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タンパク質の情報科学
明星高等学校講義資料 タンパク質の情報科学 関西学院大学 理工学部生命医化学 藤 博幸 概要 1. タンパク質の復習 2. コンピュータのためのタンパク質の表現 3. 進化的観点から眺めたタンパク質の立体構 造と機能 4. タンパク質の情報解析の具体例 概要 1. タンパク質の復習 2. コンピュータのためのタンパク質の表現 3. 進化的観点から眺めたタンパク質の立体構 造と機能 4. タンパク質の情報解析の具体例 セントラルドグマ 生命の情報の流れ DNA RNA タンパク質 ゲノムからタンパク質機能へ ヒストン DNA 細胞 染色体 タンパク質ータンパク質 相互作用 子 遺伝 機能 タンパク質 遺伝子 水素結合 情報の流れ:転写と翻訳 4種の塩基による文字列 DNA 転写 RNA A-U,G-Cが 相補的になる 翻訳 20種類のアミノ酸による文字列 1方向の流れ セントラルドグマ アミノ酸 Asp (D) Glu (E) アスパラギン酸グルタミン酸 側鎖 R H N H H アミノ基 Cys (C) システイン Tyr (Y) チロシン Ser (S) セリン 主鎖 OH C C 解離性アミノ酸 Lys (K) リジン Arg (R) アルギニン His (H) ヒスチジン Thr (T) スレオニン O カルボキシル基 基本構造 Gly (G) グリシン Ala (A) アラニン Val (V) バリン Leu (L) イソロイシン Ile (I) ロイシン 親水性 アミノ酸 Asn (N) アスパラギン アミノ酸は ”大文字” で表記する 疎水性アミノ酸 Met (M) メチオニン Pro (P) プロリン Phe (F) Trp (W) フェニルアラニン トリプトファン Gln (Q) グルタミン h1p://www.wdic.org/w/SCI/ペプチド結合 タンパク質は20種類のアミノ酸がペプチド結合で つながった紐状の分子 各アミノ酸を1文字で表現すると、一つのタンパク質 は、20種類のアルファベットで構成された文字列 として表すことができる。 アミノ酸配列� ヒト・リゾチームのアミノ酸配列 ���(一文字表記)� >LYC_HUMAN MKALIVLGLVLLSVTVQGKVFERCELARTL KRLGMDGYRGISLANWMCLAKWESGYNTRA TNYNAGDRSTDYGIFQINSRYWCNDGKTPG AVNACHLSCSALLQDNIADAVACAKRVVRD PQGIRAWVAWRNRCQNRDVRQYVQGCGV 148 残基� ヒト・リゾチームの立体構造� 立体構造� 生体高分子の立体構造 配列 遺伝子 タンパク質 >1AUL gtctattagt actaatagac >1QLQ:A RPDFCLEPPYAGACRARIIRYFYNA KAGLCQTFVYGGCRAKRNNFKSAED CLRTCGGA 折りたたみ (エネルギー的に安定) 立体構造 タンパク質のフォールド 内側に疎水性のアミノ酸を隠し、外側には親水性のアミノ酸が 配置されるように折れたたむ タンパク質立体構造の階層性 立体構造をとる二本以上のペプチド鎖 から形成される構造 四次構造 三次構造 (具体例:ヘモグロビンは4つのペプチド鎖が集 まり機能 (αサブユニット×2+βサブユニット×2) 立体構造 立体構造 ドメイン構造 二次構造 一次構造 αへリックス βシート ターン アミノ酸配列 ループ 二次構造 規則的な水素結合のパターンを持つ αへリックス βシート 4残基先のアミノ酸と水素結合を作る 配列上離れた位置にアミノ酸と水素結合を作る 『MOLECULAR CELL BIOLOGY』より引用 三次構造 内側 : 疎水性残基が集まる 外側 : 親水性残基が多い ドメイン : ヘモグロビンα鎖 ・比較的安定な構造をとる単位 ・三次構造より 独自の安定な構造をとる (たいていの場合)小さな構造 ・ドメインは、様々な三次構造 中に見られる 二次構造の組み合わせで、ある形に折りたたまれたもの。 一本のポリペプチドからなる。 四次構造 サブユニット 多量体の呼び方 1本 2本 3本 4本 5本 6本 : : : : : : モノマー ダイマー トリマー テトラマー ペンタマー ヘキサマー ヘモグロビン(2W6V) 生体内で機能しているタンパク質の多くは、四次構造を形成している 複数のポリペプチドによって形成される立体構造 様々な立体構造を持つことで 異なる機能を発現する。 分子機械である。 現在、数千種類の構造型が あると言われている。 各構造が部品として組み合わさり 大きな複合体を作る場合が多い。 構造のバリエーション <<機能のバリエーション 立体構造と機能の関連 • 立体構造と機能は密接に関わっている 酵素の例 化合物A タンパク質 タンパク質 タンパク質 化合物B Bの物質とは 形が合わない 分解 タンパク質 Aの物質と結合 ホルモン受容体 免疫タンパク質 (1EER) (7CEI) 概要 1. タンパク質の復習 2. コンピュータのためのタンパク質の表現 3. 進化的観点から眺めたタンパク質の立体構 造と機能 4. タンパク質の情報解析の具体例 アミノ酸配列� ヒト・リゾチームのアミノ酸配列 ���(一文字表記)� >LYC_HUMAN MKALIVLGLVLLSVTVQGKVFERCELARTL KRLGMDGYRGISLANWMCLAKWESGYNTRA TNYNAGDRSTDYGIFQINSRYWCNDGKTPG AVNACHLSCSALLQDNIADAVACAKRVVRD PQGIRAWVAWRNRCQNRDVRQYVQGCGV 148 残基� ヒト・リゾチームの立体構造� 立体構造� FASTA形式 >LYC_HUMAN ヒト Lysozyme C MKALIVLGLVLLSVTVQGKVFERCELARTLKRLGMDGYRGISLANWMCLAK WESGYNTRATNYNAGDRSTDYGIFQINSRYWCNDGKTPGAVNACHLSCSAL LQDNIADAVACAKRVVRDPQGIRAWVAWRNRCQNRDVRQYVQGCGV “>”で始まる注釈行(通常、配列名)と 改行後に、1文字表記で塩基あるいはアミノ酸の配列を記す書式を FASTA形式 といい、分子系統解析ばかりでなく、バイオインフォ マティクス分野では配列の書式としてよく使われている。 前ページのように、一つのファイルに複数のFASTA形式の 配列がおさめられている場合は、マルチFASTA形式 とよぶ。 タンパク質の立体構造 R E T V G R I L K E D Q N L I S A H G K T I V V 一次構造 ATOM3058NARGA18052.47450.771-5.9591.0049.58N ATOM3059CAARGA18053.50051.352-5.0841.0049.65C ATOM3060CARGA18054.50452.126-5.8991.0050.19C ATOM3061OARGA18055.06453.128-5.4701.0050.39O ATOM3062CBARGA18054.31850.339-4.2691.0050.98C ATOM3063CGARGA18055.25049.428-5.0601.0053.19C ATOM3064CDARGA18056.53748.892-4.4111.0052.49C ATOM3065NEARGA18057.22048.150-5.4641.0052.23N ATOM3066CZARGA18057.89148.774-6.4431.0052.46C ATOM3067NH1ARGA18058.08850.090-6.4391.0052.35N ATOM3068NH2ARGA18058.41748.074-7.4391.0052.66N ATOM3069HARGA18052.33249.806-5.9921.000.00H ATOM3070HEARGA18057.15847.174-5.4851.000.00H ATOM3071HH11ARGA18057.72050.650-5.6981.000.00H ATOM3072HH12ARGA18058.59750.524-7.1811.000.00H ATOM3073HH21ARGA18058.33447.079-7.4571.000.00H ATOM3074HH22ARGA18058.93448.538-8.1591.000.00H カタボライト活性化タンパク質(CAP), 1CGP 立体構造 (1CGP) 立体構造情報(座標データとして表現) 座標情報 >2W36:F 文字列情報 cgatctgtagc (塩基配列) >2W36:B MDYRQLHRWDLPPEEAIKVQNELRKKIKLTPYEGEPEYVAGVALSFPGKEEGLAVIVVLEYPSFKILEVVSERGEITFPYIP GLLAFREGPLFLKAWEKLRTKPDVVVFDGQGLAHPRKLGIASHMGLFIEIPTIGVAKSRLYGTFKMPEDKRCSWSYLYDGEE IIGCVIRTKEGSAPIFVSPGHLMDVESSKRLIKAFTLPGRRIPEPTRLAHIYTQRLKKGLF (アミノ酸配列) 立体構造情報(座標データとして表現) 可視化ソフト 座標情報 立体構造 2w36(pdb) >2W36:F 文字列情報 cgatctgtagc (塩基配列) >2W36:B MDYRQLHRWDLPPEEAIKVQNELRKKIKLTPYEGEPEYVAGVALSFPGKEEGLAVIVVLEYPSFKILEVVSERGEITFPYIP GLLAFREGPLFLKAWEKLRTKPDVVVFDGQGLAHPRKLGIASHMGLFIEIPTIGVAKSRLYGTFKMPEDKRCSWSYLYDGEE IIGCVIRTKEGSAPIFVSPGHLMDVESSKRLIKAFTLPGRRIPEPTRLAHIYTQRLKKGLF (アミノ酸配列) 概要 1. タンパク質の復習 2. コンピュータのためのタンパク質の表現 3. 進化的観点から眺めたタンパク質の立体構 造と機能 4. タンパク質の情報解析の具体例 相同タンパク質 共通の祖先から分岐したタンパク質 相同タンパク質は主に次の2つの機構で形成 ・ 種分化���� ・ 遺伝子重複 分子進化�(Molecular Evolution) �上の機構で分岐した遺伝子に突然変異が生じることで、 �配列が変化していくこと �基本ステップは ・ アミノ酸置換 ・ 挿入/欠失�� ※ ここでいう進化は変化することで、必ずしも高度化や複雑化を意味しない 遺伝 自分のコピー」を作成すること 分子レベルでは、完全な複製 ATGCAGGCTAA ↓ ATGCAGGCTAA 分子進化の原動力 = コピーミス 置換(subs&tu&on) 挿入と欠失 * 5’ –ATTCCCGTGGTCATGTTTCGGGATGTA – 3’ はまとめて INDEL とよぶことも 5’ –ATTCCCGTGGTCGTGTTTCGGGATGTA – 3’ ある。 挿入(inser&on) 5’ –ATTCCCGTGGTCATGTTTCGGGATGTA – 3’ 5’ –ATTCCCGTGGTCAGCTGTTCATGTTTCGGGATGTA – 3’ 欠失 (dele&on) 5’ –ATTCCCGTGGTCATGTTTCGGGATGTA – 3’ 5’ –ATTCCCGTGGTCACGGGATGTA – 3’ 種分化� 祖先型の生物� α 10 20 30 40 50 human VLSPADKTNVKAAWGKVGAHAGEYGAEALERMFLSFPTTKTYFPHFDLSH ::: ::.:.::::::.:.:..::::::::::: :::::::::::::.:: mouse VLSGEDKSNIKAAWGKIGGHGAEYGAEALERMFASFPTTKTYFPHFDVSH 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 human GSAQVKGHGKKVADALTNAVAHVDDMPNALSALSDLHAHKLRVDPVNFKL ::::::::::::::::..:..:.::.:.:::::::::::::::::::::: mouse GSAQVKGHGKKVADALASAAGHLDDLPGALSALSDLHAHKLRVDPVNFKL 60 70 80 90 100 進化� 突然変異� 110 120 130 140 human LSHCLLVTLAAHLPAEFTPAVHASLDKFLASVSTVLTSKYR ::::::::::.: ::.::::::::::::::::::::::::: mouse LSHCLLVTLASHHPADFTPAVHASLDKFLASVSTVLTSKYR 110 120 130 140 20/141 種分化� α α 生物の種分化を反映したタンパク質の増加� 突然変異(mutaMon)と置換(subsMtuMon) 突然変異は集団中の個体に生じる ※ 進化に寄与するのは体細胞ではなく生殖系列 の細胞に生じる突然変異 突然変異(mutaMon)と置換(subsMtuMon) 有害な突然変異は、集団から除去される (負の選択 or純化淘汰) 突然変異(mutaMon)と置換(subsMtuMon) 有利な突然変異は急速に集団中に広まり 集団全体がその突然変異遺伝子で置き換 えられる (正の選択) 工業暗化 (industrial melanism) 白と黒の体色を持つオオモリエダシャク 19世紀後半から、ヨーロッパの工業都市が発展するにつれて、その付近 するガ(蛾)に暗色の変異が増加した 田園都市では淡色型の方が目立ちにくくて小鳥に捕食されずに生き残る 対して工業地帯では煤煙でまわりが黒くなっているため暗化型のほうが にくいため 中立説 自然選択の否定ではない。 あくまでも、タンパク質をコードする遺伝子の分 子レベルの進化についての説 突然変異(mutaMon)と置換(subsMtuMon) 突然変異(mutaMon)と置換(subsMtuMon) 中立な突然変異の頻度はランダムに浮動し 確率的に集団中に固定 (選択的に中立) 固定にいたる途中の過程 多型(polymorphism) タンパク質をコードする遺伝子における 分子レベルの変化の大部分は中立的 中立な変化 自然選択 遺伝子重複 (GeneDuplica&on) Susumu Ohno� (1928 - 2000) Evolution by Gene Duplication (1970)� EvoluMonaryfateandfuncMonalconsequence Gene A Gene A' duplication Gene A Non-processed pseudogene A Function A Non-functionalization (pseudogenization) Gene A Gene B Neofunctionalization Functions A + B Gene A' Subfunctionalization Gene A'' Functions A' + A'' = A ●機能遺伝子の生成 ・重複遺伝子が異なる機能を獲得した例(globin superfamily) 600-800 Million years ago embryonal gene fetal gene adult gene pseudo gene Myoglobin Chromosome 22 450-500 > 300 〜260 150-200 100-140 40-80(?) 40-50 〜35 ε Gγ Aγ δ β ξ2Ψα1α1 θ Ψβ Ψξ1Ψα2α2 Chromosome11 Hemoglobinβ Chromosome16 Hemoglobinα 重複+変異による グロビン蛋白質の進化 Fundamentals of Molecular evotution, GENOMES second edition, Molecular Biology of the Cell 4th editionを改変 4つのサブ ユニットが 協調的に 働き4分子の 酸素と結合 *Myoglobin: ・モノマーで機能 *Hemoglobin: ・ヘテロテトラマー で機能 ・各発生段階で発現 するsubunitの組み合 わせを変える ↓ 酸素分子との親和性 が変化し、段階に応 じた機能が微調整さ れる ex.) α2γ2(胎児期)> α2β2, α2δ2(成体) 遺伝子重複� 祖先配列� 遺伝子重複� アミノ酸の変化� 機能の変化�� 相同タンパク質� : : : : : : : : : : : : : : : : : : 1つの祖先から、機能の多様化を反映した複数のタンパク質が生成� 進化� 祖先遺伝子� 遺伝子重複による α、βの形成� ヒト、ラット �の種分化� paralogous ヒト��������������ラット��������ヒト�������������ラット���� orthologous ヘモグロビンα����ヘモグロビンβ 相同 (homologous)共通祖先から分岐したものの関係 =祖先を共有している ・ orthologous 種分化により分岐したものの関係 ・ paralogous 遺伝子重複により分岐したものの関係 相同なタンパク質には、タンパク質の機能や構造を調べる上で 有用な性質がある。 相同タンパク質の分子進化の性質� 1) 多くのアミノ酸置換は保存的 ��スコア・テーブル 2)�置換や挿入/欠失は、一次構造中不均一に生じる ��機能的制約と構造的制約 (疎水コア、モチーフ) 3)�分子時計 ��置換の数は分岐後の時間に比例 4)�類縁蛋白質の立体構造は保存される ��ホモロジー・モデリングの根拠 5) 機能も基本的には保存的である� 多くのアミノ酸置換は保存的 スコア・テーブル 進化の過程での置換の生じるやすさを数値化� GASTPLIMVDNEQFYWKRHC G5 A12 S112 T0113 P-11106 L-4-2-3-2-36 I-3-1-10-225 M-3-1-2-1-2426 V-10-10-12424 D1000-1-4-2-3-24 N0010-1-3-2-2-222 E0000-1-3-2-2-2314 Q-10-1-10-2-2-1-22124 F-5-4-3-3-5210-1-6-4-5-59 Y-5-3-3-3-5-1-1-2-2-4-2-4-4710 W-7-6-2-5-6-2-5-4-6-7-4-7-50017 K-2-100-1-3-20-20101-5-4-35 R-3-20-10-3-20-2-10-11-4-4236 H-2-1-1-10-2-2-2-21213-20-3026 C-3-20-2-3-6-2-5-2-5-4-5-5-40-8-5-4-312 (1) G,A,S, T, P: 側鎖が小さく親水性 (2) L, I, M, V: 疎水性 (3) D, N, E, Q: 負の電荷を持つ側鎖やそれらと類似した側鎖 (4) F, Y, W: 芳香族の側鎖 (5) K, R, H: 正の電荷を持つ側鎖 (6) C: Cys INDEL = Insertion and Deletion 挿入/欠失� 表面のループなどで 生じやすく、内部の 疎水コアや二次構造 (αヘリック、βストランド) などでは生じにくい� 構造を変化させないような場所に生じやすい� 中立説を支持する 物理化学的に類似するアミノ酸への変化や ループへの挿入欠失 = 構造に影響を及ぼさないような変化 =中立な変化 2)�置換や挿入/欠失は、一次構造中不均一に生じる ��機能的制約と構造的制約 (疎水コア、モチーフ) � Motif A 酵素の活性中心� Motif B 多量体の 会合面� Motif C ��疎水コア 側鎖のパッキングが 密なため。表面近傍は 逆に置換や挿入/欠失 が生じやすい。� モチーフの形成 負の選択と中立説によって説明される モチーフ(=機能的に重要なサイト) に突然変異が生じると、そのような変異を 持つ個体は集団から排除 機能的に重要でないサイトには中立な変化 が蓄積 手順 リゾチームのアミノ酸配列 >LYC_HUMAN ヒト Lysozyme C MKALIVLGLVLLSVTVQGKVFERCELARTLKRLGMDGYRGISLANWMCLAKWESGYNTRATNYNAGDRST DYGIFQINSRYWCNDGKTPGAVNACHLSCSALLQDNIADAVACAKRVVRDPQGIRAWVAWRNRCQNRDVR QYVQGCGV >LYC1_BOVIN ウシ Lysozyme C 1 MKALIILGFLFLSVAVQGKVFERCELARTLKKLGLDGYKGVSLANWLCLTKWESSYNTKATNYNPGSEST DYGIFQINSKWWCNDGKTPNAVDGCHVSCSELMENDIAKAVACAKQIVSEQGITAWVAWKSHCRDHDVSS YVEGCTL >LYC_CHICK ニワトリ Lysozyme C MRSLLILVLCFLPLAALGKVFGRCELAAAMKRHGLDNYRGYSLGNWVCAAKFESNFNTQATNRNTDGSTD YGILQINSRWWCNDGRTPGSRNLCNIPCSALLSSDITASVNCAKKIVSDGNGMNAWVAWRNRCKGTDVQA WIRGCRL >LYC2_ONCMY マス Lysozyme C II MRAVVVLLLVAVASAKVYDRCELARALKASGMDGYAGNSLPNWVCLSKWESSYNTQATNRNTDGSTDYGI FQINSRYWCDDGRTPGAKNVCGIRCSQLLTADLTVAIRCAKRVVLDPNGIGAWVAWRLHCQNQDLRSYVA GCGV >LYC_BOMMO カイコ Lysozyme MQKLIIFALVVLCVGSEAKTFTRCGLVHELRKHGFEENLMRNWVCLVEHESSRDTSKTNTNRNGSKDYGL FQINDRYWCSKGASPGKDCNVKCSDLLTDDITKAAKCAKKIYKRHRFDAWYGWKNHCQGSLPDISSC � >LYSP_DROME ハエ Lysozyme P MKAFLVICALTLTAVATQARTMDRCSLAREMSKLGVPRDQLAKWTCIAQHESSFRTGVVGPANSNGSNDY GIFQINNKYWCKPADGRFSYNECGLSCNALLTDDITNSVKCARKIQRQQGWTAWSTWKYCSGSLPSINSC F 相同なアミノ酸配列の比較解析 挿入や欠失があるので、比較のためには アラインメント (alignment)という処理で、 対応するアミノ酸を並置する必要がある。 アラインメントから様々な情報(例えばモチーフ) を抽出できる。 リゾチームのアミノ酸配列 マルチプル・アラインメント 二次構造情報を重ねて表示�α helix �β strand CLUSTAL W (1.81) multiple sequence alignment ��ヒト ��ウシ ��マス ニワトリ �カイコ ��ハエ� LYC_HUMAN LYC1_BOVIN LYC2_ONCMY LYC_CHICK LYC_BOMMO LYSP_DROME -MKALIVLGLVLLSVTVQGKVFERCELARTLKRLGMDGYRGISLANWMCLAKWESGYNTR -MKALIILGFLFLSVAVQGKVFERCELARTLKKLGLDGYKGVSLANWLCLTKWESSYNTK ----MRAVVVLLLVAVASAKVYDRCELARALKASGMDGYAGNSLPNWVCLSKWESSYNTQ -MRSLLILVLCFLPLAALGKVFGRCELAAAMKRHGLDNYRGYSLGNWVCAAKFESNFNTQ -MQKLIIFALVVLCVGSEAKTFTRCGLVHELRKHGFEENL---MRNWVCLVEHESSRDTS MKAFLVICALTLTAVATQARTMDRCSLAREMSKLGVPRDQ---LAKWTCIAQHESSFRTG : . . .:. ** *. : *. : :* * : **. * LYC_HUMAN LYC1_BOVIN LYC2_ONCMY LYC_CHICK LYC_BOMMO LYSP_DROME ATNYNAGDRSTDYGIFQINSRYWCNDGKTPGAVNACHLSCSALLQDNIADAVACAKRVVR ATNYNPGSESTDYGIFQINSKWWCNDGKTPNAVDGCHVSCSELMENDIAKAVACAKQIVS ATNRN-TDGSTDYGIFQINSRYWCDDGRTPGAKNVCGIRCSQLLTADLTVAIRCAKRVVL ATNRN-TDGSTDYGILQINSRWWCNDGRTPGSRNLCNIPCSALLSSDITASVNCAKKIVS KTNTN-RNGSKDYGLFQINDRYWCS--KGASPGKDCNVKCSDLLTDDITKAAKCAKKIYK VVGPANSNGSNDYGIFQINNKYWCKPADGRFSYNECGLSCNALLTDDITNSVKCARKIQR .. . *.***::***.::**. . . * : *. *: ::: : **::: LYC_HUMAN LYC1_BOVIN LYC2_ONCMY LYC_CHICK LYC_BOMMO LYSP_DROME DPQGIRAWVAWRNRCQNRDVRQYVQGCGV E-QGITAWVAWKSHCRDHDVSSYVEGCTL DPNGIGAWVAWRLHCQNQDLRSYVAGCGV DGNGMNAWVAWRNRCKGTDVQAWIRGCRL R-HRFDAWYGWKNHCQGS--LPDISSC-Q-QGWTAWSTWK-YCSGS--LPSINSCF: ** *: * . : .* 概要 1. タンパク質の復習 2. コンピュータのためのタンパク質の表現 3. 進化的観点から眺めたタンパク質の立体構 造と機能 4. タンパク質の情報解析の具体例 HIV阻害薬のターゲット探索 -モチーフの利用- セントラルドグマ DNA 転写 逆転写 レトロウイルスを含む レトロエレメント RNA 翻訳 protein レトロウイルス・プロテアーゼのコンセンサス配列� � � � � (Hydrophobic)-Asp-Thr-Gly-(Small Hydrophilic)� 立体構造はPDBから得た.。 PDBID=7HVP モチーフ配列は、酸性プロテアーゼの活性中心に類似 ������ ��� 予 測 レトロウイルスのプロテアーゼは酸性プロテアーゼである。 H. Toh et al. EMBO J. 4, 1267 (1985) H. Toh etal.Nature 315, 691 (1985) ������������ 実 験 [1]既知酸性プロテアーゼの立体構造を鋳型としたHIVプロテアーゼのホモロジー・モデリン グ L.H. Pearl and W.R. Taylor, Nature 329, 351 (1987). [2]酸性プロテーゼ阻害剤(ペプスタチン)によるHIVプロテアーゼの阻害 R.F. Nuttetal.Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 7129 (1988). P.L. Darke etal.J. Biol. Chem. 264, 2307 (1989). 検 証 X線結晶構造解析からHIVプロテアーゼは酸性プロテーゼと類似の構造である。 M. Miller etal.Science 246, 1149 (1989). 実験可能で信頼性のある仮説を構築 バイオインフォマティクスの一つの役割 実験にかかるコスト(時間、金)を削減 分子進化に基づく生体機能の解析