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2013

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2013
不徴収協定に基づく派遣交換留学終了報告書
所 属 ( 本 学 ) 理工学研究科 地球惑星科学専攻
現 在 の 学 年 修士2年
留
学
先
国 アメリカ合衆国
留学先大学
ワシントン大学
留
学
期
間 2013 年9 月15 日~2014年 6 月
10
日
①留学先大学の概略
ワシントン大学(University of Washington)はワシントン州シアトルある総合州立大
学である。1861 年創立で 150 年以上もの歴史を誇る。略称は UW。学生数は約 45,000
人。広大なキャンパスを有する。アジア圏からの留学生が多く、国際色豊かである。
②留学前の準備
・ 大学院で留学した場合:就職活動、修士・博士論文などとの兼ね合いを含め、修了
までの計画をどう立てたか
留学中は研究がほとんど進まないと予想していたため、修士卒業を一年遅らせる予
定で計画していました。したがって、就職活動も一年遅らせて取り組む計画でした。
・ その他、留学情報の入手方法、専門分野・語学の準備方法、留学先の研究室に所属
した場合は、留学先大学の指導教員との準備、ビザ取得方法、住居の探し方など
 情報収集
主に UW のホームページから交換留学に関する情報を入手しました。不明な点
があれば、UW の派遣交換留学担当者にメールで質問をしました。また、以前
に UW へ交換留学した方々にも連絡を取り、直接お会いしてお話を伺いました。
 語学の準備
修士の UW 交換留学には TOEFLiBT92 点を取得する必要があります。私は
TOEFL 問題集と TOEFL 用の単語帳を用いて対策をしました。問題集は ETS
(TOEFL を実施している機関)公認の問題集と Barron’s の問題集、計二冊
を使いました。単語帳は単語数が多く、CD 付属のものを使い、語彙とリスニ
ングを強化しました。結果、半年ほどで目標点をクリアしました。
 留学先での研究室
当初は講義履修のみの予定だったことから、留学前に教員にコンタクトはと
りませんでした。留学後、研究分野が同じ教員の方を見つけ、直接お会いし
議論したところ、小さな研究プロジェクトを行うことになりました。また学
生室も与えて頂き、
それ以降は専攻の大学院生と共に研究生活を送りました。
 ビザ
ビザの申請はアメリカ大使館で行います。ビザの申請には留学先大学から発
行される I-20 という書類が必要です。UW から I-20 が手元に届く時期は 4−5
月頃だったと思います。ビザ申請は必要書類が多く、また手続きが煩雑であ
るため、I-20 が手元に届いたらできるだけ速やかにビザ申請に取りかかるこ
とをオススメします。
 住居
学生寮に住みました。大学のホームページから申込みできるため、手軽で安
心です。
③留学中の勉学・研究
授業登録
UW はクオーター制であり、一学期が三ヶ月ほどです。主に秋、冬、春の三学期に講義
があります。交換留学生は一学期最低12単位申請する必要があります。東工大とは異
なり、一つの科目でも週に数回講義があります。目安として、一単位が講義 60〜90 分
に相当します。多くの科目は3−4単位です。したがって、通常は一学期に3〜4つの
科目を履修します。
私の場合、将来の研究を進めていく上で役立つ講義を主に履修しました。履修した科目
は以下の通りです。
Autumn Quarter 2013
ASTBIO115 (5) Introduction to Astrobiology
ASTBIO 502 (4) Astrobiology Topics
ESRM 320 (5) Sustainable Marketing
Winter Quarter 2014
ESS 457 (4) Environmental Geochemistry
ESS 517 (3) Early Earth Evolution
ESS 553 (4) Electronic Beam Analysis
ESS 599 (1) Seminar
Spring Quarter 2014
ATM 358 (3) Atmospheric Chemistry
ESS 424 (3) Water in Environment
ESS 581 (3) Planetary Atmosphere
OCEAN 529 (1) Seminar in Chemistry of Ocean
 科目のアルファベットは専攻の略称。ASTBIO = Astrobiology, ESS = Earth and Space
Science、ATM = Atmospheric Science、OCEAN = Oceanography、ESRM = Environmental
Science & Resource Management。
 科目にはそれぞれ 3 ケタの番号が振ってあり、百の位の番号が学年と対応している
(1−4は学部生向け、5−6が大学院生向けの科目)
。
 カッコ内の数字は単位数を示す。
 一年で最低36単位、一学期最低12単位の申請が必要だが、Spring Quarter だけ
は以前に余分に取得した単位分を控除してもらえる。私の場合、Autumn Quarter
に14単位履修したため、Spring Quarter は2単位分を控除して頂き、合計 10 単
位履修した。
授業の感想
一科目が週に 6 時間程度あり、ホームワークも充実しているため、内容を構造的に深く
理解することができました。また、東工大の講義に比べてグループワークやプレゼンの
機会が多く、英語でのディスカッションやプレゼンテーションのスキルを鍛え上げるこ
とができました。
④留学中に行った勉学・研究以外の活動
ボランティア、インターンシップ、旅行、スポーツなど、幅広く体験を教えてください。
勉学研究以外では主に学生寮のルームメイトや学生室のオフィスメイトと過ごしまし
た。ルームメイトの 1 人が RA (Residence Advisor)であり、様々な企画をしてくれま
した。おかげでアメフトの観戦や映画鑑賞など、楽しい時間を過ごしました。また、オ
フィスメイトとはパブでお酒を飲み、研究や文化の違いなどについて、楽しく語り合う
ことができました。その他ホームパーティーなどにも積極的に参加し、充実した週末を
過ごすことが出来ました。
大学には立派なジムが併設されており、研究や課題で疲れた週末にはよくジムへ行き、
汗を流してリフレッシュしました。
冬休みにはニューヨークへ一週間ほど旅行をしました。マンハッタンという小さな島に
様々な人種と階級の人間がひしめき合うように暮らしており、アメリカという移民国家
のルーツ、そして格差社会を肌で感じることができ、刺激的な旅行でした。
⑤ 留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード
他国の学生等との交流、海外における勉学・研究等の学校生活や日常生活を経験して、
自身の成長を実感したことと思います。留学前に立てていた目標に対する達成度や苦
労話など、何でも結構ですので、自身の成長を実感した中で一番記憶に残っているエ
ピソードを教えて下さい。
交換留学を通して、私の研究テーマと関係する分野の基礎を体系的に理解することが
できたと実感します。私は地球科学を専門としていますが、研究テーマ上、大気科学
や宇宙生物学、溶液科学などといった複数の分野を広く理解しておく必要がありまし
た。しかし東工大ではこれらの科目は充実していません。ワシントン大学でこれらの
科目を履修した後に関連論文を読んでみると、履修前とは比べものにならないほどス
ラスラと読むことができ、深く理解していることに気づきました。また、私が研究上
よく使用する分析機器に関する講義がありました。履修前はとりあえず分析できれば
良いという程度でしたが、履修後は分析機器の特性を理解した上で、個々の分析に適
した設定を自分で調整することができるようになりました。研究を進めていく上で役
立つ体系的な基礎知識を取得する、という留学当初の目標は十分達成されたと思いま
す。
⑥ 留学費用
渡航費、生活費、住居費、保険料、奨学金の有無など。
渡航費:往復 14 万円
生活費:月々4 – 5 万円
住居費:月々 8.7 万円
保険料:10 万円
奨学金:月々10 万円 (ヤマハ発動機国際交友基金)
⑦ 留学先での住居
寮の有無、申し込み方法、ルームメイト、その他
大学の学生寮に住みました。キャンパスから徒歩五分の近さにあり便利でした。新しく
建設された学生寮だったため、清潔で住みやすかったです。またルームメイトなどと楽
しい時間を過ごすことが出来ました。大学のホームページから申込みができるため、手
軽で安心です。しかし家賃は決して安くありません。また、当然ですがルームメイトと
のトラブルもあります。もし値段的に安く抑え、プライベートな時間を確保したい場合
は学外のアパートを探してみると良いかもしれません。
⑧ 留学先での語学状況
例えば、授業、研究には○○語が必須だが、生活は○○語を利用。留学前の TOEFL 等語
学試験は、○○だったが、十分であった(最初の2,3ヶ月は苦労した)など。
留学中、語学のレベルに関してはほとんど問題ありませんでした。教員の方々は留学生
がちゃんと聞き取れるよう、論理的にゆっくり大きな声で話してくれます。TOEFL の基
準点をクリアしていれば、講義の内容は十分聞き取ることができます。最初の2ヶ月は
ディスカッションや日常会話でうまく相手に意見を伝えられない、または英語でレポー
トを書くのに時間がかかるなど、苦労する時期もありました。しかし、経験を積むうち
に英語もスラスラ出てくるようになりました。
⑨ 単位認定、在学期間
留学中に取得した単位の認定を東工大で行ったか(行う予定か)?在学期間の延長を行
ったか?
留学開始前に卒業必須単位はすべて履修し終えていたこともあり、単位認定の申請をす
るかどうかは現在検討中です。研究の進捗状況と就職活動を考慮した結果、卒業は一年
延長する予定です。
⑩ 就職活動
留学先で行ったこと、また帰国後どのように活動する(予定)など。
留学中は講義履修と研究活動にすべての時間を割くと決めていたため、就職活動(ボス
トンキャリアフォーラムへの参加など)はしませんでした。2015 年の冬から就職活動
をする予定です。
⑪ 留学先で困ったこと(もしあれば)
留学中一番困ったこと、それはマリファナを勧められる機会が何度かあったことです。
アメリカではマリファナの使用が日常化しています。特にワシントン州では最近マリフ
ァナの使用が合法化され、夜には多くの学生がマリファナを吸っていました。留学前、
研究室の方からマリファナには手を出すなと強く言われていたため、私は決して手を出
しませんでした。しかし、他大学から来ていた日本人交換留学生の多くは、友人に勧め
られるがまま、マリファナを吸っていたようです。外国人がワシントン州でマリファナ
を所持することが合法かどうかわかりません。しかし、警察沙汰にでもなれば強制帰国
の可能性もあります。友人からすれば、マリファナくらいたいしたこと無いのかもしれ
ませんが、勧められたこちら側は本当に困りました。
⑫ 留学を希望する後輩へアドバイス
交換留学を希望する方は是非チャレンジしてほしいと思います。交換留学を希望する理由
は人それぞれでしょう。しかし、理由に関係なく是非留学してほしいと思います。なぜなら、
留学をしてしまえば、そこには自分が想像できない様々な経験が待ち受けているからです。
特にアメリカという国は日本と対照的な文化や価値観、社会を持っています。そして、様々
な経験を通してそれらを直接肌で感じることでしょう。その時、日本で暮らしていては得ら
れない気づきや発見があります。こうした発見は自分の人生におけるかけがえのない財産と
なります。特に大学生という、社会へ出る前の時期に留学をすることは将来的に大きいな意
味を持つと思います。
留学によって卒業が遅れることや、就職活動について心配をしている方がいらっしゃるか
もしれません。しかし、私は長い人生の一年くらい棒に振ったっていいじゃないかと思いま
す。交換留学はそれだけの価値を十分持っていると思います。交換留学をしてから自分の進
路が変わる可能性もあるのですから。また、交換留学なんて遊学だ、とおっしゃる方が周り
にいるかもしれません。しかし、交換留学を遊学で終わらせるか、もしくは有意義な時間を
過ごし、自己成長を遂げて次につなげるかは自分次第です。交換留学中は講義以外に十分な
時間があります。そしてその時間をどのように使うかが重要です。私の場合、自分で指導教
官を見つけ、コネクションを作り、研究プロジェクトに関わることができました。結果的に
自分の名前を売り込むことができました。また、かけがえのない研究仲間を作ることが出来
ました。その過程で濃密な時間を過ごし、研究のみならず、一人間として成長できたと思い
ます。
最後になりますが、交換留学を決意するのも、そこで何を経験し、どう将来に活かすかも
すべて自分次第です。人の意見に惑わされず、自分で考え行動し、結果を残してほしいと思
います。
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