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From the FIXED INTEREST Desk
機関投資家向け資料
From the
FIXED INTEREST
Desk
~ RBAの金融緩和は最終局面 ~
2014年4月
本レポートは、英語による2014年4月発行「From the FIXED INTEREST Desk」の
日本語抄訳です。内容については英語による原本が日本語版に優先します。
■オーストラリア市場コメント
3月、オーストラリア債券市場(UBS Composite Bond Index 0+YR)のリター
ンは0.02%となった。当月、3年物国債利回りが2.83%から2.99%に上昇した
ほか、10年物国債利回りも4.02%から4.08%に上昇した。短期金利は全体
的に上昇し、1ヵ月物バンク・ビル・スワップ・レート(BBSW)が2.63%から
2.65%に、3ヵ月物BBSWが2.63%から2.70%に、6ヵ月物BBSWが2.65%
から2.73%になった。また、豪ドルは大幅な上昇となり、月初の1豪ドル=
0.893米ドルから月末には0.927米ドルまで上昇した。
オーストラリア準備銀行(RBA)は4月1日の会合で、政策金利であるオフィ
シャル・キャッシュレートを引き続き2.50%に据え置いた。オーストラリア産業
ティンダル・インベストメント・ グループが発表した3月の季節調整済み製造業指数(PMI)は、前月から0.7
ポイント低下の47.9ポイントとなり、5ヵ月連続で50を下回る水準となった。生
マネジメント・リミテッド
債券運用責任者
産に関する一部の指標が低下した一方で、新規受注に関する一部の指標は
ロジャー・ブリッジズ 2013年10月以降で初めて上昇した。一部の製造業者は、豪ドルが高い水準
にあることに関し再度懸念を示した。また、豪ドル高により輸入品価格が低下
して国産品の需要に大きな影響を与えていることから、多くの製造業者が輸
入品との競争激化についての懸念を表明した。
2月、民間セクターでは、小幅ながら与信の拡大が見られた。個人向け融資
の伸び率が-0.2%となった一方で、法人向け融資と住宅ローンの伸び率はそ
れぞれ+0.4%と+0.5%となった。融資のうち住宅ローンが占める割合は、
60.3%と過去最高を記録し、法人向け融資が占める割合は、33.4%と過去最
低を記録した。
RP Data-Riskmarkの住宅価格指数によれば、3月の主要都市住宅価格は、
全ての州および準州について見た場合、前月比+2.3%の上昇となり、18年間
の住宅価格指数の歴史の中で、最大の月間上昇率を記録した。現在、オー
ストラリアの主要都市の半数が過去最高の住宅価格を記録しており、その中
で最も大幅な上昇を記録しているのはシドニーである。住宅産業協会(HIA)
によると、2月の新築住宅販売件数は4.6%増となり、住宅市場の堅調さが見
て取れる。集合住宅の販売件数は減少したものの、一戸建て住宅が中心とな
り販売件数を押し上げた。
日興アセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第368号
加入協会: 一般社団法人 投資信託協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会
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機関投資家向け資料
■オーストラリア市場の見通し
失業率が上昇傾向にあり、また鉱業および製造業部門の縮小が続いている
ことから、オーストラリア経済はなかなか勢いがつかず、苦戦しているように
見える。一部の先行指数は以前よりも良好だが、雇用減少の影響の大きさか
ら、回復の勢いが低下する可能性がある。鉱業投資ブームの終了が経済に
もたらす悪影響は、純輸出の増加(資本財の輸入が減少する一方で輸出が
増加)により一部緩和されるだろう。とは言え、鉱業投資の鈍化による影響を
相殺するには、豪ドル高や相対的に高い金利により打撃を受けたセクター
(住宅産業、留学生教育産業、観光業など)の収益回復が必要となる。
豪ドルは3月に、新興国市場への懸念が高まった1月の低い水準から回復し
た。現在、豪ドルはグレン・スティーブンスRBA総裁が望む水準である1豪ド
ル=0.85米ドルをすでに大幅に超えているため、これ以上の通貨上昇は
RBAの懸念材料となるだろう。
RBAの金融緩和は最終局面にあると考えている。RBAは歴史的低水準にあ
る現在の2.50%の政策金利を当面維持した上で、その後は政策金利を引き
上げると予想している。しかし、今回の政策金利引き上げのスピードは、過去
20年間とは異なり、緩やかなものとなるだろう。鉱業ブームが投資期から生
産期にシフトするなどオーストラリア経済は現在めまぐるしく変化しているため、
設備投資活動などの下支えとなる低金利が必要とされている。インフレ圧力
が高まらない限り、少なくとも今年中はこの低金利が続く可能性が高いと考え
る。
日興アセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第368号
加入協会: 一般社団法人 投資信託協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会
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■クレジット・コメント
信用スプレッドは年初横ばいでスタートしたものの、 3月は縮小が続いた。一
方、当月、合成スプレッドは構成銘柄の変更を受けて拡大した。米国CDXが
6bps、欧州iTraxxが5bps拡大し、オーストラリアiTraxxは横ばいとなった。現
物市場では、UBSクレジット指数が1.6bps、UBS FRN指数が2.1bps、それ
ぞれ縮小した。信用スプレッドは引き続き縮小傾向にあり、現在の債券価格
は割安と言うよりも適正と考える。社債およびABS証券(国際機関債/ソブリ
ン債/政府機関債を除く)の発行額は、2月が87億豪ドルであったのに対し、
3月は78億豪ドルであった。当月は国際機関債/ソブリン債および金融セク
ターによる社債の発行が集中した。需要に対する供給が相対的に不足してい
るなど、マクロ経済環境が依然として国内外のクレジット市場を十分に支えて
おり、クレジット投資家の市場見通しを良好なものにしているため、国内の投
資家心理は底堅く維持された。月初のウクライナ問題への懸念の高まりは、
その後情勢がやや落ち着いたことから、市場に大きな影響を与えなかった。
民間の社債発行体に関するニュースは比較的少なかった。格付会社の
Standard&Poors(S&P)およびMoody‘sは、HochtiefがLeighton Holdingsを
子会社化して取締役会を管理下に置いたことを受けて、Leighton Holdings
の格付を引き下げる方向でクレジットウォッチに指定した。また、Stocklandが
戦略的にAustralandの株を19.9%取得したことを受けて、A-REIT(オーストラ
リアの不動産投資信託)セクターのM&Aリスクが注目された。更に、Dexus
Property GroupによるCommonwealth Property Office Fund(CPA)の買収
や、Westfieldが新たな事業体であるScentre Groupにおいて国内事業を再
編するとの提案が行なわれた。Macquarie Groupは2014年度の税引後純利
益が40~45%程度上昇すると予想しており、業績見通しが良好であることを
発表した。
Leighton Holdingsの格下げ懸念を除けば、Moody‘sがBank of
Queensland(BOQ)の格付を「A3」へ一段階引き上げるなど、国内企業の信
用格付動向は良好だった。Moody’sは数年前、収益性の悪化および証券化
への依存度の高さを理由にBOQの格下げを行なったが、今回はその見方を
変更した。また、3月末、S&PはDexus Property Groupの格付を「BBB+」か
ら「A-」へ引き上げるとともに、格下げ方向のクレジットウォッチを解除し、また
CPAの格付を「A-」に維持した。
当月、社債を発行した金融機関としては、National Bank of Abu Dhabi、
First Gulf Bank、LeasePlan、Banco Santander Chile、三菱東京UFJ銀行
などが挙げられる。WestpacおよびIAGの両社は新型のTier 2証券を発行し
た。Perth AirportsとSGSP(Australia)Assets Pty Ltdは総額7.5億豪ドルの
ノンファイナンシャルCPを発行した。証券化市場においては、Heritageが4億
豪ドルの証券を価格設定し、AMPが同社のProgress Trust証券を10億豪ド
ル発行した。
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金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第368号
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■ ク レ ジ ッ ト 見 通 し
世界的な先行き不透明感、とりわけ米国、中国、日本、欧州といった主要市
場や国内の経済成長鈍化への懸念が持続する限り、信用スプレッドは今後も
不安定に推移すると予想している。しかしながら、低金利環境の中で利回り
の高い金融商品を求める動きがあることや、ほとんどの中央銀行がクレジット
市場に有利な政策を採っていること、企業の財務状態が総じて健全であるこ
と、大手銀行の倒産の可能性が低いこと、そして経済ファンダメンタルズが比
較的堅調であることを背景とする、テクニカル要因に支えられたクレジット需
要など、明るい材料は依然として存在する。
信用スプレッドはこのところ縮小傾向にあるが、リスク・テイクに見合う水準で
推移し続けている。そのため、米国、中国、欧州に関する懸念やオーストラリ
ア経済の明らかな軟化傾向にもかかわらず、オーストラリアの信用スプレッド
は小幅ながら縮小する可能性がある。QE縮小と中国のシャドーバンキング
問題の影響に対する警戒感を考慮すれば、信用スプレッドが拡大する可能
性もないわけではないが、大幅な拡大は予想していない。
金融セクターによる過度な債券の供給は以前ほど脅威ではなく、市場は規制
リスクについて従来よりも楽観的な見方をしている。継続的な信用スプレッド
縮小と高い需要を背景に、現在、質の高い社債は金融機関債と比較して適
正な価格水準にあるとみている。金融機関債は、市場の楽観姿勢が強まれ
ば相対的に良いパフォーマンスをあげるとみられる。ただし、規制問題や政治
問題の行方がはっきりするまでの間、金融機関債は長期的には厳しい展開
が続くと予想される。国内大手銀行が発行する債券は、信用力の強さを踏ま
えれば魅力的な水準にあるとみられ、長期的には比較的安定して推移するも
のと思われる。ただし、一部の投資家がクレジットのポジションを縮小するな
か、短期的にはボラティリティが高まる可能性がある。
金融以外のセクターで、債券発行が増加している。格付の低い社債の発行が
記録的な水準にある一方、投資適格債の発行は少ない。そのため、社債市
場では供給不足が続いている。また、国内発行体の多くは、未だ海外市場で
の起債か銀行融資を選ぶ傾向にあるのが実情である。
日興アセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第368号
加入協会: 一般社団法人 投資信託協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会
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機関投資家向け資料
■執筆者紹介
Roger Bridges (ロジャー・ブリッジズ)
1998年ティンダル社に入社。運用責任者を務めるオーストラリア債券ポートフォリオは、Winner in
Money’s MagazineやS&P Fund Awards など数々の受賞歴を持つ。
同社に入社する前は、コモンウェルス銀行で15年にわたりエコノミストや債券の投資・運用業務に従事し、
債券の投資・運用の経験は約30年に及ぶ。
本資料は、ティンダル・インベストメント・マネジメント・リミテッド(弊社)が市況環境などについてお伝えすること等を目的として作成した資料(英
語)をベースに日興アセットマネジメント株式会社が作成した日本語版であり、特定商品の勧誘資料ではありません。また、当資料に掲載する内
容は、弊社および日興アセットマネジメントのファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。資料中において個別銘柄に言及する場
合もありますが、これは当該銘柄の組入れを約束するものでも売買を推奨するものでもありません。当資料の情報は信頼できると判断した情報
に基づき作成されていますが、情報の正確性・完全性について弊社および日興アセットマネジメントが保証するものではありません。当資料に
掲載されている数値、図表等は、特に断りのない限り当資料作成日現在のものです。また、当資料に示す意見は、特に断りのない限り当資料
作成日現在の見解を示すものです。当資料中のグラフ、数値等は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。当資
料中のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。尚、資料中の見解には弊社および日興アセットマネジメント
のものではなく著者の個人的なものも含まれていることがあり、予告なしに変更することもあります。ティンダル・インベストメント・マネジメント・リ
ミテッドは、日興アセットマネジメント株式会社のグループ会社です。
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