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2章 ケーブルの設計

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2章 ケーブルの設計
ケーブル設計
2章 ケーブルの設計
2-1
導体と特徴
2-1-1
種類
導体の材料は、銅、アルミ、鋼、或は 2 種類以上の金属合金で、その断面構造も、円だけでなく、
種々の形状があり、低電力線、アース線、平衡 2 線、同軸ケーブルの導体、及び編組シールドの素
線に用いられている。 導体の種類を表 2-1-1、特徴を表 2-1-2 に示す。
表 2-1-1 導体の種類
導体の種類
軟銅線
軟銅より線
錫めっき軟銅線
錫めっき轍同より線
硬銅線
硬銅より線
錫めっき硬銅線
錫めっき硬銅より線
可とう鋼より線(複合より線)
平編銅線
硬アルミ線
硬アルミより線
表 2-1-2
導体の種類
軟鋼線
.軟銅より線
錫めっき軟銅線
錫めっき軟銅より線
硬鍋線
硬銅より線
錫めっき硬銅線
錫めっき硬銅より線
可とう銅より線(複合より
線)
平編銅線
硬アルミ線
硬アルミより線
。
備考
JlSC3102 又は JISC3103
JCS226A
J1SC3152
JCS229A
JlSC3101
JlSC3105
JlSC3151
JCS230A
JSC222A
JCSZ36B
J1SC3108
JlSC3109
導体の特徴
特長
電気抵航が一番小さく、使用頻度が多い。
繰り返しの曲げに強く、電気抵抗が小さい。
銅の腐食を防止。
鋼の腐食防止十屈曲性能向上。
抗張力を高めたもの 但し、伸び率が小さい。
曲げ特性、屈曲性能を改善。
抗張力十腐食防止
硬銅より線の性能向上十腐食防止。
軟銅より線の曲げ性能を更にグレードアップ。
主にアース線に使用。
軽量化但し、電気抵抗が銅に比較して大きい。
硬アルミ線の性能十曲げ性能あまり用いない
23
ケーブル設計
2-1-2
撚線
2-1-2-1 目 的
導 体 を 撚 目 的 は 、ケ ー ブ ル の 曲 げ 特 性 を 向 上 す る 為 に あ る 。そ の 為 、細 い 素 線 を 複
数本用いて導体にする。
2-1-2-2
構成
構 成 は 2 種 類 あ る 。 一 つ は 集 合 撚 で 、 他 は 同 心 撚 で あ る 。 (撚 方 法 : 下 図 参 照 )
集 合 よ り は 、素 線 を 一 括 し て 撚 る た め 、単 線 に 比 較 す る と ケ ー ブ ル の 曲 げ 半 径 は
向 上 す る が 、曲 げ を 繰 り 返 す と 、撚 に よ る 各 素 線 の 長 さ が 異 な る 為 、下 図 に 示 す
様 に 笑 い を 生 じ 、 最 後 に 断 線 す る 。一 方 、同 心 撚 は 、撚 り に よ る 各 素 線 の 長 さ が
等しい為、導体の笑い現象が生じる事が少ない為、繰り返し曲げに強くなる。
2-1-2-3
ピッチ
撚 り の ピ ッ チ は 細 か い と 曲 げ 性 能 は 向 上 す る 。ピ ッ チ の 目 安 と し て は 通 常 の 場 合 、
素 線 径 の 20~ 40 倍 、特 に 繰 り 返 し 屈 曲 特 性 が 要 求 さ れ る 場 合 は 、15~ 20 倍 に し 、
同心撚りにする。
2-1-2-4
素線径・本数
同 一 の 外 径 、導 体 抵 抗 を 得 る 場 合 、素 線 径 の 細 い 線 を 数 多 く し て 構 成 し た 方 が 太
い 線 で 少 な い 本 数 で 構 成 す る よ り も 、曲 げ 特 性 は 向 上 す る が コ ス ト は ア ッ フ す る 。
従って、通常は 7 本の構成である。
2-1-2-5 導 体 抵 抗
撚 線 の 導 体 抵 抗 値 は 、 単 線 で 計 算 し た も の よ り 、 大 き く な る 。 (回 路 定 数 直 流 導
体抵抗参照)
図 2-1-2-4
集合撚りと同心撚り
24
ケーブル設計
2-1-3
導体サイズ
通常使用する導体サイズを下記に示す。
表 2-1-3
種類
断面積
㎜ 2
AWG
サイズ
構 成 m/本
外径㎜
導体抵抗*
Ω /Km
0.4/1
0.4
147.5
0.5/1
0.5
94.0
0.65/1
0.65
56.8
0-9/1
O.9
29.2
1.2/1
1.2
I6.5
30
CW
0.26
863
28
Z6
0.35/1
O.42/1
0.35
O.42
200.1
130.6
24
0-51/1
0.51
88.6
ZZ
0.65/1
O.65
56.8
20
0.85/1
0.85
33.5
18
1.1/1
1.1
19.2
16
1.3/1
1.3
13.6
0.3
0.Z3/7
0.69
66.8
0.5
0.75
O.29/7
035/7
0.87
I.05
42.O
28.5
0.9
0.4/7
1.2
2I.8
1.2
0.45/7
1.35
17.Z
2.0
0.6/7
1.8
9.6Z
単線一
より線
導体サイズと導体抵抗
0.26/1
0.05
30
0.10/7
0.3
361.1
0.08
Z8
0.13/7
0.39
196.7
0.13
Z6
0.16/7
0.48
139.6
0.21
24
0.16/11
0.61
88.8
0.33
ZZ
0.16/17
0.76
57.5
0.33
22
0.26/7
0.78
52.3
0.52
20
0.18/21
0.95
36.8
0.52
20
0.26/10
O.95
36.6
0.83
18
0.18/30
1.14
22.7
1.31
16
0.26/26
14.0
14.0
2.08
14
0.26/41
1.93
8.93
3.21
12
0.32/43
2.42
5.62
5.27
10
O.40/43
3.03
3.59
6.64
9
0.45/42
3.37
2.91
注 :導 体 抵 抗 値 ケ ー ブ ル 完 時 の 軟 銅 の 値 で あ る 。錫 め っ き 軟 銅 線 の 場 合 は よ り 線 タ イ プ と 同
じであるが、単線の場合は著干大きくなる。)
^
25
ケーブル設計
2-1-4
各種金属の体積固有抵抗と表皮効果
一般にケーフルの導体及び遮蔽体は銅を用いる。又、外部の電磁界を Hoexp(jwt)とすると、金
属体中の電磁界は Hoexp(-L/δ+jwt)[L:金属の表面からの深さ、δ:表皮厚さ=105/(2π)×(ρ/f
μs)1/2
で与えられる。従って高周波になると電流は導体の表面を流れる様になる。
下記に、各種金属の体積固有抵抗及び表皮厚を示す。
表 2-1-4 各種金属の体積固有抵抗と表皮厚
材料
体積固有抵抗:
透 磁 表皮厚係数:K
ρ(Ω-m)
率
-8
Cu
1.724x10
1
2.09
A1
3.0x10-8
1
2.75
-8
Pb
21.0X10
1
7.30
Zn
6.0X10-8
1
3.90
1
5.50
Sn
-8
12.0x10
但し 表皮厚: δ=
2-1-5
K
f(KHz)
[mm]
導体の各種特性及び外径・重量計算
2-1-5-1
許容電流
ケーブルの最大許容電流は周囲の温度、ケーブルの耐熱性能によって異なる。
簡略的には、
下記の方程式より算出する。
許容電流[A]=3X 導体の断面積(㎜ 2)
2-1-5-2
抗張力
銅導体の抗張力 F は下記方程式による。
F[Kg]=7X 導体の断面積(㎜ 2)
2-1-5-3
電圧降下
導体に直流電流を流すと、先端電圧は降下する。従って、終端電圧 Vout(V)は、入力電圧を Vin(V)
とすると
Vout=Vin 一電流(A)x 単位長当りの抵抗(Ω/Km・1∞p)x 長さ(Km)
26
ケーブル設計
2-1-5-4
外径・重量
素線本数
外径 D
(mm)
重量
(Kg/m)
d2×導体総本数×πρ/4×1.015
1の時
d
7の時
3d
7×d2×導体総本数×πρ/4×1.035
8以上
1.155d
素 線 総 本数 ×d 2 × 導体 総 本数 × πρ /4 ×
1.035
但し
2-2
ρは密度(g/cm3)
:Cu 8.89
Al 2.27 d;素線径(mm)
POF の構造と種類
2-2-1.POF の構造及び使用材料と各種特性
POF の一般構造は、コア及びクラドから構成され、クラドの厚さは他の光ファイバに比較して薄
く、数μ~数十μである。
表 2-2-1-1:POF のコア及びクラッドの材料及び屈折率
表 2-2-1-2:各社で上市している代表的な POF の N.A. 開口角(Acceptance angle)
表 2-2-1-3:コア材質と特長を示す。
表 2-2-1-1 コア、クラッド材料と屈折率(1995 年度)
コア材
クラッド材
PMMA
1.49
PTFE
1.35- 1.38
Po1ycarbonate
1.59
PVF
1.42
Po1ystyrene
1.59-1.592
Po1y(3FMA)
1.4146
Po1ydi ㎜ ethy1si1oxane
1.40
Po1y(4FMA)
1.4215
CR39
1.50
Po1y(5FMA)
1.3920
Po1y(8FMA)
1.3928
Po1y(17FMA)
1.3732
27
ケーブル設計
表 2-2-1-2 各社の POF と N.A.及び受光角(1995 年度版 各社カタログより)
型式
N.A
受光角
用途
製造会社
Eska
CK
0.50
60
一般用
二菱レイヨン(株)
Eska
SK
0.50
60
工業用
〃
Eska
EK
0.47
56
伝送用
〃
Eska
DK
0.54
65.4
耐熱用
〃
Eska
FK
0.75
97.2
〃
〃
Eska
PK
0.9〕
128.4
〃
〃
Eska
GK
0.50
60
伝送用
〃
PG
series
0.50
60
一般
東レ(株)
PF
series
0.46
55
伝送用
〃
Luminous-D
0.50
60
一般用
旭化成(株)
Luminous-F
0.50
60
耐熱用
〃
Luminous-T
0.485
58
伝送用
〃
Luminous-H
0.78
100
耐熱用
〃
表 2-2-1-3 POF のコア材料と特長(1995 年度版 各社カタログより)
コア材
Deuti1ated PMMA
長
所
伝送損失が小さい。
短
所
湿度に敏感である。
高価である。
Po1ystyrene
放射線特牲に優れている。
折れやすい。
伝送特性が良くない。
Po1ycarbonate
耐熱性に優れている。
伝送特性が良くない
ヲ融湿性
CR39
耐熱性に優れている。
伝送特性が良くない。
非吸湿性。
Cross1inked PPMMA
耐熱性に優れている。
伝送特性が良くない。
Po1ysi1ox ㎝ e
耐熱性に優れている。
破損し易い。
柔軟である。
PMMA
安価である
溶剤に敏感である。
柔軟である
28
ケーブル設計
2-2-2.POF の種類
POF の種類を下記に示す。
表 2-2-2-1 POF の種類(1995 年度版 各社カタログより)
用途
備
考
一般・工業用
表 2-2-2 参照
テータ伝送用
表 2-2-2 参照
耐熱用
表 2-2-2 参照
特殊用途
表 2-2-2 参照
会社名
表 2-2-2-2-1 一般・工業用 POF(1995 年度版 各社カタログより)
ファイバ
名称
型 名
ファイバ径
コア径
の種類
(μm)
(μm)
三 菱 レ イ ヨ 一般用
ン(株)
旭化成(株)
Eska
工業用
Super Eska
一般用
Luminous
D grade
工業用
Luminous
F grade
CK-4
CK-5
CK-10
CK-Z0
CK-30
Ck-40
CK-60
Ck-60
CK-100
CK-120
SK-10
Sk-20
Sk-30
SK-40
SK-60
SK-80
DB-125
DB-250
DB-500
DB-750
DB-1000
DB-1500
DB-2000
DB-3000
FB-250
FB-500
FB-7EO
FB-1000
100
125
250
500
750
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
250
500
750
1,000
1,500
2,000
125
250
500
750
1,000
1,500
2,000
3,000
250
500
750
1,000
90
115
240
486
735
960
1,470
1,958
2,448
2,944
240
486
735
960
1,470
1,958
巻 き
/Spoo1
(m)
長
50,000
32,000
12,000
6,000
2,700
1,500
700
250
250
150
8,000
6,000
2,700
1,500
700
250
10,000
10,000
6,000
3,000
1,500
750
250
150
10,000
6,000
3,000
1,500
29
ケーブル設計
表 2-2-2-2-2 一般・工業用 POF(続き) (1995 年度版 各社カタログより)
会社名
ファイバ
名称
型
名
の種類
東レ(株)
U
R
S
grade
Rayte1a
grade
grade
ファイバ径
コア径
(μ㎜
(μm
)
巻き長/Sp∞1
)
(m )
PGu-FB500
500
6,㎜
PGU-FB750
750
2,700
PGU-FB1α:D
1,000
5,250/1500
P000 一 FB1500 1,500
700
Rayte1a
PGR-FB125
125
32,000
PG
PGR-FB250
250
12,000
PGR-FB400
400
6,000
PGR-FB500
500
6,000
PGR-FB750
750
9,000/2,700
PGR-FB1000
1,000
5,250/1,500
PGR-FB1500
1,500
700
PGR-FB20C0
2,000
350
PGR-FB3CC0
3,000
150
Rayte1a
PGS-FB250
250
12,000
PF
PGS-FB265
265
12,000
PFS-FB250
250
12,000
series
series
表 2-2-2-3 データ伝送用 POF(1995 年度版 各社カタログより)
会社名
三菱レイヨン(株)
ファイバ
EK
ファイバ長
径
失
/SPoo1
(μm)
(dB/m)
(m)
跳 20
0.5
EK30
0.75
EK40
1.0
GK20
0.5
GK30
O.75
GK40
1.0
Rayte1a
PFU-FB500
0.5
0.18
6,000
PF
PFU-FB750
0.75
0.18
2,700
Series
PFU-FB1000
1.0
0.15
5,250&1,500
PFU-FB1500
1.5
0.18
700
Series
Eska
GK
Series
東レ(株)
伝送損
名称
の種類
Eska
ファイバ
コア材
料
PMMA
PMMA
PMMA
30
ケーブル設計
旭イ賊(株)
PMMA
Rayte1a
PGU-FB500
0.5
0.18
6,000
PG
PGU-FE750
0.75
0.18
2,700
Series
PGU-FE1α:0
1.0
0.15
5,250&1,500
PGU-FB1500
1.5
0.18
700
Luminous
TB500
0.5
6,000
T
TB750
0,75
3,000
Series
丁趾α:O
1.0
1,500
PMMA
表 2-2-2-4 耐熱用 POF(1995 年度版 各社カタログより)
商品名
製造社名
コア材質
徽
(℃
Eska-DH
series
三菱レイヨン(株)
PMMA
115
Eska-FH
series
〃
PC
125
Eska-PH
series
〃
PC
135
PHKS 東レ(株)
PMMA
1I5
PH25 〃
PMMA co-polymer
125
PC
125
Rayte1a
)
series
Rayte1a
series
Luminous
HC 旭化成(株)
series
表 2-2-2-5 特殊タイプ POF(1995 年度版 各社カタログより)
ファイバの種類
コア材料
備
考
シートファイバ
PMMA
シートファイバの表面を荒らして、表面から露光
してある範囲を照明する。主にバックパネル等の
照明に使用。
大口径ファイバ
Si1icone
建造物の角や鋭角部分に酉磯する時に使用する。
柔軟性がある。
耐熱ファイバ
Po1ycarbonate
自動車の床下配線、交通標識、センサー等
高温度になる場所に使用される。
紫外線ファイバ
Po1ystyrene
紫外線をファイバの一端より入射して、他端より
出射する採光照明として使用する。主に装飾用
31
ケーブル設計
2-2-3 取扱注意事項
POF を用いて設計・敷設する際、下記の点に注意しなければならない。
(1)POF は樹脂で構成されているので、下記の理由により温度及び機械条件は仕様書に
記載された値以下で用いること。特に、85℃の高温下に置かれ、何等かの力が加わる
と、コア、クラッド間の境界面の形状が歪み、損傷を受けて伝送損失が増加する。あ
るいは、許容張力以上の力が加わると、POF が伸びて、伝送損失の増加につながる。
(2)ケーブル加工時、延線時、あるいは使用時に POF に許容値以上の捻り、張力、曲げ
を加えないこと。伝送損失の増加があることはもちろんのこと、POF が破損すること
もある。特に、長時間の振動と許容値以上の曲げによって、コネクタ部分のケーブル
部が損傷を受ける。
(3)有機溶剤に触れさせないこと。直接、有機溶剤に触れなくても、大気中に含まれる
揮発性の物質や、PVC 樹脂に含まれる可塑材の移行、接着材中の揮発成分によって伝
送損失が増加したり、POF が損傷したりすることがある。従って、敷設時、延線時に
は下記に示す対策を行うこと。
1. POF ケーブルには一般の PVC や有機溶剤に接触させない事。
2. 外気に塗料や有機溶剤が含まれている恐れが有る場合、管路や PE 等のチュープ内
に敷設する事。
3. POF の端面は直接外気に触れないよう防湿構造のコネクタを用いる事。
(4)POF は水分を含むと伝送損失は増加するが、POF 中の水分が無くなると再度伝送損失
は元の値に復元する。しかし、空気中の水分等によって、伝送損失は暫時増加する。
又、水分による伝送損失の変動は、受光量が変動することになり、システム設計時に、
考慮する必要がある。特に、システムマージンが少ない時には、POF を湿気に曝され
ない様に、すること。
2-2-4
伝送損失
代表的な POF の伝送損失特性を下記に示す。
図
2-2-4 一般用 POF ケーブルの伝送損失特性(1995 年度版 三菱レイヨン資料)
32
ケーブル設計
2-2-5
POF の曲げ損失
POF は種々の条件により、伝送損失がする。増加の割合は、使用条件、POF の種類等によって異
なる。下記に代表的な損失変動要因の曲げ損失特性について示す。
図 2-2-4-1 POF の静置屈曲特性(1995 年度版 三菱レイヨン資料)
図 2-2-4-2
繰り返し屈曲特性(1995 年度版 三菱レイヨン資料)
33
ケーブル設計
2-2-5
POF の張力・伸び特性・重量
2-2-5-1.張力・伸び特性
ケープルを敷設時、ケープル加工時、POF の張力・伸び特性を考慮して作業する必要がある。
下記に POF の張力・伸び特性を示す。尚、POF の許容引っ張り強度は降伏点の 95%以下である。
図 2-2-5-1-1 POF の張力・伸び特性(1995 年度版 三菱レイヨン資料)
図 2-2-5-1-2
2-2-5-2
POF コアの張力・伸び特性(1995 年度版 三菱レイヨン資料)
POF の単位重量
POF コアの単位重量は、POF 種類によって若干異なるが、下記による。
POF コアの単位重量[g/m]=[POF の外径(m)]2
従って POF コアの単位重量 Wc は
Wc[g/m]=POF コアの重量十πρ X 被覆厚(㎜) X [POF の外径(㎜)十被覆厚(㎜)]
但し ρ :POF の被覆した樹脂の密度 (g/㎝ 3)
πρ
= 2.9 一一一一 PE
4.4 一一一一 PVC
34
ケーブル設計
2-3
絶縁・被覆
2-3-1 導体の絶縁・被覆厚
導体上の絶縁厚は下記に示す手順による。
表 2-3-1 被覆厚の算出手順
要求される環境条件から
絶縁材料を選定する
電気特性・被
覆厚に条件
がある。
電気特性として耐
電圧・絶縁抵抗の条
件がある
伝搬定数の条件
はあるか
Yes
Yes
既存の被覆
安全率2倍以上に
なるように絶縁厚
を決める
Yes
条 件に合 うよう に 回
路定数を計算
配列計算
(撚合・配列表参照)
ケーブル仕上
り径の計算
No
条件に合
致するか
Yes
再検討
決定
35
ケーブル設計
絶縁材料の種類・選択方法
通常の絶縁被覆材料の体積固有抵抗は極めて高いので、どんな種類の材料を選択してもよいが加
工性が良く、材料コストが低い、PE、PVC が使用される。しかし、場合によってはフッソ樹脂や
ゴム、ナイロン、あるいはウレタン樹脂等が使用される。
表 2-3-2 絶縁材料と特性
絶縁材料
耐熱温度
誘電率
℃
誘電正接 耐電圧
固有抵
×103
杭
KV/㎜
備
考
Ω-C
m
高密度PE -40~85
低密度 PE
2.25~2.35
0-4~0-5 約 23
1017
-60~75
低コスト防水・防湿特牲良
好
化学的に安定
耐熱 PVC
-35~75
5~9
80~100
20~30
1013
低コスト吸湿性
一 般 用
~60
可塑材・着色材含有一般
PVC 機 器
~1C5
PVC は POF に不可、専用の
内 PVC
PVC 使用のこと
FEP
-80~200
ナイロン
-40~105
2-3-3
2.25
0.4
10-7
耐薬品・耐摩耗・耐熱
耐薬品・耐熱・耐油性
識別方法
回線数が多くなると、回線相互を識別する必要がある。その方法を下記に示す。
(1)
絶縁被覆の色を変える。(例:赤、黄、緑、青、白、黒を用いる。)
(通常、電源心のプラス電極は赤、マイナス電極は白又は黒にする)
(2)
絶縁被覆材料の上に、数字やマークを長さ方向に周期的に印刷する。(PE 被覆の印刷は出
来ない。)
(3)
絶縁被覆材料表面の一部の色をスパイラル状にする。
(4)
特に本数が多い場合は、下記に示す方法で識別する。
(a) ユニットにまとめ、ユニットを識別するため、ユニットに着色した粗巻テープを巻
いき、更にユニット内を識別する。
(b)ケーブルの配列を層状にし、各層毎に基準回線を設けて各回線を識別する。
36
ケーブル設計
2-3-4
絶縁・被覆材料と特長
主な絶縁・被覆材料の特長を表 2-3-4 に示す。
表 2-3-4
材料名
絶縁・被覆材料の特長
特長
PE (架橋 PE。 加工性は良好で、低コスト
発泡 PE)
化学的に極めて安定。その為、PE に接着する材料はない。又、空気中の水分の吸
収が少なく耐吸湿性は良好
一般絶縁用としては、高速加工性と耐熱特性等を考慮して高密度 PE を使用する。
又、誘電率が小さく誘電体力率も小さく、体積固有抵抗が大きい為、絶縁材料と
して優れている。
市販の PE にはコポリマーとホモポリマーがあり、絶縁用にはMIが.0.2 程度の
酢酸ビ二一ルを含有していないホモポリマーを使用する。
又、静電容量を小さくする為の発泡 PE や耐熱性能向上の為の架橋 PE を絶縁材料
として使用する。
PVC
低コストで、加工性は良好
一部の溶剤に溶ける為、導体上に押出加工した後、融着工法で接着し、並列多心
ケーブルを製造するのに用いる。
空気中の水分を吸収し、PVC に混入している可塑剤が移行することがある。
電気的性能は PE に比較すると艮くないが、難燃性があり柔軟であることから広く
使用さる。特に、電気的性能の厳しくない電源沁の被覆材として使用される。
ナイロン
耐曲性能を向上するために使用。絶縁厚は 0.2~0.3 ㎜程度。それ以上にすると加
工時に樹脂がたれ、加工できない。
塩素化 PE
PE の性質に難燃性を伽口した塩素化 PE は PE と電気的、化学的性能ほぼ同じであ
るが材料コストが高くなる。
ウレタン
耐熱特性(~150℃)、化学特性が良好。
PE,PVC に比較すると押出温度カ塙く、やや加工が困難で揮脂の価格も高い。
ゴ
ム シリコンゴム、プチルゴム等は押出後、硫化する必要があるため、最近ではあま
り使用されない
FEP
一 80~200℃
極めて熱安定性能良好で電気特性も良い、
しかし、非常に硬い樹脂の為、絶縁厚は 0.2mm 程度で押出加工性能は悪い
TFE
250~一 80℃
加工性は艮くなく、コストは高いため特殊用途以外には使用されない
フツ化
~150℃
ビ ニ リ デ ン 機器内配線ケーブルに使用される
P.P
~100℃
押出加工性は良好
PE より硬いため余り使用されない。
37
ケーブル設計
2-3-5 外径・重量計算
絶縁被覆外径 D2(mm)、重量 W2(g/m)は
D2 = 絶縁被覆前の外径:d(m)十 2X 絶縁被覆厚:t(㎜)
W2 = πx 材料密度:ρ(g㎝ 3)xtx(d+t)x 総心線本数 x1.015:ケーブルの撚込み係数
但し、πρ
2-4
材料名
πρ
PE
2.9
PVC
4.4
ナイロン
3.5
塩素化 PE
4.1
POF コアの種類
POF コアの種類を下記に示す
表 2-4-1-1 POF コアの構造
POF コアの構造
備
考
1 心タイプ
表 2-4-1-2 参照
2 心並列タイプ
表 2-4-1-3 参照
補強材入りタイプ(1 尤型)
表 2-4-1-4 参照
補強材入りタイプ(2 尤型)
表 2-4-1-4 参照
特殊タイプ(バンドル)
表 2-4-1-5 参照
特殊タイプ(並列型)
表 2-4-1-6 参照
38
ケーブル設計
表 2-4-1-2 1 心タイプ POF コア(1995 年度版 各社カタログより)
会社名
種類
型名
被覆
フアイ
バ径
材料
外径(mm)
張力
備考
(K9)
(UL No)
(㎜)
菱レイヨ
Super
SH1001-1.0
0.25
PE(黒)
1.0±0.07
0.7
ン(株)
Eska
SH2001
0.25
PE(黒)
0.95±0.07
2
SH2001-1.5
0.5
PE(黒)
1.5±0.C7
3
SH2001-WM
0.5
PE(黒)
2.2±0.07
3
SH3001
0.75
PE(黒)
2.2±0.07
6
SH4001
1.0
PE(黒)
2.2±0.07
9
SH6001
1.5
PE(黒)
3.0±0.15
16
SH8001
2.0
PE(黒)
3.0±0.15
29
SHV4001
1.0
PVC(灰)
2.2±0.C7
7
No.5235
SHV4001-BL
1.0
PVC(黒)
2.2±0.07
7
No.5235
SHCP2001
0.5
PVC(黒)
1.5±0.07
3
No.5310
SHCP3001
0.75
CPE(黒)
2.2±0.07
6
No.5310
SHCP4001
1.0
CPE(黒)
2.2±0.07
9
No.5310
Eska
EH2001
0.5
PE(黒)
1.0±0.07
2
Extra
EH2001-1.5
0.5
PE(黒)
1.5±0.07
3
EH3001
0.75
PE(黒)
2.2±0.07
6
EH4001
1.0
PE(黒)
2.2±0.07
9
EHV3001
0.75
PVC(灰)
2.2±0.07
5
No.5Z37
EHV4001
1.0
PVC(灰)
2.2±0.07
7
No.5237
EHV4001-BL
1.0
PVC(灰)
2.2±0.07
7
No.5237
EHCP4001
1.0
CPE(黒)
2.2±0.07
9
No.5310
Eska
GH2001
0.5
PE(黒)
1.0±0.C5
2
Premier
GH3001
0.75
PE(黒)
2.2±0.07
6
GH4001
1.0
PE(黒)
Z.2±0.07
9
GHV3001
0.75
PVC(灰)
2.2±0.07
6
No5237
GHV4001
1.0
PVC(灰)
2.2±0.07
9
No5237
GHUV3001
0.75
Co-PVC(黒)
2.2±0.07
6
No5301
GHUV4001
1.0
Co-PVC(黒)
2.2±0.07
9
No5301
GHCP4001
1.0
CPE(黒)
2.2±0.07
9
No5310
115℃
DH2001
0-5
XPE(黒)
1.0±0.07
4
Type
DH3001
0.75
XPE(黒)
2.2±0.07
11
DH4001
1.0
XPE(黒)
2.2±0.07
14
三菱レイ
125℃
FH2001
0.5
XPE(黒)
1.0±0.07
4
ヨン(株)
Type
FH3001
0.75
XPE(黒)
2.2±0-07
11
FH4CO1
1.0
XPE(黒)
2.2±0.07
14
FH4001-TM
1.0
ETM(黒)
2.2±0.07
9
135℃
㎜ 2001
0.5
ETM(黒)
1.0±0.07
Z
Type
PH3001
0.75
ETM(黒)
2.2±0.07
6
39
ケーブル設計
F
Grade
FCE Grade (100℃)
HC
東レ(株)
U
S
Grade (125℃)
grade
Grade
PH4001
1.0
ETM(黒)
2.2±O.07
TC-750
0.75
PE(黒)
1.80
TC-750-1.5
0.75
PE(黒)
2.20
TC-1000
1.0
PE(黒)
2.20
TCV-1000
1.0
PE(黒)
2.20
UL (VW-1)
TCU-500
0.5
PE(黒)
1.50
UL (VW-1)
TCU-1000
1.0
PE(黒)
2.20
UL (VW-1)
FC-500
0-5
PE(黒)
1.00
FC-500-1.5
0.5
PE(黒)
1.50
FC-750
0.75
PE(黒)
1.80
FC-750-22
0.75
PE(黒)
2.20
FC-1000
1.0
PE(黒)
2.20
FCV-1000-SF
1.0
PE(黒)
2.Z0
FCE-1000-SF
1.0
PE(黒)
4.00
HC-1000
1.0
PE(黒)
2.2
PFU 一 CD1001-22-E
1.0
PE(黒)
2.2
PFU-CD751-18-E
0-7 ら
PE(黒)
1.8
PFu-CD751-22-E
0-75
PE(黒)
2.2
PFU-CD501-10-E
0-5
PE(黒)
1.0
PFU-CD501-15-E
0-5
PE(黒)
1.5
PFU-UD1001-22-V
1.0
PVC
2.2
UL(VW-1)
PFU-UD1001-22-E
1.0
PE(黒)
2.2
UL (W-1)
PGU-CD1001-22-E
1.0
PE(黒)
2.2
PGU-CD751-18-E
0.75
PE(黒)
1.8
PGU-CD-CD751-22-E
0.75
PE(黒)
2.2
PGU-CD-501-10-E
0-5
PE(黒)
1.0
PGU-CD-501-15-E
0.5
PE(黒)
1.5
PGS-CD1001-22-E
1.0
PE(黒)
2.2
PGS-CD501-10-E
0.5
PE(黒)
1.0
115℃
Type
PHK-CD1001-22-P
1.0
PE(黒)
2.2
125℃
Type
PH25-CD1001-22-P
1.0
PE(黒)
2.2
9
Soft
PVC
PE:ポリエチレン
PVC:塩化ビニール CPE:塩素化ポリエチレン
XPE:架橋ポリエチレン ETM:ポリオレフィン樹脂
40
ケーブル設計
図・表
会社名
2-4-1-3
種類
(株)
Supper Eska
(工業用)
Eska Extra
(一般用)
Eska premier
2心並列タイプ POF コア(1995 年度版 各社カタログより)
型名
SH2002-2.0
SH2002-3.0
SH3002
SH4002
SH6002
SHV2002
SHV3002
SHV4002
SHV4002-BL
SHCP4002
EH3002
EH4002
EHV2002
EHV3002
EHV4002-BL
EHCP4002
GH3002
GH4002
GHV3002
GHV4002
GHUV3002
GHUV4002
GHCP4002
被覆
ファイバ径
(mm)
材料
外径(mm)
0.5
PE(黒)
1.0×2.0
0.5
PE(黒)
1.5×3.0
0.75
PE(黒)
2.2×4.3
1
PE(黒)
2.2×4.3
1.5
PE標)
3.0×6.0
0.5
PVC(灰)
1.0×2.O
0.75
PVC(灰)
2.2×4.3
1
PVC(灰)
2.2×4.3
1
PVC懐)
2.2×4.3
1.O
CPE(黒)
2.2×4.3
0.75
PE懐)
2.2×4.4
1
PE(黒)
2.2×4.4
0.5
PVC(灰)
1.5×3.0
0.75
PVC(灰)
2.2×4.4
1
円C倶)
2.2×4.3
1
CPE犠)
2.2×4.4
0.75
PE(票。
2.2×4.4
1
PE倶)
2.2×4.4
0.75
PVC(灰)
2.2×4.3
1
PVC(灰)
2.2×4.3
0.75 Co-PVC(黒)
2.2×4.4
1 Co-PVC(黒)
2.2×4.4
1
CPE(黒)
2.2×4.4
張力
(kg)
4
5
10
14
30
4
10
14
14
14
10
14
4
10
14
14
10
14
10
14
10
14
aa
備考
No5236
No5236
No5236
No 5310
No5238
No5238
No5238
No 5310
No5238
No5238
No5301
No5301
41
ケーブル設計
被覆
ファイパ径
(mm)
材料
外径(mm)
Tc-500w
0.75
PE(黒)
1.50×3.∞
T Grade TC-750W
0.75
PE(黒)
1.80×3.55
一般用 TC-1000W
1
PE(黒)
2.20×4.35
TCV-1000W
1
PVC(灰)
2.20×4.35
TCU-500W
0.5
PE(黒)
1.50×3,∞
TCU-1000W
1
PE(黒)
2.20×4.35
F Grade FC-500W
0.5
PE(黒)
1.50×3.∞
工業用 FC-750W
0.75
PE(黒)
1.m×3.55
FC-1000W
1
PE(黒)
2.20×4.35
FCV-1000W
1
PVC
2.20×4.35
PFU-CD1002-22-E 1
PE(黒)
2.2×4.4
U Grade PFU--CD752-18-E 0.75
PE(黒)
1.8×3.6
PFU-CD502-22-E
0.75
PE(黒)
2.2×4.4
PFU-CD502-10-E 0.5
PE(黒)
1.0×2.0
PFU-CD502-15-E
0.5
PE(黒)
1.5×3.0
PFU-UD1∞2-22-V 1
PVC
2.2×4.4
PFU一ml∞2-22-E
1
PE(黒)
2.2×4.4
PGU-CDl∞2-22-E 1
PE(黒)
2.2×4.4
PGU-CD752-18-E
0.75
PE(黒)
1.8×3.6
PGU-CD-752-22-E 0.75
PE(黒)
2.2×4.4
PGU-CD502-10-E
0.5
PE(黒)
1.0×2.O
PGlU--CD502-15-E 0.5
PE(票。
1.5×3.0
S Grade PGS-CD1002-22-E 1.O
PE(黒)
2.2×4.4
PGS-CD-502-10-E 0.5
PE(黒)
2.2×4.4
種類
旭化成、(株)
東レ(株)
図・表
会社名
2-4-1-4
種類
三菱レイヨン Super
(株)
Eska
Eska
Extra
Eska
premler
旭化成
T Grade
(株)
東レ(株)
型名
張力
(kg)
備考
UL(W-1)
UL(W-1)
UL(W-l)
Soft PVC
UL(W-1)
UL(W-1)
補強材入りタイプ POF コア(1心型)(1995 年度版 各社カタログより)
型名
VST4001
VST4001-OR
EHST3001-YR
EHTT4001
GHTT4001
TC-1000-50
TC-1000-50K
TC-1000-50UR
PFU-CL1001U Grade 22E50VT
PGS-CL1001-22E50V
PGS-VL1001-22E50V
ファイバ
径(mm)
1
1
0.75
1
1
1
1
1
1
1
1
材料
PE(黒)
PE(黒)
PE(黒)
PE(黒)
PE(黒)
被覆
外径(皿)
2.2±0.07
2.2±0.07
1.5±0.U7
2.2±0.07
2.2±0.07
外被
材料
PVC(灰
PVC(橙)
PVC(紫
PVC(灰
PVC(灰
PE
PE
PE
PE
PVC
PVC
PUR
PVC
PE
Soft
張力
外径(mm) (kg)
5.0±0.2 25
5.0±0.2 25
2.6±0.1 20
5.0土0.2 25
5.0±0.2 25
5.0
5.0
5.0
5.0
5.0
5.0
42
ケーブル設計
図・表
会社名
三菱レイヨン(株)
東レ(株)
旭化成(株)
2-4-1-5 特殊タイプ POF コア(バンドル型)構造図
(1995 年度版 各社カタログより)
種類
型
名
Super Eska SH1007
SH1016
SH1032
SH1048
SH1064
SH2010
SH2064
115℃Type DH1042
S Grade PGS-LG2E54E10
PGS-LG2E5-8E13
PGS-LG28546E22
PGS-LG2回一32E28
PGS-凶2E5-48E30
PGS-LG265-64E33
D Grade DC-285×16
アァイバー
径(mm)×本
0.5×7
0.265×16
0.2E5×32
0.265×48
0.265×64
0.5×10
0.5×64
0.265×42
0.5×4
0.265×8
0.265×16
0.265×32
0.265×48
0.265×64
0.265×16
被
材料
PE(黒)
PE(黒)
PE(黒)
PE(黒)
PE(黒)
PE(黒)
PE(黒)
XPE(黒)
PE(黒)
PE(黒)
PE(黒)
PE(黒)
PE(黒)
PE(黒)
PE (黒)
覆
外径(m)
1.2±0.07
2.2±0.U7
2.8土0.1
3.0±0.1
3.3±0.1
2.7±0.1
6.7±0.2
3.3±0.1
1.0
1.3
2.2
2.8
3.0
3.3
2.28(平均)
張力
(kg)
3
10
20
27
36
20
120
30
備考
PE:ポリエチレン
XPE:架橋ポリエチレン
43
ケーブル設計
図・表
2-4-1-6
会社名
特殊タイプ POF コア(並列型)
(1995 年度版 各社カタログより)
種類
型名
ファイ
バー
径(mm)
三菱レイヨン Super Eska SHV4005 1.0×5
(株)
SHUV4005 1.0×5
Eska Extra EHV4005 1.0×5
EHUV4005 1.0×5
105℃ Type DHV2005 0.5×5
2-5
被覆
材料
PVC(灰)
coPVC(黒)
PVC(灰)
coPVC(灰)
coPVC(灰)
長径
(mm)
短径(mm)
2.2土
11±
0.07
0.25
2.2土
11±
0.07
0.25
2.2土
11±
0.07
0.25
2.2土
11±
0.07
0.25
1.5±
7.5±
0.05
0.25
張力
備考
(kg)
35
35
35
35
11
対撚・3 コ撚・4 コ撚
2-5-1 目的・構造
2-5-1-1 目的
平衝 2 線、同軸ケーブル(POF は対象外)を対撚(一 2 コ撚)・3 コ撚・4 コ撚(カッド撚)をする目的
は
(1) 相互の心線をバラバラにならない様にする。
(2) ケーブルの曲げ性能を向上させる。
(3) 外部の電磁界による誘導雑音電圧の低減を計る。(平衡2線)
2-5-1-2
構造
対撚(2 コ撚)・3 コ撚・4 コ撚(カッド撚)の構造を図 2-5-1 に示す
図 2-5-1
対撚・3 コ撚・4 コ撚の構造
44
ケーブル設計
2-5-2
撚ピッチの選択
撚ピッチを短くすると、ケーブル回線の誘導雑音電圧の低減やケープルの柔軟特性に効果がある、
しかし、むやみに短くすると、実効長が長くなり、導体抵抗や伝送損失が増大し、コストアップ
の原因になる、従って通常はコア外径の 30~100 倍程度にする。 特に、ケープル撚りピッチを
短くした場合でも、コア外径の 7 倍以上にすること。
2-5-2-1 通信線に発生する誘導電圧
通信線は、通信線の外部に存在する電磁界によって、誘導電圧が誘起する。平衝 2 線でも例外
なく、外部の電磁界やケープル内の信号線・電源芯によって相互に影響をされ、誘導電圧が発
生する。しかし、平衡回線の 2 線の誘導電圧が等しい場合、2 線間の誘超電圧は零になる。そ
のため2線の状態を等しくする為、2線を撚る。
2-5-2-2 ケープルの外部からの誘導
2 線閻の誘導電圧がアンバランスになる原囲は、大地(遮蔽)と 2 線の相互の位置が異なるため
に生じる。従って、常に平衡 2 線の位置を大地に対して同一条件にすれるように、2線相互
を撚る。 撚の効果は、撚らない場合に比較すると 1/100 程度まで誘起電圧が軽減される。
2-5-2-3 ケーブル内の回線相互の影響
ケーブル内にでも(1)項と同様である。ケーブル内の電源心の撚ピッチと電源芯近傍にある
信号線が同一の撚ピッチ又は整数借の撚ピッチで撚られていると、信号線は電源心と常に(又は
周期的に)平行となり、誘導電圧が溌生する。従って、ケープル内の電源心、信号線の撚ピッチ
は同一ピッチや、整数倍のピッチを避けること。回線数が多く、ピッチが多数採用出来ない時
は、間題になる回線相互の間隔をできるだけ離すか、ユニット配列を採用し、ユニットの撚り
ピッチを変え、ユニット内の回線のピッチを変える等の工夫が必要である。特に、高周波伝送
や、デジタル伝送をする場合は注意すること。
2-5-3
静電結合
導体ケーブルの場合、通常は 2 本のコアを撚って対に構成する場含が多い。しかし、収容率を高
める為、4 本の心線を撚って 2 回線の組にする方法がある。この場合、導体相互の静電容量のバ
ランスによって、信号が相手の固線に漏洩することがある。
図 2-5-3
4コ撚り時の静電容量の関係
45
ケーブル設計
図 2-5-3 において、#3,#4 間に交流電圧を引加すると#1,#2 間に電圧が発生しない条件は、
C14・C23=C13・C24である。ところで
(C14+C23)2-(C13+C24)2=[(C142+C232)-(C132+C242)]+
2(C14C23-C13C24)
従って |(C14+C23)~(C24+C13)|:静電結合が零とすると、Cij2は各々等しい為、
#1、#2間には電圧が発生しない.
2-5-4
外径
対より、3コ撚、4コ撚の外径は
対より外径(mm)=
2d
対より本数が1本又は介在と共に撚るとき
1.65d
上記以外の場合
3コ撚の外径(mm)=2.16d
2.41d
4コ撚の外径(mm)=
2.2d
4コ撚の本数が1本又は介在と共に撚るとき
又は4コ撚の上に粗巻きを施す場合
上記以外の場合
但し dは対より、3コ撚、4コ撚する前の外径(mm)
2-6 撚合せ
2-6-1
撚合せの種類
撚合せはケーブル設計にとって、重要を要素の 1 つである。所定の特性を維持し、ケープルの柔
軟性、屈曲性能を得る為でである。下記に、撚合せの種類について認す。
表 2-6-1 撚合せの種類
撚合方法
集合撚
構成及び特長
素線を一惜して束ねる方法。
(1) 加工コストは安く、且つケーフツレ外径は細くなる。
(2) 素線が太い場合、ケーブルを曲げると曲げぐせがつく。
(3) 柔軟性、繰り返し屈曲に対して不向き。
(4) 導体の素線本教が 7 本以上の撚線の場合、一般的方法。
素線を同心状に配列して撚る方法。
層撚
(1) 柔軟性、繰り返し屈曲に適す。
(2) 原則として、各層相互反対方向に撚。
( 同心撚 )
(3) 各層の撚のピッチは中心層が短く、最外層を一番長くする。撚合のピッチは各層
の中心径の 15~30倍こする。POF はピッチを 200mm以上にする。
ユニット 撚ー 心 教が多い場合、集合撚又は層撚したコアを1ユニットとして 複数本のユニットを更に
総撚
撚る方法。
(1) 心 教が多い場合に適する。
相互反転撚 集合撚の一種である。ある周期毎に 撚の方向を変え、撚合せ上に粗巻テープを施す
方法。
(S Z 撚 )
(1) 工事施工時、ケーブル端末から解かなくても、心線の処理が可能。
(2)
ケーブルの途中で分岐したい場合、有効に作業が出来る。
46
ケーブル設計
2-6-2
層撚の撚合せ本数と配列・撚合係数
擦合せ本数と配列の関係を表 2-6-2 に示す。
表 2-6-2
本数
l
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
l3
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
中心層
1
2
3
4
5
1
1
2
2
2
3
3
3
4
4
l
1
1
1
2
2
2
2
2
3
3
2-6-3
第l層
5
6
6
7
8
8
9
10
10
11
5
5
6
6
6
7
7
8
8
8
8
第2層
擦合せ本数と配列
第3層
lO
11
11
12
l2
12
13
13
14
14
15
第4層
撚合係数
1
2
2.16
2.41
2.7
3
3
3.6
3.7
3.8
4.16
4.16
4.16
4.41
4.41
5
5
5
5
5.6
5.7
5.7
5.8
5.8
6.16
6.16
本数
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
中心層
4
4
4
I
1
1
1
l
l
2
2
2
2
2
2
2
2
3
3
4
4
4
4
1
1
第1層
9
10
10
5
5
5
5
6
6
6
6
7
7
7
8
8
8
8
9
9
9
10
10
lO
5
5
第2層
15
15
16
10
10
11
11
12
I2
12
12
12
13
13
13
14
14
14
14
15
15
15
l6
16
10
10
第3層
15
16
16
17
16
17
18
18
18
18
19
19
19
20
21
20
21
21
21
21
22
15
16
撚合せの作図方法
集合撚の場合は、心線の位置は不確定であるため、幾何学的に空いている空間を埋める様に作図
する。層撚の場合は表 2-6-2 で与えられる各層の本数を決定し、配列する。
(1)
撚合せの総本数から、表 2-6-2 を用いて各層の本数を求める。
(2)
ケーブルの中心点を 1 端とする半直線を各層の本数 x2 本描く。尚、夫々の半直線間の角
度は等しくする。
(3) (2)項で描いた任意の半直線上に中心点を有し、作図する前の層の外周円に接し、心線直
径に相当する直径で円を描く。
(4) (3)の作図を 1 本置きに行う。
中心介在の周囲に心線を層撚する場合、作図出来る心線本数は、介在の径を D。(㎜)、心線外
径を d(㎜)とすると
作図可能な本数 N:π(D。十 d)/d
で与えられる。尚、撚合せ本数が N より少ない場合、心線径に等しい径の介在を挿入して、全
体として N に等しくする。作図方法は、上記方法に準拠する。
47
ケーブル設計
図 2-6-3 層撚りの作図方法
2-6-4
ユニット撚・総撚
POF を用いた大口径のライトガイドや中継ケープルの様にケーブルに収容する芯数が多い場合、
層撚では、装着可能な最大ポビン数の関係で、中心層が 1 心の場合は、4 層まで、それ以外の場
合は第 3 層までである。又、集合撚の場合でも本数に限度がある。
POF ライトガイトでも以前は心線を束ねるだけであったが、ケーブルを屈曲させた時、曲げ癖が
つき、凹凸が発生する等の問題を生じた為、最近は集合撚が多くなっている。
従って、心激が多い場合、ユニット撚を複数本加工し、そのユニットを更に撚合せている。通常
ユニットの心線本数は 25,50,100 が多い。尚、この方法で撚合せた場合、下記に示す様な特長を
有する。
(1)多数の心藪を撚ることが出来る。
(2)ケーブルコアに柔軟性が生じる。
2-6-5
POF 及び複合心の撚合せ配列と注意事項
2-6-5-1
配列
POF コアを撚る場合、電源心や信号線を含む場合が多い。あるいは被覆径が異なる心線を撚合
せる時、以下に示す方法で設計する。
(1)
POF を合まない場合
(a) 同一のサイズの心線を複数本集合し、各々の径が等しくなる様に工夫する。その後、
それを、更に集合する。
(b) 同一のサイズの心線を同心状に配列し、その外側にサイズの異なる心線を配列する
(c) 上記(1)、(2)を組み合わせる。
(d) 複合心線を撚合せる場合、全体のバランスの対称性を持たせる様にする。もしならな
い場合、介在を適度に挿入する。
(e) できるだけ外径が小さくなる様に工夫する。
(f) 撚合せの配列を作図する。
48
ケーブル設計
(2) POF を含む場合
POF を含む場合は、下記の点について特に注意する必要がある。
(a) POF に直接張力が加わらない様、補強剤をケーブルの中心に設置したり、POF の周囲
に沿わせたりの工夫を施す。
(b) POF を撚合せる時、POF にアンバランスな力が加わらない様にする。
(c) POF に側圧が加わらない様に、工夫すること
図 2-6-5
撚合せ各部の寸法
d: 撚合せ各心の直径
D1: 撚合せの直径 ( 各心に外接する円の直径 )
D2: 撚合せの内径 ( 各心に内接する円の直径 )
D3: 各心と外接する円の間隙に内接する円の直径
D4: 撚合せの層心径
n: 撚合せ各心の数
D1={Cosec(π/n)+1}d=K1d
D2={Cosec(π/n)-1}d=K2d
D3=
{Cosec(π/n)-Cot(π/n)+1}2
2{Cosec(π/n)-Cot(π/n)+2 }
d=K3d
D4={Cosec(π/n)}d=K4d
n
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
Kl
2.000
2.155
2.414
2.702
3.000
3.305
3.613
3.924
4.236
4.459
4.864
5.179
K2
0.155
0.414
0.701
1.000
1.305
1.613
1.924
2.236
2.549
2.864
3.179
K3
0.667
0.483
0.414
0.378
0.354
0.339
0.327
0.318
0.311
0.305
0.300
0.296
K4
1.155
1.414
1.701
2.000
2.305
2.613
2.924
3.236
3.549
3.864
4.179
n
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
Kl
6.129
6.442
6.759
7.076
7.392
7.710
8.027
8.344
8.661
8.979
9.296
9.614
K2
4.129
4.442
4.759
5.076
5.392
5.710
6.027
6.344
6.661
6.979
7.296
7.614
K3
0.286
0.285
0.283
0.281
0.280
0.278
0.277
0.276
0.275
0.274
0.273
0.272
K4
5.129
5.442
5.759
6.076
6.392
6.710
7.027
7.344
7.661
7.979
8.296
8.614
49
ケーブル設計
2-6-5-2
POF 及び POF コア撚合せ時の注意事項
POF 及び POF コア撚合せ時、下記の点に注意する必要がある。
(1)
(2)
(3)
2-6-6
POF に捻りを加えないこと。(撚返しを 100%付けること)
撚返しが無いと、POF の反発によって、ケーブルが蛇行したり、変形したりする
POF のファイバ径 1.0mm を用いた時、撚ピッチは 200mm 以上にすること。それ以外の外径
時にはピッチ/外径の比を 200 以上にすること
撚合せ時に POF に直接、側圧が加わらない様、スペーサ、チューブに挿入する等の工夫す
ること。
撚込み率
ケーブルを撚合せると、心線の長さはケーブルの長さよりも長くなる。一般にケープル長を L、
心線の長さを Li とすると
Li=k x L
が成立する。ここで k を撚り込み係数と言い
K= 1+(πD/P)2
但し D:撚合せ時の層心径(mm)
P:撚合せピッチ(mm)
で与えられる。従って、ケーブルを撚ることによって、伝送損失や導体抵抗等は撚り込み係数
分増加する。
図 2-6-6 心線長とケーブル長
2-6-7
外径の算出
撚合せ外径の算出式を下記にしめす。
表 2-6-7
撚合せ外径
撚合せ方法
集合撚
層撚
ユニット撚・総撚
その他複合心
撚合せ外径
D=1155dxn1/2
D=k1d
D=d x n1/2
作図より算出
50
ケーブル設計
但し d::撚合せ前の心線の等価外径(mm)
do : ユニット撚の等価外径(mm)
D: 撚合せ外径(mm)
K1:撚合せ係数
2-7
介在
2-7-1 目的
介在を揮入する目的は次の通りである。
(1)ケーブルを円形に仕上げる。
(2)ケーブルの許容張力を向上させる場合、補強材を挿入する(縦添え)
(3)ケーブルの防湿性・防水性を向上させる場合、ジェリーコンパンドを充填する。
2-7-2
介在の種類と挿入位置
上記目的別に挿入する介在の種類と挿入場所を下記に示す。
表 2-7-2 介在挿入目的と挿入位置
挿入位置
対撚・4 コ撚内
撚合せコア内
ケーブルを円形にする 撚合せ心線の代替
撚合せコアの中心部
補強材
心線と共に縦添え
防水性
撚合せコア内に充填
2-7-3
備 考
PVC 紐、PE 紐等
綿糸、ジュート、P.P 紐等
PE 紐、PVC 紐等
鉄線、銅線、鋼線、亜鉛メッキ鋼線
ケブラー
ジェリーコンパンド
介在紐の径
図 2-6-5 を参照して求める
2-7-4
介在材料の選択
介在材料と特長を下記に示す。
表 2-7-4
材料名
P.P 紐
ジュート
綿糸
PE 紐
PVC 紐
CPE 紐
ケブラー
介在の材料と特長
用途及び挿入場所
特長
撚合せ 2 コ撚 心線の
備 考
4 コ撚 代替 防水対策 補強剤 安価 径が自由 難燃性
O
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○ POF には不可
○
○
○
○
○
△
51
ケーブル設計
2-7-5
重量計算
介在の重量は下謡憎式による.
(1) 介在紐の本数、外径が判明している場合
W=πN1ρd12/4
[Kg/Km]
(2) 撚合せ内に挿入する介在の場合
W=[D02-Nd2]ρ/4
[Kg/Km]
但し
Do :撚合せ外径[mm]
D
:心線外径 [mm]
N
: 心線本数
dl
: 介在外径[mm]
N1
: 介在本数
ρ : 介在の密度(g/cm3)
(3)補強材(ケブラー)の場合
W=18.0×10-3Nd
但し Ndはデニールで張力は15g/デニール
表 2-7-5 介在材料の密度
材料
綿糸
P.P紐
鉄
ジュート
PE
PVC
ナイロン
塩素化P E
2-8
密度
(g/cm3)
0.54
0.94
7.85
0.52
πX密度
3
(g/cm )
2.9
4.4
3.5
4.1
押え巻・粗巻
2-8-1.目的
押え巻・粗巻をする目的を下記に示す。
(1) 撚合せたコアがバラバラにならない様にする。
(2) 対撚・4 コ撚のピッチ、形状を維持し、回線間の漏話対策を行う(誘電電圧低滅対策)
52
ケーブル設計
2-8-2. 押え巻・粗巻の種類
押え巻・粗巻の種類を下記に示す。
押え巻
重ね巻
1/2 ラップ巻
1/3ラップ巻
(ケーブルコアーを
確実に維持する場合)
1/4ラップ巻
突き合せ巻
ギャップ巻
1/2 ギャップ巻
1/3ギャップ巻
(ケーブルの柔軟性とコ
アーの形状を確実に維持
1/4ギャップ巻
する場合)
粗巻
:幅 10mm、又は 5mm のポリエステルテープ、ナイ
ロン糸等をピッチ 100~150mm で巻く。
ケーブルの屈曲性を優先する場合やテープを縦添え
した場合の押さえとして用いる。
53
ケーブル設計
2-8-3
押え巻き材料
テープ材料の選択は下記要領にて行う。
ケーブルコアーの押え : 確実に押え巻きしたい時
下径が20mm以上の場合 :PE テープ、不織布、粗目 P E テープ、紙テープ ( ジエリー
コンパンドを充填した場合は絶縁紙テープを用いること )
下径が20mm以下の場合 : ポリエステルテープ、和紙、PE テープ、不織布
ケーブルコアーの押え + 遮蔽の場合
下径が20mm以上の場合
静電遮蔽:PE テープ ( 又はポリエステルテープ )+ 銅テープ(又はアルミテープ)
電磁遮蔽 : 布テープ ( 又は PE テープ )+ 銅テープ + 鉄テープ
下径が細い時 : 簡易型
( 軟銅線縦添え )+AL/ ポリエステルラミネートテープ
粗巻き:ケーブルのコアー内容と機械的強度から粗巻き材料を選択する
表 2-8-3 押え巻き・粗巻テープの材料特性
材料
AL/ポリエステルテープ
ポリエステルテープ
布テープ
金属化紙
PEテープ
不織布
粗目P Eテープ
ポリエステル粗巻テープ
銅テープ
Alテープ
鉄テープ
メラミン焼付鋼テープ
和紙
絶縁紙
綿糸
テープ
厚(mm)
0.025/0.1
0.025
0.2
0.155
0.2
0.15
0.35
0.025
0.1又は0.2
0.1又は0.2
0.2又は0.3
0.5又は0.6
0.05
0.06又は0.12
幅(mm)
5又は10
πρ
(g/cm3)
5.14
4.3
3
2.9
0.8
2.9
0.17*
27.9
8.43
24.3
24.3
0.6
2.72
0.02*
注 *はKg/Km
54
ケーブル設計
2-8-4 重量・外径
押え巻き・粗巻を施した場合の外径・使用した材料の重量は下記計算式による。
2-8-4-1 テープの巻き厚
ラップ巻きの場合
: 巻き厚 T(mm)=1/(1-N) ×テープ厚×枚数
但し N: 重なり率 1/4 ラップ巻きの時 N=1/4
ギャップ巻きの場合 : 巻き厚 T(mm)=1/(1+N) ×テープ厚×枚数
但し N: ギャップ率 1/4 ギャップ巻きの時 N=1/4
突合せ巻きの場合
粗巻の場合
: 巻き厚 T( mm)= テープ厚×枚数
: 巻き厚 T(mm)=0
2-8-4-2 外径:D (mm)
D=下径(mm)+2x巻き厚(mm)
2-8-4-2 重量(Kg/Km)
押え巻きの場合
粗巻きの場合
:W= πρ×テープ巻き厚× ( 下径 + テープ巻き厚 )
:W=粗巻き本数×単位重量
2-9 編組シールド
2-9-1 目的
編組シールドを行う目的は、外都の電磁界による誘起電圧の低滅対策か、同軸ケーブルの外部導体とし
て用いる。通常、使用する素線は軟銅線もしくは錫メッキ軟銅線を用いる。
2-9-2 下径と素線径
繍組シールドを行う前の下径と繍組シールドの素線径の関係を表 2-9-2 に示す。
表 2-9-2 繍組シールドを行う前の下径と繍組シールドの素線径の関係
下径(mm)
5以下
5~8
8~10
10~14.5
14.5以上
素線径(mm)
0.12
0.14
0.16
0.18
0.2
55
ケーブル設計
2-9-3
注意事項
対撚もしくは、撚合コア上に編組シールドする場合は、一般に編組シールドする前のコアを保護
するため、ポリエステルテープ等で押え巻きを施す。
2-9-4
種類
編組シールドは下記に示す種類がある。その内、網代編組は主にケーブル張力向上の手段で、鉄
線を用い、軟銅線編組シールドとは異なる。使用する素線径はケーブルの外径、要求される条件
によって異なるが、概ね軟銅線編組シールドで用いる素線径に準じる。
表 2-9-4 編組の種類
編組の形式
備考
電磁誘導遮蔽、同軸ケーブルの外
一般の編組シールド 部導体
電磁誘導遮蔽や、インダクタンスを
横巻き編組シールド 増加させたい場合に使用
[計算式は省略]
ケーブルの引っ張り張力を向上させ
る目的で
網代編組
主に船舶用に使用される。
2-9-5 編組密度と打数・持数・ピッチ
編組シールドは、鋼テーフ等の金属テープを縦添え、又は横巻きシールドするよりも電磁波が編
組シールドの隙間からケーブル中に侵入する分電磁誘導の低減効果は小さい。(静電誘導電圧は零
になる) 従って、電磁誘導効果を表す目安として、ケープルが金属に覆おれている割合を編組密
度と呼び、下記に示す方程式で与えられる。
(1)
一般の編組シールドの場合:
Fp=1-[1-
(
1
P
)2+(
1
π(D+2.5d)
)2 ×dnm/2]2
(2) 横巻き編組シールドの場合
FP=
但し
(
1
P
)2+(
1
π(D+2.5d)
)2 ×dnm
P: 編組シールドのピッチ (mm)
D : 編組シールドする前の外径(mm)
d : 編組線径 (mm)
n :持数
m :打数
で与えられる 尚、通常、編組密度は80% 以上で設計する
56
ケーブル設計
2-9-6
外径・重量
外径・重量の計算式を下記に示す
(1)編組シールドの場合:
D=下径(mm)+5.0×d
W=5.04×[1-
1-FP] ×d(D+2.5d)ρN
(2)横巻きシールドの場合
D=D+2.5d+2×クリアランス:0.1~0.2mm
W=
但し
πd2
4
1+[π(下径+d+クリアランス)/P]2 ×nmρN
P:編組シールドのピッチ
D:編組シールドする前のケーブル径
d:編組線径
n:持数
m:打数
ρ:材料の密度(g/cm3)
N:編組シールド線の本数
Fp :編組密度
2-10
縦添え
2-10-1
一般事項
縦添えは、補強材や、介在等を縦添えする場合と、ケーブルコアの上にテーフ等を
織恭えする場合がある。後者の場合はテープがほどける為、縦添え加工単独で用い
られることはなく、何等かの後加工を施す。その方法は、次の通りである。
(1)
粗巻・又は押え巻を施す。
(2)
テ ー フ 縦 添 え の 合 せ 部 を 半 田 溶 接 (A1+ス チ ー ル テ ー フ 後 波 付 け 加 工 し 半 田
溶 接 )や 、 ラ ミ ネ ー ト シ ー ス か ケ ー ブ ル 加 工 を 施 す 。
(3)
2-10-2
直ちに、シースカ江を施す。
縦添えの目的
( 1 ) ケ ー ブ ル コ ア の 押 え( 押 え 巻 に 比 較 す る と 、簡 単 に テ ー プ を 解 く 事 が 河 能 )。
(2)
金 属 テ ー フ で の 遮 蔽 (横 巻 に 比 較 す る と 、金 属 テ ー プ の 導 体 抵 抗 が 小 さ く 、
電 流 が ラ セ ン 状 に 流 れ ず 、 譲 導 雑 音 電 圧 カ 溌 生 し に く い )。
(3)
ケーブルコアに介在や、補強材として挿入。
(4)
A1/ポ リ エ ス テ ル ラ ミ ネ ー ト テ ー フ 瀬 巻 の 下 に 、 鋼 線 を 縦 添 え 挿 入 し 、 遮
蔽の導体低航を小さくし、半田付けをし易くする。
57
ケーブル設計
2-10-3
テーフ撚添えの種類
(1)
テープを縦添えした後、何等加工しない。
(2)
テ ー プ を 繍 察 え し た 後 、ケ ー ブ ル の 柔 軟 性 を 向 上 さ せ る 為 、テ ー プ を 波 付 け 加
工 す る (金 属 テ ー プ :波 の 高 さ 一 一 約 0.6mm)
2-10-4
使用材料 1 使用材料
使 用 す る 主 な テ ー フ 淋 料 を 表 2-10-4 に 示 す 。
表 2-10-4
テーフ材料
銅テープ
Alテープ
スチールテープ
粗目PEテープ
PEテープ
ポリエステルテープ
2-2-10-5
縦添え加工時のテーフ淋料
備考
(g/cm3) 厚さ(mm)
一般には、縦添え上に直ちにシースする。
8.89
0.2
同上
2.7
0.2
電磁遮蔽が必要な時に用い、波付け加工す
る。
7.85
0.15
ケープ〉レを太くしたい時使用。
zρ=2.9
0.375
縦添えにはあまり用いない。
πρ=2.9
0.2
縦添えにはあまり用いない。
πρ=4.3
0.025
外径・重量
外 径 D(mm)は
波付加工した場合
:
D= d + 2
x
( 波 の 高 さ (㎜ )十 テ ー プ 厚 (㎜ ))
波付け加工しない場含 1
: D= d + 2
x
( テ ー プ 厚 (㎜ )
重量 W
(㎏ /Km)は
テーフ蹴添えの時
W=密 度 x テ ー プ 厚 x[ (d+テ ー プ 厚 (㎜ ))x π 十 ラ ッ フ 都 :通 常 は ケ ー ブ ル 全 周
の 1/4 程 度 ]
但し、d
:縦 添 え 加 工 前 の 外 径
(㎜ )
鋼線等の縦添えの時
W;= 密 度 ×甑 面 穣 (mm 2 )
x
使用本数
58
ケーブル設計
2-11
シース
2-11-1
使用目的
シ ー ス を 施 す 目 的 は 、外 部 の 種 々 の 環 境 条 件 か ら ケ ー ブ ル を 保 護 し 、損 傷 を 軽 減 す
ることである。
2-11-2
厚
さ
導体ケーブルの場合、シースの厚さは敷設する場所と条件によって異なる。
表 2-11-3
用途と最小シース厚
最小シース
厚(mm)
用 途
使用場所
高耐圧用
変電所構内
2.0
保安通信用
市内、構内
1.5
60V以下の計測制御
(弱電計装用)
屋内の計測装置
0.8
機器配線用
機器内配線
一
一 般 に シ ー ス 厚 t (m)は t =下 径 (mm)/ 25
+
最 小 シ ー ス 厚 (㎜ )で 与 え ら れ る 。
尚 、POF ケ ー ブ ル の 場 合 、特 に シ ー ス 厚 の 規 定 は な い が 、取 扱 の 点 で 従 来 の 導 体 ケ
ーブルと同様に配慮したほうが無難である。
2-11-3 シ ー ス 材 料
シース材料は特に下記項目に考慮して選定する
(1)
耐電圧特性に優れている樹脂
(2)
使用温度、耐油性、伸び、引っ張り強さ、難燃性等使用条件に合致してい
ること。
(3)
安価で、押出加工性がよいこと。
(4)
樹 脂 中 の 可 塑 材 、着 色 斉 等 が 移 行 し て 、POF に 損 傷 を 与 え な い こ と 。(POF
ケ ー ブ ル 専 用 の 樹 脂 を 選 択 す る こ と :一 般 の PVC は 不 可 )
(5)
耐候性に優れていること。
59
ケーブル設計
表 2-11-4
材料名
シース材料
π×密度
特
長
(g/cm3)
加工性は良好で、低コスト
PE
2.9
化学的に極めて安定、その為、PEに接着する材料はない。
又空気中の水分がP Eに入る量は少なく耐吸湿性は良好
(架橋PE、難燃PE)
一般シースとしては、耐候性を考慮して、炭素を含有し、
MIは2.0程度のものを使用
又、耐電圧特性、温度特性をあげた、架橋タイプや、難燃性
を重規した難燃タイプの樹脂がある。
PVC
4.4
低コストで加工性は良好
空気中の水分を吸収し、PVCに混入している可塑剤が移行
することがある。
難燃性能があり柔軟であることから広く使用されている。
ナイロン
3.5
耐油性能を向上するとき使用。厚さは0.2~0.3mm程度
それ以上にすると加工時、樹脂がたれて、加工できない。
塩素化PE
4.1
PEの性質に難燃性を付加した塩素化P EはPEと化学的性能
は程同じであるが材料コストが高くなる短所がある
ウレタン
耐熱性(~150℃)、耐摩耗性、化学特性が良好
加工性はPE、PVCに比較すると押出温度が高くやや困難で
樹脂の価格も高い。
2-11-4 ラ ミ ネ ー ト シ ー ス
ラ ミ ネ ー ト シ ー ス は A1 テ ー プ ( テ ー プ 厚 0.2mm) と PE 樹 脂 ( 厚 さ 0.05mm) が
一 体 構 造 の テ ー プ を 縦 添 え し た 後 、 シ ー ス す る こ と に よ り 、 A1 テ ー プ と 樹 脂 が 一
体構造になる。そのため、下記に示す特徴を有する。
(1) ヒ ー ト サ イ ク ル 等 に よ る シ ー ス の 収 縮 や 、 心 線 の 突 き 出 し が 無 い
(2) 水 分 、 空 気 が A1 テ ー プ 層 で 遮 断 さ れ 、 ケ ー ブ ル コ ア は 化 学 的 、 機 械 的 に
安定である。
(3) 通 常 の 金 属 テ ー プ を 縦 添 え 加 工 し た ケ ー ブ ル に 比 較 す る と 、 柔 軟 性 が 優 れ
ている。
2-11-4--1 シ ー ス 厚
ラ ミ ネ ー ト シ ー ス 厚 は 樹 脂 だ け を 考 え る と 表 2-11-4 と 同 じ で あ る 。通 常 は AL テ
ー プ を 含 ん で 最 小 厚 1.7mm に 設 定 し て い る 。
60
ケーブル設計
2-11-4-2
ケーブル加工出来る最小なコア径
ラ ミ ネ ー ト シ ー ス が 出 来 る ケ ー ブ ル コ ア の 最 少 径 は 8mm で あ る 。
2-11-5 外 径 ・ 重 量
シ ー ス の 外 径 D(mm ) 及 び 重 量 W(kg/km) は
ρ A L : AL テ ー プ の 密 度 2.7 g/ Cm 3
ρ S : 樹脂の密度
d : 下 径 (mm)
とすると
(1)ラミネートシースの場合 :
D=d+2 ×シ ー ス 厚 (AL テ ー プ 厚 含 む ):t ( mm )
W=(d +0.2) ×π +L P ) × 0.2 ×ρ A L +(d +t ) × (t-0.2) ×π ρ S
但 し L P : テ ー プ の 重 な り 部 の 幅 : 外 周 の l/4 程 度
(2)それ以外のシースの場合 :
D =d +2 ×シ ー ス 厚 :t l
W=π ρ s × (t 1 +S S ) ×( d+t l )
但 し SS : 前 工 程 が テ ー プ 縦 添 え 波 付 け の 場 合
:それ以外の場合
2-12
SS=0.6
SS=0
外部からの誘導対策
2-12-1
誘導電圧
外部の電磁界によって発生する誘導電圧は、電磁誘導と静電誘導の 2 種類がある
。夫々の発生メカニズムは異なり、対策も異なる。
(1)電磁誘導電圧:V
∂Φ
V=k
∂t
但し k
Φ
:遮蔽係数
:外部の磁束
従って、ケーブル近傍の電力ケーブルに流れる電流をIとすると
V=ωkMIL
但し ω
:各周波数
2πf
M :両線間の相互インダクタンス
L :両線間の平行する距離
[ H/Km]
[Km]
ところで相互インダクタンスMはCarson-Pollaceckの式より
61
ケーブル設計
M=[2Ln(2/dκ)-0.15-jπ/2]×10-4
[H/Km]
但し d: 両線間の距離 [Cm]
4πσω
κ:
σ :大地の導電率
[CGSemu]
尚 、 POF ケ ー ブ ル の 全 体 の 遮 蔽 係 数 は POF ケ ー ブ ル 自 体 の 遮 蔽 係 数 と 敷 設 状 態 に
よる遮蔽係数の相乗効果で与えられる。
表 2-12-1
ケーブル敷設状態による遮蔽係数
ケーブルの種類
架空ケーブル
管路内
ケーブル
PVC管
塗覆装鋼管
直埋ケーブル
2-12-2
区分
遮蔽層無し
遮蔽層あり
遮蔽層無し
遮蔽層あり
基本波
(50Hz又は
60Hz)
1
0.95
1
0.95
0.6
~0.1
0.2
雑音
(800Hz)
1
0.15
1
0.15
0.1
~0.03
0.03
静電誘導電圧
図 2-12-2 に 示 す よ う に 、 POF ケ ー ブ ル と 大 地 間 、 POF ケ ー ブ ル と 電 カ ケ ー ブ ル 間 の 静
電 容 量 を C1,C2 と し 、 電 カ ケ ー ブ ル の 電 圧 を V と す る と 、 POF ケ ー ブ ル 内 の 導 体 に 誘
起 す る 誘 導 電 圧 Vc は
Vc = C1/ ( C1+C2) x V
で与えられる。
今 、 POF ケ ー ブ ル に 遮 蔽 層 を 設 け 、 遮 蔽 層 を 零 電 位 に す る と 、 C1= 0 と な る か ら POF
ケーブルの導体には誘導電圧は発生しない。
図 2-12-2
電 力 ケ ー ブ ル が POF ケ ー ブ ル の 近 傍 に あ る 場 合 の 等 価 回 路
62
ケーブル設計
2-12-3
誘導電圧の軽減対策
2-12-3-1 静 電 誘 導 の 場 合 :
POF ケ ー ブ ル に 遮 蔽 を 施 し 、 遮 蔽 体 を 大 地 に 接 地 す る 。
2-12-3-2
電磁誘導の場合:
(a)
遼 蔽 係 数 が 小 さ く な る 様 、 POF ケ ー ブ ル に 遮 蔽 を 施 し 、 ケ ー ブ ル の 一 端 で
遮 蔽 層 を 接 地 す る 。( 両 端 で な い 。)
(1) 透 磁 率 の 大 き な 金 属 を 用 い る (例 鉄 テ ー プ )。
(2) 遮 蔽 層 の 導 体 抵 抗 の 小 さ い 金 属 を 用 い る (例 銅 テ ー プ )。
(3) (1)、 (2)の 併 用
(b) 金 属 パ イ フ 等 で POF ケ ー ブ ル を 覆 う 。
(1) 鉄 パ イ プ に 入 れ 、 敷 設 す る 。
(2) ダ ク ト に 敷 設 す る 。
(c)
電力線と分離して敷設する。
(d) POF ケ ー ブ ル に 平 衡 2 線 を 使 用 し な い 様 に す る 。
(e) 平 衡 2 線 を 対 撚 構 造 に す る 。 (1/100~ 1/1000) に 軽 減 。
(f) 平 衡 2 線 各 々 に 遮 蔽 を 施 す 。
参考
金属中の電磁界は
但し
H=H0e-I/(δ+jωt)で与えられる。
I:金属表面からの深さ (mm)
δ:材料固有の表皮厚(mm)
H0:外部磁界
(A/m)
従って、ケーブルに遮蔽層を設けると、誘導電圧は瞳蔽層の抵抗が小さく、高周
波 数 で 透 磁 率 が 大 き い ほ ど 表 皮 厚 さ は 薄 く な り 、ケ ー ブ ル 内 の 磁 界 は 小 さ く な る 。
その結果、導体に誘起する電磁誘導電圧は小さくなる。又、2 導体の電圧の大き
さと位相が等しければ 2 導体間の電圧は零になる為、2 導体を撚ることは効果が
ある。
2-13
機械特性改善対策
ケ ー フ ル の 代 表 的 機 械 特 性 は 引 っ 張 り 荷 重 、曲 げ 及 び 繰 り 返 し 屈 曲 で あ る 。こ れ ら 特
性を向上させる対策を下記に示す。
2-13-1
引っ張り荷重
ケーブルの許容引っ張り荷重は下記項目の合算計である。従って、引っ張り荷重を
向上させるには下記項目の引っ張り荷重を求め、計算値が小さい場合には補強材を
挿入する。
63
ケーブル設計
(1)
導 体 :[ 導 体 の 断 面 積 (mm 2 )× T d ] ×導 体 本 数
但し
(2)
Td
: 導 体 の 単 位 面 積 当 り の 許 容 張 力 (kg/mm 2 )
銅 導 体 7 (kg/mm 2 )
AL
4 (kg/mm 2 )
補強材 : 材料の特性値による。
主に使用する材料
銅線
ケブラー
亜鉛メッキ銅線
鋼撚線
ピアノ線
約 100( Kg/mm 2 )
15 (g/デ ニ ー ル )
( 各種資料参照 )
( 各種資料参照 )
( 各種資料参照 )
(3)
PO F:(POFの 断 面 積 (mm 2 )×8 Kg/mm 2 )×本 数
(4)
絶 縁 ・ 被 覆 、 シ ー ス :(Sc × Ts) の 和
但し
2 -13-2.
Sc
TS
: 絶 縁 ・ 被 覆 、 シ ー ス の 断 面 積 (mm 2 )
: 上 記 樹 脂 の 単 位 面 積 当 り の 許 容 張 力 ( Kg/mm 2 )
PE ,PVC --------0.8 ( Kg/mm 2 )
曲げ性能
ケーブルを許容曲げ半径以下で長時間敷設すると、伝送損失の増加や損傷損が起き
るため、ケーブルの曲げ性能を向上させることは、取扱や施工の点で重要である。
し か し 、 ケ ー ブ ル の 曲 げ 性 能 は 、 導 体 や POF の サ イ ズ 及 び 芯 数 で 決 定 し 、 向 上 さ
せ る こ と は 難 し い 。一 般 に 、ケ ー ブ ル の 許 容 曲 げ 半 径 は ≧ ケ ー ブ ル 外 径 x 20 で 与 え
ら れ る 。 し か し 、 下 記 に 示 す 対 策 を 施 す と 許 容 曲 げ 半 径 を ケ ー ブ ル 外 径 の 10 倍 程
度にすることが出来る。
(1) 導 体 、 POF:
(a) 単 線 か ら 撚 線 に す る 。
(b) 撚 ピ ッ チ を 短 く す る 。
(c) 素 線 は 細 い も の を 多 数 使 用 す る 。
(2)
絶 縁 ・ シ ー ス : 使 用 す る 樹 脂 材 科 、( 特 に シ ー ス 材 料 ) は 柔 軟 性 の 樹 脂 を 用
いる。
(3) 遮 蔽 は 金 属 テ ー プ を 用 い る よ り も 、 編 組 シ ー ル ド に す る 。
(4) 対 撚 、 撚 合 せ :
(a) 撚 合 せ は 、 同 心 燃 に す る
(b) 撚 合 せ の ピ ッ チ は 短 く す る 。 (対 撚 も 同 様 )
(5) そ の 他 :ケ ー ブ ル 外 径 を 細 く す る 。
64
ケーブル設計
2-13-3
.繰 り 返 し 屈 曲
繰り返し屈曲性能を向上させる方法は曲げ性能と同一である、しかし、特に下記の
点に注意する必要がある。
(1)
繰 り 返 し 屈 曲 し た 時 に 、 導 体 や 、 POF の 形 状 が 変 化 し な い 様 、 同 心 撚 り に
して、夫々の層の撚込み率を等しくし、各層の撚合せの方向を交互反対にす
ること。
(2) 上 記 の 場 合 、 撚 返 し を 100%以 上 に す る こ と 。 出 来 た ら 110%程 度 が 良 い 。
(3) 使 用 す る 材 料 は 出 来 る だ け 疲 労 破 壊 し ず ら い も の を 使 用 す る 。
2-13-4
耐油・耐薬品対策
ケ ー ブ ル を 外 部 の 油 や 薬 品 か ら 保 護 す る に は シ ー ス で 遮 断 す る か 、A1/PE ラ ミ ネ ー
ト テ ー フ 等 を 用 い た 金 属 遮 断 す る 以 外 方 法 は な い 。POF ケ ー ブ ル の 内 部 に 油 等 が 侵
入 す る と 、POF の 伝 送 損 失 の 増 加 、導 体 の 腐 食 や 絶 縁 破 壊 が 起 き る 。い か な る 樹 脂
でも油や薬品等は浸透し、樹脂自体が膨潤し、硬化する。下記に比較的耐性のある
材料と特徴を記す。
表 2-13-4
耐曲・耐薬品性のシース材料
シース材料
耐油性のPVC
PE
ナイロン
ウレタン
テフロン
2-13-5
備 考
特殊なPVC。但し、油や薬品で多少膨潤する
PO Fに可塑斉材が移行する可能性がある。
比較的安全。
一般に、良く使用される。
長時間油に触れていると、多少膨潤する
一部の薬品、塗料は浸透する。
高価で加工性が悪い
防水・防湿対策
水は油や薬品と同様、如何なる樹脂でも浸透して、ケーブルの中に侵入する。特に
PVC で は そ の 浸 透 割 合 が 他 の 樹 脂 に 比 較 し て 大 き い 。 PE、 テ フ ロ ン は 合 水 率 が 小
さく浸透も小さい為、比較的防水、防湿効果は大きい。しかし、それら樹脂を用い
ても、長時間放置すれば、最終的には外部の湿度と等しくなる。外部の湿度が変化
すると、ケーブルの中湿度も変化し、水に含まれる各種イオンによって導体は腐食
し 、POF の 伝 送 損 失 は 増 加 す る 。屋 内 で 使 用 す る 場 合 は 軽 微 で 長 時 間 損 傷 は 起 こ ら
ないが、湿度が高い場所で使用した場合、特に塩分が含まれている場合は比較的短
時間で劣下する。その為、水分の影響の多い場所で使用する場合には、下記の対策
のいずれかを施す。
65
ケーブル設計
(1)
(2)
A1/PE ラ ミ ネ ー ト シ ー ス を 施 す 。
ケ ー ブ ル 内 部 に ジ ェ リ ー コ ン パ ン ド を 挿 入 す る (POF は 伝 送 損 失 が 増 加 す る
の で 使 用 不 可 )。
(3) ガ ス 保 守 を す る (POF ケ ー ブ ル で は ほ と ん ど 採 用 し な い )。
(4) ケ ー ブ ル コ ア 上 に 吸 水 性 の テ ー フ で 押 え 巻 す る 。
2-13-6
難燃、耐熱・耐火対策
2-13-6-1
難燃性規格
ケーブルの難燃性はケーブルを燃やした時、ケーブルが延焼して、発火しないこ
と、人体に危険なガスを発生しないことが重要である。その為、ケーブルの難燃
性のグレードには
(a)
(b)
(c)
UL1581 の VW-1〈 難 燃 性 の み の 特 性 〉
UL1910 の プ レ ナ ム 試 験 (難 燃 性 + 排 煙 性 )
lEEEStd383(垂 直 ト レ イ 燃 焼 試 験 )
が あ り 、 POF ケ ー ブ ル の 場 合 は (a)、 (c)の ケ ー ブ ル が 開 発 さ れ て い る 。
2-13-6-2
耐熱・耐火性能
耐熱・耐火性能は、火災が溌生した時、人が避難できる時間、ケーブルの機能を維
持することができることであり、消防法や、建築基準法で定められている。耐火・
耐 熱 温 度 曲 線 に 於 い て 840 ℃ 、30 分 維 持 で き る ケ ー ブ ル を 耐 火 ケ ー ブ ル 、380 ℃ 、
15 分 維 持 出 来 る ケ ー ブ ル を 耐 熱 ケ ー ブ ル と 称 し て い る 。
2-13-6-3
難燃対策
耐 火・耐 熱 ケ ー ブ ル を 使 用 す る 範 囲 は 法 律 で 定 め ら れ て い る 。POF ケ ー ブ ル は 特 別
の 場 合 以 外 耐 火 ・ 耐 熱 に は 該 当 し な い 。 難 燃 対 策 は 、 酸 素 指 数 20 以 上 の 絶 縁 ・ 被
覆 材 料 を 用 い る こ と で あ る 。 し か し 、 POF の 場 合 は 、 導 体 ケ ー ブ ル に 比 較 す る と 、
POF が 河 燃 性 で あ る こ と 、難 燃 性 樹 脂 に よ っ て 伝 送 損 失 が 増 加 す る の で 、酸 素 指 数
35 以 上 で 且 つ 移 行 性 の 少 な い 樹 脂 の 使 用 を 勧 め る 。
2-13-7
耐放射線対策
POF は 多 量 の 放 射 線 を 浴 び る と 、コ ア 、ク ラ ッ ド を 構 成 し て い る 物 質 が 破 壊 さ れ て 、
伝 送 損 失 が 増 加 す る 。( 約 10 6 レ ン ト ゲ ン 以 上 曝 さ れ る と 急 激 に 損 失 増 加 が 起 き る )
POF の 周 囲 の 放 射 線 を 遮 断 す る 物 質 で 覆 え ば 、 耐 放 射 線 の ケ ー ブ ル は 可 能 で あ る 。
しかし、比較的優れた保護材として、鉛があるが、万全では無い。しかも、放射線
を浴びる領域では高温度で高湿度に曝されるので、これら条件を考慮すると対策は
簡 単 で な い 。 特 に 、 ケ ー ブ ル を 交 換 出 来 な い 場 合 は POF の 使 用 を 避 け 、 導 体 の み
で構成した方が無難である。導体のみの場合は、多少絶縁・被覆材料が劣下しても
導 体 間 の 絶 縁 を 維 持 出 来 れ ば 信 号 伝 送 に は 支 障 が 撫 い た め 、 放 射 線 対 策 は POF に
比較すると容易であり、メーカ各社から耐放射線用ケーブルとして市販されている。
66
ケーブル設計
2-13-8
耐候性
太陽光線や紫外線によってプラスチックは分解し、シースに亀裂が入ったり損傷し
た り す る 。こ の 現 象 を 防 止 す る 為 、一 般 に は PE,PVC 等 の 樹 脂 に カ ー ボ ン を 3~ 5%
重量比含有させている。従って、淡色に着色した樹脂や自然色の樹脂は耐候性があ
まりない。従って、これら樹脂をシースに用いた場合は、屋内、管路やダクト内に
敷設することを勧める。もし太陽光線に直接曝されると、次第に黄ばみ、シースが
割 れ る こ と に な る 。POF ケ ー ブ ル を 用 い 、ケ ー ブ ル の 側 面 か ら 漏 光 さ せ る 場 合 、シ
ースは透明である必要がある。この様な場合、シースが着色することは使用上好ま
し く な く 、 透 明 な 樹 脂 を POF に 被 覆 す る が 、 使 用 し た 樹 脂 が 太 陽 光 線 等 の 紫 外 線
にあたっても、常にシースが透明で有るよう樹脂に安定剤を加え耐候性が向上させ
る様にする。しかし、黒以外の樹脂はいずれ色が変化することを承知しておく必要
がある。長時間変化しない様に保持するには、太陽からできるだけさけるように工
夫することが重要である。
2-13-9
耐熱・耐寒
耐 熱 ・ 耐 寒 性 が 要 求 さ れ る 場 合 、 ケ ー ブ ル に 使 用 す る 全 て の 材 料 に (現 在 POF の 耐
熱 性 は 135℃ 耐 熱 が Max)を 耐 熱 ・ 耐 寒 材 料 を 使 用 す る 必 要 が あ る 。 尚 、 PE、 PVC
等同一の樹脂でも種々のグレードがあり、材料選定の際にはそれ相応のグレードを
選定する必要がある。下記に樹脂の種類と許容温度を示す。
表 2-13-9
絶 縁 ・ シ ー ス 材 料 と 許 容 温 度 (連 続 )
最高温度
(℃)
250
200
180
150
125
105
100
85
80
60
材料
テフロン(TFE )
テフロン(F E P)
フッソゴム
シリコンゴム
ポリフッ化ビニリデン
鉛
ポリエステル
架橋PE
塩素化P E
ナイロン
耐熱ビニール
ポリプロピレン
高密度PE
特殊耐熱P VC
一般配合用PVC
耐寒用P VC
最低温度
(℃)
-80
-80
-70
-30
-60
-40
-40
-20
-40
-20
-20
-35
67
ケーブル設計
2-14
伝送線路相亙間
2-14-1
線間漏話対策
同軸ケーブルの場合、高周波で外部導体を零電位にして使用する為、外部の電磁界
に よ る 誘 導 雑 音 電 圧 の 発 生 は 、な い 。POP も 光 伝 送 で あ る の か ら 、外 部 の 電 磁 界 に
は影響しない。それ に比較して 平衡 2 線では 、外部の電磁界によ り誘導雑音 電圧が
溌生し、導体中の電流によって他の導体に誘導雑音電圧を誘起する。雑音電圧の種
類には、遠端漏話と近端漏話があり、発生のメカニズムは静電誘導電圧と、電磁誘
導電圧がある。これら誘導雑音竃圧を軽滅する方法は次の通りである。
(1)
図 2-14-1 に 示 す 様 に 、 導 体 ケ ー ブ ル の 上 に 遮 蔽 を 施 し 、 遮 蔽 体 を 零 電 位 に
する。
(2) 対 撚 構 造 に し 、対 撚 の ピ ッ チ を 他 の 回 線 の 対 撚 ピ ッ チ と 変 え 、且 つ 整 数 倍 に
ならない様にする。
(3) 上 記 (1)と (2)の 併 用
ところで、金属遮蔽には次の方法があるが、一般的にはケーブルの柔軟性を考慮し、
編組シールドが用いられる。
(1) 編 親 シ ー ル ド (横 巻 き 編 組 シ ー ル ド を 含 む )
(2) 銅 テ ー プ 等 、 金 属 テ - プ の 横 巻 き
(3) AL/PET ラ ミ ネ ー ト テ ー フ 縦 添 え + 軟 銅 線 縦 添 え
(4) 金 属 テ ー フ 縦 添 え
又 、信 号 電 圧 が 数 μ V 程 度 の 場 合 は 、POF を 用 い る か 、同 軸 2 本 を 用 い る こ と を 勧 め
る。
図 2-14-1
2-14-2
平衡 2 線の線間誘導電圧軽減対策の遮蔽方法
POF の 伝 送 損 失 増 加 対 策
POF の 伝 送 損 失 は ケ ー ブ ル 時 の 加 工 や 種 々 の 外 部 環 境 で 増 加 す る 。 下 記 に POF の
伝送損失を増加させない為の設計上の留意点について記す。
( 1 ) POF は 低 分 子 量 の 有 機 物 、 有 機 溶 剤 に 触 れ る と コ ア 、 ク ラ ッ ド 間 の 境 界 面
が損傷し、伝送損失の増加につながる。従って、下記の対策を施す。
(a) POF を 損 傷 さ せ る 可 塑 剤 、 着 色 材 、 難 燃 材 等 が 含 有 し て い な い 樹 脂 を
68
ケーブル設計
選 定 す る 。 (特 に PVC に は 注 意 )
(b) 上 記 物 質 が 移 行 し て POF に ダ メ ー ジ が 生 じ な い 様 、 介 在 や 補 強 材 等 に
も注意を払う。
(c) ケ ー ブ ル 外 部 か ら POF に 損 傷 さ せ る 様 な 物 質 が 侵 入 し な い 様 、 シ ー ス
材 料 に ナ イ ロ ン や ウ レ タ ン 樹 脂 を 使 用 す る と か 、金 属 テ ー フ で 縦 添 え す
る等工夫する。
(2) POF に 残 留 歪 を 加 え な い こ と 。
(a) 補 強 材 は 伸 び 率 の 低 く 、 強 度 の あ る も の を 選 定 し 、 POF に 沿 わ せ る か 、
ケーブルの中心に挿入する。
(b) POF に 捻 り や 撚 を 加 え な い こ と 。 撚 る 場 合 に は 、 撚 戻 し を 行 う 。
(c) POF に ア ン バ ラ ン ス な 力 が 加 わ ら な い 様 に す る 。 撚 合 せ 時 、 POF に 側
圧 が か か ら な い 様 に 、POF の 周 囲 は 出 来 る だ け フ リ ー に す る (ス ペ ー サ
に 挿 入 す る 等 )。
2-14-3
通信回線の電圧降下・電流容量
2-14-3-1 電 圧 降 下
平衡 2 線に直流、又は低周 波電流を用 いる場 合、集中回路理論で 各部の電流 一電
圧 を 求 め る 事 が 出 来 る 。 従 っ て 、 電 流 を I、 電 圧 を V、 負 荷 抵 抗 を R と す る と 、
閉 口 2 線 の 終 端 の 電 圧 V。 は
V 0 =V- I × R L ・ L
但 し R L : 線 路 の 単 位 長 当 り の 直 流 導 体 抵 抗 ( Ω / Km)
L : 線 路 長 (km)
I= V / ( R L ・ L+R )
従 っ て 、 電 圧 降 下 電 圧 Vd は
Vd = I×R L ・ L
= V・ R L ・ L/ ( R L ・ L+ R )
2-14-3-2
電流容量
平衡 2 線の最大許容電 流は、周囲 温度、ケ ー ブル構造、使 用材料をもと に算出す
る。しかし、一般の場合一下記の簡便な計算式で算出する。
最 大 許 容 電 流 = 導 体 1 本 の 断 面 積 ( mm 2 ) x
導体サイズ
0.5
mm
0.65
mm
0.9
mm
1.2
mm
0.3
mm2
0.5
mm2
0.75
mm2
3~4
[ A]
許容電流
[A]
0.8
1.5
2.5
4.5
1.2
2.0
3.0
69
ケーブル設計
2-14-4
伝送線路の識別方法
同一種類で同一サイズの伝送線路が複数本ケーブルに収容されている場合、相互の
識別が必要になる。その場合の識別方法を下記に示す。
(1) 絶 縁 ・ 被 覆 上 の 識 別
(a) 絶 縁 ・ 被 覆 の 色 を 変 え る 。
(b) 絶 縁 ・ 被 覆 上 に 数 字 ま た は 記 号 を 周 期 的 に 印 字 し て 区 別 す る 。
(c) 絶 縁 ・ 被 覆 上 に ス パ イ ラ ル 状 に 着 色 印 字 ま た は 着 色 し た 樹 脂 を 被 覆 す る 。
(2) 対 撚 ・ 4 コ 撚 で の 識 別
(a) 1 項 で 識 別 し た 伝 送 線 路 の 組 合 せ を 変 化 さ せ る 。
(b) 対 撚 ・ 4 コ 撚 上 に 粗 巻 テ ー プ を 施 し 、 粗 巻 テ ー プ の 色 を 変 え る
(3) 撚 合 せ で の 識 別
(a)ト レ ー サ 挿 入 方 法
(1) 同 心 燃 に 撚 る 。
(2) 第 1 種 対 、 第 2 種 対 、 第 3 種 対 の 絶 縁 被 覆 の 色 を 青 一 青 、 青 一 赤 、
赤一赤とする。
(3) ト レ ー サ 対 と し て 第 1 種 対 、 副 ト レ ー サ 対 と し て 第 2 種 対 と す る 。
(4) 各 層 に ト レ ー サ 対 、副 ト レ ー サ 対 を 1 本 並 べ て 挿 入 し 、他 は 全 て 第 3
種対とする。
(b)ユ ニ ッ ト 撚 を 構 成 し 、 そ の 上 の 粗 巻 テ ー プ の 色 を 変 え る 。
2-15
特殊設計
2-15-1
水中敷設ケーブル
POF ケ ー ブ ル を 水 中 で 敷 設 す る と は ほ と ん ど な い が 、 万 一 、 敷 設 す る 場 合 は 、
(1)
(2)
水 深 に よ っ て 、ケ ー ブ ル は 水 圧 を 受 け る 。(深 さ 10m 当 り 1 気 圧 増 加 す る 。)
潮 流 等 に よ っ て 一 ケ ー ブ ル の 敷 設 時 、及 び 常 時 多 大 な 張 力 が ケ ー ブ ル に か か
る。
(3) 水 中 の 種 々 の 不 純 物 に よ っ て 、 ケ ー ブ ル が 腐 食 す る 。
その為、水中ケーブル設計に際しては下記点に注意する。
(1) 水 深 が 深 い 場 所 に 敷 設 す る 場 合 、水 圧 に よ っ て ケ ー ブ ル に 水 が 侵 入 し な い よ
う、ケーブルコア上に吸水テーフで押え巻する。
(2) 水 深 が 浅 い 時 で も 、 少 な く と も A1/PE ラ ミ ネ ー ト シ ー ス を 施 す こ と 。 (水 深
6m 以 下 で 張 力 が か か ら な い 場 合 に は 可 。 )
(3) POF を 高 圧 の 側 圧 か ら 保 護 す る 為 、POF の 周 囲 を 保 護 材 で 覆 い 、POF が 多
少自由に動ける様な構造にする。
(4) 水 深 が 深 く 、多 大 な 張 力 が か か る 場 合 、鉄 線 外 装 を 施 す 。張 力 が か か ら な い
場合でもケーブルに補強材を挿入する。
(5) 防 水 処 理 を す る 。
70
ケーブル設計
図 2-14-1 水 中 ケ ー ブ ル の 一 例
2-15-2 直 埋 敷 設 ケ ー ブ ル
ケ ー ブ ル を 地 下 に 直 埋 敷 設 す る 場 合 、 ケ ー ブ ル に は 側 圧 荷 重 が か か る 。 特 に POF
は側圧荷重によって伝送損失が増加する為、ケーブル構造を工夫する必要がある。
その対策の一つとしてスチー ルテープを 用い たコルゲートシ ースケーブル がある。
2-15-2-1
コルゲートシースケーブルの外径・重量の算出
コ ル ゲ ー 一 ト シ ー ス ケ ー ブ ル の 仕 上 が り 外 径 及 び 重 量 は 表 2-14-2 に よ る 。
表 2-14-2
コルゲートシース
前の外径 d(mm)
18.3以下
18.3~36.5
36.5~49.4
49.4EL上
2-15-2-2
コルゲートシースケーブルの外径・重量・使用テープ厚
コルゲートシース
後の外径D (mm)
d×1.145+2.4+2.235×t
テープ厚
t(mm)
0.3
0.4
0.5
0.6
重量
(Kg/Km)
1.2πρt D
コルゲートシース後の被覆
コ ル ゲ ー ト シ ー ス 加 工 後 、 PE,PVC 等 の 樹 脂 を 被 覆 す る 場 合 の 被 覆 厚 、 重 量 は
被 覆 厚 (㎜ )=[コ ル ゲ ー ト シ ー ス 加 工 後 の 外 径 ]/25+1.5
重 量 (Kg/ Km)=π ρ ×被 覆 厚 x (コ ル ゲ ー ト シ ー ス 加 工 後 の 外 径 十 被 覆 厚 )
2-15-2-3 .コ ル ゲ ー ト シ ー ス を 同 軸 ケ ー ブ ル の 内 ・ 外 部 導 体 と し て 用 い る 場 合 :
同軸ケーブルの場合、高周波で用いるので電流は導体の表面を流れる。その為、
内部・外部導体は充実した金属を用いるよりも金属テープを縦添えしたものを用
いた方が有利である。その場合、強度を考慮する必要がなく、内・外部導体に導
電 率 の 低 い 厚 さ 0.3~ 0.4 ㎜ 厚 の 銅 テ ー プ や 、 A1 テ ー プ を 縦 添 え 溶 接 加 工 す る 方
法が用いられる。尚、ケーブルの柔軟性を向上させる為、縦添え溶接した後、波
の 深 さ を 約 (外 径 ×0.075mm)程 度 で 波 付 け 加 工 し た 方 法 が 採 用 さ れ る 。
71
ケーブル設計
2-15-3
ガス保守ケーブル
ケーブルを水や湿度から保護する為、ケーブルに乾燥空気を封入する方法は有効で
ある。その場合、一定の空気圧を常時監視しながらケーブルを保守する場合と、最
初 に 空 気 を 封 入 し た 後 、 放 置 す る 場 合 の 2 通 り が あ る 。 (空 気 圧 は 約 0.6 気 圧 程 度 )
POF ケ ー ブ ル の 場 合 、 近 距 離 通 信 伝 送 を 前 提 に す る と 、 ガ ス 保 守 す る の で あ れ ば 、
後者の場合が考えられる。しかし、ガス保守した場合には、ガスがケーブルから外
に漏れると意味をなさないこと、端末処理を(コネクタを含めて)適切に処理をす
る 必 要 が あ る こ と 、又 、ガ ス 保 守 を し て 尚 且 つ コ ネ ク タ 構 造 を 簡 単 に す る 場 合 で も 、
ケ ー ブ ル の 端 末 付 近 で ガ ス ダ ム を 設 け る 必 要 が あ る こ と (ガ ス ダ ム を 作 る 時 、溶 融 樹
脂 を ケ ー ブ ル の コ ア に 充 填 す る )等 の 理 由 で 、ガ ス 保 守 は 考 え ら れ な い 。防 水 構 造 の
ケーブルが必要な場合には、ラミネートシース構造のケーブルを採用し、ケーブル
と コ ネ ク タ を 一 体 成 形 す る こ と を 推 奨 す る 。 POF ケ ー ブ ル は 高 温 に す る と 、 POF
の伝送損失は増加くるので、射出成形温度が低い樹脂を用い、耐熱性のPOFを用
いる。
72
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