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日廃振センター情報 - 公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター

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日廃振センター情報 - 公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター
産業廃棄物の適正処理と循環型社会の形成に向けて
理
日廃振センター情報
公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター
公
益
本産
2016.1
JW INFORMATION
守りたい日本の名水
妙音沢
(埼玉県新座市)
冬号
守りたい
日本の
「妙音沢(みょうおんざわ)」は、埼玉県新座市南部、
荒川水系黒目川沿いに位置し、雑木林内の急斜面に湧
き出した全長100mほどの清流です。
「妙音沢」の「妙」の字には非常に優れているとの意
味があり、湧水が奏でる美しいせせらぎが琵琶の音色
を連想させることから、弁財天がこの地の琵琶法師に
秘曲を授けたという伝説が、「妙音沢」の名前の由来
であるといわれています。
斜面から湧き出る複数の湧水は、毎分1トンという
豊富な湧水量を誇り、プラナリア、サワガニ、ヘビト
ンボなど、きれいな水にしか生息しない生物が見られ
ます。
また、この妙音沢を有する緑地は、都市緑地法に基
づく特別緑地保全地区に指定され、東京近郊では珍し
いカタクリやニリンソウなどの貴重な植物が数多く自
生しており、平成26年には「妙音沢旗桜」という新種
の桜も見つかっています。
平成25年3月には緑地内の遊歩道(木道)が整備さ
れ、首都圏にいながら、貴重な自然の中での散策を楽
しむことができます。
参考文献:日本の水をきれいにする会編『平成の名水
百選』
新座市ホームページ「観光スポット」
(http://www.city.niiza.lg.jp/life/7/21/72/)
新座の民話
(新座民話の会)
(http://homepage2.nifty.com/hal15/
minwa/index.html)
新座めぐり
(新座市産業観光協会)
(http://www.niiza.net/midokoro/sonota/
myouonsawa/)
表紙写真:脇田一平/アフロ
〈アクセス〉
●西武池袋線「大泉学園駅」下車→新座
栄行きバス
「新座栄」下車→徒歩5分
●東武東上線「朝霞台駅」下車→ひばり
が丘駅北口行きバス「新座総合技術
高校」下車→徒歩5分
表紙の写真
妙音沢
場所:埼玉県新座市
分類:河川
目
次 日廃振センター情報
2016.1 冬号 Vol.15
守りたい
日本の名水
No.4
妙音沢
(埼玉県新座市)
2016年 年頭のご挨拶・年頭所感
4
第3回日本・韓国・台湾ネットワーク会議参加報告
事業報告
国際部
8
産廃業界は学生インターンシップを
コラム
桜美林大学リベラルアーツ学群 教授 藤倉まなみ
11
水銀に関する水俣条約と水銀廃棄物の処理・処分(保管)
第4回 廃棄物焼却施設からの水銀排出
連載講義
12
京都大学大学院地球環境学堂 教授 高岡昌輝
製鉄所の敷地内に設置された世界で唯一の製紙工場における
古紙リサイクル
産廃クローズ
アップ
16
九州製紙株式会社 北九州工場
佐賀県における電子マニフェスト普及の取組状況について
◆
佐賀県くらし環境本部循環型社会推進課
行政の
うごき
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令案」及び「廃棄物
の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」等の概要(抜粋)
◆
19
環境省
●ユーザ事例紹介
電子
マニフェスト
情報
24
電子マニフェスト導入のメリット及び有効活用事例のご紹介
アミタ株式会社
マニフェストの交付・登録を要しない廃棄物を電子マニフェストで管理する方法
電子マニフェスト導入実務研修会・操作体験セミナーの開催について
センター
だより
28
●ISWA World Congress 2015 Antwerp参加報告
●出張(団体・個別企業向け)研修のご案内
●第14回産業廃棄物と環境を考える全国大会
担当者
スポット
32
●周りは変人ばかり?/教育研修部 ●編集後記
近隣史跡
の紹介
●西念寺
口幸弘
2016年
年頭のご挨拶
平成28年を迎えて
新年明けましておめでとうございます。 皆様方には、 在では、電子マニフェストの利用率も40%を超える
水準にまで達しています。 JWセンターとしても、平
健やかに新春を迎えられたことと存じます。
東日本大震災から間もなく5年が経過します。 震 成25年5月に決定された「第三次循環型社会形成
災に伴うがれき類の処理も終了し、復興に向けた歩 推進基本計画」に掲げられた目標(平成29年春に
みが進みつつあります。また、近年、急激な気候変 50%)達成に向けて鋭意普及対策に取り組むととも
動に伴い世界各地で異常気象が頻発し、昨年9月 に、運搬終了報告の簡便化やスマートフォンやタブレッ
には関東・東北地方が台風第18号による記録的な トへの対応を実施して、機能の向上に努めております。
大雨に伴う被害に見舞われ、人的被害や家屋の損 さらに、将来は、電子マニフェストを通じて収集され
壊、停電や断水、交通の麻痺などのライフラインへ るビッグデータの活用も含め、移動情報の登録という
の被害と並んで、災害廃棄物の処理も大きな問題と 現行の機能を超えた資源・廃棄物の情報管理システ
ムとしての利用も視野に入れた方向を模索していきた
なりました。
今後発生するおそれのある大規模地震や異常気 いと考えています。
象の影響によりもたらされる豪雨等の自然災害によっ 一方、教育研修事業につきましては、今後とも各
て、災害廃棄物の適正処理が課題となることが予想 種の講習会・研修会を計画的に実施し、産業廃棄
され、発生し得る災害への十分な備えが必要となっ 物処理の一層の適正化に貢献してまいります。 加え
ていると思われます。こうした状況の中で、昨年、災 て、引き続き産業廃棄物の適正処理の推進に関す
害廃棄物について、その適正処理と再生利用を確 る所要の調査研究事業を実施するとともに、適正な
保した上で、円滑かつ迅速に処理をすべく、平時の 感染性廃棄物容器の普及促進のための容器評価
備えから大規模災害発生時の対応まで、切れ目の 事業等も着実に進めてまいります。
ない災害対策を実施するため、災害対策基本法と また、アジアを中心にした有害廃棄物及び産業廃
廃棄物処理法の一部改正法が施行されたところです。 棄物管理に関する情報の収集・提供、国際機関と
JWセンターでは、東日本大震災に伴うがれき処 の交流も進めており、平成25年から毎年、行ってい
理の支援をするために、平成23年9月より提供し、 る韓国、台湾、日本の関係者による三国間のラウン
岩手県及び宮城県の自治体等でご活用いただきまし ドテーブルを昨年10月に韓国で開催しました。 今後
た「JW災害廃棄物処理支援システム」を、社会貢 とも、政府が進める循環産業の育成・国際展開の
献の一環として引き続き地方公共団体に提供いたし 推進に協力してまいります。
なお、昨年9月、環境省よりJWセンターに対して、
ます。
JWセンターは、今後の廃棄物処理事業の動向 産業廃棄物の不法投棄・不適正処理が行われた場
を踏まえ、将来にわたって堅実な経営を維持し、わ 合の支障の除去等に関する基金への支援の要請が
が国のより良い廃棄物処理を後押ししていく所存であ あったところであり、JWセンターとしても、マニフェス
ります。 JWセンターでは、これまで、産業廃棄物の ト頒布団体等の一つとして、基金への出えん等に協
適正処理と3Rの推進による循環型社会の形成に向 力することといたしました。
けた各種事業、中でも電子マニフェスト事業と教育 JWセンターが、廃棄物分野の専門機関として、
国の施策に協力しつつ、わが国の廃棄物処理関連
研修を2本柱として活動を進めてきました。
このうち、電子マニフェストにつきましては、産業廃 ビジネスの健全な発展を通じて、地球環境の保全に
棄物の適正処理確保の面と併せて業務効率の向上 貢献できれば幸いです。 本年も、関係の皆様方の
への有効性などについて関係者の理解が深まり、こ ご理解、ご支援を賜るようお願い申し上げます。
こ数年急速に利用が進んでいます。その結果、現
4
年頭挨拶・所感
年 頭所感
平成28年度以降の廃棄物・
リサイクル政策の主要課題
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。 本年は、 この検討結果を踏まえ、PCB廃棄物の期限内処理
震災からの復興や災害廃棄物処理の着実な推進に
を安全かつ確実に履行するための取組を推進してま
加えて、伊勢志摩サミットが日本で開催されることから
いります。
「水銀に関する水俣条約」を踏まえた水銀
より一層国際的な観点も踏まえ循環型社会づくりに取
廃棄物対策については、昨年11月に廃水銀等を特
り組んでまいりたいと考えています。
別管理廃棄物に指定すること等を内容とする廃棄物
平成28年度は、東日本大震災から5年が経過し、 処理法施行令の改正を行いました。 引き続き、水銀
復興・創生に向けた次のステージ「復興・創生期間」 廃棄物の適正処理の確保に向けて、着実に取り組
に入ります。 東京電力福島第一原子力発電所の事
んでまいります。
故によって生じた放射性物質に汚染された廃棄物の
廃棄物処理施設や浄化槽といった処理システムの
処理を着実に進めるとともに、被災地に残る災害廃
整備にも着実に取り組んでまいります。 循環型社会
棄物等についても、できるだけ早期の処理完了を目
形成推進交付金等の確保を通じて、一般廃棄物処
指して全力で取り組んでまいります。
理施設の老朽化による新たな更新需要に適切に対
また、今後の災害発生に備え、昨年9月に災害
応し、廃棄物エネルギーの活用を進めるとともに、特
廃棄物処理支援ネットワーク(D.Waste-Net)を発
に市街化区域の外縁部や中山間地域において、浄
足させたところであり、自治体等における災害廃棄物
化槽の普及促進に取り組んでまいります。
処理計画の策定への支援等を充実させていきます。
リサイクルについては、食品リサイクル法に基づく
資源循環の「量」だけでなく
「質」に着目し、2R(リ
食品ロスの更なる削減等に努めてまいります。自動
デュース・リユース)の推進やリサイクルの高度化な
車リサイクルについては、メーカーにおける環境配慮
どを主要な柱とした施策も実施していきます。 国際的
設計等を推進してまいります。さらに、リサイクルと低
取組としては、本年5月に開催されるG7環境大臣
炭素化の統合、素材ごとのリサイクルの推進、太陽
会合等に向けて資源効率・3Rに関する国際的議論
電池パネル等のリサイクルの推進を進めてまいります。
を主導するとともに、循環産業の国際展開を引き続
以上、新しい年における施策の一端を紹介させて
き戦略的に促進してまいります。
いただきました。 引き続き皆様のご協力を切にお願い
産業廃棄物の適正処理の推進については、優良
申し上げると共に、皆様の一層のご健勝を祈念して、
産廃処理業者認定制度の普及等に努めてまいります。 新年のご挨拶とさせていただきます。
また、不法投棄等に起因する生活環境保全上の支
障を除去するための対策を着実に進めてまいります。
さらに、不適正な輸出入への対策強化や環境負荷
の低減に資する輸出入の円滑化を一層推し進めるな
ど、適正な資源循環の実現に向けた取組を進めてま
いります。 PCB廃棄物については、昨年9月以降
早期処理に向けて、追加的方策の検討を行いました。
2016.1 JW INFORMATION
5
年 頭所感
時代を牽引する新たな循環産業へ
明けましておめでとうございます。 旧年中は、産廃
の分野で業務の進め方などに大きな変化が生じると
振興財団に対し格別のご支援、ご協力を賜り、厚く
みられます。
御礼申し上げます。
一方、アジア太平洋地域を中心に世界の資源需
昨年は基調的にはゆるやかな景気回復が続いた
要は増加を続けており、地球規模でみて資源効率を
ものの、景気の本格的な回復を実感できるまでには
高めていく取り組みがますます重要となっています。
至らず、わが国経済の再生はまだ道半ばと言えます。 昨年のG7ドイツサミットでは、環境アジェンダとして気
今年は8月にリオデジャネイロでオリンピックが開催さ
候変動と並んで資源効率が取り上げられ、今年5月
れますが、2020年の東京オリンピックの成功に向け
にわが国で開催されるG7サミット、G7環境大臣会
て機運が一層高まってくるでしょう。 将来への明るい
合において、国際的な資源循環の議論が継続展開
展望が、経済の持続的な成長に結びつくことが望ま
されることが期待されています。 今や廃棄物の資源
れます。
化はグローバルな流れであり、循環型社会への取り
また、東日本大震災からまもなく5年を迎えますが、 組みは世界レベルでの重要課題と言えるでしょう。
被災地域の一日も早い再興に向けて、震災復興を
このように産業廃棄物処理事業を取り巻く環境は
加速化していくことが求められます。 除染土壌などに
大きく変化しており、時代の流れに対応して、産廃
係る中間貯蔵事業は長期にわたる道のりとなります
処理業自らが進化を遂げていくことが必要になってき
が、息の長い取り組みを着実に進め、残された課題
ています。 資源制約の克服にも資する高度な循環
を克服できるよう、当財団としてもこれまでに培ってき
型社会の形成へと、時代をリードしていく位の気概を
た技術やノウハウを活かして、少しでも協力ができれ
持って、新たな循環産業に向けて、積極果敢に事
ばと考えています。
業活動を展開していくことが求められるかと思います。
さて、近年のイノベーションの進展には目を見張る
もちろん、循環産業への道は決して平坦ではない
ものがあります。あらゆる 「もの」 をインターネットに接
でしょう。 人財の育成を進め、一層の優良化・高度
続し、 相 互 の 情 報 のやり取りを可 能にするIoT
化を図り、産業としての基盤を着実に強固なものにし
(Internet of Things)の活用や、人工知能の
ていく必要があります。 産廃振興財団では、創立以
技術開発などが急速に進んでいます。こうしたツール
来、一貫して産廃処理業の振興に努めてきましたが、
を活用して、将来のことと思われていた車の自動運
引き続き諸事業を通じて循環産業への道を後押しで
転などが現実のものとなりつつあります。また、急速
きるよう、さらに叡知を集めてまいりたいと考えます。
に進展するICTを利用することで、低炭素化や資源
当財団への一層のご理解、ご支援をお願い申し
の循環利用に向けた実効ある取り組みが、スマート
上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
シティなどで実際に進められています。イノベーション
を取り入れることによって、今後、業種を問わず多く
6
年頭挨拶・所感
年 頭所感
「環境を守り、産業を支える」資源
循環産業として
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター
しかし、当業界を規律する廃棄物処理法は、幾
の皆様、明けましておめでとうございます。 旧年中は、 度もの改正が行われておりますが、法の制定から今
当連合会の諸事業に皆様の多大なるご理解とご協
日まで、依然として規制的手法が基調となっています。
力を賜り、厚く御礼申し上げます。
もちろん産業廃棄物に対する規制は、適正処理を確
昨年は、当連合会が昭和60年7月に法人化され
保するために必要不可欠です。その半面、資源循
てから、満30年という節目に当たる年でございました。 環型社会を構築していくためにも、より一層事業を発
当初は事業者の利益を図るための任意団体として誕
展させるには、規制的手法だけでは限界があること
生し、その後、当連合会の公益性の高さが認めら
も、また事実であります。
れて社団法人化され、現在は公益法人認定法によ
本年は、廃棄物処理法の5年ごとの見直しの時
る公益社団法人として活動しております。
期に当たっております。 当連合会は、一昨年の後半
公益社団法人は、その名称のとおり、広く社会
から、産業廃棄物処理に係る事業の振興と規制の
一般の利益を追求し、その利益の増進のために活
合理化の観点で、次期法改正についての本格的な
動する組織でございます。 法人化30年を経て、我
議論を行って参りました。この成果を意見書の形に取
が国の環境保全と循環型社会の形成に果たしてきた
りまとめ、近く国に提出することにしております。
役割を鑑みるとき、これまでの歩みを決して止めること
さらに、当連合会は、一昨年8月に「産業廃棄物
なく、その役割を担う公益社団法人としてふさわしい
処理業の業法を含めた振興策の検討に関するタスク
事業を一層力強く進めることが第一の使命と考えてお
フォース」を設置し、1年をかけて業の振興方策に関
ります。
する様々な角度からの議論を重ねてきたところでござ
さて、近年における国の廃棄物・リサイクル対策を
います。今後はタスクフォースの報告書において提案
概観しますと、循環型社会や低炭素社会の実現に
されている内容を各都道府県協会等にご検討いただ
向けた施策を進める中で、優良産廃処理業者認定
き、連合会として業の振興策を具体化していきたいと
制度の普及や産業廃棄物処理業の高度化と処理
考えております。
施設に対する地域理解の促進のための措置、循環
本業界が「環境を守り、産業を支える」資源循環
産業の国際展開への支援など、ビジネス振興の方
の産業として、国民の皆様の一層のご理解と信頼を
向性を打ち出し始めた、という感を強く抱かせるもの
得ることができますよう、なお一層努めて参る所存で
がございます。
ございます。 皆様のご指導・ご鞭撻を頂戴できれば
当業界は、時代の要請に応じ、循環型社会を担
幸に存じます。
う資源循環のための産業へと、大きく変貌しつつあり
最後になりますが、この1年が皆様にとりまして、
ます。 廃棄物の適正処理にとどまらず、資源・エネ
すばらしい年でありますようお祈り致しまして、新年の
ルギーの回収・転換を促進する事業に日夜、取り組
ご挨拶とさせていただきます。
んでおります
2016.1 JW INFORMATION
7
本・韓国・台湾ネットワーク会議
事 業 第3回日本
報 告 参加報告
表1 第3回日本・韓国・台湾ネットワーク会議のスケジュール
国際部
発表機関
1.はじめに
講演名
韓国
(国立環境研究所)
韓国のMERS事案における指定医療廃棄物の緊急管理システム
日本
(JWセンター)
日本における医療廃棄物管理の現状
台湾
(EPA)
台湾における医療関連廃棄物管理
●セッション2
平成27年10月20日・21日の2日間、韓国・ソ
12月に東京で、第2回が平成26年10月に台北で
ウルにて開催された第3回日本・韓国・台湾ネッ
開催され、各国が輪番で毎年主催することとして
トワーク会議(三国会議)に参加しましたので、概
います。
要を報告します。三国会議は、電子マニフェスト
発表機関
講演名
韓国 (韓国放送通信大学校)
韓国における医療廃棄物管理
日本
(JWセンター)
日本の感染性廃棄物適正管理におけるJWセンターの取組
台湾
(EPA)
台湾における廃棄物の電子管理システム
【参加機関】
を導入している日本・韓国・台湾の関係機関が、
第1回三国会議に引き続き、日本からはJWセン
電子マニフェスト制度や産業廃棄物管理に関する
ター、開催国の韓国からは韓国環境公団(K eco)、
情報交換を目的として、JWセンターの提唱によ
台湾からは行政院環境保護署(EPA)の3機関が出
り始まりました。三国会議は、第1回が平成25年
席しました。
●セッション3(16:00 ∼ 16:50)
韓国
(K eco)
韓国における食品廃棄物電子管理システムの紹介
●視察 10月21日
視察先
ソンド・コンベンシア、K eco
<JWセンター>
(1) セッション1
セッション1で
日本においては、廃棄物処理法に基づいて、感
は、K ecoのWoo,
染性廃棄物は特別管理廃棄物に分類されること、
Hea-Eun廃棄物管
感染性廃棄物の収集運搬、処分に当たっては都道
理局長の開会挨拶
府県等の許可を得るとともに厳格な基準を順守し
(写真2)の後に、
なければならないこと、医療機関等は排出した感
MERS感染を経験
した韓国の提案に
写真2 Woo, Hea-Eun局長の挨拶
よる、医療廃棄物
に係る政策と緊急
マニュアルをメインテーマとして、各国から以下
の内容が発表されました。
<韓国>
は現行のシステムで対応できること等を報告しま
した。
<台湾>
台湾では、医療関連廃棄物には、個別のコード
物管理センターが管理
Frequency
2.第3回日本・韓国・台湾ネットワーク会議の概要
負うこと、MERS等の感染症由来の廃棄物処理に
沿って、EPA産業廃棄
術(RFID:Radio
写真1 第3回 日本・韓国・台湾ネットワーク会議出席メンバー
染性廃棄物の適正処理に対して排出事業者責任を
番号が割り振られ、排出から最終処分まで法律に
無線自動認識技
IDentification)
する電子マニフェスト
を利用した医療廃
システムで追跡/記録
棄物の管理システ
されていることが紹介
ム や、MERS対 策
されました。その他、
のために政府が構
写真3 Dr. Wooil, Kimの発表
SARSのパンデミック
表1に示すように、10月20日のネットワーク会
には、国際環境認証を受けた国際会議場のソンド・
築した環境部、保健福祉部、地方自治体、K eco
に際しての緊急対応や、
議は、セッション1、セッション2、セッション3
コンベンシアとK ecoを訪問しました。
等が連携したシステムと医療廃棄物の緊急管理シ
医療関連廃棄物の約
ステムの概要が発表されました
(写真3)。
15%は、 滅 菌 処 理 後
の3部構成で開催されました。また、翌10月21日
8
事業報告
●セッション1
写真4 Dr. Houngの報告
2016.1 JW INFORMATION
9
韓国・台湾ネットワーク会議
事 業 第3回日本・韓
報 告 参加報告
にプラスチックの製造
<台湾>
原料として再使用され
情報や申請を一元管理するための廃棄物電子管
ていることが報告され
理システムとその他の管理システムの統合により、
ました(写真4、5)。
設備投資額を上回る年間1000万USD以上のコス
ト削減ができたこと、過去2年間で解体廃棄物の
不法投棄件数は2、3件
に激減したことが紹介
さ れ ま し た。 ま た、
Webを ベ ー ス に し た
写真5 Mr. Hwangの報告
廃棄物情報オンライン
(2) セッション2
分析処理システムに
セッション2では、医療及び産業廃棄物管理に
よって、政策決定者の
おける電子マニフェストの効果的な運用について
政策立案に役立つ分析
の情報交換をメインテーマに発表が行われました。
レポートやデータ等を
<韓国>
迅速で的確に提供でき
医療廃棄物は、隔離医療廃棄物、有害医療廃棄
るようになったこと等が報告されました(写真6)。
物、一般医療廃棄物に大別され、RFIDにより管理
(3) セッション3
されていること、排出、保管、運搬時には、冷蔵
K ecoによるRFID技術を利用した食品廃棄物管
設備による温度管理が求められていること、容器
理システムの紹介があり、年率平均3%増加して
ごと医療廃棄物限定の焼却施設で処理されている
いる食品廃棄物排出量を削減するため、食品廃棄
こと等が報告されました。
物の排出量により課金するシステムが実施された
<日本>
こと、RFID技術の効果的な使用により、食品廃棄
日本における医療廃棄物は電子マニフェストシ
物排出量の的確な把握が可能となったこと、その
ステムにより、その他の産業廃棄物と同様に管理
結果、食品廃棄
されていること、特別管理産業廃棄物である感染
物排出量削減へ
性廃棄物を排出する事業所に設置義務のある管理
の住民の意識を
責任者の資格取得に必要な講習会、またそれらの
高めることがで
廃棄物を運搬・処分する処理業者の許可取得のた
きたこと等が報
告されました
めの講習会をJWセンターが提供していること、
感染性廃棄物の容器評価制度事業を実施している
写真6 Ms. Niの報告
写真7 Mr. Choiの報告
(写真7)。
ことを、JWセンターの取組みとして発表しました。
3.おわりに
第4回ネットワーク会議は、平成28年に日本で
場および廃棄物管理に関する有効な情報交換の場
開催されます。今後も、本会議を、日本・韓国・
として、継続して開催していくこととしています。
台湾の電子マニフェスト運営機関の連携を深める
10
コラム
産廃業界は学生インターンシップを
桜美林大学リベラルアーツ学群教授
藤 倉 まなみ
FUJIKURA Manami
1985年京都大学大学院工学研究科修了、2013年北海道大学大学院工学研究科博士課程修了、博士
(工学)
。1985年環境庁入庁、2005年環境省大臣官房総務課環境情報室室長、2007年慶應義塾大学
環境情報学部教授、2010年桜美林大学リベラルアーツ学群
(環境学専攻)教授、現在に至る。科学技術・
学術審議会専門委員、東京都環境影響評価審議会委員、神奈川県環境審議会委員、横浜市廃棄物減
量化・資源化等推進審議会委員、公益社団法人におい・かおり環境協会理事など。専門は環境システ
ム科学、環境政策。
桜美林大学は、東京都の人材育成制度
「ECO-TOPプログラム」の認定を受け
ている。これは、「自然環境に軸足をお
いたジェネラリスト」を育成するもので、
東京都の認定を受けた大学・大学院の課
程において、環境に関する自然科学、社
会科学、人文科学にまたがる科目を履修
するとともに、企業・NPO・行政の3
分野で環境に関連するインターンシップ
を行い、所定の単位を取得すれば、卒業
時に都知事名の修了者登録証が都から
交付される。現在7大学が認定を受けて
いる。
ECO-TOPプログラムの修了学生の
ほぼ全員がやって良かったこととして挙
げるのがインターンシップ(在学中の就
業体験)である。インターンシップは、
学生にとっては主に2つの意義がある。
①仕事理解:自分が思い描いていた、あ
るいは自分が知らなかった仕事・業界の
現実を見ること、職場の個々人の役割や
その会社が業界・社会の中で果たしてい
る役割を知ること。その結果、主体的な
職業選択や高い職業意識の育成が図られ、
就職後の職場への適応力や定着率の向上
につながる。②自分理解:実際の仕事の
現場で求められる知識や能力に照らして
自分はどうかを知り、残りの学生生活で
すべきことを明確にすること。単にスキ
ルだけではなく、社会で求められる課題
解決・探求能力、実行力といった社会人
として必要な能力について認識すること
で、自主的に考え行動できる人材の育成
につながる。
一方、企業にとっては、学生に対する
企業の魅力の発信、職場の活性化、採用
のミスマッチの解消、即戦力の採用、産
学の連携構築、社会貢献(CSR)などの
メリットがある。
本学のECO-TOPプログラムでは、個
人的にお願いして産業廃棄物処理会社で
もインターンシップを受け入れていただ
いている。学生は、「処理の過程やその
作業の大変さを身をもって感じた」
「人々
が生活し企業が生産活動を続ける以上、
産業廃棄物処理はなくてはならないもの。
地域住民との合意形成をいかに図ってい
くのかが課題」
「処理を依頼する側の責
任の大切さを学んだ」など、多くの学び
を得させていただいた。この学生達は、
産廃業界に就職したわけではないが、産
廃業界の一理解者となって(恩義を感じ
て)社会に出て、様々な企業で働いてい
る。それが、社会における産廃業界のプ
レゼンス向上や理解の促進につながるの
ではないだろうか。産廃業界の皆様には、
ぜひ学生インターンシップの受入の拡大
をお願いしたい。
2016.1 JW INFORMATION 11
連 載 講 義
水銀に関する水俣条約と水銀
廃棄物の処理・処分
(保管)
表1 2010年レベルでの全世界での水銀の大気への排出量2)
京都大学大学院地球環境学堂教授
第4回 廃棄物焼却施設からの
水銀排出
高岡 昌輝
発生源
割合
(%)
474 9.9
304 678 4.5 16.3
24
1
同教授、平成25年より地球環境学堂教授、現在に至る。専門は環境工学、廃棄物処理・処分・管理など。
45.5
193 97.3
11.7
173 16 82.5
20.5
82 0.7
6.9
65.5
7.3
70 241 660 247 17.8
646 26.4
95 2
10
5
<1
9
1
4
廃棄物処理・処分過程での水銀、ダイオキシン類、放射性物質、PM2.5等の制御や廃棄物からの資源・
エネルギー回収システム、放射光を用いた環境分析等の研究を精力的に行っている。廃棄物学会論文賞、
大気環境学会論文賞、土木学会論文奨励賞、分析化学論文賞等受賞。中央環境審議会臨時委員など各
種委員を歴任。趣味は美味しいものを食べること、飲むこと
(見てのとおり)?
727 28.4
95.6
3.6
410 10.2
23.7
0.9
1040 54.7
330 11.9
37
1
5
<1
1960 1010 4070 100
連載講義
化石燃料燃焼
石炭燃焼
石油及び天然ガス燃焼
鉱業、非鉄製錬・製造
鉄鋼一次製造
非鉄金属一次製造
大規模金製造
水銀鉱山
セメント製造
石油精製
汚染サイト
大阪府堺市生まれ、平成5年京都大学工学部助手、平成14年同大学院工学研究科助教授、平成23年
︽︽連連
連載にああ
あた
たたっ
っって︾
範囲
(トン)
副生物あるいは非意図的排出
プロフィール
意図的使用
人力小規模金採掘
塩素アルカリ産業
水銀含有製品
火葬
(歯科アマルガム)
水銀
銀に関する水俣条約は、地球規模の水銀および水銀化合物による汚染や、それによって引き起こ
銀
される
され
れる健康、および環境被害を防ぐために、2013年10月10日に熊本市において開催された外交会議
において採択され、我が国でも水銀廃棄物の処理・処分
に
にお
(保管)等の対策が急務となっております。
総計
本年
年度の連載講義は、
年
度
「水銀に関する水俣条約と水銀廃棄物の処理・処分(保管)」と題し、京都大
学大
大学
学院地球環境学堂の高岡教授にご解説いただきます。
量の大きいものがその規制対象となったと考えられる
第4回は
第
「廃棄物焼却施設からの水銀排出」についてご解説いただきました。
(この中では廃棄物焼却は明示されていない)。
して指定し、その設置者に対して排出抑制のための自
主的取り組みの実施を責務として求めること等が規定
次に、これら規制対象施設の新規発生源については、
されている4)。
利用可能な最良の技術(BAT)及び環境のための最良の
今年度環境省が約120施設について実態調査を実施し
慣行(BEP)の利用を義務付けることが明記されている。
ており、その結果をベースとして、具体的な排出規制
BATに適合した排出限度値の使用をもってこれらの義
の対象施設の区分ごとの排出基準の値、排出規制の対
れてこなかった。
務を履行したとみなすこともできるとされている。こ
象施設の規模等に関する基準等について検討が始まっ
第189回通常国会で水銀等の大気中への排出を規制す
しかし、本連載の第1回で紹介させていただいたよう
れに対して既設の発生源については、①排出規制目標、
ている。
るための大気汚染防止法の一部を改正する法律(改正大
に、近年、水銀については一旦大気へ排出されると、
②排出限度値、③BAT及びBEP、④水銀の排出規制に
気汚染防止法)が成立し、平成27年6月19日に公布され
長距離を移動し、環境中で様々な変化を受け、有機水
相互に効果のある複数汚染物質規制戦略又は⑤代替的
ました。この法律において廃棄物焼却施設からの排ガ
銀として生物濃縮されることがわかり、世界的にメチ
措置から一つ以上の措置を実施することが求められて
規制値の検討に関連して測定方法は極めて重要であ
スに対して新たな水銀規制値が設定されることから、
ル水銀の耐容摂取量が2000年代半ばに厳しく制限され
いる。
る。日本の場合、これまでJIS K 0222ではガス状の水銀
第4回の解説は廃棄物焼却施設からの水銀排出に関連す
ることとなった。水銀は地球環境汚染物質であり、一
これを受け、条約に定める大気排出規制の的確な実
だけを対象としており、粒子状の水銀については対象
る内容を説明させていただきます。
国だけの対策では限界があることから、国際的な協力
施を確保するため、十分な担保措置規定を伴う法規制
としてこなかった。水俣条約では第8条の2.(f)において、
のもと人為的な排出を削減する必要があり、今回の水
が求められることとなり、中央環境審議会大気・騒音
総水銀と明記されていることから、粒子状も含めた総
俣条約の制定につながったものである。
振動部会水銀大気排出対策小委員会において「水俣条約
水銀の排出実態を把握することが必要である。したがっ
水俣条約では大気排出規制に関しては第8条に記載が
を踏まえた今後の水銀大気排出対策について」が答申案
て、今年度環境省が実施した実態調査においては、測
1. はじめに
2.規制値設定に向けての経緯
水銀及びその化合物は、大気汚染防止法において有
1)
3)
3.測定方法
ある 。その主な内容としては、まず、規制対象として、
としてまとめられた 。
定方法として、ガスと粒子を別々に採取し、それぞれ
されている。環境目標値の一つとしては大気中の水銀
次の5つの発生源を規定している。(1)石炭火力発電
今般成立した改正大気汚染防止法では、条約の規定
の濃度を調査した5)。JIS K 0222が最初に制定された際
蒸気の吸入による長期曝露に係る指針値(40ng/㎥)が
所、
(2)産業用石炭燃焼ボイラー、
(3)非鉄金属製錬
に基づき、規制が必要な施設を水銀排出施設とし、当
に、「粒子状は無視しうる」あるいは、「排ガス中の水銀
設定されている。これまでの全国でのモニタリングの
(鉛、亜鉛、銅及び金、ばい焼工程も含む)、(4)廃棄
該施設等について都道府県知事に届け出ること、水銀
濃度が高かったため相対的に粒子状水銀は低かった」な
結果では、この指針値を超える地点は報告されていな
物焼却施設、
(5)セメント製造業。2013年1月に公表さ
排出施設の排出口の水銀濃度の排出基準を定め、当該
どの何らかの議論・事実があったと推測されるが、現
い。過去に都市ごみ焼却施設からの水銀排出が大きな
れたUNEP Global Mercury Assessmentでは、表1に
排出施設から水銀等を大気へ排出する者に対して排出
時点では総水銀から粒子状水銀を除いてよいと判断す
社会問題として取り上げられた時期(1980年代半ば)が
示すように、人為的発生源がリストアップされ、排出
基準を義務付けること、届け出対象外であっても水銀
る十分なデータがないことから、実態調査においては
等の排出量が相当程度である施設を要排出抑制施設と
両方を測定することになった。
害大気汚染物質対策の優先取組物質の一つとして選定
あったが、現時点まで排ガスに対する水銀規制はなさ
12
排出量
(トン)
2)
量の総計が1960トン/年と推計されている 。この排出
2016.1 JW INFORMATION 13
連 載
載載 講 義
水銀に関する水俣条約と水銀
廃棄物の処理・処分
(保管)
第4回 廃棄物焼却施設からの水銀排出
25.0
20.0
水 銀 濃 度︵μ
/ ㎥︶
15.0
含まれている。これらの製品は別途資源的な価値もあ
その他、過去より湿式スクラバーによる除去、活性
ると考えられ、できるかぎり分別回収し、リサイクル
炭吸着塔による除去が適用される場合があるが、ここ
に回すことが望ましい。現在、環境省廃棄物・リサイ
では紙面の都合で割愛する。詳しくは別の筆者の報告
クル対策部廃棄物対策課が「家庭から排出される水銀使
を参照していただきたい11)。
用廃製品の分別回収ガイドライン」を作成し、分別回収
の促進を打ち出している7)。ただし、このように水銀
g
10.0
使用廃製品の分別回収を促進したとしても、現実には
改正大気汚染防止法では、水銀等の大気への排出の
Hg0
残念ながらすべての家庭が協力して、回収されるわけ
削減に関する技術水準及び経済性を勘案し、その排出
ではない。したがって、ある程度の水銀が焼却施設に
が可能な限り削減されるよう、水銀濃度について、施
入ってくることを想定して、利用可能な最良の排ガス
設の種類及び規模ごとの許容限度として、環境省令で
中水銀排出抑制技術(BAT)の採用が必要である。BAT
定めると記載されている。水俣条約の発効の条件であ
については現在、UNEPのワーキングでまとめられてい
る最初の50か国に日本が入るべく、担保措置の整備は
る。廃棄物焼却施設のBAT・BEPガイダンスでは、排
急がれることからそれほど議論に時間をかけている余
出抑制技術として、
(1)除じん(粒子状物質)技術、
(2)
裕はなく、早期に難しい判断が求められるが、今後は
湿式洗浄技術、
(3)活性炭吹込み、(4)ボイラーへの
実態調査および自主的に測定されたデータを勘案して、
臭素の添加、
(5)固定相フィルターなどが取り上げら
廃棄物焼却施設のBATとは何か、水銀が混入する可能
Hg2+
18:30:00
21:30:00
0:30:00
3:30:00
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2/26
2/27
2/28
3/1
3/2
3/3
測定日時
図1 都市ごみ焼却施設Aの湿式スクラバー出口における形態別水銀濃度
8)
性のない廃棄物とは何か、廃棄物焼却施設の平常的な
平均的な排出状況とは何かについて、国際的な動向に
サンプリング方法としてはダイオキシン類のように
できることから水銀濃度に対応した排ガス処理対策が
は若干異なる。都市ごみ・産業廃棄物焼却施設ではダ
も注意を払いながら検討していくことになろう。
粒子状とガス状を連結して測定することも可能であり、
実施できるなど多くの利点があり、設置が推奨される
イオキシン類排出問題が大きく社会問題化したことも
最後に、4回に渡って解説の場を与えていただいたこ
現にEUではその方法で行っているが、吸収液の過マン
ものである。しかし、現時点ではガス状のみを対象に
あり、除じん装置としてバグフィルタの採用が主流と
とに感謝し、執筆を終えさせていただきます。ありが
ガン酸カリウムの濃度が異なる、ばいじんの採取は等
しており、連続分析計の結果のみをそのまま規制値に
なっており、都市ごみ焼却においてはすでに90%以上
とうございました。
速吸引でなければならないため吸引速度がJIS法よりも
当てはめるにはデータが不足している。今後、様々な
を占めている。しかしながら、下水汚泥焼却施設では
かなり高いなど、これらの条件はすぐに日本の対象排
データが集積されて、ガスと粒子状の割合などが評価
ダイオキシン類の排出が低かったこともあり、必ずし
ガスで適用できるわけではない。また、ダイオキシン
できるようになった場合、連続分析計の採用も検討さ
もバグフィルタが採用されているわけではない。
類排出問題以降、バグフィルタの設置により、煙突か
れると考えられる。このように、現在、規制値の議論
バグフィルタでの水銀除去に関しては、排ガス温度
ら排出されるばいじん(粒子)濃度自身が低くなってき
とともに、実際の規制の際の測定方法について細部を
を低下させることにより除去率の向上が認められ、多
ている。つまり、ばいじん中の水銀濃度を検出するに
検討している段階である。
くの研究から150℃以下にすることで70 ∼ 90%の除去
足るガス量とガス中水銀の検出に必要な量とのアンバ
が可能であることがわかっている。実際のプラントで
ランスがある。したがって、実態調査においては、ガ
4.廃棄物焼却施設におけるBAT・BEP
はバグフィルタの運転管理の側面からもう少し高い温
スとばいじんを分けて採取することとなった。
国内のインベントリーにおいては、都市ごみ焼却処
度で運転されることが多く、この場合ダイオキシン類
また、今回の規制のポイントは平常時の平均的な排
理施設と産業廃棄物焼却施設、下水汚泥焼却施設を合
との同時除去の観点から活性炭噴霧が行われている場
3)
14
れている 。
扱う廃棄物によっても排ガス処理装置の採用の現状
出状況を示すことが求められ 、それを測定方法によっ
わせると2013年時点では2.2 ∼ 6.85t/年を排出しており、
合が多い。実施設においても活性炭噴霧が水銀除去に
てどのように反映するかが大きなポイントとなってい
セメント製造施設とほぼ同等の大きな排出源となって
効果があることが確認されており9)、温度、活性炭噴
る。この点においては、連続的に水銀が測定できれば
いる6)。なお、廃棄物焼却施設と書いているが、もち
霧濃度、バグフィルタ入口水銀濃度が大きな影響を及
平常時の平均的な排出状況をより把握可能である。連
ろん廃棄物の溶融やガス化、炭化、焙焼施設もこのカ
ぼすことがわかっている。また、現実には都市ごみ焼
続分析計も上市されており、いくつかの廃棄物焼却施
テゴリーに入るべきであり、正確には廃棄物熱処理施
却施設では投入ごみに依存し、水銀濃度はピークを示
設においては利用されている。図1は形態別の水銀連
設とすべきであろう(ただし、本稿では廃棄物焼却施設
す場合が多い。それゆえ、常に一定量の活性炭を噴霧
続分析計を用いて筆者が都市ごみ焼却施設Aで測定し
と呼ぶ)。廃棄物焼却施設からの排出を抑制するには、
するというよりは水銀連続分析計でモニターしつつ、
た例を示す。濃度の変動があり、この図では測定当初
まずは入ってくる水銀量を減らす努力が必要である。
検出された段階で活性炭を噴霧することが有効であり、
にピークが認められるが、平常時は低い値を示してい
これはBEPの典型的な例である。蛍光灯にしても電池
強制的に逆洗することでダストに吸着した水銀を排出
る。ガス状の総水銀の平均濃度は1.5µg/㎥Nであった。
にしても製品当たりの水銀使用量は10年以上前に比べ、
することで、メモリー効果を早期に終結させれること
このように、連続分析計はガス状水銀を連続して測定
大きく減少しているが、依然として水銀が少量ながら
が報告されている10)。
参考文献
1)UNEP:Minamata Convention on Mercury(2013)
2)UNEP, Global Mercury Assessment2013 (2013)
3)中央環境審議会:水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策につ
いて(2015)
4)平成27年度第1回水銀大気排出抑制対策調査検討会資料1:平成27
年度第1回水銀大気排出抑制対策調査検討会設置について(2015)
5)環境省水・大気環境局大気環境課:水銀大気排出実態調査のための
水銀測定方法(2015)
6)平成27年度第1回水銀大気排出抑制対策調査検討会資料3:主な検
討事項について(2015)
7)環境省廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課:家庭から排出され
る水銀使用廃製品の分別回収ガイドライン(2015)
8)WASTE INCINERATION FACILITIES, http://www.
mercuryconvention.org/Portals/11/documents/BAT-BEP%20
draft%20guidance/Waste_Incineration.pdf (2015)
9)Takaoka M., Takeda N., Fujiwara T., Kurata M., Kimura T.,
Control of mercury emissions from a municipal solid waste
incinerator in Japan, J. Air & Waste Manage.
Assoc.,52,8,931-940 (2002)
10)佐藤恵、鈴木賢、前田典生、都市ごみ焼却施設における排ガス中水
銀排出規制に対する取り組み、第36回全国都市清掃研究・事例発表
会講演論文集、pp.231-233(2015)
11)高岡昌輝:廃棄物燃焼過程における水銀の挙動と制御、廃棄物学会
誌, Vol.16、No.4,、pp.213-222(2005)
2016.1 JW INFORMATION 15
連載講義
総水銀
5.0
0.0
5.おわりに
産廃クローズアップ 九州製紙株式会社 北九州工場
製鉄所の敷地内に設置された世界で唯一の製紙工場
おける古紙リサイクル
高速回転を加えて、遠心力の働きで、クリップやホチ
、窓枠封筒のフィルム等
キス等の金属くず(写真3-2)
の廃プラスチック類(写真3-3)を取り除く。
取り除いた金属くずは有償売却し、廃プラスチック
類は場内の固形燃料化施設で RDF 化し、場内で熱源と
して利用する。
古紙を原料に、私たちの生活に欠かせないトイレットペーパーを国内最大級の規模で生産する大分製
紙グループ。
同グループの生産の中核を担う九州製紙㈱北九州工場にお伺いし、製造部の山口課長、平川主任に取
材しましたので、ご紹介します。
1.工場の概要について
北九州市は、平成9年7月に全国に先がけて若松区響
地区で「北九州エコタウンプラン」を開始した。
九州製紙㈱は、北九州エコタウンへの工場建設を目
指したが、製紙工場は他の製造業と比較して多量の水
を使用すること、響 地区では製紙工場の運営に必要
な水量を確保できないことが工場建設の障害となった。
このため、響 以外の地区に建設用地を求めた結果、
新日本製鐵㈱八幡製鐵所の敷地内を建設用地として選
定し、北九州エコタウンプランの対象エリアが北九州
市全域に拡大された平成16年に北九州市よりエコタウ
ン事業の認可を受けた。
製鉄所の敷地内に製紙工場が設置されたのは、九州
製紙㈱北九州工場が世界でも唯一の事例である。九州
製紙㈱北九州工場は、新日本製鐵㈱八幡製織所の遊休
建物・設備を活用して建設され、製鉄所で発生する余
剰電力、ガス、蒸気、用水を利用して工場を稼働して
いる。
3.リサイクルの流れについて
写真1 工場の外観
16
(1) トイレットペーパーの製造
トイレットペーパーの原料となる古紙の回収から製
品の製造までの工程は図1のとおりである。「①回収原
料」
、
「②原料投入・溶解工程」
、「③精選工程」
、「④脱
墨洗浄工程」
、「⑤ストック工程」
、
「⑥抄紙工程」
、「⑦
加工工程」を経て製品が出荷される。
前述のとおり、トイレットペーパーの製造に当たり、
新日本製鐵㈱八幡製織所のインフラを利用しており、
特に豊富な工業用水を使用できる点がこの施設の特色
となっている。原料に対して約100倍という多量の水
を使用して原料パルプを洗浄することで、より白色度
が高く、柔軟なトイレットペーパーの製造が実現した
という。
図1 製造工程(フロー)
① 回収原料
企業や一般家庭から、
書類、牛乳パック、使用
済み切符、紙幣の裁断く
ず等の古紙を回収する。
② 原料投入・溶解工程
回収した古紙(原料)
をコンベアーでパルパー
というミキサー状の機械
に投入する。投入した古
紙(原料)はパルパー内で、
蒸気、苛性ソーダを加え
て溶解し、繊維をときほ
ぐす。その後、
スクリュー
プレスで脱水、濃縮し、
高さ約17m の熟成タワー
(写真2)に約20時間、貯
蔵する。貯蔵中に繊維が
水分を含んで膨潤し、後
工程でインク・フィルム
等の不純物の分離が容易
になる。貯蔵後に洗浄を
繰り返してインク・フィ
ルム等の不純物を除去す
る。
③ 精選工程
原料をリキッドサイク
ロン(写真3-1)に投入し、
写真3-3 廃プラスチック類
④ 脱墨洗浄工程
水を満たした脱墨洗
浄装置(写真4)に原料
を ひ た し て、 タ ー ビ ン
羽 根、 エ ア レ ー シ ョ ン
(気泡)により表面のイ
ンク(墨)を除去する。
写真4 脱墨洗浄装置
⑤ ストック工程
ストックタワーに貯蔵する。貯蔵中に原料中に含ま
れる微細な汚れを除去するとともに、過酸化水素等の
薬品を加えて、原料を滅菌、漂白する。
⑥ 抄紙工程
原料を抄造(写真5-1)し、ドライヤーで高温滅菌、
乾燥させて、原紙(ジャンボロール)(写真5-2)とし
て巻き取る。
写真2 熟成タワー
写真5-1 抄紙機
写真5-2 原子(ジャンボロール)
⑦ 加工工程
原紙を所定の長さに巻き直した後、規格サイズにカッ
ト(写真6-1)し、所定の数量・形状にフィルム包装(写
真6-2)して、箱詰めする。
箱詰めした製品は倉庫に保管し、出荷する。
写真6-1 カッター
写真6-2 包装機
写真3-1 リキッドサイクロン
2016.1 JW INFORMATION 17
産廃クローズアップ
トイレットペーパーを始めとする衛生用紙を生産す
る事業所は全国で101ヶ所(平成26年6月末現在、日
本家庭紙工業会調べ)
、国内のトイレットペーパーの生
産量は年間約45万 t(平成26年実績、経済産業省調べ)
である。
大分製紙グループでは、
大分製紙㈱本社工場(大分市)
と豊前工場、九州製紙㈱北九州工場の3拠点で年間約6
万 t と、国内トップレベルのトイレットペーパーの生
産量を誇っている。
九州製紙㈱北九州工場(写真1)は、福岡県北九州市
八幡東区の新日本製鐵㈱(現在の新日鐵住金㈱)八幡
製鐵所の構内に平成18年11月に設置された。産業廃棄
物処分施設、一般廃棄物処分施設の許可を受けて、九州・
沖縄地域を中心に、西日本全域から排出される様々な
種類の古紙を受け入れて、年間約2.5万 t のトイレット
ペーパーを生産している。
写真3-2 金属くず
2.工場建設の経緯について
(2) 製鋼用フォーミング抑制剤の製造
上記
(1)②∼④の工程で生じた排水を排水処理施設
(写真7)で処理する。排水処理後の処理水は工業用水
として場内で再利用するほか、余剰した処理水を場外
に放流する。
場内で排水処理施設後に発生した製紙スラッジと、
大分製紙㈱豊前工場から受け入れた製紙スラッジを、
脱水、乾燥、成形(固形化)し、製鋼用フォーミング
抑制剤※(写真8)を製造している。
製造した製鋼用フォーミング抑制剤は、新日鐵住金
等に供給している。(図1)
製紙スラッジの製鋼用フォーミング抑制剤への利用
は昭和40年代より実用化しているが、従来品は原料に
製紙スラッジと鉱さいスラグの混合物が用いられてい
た。鉱さいスラグを混合した場合、成形(固形化)設
備の摩耗が著しいため、九州製紙㈱北九州工場では製
鋼用フォーミング抑制剤の原料として鉱さいスラグを
混合していない。
写真7 排水処理施設
写真8 製鋼用フォーミング抑制剤
*
製鉄において、銑鉄を高炉から転炉へ移す際に、予備処理剤(酸
素ガスや酸化カルシウム等)を吹き込んで溶銑中に微量含まれる
不純物を除去するが、その際に発生する一酸化炭素等により、
「フォーミング現象」と呼ばれるスラグの発泡、膨張現象が生じる。
この現象を抑える目的で炉内に投入されるのがフォーミング抑制
剤である。フォーミング抑制剤を炉内に投入すると、抑制剤がス
ラグと溶鉄の界面付近に沈降し、ガスの抜け道が作られて、スラ
グの表面張力が低下し、フォーミング現象が鎮静化する。
(参考:藤吉 国孝ら:製鋼用フォーミング抑制剤の開発,福岡県
工業技術センター研究報告 No.18(2008))
4.電子マニフェストに関する取組について
九州製紙㈱北九州工場では、平成26年9月より処分
業者として電子マニフェストの利用を開始し、平成27
年10月には大分製紙㈱豊前工場が排出事業者として電
子マニフェストの利用を開始した。
九州製紙㈱北九州工場では、大分製紙㈱豊前工場か
らの受入分だけで月に200件以上のマニフェストのや
り取りをしており、紙マニフェストの運用に伴う事務
作業は煩雑なものであったという。
紙マニフェストから電子マニフェストへの切り替え
は「特に大きな混乱もなく、スムーズに移行できた」
とのことで、
「これまで電子化していなかった理由は 食
わず嫌い であった」
、「操作は簡単で、事務作業の軽
減を図ることができた」、「もっと早く導入していれば
よかった」との評価をいただいた。
5.今後の展望について
九州製紙㈱北九州工場には、製鋼用フォーミング抑
制剤の利用先の製鉄所から、新たな製鉄用の副資材に
関する要望が多数、寄せられているという。
「廃棄物は本来の用途として既に一度は役割を果たし
ており、その後は、リサイクルされずに、廃棄されて
いるものも多い。しかし、廃棄されるまでの間に新た
な役割を二度、三度と与えることにより、廃棄を遅ら
せることができる。そのための一手段として、製鉄用
副資材をはじめとしたリサイクル製品の新規開発に努
めたい」と山口課長はいう。
製鉄業という大きな産業を対象としたリサイクル製
品の開発が実現した場合に、環境負荷の低減効果は計
り知れない。
今回の取材を通じて、従来の古紙リサイクルや製紙
スラッジのリサイクルに加えて、製鉄業向けの新たな
リサイクル製品の開発への期待が膨らむ。
DATA
九州製紙株式会社 北九州工場
○所 在 地:福岡県北九州市八幡東区前田洞岡2-1
○施設の種類
○敷地面積:約48,000㎡
と処理能力:溶解
(144t/12h)
、乾燥
(140㎥ /24h)
、
○建物面積:約31,000㎡
○産業廃棄物の種類:紙くず、汚泥、燃え殻
造粒(18t/24h)
○生 産 品 目:家庭用紙製造販売
(トイレットペーパー)
○生 産 能 力:25,000 t /年
18
佐賀県における電子マニフェスト
普及の取組状況について
Report 01
佐 賀 県
き
政
う
行 のご
佐賀県くらし環境本部循環型社会推進課
1 はじめに
種類別では汚泥が最も多く(47.8%)、次に動物のふん尿
当県は、日本最大の干潟である有明海に面しており、本年
(29.1%)、がれき類(12.5%)の順となっています(図2)。
5月には、
「東よか干潟」及び「肥前鹿島干潟」がラムサール
業種別では製造業が最も多く(41.7%)次に農業・林業
条約湿地として登録され、7月には「三重津海軍所跡」がユネ
(29.1%)、建設業(15.9%)
、電気・水道業(11.3%)の順と
スコの世界遺産として登録されるなど、自然の景勝地や文化
遺産に恵まれており、こうした環境を守るためにも、廃棄物
の適正処理は不可欠です。
なっています(図3)
。
排出された産業廃棄物のうち1,595千t(51.0%)が再生
利用され、最終処分量は72千t(2.3%)となっています。
産業廃棄物の適正処理を支える電子マニフェストの普及に
ついて、当県の取組状況を御紹介します。
また、産業廃棄物処理業許可業者数は、平成27年4月1日
現在、1,620業者となっています。
3 電子マニフェストの利用状況
であり、年々減少傾向にあります(図1)。
国においては、平成25年5月に閣議決定された第三次循環
型社会形成推進基本計画において「平成28年度の電子マニ
フェスト普及率(利用割合)を50%とする」ことを目標とし、
普及促進を図られているところです。
単位:千トン
3400
県内事業者の電子マニフェストの加入状況は平成27年9月
3350
末現在で656業者と年々増加しています(表1)
。
3300
3250
3129千トン
また、平成26年度の総マニフェスト交付件数250,614件
3200
に対する電子マニフェスト登録件数は64,832件であり、電
3150
子化率は25.9%と着実に増加しているところですが、全国
3100
との比較では低い状況です(表2)。
3050
3000
H21 年度
H22 年度
H23 年度
H24 年度
H25 年度
4 県庁における電子マニフェストの利用状況
県庁(現地機関を含む)においては平成23年度より電子
図1 佐賀県の産業廃棄物排出量の実績
マニフェストを導入し、当課(循環型社会推進課)が一元的
に管理しています。
その他
59(1.9%)
その他
332
(10.6%)
がれき類
391
(12.5%)
電気・水道業 355
(11.3%)
排出量
3,128
千 t/年
汚泥
1,496
(47.8%)
動物の
ふん尿
909
(29.1%)
製造業
498
(15.9%)
製造業
1,305
(41.7%)
排出量
3,129
千 t/年
農業・林業
912
(29.1%)
図2 種類別排出状況
注)四捨五入の関係で合計と個々の計が合わない場合がある。
図3 業種別排出状況
2016.1 JW INFORMATION 19
行政のうごき
2 産業廃棄物の排出・処理状況
平成25年度末の当県の産業廃棄物の排出量は3,129千t
佐 賀 県
Report 01
き
政
う
行 のご
表1 県内事業者の電子マニフェスト加入状況
区分
表2 県内事業者の電子マニフェスト普及状況
H23.3 H24.3 H25.3 H26.3 H27.3 H27.9
排出事業者数
326
356
376
428
471
504
収集・運搬業者数
55
65
67
74
81
83
処分業者数
53
58
61
64
67
69
合計
434
479
504
566
619
656
区分
H21
H22
H23
H24
H25
H26
紙マニフェスト
165,438 185,139 188,894 189,314 195,449 185,782
の交付件数
電子マニフェス
トの登録件数
21,018
27,980
35,998
46,938
53,728
64,832
電子化率
(佐賀県)
11.3%
13.1%
16.0%
19.9%
21.6%
25.9%
19%
24%
25%
30%
35%
39%
電子化率
(全国)
平成26年度末の普及率は58%で、年々増加していますが、
すべての部署で電子化はされておりません。電子マニフェス
トに未加入の業者へ処理を委託したことなどが主な理由です。
(3)電子マニフェストの導入補助
(一社)佐賀県産業廃棄物協会において、県内の排出事業
者及び産業廃棄物処理業者に対して、電子マニフェスト導入
に要するパソコン等の機器整備や加入経費(加入初年度の基
5 電子マニフェスト導入推進のための取組
産業廃棄物の適正処理を推進するためには、マニフェスト
による管理が不可欠であることから、排出事業者や産業廃棄
本料)など、経費の一部の補助を行っています。
(限度額:
100千円/事業者、県全額補助)
(4)その他
物処理業者におけるマニフェストの適正利用や電子マニフェ
当県では2名のマニフェスト調査員及び6名の機動監視員
ストの導入を推進するため、以下の取組を実施しています。
を配置し、産業廃棄物排出事業者の立入調査時や、産業廃棄
(1)産業廃棄物減量化・リサイクル推進研修会
当県では、県内の産業廃棄物排出事業者(特に多量排出事
物処理業の許可申請等の来課時に、パンフレット等を用いて
電子マニフェストの導入推進を図っています。
業者)を対象として、廃棄物の減量化やリサイクルの推進等
に関する排出事業者の事例発表や廃棄物の適正処理の講義な
どの研修会を年1回開催しています。
この中で、電子マニフェストの仕組みや運用、その効果な
どを紹介し、導入の推進を行っています(写真)
。
6 今後の課題
本県において排出されている産業廃棄物の業種は、前述の
とおり製造業、農業・林業、建設業の順に多くなっています
が、製造業や農業・林業については、廃棄物の種類が限定さ
れ、処理先も固定化されているなど、比較的電子マニフェス
トの導入が容易であると考えられます。
しかしながら、建設業については、製造業よりも比較的多
様な産業廃棄物が発生し、また、廃棄物の発生場所が移動し、
その都度処分先が変わるなど、マニフェストの交付枚数が多
い業種(現在、交付している紙マニフェストのうち約6割が
建設業)でありながら、電子マニフェストの普及が進んでい
ない状況です。
また、建設業者にヒアリングを行ったところ、
「産業廃棄
物処理業者が電子マニフェストに加入していないため、紙マ
ニフェストと電子マニフェストの両方により管理しなければ
ならない」などの声も聞かれます。
写真 廃棄物減量化・リサイクル推進研究会
(2)電子マニフェスト等適正管理研修会、電子マニフェス
ト操作研修会
(一社)佐賀県産業廃棄物協会において、県内の排出事業
者の全てが利用し、一本の線でつながって初めてその効果が
発揮されます。
このため、業種の特性により取組が遅れている建設業者や、
者及び産業廃棄物処理業者を対象として、電子マニフェスト
中小企業が多い収集運搬業者を中心に、一層電子マニフェス
の効果の紹介のほか、実際に電子マニフェストを使った操作
トの導入を推進していきたいと考えています。
研修を行っています。
(県全額補助)
20
電子マニフェストは、排出事業者→収集運搬業者→処分業
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令案」及び「廃棄物
の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」等の概要(抜粋)
Report 02
環 境 省
き
政
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行 のご
環境省
環境省では、
「水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀廃棄物対策について(答申)」(平成27年2月中央環境審議会答申)
等を踏まえ、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令及び施行規則等の一部が改正することとし、昨年11月に施行令の改正が
閣議決定されました。
環境省より昨年9月に公表された施行令及び施行規則の改正の概要を以下に掲載します。
背景・趣旨
平成25年10月の「水銀に関する水俣条約」の採択を受
け、早期にこれを締結し、条約の趣旨を踏まえた包括的
1.水銀関係
1−1.改正の概要
⑴ 廃水銀等及びその処理物の特別管理一般廃棄物及び
な水銀対策の実施を推進すべく、平成26年3月に中央環
特別管理産業廃棄物への指定(令第1条及び第2条の4、
境審議会に「水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水
規則第1条及び第1条の2並びに194号告示関係)
銀対策について」が諮問され、同諮問は循環型社会部会及
水銀又はその化合物が廃棄物となったものについて、
以下のとおり、新たに特別管理一般廃棄物及び特別管
会部会に「水銀廃棄物適正処理検討専門委員会」が設置さ
理産業廃物として規制対象に追加し、必要な処理基準
れ、審議が進められ、平成27年2月に中央環境審議会会
を設けることとする。
行政のうごき
び関係の部会に対し付議された。これを受け、循環型社
長から環境大臣へ「水銀に関する水俣条約を踏まえた今
後の水銀廃棄物対策について(答申)」として答申がなさ
れた。
本答申では、水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の
水銀廃棄物対策について、水俣条約における規定及び我
が国が目指すべき方向性並びに我が国における水銀廃棄
物の状況を踏まえ、その環境上適正な処理の在り方とし
て金属水銀及び水銀含有物を廃棄物として処分する際の
環境上適正な処理方法並びに水銀添加廃製品の環境上適
正な管理の促進方策、その他、必要な対策等や今後の課
題が取りまとめられた。
また、東日本大震災を始めとする近年の災害の教訓と
して、災害により生じた廃棄物を円滑・迅速に処理して
いくため、先般、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及
び災害対策基本法の一部を改正する法律(平成27年法律
第58号)が施行されたところだが、産業廃棄物処理施設
における災害廃棄物の迅速かつ効率的な処理に資するよ
○特別管理一般廃棄物(令第1条)
① 水銀又はその化合物が使用されている製品が廃棄
物となったもの(以下「水銀使用製品廃棄物」という。
)
のうち一般廃棄物であるものから回収した廃水銀
② ①を処分するために処理したもの(※1)
(※1)ただし、環境省令で定める基準に適合しないも
のに限るものとする。当該環境省令(規則第1条)
において、この基準は、環境大臣が定める方法(※
2)により処理したものであることとし、同方法
について、194号告示において、以下のとおり定
めることとする。
・当該廃棄物を適切に精製したうえで、硫化設備
を用いて十分な量の粉末状の硫黄と反応させ、
生じた硫化水銀について固型化設備を用いて十
分な量の結合剤により固型化する方法とする。
うにするため、同施設で災害廃棄物を処理する場合の特
例について、対象となる一般廃棄物を規定する必要がある。
以上の背景を踏まえ、廃棄物の処理及び清掃に関する
○特別管理産業廃棄物(令第2条の4)
① 廃水銀等(廃水銀及び廃水銀化合物のうち、事業
法律施行令(昭和46年政令第300号。以下「令」という。)、
活動に伴って生じたもの及び輸入されたもの、人の
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年
健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれのある
厚生省令第35号。以下「規則」という。
)並びに特別管理
ものとして環境省令で定めるもの)
一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物の処分又は再生の方
水銀又はその化合物が廃棄物となったもの(水銀使
法として環境大臣が定める方法(平成4年厚生省告示第
用製品に封入された水銀が廃棄物となったものを除
194号。以下「194号告示」という。)等を改正するもので
く。)について、以下のとおり、特別管理産業廃棄物と
ある。
して指定することとする(規則第1条の2)。
2016.1 JW INFORMATION 21
環 境 省
Report 02
環 境 省
Report 02
き
政
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行 のご
② 中間処理方法及び処分方法の追加
<特定の施設から排出されるもの>
水銀使用製
特別管理産業廃棄物である廃水銀等の埋立処分にあ
品が廃棄物となったものから水銀を回収する施設にお
たっては、あらかじめ環境大臣が定める方法(※3)に
いて生じたもの
より処理することとし、環境省令で定める判定基準(※
・
水銀若しくはその化合物を含む物又は
・水銀使用製品の製造の用に供する施設において生じた
もの
3)を満たさない当該廃水銀等の処理物については、遮
断型最終処分場にて処分することとし、判定基準に適
② 水銀含有等産業廃棄物の処分等の基準の追加(令第
6条第1項第2号及び第6条の5第1項第2号関係)
・水銀使用製品産業廃棄物の保管を行う場合は仕切りを
設ける等必要な措置を講ずること
・水銀又はその化合物が大気中に飛散しないように、必
・灯台の回転装置を有する施設において生じたもの
合するものについては、生活環境の保全上支障を生ず
・水銀を媒体とする測定機器(水銀使用製品を除く。
)
るおそれのないように環境省令で定める必要な措置(※
・水銀含有等産業廃棄物のうち環境省令で定めるもの
3)を講じた管理型最終処分場(水面埋立地を除く)に
(※4)については、あらかじめ、環境大臣が定める方
を有する施設において生じたもの
・国又は地方公共団体の試験研究機関において生じたもの
て処分することとする(令第6条の5)。
要な措置を講ずること
法(※4)により水銀回収を行うこと(※5)
る者に対しては、法第15条第1項の許可を受けたものと
みなし、施行から3か月以内に都道府県知事又は令第27
条第1項で定める市の長への届出を義務づけることとす
る。
② 罰則に係る経過措置(附則第3条関係)
令の改正前にした行為に対する罰則の適用について
は、従前の例によることとする。
2.災害廃棄物関係
改正の概要
(※4)上記「水銀使用製品産業廃棄物」、
「環境省令で
○ 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法
・学術研究又は製品の製造若しくは技術の改良、考案若
ついて、環境大臣が定める方法(※2)により行うこと
定める水銀汚染物」
、「環境省令で定めるもの」及
律第137号)第15条の2の5の規定による産業廃棄
しくは発明に係る試験研究を行う研究所において生じ
とし、当該廃水銀の処理物の埋立処分にあたっては、特
び「環境大臣が定める方法」については、令にお
物処理施設の設置者に係る一般廃棄物処理施設の
たもの
別管理産業廃棄物の整理と同様とし、環境省令で定め
ける関係規定の施行日までに、別途定めること
設置の特例の対象となる一般廃棄物について、規則
とする。
第12条の7の16第1号から第5号に掲げる一般廃棄
<水銀汚染物又は水銀使用製品廃棄物から回収される
る判定基準(※3)を満たさない当該廃水銀の処理物に
ついては、遮断型最終処分場相当にて処分することと
(※5)令第二条の四第五号ト⑴及びヌ⑴に規定する廃
・水銀又はその化合物を含む物から回収した廃水銀
し、判定基準に適合するものについては、生活環境の
棄物であって環境省令で定めるもの(※4)につ
・水銀使用製品廃棄物のうち産業廃棄物であるものから
保全上支障を生ずるおそれのないように環境省令で定
もの>
回収した廃水銀
② 廃水銀等を処分するために処理したもの
める必要な措置(※3)を講じた管理型最終処分場相当
(水面埋立地を除く)にて処分することとする(令第3条
及び第4条の2)。
⑵ ⑴で指定された特別管理一般廃棄物及び特別管理産
(※3)上記「環境大臣が定める方法」、「環境省令で定
業廃棄物に係る収集、運搬、処分等の基準の改正(令
める判定基準」及び「環境省令で定める必要な措
第3条、第4条の2及び第6条の5並びに規則第1条の14、
置」については、令における関係規定の施行日ま
第8条の10及び第8条の13関係)
でに別途定めることとする。
① 収集運搬方法及び保管方法の追加
廃棄物の飛散流出防止等の特別管理一般廃棄物及び
特別管理産業廃棄物に係る一般的な収集運搬基準に加
え、PCB廃棄物や感染性廃棄物と同様、以下の基準もか
⑶ 水銀含有等産業廃棄物に係る収集、運搬、処分等の
基準の改正(令第6条及び第6条の5関係)
水銀使用廃製品廃棄物のうち産業廃棄物であるもの
いても同様とする。
③ 水銀使用製品産業廃棄物を安定型産業廃棄物の対
物については、
「他の一般廃棄物と分別して収集さ
れたものに限る」ものと規定されている。
○ 一方、非常災害時においては、産廃処理施設で受け
入れる災害廃棄物について、排出現場から仮置き場
象から除外(令第6条第1項第3号関係)
まで運び出されるまでの間、一律に、他の一般廃棄
安定型最終処分場への埋立禁止を明確化するための
物と分別して収集することを求めることは、迅速な
措置を講ずる。
災害廃棄物の処理に支障を生じるおそれがある。
○ 以上を踏まえ、特例を受けるべき産廃処理施設にお
⑷ 廃水銀等の硫化施設の産業廃棄物処理施設への追加
ける一般廃棄物の適正処理を担保しつつ、例外的に
等(令第7条及び第7条の2関係)
災害廃棄物の迅速かつ効率的な処理に資するよう
① 廃水銀等の硫化施設の産業廃棄物処理施設への追加
にするため、災害時における特例の対象となる一般
廃水銀等の硫化施設を、設置の際に許可を受けること
が必要となる令第7条の産業廃棄物処理施設に追加する
廃棄物の分別の条件を整理する必要がある。
○ 具体的には、規則第12条の7の16第1号から第5号
こととする。
に掲げる一般廃棄物について、
「他の一般廃棄物と
② 廃水銀等の硫化施設の縦覧等の対象となる施設へ
分別して収集されたものに限る。
」との条件につい
けることとする(令第4条の2及び第6条の5)。
であって、環境省令で定めるものについては、「水銀使
・運搬容器に収納して収集し、又は運搬すること
用製品産業廃棄物」(※4)と総称し、環境省令で定める
の追加
・運搬容器は、密閉できることその他の環境省令で定め
水銀汚染物(※4)及び水銀使用製品産業廃棄物を「水
廃水銀等の硫化施設を、令第7条の2の生活環境影響
て、以下一文を加えることとする。
・ただし、非常災害のために必要な応急措置として、
る構造(収納しやすいこと及び損傷しにくいこと)を
銀含有等産業廃棄物」と総称した上で、以下のとおり、
調査書等の公告縦覧や市町村長の意見聴取等の手続を
第2条の3第1号の規定による市町村又は市町村か
有すること
必要な処理基準を定めることとする。
要する産業廃棄物処理施設に指定することとする。
ら委託を受けた者からの委託を受けて処分するこ
排出現場における保管(規則第8条の13)及び積替え
① 水銀使用製品産業廃棄物の収集・運搬基準の追加
又は保管(規則第1条の14及び第8条の10)にあたって
(令第6条第1項第1号関係)
は、上記と同様、以下の基準をかけることとする。
・破砕することのないような方法により行うこと
・容器に入れて密封すること
・他の物と混合するおそれのないように他の物と区分す
・高温にさらされないために必要な措置を講ずること
・腐食の防止のために必要な措置を講ずること
ること
・積替え又は保管を行う場合は仕切りを設ける等必要な
ととなる一般廃棄物であって、処分までの間に他の
1−2.経過措置
① 廃水銀等を硫化処理してきた既存の施設に対する
一般廃棄物と分別されたものについてはこの限り
ではない。
経過措置(附則第2条関係)
改正令の施行の際現に1−1⑷①により産業廃棄物処
理施設に追加される廃水銀等の硫化施設を設置してい
2016.1 JW INFORMATION 23
行政のうごき
特別管理一般廃棄物である廃水銀の処分又は再生に
・大学及びその附属試験研究機関において生じたもの
22
措置を講ずること
CASE STUDY
ユーザ事例紹介
電子マニフェスト導入のメリット及び
有効活用事例のご紹介
アミタ株式会社
環境戦略支援営業グループグループリーダー 唐鎌 真一
◇企業プロフィール
アミタグループは
「持続可能な社会の実現」を目指す未
来デザイン企業です。社会の全体最適解を導き、実行す
ることが私たちの使命です。二つの事業分野を通して持
続可能な社会づくりを目指します。
◇企業概要
設 立:1977年
(昭和52年)
上 場 市 場:東証JASDAQ(アミタホールディン
グス㈱:2195)
≪環境戦略デザイン事業≫
企業の環境戦略支援を通じて社会課題を解決しています。
企業活動に伴う環境リスク・環境コスト・環境負荷を同時に
低減する「守り」の対策と、その商品・サービスや関わるサプ
ライチェーン全体の環境付加価値を高める「攻め」の提案。こ
の両軸により、産業の発展とともに社会的価値も増大してい
く
「価値創出のしくみ」を構築しています。
営 業 拠 点:東京、仙台、蒲郡、名古屋、大阪、
≪地域デザイン事業≫
社 員 数:149名
(連結/2015年3月31日現在)
地域の未利用資源を活用したコンパクトな自立型の地域づ
くりを支援します。「バイオガス化施設」
「環境共生型農業」
「未
利用資源や廃棄物(発生品)からの燃料製造」などの社会技術・
循環技術を用いた包括的な地域循環システムを構築すること
で、資源・経済・雇用・豊かな人間関係を創出し、安心して
住み続けられる地域をデザインします。
姫路、広島、九州
製 造 拠 点:姫路、
城、京丹後、川崎、北九州
資 本 金:473百万円(アミタ㈱)(2015年3
月31日現在)
ます(図1)。従来の処理費用や処理内容(適正処理)
、
当社は100%リサイクルサービスとして日本全国
取得の有無に次いで、JWNET加入の有無が重要視され
865事業場から、年間約2,200種類の発生品
(廃棄物)
ている事例です。従来は現場の実務担当者との関係性
を自社工場に受け入れ、年間約14万トンのリサイクル
で、委託先を選定する属人的な運用が散見されました
資源を製造していますが( 2014年実績)、その一方で、
が、今後はJWNET加入による廃棄物処理フローの透明
廃棄物処理法の対応を中心としたコンサルタント事業
性確保が、ますます重要になります。
リサイクルの有無、現地確認の評価結果、優良認定の
も展開しています。廃棄物処理法の改正時の対応や、
社内コンプライアンス体制の確立支援など、排出事業
者支援事業の中で、2008年からASP事業者として電子
3.JWNETの有効活用事例
マニフェスト推進のお手伝いをしてきました。電子マ
電子マニフェスト導入のメリットを中間処理とASP
ニフェスト導入を検討される排出事業者の72.1%(当
事業者の視点から述べてきましたが、最後に当社が提
社実施のアンケート結果/ 2014年)が、業務効率化を
供するASPサービス
「e廃棄物管理」を活用した最新の
目的とされています。そして、導入された排出事業者
事例をご紹介して、本稿を終わりたいと思います。
(図2)
の実に約90%が、実際の業務量が削減できたと回答さ
HD
本部
れています。
U R L:http://www.amita-net.co.jp/
ここで業者選定における選定方法の一例をご紹介し
2.ASP事業者から見た
電子マニフェスト導入のメリット
今後の50年間で生産人口(15 ∼ 64歳)が半減する雇
用情勢の中で、頻繁に改正される廃棄物処理法や条例
グループ全社
データ
収集
運搬業者
約400事業所
JWNET
等への対応、リスク軽減の為のコンプライアンス研修
等を社内リソースで実施する以上に、電子マニフェス
処分業者
JWNET
処理が大幅に効率化できたことです。具体的には①手
ト導入により
「組織としてコンプライアンス向上を図る
書きや印刷の手間が減る、②操作が簡単(廃棄物の処分
仕組みづくり」を模索される排出事業者が増えてくると
廃棄物データ(品目、量等)
処理単価/再資源化分類
輸送距離(温室効果ガスScope3)
)
報告が容易)
、③情報をCSV出力して集計や各種報告等
予測されます。ここ最近の排出事業者の傾向ですが、
◆ グローバル企業として求められる「ESG」の視点
に活用できる、④紙のように保管場所が不要(省スペー
委託先の業者選定にJWNET加入の有無をチェック項目
中間処理ではなく
「リサイクル資源」製造の事業展開を
ス化)、⑤紙マニフェストを返却する際の郵送費が不要、
に加えるケースが増えています。これは「処理費用の安
しています。電子マニフェストは2002年に、ある大手
⑥マニフェスト交付状況等報告書の提出が不要、など
さだけではなく、積極的な情報開示や廃棄物処理フロー
排出事業者からの要請を受け導入しました。紙マニフェ
のメリットがあります。
の透明性が高く、円滑なコミュニケーションが図れる
1.中間処理業から見た
電子マニフェスト導入のメリット
当社は全国5か所の循環資源製造所において、単なる
次に社内及び社外における廃棄物処理フローの透明
テム導入への不安が現場にはありましたが、後に述べ
性を確保できる点も、
大きなメリットです。排出事業者・
るように、多くのメリットを享受できたと考えています。
収集運搬業者・処分業者が、常に最新の処理状況を閲
城製造所:2002年12月加入
(電子マニフェスト38.2%/ 2014年)
姫路製造所:2005年4月加入
(電子マニフェスト39.3%/ 2014年)
川崎製造所:2010年4月加入
(電子マニフェスト31.5%/ 2014年)
北九州製造所:2010年7月加入
(電子マニフェスト46.7%/ 2014年)
電子マニフェスト導入による最大のメリットは、紙
マニフェストと比較して運用の手間が削減でき、事務
覧でき情報共有化できることで、①特定の担当者だけ
が知っている状況から、社内での情報共有が可能とな
る、②社外関係者とのコミュニケーションが円滑にな
り、紙マニフェストと比較してマニフェスト未返却の
際の督促や紛失がなくなり、コンプライアンス体制が
格段に向上しました。また、ペーパーレスによる環境
負荷の低減も見逃せない大きなメリットです。
以上のように電子マニフェストの導入は、私たち中
間処理業を営む自社だけではなく、顧客や関係先も含
めて大きなメリットがあります。
処理業者と連携したい」という排出事業者の意思の表れ
であると考えています。
◆ ステークホルダー等、第三者評価→企業価値評価に直結する
◆ 廃棄物リスク=経営リスクに直結する重要な課題
- 2-
図2 ITによる廃棄物データ一元管理構築の事例
(大手飲料会社)
掲 題 社 は 従 来 の 電 子 マ ニ フ ェ ス ト 運 用 に 加 え て、
2015年に環境負荷係数の把握と今後の削減計画策定の
データベース構築に着手。グループ全30社400事業場
新規取
条件に 引 / 入札の
なる場
合も
今後は
JWNETは必須に
情報連携/共有等、より
コミュニケーションが
取れる先に委託
あくまで大手メーカーの傾向の為、法律でJWNET
が義務化されている訳ではありません。
にJWNETを導入。ASPサービスとの協働で①廃棄物
業者選定項目(例)
1
処理費用
2
処理内容 / 適正処理
3
リサイクルの有無
類項目、④輸送距離
( GHG削減数量把握)を一元管理す
4
現地確認の結果
る仕組みを、2016年度中に構築される計画です。
5
優良認定の有無
6
JWNET加入の有無
データ
(品目、数量)
、②処理単価費用、③再資源化分
7
今後はこのような新たな仕組みづくりに、電子マニ
フェストの普及は必要不可欠な有効なインフラツール
となることでしょう。私たちは今後とも電子マニフェ
◆委託先の業者選定にJWNET加入を選定項目に加える
ケース(積極的な情報開示や透明性の高い委託先を選ぶ傾向)
◆今まで実務担当者との関係性で委託→本社や他部署等、
業者選定に対して様々なチェックが入るケース
- 1-
ストの普及に尽力することで、アミタグループのミッ
ションである「持続可能な循環型社会づくり」に努力し
ていきます。
図1 ここ最近の排出事業者の傾向
2016.1 JW INFORMATION 25
電子マニフェスト情報
ストの運用に慣れ親しんでいたことから、新しいシス
【JWNET加入時期と普及率】
24
e- 廃棄物管理を全社導入し、データ統合
INFORMATION
電子マニフェスト
(JWNET)
を運営・管理する情報処理センターからのお知らせ
1. マニフェストの交付・登録を要しない廃棄
物を電子マニフェストで管理する方法
2. 電子マニフェスト導入実務研修会・操作体
験セミナーの開催について
マニフェスト制度では、一般廃棄物や広域認定制度に係る産業廃棄物等については、マニフェストの交付・登録は
電子マニフェストをはじめるにあたって知っておきたい基本的事項や導入手順を説明する導入実務研修会や、実際
不要とされていますが、マニフェスト交付・登録が不要な廃棄物の情報であっても、電子マニフェストシステム上で
にパソコンを使って操作体験できる操作体験セミナーを下記日程で開催します。
一元管理することができます。
通常、電子マニフェストに登録されたマニフェスト情報は、電子マニフェスト登録等状況報告(行政報告)の対象
導入実務研修会:基本的事項や導入手順をご説明します。
とされますが、下記の方法により登録された廃棄物情報については、毎年6月に情報処理センターから都道府県・政
令市に報告する「電子マニフェスト登録等状況報告」から除外する機能を提供しています。
これを行政報告が不要な一般廃棄物、広域認定制度に係る廃棄物等に適用することで、電子マニフェストシステム
で産業廃棄物と一元管理できるようになっています。
都道府県
開催日
時間
京都府
平成28年1月19日(火)
14:00 ∼ 16:00
京都JA会館 501室
京都市南区東九条西山王町1番地
岡山県
平成28年1月20日(水)
14:00 ∼ 16:00
岡山商工会議所 1階大会議室
岡山市北区厚生町3-1-15
秋田県
平成28年1月27日(水)
14:00 ∼ 16:00
秋田市文化会館 大会議室
秋田市山王7-3-1
岐阜県
平成28年2月2日(火)
14:00 ∼ 16:00
ふれあい福寿会館 大会議室
岐阜市薮田南5-14-53
福岡県
平成28年2月4日(木)
10:00 ∼ 12:00
福岡県中小企業振興センター
福岡市博多区吉塚本町9-15
千葉県
平成28年2月18日(木)
14:00 ∼ 16:00
千葉県自治会館
千葉市中央区中央4-17-8
【一般廃棄物や広域認定制度に係る廃棄物等の登録方法】
① 連絡番号 3 に「999」を入力 (番号の先頭が 999 であれば可 : 例 9991234)
② 「電子マニフェスト登録等状況報告から除外する」に□
㾎する
※ この方法で登録したマニフェスト情報は後の検索による絞込みができないため、平成
28 年 4 月に廃止され、①の機能に統一されます(今後②の機能を利用しないでください)
。
会場
操作体験セミナー:実際にパソコンを操作しながら電子マニフェストの登録、運搬終了報告、処分終了報告など体験し、
基本的な使い方を学びます。
都道府県
広域認定制度申請の手引き(P16 一部抜粋)
(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第9条の9及び第 15 条の4の3に基づく廃棄物の広域的処
理に係る特例制度の申請要領)
最終改訂 平成 26 年3月
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課(一般廃棄物所管、産業廃棄物課:産
業廃棄物所管)
⑪別紙8−2「廃棄物管理票」
(P44 参照)
別紙8−2では、当該廃棄物を管理するための管理票等を作成してください。様式は自由です
が、例えば産業廃棄物管理票制度に準じた方法の採用や電子マニフェストの活用等により、当該
廃棄物に係る排出から最終処分までの一連の処理の行程を申請者が統括して管理する体制を構築
し、申請者が常に広域的処理に係る廃棄物の状況について把握できるようにしてください。
(法
第 12 条の3に定める産業廃棄物管理票や法第 12 条の5に定める電子マニフェストを代用しても
構いません。
ただし、産業廃棄物管理票を代用した場合、積み替え保管用の管理票を使用しなければならな
い可能性が高い旨ご注意ください。
)
また、回収拠点を設置し、かつ、管理票を使用する場合は、運搬受託者の確認欄が2箇所必要
となる可能性が高いのでご注意ください。
なお、この管理体制により1年間の処理量等の報告事項が確実に把握できるようにする必要が
あります。
26
時間
会場
愛知県
平成28年1月26日
(火)
10:00 ∼ 12:00
愛知県産業廃棄物協会
名古屋市中区金山2-10-9 第8フクマルビル
3F会議室
大阪府
平成28年1月27日
(水)
10:00 ∼ 12:00
14:00 ∼ 16:00
大阪産業創造館 5F
大阪市中央区本町1-4-5
秋田県
平成28年1月28日
(木)
10:00 ∼ 12:00
14:00 ∼ 16:00
秋田テルサ
秋田市御所野地蔵田3-1-1
福岡県
平成28年2月3日
(水)
10:00 ∼ 12:00
福岡システムLSIカレッジ
福岡市早良区百道浜3-8-33
東京都
平成28年2月4日
(木)
10:00 ∼ 12:00
14:00 ∼ 16:00
日本産業廃棄物処理振興センター
千代田区二番町3番地 麹町スクエア7F
愛知県
平成28年2月9日
(火)
10:00 ∼ 12:00
14:00 ∼ 16:00
名古屋ソフトウェアセンター 研修室Ⅰ
名古屋市中区金山5-11-6
兵庫県
平成28年3月3日
(木)
10:00 ∼ 12:00
14:00 ∼ 16:00
ナガセキャリアセンター 三宮校
神戸市中央区御幸通8-1-6
ホームページからお申込みできます。いずれも参加費無料となっておりますので、これから電子マニフェストを導
入しようとお考えの方、新たに電子マニフェストのご担当になられた方は是非ご参加ください。
電子マニフェストに関するお問合せ 電子マニフェストサポートセンター
TEL 0800-800-9023 FAX 03-5275-7112 URL http://www.jwnet.or.jp/jwnet/ e-mail [email protected]
2016.1 JW INFORMATION 27
電子マニフェスト情報
参考
開催日
FFrom
ro
om
W
J
セ
センターだより
◆ISWA World Congress 2015 Antwerp参加報告
国際部・調査部
9月7日から9日の3日間にわたり、ベルギーのアントワープで開催されたISWA World Congress
2015 Antwerpに参加しましたので、その概要を報告します。
3.施設見学
1.はじめに
⑴ INDAVER社
同施設における 2014 年の処理実績は約 53 万トンで、
INDAVER 社 は 1990 年 に 焼 却 施 設 と し て ア ン ト
同社のベルギーにおける処理量の約四分の一が同施設
1,000 名を超える研究者等が参加した当会議では、
ワープで自治体と 15 の企業の協力により創業された企
で行われていたことになります。
表 1 に示すように、数多くの講演や研究(事例)発表
業です。現在はベルギーのメヘレンに本社を置き、廃
が行われたほか、アントワープ内に点在する廃棄物処
棄物の回収から最終処分までを総合的にプロデュース
理施設の施設見学が開催されました。
しています。ベルギー、オランダ、ドイツをはじめと
会議では、電気電子廃棄物、建設・解体における廃
した各国に拠点を構え、また関連企業との協力体制に
棄物、有害廃棄物、海洋ごみといった各種の廃棄物に
より広範囲に事業を行っています。2014 年の処理実績
関するテーマに加え、資源管理、気候変動と資源の効
はベルギー内で約 210 万トン、グループ全体では約
率化、廃棄物管理分野における起業、持続可能な国際
500 万トンとなります。
貿易とリサイクルなど、関連するテーマと結びつけた
今回見学した施設は、アントワープ中心地より車で
総合的なテーマも設けられ、幅広い内容について、講演、
1 時間ほどの位置にある大規模な廃棄物処理施設
研 究 発 表 や 討 議 が 行 わ れ ま し た。 当 セ ン タ ー で は
Indaver nv Antwerpen です。(写真 2)。表 2 に施設
「Performance of the E-manifest System for
の概要を示しますが、搬入された廃棄物の組成・物性
Supporting Disaster Waste Management in Japan
等を約 20 名体制の検査室で調べて決定した適切な方法
(日本における災害廃棄物処理支援システムの実績)
」
で処理し、残渣は敷地内の最終処分場に埋め立ててい
と題したポスターを提出し、2011 年の東日本大震災発
写真2 Indaver nv Antwerpen全体図
(Indaver社HPより転載)
ます。
生後に電子マニフェストシステム「JWNET」を一部改
修して開発した「JW 災害廃棄物処理支援システム」に
写真1 ポスター映写の様子
。
ついて、その特徴や実績を報告しました(写真 1)
表1 ISWA World Congress 2015の構成
口頭発表
講演やディベートなどを含む討議
Break out sessions
19テーマでの研究や事例の発表
Training sessions
4テーマでのワークショップ等の実践的な討議
ポスター発表
約150のポスターをメイン会場のフロアで順に映写
Tech visits
焼却施設や埋立処分場などの廃棄物処理関連施設の見学(延14回開催)
ロータリーキルン
MediPower
溶剤回収施設
Inda Chem Liquids
2.研究
(事例)発表例
28
Inda Chem Solids
3台所有。うち一台は医療系廃棄物処理施設であるMediPower内にある。
医療施設等からの有害廃棄物に特化した施設。安全確保のため全自動の施設内運搬設備を有し、高い
エネルギー回収率を実現。
ロータリーキルンから発生する熱を利用し、55℃から220℃の間で加熱を行う。2段階の方法で冷却を
行うことで、溶剤を分別して回収することが可能。
金属処理により発生する廃水の処理施設。Inda Chem Liquids内の処理で発生するスラッジは脱水後
に埋立処分され、廃水は浄化施設にて処理される。
熱処理後にフィルターに残る有害成分を含む残渣に加え、焼却できない無機質廃棄物等の処理施設。
残渣物はスラッジ同様に埋立処分される。
⑴ イタリアにおける小型電気電子廃棄物の効率的
な回収システム
⑵ インドにおける回収食物の分配システム
イタリアのフィレンツェにおいて行政と企業の協力
す。発表によると、インドでは毎分 5 人が飢餓により
のもと進められている電気電子機器の分別回収システ
亡くなっている状況がある一方で、催事等の開催にあ
ムの取組みが紹介されました。具体的には、回収セン
たっては、準備された食物の 5 分の 1 が廃棄されてい
ターへの持込、小売店による小型機器の引取り、大型
るとのことです。この現状を踏まえ、余剰食物を実施
INDAVER 社は、ホームページ等を通じた情報公開
⑵ Hooge Maey廃棄物最終処分場
機器の予約制回収サービス、公共施設に設置された回
団体が回収し、再加工後に食糧難にある人々へ分配す
や、一般公開日に廃棄物処理業務を体験する機会を設
1998 年に設立された半官半民の廃棄物最終処分場で
収ボックスやショッピングエリアなどを巡回する回収
る取り組みが行われています。提供者の基盤強化、食
けるなど、地域住民をはじめ多くの方に信頼される企
あり、アントワープ市郊外 ( 車で約 15 分 ) に立地して
車での回収方法等について、回収ボックス及び回収車
物の検査体制や加工の設備の増強、対象地域の拡大が、
業を目指して積極的に働きかけているという印象を強
います。INDAVER 社および別の機関が運営している
の運用に参加している企業から発表がありました。
今後の課題とのことでした。
く受けました。
浚渫土・建設廃棄物の最終処分場が隣接しており、こ
インドにおいて、非営利団体が行っている取組みで
埋立処分場
焼却やその他の処理後の残留物の処分に使用。
2016.1 JW INFORMATION 29
センターだより
Keynote sessions
表2 Indaver nv Antwerpenの概要
FFrom
ro
om
W
J
セ
センターだより
◆ISWA World Congress 2015 Antwerp参加報告
国際部・調査部
の地域は、広大な廃棄物処理エリアになっています。
広大な敷地に高さ 45m まで有害でない都市ごみや産
◆第14回産業廃棄物と環境を考える全国大会
「大規模災害に備える災害廃棄物対策」をテーマに
平成 27 年 11 月 6 日(金)に佐賀県のホテルニュー
資源循環・廃棄物研究センター 廃棄物適正処理処分研
オータニ佐賀に於いて、(公社)全国産業廃棄物連合会、
究室長 山田 正人氏に「産業廃棄物処理と海外展開・
業廃棄物(約 100 万㎥)を埋め立てています。平地に
(公財)産業廃棄物処理事業振興財団及び当センターの
海外事情」をテーマに基調講演を行っていただき、続
つくられた最終処分場であり、小山が造成されたよう
三団体主催による、「産業廃棄物と環境を考える全国大
いて、行政担当者、事業者、学識経験者のパネリスト
な体をなしています。図 1 に最終処分場の概要を示し
会」を開催いたしました。
により「大規模災害に備える災害廃棄物対策」をテー
ますが、最終処分場から集めた埋立ガスを燃料にして
今年で本大会は第 14 回目を迎え、多くの廃棄物関係
マに討論会が行われました。
発電しています。常時、発生ガス量を把握し、安定し
者等(604 名)の参加がございました。
なお、次回の全国大会は、平成 28 年 11 月 11 日に
た発電量を確保しています。また、浸出水は水処理設
大会では、環境大臣表彰式典の後、国立環境研究所
岡山県で開催を予定しています。
備(貯留タンク(嫌気処理も兼ねる)、円形活性汚泥槽、
限外ろ過膜、活性炭吸着設備、脱窒設備)で処理して、
放流しています。
図1 最終処分場の概要(Hooge Maey社HPより転載)
4.おわりに
ISWA World Congress2015 は 講 演 や 研 究 発 表、
を閉じました。なお、次回の ISWA World Congress
施設見学等を通じ、多くの人々に廃棄物問題、地球環
は、セルビア共和国のノヴィ・サドで 2016 年 9 月 19
境について考え、相互に高め合う場を提供し、その幕
日から 21 日に開催される予定です。
◆―企業研修をサポート―
出張
(団体・個別企業向け)研修のご案内
JW センターでは、講習会事業で培ったノウハウを基に作成した研修会専用テキストの提供と、講習会講師の派遣
により、御社の廃棄物管理担当者育成研修会・セミナーをサポートいたします。
◆対 象◆
写真1 環境大臣表彰式典の様子
写真2 国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター 廃棄物適正処
理処分研究室長 山田 正人 氏による基調講演の様子
○開催概要
【開催日時】
平成 27 年 11 月 6 日(金)
【場所】
◆費 用◆
ホテルニューオータニ佐賀(佐賀県佐賀市)
テキスト料+講師派遣料
【プログラム】
【テキスト料】2,000 円/人
13:30∼13:45 開会
【講師派遣料】謝 金:最初の 90 分 30,000 円
13:45∼14:20 環境大臣表彰式典
以降 60 分毎に 12,000 円
14:20∼15:20 基調講演
交通費:当センター規定の交通費
◆実施方法◆
人 数:1会場あたり 30 ∼ 60 名
時 間:研修内容により3時間程度(ご相談により実施)
会場設備:プロジェクター、を使用できる会場
テーマ「産業廃棄物処理と海外展開・海外事情」
講師:山田 正人 氏(国立研究開発法人国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター廃棄物
適正処理処分研究室長)
15:20∼15:30 休憩
15:30∼17:20 パネル討論会
テーマ「大規模災害に備える災害廃棄物対策」
コーディネーター:森谷 賢 氏(公益社団法人全国産業廃棄物連合会専務理事)
■お問合せ先■
パネリスト:島岡 隆行 氏(九州大学大学院工学研究院教授)
松
公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター 教育研修部
TEL 03-5275-7115
裕司 氏(環境省廃棄物リサイクル対策部廃棄物対策課課長補佐)
江島 秀臣 氏(佐賀県くらし環境本部循環型社会推進課長)
松尾 文則 氏(一般社団法人佐賀県産業廃棄物協会副会長)
17:20 閉会
30
2016.1 JW INFORMATION 31
センターだより
産業廃棄物管理実務担当者・新任担当者 等
周りは変人ばかり
?
教育研修部
口 幸弘
H I G U C H I Yu k i h i r o
自分の周りを見回すと、変人
(変わった人、変な人)
ばかりだと思いませんか?
ところで、変人は誰なのでしょうか?そりゃ、周りの人が変人に決まっているだろう。そう思いたいで
すよね。でも、本当にそうでしょうか?周りの人から見ると、あなたも相当、変人に見えるのではない
のでしょうか。ですから、
本当のところは、
自分と他人の両方が変人といったところが妥当ではないでしょ
うか。
では、周りの人が変人に見えるのはなぜなのでしょうか? それはあなたがあなたの人生経験で身に
着けた価値観を持っており、周りの人は周りの人の人生経験で身に着けた価値観を持って言動をして
いるからではないでしょうか。価値観が異なるから変人に見えるのは当然ですよね。
このことが人間関係
(会社、家族、友人など)
のトラブル、悩みが生じるのだと思います。
それではどうしたらよいか。それを見つけることが人間関係の面白味なだと思います。自分と他人
の両方が変人なのですから、他人の価値観、動機を想像し、受け容れることが必要なのではないので
しょうか。自分は正しいと思っている限り、うまくはいかないと思います。
編集後記
新年、あけましておめでとうございます。
本号では、JWセンターが平素、ご指導、ご協力を賜っている環境省、
(公財)産業廃棄物処理事業振興財団、
(公社)全国産業廃棄物連合会より、年頭のご挨拶をいただきました。
「行政のうごき」は佐賀県に「電子マニフェスト等導入促進助成事業」を中心に、県の電子マニフェスト普
及促進の取組についてご執筆いただきました。
「ユーザ事例紹介」はアミタ(株)に中間処理業者、ASP事業者それぞれの立場から見た電子マニフェスト
導入のメリットについてご執筆いただきました。
「産廃クローズアップ」は九州製紙(株)にお伺いし、国内最大級の古紙リサイクル施設を取材させていた
だきました。
また、本号では、昨年10月に韓国で開催された「第3回日本・韓国・台湾ネットワーク会議」と、昨年9月
にベルギーで開催された「ISWA World Congress 2015」の参加報告を掲載し、JWセンターおける国際事
業をご紹介させていただきました。
年末年始のお忙しい中、記事をお寄せいただいた執筆者の皆様、取材や編集発行に御尽力いただいた皆様、
本誌を読んでくださる読者の皆様、昨年も皆様のご協力のもとに本誌を滞りなく発行できましたことを心か
ら感謝いたします。
特に、1年間に亘り
「コラム」をご執筆いただいた桜美林大学の藤倉教授、「連載講義」をご執筆いただいた
京都大学大学院の高岡教授に厚く御礼を申し上げます。
本年も「日廃振センター情報」をよろしくお願い申し上げます。
(藤 原)
本誌に関する連絡先:総務部広報室 e-mail:[email protected]
【アンケートへのご協力のお願い】
より充実した誌面作りのために、本誌の記事内容等に関する読者アンケートを当センターホー
ムページ(以下のURL)に掲載しています。本誌に関するご意見・ご要望を是非、お聞かせく
ださい。
URL http://www.jwnet.or.jp/publish/kikansi/index.html
日廃振センター情報
(季刊)VOL.15 NO.4 発行日:平成28年1月15日発行 発行人:岡澤和好
発行所:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター
32
〒102-0084 東京都千代田区二番町3番地 麹町スクエア7階 TEL:03-5275-7111 FAX:03-5275-7112 http://www.jwnet.or.jp/
デザイン・印刷 株式会社ぎょうせい
写真1 西念寺 本堂
写真2 半蔵の墓
号、このコーナーで取り上げた半蔵門。
号
号、こ
のコー
前江江戸城の出入口の要所となる半蔵門はその警備を担当し
戸城の
の出
た服部半蔵の名に由来することを前号で紹
。
介いたしました。
服部半蔵
服部
蔵は伊賀
服部半蔵は伊賀の忍者と
してその名を広く知られていますが、実際には伊賀忍者の末裔で、徳川家康に
仕えた戦国
仕えた
国武将
将で
仕えた戦国武将です。
“槍
槍の半
半蔵”や“鬼の半蔵”
“
“槍の半蔵”
の異名を持つ猛将で、家康の天下統一や天下統一後の江戸の治安維持に尽
。
力しました。
後年、半蔵
蔵は
後年、半蔵は「西念」
という法名で仏門に入り、麹町清水谷に安養院を建立しました。 安養院は半蔵の
死
死後、
江戸城
城の壕
死後、江戸城の壕の拡張工事に伴い四谷
(新宿区若葉二丁目)に移され、半蔵の法名をとって建立された
のが「西念寺」
「西念
念寺」
」
(写
のが
(写真1)
です。
「西念
念寺」が所在する地域は、江戸時代には伊賀町と呼ばれ、徳川家に仕えた伊賀衆の組屋敷があ
が所在
「西念寺」
った
とされています。
「西念
念寺」の本堂右隣には、服部半蔵の墓
の本堂
「西念寺」
(写真2)があり、本堂には半蔵の愛用した槍(写真3)が所蔵
されてい
います。
されています。
線
参考文献
三重県東京事務所
三重県
重県東京事務所
所
(URL: http://www.pref.mie.lg.jp/TOKYO/HP/43203035386.htm)
(UR
RL: http:///ww
(一社)
(一社
一社)新宿観光振興協会
新宿観光
光振興
(URL: http://www.kanko-shinjuku.jp/course/tabid/120/pdid/349/Default.aspx)
(URL: http:/
(U
//ww
歴史人HP
「服部半蔵の眠る町
【四谷駅】」
歴
史人HP「第28回
「第28
8回
「服
(URL: http://www.rekishijin.jp/rekishijinblog/ando/11-1214/)
(URL: http:/
//ww
市ヶ谷駅
JR
中
央
・
総
武
近隣
近近近
隣隣隣史史
史跡
跡跡のの
の紹
紹紹紹紹介
介介介
西念寺
日本産業廃棄物処理振興センター
半蔵門駅
四ッ谷駅
麹町駅
西念寺
写真3 半蔵の槍(看板)
通り
靖国
都営新宿
線
駅
谷
市ケ
JR
日本大学会館
市ケ谷駅
みずほ銀行
3番
出口
通り
外堀
滝廉太郎
住居跡の碑
女子学院高
日本テレビ
5番
JR四
ツ谷駅
千代田 出口
一番町郵便局
一番町交差点
いきいきプラザ
一番町
セブン
イレブン
1番
出口
千代田女学園高
町線
有楽
JR中
央・総武
線
河合塾
麹町校
半蔵
門線
南
北
線
ルクセンブルク
大使館
半蔵門駅
5番
出口
麹町スクエア7階
麹町駅
上智大学
四ツ谷駅
麹町本通
郵便局
公益財団法人
日本産業廃棄物処理振興センター
新宿通り
麹町四丁目交差点
丸ノ内線
公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター
〒102-0084 東京都千代田区二番町3番地 麹町スクエア7階
●TEL.03-5275-7111(代表)
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産業廃棄物の適正処理と循環型社会の形成で、
低炭素社会へ。
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