフィルム化する共押出技術、素
イ政府当局の承認によって、
フィルムをはじめ、文具・雑貨用フィルム、梱包用フィルムな
材を貼り合わせるラミネート技術などの独自技術を育てて製
税金などの優遇措置を受け
どを幅広く生産しています。樹脂と紙や不織布などを貼り合
品の間口を広げ、大阪での工場拡大、首都圏の市場拡大
ています。JBIC から融資を
わせた通気性フィルムは、脱酸素材や乾燥剤、使い捨てカ
を目的とした茨城県笠間市での関東工場建設と、徐々に規
受けていることが、優 遇 措
イロといった機能性が求められる包装材にも使われています。
模を拡大させてきました。
置の申請に当たって、当局
から信頼を得ることにもつな
このほか、原料に炭酸カルシウムを配合して延伸すること
で、通気性と耐水性を兼ね備えることを可能にしたマイクロ
タイでの最新鋭設備導入をJBIC が支援
がったと思います」
と振り返り
ポーラスフィルム(MPF)は、水蒸気を逃がしても水を漏らさ
同社では、原料コンパウンド、フィルム製造、印刷、裁
ます。
ない特性から、紙おむつなどのバックシートとして需要が急
断にわたる一貫生産を重視しています。近年は、新興国
拡大しています。
から安価な競合品が入るようになりましたが、8 色グラビア
さらなる高付加価値の製品作りのために
川社長は語ります。
包装する製品に応じて通気性の割合を変えるなど、同社
印刷まで自社で手がけて美しい仕上げにこだわり、また、
現在、同社の国内工場とタイ工場は、いずれもフル操業
同社は、さらなる飛躍への布石も打とうとしています。
の高い技術力によって生み出される製品の数々は、多種多
原料コンパウンドから扱うことで品質と安全性を確保してい
が続いており、タイ工場の売上は全体の約 2 割以上に達し
「環境や安全へのさらなる取り組みも重点テーマです。印
様な日用品や産業資材に活用されています。
ることが、ユーザーからの高い評価につながっているから
ています。同社は今後も、本社、国内各工場、そしてタイ
刷については、環境負荷が少なく、高機能性も確保できる
同社の創業は1958 年。祓川芳久社長が 22 歳の時でし
です。赤ちゃんの肌に直接触れる紙おむつ用バックシート
工場の一体運営によって、変化する事業環境に対応してい
フレキソ印刷と呼ばれる先端技術を国内で導入し、その後
た。ポリエチレン製品の印刷を行っていた親類の印刷加工
にも、高い品質と安全性が求められます。一貫生産によっ
く方針です。
タイ工場にも導入していきたいと考えています。このほか、
会社の一部を間借りし、「印刷だけでなく、製品そのものか
て信頼を得ている同社には近年、さらなる増産を求める声
「例えば、タイ工場で生産する紙おむつ用バックシートは
食品の保存性を高める素材、赤ちゃんの肌にさらにやさし
がおむつメーカーから多く寄せられるようにな
今、かなりの数量が日本に送られていますが、関東工場に
い素材の開発など、高付加価値製品も強化していきます」
と、
りました。
もMPF 生産設備を導入し、国内の販売分は国内で賄う体
祓川社長は将来の姿を描いています。
同社は 2005 年、成長市場としてのアジアに
制作りに取り組もうとしています。そして、タイ工場は新興
タイ工場
国市場向けの生産に注力していくことを考えています」
と祓
注目し、ユーザー企業の誘いもあってタイのチョ
O U T L I N E
ンブリ県にDAIKA KOGYO(THAILAND)
CO., LTD.を設立しました。おむつ用バックシー
トの需要の増加に対応するため、タイ工場でも
社
名
本
社
大化工業株式会社
大阪府枚方市春日西町 2 - 26 - 26
はらいかわ
最新の MPF 製造設備を導入、さらに原料コン
代 表 者
祓川芳久 代表取締役社長
パウンド設備も増設し、一貫生産体制の整備
設
1965 年( 1958 年創業)
を進めてきました。
立
資 本 金
8 , 000 万円
売 上 高
124 億円( 2010 年 9 月期連結)
「タイにはユーザー企業がすでに数多く進出
従 業 員
連結 : 369 名( 2010 年 9 月末)
しています。そこで最新の設備を導入し、ユー
事業内容
ポリプロピレンチューブ、ポリエチレンチューブ、
各種多層共押出フィルム、各種包装用フィルム、
ザーのニーズに対応していくことを決めました。
各種ラミネート製品、マイクロポーラスフィルム、
タイの人々は真面目に仕事に取り組んでくれま
パレットストレッチフィルム、プラスチック成型品など
すので、日本と変らない高品質な製品づくりを
工
場
春日第一、第二工場、本社工場(以上大阪府枚方市)、
関東工場(茨城県笠間市)
実現しています」(祓川社長)
JBICは、紙おむつ用バックシートの原料コンパ
海外拠点
タイ工場(チョンブリ県)
U R L
http://www.daika-kogyo.co.jp
ウンド装置の導入に当たって融資を行いました。
祓川芳久 代表取締役社長
主要製品
10
JBIC TODAY JULY 2011
JBIC TODAY JULY 2011
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わが社の海外物語
大化工業株式会社(大阪府枚方市)
タイ工場の高機能フィルムづくりを支援
技術に裏打ちされた幅広い製品 ら手がけたい」
との思いでスタートさせました。以来、ポリエ
祓川社長は、「タイ工場はタ
大化工業株式会社は、食パンや麺類などの食品包装用
チレン、ポリプロピレンなどをフィルム化する共押出技術、素
イ政府当局の承認によって、
フィルムをはじめ、文具・雑貨用フィルム、梱包用フィルムな
材を貼り合わせるラミネート技術などの独自技術を育てて製
税金などの優遇措置を受け
どを幅広く生産しています。樹脂と紙や不織布などを貼り合
品の間口を広げ、大阪での工場拡大、首都圏の市場拡大
ています。JBIC から融資を
わせた通気性フィルムは、脱酸素材や乾燥剤、使い捨てカ
を目的とした茨城県笠間市での関東工場建設と、徐々に規
受けていることが、優 遇 措
イロといった機能性が求められる包装材にも使われています。
模を拡大させてきました。
置の申請に当たって、当局
から信頼を得ることにもつな
このほか、原料に炭酸カルシウムを配合して延伸すること
で、通気性と耐水性を兼ね備えることを可能にしたマイクロ
タイでの最新鋭設備導入をJBIC が支援
がったと思います」
と振り返り
ポーラスフィルム(MPF)は、水蒸気を逃がしても水を漏らさ
同社では、原料コンパウンド、フィルム製造、印刷、裁
ます。
ない特性から、紙おむつなどのバックシートとして需要が急
断にわたる一貫生産を重視しています。近年は、新興国
拡大しています。
から安価な競合品が入るようになりましたが、8 色グラビア
さらなる高付加価値の製品作りのために
川社長は語ります。
包装する製品に応じて通気性の割合を変えるなど、同社
印刷まで自社で手がけて美しい仕上げにこだわり、また、
現在、同社の国内工場とタイ工場は、いずれもフル操業
同社は、さらなる飛躍への布石も打とうとしています。
の高い技術力によって生み出される製品の数々は、多種多
原料コンパウンドから扱うことで品質と安全性を確保してい
が続いており、タイ工場の売上は全体の約 2 割以上に達し
「環境や安全へのさらなる取り組みも重点テーマです。印
様な日用品や産業資材に活用されています。
ることが、ユーザーからの高い評価につながっているから
ています。同社は今後も、本社、国内各工場、そしてタイ
刷については、環境負荷が少なく、高機能性も確保できる
同社の創業は1958 年。祓川芳久社長が 22 歳の時でし
です。赤ちゃんの肌に直接触れる紙おむつ用バックシート
工場の一体運営によって、変化する事業環境に対応してい
フレキソ印刷と呼ばれる先端技術を国内で導入し、その後
た。ポリエチレン製品の印刷を行っていた親類の印刷加工
にも、高い品質と安全性が求められます。一貫生産によっ
く方針です。
タイ工場にも導入していきたいと考えています。このほか、
会社の一部を間借りし、「印刷だけでなく、製品そのものか
て信頼を得ている同社には近年、さらなる増産を求める声
「例えば、タイ工場で生産する紙おむつ用バックシートは
食品の保存性を高める素材、赤ちゃんの肌にさらにやさし
がおむつメーカーから多く寄せられるようにな
今、かなりの数量が日本に送られていますが、関東工場に
い素材の開発など、高付加価値製品も強化していきます」
と、
りました。
もMPF 生産設備を導入し、国内の販売分は国内で賄う体
祓川社長は将来の姿を描いています。
同社は 2005 年、成長市場としてのアジアに
制作りに取り組もうとしています。そして、タイ工場は新興
タイ工場
国市場向けの生産に注力していくことを考えています」
と祓
注目し、ユーザー企業の誘いもあってタイのチョ
O U T L I N E
ンブリ県にDAIKA KOGYO(THAILAND)
CO., LTD.を設立しました。おむつ用バックシー
トの需要の増加に対応するため、タイ工場でも
社
名
本
社
大化工業株式会社
大阪府枚方市春日西町 2 - 26 - 26
はらいかわ
最新の MPF 製造設備を導入、さらに原料コン
代 表 者
祓川芳久 代表取締役社長
パウンド設備も増設し、一貫生産体制の整備
設
1965 年( 1958 年創業)
を進めてきました。
立
資 本 金
8 , 000 万円
売 上 高
124 億円( 2010 年 9 月期連結)
「タイにはユーザー企業がすでに数多く進出
従 業 員
連結 : 369 名( 2010 年 9 月末)
しています。そこで最新の設備を導入し、ユー
事業内容
ポリプロピレンチューブ、ポリエチレンチューブ、
各種多層共押出フィルム、各種包装用フィルム、
ザーのニーズに対応していくことを決めました。
各種ラミネート製品、マイクロポーラスフィルム、
タイの人々は真面目に仕事に取り組んでくれま
パレットストレッチフィルム、プラスチック成型品など
すので、日本と変らない高品質な製品づくりを
工
場
春日第一、第二工場、本社工場(以上大阪府枚方市)、
関東工場(茨城県笠間市)
実現しています」(祓川社長)
JBICは、紙おむつ用バックシートの原料コンパ
海外拠点
タイ工場(チョンブリ県)
U R L
http://www.daika-kogyo.co.jp
ウンド装置の導入に当たって融資を行いました。
祓川芳久 代表取締役社長
主要製品
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JBIC TODAY JULY 2011
JBIC TODAY JULY 2011
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初期段階からの関与で信頼関係を築く
4月7日の開所式には、首都サンチャゴから遠く離れたサイトにも
かかわらず、
ピニェラ大統領やゴルボーン鉱業大臣が出席しました。
「大統領をはじめ関係者は口々に、本プロジェクトが環境への配慮、
労働の安全、女性を含めた雇用拡大、人材育成などに貢献している
鉱山プロジェクトへの実績を活かして と繰り返し言及していました。本プロジェクトがチリ経済にとっていかに
銅は、電線、電気機器、半導体、
自動車、建材などに広く使われる
重要であるかを実感し、
そして鉱山事業のイメージ向上にも貢献し
重要資源です。
日本は、明治・大正期まで世界有数の銅産出国で
ているのだと改めて認識しました」
と豊田調査役。
したが、現在は全量(銅精鉱で年約 500 万トン)
を輸入しています。
銅を初め、
アルミニウム、亜鉛、
ニッケル、
レアメタルなどの非鉄金属
このうちチリからの輸入が約 4 割を占めており、
チリは日本にとって、
は、
インフラからハイテク製品まで幅広く用いられており、
日本の産業
「近年は、新興経済国の成長で銅の需要が拡大する一方、既存
乗りをあげています。
そのような中、
日本企業は世界各地で資源開発
鉱山の産出量・品質の低下もあって供給不足が懸念され、世界的
プロジェクトに取り組んでおり、JBICはこれまでの実績を活かしながら、
に銅鉱山の権益獲得競争が激しくなっています。
日本企業も1990
日本企業を支援していく方針です。
年代から権益確保を強化しており、JBICがファイナンス面で支援し
「熾烈な権益獲得競争を勝ち抜いて長期かつ大規模な投資を行う
てきました」
と豊田調査役。
必 要がある資 源 開 発においては、
今回のエスペランサ銅鉱山開発プロジェクトは、権益を持つ英国
案 件の初 期 段 階から積 極 的に関
法人アントファガスタ社が 2007 年に共同出資者を募り、中国企
与し、パートナーや 相 手 国 政 府と
業や日本企業などが応札しました。
日本企業のこれまでのチリでの
Win-Winの関係を作っていくことが
鉱山開発の実績、
さらに、
それらの開発に対するJBIC の融資実績
重要です。
お互いのニーズを満たす
が高く評価され、最終的には丸紅(株)
がパートナーとして選ばれま
信頼関係を作ることが、今後も資源
した。
資源・環境ファイナンス部門
鉱物資源部 第 1 ユニット
ます」
と豊田調査役は語っています。 豊田 康平 調査役
の安定的確保につながると考えてい
その後、
ファイナンスの組成段階で金融危機が起き、協調融資を
行う欧米金融機関からの融資額が予定より減ることとなりましたが、
JBICは当初の予定から銅の引取量増加を前提に融資枠を拡大。
エスペランサ銅鉱山の権益取得・開発事業に対する融資
この結果、銅の引取量は当初予定していた21 万トン/年から30
JBIC は、2009 年 5 月、英国法人アントファガスタ社と丸紅が出資する
万トン/年に増えることとなりました。
チリ法人エスペランサ社に対し、民間金融機関、
カナダ輸出金融公社、
ドイ
開発事業に関する融資は2009 年 5月に、権益取得に関する融
ツ復興金融公庫などとの協調で、エスペランサ銅鉱山の開発事業資金とし
順調に進み、2010 年 12月に予定通り生産が開始され、2011 年
て総額 10 億 5,000 万ドル限度のプロジェクトファイナンスによる融資契
約に調印しました。
また、同年 8 月には丸紅の全額出資子会社との間で、銅
鉱山の権益を 30 %取得するための資金として、民間金融機関とともに総
3 月に最初の銅精鉱を積載した船が日本に到着しました。市場が
額 6 億 5,000 万ドル限度の貸付契約に調印しました。エスペランサ銅鉱山
混乱する中でJBICがタイムリーに融資を提供したことについて、
の年間生産量(銅精鉱)約 70 万トンのうち、約 30 万トンを日本企業が引き
アントファガスタ社からは、
「大きなスケジュールの遅れが回避され、
取る予定です。
表紙 コンテナ埠頭にて
(©Royalty-Free/Corbis/amanaimages)
国際協力銀行では、本誌を季刊で発行しています。
URL: http://www.jbic.go.jp
資は同年 8月にそれぞれ融資契約を調印しました。
その後、開発は
2011年7月発行 にとって必要不可欠な重要素材です。世界的には、資源メジャーに
よる供給の寡占化が進んでいるほか、中国なども資源獲得競争に名
Tel. 03-5218-3100 国際協力銀行 企画・管理部門 国際経営企画部 報道課
銅資源の長期安定的確保に欠くことのできないパートナーとなって
います。
国際協力銀行の広報誌
の意が示されました。
2011 July
JBIC TODAY(ジェービック トゥデ イ )2011 年 7月号
ほぼ予定通りにプロジェクトの生産を開始することができた」
と、感謝
〒100-8144 東京都千代田区大手町1丁目4番1号
2011 年 4月7日、
チリのエスペランサ銅鉱山の開所式が行
われました。本プロジェクトに関してJBICは、
日本企業が権
益を取得するために必要な資金の融資のほか、鉱山の開発
資金に対してプロジェクトファイナンスを提供しています。銅
地金の原料となる銅精鉱の生産はすでに2010 年末に始ま
り、本プロジェクトからの銅精鉱を積んだ最初の船がこの3月
に日本に到着しました。
Vol. 9
9
資源・環境ファイナンス部門 鉱物資源部 第 1 ユニット 豊田康平調査役に聞く
July
銅精鉱年産 70 万トンのうち30 万トンが日本へ
2011 Vol.
チリ共和国のエスペランサ
銅鉱山で開所式
JBIC TODAY
S P O T L I G H T
特集
地域から世界へ
地域に支えられ、
世界に羽ばたく日本製品
わが社の海外物語
Spotlight
タイ工場の高機能フィルムづくりを支援
大化工業株式会社
(大阪府枚方市)
チリ共和国のエスペランサ
銅鉱山で開所式
Fly UP