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2008年08月号(PDF:530KB)

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2008年08月号(PDF:530KB)
2008年8月号
IFRS outlook
国際会計実務の解説
本号の内容
目次
本号の内容
1
►
インタビュー
2
アナリストの視点から見たIFRS
専門分野
4
資本の特徴を有する金融商品
財務報告制度の発展
8
各種資料
12
アナリストの視点から見たIFRS
企業がIFRSへの移行を発表した場合にアナリストが注目するポイントはどこ
か、またIFRS移行企業の財務諸表はアナリストによってどのような形で利用さ
れているのかについて、ムーディーズVPシニア・クレジット・オフィサーのトレ
バー・パイパー氏にお話を伺いました。同氏には、IFRS及び世界的規模で進
められているIFRSへのコンバージェンスの現状に関する見解も披露していた
だきました。
►
資本の特徴を有する金融商品
国際会計基準審議会(IASB)のディスカッション・ペーパー及び米国財務会計
基準審議会(FASB)の予備的見解は、概念フレームワーク・プロジェクトと矛盾
する可能性があります。本稿ではその理由及び、金融商品を負債又は資本に
分類するにあたって両審議会が提案する3つの方法を採用した場合それぞれ
について考えられる影響を確認します。
►
財務報告の発展
負債の定義、財務諸表の表示及びプライベート企業のためのIFRSといった、
重大な経営上の影響を及ぼしうる基準について、IASBが到達した暫定的決定
内容を確認します。
2008年
新日本有限責任監査法人
IFRSデスク
河野 明史
IFRS outlookに関する皆様からのご意見をお待ちしています。本稿につ
いてご不明な点、ご懸念事項などがございましたら、
[email protected]までお問い合わせください。
IFRS Outlook 2008年8月号
1
アナリストの視点から見たIFRS
IFRSの採用が広がることによって期待されるメリットの1つは、世界
中の企業が単一かつ高品質の国際的な会計ルールに基づき報告
を行うようになることである。このほど、ムーディーズVPシニア・クレ
ジット・オフィサーのトレバー・パイパー氏にお話を伺い、IFRSの現
状、世界的規模で進められているIFRSへのコンバージェンス、IFRS
財務諸表の利用方法、及び企業のIFRSへの移行による影響の説
明及び決算発表において注目する点について、同氏の見解を伺っ
た。
トレバー・パイパー氏略歴
質・量の両面における分析能力の
向上を目指すムーディーズの取組
みの一環として2003年に同社に入
社。金融機関以外の一般事業会社
が行う財務報告の質の評価及び主
要な会計上の論点に対するクレジッ
ト・アナリストの財務諸表を読み解く
能力を向上させることが、ムー
ディーズにおける同氏の役割である。
ムーディーズ入社前には、アーンス
ト・アンド・ヤング ロンドン事務所の
財務報告グループディレクター及び
南アフリカで証券アナリストを歴任し
ている。
Q. 現時点においてIFRS財務諸表の有用性はどの程度であるとお考えで
すか?
財務諸表を利用する際のムーディーズの主な目的は、報告企業の持つキャッシュ創出能力
及び債務履行能力を評価することです。この点に関して、IFRS財務諸表の有用性は極めて
高いと考えていますが、同時に比較可能性を向上させ、信用分析の視点からの有用性をさら
に高めるために、IFRSベースの財務諸表に一定の調整も行っています。
当社として特に関心が高いのはキャッシュ・フロー計算書ですが、EBITDAを始めとした発生
主義ベースのキャッシュ創出力の測定指標と実際に創出されたキャッシュとの重要な差異の
見極めにも注意を払っています。総じて、IFRS財務諸表の広範囲な注記開示は有用ですが、
当社の業務目的と関連性の高い情報を識別するためにこれらを選別することも必要となりま
す。なかでもリース、年金債務及び保証に関する注記を広範囲に利用しています。しかし、主
要財務諸表において必ずしも重要でない事項に関する注記は、かえって情報の撹乱要因に
なることもあります。たとえば、公益事業、電気通信、石油・ガスといった業種に属する巨大企
業の株式報酬などがこれに該当します。
IFRSのデリバティブの会計処理は、損益計算書と貸借対照表を非常に分かりにくくする原因
になる場合があり、特に負債が将来の見積キャッシュ・アウトフローを反映していない金額で
計上されている場合や一定の商品供給契約がデリバティブとして会計処理されているような
場合にこうしたことが起こります。
Q. IASBではジョイント・ベンチャー、連結、収益認識、リースなどのいくつ
かのプロジェクトが進行中です。財務諸表の分析手法に影響を及ぼす可
能性が最も大きいプロジェクトはどれですか?
我々は、リース・プロジェクトを綿密にフォローしています。財務諸表に対して我々が行う調整
のなかでもその頻度が最も高くかつ重要なものの1つがリースに関連するものです。特に小
売業界の企業を比較するために、オペレーティング・リースを資産計上することにより、それ
に応じて、損益計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書を調整しています。
これらの調整がなければ、オペレーティング・リースにより店舗を賃借している企業は、店舗
を所有している企業とはまったく異なる財務内容を持つことになります。どちらの企業も製品
を販売するために店舗が必要であるにもかかわらず、です。IASBで進行中のプロジェクトに
よって、こうした調整がまったく不要になることはないかもしれませんが、我々の調整方法に
影響を及ぼす可能性はあるでしょう。
IFRS Outlook 2008年8月号
2
「企業が、キャッシュ・フロー、有
利子負債、EBITDAを企業の従
来のGAAPベースからIFRS
ベースへの差異調整を示すこと
により、IFRSへの移行による影
響を説明することは、我々の分
析作業に大きく寄与します。」
我々にとって関心度の高いその他のプロジェクトは、
連結とジョイント・ベンチャーです。ジョイント・ベン
チャーについては、これらの取決めに対する会計処理
が一本化されることを期待しています。
Q. 欧州と豪州の企業が2005年にIFRSに移行してから、
財務諸表の比較作業は以前に比べてやりやすくなり
ましたか?
Q. 世界各国がIFRS適用を急ピッチで進めており、ブラ
ジル、カナダ、中国、チリ、インド、韓国はいずれも今
後3年間で移行しつつあり、米国は、IFRSを採用する
外国登録企業に対する米国会計基準への差異調整
表作成義務を撤廃しました。こうした世界的規模で進
められているコンバージェンスは、業務にどのような影
響を及ぼしますか?また今後予想される課題は何で
すか?
我々が行う調整は、企業が異なる会計規則を適用したときに生じる
そうですね、全般的に見ればやりやすくなりました。IFRSへの移行に
いくつかの特に重要な差異の影響の一部を軽減することをその目
よって財務諸表の比較可能性が向上した点は疑う余地がありませ
的としていますが、すべての企業に対して同じ「ルールブック」を採
ん。しかし、移行から3年経っても依然として、IFRSベースであるはず
用することが要求されるとすれば、我々にとっても望ましいことであ
の会計情報に企業が従来より使ってきたローカルGAAPの影響が表
ることは確かです。実際のところ、差異調整表が添付されたローカ
れるケースがあります。たとえば、スペイン企業のIFRSベースの財
ルGAAPベースの財務諸表はUS GAAPベースの財務諸表と比較し
務諸表における税金関連の注記は、ローカルGAAPによって以前よ
た時、十分であるとは言えない事情もあって、我々はUS GAAPベー
り報告されてきた形式に酷似する場合があり、IAS第12号で要求さ
スの財務諸表への差異調整表作成義務の撤廃に異議を唱えませ
れる方法で税金費用の合計を「当期」分と「繰延」分にきちんと区分
んでした。(我々が、差異調整表が作成されるだけでは十分でないと
されているのか否かを確認するのが困難になっています。また、
考える理由として、)第一に、差異調整表が純利益と資本に焦点を
キャッシュ・フロー計算書がIFRS適用前に要求されなかった国では、
当てていたのに対して、我々は、キャッシュ・フロー、有利子負債及
IAS第7号で要求されるキャッシュ・フロー計算書を作成するのに苦
び損益計算書から抜粋したEBITDA、EBIT、支払利息などの業績評
労している企業が依然として存在することにも注意を払っています。
価指標に注目しています。これらの項目は通常、差異調整項目に含
ただしこれらはレアケースといってよいでしょう。
まれていなかったため、我々がこれを利用できる範囲は限られてい
ました。第二に、差異調整表は12月決算の企業が6月30日までに提
Q. US GAAPは、IASBとFASBがコンバージェンスを実
現しようとしている領域における特定の取引や業種別
のガイダンスを提供しています。こういった個別具体的
な基準についても、コンバージェンスが進むことを期待
していますか?
出しなければならないものではないため、我々の利用目的上、あま
りにもタイミングが遅すぎるのです。
今後、IFRSの導入が進められる中で様々な困難に直面するのは間
違いありません。企業が、キャッシュ・フロー、有利子負債、EBITDA
を企業の従来のGAAPベースからIFRSベースへの差異調整を示す
ことにより、IFRSへの移行による影響を説明することは、我々の分
率直に申し上げて、より良いアプローチが何であるかは私にもよく分
析作業に大きく寄与します。先に指摘したように、依然として、IFRS
かりません。もちろん、個別具体的な基準が定められることにより会
ベースであるはずの会計情報に企業が従来より使ってきたローカル
計処理適用の首尾一貫性を確保することにつながるはずですが、
GAAPの影響が見受けられますが、このような状況はある程度続くと
会計的なアプローチから判断を排除することもまた危険です。同業
予想します。グローバルベースで強制執行権限をもつ規制当局が
種の企業による財務報告の首尾一貫性と比較可能性を強化するよ
存在しない中では、完全な規則の順守など望むべくもありませんか
うな基準のコンバージェンスには賛成です。特に、類似取引に対して
ら、いくつかの課題が依然として残るでしょう。とはいえ、すべての企
異なる会計処理が適用されるという事態が起こらない程度には十分
業が同じ会計フレームワークの下で財務報告を行うことは、方向性
に記述的な基準が作成されることを期待しています。
としては非常に歓迎すべきことです。
IFRS Outlook 2008年8月号
3
資本の特徴を有する金融商品
企業が直面している非常にデリケートな問題の1つに、企業が負債
又は資本として発行する金融商品の分類がある。現在、US GAAP
採用企業の間でIFRSへの関心が高まっている中、負債と資本の区
分に当たり、IFRSがUS GAAPとはかなり異なる考え方をとっている
ため、この問題に対する注目度が高まっている。この問題に関し、財
務会計基準審議会(FASB)及び国際会計基準審議会(IASB)は、金
融商品を分類する上で、とり得る新たな方法を模索する文書を公表
した。本稿では、これらの代替アプローチを考察するとともに、FASB
及びIASBの双方に対するアーンスト・アンド・ヤングの意見を解説す
る。
2007年11月、FASBは「資本の特徴を有する金融商品」という予備的見解を示した
文書(PV)を公表し、金融商品の負債又は資本への分類を判断する際の基準とな
る3つの異なるアプローチを検討した。2008年2月、IASBはディスカッション・ペー
パーとして同様の文書を公表し、追加して検討すべき事項に関するフィードバックを
要請した。IASBはPVで提案されている事項に関して審議していない。今後IASBは、
関係各方面からの意見を吟味した上で、金融商品の負債又は資本への分類を取り
扱うプロジェクトを検討テーマとして追加するかどうかを決定する予定である。
IAS第32号「金融商品:表示」(IAS第32号)は、発行体の視点から見て、どの金融商
品を負債として分類すべきか及び資本として分類すべきか定めているIASBの基準
書である。IAS第32号は、金融商品が現金又は他の金融資産を保有者に受け渡す
契約上の義務を含む場合、金融商品が金融負債であるという原則に基本的に基づ
いている。その一方で、FASBの現行の指針は、多数の基準と解釈で構成されてい
る。米国のこれらの基準と解釈は長期間にわたって発展してきた経緯があり、その
ため、当初及び事後測定に関して複数の異なる測定属性(すなわち、取得原価、増
価価値、本源的価値、公正価値)が用いられるという結果を生んでいる。FASBが負
債・資本プロジェクトに着手した背景にはこのような事情がある。
3つのモデル
FASBの予備的見解を示した文書(PV)は、金融商品の負債又は資本への分類を
判断するための以下の3つのアプローチを概説している。
基本的所有アプローチ (Basic ownership approach)
基本的所有アプローチ(FASBが支持するアプローチ)は、資本として分類できる金
融商品を企業に対して行使可能な最劣後の残余資産に対する請求権に限定する
単純なアプローチである。このアプローチは、基本的所有商品(basic ownership
instruments)を以下の特徴を有する金融商品として定義している。
IFRS Outlook 2008年8月号
4
►
保有者は、当該金融商品の分類について判定される日
に発行体が清算されると仮定した場合、最劣後の残余
資産に対する請求権を持っていること
►
保有者は、優先順位のより高いすべての請求権に基づ
いた支払いが行なわれた後に残る残余資産に対して比
例的な請求権を持っていること。また、利用できる資産
の額を除き、当該請求権に上限・下限はないこと。
これらの基本的所有商品の保有者は企業の所有者とみなさ
れ、他のすべての金融商品(先物契約、オプション、転換社
債など)は、金融負債又は金融資産になる。さらに、基本的
所有商品の定義を満たさない無期限金融商品(perpetual
instruments)は金融負債として分類される。
所有決済アプローチ (Ownership-settlement
approach)
これに対して、所有決済アプローチでは、金融商品のリター
ンの性質及び決済要件に基づいて、金融商品を資本又は金
融負債として分類する。約定による決済が求められない金
融商品は資本として分類される。したがって、(上記で定義さ
れた)基本的所有商品と無期限商品は資本として分類され
ることになる。又、基本的所有商品を受け渡すことでそれが
決済される場合、金融商品は資本として分類される。した
がって、先物契約、売建コール・オプション、転換社債のエク
イティ部分はすべて、資本として分類される。
しかし、金融商品の公正価値が基本的所有商品と同じ方向
へ変化することを条件として、(受け渡し以外の)他の方法で
決済が発生した場合も、この金融商品は資本として分類され
る。このような金融商品は主に、基本的所有持分に対するデ
リバティブを含むことになる。そのため、公正価値が基本的
所有商品と反対方向に変化する売建プット・オプションは、所
有決済アプローチの下では資本として分類すべきではない。
しかしながら、(「一定額に対する一定数の持分金融商品に
よる決済」要件を満たす場合)IAS第32号の下では資本とし
て分類される。逆に、IAS第32号を適用したときに金融負債と
して分類される特定の金融商品(「一定額に対する一定数の
持分金融商品による決済」要件を満たさない商品)は現在、
所有決済アプローチの下では資本として分類される可能性
がある。
期待結果再評価アプローチ (Reassessment expected
outcomes approach)
期待結果再評価(REO)アプローチは、金融商品がもたらす
帰結を予測するために一定の評価モデルを用いる必要があ
り、その後、各報告日において継続的に再評価される。所有
決済アプローチと同様に、分類は金融商品から得られるリ
ターンの性質に基づく。金融商品又は金融商品の構成部分
は、金融商品がもたらす帰結が基本的所有商品の公正価値
と正又は負の方向に連動する場合、資本として分類される。
そのため、企業の基本的所有商品の価格に基づくデリバ
ティブ(すなわち、持分性デリバティブ)は、資本として分類さ
れる。(所有決済アプローチとは異なり)売建プット・オプショ
ンも、REOアプローチの下では資本として分類される。決済
は分類に影響を及ぼさず、したがって、現金決済規定の存
在は金融商品を資本として分類する妨げにはならない。
このアプローチは、起こりうる結果が2つ以上(すなわち、資
本及び負債又は資産)であるときには、金融商品を資本部
分と資本部分以外に分離する必要がある。したがって、基本
的所有商品と関連付けられている金融商品は個別の構成
部分に分離されねばならないため、多くの金融商品が分離
の対象となることが予想される。たとえば、基本的所有商品
に関する売建コール・オプションは、資産(受領する現金)及
び資本として認識される。
非支配持分 (Non-controlling interests)
3つのアプローチ全部の下で、PVは、子会社レベルで金融商
品が資本の定義を満たすときにはいつでも、グループ内の
他の取決めが当該金融商品の内容に影響を及ぼさない限り、
当該金融商品が連結時においても資本に分類されることを
提案している。ただし、例外として、一部のプットできる金融
商品及び企業の清算時のみに債務が発生する一部の金融
商品で金融負債の定義を満たすものは、企業の個別財務諸
表では資本として分類することが求められる。この例外規定
は、グループの連結財務諸表には適用されない。
IFRS Outlook 2008年8月号
5
資本の特徴を有する金融商品
プロジェクトに対するアーンスト・アンド・ヤングの意見
アーンスト・アンド・ヤングは、金融商品の負債と資本の区分
方法を再検討するというIASBの取組みを強く支持する。しか
し、PVは、何を資本とすべきかを判断する上での理論的根
拠がどのようなものであるべきかについての総合的な見直し
を行わず、基準レベルで負債及び資本を判断するための3
つの異なるモデルを検討しているに過ぎない。アーンスト・ア
ンド・ヤングとしては、このことは重大な実務適用上の問題を
生じさせ、(現在、IAS第32号がもたらしている状況と同様に)
意図しない結果をもたらす可能性がある。したがって、まず
は概念フレームワーク・プロジェクトの該当部分を完了し、こ
れをそれぞれの金融商品を負債又は資本として分類すべき
かどうかを検討するための理論的な礎にすべきと考える。ま
た、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)が提案する「損失
吸収アプローチ(loss absorption approach)」など、より多くの
その他のモデルを検討するべきである。
アーンスト・アンド・ヤングはPVにおける提唱されている内容
は、IASBの概念フレームワーク・プロジェクトで現在模索され
ている方向性に相反する可能性があると考えている。概念フ
レームワーク・プロジェクトでは、財務報告において最も重要
な原則として、企業主体観説(entity perspective)を採用すべ
きであるという暫定的な結論を下している。しかしながら、程
度の差はあれ、PVのモデルはすべてこの概念から逸脱して
いる(たとえば、FASBが支持する「基本的所有」アプローチ
など)。基本的所有アプローチでは、残余請求権のみを資本
として報告することを主眼としているが、これは親会社主観
説(proprietary perspective)に基づく考え方である。我々はこ
れらの原則を首尾一貫して適用することが必須であると考え
続き
最後に、理論的根拠を検討する際には、IASBが金融商品の
分類だけでなく、資本又は負債として取り扱われる商品の測
定及び表示に関する規定も考慮することが必須であると考
える。金融商品の価値変動の測定及びこの変動の表示区分
も、企業の経営成績及び、財政状態に重大な影響を及ぼす。
だが、PVはこれら論点の検討には着手していない。
短期的コンバージェンス
アーンスト・アンド・ヤングは、両審議会がUS GAAPとIFRSの
コンバージェンスの実現を最重要課題として捉えているもの
と理解している。その中で、負債及び資本の分類に関するコ
ンバージェンスの優先順位は高い。しかし、本稿で我々が提
唱するような概念的なレベルから本論点を見直すアプローチ
をとり、本プロジェクトの完了を目指そうとすれば、このトピッ
クに関するコンバージェンスが大幅に遅れてしまう可能性が
ある。これを鑑み、あくまでコンバージェンスを実現するため
の短期的な解決策としてではあるが、我々はPVで提示され
た3つのモデルのうちであれば、基本的所有アプローチを暫
定的に支持する。しかしながら、同モデルがさらなる明確化
及び精緻化を要するものであることを考えると、その全面的
な支持は躊躇せざるを得ない。例えば(基本的所有アプロー
チの下ではより多くなる)資本として分類されない金融商品
の事後測定などの根本的な問題がまだ検討されておらず、
その価値変動の表示に関しても同様である。
る。
整理された概念的アプローチが必要であることのさらなる例
として、PVの適用範囲が挙げられる。PVには、(法的形式を
問わない)基本的所有権、法的形式上所有権を表象するそ
の他の商品、及び基本的所有商品により決済されるその他
の契約が含まれている。しかし、このように金融商品自体の
法的形式について言及することはグローバルな環境におい
て不適切であるというのが我々の見解である。むしろ、こうし
た法的形式に伴う特徴は、資本であるか否かを判断するた
めの基礎的概念及び基準に反映させるべきである。これに
より、国・地域によって異なる金融商品の法的形式に言及す
る必要性を排除することができる。
IFRS Outlook 2008年8月号
6
PVの3つのアプローチを評価するにあたり、我々はこれらを
IAS第32号と比較した。この結果、PVの提案は、現行のIAS
第32号の規定を大幅に改善するようなものとは思わないが、
少なくとも、FASBの現行のモデルは置き換えねばならない
ことは明らかであると考えている。
ここで、アーンスト・アンド・ヤングが提案したい当面の解決
策は、FASBが(コンバージェンスを実現するために)現在の
ままの形のIAS第32号の適用を検討するか、もしくは、現行
のIAS第32号に対し一定の改訂を行った上で、当該改訂を
IASBも取り入れるという前提で、これを米国で採用するとい
うものである。FASBが提案した3つのアプローチにはどのよ
うな不備があるのか、あるいは意図しない影響があるのか
がまだ予見できない状況にあるのとは対照的に、作成者及
び利用者の両者がIAS第32号の規定及び欠点を熟知し、そ
の影響を理解しているため、実務的な問題は少ないと考える。
こうしたアプローチをとることにより、この分野における会計
上の取扱いについてIFRSとUS GAAPのコンバージェンスが
進むのと同時に、多少なりとも財務報告制度の発展に寄与
すると思われる。また、これによって米国における性急な会
計上の手当を行う必要がなくなるため、一歩下がって、より
概念的なアプローチに基づくプロジェクトの実施が可能にな
るはずである。
上記が現実的でないならば、我々は提案された他の2つのモ
デルに優先して基本的所有アプローチを暫定的に支持する。
これは、同アプローチが相対的に単純であり、適用が容易と
考えられるためである。だが、これは、このモデルを適用す
ることに伴う認識、測定及び表示の問題について、どのよう
な解決を図っていくかということに左右されるのは上述したと
おりである。
総括
今回のプロジェクトにおいて、両審議会は、企業が属する業
種あるいは国を問わず、幅広く重要な財務報告上の影響を
及ぼすであろう分野の改善に果敢に取り組んでいるといえる。
だが、FASBとIASBが公表したPVで示されたそれぞれのアプ
ローチは、十分に理論的な根拠を具備していないと思われ、
むしろ、一連の定義又は規則の寄せ集めに頼ったものとなっ
ている。アーンスト・アンド・ヤングは、他のプロジェクトとの首
尾一貫性の確保するためには、より概念的なアプローチをと
ることが好ましく、すべての代替的なモデルの十分な分析が
欠かせないと考えている。たとえIASBが提案した「基本的所
有」アプローチが簡便性の点で魅力的であるとしても、我々
としては、現行のIAS第32号にはいくつかの欠点はあるもの
の、同アプローチがこれより優れているという主張には納得
し難い。
IFRS Outlook 2008年8月号
7
財務報告制度の発展
IASB(以下、審議会)は、2008年6月16日から20日にロンドンで会議を開催した。下の表は、議論された主な論点を整
理したものである。なお、次ページには、下の表でハイライトされた項目について、より詳細な情報及び解説が記載さ
れている。
議論されたプロジェクト
重要な論点
進捗状況
概念フレームワーク
審議会は、企業が現在の無条件債務を負っている場合、又は、
負っていない場合において、各種の法律や規制も含めて検討し暫
定的に結論を下した。審議会は、不確実性を考慮する方法を暫定
的に決定した。
ディスカッション・ペーパー
(フェーズB‐構成要素及び
認識)は2009年下半期に
公表の予定。
財務諸表の表示
審議会は、財務諸表の表示プロジェクトでは、損益外で認識される
項目に関して現行の基準の変更を求めないことを確認した。審議会
はまた、包括利益の表示、法人所得税の配分、為替差損益の表示
に関する予備的見解に達した。これらの見解はディスカッション・
ペーパーとして示される予定である。
ディスカッション・ペーパー
は2008年第3四半期に公
表の予定。
►
個別のセクションとして表示されるその他包括利益を含めた単一
の包括利益計算書を表示する
►
法人所得税は継続事業、廃止事業、その他包括利益を構成する
項目及び資本の部で直接認識される項目に配分される
►
為替差損益は、当該利得又は損失を生じさせる関連資産又は負
債と同じセクション及びカテゴリーに表示する
金融商品 :
ヘッジ会計:
ヘッジ活動の会計に関す
るFASB公開草案
審議会は、2008年6月に公表されたこの公開草案に関する教育
セッションを開催した。
金融商品:
リスクの一部分のヘッジ
に関し、IAS第39号を改
訂する公開草案
この会議で、審議会は、このIAS第39号の限定的な改訂は遡及
適用されることを確認し、これらが2009年7月1日以降に開始す
る年度に発効することを暫定的に決定した。
基準の改訂は2008年第3
四半期に公表の予定。
以前に、審議会は、リスクの一部分のヘッジに関するIAS第39号
の改訂を次に挙げるような実務上、複数の処理が存在する問題
に限定することを決定している。
1.
買建オプション全体が、オプション性を含まない金融商品
効なヘッジ手段として指定できるかどうか
2.
ヘッジ対象リスクとしてのインフレ・リスクの指定。
の有
金融商品:
もはや活発でなくなった
市場における金融商品の
評価
活発な市場が消滅した場合における金融商品の評価について議論
するために専門家諮問パネルが結成された。第1回会議は、実務
上遭遇する個別具体的な問題を識別するために6月13日に開催さ
れた。
IFRS第5号「廃止事業」:
公開草案
審議会は、廃止事業の定義について、転売を目的として買収された
子会社を含めるべく、その改訂について議論した。しかし、定義をど
の程度拡張するかについての意思決定には至らなかった。たとえ
ば、支店又はその他の類似するグループの資産も含めるべきかど
うかなどである。
公開草案は2008年第3四
半期に公表の予定。
プライベート企業のため
のIFRS
審議会は、財務諸表表示、会計方針決定のためのヒエラルキー、
金融商品、連結及び結合財務諸表に関する問題を再審議した。
最終的な基準は2009年上
半期に公表の予定。
IFRS Outlook 2008年8月号
8
議論されたプロジェクト
重要な論点
進捗状況
採掘活動に関する調査
プロジェクト
審議会は、鉱山、油田及びガス田の当初認識に関する調査を検討した。
審議会は、基本的アプローチ、認識できる資産の種類、会計単位につい
て議論したが、意思決定は下されなかった。
DPは2008年第4四半
期に公表する予定。
年次改善
IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」‐未認識資産に対する支出の分類
審議会は、結果として資産の認識をもたらす場合に限り、支出が投資
キャッシュ・フローとして分類されることの明示するため、IAS第7号を改訂
することを暫定的に決定した。
公開草案は2008年第
3四半期に公表する予
定。
IAS第36号「資産の減損」‐のれん減損の会計単位
審議会は、のれんの減損を判定する上で認められる最大の単位は、
IFRS第8号で定義される最も小さい営業セグメントであり、それはIFRS第
8号で認められている営業セグメントの合算前のものであることを明確に
するため、IAS第36号を改訂することを暫定的に決定した。
株式報酬‐IFRS第2号とIFRS第3号「企業結合」の改訂の適用範囲
審議会は、ジョイント・ベンチャーと共通支配下の取引の形成がIFRS第2
号の適用範囲外になることを明確にするために(IFRS第3号の改訂を踏
まえ)IFRS第2号を改訂することを暫定的に決定した。
IFRS Outlook 2008年8月号
9
財務報告制度の発展
概念フレームワーク‐財務諸表の構成要素:
負債の定義
続き
金融商品:もはや活発でなくなった市場におけ
る金融商品の評価
測定及び開示に関してパネルが特定した問題
は以下のとおり。
不確実性への対処
審議会は、不確実性を負債の定義又は負債の認識の基準
に含めないことを暫定的に決定した。もっと正確に言えば、
負債が存在すると判断されたら、不確実性は測定の際に考
慮する。不確実性について判断を用いる際の追加的指針に
ついては基準レベルで策定される。
このアプローチは、負債の有無を識別する上で、企業のプロ
セスに重要な影響を及ぼすことになる。現行のIAS第37号
の下では、蓋然性要件は、引当金を計上すべきか否かを判
断する上で最も大事な実務的「フィルター」である。この要件
を排除することで、負債の認識は、現在債務を生じさせてい
る過去の事象を識別することのみに基づいて行われることに
なる。企業は、個々の負債を算定するにあたり「期待キャッ
シュフロー・アプローチ」を用いる必要がある。これにより、企
業が「最も起こりうる可能性の高い」とみなす結果とは異なる
結果をもたらす可能性が生じることになる。
測定
•
評価技法の選択
•
各評価モデルの較正
•
第三者の建値の利用
•
評価モデルに対する調整
•
「観察可能な」で「重要な」インプットの意味
•
活発な市場と活発でない市場の区別
•
強制取引と清算売却
•
自分自身の信用リスクの変動の測定
開示
•
公正価値ヒエラルキーに従った開示
•
評価技法、モデルへの入力値、感応度分析及び測定値
の範囲に
•
関する開示
今後、パネルはこれらの実務上の問題について議論し、こ
れを審議会に提出する。
IFRS Outlook 2008年8月号
10
プライベート企業のためのIFRS
会計方針
審議会は、公開草案に関する問題について議論し、以下の
暫定的な意思決定を下した。
•
経営者が完全なIFRSの要求事項及び指針を検討する
ことを義務付けるのではなく、容認するにとどめることを
明確にすることで、会計方針決定のためのヒエラルキー
を再確認する
表示
金融商品
•
財政状態計算書が、流動/非流動による表示よりも信
頼性が高くかつ目的適合性の高い情報が提供される場
合には、流動性に基づく表示を行うことを義務付ける。こ
•
金融資産に「売却可能」カテゴリーを追加しない
•
実効金利法の代替的方法として、プレミアム及びディス
カウントの定額償却を認めない
•
ヘッジ会計の「ショートカット法」を認めず、債券をヘッジ
手段として認めない
•
IAS第32号、IAS第39号、IFRS第7号のすべてに準拠
れは、IFRSを採用する企業と同様である。
•
企業が損益計算書において、費用項目等を機能別分類
に基づき表示することを選択するときに、性質別分類に
基づく追加情報を開示する義務の免除を認める
•
包括利益計算書及び場合によっては持分変動計算書
するという選択肢を排除する
•
取得原価で計上されている持分証券(公正価値を信頼
をもって測定できないため)の減損損失を、当該」資産
が売却される場合に企業が受領する金額の最適見積
額(必然的に概算額になる)と資産の帳簿価額との差額
として、再定義する
•
金利スワップは、損益計算書を通じて公正価値で測定し
なければならないことを明確にする
の代わりに包括利益及び利益剰余金結合計算書の採
用を認める
•
完全なIFRSを適用する企業と同様に、営業キャッシュ・
フローについては直接法又は間接法を用いたキャッ
シュ・フロー計算書の作成を義務付ける
連結/結合財務諸表
•
一時的な支配による適用除外を追加せず、完全なIFRS
を適用する企業と同じく親会社による連結を義務付ける
•
個別の親会社財務諸表を要求しない。これらが表示さ
れた場合、完全なIFRSを適用する企業と同様に、各カ
テゴリーの投資の評価方法(原価又は公正価値)の選
択を認める
公表された新基準/解釈
基準
発効日
IFRIC第16号‐在外事業に対する純投資額のヘッジ
2008年10月1日以降に開始する事業年度
IFRIC第15号‐不動産の建設のための契約
2009年1月1日以降に開始する事業年度
IFRS Outlook 2008年8月号
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各種資料
IFRS outlook補足資料‐第7号~第10号
第7号‐財務報告の目的及び特徴に関する公開草案
本書は、IASBが公表した「財務報告の概念フレームワーク」の改善に関する最初の2つの章
の草案を要約したものである。これらの章は、一般目的財務報告の目的をどのように刷新す
べきか提案し、意思決定に役立つような情報提供を実現するための基準がどうあるべきかを
提案している。
第8号‐金融危機下の会計‐パート2
本書は、金融危機の深刻化に影響する主だった問題の多くを扱ったものであり、財務報告の
質を強化し、銀行及びその他の金融機関が行う開示の透明性を高めるために必要な関連基
準書について考察すべき論点を概説している。ここで提言されている検討すべき改善点は、
財務情報の作成、監査、使用に関与するすべての人に寄与するはずである。
第9号‐IFRIC第16号‐在外事業に対する純投資額のヘッジ
本書は、企業が在外子会社に対する純投資額にかかるリスクをいかにヘッジできるのか、そ
の方法を概説するとともに、純投資額の処分に係る為替差損益を損益にリサイクルする上で、
企業の会計方針選択の重要性を再確認するとともに、全体的なヘッジ戦略の明確化と企業が
採用する連結方法(直接連結もしくはサブ連結)との整合性の重要さを概説する。
第10号‐IFRIC第15号‐不動産建設契約
本書では、建設工事完了前の不動産販売に関する会計実務が多様化していることに対応し、
ある特定の契約がIAS第11号又はIAS第18号どちらの適用対象となるのかを判断する際に
参照すべき指針を示すとともに、特に、各取引の契約条件及びこれを取り巻く状況を考察する
ことの重要性を解説している。
Good Petroleum(International)Limited、石油会社に関するIFRS財務諸表の記載例
この新しいパブリケーションは、2008年3月31日までに施行されているIFRSに基づき、架空
の石油会社Good Petroleum(International)Limitedの2008年6月30日に終了した年度の
連結財務諸表を示したものである。当該財務諸表雛型には根拠条文に対するリンクが用意さ
れており、かつ、各種開示に関する必要な解説が加えられている。
IFRS Outlook 2008年8月号
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近日発行予定の資料
IAS第32号‐39号:概要
本書は、IAS第32号「金融商品:表示」及びIAS第39号「金融商品:認識及び測定」の概要の
第2版であり、かつ、これらの基準に対する最近の変更の影響も取り扱ったものである。また、
IFRICによる最近のアジェンダ決定内容の一部にも触れている(基準書が明確性に欠けると
思われる場合において、重要な指針を提供すると考えられるためである)。
IFRS第7号調査
本書は、銀行、保険会社、資産運用会社、事業会社向けのIFRS第7号「金融商品:開示」の強
制適用の初年度に行われる開示の分析を示すものである。また、この情報を作成し解釈する
際に伴う実務上の課題に関する事例の提示及びコメンタリーも扱っている。
IFRS対US GAAP‐ヘッジファンド
IFRS対US GAAP‐投資ファンド
本書は、ヘッジファンド業界と投資ファンド業界におけるUS GAAPとIFRSの主要な違いを要
約したものである。SECはIFRSへの移行に向けて動き始めており、これらの補足資料は、現
在US GAAPを採用しているファンドがこの移行によりどのような影響を受けるかについての有
益な洞察を示している。
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Ernst & Young ShinNihon LLC
アーンスト・アンド・ヤングについて
アーンスト・アンド・ヤングは、監査、税務、トランザクション・アドバイザリー・
サービスなどの分野における世界的なリーダーです。全世界の13万5千人の
構成員は、共通のバリュー(価値観)に基づいて、品質において徹底した責任
を果します。私どもは、クライアント、構成員、そして社会の可能性の実現に向
けて、プラスの変化をもたらすよう支援します。
詳しくは、www.ey.com にて紹介しています。
「アーンスト・アンド・ヤング」とは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのメン
バーファームで構成されるグローバル・ネットワークを指し、各メンバーファームは法的に独
立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責
任会社であり、顧客サービスは提供していません。
新日本有限責任監査法人について
新日本有限責任監査法人は、アーンスト・アンド・ヤングのメンバーファームで
す。全国に拠点を持ち、日本最大規模の人員を擁する監査法人業界のリー
ダーです。品質を最優先に、監査および保証業務をはじめ、各種財務関連ア
ドバイザリーサービスなどを提供しています。アーンスト・アンド・ヤングのグ
ローバル・ネットワークを通じて、日本を取り巻く世界経済、社会における資本
市場への信任を確保し、その機能を向上するため、可能性の実現を追求しま
す。
詳しくは、www.shinnihon.or.jp にて紹介しています。
アーンスト・アンド・ヤングの国際財務報告基準 (IFRS) グループについて
国際財務報告基準(IFRS)への移行は、財務報告における唯一最も重要な
取り組みであり、その影響は会計をはるかに超え、財務報告の方法だけでな
く、企業が下すすべての重要な判断にも及びます。私たちは、クライアントに
よりよいサービスを提供するため、世界的なリソースであるアーンスト・アンド・
ヤングの構成員とナレッジの精錬に尽力しています。さらに、さまざまな業種
別セクターでの経験、関連する主題に精通したナレッジ、そして世界中で培っ
た最先端の知見から得られる利点を提供するよう努めています。アーンスト・
アンド・ヤングはこのようにしてプラスの変化をもたらすよう支援します。
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