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大きさで決まる物質の性質と ナノ材料の不思議
第3回目 市民型講座 「大きさで決まる物質の性質と ナノ材料の不思議」 NPO科学協力学際センター 粕谷厚生 東 北 発 ! 材料の元となる原子がこの世に誕生するまで ウイルソン天文台 原子は、電子が原子核の周りを回っている状態 宇宙は膨張し続けて137億年 ハッブル 1929年 この世の始まり 水素、ヘリウムの原子核:3分46秒後(9億度) 超新星爆発により、鉄などの重い元素が誕生:38万年(3千度) 聖書 初めに、神は天地を創造された。 地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を 動いていた。 神は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。 In the beginning God created the heaven and the earth. And the earth was without form, and void; and darkness was upon the face of the deep. And the Spirit of God moved upon the face of the waters. And God said, Let there be light: and there was light. 1.光とは? 電気火花など、電気的・磁気的に変動が起きれ ば発生する 波長によって様相がまるで違う 光は波である 電磁波 眩しい 明るい 暖かい 強度 紫外線 可視光 熱線(赤外線、遠赤外線) 明るい 暗い ← 短い 500nm 長い → 波長 ←ガンマ線,X線 紫外線, 可視光, 赤外線 マイクロ波,電波→ 光の波長が短いほどエネルギー(温度)が高く,力がある 光の強度は光の量、 電圧と電流の関係 自然界で見つかっている物質の密度とサイズ サイズ(波長)で性質が決る 物質も波である 137億年 137億光年 百万年 百億年 ナノ 池内 了 長さ (cm) 第1の構造系列(最初の3分40秒:9億度) 原子核(陽子、中性子等)の固まり。強い力で結合 核力が支配する世界 殆ど水素とヘリウムの原子核 中性子星:富士山が角砂糖1個に収まる 第2の構造系列(38万年後:3千度) 原子同士が結びつく。分子、固体、化学反応 電子が原子核の周りを回って原子が出来る :電子が支配する世界 第3の構造系列 物質同士を結びつける力、宇宙、大きいと重要 重力が支配する世界 重力で核反応が始まる 超新星爆発 太陽が光っている理由:水素の核融合 物質科学の歴史(第2の構造系列) 化学の始まり 錬金術 物理学の始まり 星占い メンデレーエフ 1869年 周期表:1869反応性 周期律表 外殻(光) 内殻(X線) 周期表 クラーク数(地殻)、ユビキタス元素 O(50%), Si(20%), Al(10%), Fe(9%), Ca(4%), Na(2.5%), Mg(1%) おっしゃられて貸そうかマ H, Ti 日立 絶縁体、気体 金属 原子模型に基づく現代物質科学 原子の模型: 1913年(ボーア) 相対性理論: 1905年(アインシュタイン) 量子力学の誕生:1925年 分子化学: 1930年 (ポーリング) 中間子、素粒子: 1935年(湯川) 宇宙論、ビッグバン:1949年 固体物理:1950年 生命科学 表面物理:1970年 ナノ物質科学:1990年 粒径で色が変わる 分子や固体における電子の役割 Diameter (nm) 電子は一つの原子核の周りを回っている 電子は原子同士を結合する役割も果たす 電子は磁石を持っている 表面状態が非常に重要:化学的に活性 電子によっては原子間を渡り歩く 電気が流れる 熱を通し易くなる →金属的になる 物質が曲げ易くなる 光りを反射するようになる(鏡) 電子は波である 物質と同じ大きさの波が出来る 波の性質は波長で決まる 短いほどエネルギーが高い セレン化カドミウムCdSe のナノ粒子 1nm←直径→3nm 結晶の色 青から赤まで変わる 褐色 ナノ材料と人の集団 材料機能 → 個性と連帯意識 集団の性質は数人から数十人の顔ぶれ(個性)で決まる 材料の性質は原子の種類と物質の大きさで決まる 所定の性質を持つ材料を作るには原子を選び、 原子配列を正確に整える → これがなかなかの難問 自然界からの贈り物: 分子と結晶 無機物 分子:小さすぎる 分子の正確なナノメータの組上げは至難の業 結晶:大きすぎる ナノメータの微細精密加工も至難の業 無機物 結晶での成功例(大き目の物質、デバイス) ゲルマニュウム:トランジスター 高純度化 シリコン:IC化、絶縁膜、フラッシュメモリ、太陽電池 窒化ガリウム:青色発光ダイオード 積層化、超格子 金属人工格子:高密度ハードディスク IC、集積化 積層化、超格子 炭素系平面構造 ナノチューブ フラーレン、C60 一般の立体的化合物 シリコン金属 硫化カドミユウム 有機物 高分子:分子数(長さ)を揃えるのでさえ非常に難しい技術 化学の限界に迫る 揃えて切るにも 位置が認識できない 同配列の繰り返し 生命体 たんぱく質では、自然が見事に成功 DNAによる配列制御 原子配列が 1:1に対応 位置が認識できる 異なる配列 蛋白質の機能:配列順序が複雑なタンパク質の構造を記憶している 構造の記憶、分子認識、触媒作用、運動(ポーリング、50年前) 小さな構造変化で機能を大きく変え、情報を伝える 蛋白質1次構造 Met-Lys-Thr-Glu-Trp-Pro-Glu-Leu-… アミノ酸配列:20種類 疎水性(6) 親水性(6) プラス極性(3) マイナス極性(2) その他(3) ペプチド結合 蛋白質2次構造 His His αへリックス ターン ループ Zn Cys Cys βシート 構造を決める要因 水素結合 ファンデルワールス力 電気力(リン酸化) 金属元素 オワンクラゲ 下村脩、1960年 460nm エクウオリン セレンテラジン 27kd 緑色蛍光蛋白質(GFP) 自らは発光しない セレンテラジンからの 光で励起されて発光 460nm 508nm 光るカーネーション プロモーターとして, カリフラワーモザイクウイルス 宮城県農業センター・バイオテクノロジー開発部 光る動物 蛍の発光器の構造 筋肉の構造と運動 筋肉 筋線維 筋原線維 ATPの合成 ADPをATPに変換 細胞の構造と信号、エネルギー、物質の移動 ナノ材料纏め(私的歴史観) 物質は原子が集まって出来ている。原子の内部構造が明ら かになった次は、原子が数個から数十個集つまった集団が どのような性質示すかを調べるのが一つの方向であった しかし技術的困難および、可能性への認識の薄さがあったよう に思う 従って歴史的経緯としは既に存在する物質や直ぐに 作れる物質を対象に研究が進んだ その結果、明らかとなってきた目を見張るような現象は今や、 ナノ構造物質の性質として理解・整理できる ナノサイエンスは過去数十年間、無意識の内に着々と進んでいた とも言える 物質の材料機能は数個から数十個の原子の種類と配列状態から 出現する まだまだ無限に近い可能性が秘められている