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アブダビ名所案内と雑感

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アブダビ名所案内と雑感
現地駐在員だより アブダビ名所案内と雑感
UAE ジャパンデスク 代表 後藤 敬一
本誌が発行される10月下旬頃には,アブダビは気温もかなり落ち着き最高気温30度台前
半となり,漸く観光客が増え始めてくる季節となってきます。先ずはこのような季節にな
ってから,外国人観光客にとり F1アブダビグランプリのような特別なイベントとは関係
なく,恒常的に人気のある観光スポットを2ヵ所紹介させていただきます。
≪名 所≫
Sheikh Zayed Grand Mosuque(シェイク・ザイード・グランドモスク)
1996年に UAE 建国の父であり,初代大統領であったシェイク・ザイード(1918-
2004)により建設が決定され,このモスクがイスラムの寛容さと静けさの見事な場を提供
し,文化や宗教,国籍に関係なく世界のすべての人々に平和のメッセージを伝えることを
夢とし,イスラム世界の文化的な多様性と建築や芸術における歴史と現代の価値を融合す
るようなものを目指し,2007年に完成しました。
モスク全景
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この世界最大級のモスク(世界で6番目に大きい)の特徴は82個のドーム,約1,000本
の円柱,24金メッキのシャンデリア,手織りの世界最大のカーペットです。礼拝堂本堂に
は直径10メートル,高さ15メートル,重さ12トンのモスク内部では世界最大のシャンデ
リアが空間を埋めています。最初に行われたモスクの式典は,このモスクと同名の,ここ
に埋葬されたシェイク・ザイードの葬儀でした。
世界一美しいと誉れ高いモスク,礼拝堂内のシャンデリアには有名なスワロフスキーの
クリスタルが散りばめられ,足元には約1,200人の職人の手により2年を要した手織りの
ウール70%とコットン30%の絨毯が広さ5,700平方メートルにわたり敷き詰められてい
ます。凜とした静けさの中に,豪華絢爛な内装に目を見張ってしまいます。中央の屋外広
場は広さ17,400平方メートルあり,敷き詰められた大理石の床には英国人アーチストによ
る花柄のモザイク模様が施されており,これもまた,世界最大の大理石モザイク作品のよ
うです。中央の屋外広場の周りの回廊にある1,000本もの円柱には花柄と円柱上部には金
色の椰子の木をイメージさせるデザインになっています。4本あるミナレット(尖塔)は
イスラム世界における幾つかの様式を用いて,107メートルの高さに聳え立っています。
シェイク・ザイードの墓は礼拝堂本堂の北側の外にあり,奥には小さなドーム,手前に
は大理石の地面がドーム形をくり抜いたようなフェンスで四角く囲われている,明らかに
モスクと比べれば,はるかに小さいのですが,モスク本体と似たデザインです。常にそこ
礼拝堂本堂シャンデリア
カーペット
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シェイク・ザイードの墓
円 柱
からはコーランが流れています。
このモスクを訪れるタイミングは昼間のきつい日差しや,暑さを避けて,夕方の日没前
がお勧めです。礼拝堂本堂を背にした太陽が沈み,やがて夕闇と共に最新の照明技術によ
り建物が幻想的に浮かび上がってきます。
Emirates Palace(エミレーツ・パレス)
アブダビの象徴的な名所のひとつのこの高級ホテルはアラビアの豪華さと,最新技術を
用いて,神秘的な思い出に残るアラビアンな体験を演出しています。日中は建物の金の砂
のような色が,緑の庭園や銀色に輝く噴水,青い空とのコントラストを演出しています。
夜になるとホテルの照明が微妙に変化し,メインドームでは壮麗な虹色に変化する照明が
施されています。
このホテルの建物は英国人建築家によるもので,2005年3月に開業しましたが,主要な
昼間の光景
夜 景
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レストランや設備は2006年に開業し,建物の建築と所有はアブダビ首長国政府,ホテルの
マネジメントをケンピンスキーが行っています。総工費は30億ドルとも言われ,シンガ
ポールのマリーナ・ベイ・サンズに次いで高額な建設費がかかったホテルのようです。
メインのパレスの建物は端から端まで1,000メートル以上あり,庭園とその周囲の敷地
は100ヘクタールに及び,ホテルには114個のドームがあり,メインドームは73メートル
ほどの高さがあります。内装には金,真珠層とクリスタルをあしらった装飾が使われてい
ます。また,パレスの装飾の中で,忘れてはならないものとしてパレス自体をモチーフと
し,手織りのタペストリーが2つ壁に掛かっており,それぞれ重さが1トンもあるとのこ
とです。
最近,このホテルを訪ねて興味ある事実と数字を手に入れましたので,上述以外のもの
をご披露します。
・総工費は約30億ドル,建物の建設には2万人が従事し3年間を要した
・従業員は1,300名,国籍58ヵ国
・ジョギングのコースは延長6.4キロメートル
・プライベートビーチは延長1.3キロメートル
メインドームを真下から
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・駐車場の収容可能台数は818台
・シャンデリアは1,002個あり,最大のものは2.5トンもの重さがある
・部屋数はスイーツも含めて全部で394室,部屋の広さは55~680平方メートル
・建物の外に噴水が12個,建物内にも噴水が8個
・ミーティングやカンファレンス用の部屋は40室
・ボールルームの収容人員はシアタースタイルで最大2,400名
・オーディトリウムは1,100名収容可能
・年間200トンものオレンジがフレッシュジュースに使われる
・主にデザートのデコレーションに使われる食用の純金は年間5キログラム
エミレーツ・パレス名物としてカフェにて味わうことのできるラクダ肉バーガーがあり
ます。バンズや肉,更には添え物のヒヨコマメのフリッターにまで24金フレークが振りか
けられています。
日本人も含めて旅行者に最もポピュラーなカフェで味わうことのできるパレス名物は,
パレスカプチーノです。カプチーノの泡の上に24金フレークが散りばめられ,お決まりの
デーツとダークチョコが添えられ,銀のトレーに載せられて,テーブルに運ばれて来ます。
アフタヌーン・ハイ・ティーにおいて,ティーをこのカプチーノに変更して楽しむことも
できます。勿論,カプチーノを飲むのにカップを近づけ唇に付いてしまう24金フレークを
落とすためのコップ一杯のお水もトレーの上に供されています。このカプチーノ一杯で,
束の間の豪華な気分となるかは別として,一度試してみてはいかがでしょうか。
ドーム下内装の一部
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以上にて典型的な名所を2ヵ所紹介させていただきましたが,この他にも歴史と文化を
学ぶことのできるヘリテージ・ビレッジが外人観光客のコースによく組み入れられていま
す。一昔前の生活を再現したり,ハンディクラフトの工房があったりしますが,再現シー
ンも張りぼてのような雑な作りが否めず,管理があまりよくなされていません。また,工
房も幾つかありますが,やはりその辺のおみやげものを売るようなものが多く,ここでは
紹介を省かせていただきます。あと忘れてはいけないアトラクション施設として,外国人
観光客が訪れるものとしては,やはり,フェラーリ・ワールドがあります。熱風の中を世
界最速のジェットコースターに乗るのも一驚かもしれません。
≪雑 感≫
アブダビには2015年3月に約13年ぶりに着任しました。この13年間の特にこの10年ほ
どの間にはアブダビは大きな変化を遂げ,この10年以上のギャップが未だに埋まらずに苦
労しています。
街中をウロウロして,以前からある建物を発見すると懐かしさとホッとした気持ちにな
ります。最初に駐在した1983~1987年に住んでいたフラットの建物が新築から30年以上
経過して未だに存在しているのをみましたが,色々と探索してみると30年以上前に赴任し
ていたときには既に存在していた建物が壊されずに改修して,未だにホテルとして使われ
ているものもあり,新しく斬新なデザインの建物が多いのは確かですが,意外と気候等の
条件の厳しい環境の中でももともとしっかりとした作りであった建物は,長く使われてい
るものです。
さて,2014年からの油価低迷という状況下においても,過去の蓄積による強固な財政基
盤の下威信をかけたいくつかの大型プロジェクトは完成ないし進行しており,今年開館予
定であったルーブル分館はさらに遅れてはいますが,漸く来年2017年には開館するようで
す。2020年ドバイ万博に向けてのアブダビ空港新ターミナルの建設も進んでいます。これ
らの重要なプロジェクトの一方で,不要不急なものは後回しになっているのが現状ですが,
今年初め以来の政治体制の若返りや国営石油における大幅な人事交代にみられるように,
病にあるハリーファ首長に代わりかなりの実権を握るムハンマド皇太子の下,次期皇太子
問題も含めて常に内部は難しい局面にありますが,財政も含めた難局を乗り越えようとす
る動きがあります。このような中でも着実に必要な開発や成長を遂げようとする努力をみ
ることができます。
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