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2016年 研究科・学部 概要 - 京都大学 大学院教育学研究科・教育学部

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2016年 研究科・学部 概要 - 京都大学 大学院教育学研究科・教育学部
京都大学
大学院教育学研究科
教育学部
平成 28 年度 概要
Graduate School of Education,and
Faculty of Education,
Kyoto University
心・人 間・社 会 を 探 究 し 、
未 来の 教 育 を 創 造 する 。
01 研究科長・学部長あいさつ
25 附属 臨床教育実践研究センタ−
02 沿革
26 心理教育相談室
03 略年譜・歴代教育学部長及び教育学研究科長
27 教育実践コラボレーション・センター
04 教育学部・教育学研究科の教育目的
30 博士課程教育リーディングプログラム
04 カリキュラムポリシー・ディプロマポリシー
31 刊行物・図書室
05 機能
32 教職員・学生数・進路等の現況
06 管理運営組織・研究教育組織
34 アクセス
07 大学院教育学研究科
22 教育学部
ごあいさつ
高見 茂
京都大学大学院教育学研究科長
教育学部長
京都大学教育学部は、1906年(明治39年)
の京都帝國大学文科大学の教育學教授法講座
を前身とし、第二次世界大戦後の1949年(昭和24年)
に設立されました。
ほぼ同時期にスター
トした大学院教育学研究科は、
1998年
(平成10年)
に大学院重点化
(大学院の部局化)
が行わ
れました。
学部と研究科の両方を合わせて、
広い意味での教育学の研究とその研究者の養成、
教
育学を学ぶ学生の教育、全学の教職教育の責任部局という責務を担っており、
これまでおよそ
5872名の卒業生・修了生を送り出し、各界で活躍する有為な人材の輩出に貢献してきました。
なお、
同窓会として、
京都大学教育学部同窓会
(京友会)
を組織しています。
教育学部は、教育と人間にかかわる多様な事象を対象とした諸科学を学ぶことで、心・人間・
社会についての専門的識見を養成し、広い視野と異質なものへの理解、多面的・総合的な思考
力と批判的判断力を形成し、
人間らしさを擁護し促進する態度を啓培することで、
地球社会の調
和ある共存に貢献できる人材を育成することを目的としています。学部3年次からは、現代教育
基礎学系、教育心理学系、相関教育システム論系のいずれかに分属し、専門的な教育を受ける
教育システムであり、
どの系も伝統的に卒業論文の作成を重視しています。
教育学研究科は、学内の高等教育研究開発推進センター、
こころの未来研究センターなどの
教員の協力を得て、
教育科学専攻
(教育学、
教育方法学、
教育認知心理学、
教育社会学、
生涯教
育学、
比較教育政策学、
高等教育開発論)
と臨床教育学専攻
(臨床教育学、
心理臨床学、
臨床実
践指導学、臨床心理実践学)
の2専攻11講座に分かれて、高度な研究・教育を行っています。
そ
の際、教員も学生も狭い専門分野に閉じこもることなく、相互の密な連携のもとに進めることを
重視してきました。
グローバルCOE
「心が活きる教育のための国際拠点」
と特別研究経費
(教育
改革)
による
「子どもの生命性と有能性を育てる教育・研究推進事業」
という2つのプロジェクト
(平成19年度∼23年度)
の活動は、
そのような方針から実施されたものです。
最近では、
複数の博士課程教育リーディングプログラムに関与しつつ研究・教育をすすめてい
ます。具体的には、京都大学大学院思修館(平成23年度採択)、
グローバル生存学大学院連携
プログラム
(平成23年度採択)、
デザイン学大学院連携プログラム
(平成24年度採択)、霊長類
学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院
(平成25年度採択)
との連携を行っています。
本部局の研究の特徴は、
理論倒れでなく、
実践重視というところにあります。
1980年
(昭和55
年)
には、
わが国最初の心理教育相談室が正式に開設され、1997年(平成9年)
には、
それを発
展的に改組した附属臨床教育実践研究センターが設置され、
心理教育相談にあたってきました。
2006年(平成18年)
からは、全国の希望者に研修機会を提供するE.FORUMを開始しました。
2007年
(平成19年)
には、
「子どもの生命性と有能性を育てる教育・研究推進事業」
を推進する
ために教育実践コラボレーション・センターを設置し、
学校や地域との連携、
国際的情報発信を
行っています。
さらに2013年
(平成25年)
には
「地
(知)
の拠点準備事業:大学COC事業」
に採択
され、
特に学校や地域連携の強化を図り、
地域貢献と地域資源の教育活用を進めています。
最後に、教育の持つ力について申し上げます。教育は人の人生に大きな影響を及ぼします。教
育を通じて獲得された知識、思想、技能は、直接教育機会を得た個人を超えて社会全体に広範
囲に広がる特徴
(いわゆる教育の漏出効果)
があり、
それは社会の安定や経済の成長の礎となる
ものです。近年は、特に知識を中心とした無形資産―たとえば研究開発投資や人材育成のため
の人的投資こそが、物的資産の産出よりも効果的な経済成長を促すものとして認識されつつあ
ります。
ゆえに教育分野の研究対象は経済との交錯分野にまで拡がりつつあると指摘できます。
しかし、
教育の漏出効果は極めて大きいものであることから、
社会全体に拡がる知識、
思想、
技
能の内容と質についても留意する必要があります。問題のある知識、思想、技能も漏出効果を内
包することから、
条件次第では広く社会全体に拡がる危険性も否定できません。
したがって、
いか
に正しい知識や思想をきちんと伝えていくかが重要になるのです。
そこに批判的な思考や判断が
重視される所以があります。
1
大学院教育学研究科・教育学部の歩み
2
京都大学大学院教育学研究科は、今日、重要な社会問題となってい
昭和55年、急激な社会の変化に伴う青少年の発達上の問題にかか
る教育状況に鑑み、21世紀における社会に貢献し得る人材の育成及
わる教育相談と治療的な援助を行うために、臨床心理学の研究教育を
び理論的、実践的研究の高度化を図るため、平成10年4月から、大学
基礎にして、広く社会に開かれたわが国最初の心理教育相談室が正式
院を中心とする教育学研究科として新たな発展をめざすことになった。
に開設された。
ここでの教育研究及び実践的活動の蓄積をもとに、平
この研究科の基礎である京都大学教育学部は、昭和24年に新制京
成9年4月には、
それを発展させた附属臨床教育実践研究センターが
都大学の発足と同時に新しく設置されたが、
その母体となったのは、明
設置された。
さらに平成12年4月からは臨床実践指導研究分野が増設
治39年(1906年)6月に京都帝国大学文科大学に設置された教育学
され、4分野と相談室の構成となりいっそう充実した。
教授法講座、
昭和24年7月に設置された教育学教授法第二講座、
昭和
大学院教育学研究科は、昭和28年4月から、教育学及び教育方法
25年5月に設置された教育心理学講座の3講座である。昭和26年4月
学の2専攻をもって発足した。
その後、学問の進展と、
とりわけ心理教育
には、文学部より教育学教授法第二講座(昭和27年に教育哲学講座、
相談分野からの大学院教育に対する社会的な要請と気運の増大に鑑
昭和39年に教育人間学講座と名称変更)
と教育心理学講座が移管さ
みて、昭和63年度から教育学と臨床心理学の研究教育及び実践的研
れ、新たに設置された教育史講座と教育方法学講座(昭和27年2月に
究の緊密な連携を図る新しい分野として、
わが国で最初の臨床教育学
教育指導学講座と名称変更)
により、
草創期の教育学部は出発した。
専攻が独立専攻として設置され、臨床教育に関する専門的知見を有す
その後、教育学教授法講座(昭和39年に教育学講座と名称変更)
る在職社会人に対しても、
さらに高度の専門的能力を養うために修士
が、旧制文学部学生の卒業を待って、昭和28年8月に文学部から移
課程入学の途を開いた
(第2種)。平成10年4月からは、
これまでの教育
管されるとともに、逐次新しい講座が増設され、研究教育体制が次第
研究のさらなる高度化を図るために、大学院を中心とする整備と重点
に整備されていった。すなわち、教育社会学講座と教育行政学講座
化を行い、大学院教育学研究科として出発することになった。
この新し
(昭和27年4月設置)、図書館学講座(昭和28年5月設置)、教育社会
く発足した大学院教育学研究科は、教育科学・臨床教育学の2専攻に
学第二講座(昭和28年8月設置、昭和39年2月に社会教育学講座と
改め、附属臨床教育実践研究センターと高等教育教授システム開発セ
名称変更)、教育課程講座(昭和29年4月設置)、教育心理学第二講
ンター(現 高等教育研究開発推進センター)
の協力を得て、基幹講座
座(昭和33年4月設置、昭和39年2月に臨床心理学講座と名称変
8,協力講座2に再編成され、
さらに平成16年4月に臨床教育学専攻に
更)
が相次いで設置された。
臨床実践指導学講座が設置され、基幹講座9、協力講座2となった。
ま
さらに比較教育学講座(昭和40年4月設置)、視聴覚教育講座(昭和
た、平成11年4月から、高度な専門職業人の養成に向けて、教育科学
46年4月設置)、児童・青年心理学講座(昭和58年設置、
その後、昭和
専攻に専修コース
(修士課程)
が、平成16年4月から臨床実践指導者と
63年の独立専攻「臨床教育学」
の設置に伴って発展的に解消し、臨床
いう新しいタイプの専門家の養成をめざすべく、臨床教育学専攻に臨
人格心理学講座と名称変更)、生涯学習計画講座(平成4年4月設置)
床実践指導者養成コース
(博士後期課程)
が設置された。
の設置をみた。昭和51年には、学部の課程をこれまでの1学科編成か
以上のように、京都大学教育学部及び同大学院教育学研究科にお
ら教育学科・教育心理学科・教育社会学科の3学科編成に改めた。
さら
いては、実践と研究の密接な連携のもとに、
わが国における先端的な研
に平成10年には大学院重点化に伴い、現代教育基礎学系・教育心理
究及び教育をつうじて有用な人材を育成し、学界並びに社会に貢献す
学系・相関教育システム論系の3大学科目
(系)
からなる教育科学科に
る高度な研究教育機関としての役割を果たすことに努めてきたし、今後
再編成し、新たな展開を図ることになった。
も努めていきたい。
大学院教育学研究科・教育学部の略年譜
昭和24年(1949)「京都大学教育学部」
発足
「教育学教授法第二講座」
を文学部に設置
を文学部に設置
昭和25年(1950)「教育心理学講座」
「教育心理学講座」
を
昭和26年(1951)「教育学教授法第二講座」
文学部から教育学部に移管
「教育史講座」
「教育方法学講座」
を設置
昭和46年(1971)「視聴覚教育講座」
を設置
昭和51年(1976) 学科編成を1学科
(教育学科)制から3学科(教育学科・
教育心理学科・教育社会学科)
編成に改組
昭和55年(1980)「京都大学教育学部心理教育相談室」
を開設
昭和58年(1983)「児童・青年心理学講座」
を設置
社会人の3年次編入制度を開設
「教育行政学講座」
を設置
昭和27年(1952)「教育社会学講座」
昭和63年(1988) 大学院に
「臨床教育学専攻」
(「臨床教育学講座」
「臨床
「教育方法学講座」
を
「教育指導学講座」
に、
人格心理学講座」)
を設置(「児童・青年心理学講座」
は
「教育学教授法第二講座」
を
「教育哲学講座」
に改称
「教育社会学第二講座」
を設置
昭和28年(1953)「図書館学講座」
発展的解消)
平成 4年(1992)「生涯学習計画講座」
を設置
「教育学教授法講座」
を文学部から移管
平成 9年(1997)「附属臨床教育実践研究センター」
を設置
「京都大学大学院教育学研究科」
が発足
平成10年(1998) 教育学部及び教育学研究科の再編、
大学院重点化によ
を設置
昭和29年(1954)「教育課程講座」
り
「京都大学大学院教育学研究科
(教育学部)」発足
の創刊
昭和30年(1955)『京都大学教育学部紀要』
平成11年(1999) 大学院に
「専修コース」
(修士課程)
発足
を設置
昭和33年(1958)「教育心理学第二講座」
平成12年(2000) 附属臨床教育実践研究センターに
「臨床実践指導研究
を
「教育人間学講座」
に、
「教育学教授
昭和39年(1964)「教育哲学講座」
法講座」
を
「教育学講座」
に、
「 教育社会学第二講座」
を
「社会教育学講座」
に、
「教育心理学第二講座」
を
「臨床
心理学講座」
に改称
分野」
を開設
平成16年(2004)「臨床実践指導学講座」
を設置
大学院に
「臨床実践指導者養成コース」
(博士後期課程)
発足
を設置
昭和40年(1965)「比較教育学講座」
歴代教育学部長及び教育学研究科長
15. 4. 1∼15.12.16 東山 紘久
45.10.19∼46. 1.31 小倉 親雄 *
61. 4. 1∼63. 3.31 和田 修二
25. 9. 9∼26. 4. 1 宮崎 市定 *
46.02. 1∼47. 3.31 前田 博
63. 4. 1∼平 2.3.31 稲葉 宏雄
15.12.16∼17. 3.31 藤原 勝紀
26. 4. 1∼29. 4. 1 下程 勇吉
47. 4. 1∼49. 3.31 小倉 親雄
平成 2. 4. 1∼ 4. 3.31 柴野 昌山
17. 4. 1∼20. 3.31 川崎 良孝
29. 4. 1∼30. 4. 1 重松 俊明
49. 4. 1∼50.12. 1 兵頭 泰三
4. 4. 1∼ 6. 3.31 岡田 渥美
20. 4. 1∼22. 3.31 矢野 智司
30. 4. 1∼34.12.31 高坂 正顕
50.12. 1∼51. 3.31 渡邊 洋二
6. 4. 1∼ 8. 3.31 高木 英明
22. 4. 1∼24. 3.31 辻本 雅史
35. 1. 1∼37.12.31 篠原 陽二
51. 4. 1∼52. 3.31 梅本 堯夫
8. 4. 1∼10. 3.31 上杉 孝實
24. 4. 1∼26. 3.31 前平 泰志
38. 1. 1∼40.12.31 重松 俊明
52. 4. 1∼55. 3.31 蜂屋 慶
10. 4. 1∼13. 3.31 竹内 洋
26. 4. 1∼28. 3.31 子安 増生
41. 1. 1∼44.12.31 鯵坂 二夫
55. 4. 1∼58. 3.31 河合 隼雄
13. 4. 1∼14. 4. 1 山中 康裕
28. 4. 1∼
45. 1. 1∼45.10.19 姫岡 勤
58. 4. 1∼61. 3.31 小林 哲也
14. 4. 1∼15. 3.31 皇 紀夫
昭和24. 6. 1∼25. 9. 9 原 隨園 *
高見 茂
*は、教育学部長事務取扱
3
教育学部・教育学研究科の教育目的・カリキュラムポリシー・ディプロマポリシー
教育学部
【教育学部の教育目的】
教育学研究科
【教育学研究科の目的】
本学部は、教育と人間にかかわる多様な事象を対象とした諸科学を
本研究科は、教育と人間にかかわる多様な事象を対象とした諸科学
学ぶことで、心・人間・社会についての専門的識見を養成し、
さらに、広
を考究することで、理論と実践とを結びつけた心・人間・社会について
い視野と異質なものへの理解、多面的・総合的な思考力と批判的判断
の専門的に高度な識見ならびに卓越した研究能力を養成し、
さらに、
力を形成し、人間らしさを擁護し促進する態度を啓培することで、地球
広い視野と異質なものへの理解、多面的・総合的な思考力と批判的判
社会の調和ある共存に貢献できる人材の育成を目的とする。
断力を形成し、人間らしさを擁護し促進する態度を啓培することで、地
【教育学部のカリキュラム・ポリシー】
多様かつ調和のとれた教育体系のもと、一般教育と専門教育を有機
的に関連させながら、高度な一般教育と幅広い専門教育を実現するこ
とで、本学部の教育目的を達成する。
【教育学部のディプロマ・ポリシー】
1.本学部の教育目的に沿って設定された授業科目を履修し、基準とな
る単位数を修得することが、学位授与の必要要件である。修得すべき
授業科目の中には、講義のみならず、演習、実習、実験、
フィールドワー
クそして卒業論文作成等が含まれる。
2.本学部の教育目的で明示されている、心・人間・社会についての専門
的識見、広い視野と異質なものへの理解、多面的・総合的な思考力と
球社会の調和ある共存に貢献できる高度な専門能力を持つ人材の育
成を目的とする。
【教育学研究科のカリキュラム・ポリシー】
多様かつ調和のとれた教育体系のもと、学生の自発的な研究活動を
支援し、理論と実践とを融合し、学際的・国際的なフィールド経験を重
視した教育を実現することで、本研究科の教育目的を達成する。
【教育学研究科(修士課程)
のディプロマ・ポリシー】
1.本研究科の教育目的に沿って設定された授業科目を履修し、基準と
なる単位数を修得することが、修士の学位授与の必要要件である。
修得すべき授業科目の中には、講義のみならず、演習、実習、実験、
フィールドワークそして修士論文作成等が含まれる。
批判的判断力、人間らしさを擁護し促進する態度、
が学習成果として
2.本研究科の教育目的で明示されている、理論と実践とを結びつけた
実現されているかどうか、
さらにはその結果として地球社会の調和あ
心・人間・社会についての専門的に高度な識見ならびに卓越した研
る共存に貢献できる人材となっているかどうかが、課程修了の具体的
究能力、広い視野と異質なものへの理解、多面的・総合的な思考力と
な目安となる。
批判的判断力、人間らしさを擁護し促進する態度、
が研究成果として
実現されているかどうか、
さらにはその結果として地球社会の調和あ
る共存に貢献できる人材となっているかどうかが、課程修了の具体
的な目安となる。
【教育学研究科(博士後期課程)
のディプロマ・ポリシー】
理論と実践とを結びつけた心・人間・社会についての専門的に高度
な識見ならびに卓越性と独創性を発揮しうる研究能力、広い視野と異
質なものへの理解、多面的・総合的な思考力と批判的判断力、人間ら
しさを擁護し促進する態度、
が研究成果として実現されているかどうか、
さらにはその成果として地球社会の調和ある共存に貢献できる人材と
なっているかどうかが、課程修了の具体的な目安となる。
専門的能力を担保するために、
自主的な課題研究とその成果を学位
論文等の形でまとめ、客観的な評価を受けることが必要である。
4
教育学研究科・教育学部の機能
教育学研究科及び教育学部は、教育
高度な教育関係専門家を養成する専修コース※1)
関連諸科学の研究機能のほか、四つ
の主たる機能を展開している。
臨床心理士としての実務経験を基礎にし、同時に心理臨床
学研究にも造詣の深い臨床実践指導者という新しいタイプ
臨床実践
指導者養成
コース
専修
コース
の専門家の養成をめざす臨床実践指導者養成コース※2)
学位(修士・博士)
にいたる
教育関連諸科学の
大学院レベルにおける
高度な研究と教育
中学校・高等学校教員※3)
社会教育主事
学芸員・図書館司書
学校図書館司書教諭
教育学研究科
教育学部
臨床心理士等の
教育関連諸科学に関する
学部レベルにおける
基礎的・専門的教育
資格付与
教員・スクールカウンセラー等
の社会人現職教育及び
心理教育相談※4)
絵:山中 康裕
※1)教育科学研究者を志望する学生とは別に、
より高い水準の教育関係専門家をめざす在職社会人や、高度で幅広い生涯学習の継続希望者を中心としたコースで、現代
教育論専修、人間文化論専修及び教育政策論専修の3専修からなる。
※2)臨床心理士資格取得後5年以上の臨床実践経験を有し資格更新を行った社会人を中心としたコースで、
臨床心理士にさらに高度な専門的能力を涵養するための理論
的・実践的活動を行っている。
※3)
中学校・高等学校教員の資格付与に関しては、全学の教員資格取得希望者のために、本研究科及び学部が、教職専門科目の授業、教育実習のためのオリエンテ−ショ
ンと講義、教育実習及び介護等体験の事務等を行っている。
※4)昭和55年の開設以来、心に悩みをもつ子どもや成人のために、専門的な心理学的援助と心理治療的実践活動を行っている。
5
管理運営組織
教育学研究科及び教育学部の管理運営は、教育学研究科教授会・研究科会議・教育学部教授会を決定機関として、
以下のような組織によって行われている。
本部構内
(文系)
共通事務部
総務課・経理課
事務長
教育学研究科教授会
教育学研究科会議
教育学部教授会
教育学研究科長
(教育学部長)
高等教育研究開発推進センター
(高等教育教授システム研究開発部門)
総務掛
教務掛
教職教務掛
図書掛
こころの未来研究センター
連携等
京都教育大学・教育委員会
教育センター・公私立学校
自己点検・評価委員会
学生委員会
教務委員会
予算委員会
制度検討委員会
近未来計画策定委員会
センター委員会
センター長
センター会議
心理教育相談室
運営会議
心理教育相談室長
運営委員会
附属臨床教育実践研究センター
研究教育組織
大学院教育学研究科の研究教育組織は、2専攻11講座で構成され、教育学部組織は、1学科3大学科目
(系)
である。
講座
大学科目
(系)
現代教育基礎学
教育科学専攻
教育学部
相関教育システム論
臨床教育学専攻
臨床教育学
心理臨床学
臨床実践指導学
臨床心理実践学※
臨床実践指導者養成コース
(博士後期課程)
教育科学科
教育心理学
教育学研究科
教育学
教育方法学
教育認知心理学
教育社会学
生涯教育学
比較教育政策学
高等教育開発論※
専修コース
(修士課程)
※協力講座
6
教育学講座
教育学、教育史学、教育哲学
教育方法学講座
教育方法学、発達教育論、発達心理学
教育認知心理学講座
教育心理学、認知心理学、発達心理学
臨床教育学講座
臨床教育人間学、臨床教育学、教育人間学
教育社会学講座
教育社会学、臨床社会学
心理臨床学講座
心理臨床学、臨床人格心理学
生涯教育学講座
生涯教育学、図書館情報学、
メディア学・広報学
臨床実践指導学講座
臨床実践指導学
比較教育政策学講座
比較教育学、
比較政策学、教育政策学、教育行政学
臨床心理実践学講座
臨床実践学、臨床人間形成学
高等教育開発論講座
大学教授法、大学評価システム、大学教育課程、
大学教育評価論、大学教育評価システム
大学院教育学研究科
教育科学専攻/臨床教育学専攻
Graduate School of Education
教育科学専攻
臨床教育学専攻
教育学講座
臨床教育学講座
教育方法学講座
心理臨床学講座
教育認知心理学講座
臨床実践指導学講座
教育社会学講座
臨床心理実践学講座
生涯教育学講座
比較教育政策学講座
高等教育開発論講座
7
大学院教育学研究科
教育学研究科は教育科学専攻と臨床教育学専攻の2つの専攻で構成されている。
教育科学専攻
教育科学専攻は、
「 人間の発達・学習の過程や、それらを促進するための教
育方法・技術のあり方、空間的な広がりと時間的な深まりを押さえた教育計画
などについて、諸科学からアプローチするものであり、
また現代教育の諸問題を
総合的・学際的に研究するものであって、理論と実践の結合を目指した教育」
を
目的としている。
臨床教育学専攻
臨床教育学専攻は、
「 教育の個別性を重視し、個人が生き、悩む臨床の場の
なかで、問題の解決に当たり、そこからの教育の再構築を図るもので、
こころと
人間の問題を中心にして、人間形成に関わる人間関係や環境の分析を行い、心
理療法の開発や教育実践に寄与すること」
を目的としている。
両専攻ともに、京都大学としての教育にかかわる基本的な目標「豊かな教養と
人間性を備え、責任を重んじ」
る人材の育成という観点をふまえながら、教育学
研究科の個性に即してその具体化に努めている。
各専攻にはメイントラックの研究者養成とは異なるコースが設置されており、
それぞれの目的は、下記の通りである。
教育科学専攻には専修コース
(修士課程)があり、
「 各専門分野が相互に協
力・連携して、人間の生成と教育に関する広範で複雑な諸現象に、総合的、学際
的にアプローチ」
することを目的としている。
臨床教育学専攻には第2種(修士課程)
と臨床実践指導者養成コース
(博士
後期課程)がある。第2種は、
「 臨床心理学と教育学を統合したより包括的・実
践的な青少年の人格研究」
とあわせて高度な教育相談の専門家の養成と現職
教員の再教育を行おうとするものである。
また臨床実践指導者養成コースは、
臨床心理士の有資格者を対象として
「少人数教育のなかで体験に基づく討議
とその討議をふまえた理論化」によりさらに高度の専門的能力を涵養しようと
するものである。
8
大学院教育学研究科
教育科学専攻
教育学講座
本講座は教育学分野と教育史分野から成る。教育学分野は、人間の
生成と実践を含む教育の諸課題を哲学的・思想史的に探求すると同
時に、歴史人類学などの成果にもとづきつつ、教育文化を幅広く考察
対象としている。教育史分野は、教育の思想や文化、制度や実践等を、
歴史研究の方法によって解明している。
いずれも教育を、近代の学校
教育に限ることなく大きな歴史や社会の視点からとらえるとともに、教
育的営為がもつ多義的な側面に留意し、教育および教育学を反省的
にとらえようとする視点を重視し、現代の教育や人間に関わる諸問題
を学問的に読み解くよう、
つとめている。
教員紹介
鈴木 晶子
教授
教育哲学:教育詩学・歴史人類学
駒込 武
教授
教育史学:植民地教育史
人間は環境世界との関係の中で、何をどのように学び、次
日本の近代と東アジアの近代が交錯する地点で、
教育の歴
世代に伝えているのだろうか?伝統的なわざの修練にお
史を考察している。教育は、複数の民族集団のあいだの格
ける創造的模倣(ミメーシス)
はもちろんのこと、儀礼や儀
差をつくりだし、固定化する傾向を持つと同時に、
このよう
式における演劇的行動(パフォーマンス)
を通して、人間は
な仕組みを認識し、
批判し、
つくりかえていく力をもたらしも
理性や悟性といった知性だけではなく、
身体や感性・感情
する。
そうした両義性に着目しながら研究を進めている。
著
を働かせて学んでいる。
その人らしさといったいわば個性
書として、
『世界史のなかの台湾植民地支配―台南長老教
や流儀(スタイル)
を把握する能力
(タクト)
を学習の鍵とし
中学校からの視座』
(2015年)、
『戦時下学問の統制と動
て捉える立場から、わざの修練や伝承の場面、学校や家
員』
(2011年、
共編)
『
、帝国と学校』
(2007年、
共編)
など。
庭、社会での伝達・学習の場面をフィールドとして、詩学や
人類学の手法で調査研究している。
山名 淳
准教授
教育哲学:教育思想研究、教育学説史
今日における人間形成や教育の問題を考えるために、
人間
田中 智子
准教授
教育史学:近代日本高等教育史
※平成28年10月1日着任予定
日本の近代とはすなわち
「学校創設の時代」
である――と思
わせるほど、
明治の地方紙は教育関係の記事に満ちている。
の変容とそれに介入する営み
(=教育)
に関する捉え方の
資金も人材も足りないがゆえに、
地方長官、
府県の役人、
議
変遷を、
歴史的・社会的文脈の変化との照合関係をも意識
員、
宣教師、
医師、
学者、
旧藩主、
そして文部省等々、
多様な
しつつ辿ることを試みている。
ドイツの教育思想史を主たる
主体がからみ合って教育の場が形づくられていく。
その混沌
フィールドとしており、19・20世紀転換期における新教育
とした実態と制度を研究してきた。
「官立」
「公立」
「私立」
の
運動の理論および実践の研究を主要テーマとしてかかげて
境界も流動的な開化期から、
徐々に枠組みが整い出し、
関
いる。
理論的にはルーマンのシステム理論を基盤にして、
人
係勢力も変容する20世紀以降へと手を拡げつつある。
間形成に関する制度の哲学的考察を構想している。
ファンステーンパール ニールス 准教授
教育史学:近世教育・思想史、
メディア、道徳文化
近世日本の教育史において、義務教育がなかったという
点は、
もっとも重大な前提であり、我々の現代的な常識を
捉えなおせる視点でもある。
つまり、政府によって教育内
容はもちろん、教育それ自体が規制されていない環境の
中、人々はいったい何を、何のために勉強していたのか。
そ
して、
そのために必要となる知をどのようにして手に入れて
いたのか。
この根本的問いと葛藤することを通じて、近世
的な人間形成の有り様を解明するのが研究の基盤となる。
もう少し絞った課
題として、道徳を一人個人の
「主体性」
の問題としてではなく、環境や物質文化
と密接する文化的表象としてとらえる、
「道徳文化」
の研究を行っている。
9
大学院教育学研究科
教育科学専攻
教育方法学講座
本講座は、教育方法と発達教育の二つの分野を含む。両分野とも、
フィールドワークを重視していることが特徴である。教育方法分野
は、初等・中等教育を中心的対象としつつも、就学前から高等教育に亘る全過程でのカリキュラム、
および指導方法と教育評価に関
する理論構築を目指している。発達教育分野は、発達科学のアプローチから人間の発達原理を解明し、新たな人間発達のモデルを
構築するとともに、
それを基盤とした発達障害の科学的理解を目指している。
教員紹介
田中 耕治
教授
教育方法学:学力論、授業論、評価論
私の研究活動は、三つの柱に整理できる。第一は
「アメリ
准教授
日米のカリキュラム研究、授業研究の蓄積に学びながら、
カにおけるカリキュラム評価研究」、第二は
「日本における
学校で保障すべき学力の中身とその形成の方法論につい
学力評価研究」、第三は
「評価を生かす授業設計と検証」
。
て理論的・実践的に研究している。特に、授業を硬直化さ
「教育評価」
に注目するのは、
「教え」
と
「学び」
の接点に働
せるのではなく、
むしろ柔軟で創造的なものにするような、
く
「羅針盤」
であり、
「教育的認識論」
を深化させる方法論
目標の明確化とそれに基づく評価のあり方について考え
であるから。著書に
『時代を拓いた教師たち』
(日本標準)、
ている。主な著書に
『現代アメリカにおける学力形成論の
『教育評価』
(岩波書店)
などがある。
[E-mail][email protected]
西岡 加名恵
展開』
( 単著・東信堂)、
『 今求められる学力と学びとは』
(単著・日本標準)
などがある。
[E-mail][email protected]
准教授
教育方法学:カリキュラム論、教育評価論
学校のカリキュラム
(教育課程)
は、社会に存在する文化
から次世代に伝えたい部分を選び取って組み立てられる。
そのような選び取りがどのように行われているか/行われ
るべきかに関心を持っている。英米における実態調査や、
日本の学校でのアクション・リサーチ
(開発研究)
を進めて
いる。主な著書に、
『教科と総合に活かすポートフォリオ評
価法』
(単著、図書文化)、
『「活用する力」
を育てる授業と
評価・中学校』
(共編著、学事出版)
などがある。
[E-mail][email protected]
10
石井 英真
教育方法学: 学力論、授業論、教育評価論
教員紹介
明和 政子
教授
発達科学・比較認知科学:人間の心の発達とその進化史的基盤
人間の形態的な特徴と同様、
目には見えない人間の心の
今福 理博
特定助教
発達科学・発達心理学:乳幼児の言語獲得、社会的認知、環境との相互作用
対人コミュニケーションを支えるヒトの心の働きとその個
はたらきも、進化的淘汰の産物です。人間らしい心とはど
体発生を、眼球運動計測、
身体運動計測、脳機能計測な
のようなものか
(what)
を知るには、
それが
「いつ
(when)
・
どの手法を用いて明らかにすることを目指しています。特
どのように
(how)
・なぜ
(why)生まれてくるのか」
を明らか
に、乳幼児の言語獲得や社会的認知の発達について研究
にする必要があります。私は、人間の心の発達とその進化
を行っています。近年は、
これらの発達に問題をおうリスク
史的基盤を、個を取り巻く他者、社会、文化との関係にお
の高い乳幼児に対する発達評価、支援を視野に入れた実
いて解き明かそうとしています。
おもな著書に
『なぜ
「まね」
証研究も行っています。
をするのか
(河出書房新社)』
『心が芽ばえるとき
(NTT出
[E-mail] [email protected]
版)』
『まねが育むヒトの心(岩波書店)』
など。
森口 佑介
准教授
発達認知科学、発達心理学、
セルフコントロール、想像力
日吉 和子
特定助教
感情認知、神経科学、発達科学、
コミュニケーション
ヒトに特徴的な心の特質が個体発生の中でいかに出現す
暴力のない関係はどのようにすれば確立できるのか。
この
るか、
その生物学的な基盤はいかなるものであるかを解
問いに迫るため、人と人とのコミュニケーションに着目し、
明したいと考えています。特に,セルフコントロール能力と
感情認知における脳神経基盤の解明を目指しています。
想像力に焦点をあて、乳幼児期や児童期、青年期におけ
特に怒りの感情に関心があり、虐待予防に繋がる研究を
るこれらの能力の発達的変化を,行動観察,行動実験,視線
行っています。
また、近年では、発達科学の視点から母子
計測,脳機能計測などの発達認知神経科学の手法を用い
相互作用が促進できる新しいコミュニケーション法の開
て検討しています。主な著書は、
『おさなごころを科学す
発について着手しています。
る』
(新曜社)
など。
[E-mail][email protected]
田中 友香理
助教
発達科学・発達心理学:母子相互作用、養育者の発達
正しい子育てとは何か、養育者と子ども双方にとって適
切な社会的環境とは何か。近年の社会経済的変化に伴
い、
こうした単純な問いに対して科学的知見に基づく回
答が求められています。私は母子間の相互作用の行動特
徴とその神経学的機序、社会的機能を解明する研究を
行っています。特に、相互作用経験が養育者と乳児双方
の脳や行動に与える影響を神経生理学的手法も含めて
検討しています。
11
大学院教育学研究科
教育科学専攻
教育認知心理学講座
人は自分の環境や周囲の人々をどのように認識し、理解し、
それらについてどのように思考をめぐらせ、
自己の知識・信念体系の中に
取り入れてゆくのか。認知心理学の主要な課題は、記憶、思考、感情、言語、知識、意思決定、
イメージといった種々の心のはたらきを
実証的な手段を用いて解明してゆくことにある。本講座では、教育に関わる心理的諸現象を認知心理学などの方法を用いて幅広く研
究している。特に、子どもの認知発達・教授−学習に関する研究、記憶・感情・思考・言語・知識獲得・社会的認知などに関する研究、
顔・表情の認識など対人理解やコミュニケーションに関する基礎研究を行っている。
教員紹介
楠見 孝
教授
認知心理学:比喩・類推、熟達化、批判的思考、意思決定
川 左紀子
こころの未来研究センター教授
認知心理学:顔・表情認識、
コミュニケーション、対話
知識の獲得、構造、利用を、実験や調査によって、研究を
表情・視線知覚、
顔の記憶、
対人好意形成、
他者感情の理
進めている。
とくに、
(1)人が、学校や職場で知識を獲得し
解、表情による感情伝達、対話における非言語的相互行
たり、
スキルに熟達化する過程とそれを支える実践的知
為などの研究を通して、適応的で安定した対人行動や対
能、
(2)
比喩・物語理解や問題解決、創造性、記憶を支え
人コミュニケーションを可能にする、心の働きの基本特性
る柔軟な知識構造、
(3)推論・批判的思考や意思決定、
リ
を明らかにすることをめざしている。
スク認知と社会的認知、
それにともなう感情についての研
究を行っている。
齊藤 智
教授
認知心理学:作動記憶、認知制御、言語、意味認知
教授
教育心理学・認知心理学
認知過程の制御や言語処理などの種々な心的機能の実
学生が用いる学習方略を中心に研究を進めている。学生
現に必要となる記憶の役割、
およびのそのメカニズムにつ
が学習課題に対してどのようなアプローチを取るのか、
ま
いて、認知心理学と認知神経科学の研究方法を用いて検
た用いる方略の決定に影響する要因、学生の学習を改善
討している。
とくに
(1)作動記憶(ワーキングメモリ)
と短
するための教授法について、
よりよく理解することを主な
期記憶のメカニズムに関する研究、
(2)認知制御における
関心領域としている。最近の研究発表では、問題解決やコ
作動記憶の役割についての研究、
(3)実験的エラー誘導
ミュニケーションにおける図の利用、批判的思考、学生の
法を用いた記憶過程の研究、
(4)知識および意味認知と
学習意欲、第二言語習得とコミュニケーション・スキルの
作動記憶の関係についての研究を行っている。
向上について発表した。上記のテーマに加え現在、批判的
野村 理朗
准教授
認知心理学:感情認識・表出、
自己制御、生命システム
ヒトの感情、生命科学的メカニズムの階層性を実験的に
解き明かし、個体形成に及ぼす環境要因を包括した
「新
しい理論」
を構築することを目的としている。
そのために心
12
マナロ エマニュエル
思考・認知コスト・心の理論能力の関係性、学習における
失敗の教育的利用及び恩恵について研究している。
髙橋 雄介
デザイン学大学院連携プログラム特定准教授
教育心理学・発達心理学
人間のパーソナリティ特性や気質次元は心理的・身体的・
理学実験の調査法を基盤とし、神経科学、遺伝学などの
社会的な適応・不適応行動とどのように関連しているのか
多様なアプローチにおいて、
とくに、①感情認識、行動の自
という一貫としたテーマのもと、人間の発達やその個人
己制御、②個人と社会的環境(地域、文化)
との相互作
差、
さらにはそれらの遺伝と環境の相互作用について理
用、③遺伝子修飾・多型による個人差に関する実証研究
解を深めるために、就学前の子ども、大学生、双生児の
をリンクさせつつ、得られた新知見を支援・介入に活かす
方々など様々な種別・年齢層の方々を対象とした縦断調
ための研究を実施している。
査研究を行っている。
教育社会学講座
本講座は、文化社会学・歴史社会学分野と社会調査・経験社会学分野から成っている。
◉文化社会学・歴史社会学分野
家庭・学校・メディア空間の中で、子どもや若者をめぐる文化や教育がどのように存在し、
また変化しているか、
さまざまな教育現象を通して文化社会学的・歴史社会学的方法か
ら解明している。社会化、感情、相互行為等の理論的検討から学生文化、教養、
マナー、学
校問題、文化格差等の実証研究も行っている。
◉社会調査・経験社会学分野
社会調査データの収集・整理・分析を基本とした経験社会学的手法を用いて、
日本社会
のみならず国際社会の変化と教育現象との関係を研究する。現在は、社会階層と教育、
教育と職業キャリア、
ライフコースとジェンダー、家族観の国際比較などのテーマに関す
る研究を行っている。
教員紹介
稲垣 恭子
教授
教育社会学:教育文化の社会学、歴史社会学
岩井 八郎
教授
教育社会学:ライフコース・教育と社会移動
①女性の教育と教養文化の歴史社会学的研究:
「女学
福祉レジームとライフコースの変化に関する比較研究:最
生」
の文化と表象の歴史社会学的研究を土台に、近年は
近の研究テーマは、
「失われた10年」
と称された1990年
戦前・戦後の女性知識人・文化人の系譜について研究を
代半ば以降に生じた日本人のライフコースの変化を福祉
行っている。②学校・学生文化の社会学的研究:教師−学
レジームの国際比較を基礎にして実証的に検討すること。
生(生徒)関係の類型やその変容を中心に学校・学生文
全国調査のデータを用いて、
教育の拡大と初期キャリアや
化についての実証的な研究を進めている。合わせてアプ
家族形成との関係、高齢者の社会的地位の変化と家族な
ローチの方法として、感情社会学の理論的・方法論的な
どについて計量社会学的分析を行っている。
検討を行っている。
竹内 里欧
准教授
教育社会学:文化社会学・歴史社会学
①ナショナリズムと
「文明化」
の相克・融和のメカニズム:
近代国民国家において
「真に文明化された理想的自己
像」
のイメージ形成をめぐっておこった現象にいかなる特
徴があるかについて、
比較の視点を交えつつ、歴史社会学
的分析を行っている。
②子供と家族をめぐる文化:大正・昭和初期都市新中間
層と児童文学の関係について、文化社会学的分析をすす
めている。
13
大学院教育学研究科
教育科学専攻
生涯教育学講座
生涯教育学講座は、
メディア文化論、生涯教育学、図書館情報学の3分野で構成される講座である。
メディア文化論は、輿論を生み出す社会空間において、
さまざまなメディアの効果を時系列的に解明する学問である。歴史学、社会
学、政治学、社会心理学など多様なディシプリンを積極的に活用して、
メディア現象から社会と文化を読み解く学問領域である。
生涯教育学は、学校教育とは時間・空間・対象やあり方が異なる、個人・集団の多様な学びや経験、人間の形成・相互関係等に、社会
教育、成人教育、生涯学習の方法論や諸原理、他領域の知見等を活用し、理論/実践的にアプローチする学問領域である。
図書館情報学は、図書館資料の分類、保存、提供といったサービスのあり方や、
それらに関する思想等を扱う狭義の図書館学を含
め、情報の生成や流通を広範囲に扱う学問領域である。
教員紹介
佐藤 卓己
教授
メディア文化論:メディア史・広報学・大衆文化論
准教授
公共空間におけるメディアの機能変化を歴史的に研究し
多様な文脈での学ぶ/教えることの関係性、
「教育者」
の
ている。現在進行中の主な研究対象は、①政治プロパガ
役割に関心がある。近年のテーマは、①日英の専門職女
ンダの比較研究、②世論調査報道と合意形成メカニズム
性・働く女性の学習・教育の実証的・思想的研究、②専門
の分析、③青年文化と教養の変容、④うわさや流言など
職教育(特に医学教育)の理論と実践、Interprofes-
「あいまい情報」
のメディア史など。
主要業績:
『「キング」の時代―国民的大衆雑誌の公共
sional Education、
③成人教育者養成と理論的基盤、
④
「学びの文化」
の国際比較、
地域リソースと学びなど。
性』
(岩波書店、
サントリー学芸賞)、
『言論統制―情報官・
主要業績:
『近代日本女子社会教育成立史―処女会の指
鈴木庫三と教育の国防国家』
(中公新書・吉田茂賞)、
『テ
導思想と全国組織化』、
『 生涯学習時代の成人教育学―
レビ的教養―一億総博知化の系譜』
(NTT出版)、
『輿論
学習者支援へのアドヴォカシー』、
『近代日本の女性専門
と世論―日本的民意の系譜学』
( 新潮選書)、
『「図書」
の
職教育―生涯教育学から見た東京女子医科大学創立者
メディア史―教養主義の広報戦略』
(岩波書店)
など。
吉岡彌生』
(いずれも明石書店)
ほか。
福井 佑介
講師
図書館情報学:図書館史、図書館思想、図書館制度論
図書館はどうあるべきか、
という言説を含め、情報や資料
の取り扱いに関する思想や制度に焦点を当てて研究を
行っている。
そこでは、現在の議論を相対化させるために、
歴史的な方法論を採用している。具体的な研究テーマは
次に示す通りである。①図書館界の自律的規範の生成過
程、②日米の図書館裁判にみられる法的判断と図書館思
想との比較検討、③戦後図書館界の歴史的展開に関する
実証的研究。
主要業績:
『図書館の倫理的価値「知る自由」
の歴史的展
開』
(松籟社)、
「図書館の倫理的価値の展開と限界」
『図
書館界』64巻6号(日本図書館研究会「2013年度図書館
研究奨励賞」受賞)
など。
14
渡邊 洋子
生涯教育学:専門職教育、生涯学習・成人教育の比較研究、社会教育史
比較教育政策学講座
本講座の研究内容は、
(1)
国際的ないし世界的視野に立って、
各国民・民族
の教育制度、政策、実践、理論について比較考察をすること、
(2)政策科学
的視点から教育組織体における政策形成・実施過程・評価のシステムを解
明すること、
(3)
(1)、(2)
を踏まえて具体的・実践的な教育計画・教育のあ
り方を探求することである。
こうした研究機能は、
講座内の2つの分野
(比較
教育学分野、
教育行政学分野)
によって分担されている。
教員紹介
髙見 茂
教授
教育行政学分野:教育資源配分と公共政策
教育政策遂行のための物的・人的資源配分のあり方およ
教授
マレーシアを中心としたアジアの教育について比較教育
びその決定要因・構造についての研究を進めている。予算
学的な研究を行っている。
マレーシア・マラヤ大学と英国・
を中心とした合理的な配分方法、割合、支出要因そして教
レディング大学への留学経験から、各国の教育制度研究
育資源調達のための手段である教育税制について最近
というよりは国と国との教育の関係、留学を含めた国境を
関心をもっている。近年の成果としては、Educational
越えて広がる教育現象、地域的な国際協力の動向などに
Finance(Educational System and Administration
関心がある。
近年の調査地域はマレーシア、
シンガポール、
in Japan,
協同出版、
1999年,
145−158頁)
『
、
「部分均衡
タイ、
ブルネイ、
インド、
中国などで、
イスラ−ム教育、華人
モデル」
を用いた地方教育費支出水準決定要因の検討』
(京都大学大学院教育学研究科紀要第46号、2000年3
月)、
『臨教審以降の教育行政・教育財政の分析−不滅資
服部憲児
杉本 均
比較教育学分野:教育と国際関係(東南アジア)
教育、価値教育、高等教育、授業研究、言語教育などをテ
−マにしている。
最近の業績としては
『教育の比較社会学』
(共編著、学文社、2004年)、
『マレーシアにおける国際教
源仮説と資源誘導政策問題』
( 教育学研究第71巻第2
育関係−教育へのグローバル・インパクト』
( 東信堂、
号、2004年6月)
などがある。
2005年)
などがある。
准教授
教育行政学分野:大学教育の改善と教育政策
南部 広孝
准教授
比較教育学分野:高等教育改革の国際比較
大学教育を改善するための方策について、教育政策の視
高等教育改革に関する国際比較研究を進めている。最近
点から研究を進めている。欧米(主にフランス)
における高
は、東アジア諸国・地域における大学入学者選抜制度の
等教育の大衆化に伴う諸問題への対処法、
日本の大学現
改革や社会主義体制からの移行を経験している国ぐにに
場における教育改善の取り組みなどに関心を持っている。
おける高等教育の変容過程などに関心を持っている。業
近年の成果としては『フランスCNEによる大学評価の研
績としては『中国高等教育独学試験制度の展開』
( 東信
究』
(大阪大学出版会、2012年)、
『大学を変える、学生が
堂、2009年)、
『東アジア新時代の日本の教育ー中国との
変える』
(共著、
ナカニシヤ出版、2012年)、
『高等教育論
対話』
(共編著、
京都大学学術出版会、
2012年)
『台湾の
、
入門』
(共著、
ミネルヴァ書房、2010年)
などがある。
高等教育ー現状と改革動向ー』
(共編著、広島大学高等
教育研究開発センター、
2008年)
などがある。
15
大学院教育学研究科
教育科学専攻
高等教育開発論講座
平成10年度の大学院重点化に伴い、高等教育教授システム開発センター(現・高等教育研究開発推進センター)
による協力講座と
して誕生した。社会の複雑化に伴う教育要求の高度化と急速な大衆化に挟まれ、様々な教育問題に直面している今日の高等教育に
ついて、
その現況を把握し、新たな教育システムの展開をめざして、包括的で実践的な研究を進めている。本講座では、大学授業研究
や教育システム、学習論、学生生活などの研究を、教
育学や教育方法学、心理学、教育工学などをもとにし
たきわめて学際的な手法でおこなっている。
教員紹介
飯吉 透
教授
大学教授法:教育イノベーション、高等教育システム
田口 真奈
准教授
大学教授法:教育工学
高度情報化・知識基盤社会においてグローバル化・オープ
これまでe-Learningを実施している大学の組織運営のあ
ン化・ユビキタス化が進む高等教育システムに関する未来
り方、ICTが教授学習過程にどのように作用するのかに関
学的研究や、ICTや新たな教育方法を利用した教育イノ
する研究をおこなってきた。
また、大学教員の成長過程に
ベーションの促進・普及・啓蒙に理論的・実践的に従事し
も興味をもち、特に大学初任者の抱える問題に焦点をあ
ている。
さらに、主として北米や日本などにおける大学教
てた研究をおこなっている。具体的なFD実践の中から、
育・大学組織・大学運営・リーダーシップを巡る制度・文化
ICTとFDとの関連、教育の質の向上に寄与するFDのあり
の比較研究にも取り組んでいる。
方に関する理論化を行うことがテーマである。
松下 佳代
教授
大学教育課程:教育方法学、学習論
酒井 博之
准教授
教育工学、建築音響学
ポスト近代社会における能力概念(リテラシー、
コンピテ
大学教育の質的向上を促進させるためのICT利用に関す
ンスなど)、
および、学校教育(大学教育を含む)
における
る実践研究をおこなっている。最近では、個別教員・教員
その形成のあり方を、
カリキュラムや評価などの点から批
コミュニティ・組織の各レベルにおける多様な教育改善の
判的に検討し、実践的理論を構築しようとしている。学校
取り組みを効果的に可視化・共有化するためのオンライ
段階による差異とそれをこえた共通性を、
フィールドワー
ン支援環境の構築に関心がある。
クで得た事例に即して議論するのが、私の研究の特徴で
ある。
溝上 慎一
教授
大学教育課程:青年心理学、
自己形成論、大学生研究
山田 剛史
准教授
大学教育評価:教授・学習研究、大学生研究、高等教育質保証
さまざまな学びが学生の成長や将来の仕事、人生形成に
高等教育研究と青年心理学の観点から
「大学生の学びと
どのように影響を及ぼすかという大学生の学びと成長、
ア
成長を促す教育・学習環境のデザインと評価」
に関する研
クティブラーニング、学校から仕事へのトランジション研究
究をおこなっている。大学生の学びと成長に関する理論
をおこなっている。
また青年期の途上でもある大学生の自
的・実証的研究を進めつつ、
それらを促す教育・学習環境
己形成やアイデンティティ発達の研究も、理論的・実践的
のデザインと評価について実践的・開発的研究もおこなっ
におこなっている。
ている。
また、教育の質保証・向上を含む組織的な教育改
革・改善や高等教育人材の育成にも携わっている。
16
臨床教育学専攻
臨床教育学講座
臨床教育学講座は、
既設の二つの小講座
(教育人間学講座と臨床教育学講座)
を統合するかたちで1998年に再編成された、
我が国
では数少ない名称の講座である。
わたしたちは、
その名乗りにふさわしい新しい教育研究スタイルの創造を目指して、
理論的臨床的な
課題に取り組んでいる。
教員紹介
矢野 智司
教授
教育人間学:生成の教育人間学
現代思想・人間諸科学の成果をもとにしながら、学習や遊
准教授
プラグマティズムとアメリカ超越主義を中心としたアメリカ
戯、贈与や供犠といった、人間の変容や生成における創造
哲学の現代的意義を、
「翻訳としての哲学」
および
「生き方
的あるいは病理的事象から、
「人間とは何か」
を考察し、
さ
としての民主主義」
という観点から再評価し、
たゆみなき自
らに翻って、人間についての反省から
「教育とは何か」
を根
己と文化の完成を目指す
「おとなの教育としての哲学」
を提
本的に捉え直すことを目指している。詳細は、拙著『ソクラ
言することが研究課題である。国際プロジェクト
「翻訳とし
テスのダブル・バインド』
(世織書房)、
『自己変容という物
ての哲学と他文化理解:双方向的国際化に向けた哲学と
語』
( 金子書房)、
『 動物絵本をめぐる冒険』
( 勁草書房)、
教育の学際研究」
を通じて、欧米の哲学者、教育哲学者と
『意味が躍動する生とは何か』
(世織書房)、
『贈与と交換
の国際交流をフィールドに活動している。
著書The Gleam
の教育学』
(東京大学出版会)、
『幼児理解の現象学』
(萌
of Light: Moral Perfectionism and Education in Dewey
文書林)
を参照。
西平 直
齋藤 直子
教育人間学:アメリカの教育哲学
教授
臨床教育学:教育人間学・死生学・東洋思想
思想研究による教育人間学。
テーマは、①ライフサイクル
(人間形成・人格変容・ライフヒストリー)、②アイデンティ
ティとスピリチュアリティ
(自己・実存・内面性)、③ケア
(相
互性・ジェネラティヴィティ)。詳細は以下の著書をご覧く
ださい。
『教育人間学のために』
(東京大学出版会)、
『ケア
講座・第三巻・ケアと人間』
(編著、
ミネルヴァ書房)、
『エリ
クソンの人間学』
(東京大学出版会)、
『生涯発達とライフ
and Emerson(2005)
『
;〈内なる光〉
と教育−プラグマティ
ズムの再構築』
(2009年)
。
共編著
(with Paul Standish)
Stanley Cavell and the Education of Grownups(2012)
;
Education and the Kyoto School of Philosophy:
Pedagogy for Human Transformation(2012)
。
訳書スタ
ンリー・カベル著『センス・オブ・ウォールデン』
(2005年)、
ポール・スタンディッシュ著『自己を超えて:ウィトゲンシュ
タイン、
ハイデガー、
レヴィナスと言語の限界』
(2012年)
。
ラプリー ジェルミー
准教授
教育人間学:比較教育、教育社会学、教育哲学
サイクル』
(共著、東京大学出版会)、
『魂のライフサイクル
世界の教育学研究は、西洋(とくにアメリカ、
イギリス、
ドイ
−ユング・ウィルバー・シュタイナー』
(東京大学出版会)、
ツ)
の
「進んだ」研究パラダイムにほとんど支配されている
『シリーズ死生学、第三巻・死とライフサイクル』
(共編、東
京大学出版会)、
『誕生のインファンティア−生まれてきた
と言ってよい。
こうした中で、
新たなパラダイムを提案していくためには、
西
不思議・死んでゆく不思議・生まれてこなかった不思議』
洋とは異なる伝統、
歴史下での事例を見つけ出し、
考究し、
(みすず書房)、
『世阿弥の稽古哲学』
(東京大学出版会)、
そして、
その事例と対話をすることが必要である。
その際、
哲
『無心のダイナミズム』
(岩波現代全書)
など。
学的、
社会学的、
教育学的側面を個別に考慮するのではな
く、
それらを統一的に理解することが欠かせない。私はとく
に、
西洋とは異なる伝統、
歴史下
(とくに日本)
で発展してき
た理論・事例を研究している。
また、
それらの理論・事例を、
別の国に適用することの可能性と限界についても考察して
いる。最近の代表的な学術論文は、次のとおりである。
「輸
入した時間を生きる−時間、
自己、
ニヒリズム、学校教育」
(Comparative Education、
2016年掲載、
小松光との共
著)、
「PISAパラドックス−PISAスコアの国間差を説明する
新しい理論」
(Comparative Education Review、
2017年
掲載予定、小松光との共著)、
「日本の教育を再考する」
(Oxford Studies in Comparative Education、
2011年出
版、
David Blake Willisとの共著)
UCL教育研究所における共同授業
(2015年12月ロンドン)
17
大学院教育学研究科
臨床教育学専攻
心理臨床学講座
複雑さを増す現代社会において、
さまざまな問題や悩みをもつ人
も増えてきて、
そのような人々が心理療法を求めることも多くなっ
ている。
ここでは心理的な見立てや心理療法を実施するための
教育・訓練が様々な実習も含めて、基礎から行われている。
それと
同時に、多様な心理的問題の背景を考え、心理療法の技法を発
展させるための実証的・理論的な研究を行っている。
教員紹介
桑原 知子
教授
心理臨床学:人格心理学
博士論文のテーマは
「人格の二面性について」。
その後も
准教授
さまざまな心的症状やテーマ、
さらには心理臨床の営み自
「もう一人の私」
をテーマとして研究を続けている
(『もう
体を、起源を探ろうとする到達できない問いかけとして捉
一人の私』創元社)。
また、学校現場におけるカウンセリン
え、
そこで生成される語りや主体を、二者の関係性の中で
グ(『教室で生かすカウンセリング・アプローチ』
日本評論
新たに生きなおすことの意義について研究している。
また、
社)
や、家庭裁判所調査官との共同研究(『家裁調査官レ
心理臨床の言説の成り立ちを対象化し研究することに
ポート』
日本評論社)
など、心理療法を広い視野からとら
よって、心理臨床の言葉と認識が本来もつはずの、生成的
え、
かつ、
その本質を深く追求することを目的として、研究、
な力を取り戻すことを意図している。
実践を行っている。
河合 俊雄
こころの未来研究センター教授
心理臨床学:心理療法の哲学的・理論的検討及びユング心理学の深化
心理療法で前提となり、
自明となっている概念や理論の批判的検討を行い、
そ
立木 康介
人文科学研究所准教授
心理臨床学:ラカン派精神分析
精神分析にとって本質的な問いは、
ラカンによれば、
たったひとつに要約できる
――意味と現実的なものはいかにつながりうるのか、
と。現実界は象徴界の不
れを通じて心理療法を深める
(『概念の心理療法』
日本評論社)。
また心理療
可能であるというラカンの定義からすればひとつの逆説にも見えるこの
「つな
法自体を、歴史的、思想史コンテクストの中での位置づける。夢分析を主な
がり」
は、臨床においていかなる形で出会われるのだろうか。症状、幻想、欲動
テーマとしつつ、
イメージを実体化せず、弁証法的で動きを持ったものとして捉
の水準で考えたい。
えていきたい
(
『心理臨床の理論』
岩波書店)
。
田中 康裕
准教授
心理臨床学:ユング心理学に基づく心理療法における治癒とその限界
神経症の心理療法が主たるテーマ。神経症を単に修復す
べき
「対象」
としてではなく、心理学それ自体を創り出すひ
とつの「主体」
として捉える。
また、それと並行するかたち
で、個人心理療法の実践を通して、夢や箱庭、描画等のイ
メージを用いた心理療法の治癒要因、
さらには、
そこに必
然的に包含される限界についても検討を深めてゆきたい。
18
大山 泰宏
心理臨床学:精神分析的心理療法、心理臨床の言説研究
臨床実践指導学講座
臨床実践指導学講座は、2004年に日本で初めて設置された臨
床実践指導者養成コース
(博士後期課程)
である。
ここでは心理
臨床学・臨床心理実践学講座と連携して、臨床実践に関する実
践指導法や事例検討の在り方、
スーパーヴィジョンに関する実践
と教育に取り組んでいる。
そこから臨床実践体験に根ざした実証
的・理論的な研究を行っている。
講座紀要創刊号を手にする山極壽一総長と。
教員紹介
皆藤 章
教授
臨床実践指導学:心理臨床学・スーパーヴィジョン学・糖尿病医療学
髙橋 靖恵
准教授
臨床実践指導学:心理臨床学・心理アセスメント・スーパーヴィジョン学・家族心理学
心理臨床学を研究の理論的基盤として、現代人のこころ
心理臨床学的立場から、青年期・成人期を中心として、
ク
のテーマをライフサイクル全般にわたって人間がいかに
ライエント及びその家族に対する心理療法に関する実践
生きるのかという視座から探究してきている。
とりわけ、
的研究を行ってきている。特に無意識の在りようや治療関
不治の病いや慢性疾患にたいする臨床的ケアのテーマ
係という視点から、面接過程や投映法を中心とした心理
を、医療とコラボレートしつつ実践的・人間学的に志向し
アセスメントを通して、上記の理解を深めようとしている。
ようとしている。
さらに、
臨床実践指導者養成の重心となるスーパーヴァイ
また、臨床心理士を臨床実践的に指導するスーパーヴァ
ザー養成の在り方を検討する、
スーパーヴィジョン学の構
イザー養成にかかわる学問領域であるスーパーヴィジョ
築を志している。
ン学の体系化を行っている。
19
大学院教育学研究科
臨床教育学専攻
臨床心理実践学講座
心理教育相談室における相談活動を基礎として心理臨床経験全般を高め、相談能力をつけるととも
に、臨床心理実践に関する研究を行い、教育現場等とも連帯して臨床実践と研究の一体化を図る。
また、心理臨床現場に出かけて相談を必要とする人たちの心の健康の増進を目指すとともに、現場
に役立つ研究を行ったり、教師や臨床心理士のリカレント教育、臨床心理士を育成するためのスタッ
フ
(教員やスーパーバイザー)
の養成を行う。
教員紹介
岡野 憲一郎
教授
臨床心理実践学:心理療法、精神力動学
精神科医および精神分析家として、米国での17年を含む
長年の臨床経験を有する。特にPTSDや解離性障害、人
格障害、社交恐怖症、
などの治療経験が多く、
これらの経
験をもとに、大学院で臨床心理士として必要な精神医学
的、
分析学的な知識および考え方について教育を行う。
松下 姫歌
准教授
臨床心理実践学:心理臨床におけるイメージと心的体験のリアリティに関する研究、
およびその心理臨床実践上の深化
心理臨床の現場で生じる事象や言動、
描画、
箱庭、
夢等の
表現について、
それらに含まれるイメージとその心的体験
のリアリティの性質を捉えうる視点を研究する。
そのような視点の発掘によって、心自身の求める方向性を
見出し、心自身のもつスーパーヴィジョン機能を生かすこ
とが可能になるプロセスとメカニズムについて、心理臨床
実践と臨床心理学的検証を通じて考察し探究する。
20
時岡 良太
特定助教
臨床心理実践学:心理臨床における
「自分」
に関する研究
(臨床教育実践研究センター)
人間の自己のあり方について、
「自分」
という日常語を手掛
かりに、心理臨床学的観点から研究を行っている。特に現
代における青年の
「自分」
のあり方とその形成について、心
理臨床実践をベースにしながら考察を深めていきたい。
教育学研究科
情報関連
国際関連
教員紹介
教員紹介
橋本 敦史
助教
渡辺 雅幸
助教
画像処理・パターン認識・ヒューマンコンピュータインタ
インドの高等教育制度に関する研究を進めている。最近
ラクション:作業の文脈に応じた情報提示により座学と
は、
インドの大学教授職の資格制度や、大学入学者選抜
実技を結ぶ体験学習型インターフェースの研究
制度などに着目し、政府や大学のガバナンスに関心を
持っている。業績としては、
「インド高等教育における連邦
と州の関係−大学教員資格試験制度に着目して」
(『比
較教育学研究』第52号、2016年)
などがある。
教育学研究科 修了後の進路
教育学研究科に学んだ大学院生の修了後の進路としては、例年、修士課程修了者のおよそ5∼7割程度が博士後期課程に進学し、博士
後期課程修了者の5∼7割程度が大学教員・日本学術振興会特別研究員
(PD)
など研究者としてのキャリアを選択します。
就職先としては、民間企業とそれ以外に分けられるが、
それ以外の進路を分析すると、専門的知見を生かし、健やかな生涯発達を支援
する専門職(教育行政・司法矯正・心理臨床・学術啓蒙など)
が目立っています。
修士課程修了者の進路状況(平成27年度)
〈主な就職先 〉
総務省、福井県、近江八幡市役所子ども発達支援センター、
その他
7人
就職
18人
進学
(大学院)
20人
京都家庭裁判所、
日本貿易振興機構
(JETRO)
、
株式会社船井総合研究所、中日新聞社、株式会社船井総合ホールディングス、
修士課程修了者の進路状況
阪急電鉄株式会社、川崎汽船株式会社、
ピース・マインド・イープ株式会社、
北京師範大学、静岡県立中学校、学校法人駿河台学園慈恵学園など
博士後期課程修了者の進路状況(平成27年度)
〈主な就職先 〉
京都大学、帝塚山学院大学、京都文教大学、社会福祉法人横浜博萌会横浜いずみ学園
社会福祉法人つばき会、国立京都医療センター
21
教育学部
教育科学科
Faculty of Education
現代教育基礎学系
教育心理学系
相関教育システム論系
22
教育学部においては、一般教育と専門教育を有機的に関連させながら、現代人にとりわけ必要とされる、広い視野と異質なものへ
の理解、多面的・総合的な思考力と批判的判断力を備えた
「人間らしさを擁護し促進する態度」
を啓培するための高度な一般教育と
幅広い専門基礎教育を行っている。
学部段階では、教育の総合的理解をめざして、教育に関する諸科学の修得に重点をおいた幅広い基礎教育を重視し、
ゆるやかに
専門的分化を図ることを目的として、平成10(1998)年度から1学科(教育科学科)
3大学科目
(系)
で教育編成を行っている。入学
当初は所属する系を特定せず、各自が学習を進めながら最も適した道を探して、3年次に系への分属を決める。平成6
(1994)年度か
ら2年次学生に対し、分属オリエンテーションを実施し、学生の希望分属を尊重しつつ、調整を図っている
(大学院講座との関係は
P.6)。
なお、昭和58(1983)年度から、一般社会人を含めた国内外の他大学卒業者等を対象に編入学試験を行い、第3年次に約10
名が入学している。
それぞれの系における教育内容は次のとおりである。
現代教育基礎学系
現代教育基礎学系は、哲学、思想、歴史、心理学などに基盤を置く専門分野から構成され、教育に関わ
る事象について、学校教育はもとより家庭教育、社会教育など広い領域を視野に入れた研究・教育を行っ
ている。教育についてのものの考え方や見方が、
どのようにして形成されるのか、人間の生成、成長発達は
どのように捉えられるのか、実際の学校教育において、授業はどのような仕組みや方法で行われているの
か、その教育内容はどんな原理で構成されているのか、など教育活動の基礎を様々な研究方法やアプ
ローチを通して教授する。教育の現場やフィールドとして人間の活動領域を捉え直し、教育学についての
幅広くかつ周到な識見を備えた専門家を育てるためのカリキュラムを提供している。
(専門領域)教育原論、教育哲学、教育人間学、教育史学、教育方法学、教育課程論、授業論、生徒指導論、
発達教育論、生涯発達心理学、障害児教育論
教育心理学系
教育心理学系では、教育心理学、認知心理学、臨床心理学を中心に充実したカリキュラムが組まれ、他
学部の心理学系教室とも連携して活発な教育・研究活動が行われている。教育心理学では人の発達の
特徴、教授−学習法、知能、
メディア教育など、教育活動に密接にかかわる心理学的諸側面に関する知識
の習得とその応用をめざす。認知心理学では、記憶、推論、意思決定、他者理解、共感といった高次認知過
程の諸側面に関する主要な理論や知見を学習し、
さらに心理実験・調査等を実施して各自の研究をまと
める。臨床心理学では人格の形成、心理療法の諸理論、心の健康とストレス等に関する基礎知識を習得
し、種々の心理検査の実習を通して臨床実践に役立つ手法を身につける。教育心理学系では、心の仕組
みとはたらきについての幅広い識見と柔軟な思考力の育成を基本としつつ、大学院進学希望者の指導に
も力を入れており、教育心理学・認知心理学・臨床心理学の研究者をめざす人、大学院修了後に臨床心
理士の資格取得をめざす人にも適した教育カリキュラムを整備している。
(専門領域)教育心理学、認知心理学、臨床心理学、人格心理学、
メディア教育、発達心理学、児童・青年心理学、障害児心理学、社会心理学、教育評価
相関教育システム論系
21世紀は単に学校だけが教育にかかわるのではなく、社会全体が人間形成社会になり、
そうした社会
での教育の柔軟なありかた、
ネットワーク化が課題である。相関教育システム論系は、
こうした方向を視野
に入れて、教育と社会との結びつきを創造的に探求することを目的にしている。教育社会学では、人間の
社会形成にかかわる集団の教育作用について研究するとともに、学歴社会、青少年問題、教育変動など
の諸問題を社会学の手法を用いて分析している。生涯教育学では、図書館やメディアを含んで、生活のな
かでの多様な学習のあり方を、
とりわけ国際的・歴史的な観点から理論的、実践的に研究をしている。
比
較教育政策学では、国際的視野に立って、教育制度、政策、実践、理論などの比較考察をしている。
また政
策科学的視点からは、具体的に教育行財政についての立案などを行っている。学部教育においては、
これ
からの社会と人間に求められている重要な課題を意識したカリキュラムを提供し、特に少人数のゼミや講
義を特徴としている。
(専門領域)教育社会学、社会調査、臨床社会学、社会教育、
メディア文化論、生涯学習論、図書館学、
比較教育学、教育行政学、教育制度、教育財政学
23
教育学部
教育科学科
教育学部で学ぶこと
研修員
教育学部では、入学者選抜試験により毎年60名が入学しており、
当
高度の専門知識を有する者が、特定の事項について研修を希望す
初は主として基礎となる教養科目を履修し、次第に専門科目や高度一
る者があるときは教授会が適宜選考を行って研修を許可している。
般教育としての教養科目を受講することができる。
平成28年度(2016)
の在籍者は1名である。
1回生の必修科目としては
「教育研究入門」、推奨科目として
「情報
学」
を開講している。
また、全学の学生を対象にして、教職科目をはじ
め、毎年継続的に多くの
「全学共通科目」
として講義及び少人数ゼミ等
取得できる資格
の教養教育科目を開講している。
本学部の修学期間内に教育職員免許法に定められた科目の必要
専門教育においては、
アットホームな雰囲気の少人数教育で、対話
を重視したゼミなどを行っている。保育所や学校、地域や施設、病院や
臨床現場、異文化社会、国際比較など、
さまざまなフィールド・ワーク
や実習も重視している。
また、授業以外にも内外のトップレベルの研究
者による講演会、研究会、講習会などが頻繁に開催されており、一般学
生も多く参加している。
単位を修得し所定の手続きをすれば、教育職員免許状の中学校教諭
一種、高等学校教諭一種免許状を取得することができる。
また、中学
校、高等学校の免許状を取得し、免許法に規定する特別支援教育領
域に関する科目の単位を修得すれば、特別支援学校教諭一種免許状
を取得することができる。本学で取得できる免許状は、聴覚障害者・知
的障害者・肢体不自由者に関する教育の領域である。
その他、修学期間中に法律に定める科目の必要単位を修得すれば、
聴講生・科目等履修生
それぞれ社会教育に関する指導・助言を与える社会教育主事、博物
特定科目の聴講希望者に対して毎年3月に選考を行い、聴講生ある
図書館法に規定している図書館において図書に関する職務に携わる
いは科目等履修生として入学を認めている。修学期間は1年間である
図書館司書の資格を取得することができる。
また、教育職員免許状を
が、継続することも可能である。平成28年度(2016)
の在籍者は聴講
有する者が図書館学に関する科目の必要単位を修得すれば、学校図
生 8 名 、科目等 履 修 生 1 0 名である。科目等 履 修 生は平 成 6 年 度
書館司書教諭の資格を取得することができる。
館の資料収集、保管展示及び調査研究などの仕事に携わる学芸員、
(1994)
から設けられたもので、科目試験に合格すれば単位の取得が
できる。
研究生
特定科目の研究希望者に対して毎年3月及び9月に選考を行い、研
究生として入学を認めている。在学期間は1年間であるが、継続(6ヶ
月以上1年以内)
することも可能である。平成28年度(2016)
の在籍
者は7名(うち外国人留学生3名)
である。
教育学部 卒業後の進路
教育学部の平成27年度の卒業生は71名で、
そのうち42名(約59%)
が就職しています。
そのなかには、教育(学校)関係に就職し、教師等になった人も数名います。
また21名(約30%)
が大学院に進学しています。残り8名(約11%)
がその他進学・就職準備中となっています。
就職先の例
(平成27年度)
埼玉県立高等学校教員/京都市立中学校教員/長野県公立中学校非常勤教員/文部科学省/法務省/
京都府庁/京都市/奈良県/信金中央金庫/武蔵コーポレーション株式会社/東レ株式会社/三井物産株
式会社/帝人株式会社/川崎重工株式会社/日本生命保険相互会社/新潮社/日本放送協会/株式会社
フジテレビジョン/コニカミノルタ株式会社/株式会社オリエンタルランド/東京海上日動火災保険株式会社/
中部電力株式会社/パナソニック株式会社/エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 など
24
その他
11%
進学
(大学院)
30%
就職
59%
教育学部の進路状況
附属施設
臨床教育実践研究センタ−
近年、
いじめ、不登校をはじめとした
「こころの問題」
が多発し、子ど
られる協力機関との連携、外国人客員教授の招聘等によって実践研
もの置かれている状況が社会問題となっている。
それは、
あらゆる子ど
究を推進している。
また、来談者の相談面接実践を基盤にして、相談
もに潜在する広く教育に関連した問題として、普遍化したとらえ方を
活動に関する教育指導・訓練、個別集中指導(ス−パ−ヴィジョン)
を
促すものである。
同時に、
これらは大人のかかえる問題でもある。
はじめとした高度の専門家の養成にかかる実践研究活動を行うとと
こころの問題には、個別的な対応が重要な位置を占めるという特徴
もに、現場教師を対象にしたリカレント教育事業、臨床心理実践家に
がある。本学に昭和55年から全国初の有料相談機関として設置され
対する研修事業、臨床心理士養成のための大学院生教育・訓練を積
た
「心理教育相談室」
は、臨床事例研究に立脚した個別的対応を図る
極的に担っている。
活動を続け、
わが国における先駆的役割を担ってきた。
その一貫した
組織関連図は以下のとおりである。
実績に基づき、研究と相談の成果を家庭・学校・地域に具体的に還元
教育学研究科
センタ−委員会
臨床教育実践研究センター
し、総合的な対処が求められている中で、平成9年4月より附属「臨床
教育実践研究センタ−」
が、文部省の認可のもとに設置された。
本センタ−は、
こころの問題に対応する社会に開かれた臨床的個別
相談施設として既に定着している
「心理教育相談室」
を中心に、臨床
教育上の固有の実践的課題に密着した学問的研究分野として、臨床
実 践 学・臨 床 人 間 形 成
学・臨 床 人 間 環 境 学 及
臨床実践学分野
教育学研究科
心理臨床学講座
臨床人間形成学分野
臨床心理実践学講座
教育社会学講座
比較教育政策学講座
臨床人間環境学分野
び、平成12年4月に新し
連携
臨床実践指導研究分野
く設置された臨床実践指
導研究から構成され、教
センタ−会議
センタ−長
京都教育大学、教育委員会
教育センタ−、学校
臨床実践指導学講座
心理教育相談室
育学研究科はもとより、
さらに学外にも広く求め
心理教育相談室運営委員会
教育学
研究科
社会
相談研究協力
社会的要請
人間形成に関する
基本的・総合研究
資料提供
臨床群の特性と一般健常児の
臨床
実践学
分野
臨床
人間環境学
分野
人間形成過程の
実証的比較研究
対 応
(公開研修等)
他大学
いじめ・不登校など
いじめなどの背景にある社会病理や、
心理・教育問題の相談
家庭、
学校など人間を取り巻く環境分析、
大学院生、
教員などに対する
教育社会学等を含めた複合的研究
臨床の
「個別集中指導」
(スーパービジョン)
による
専門家養成
臨床
実践指導
研究分野
知見を教育・学校教育
コンサルテーションに
提供
客員教授
大学院生
研究生
体験訓練
臨床実践指導に関する開発研究
心理療法
個別的な臨床実践教育
研究指導の在り方に関する実践研究
心理教育相談
臨床実践指導者の養成
個別集中指導
(スーパービジョン)
研修
研修
観察学習
実習
カウンセラー
臨床心理士
教員
学生
大学院生
病理知見
教育委員会
教育現場
客員教授
いじめ・不登校・心身症・ストレス等心理的障害
教育社会学・比較教育政策学・臨床実践指導学
心理臨床学・臨床心理実践学
臨床
人間形成学
分野
リフレッシュ教育
コンサルテーション
25
附属施設
心理教育相談室
広く市民に開かれたこの相談室は、主に臨床心理学を学問的基盤
270件、延べ相談面接時間数約3,500時間の実績がある。
スタッフ
にした実践活動として、昭和28(1953)年に始まり、昭和29(1954)
は、教育学研究科心理臨床学、臨床実践指導学及び臨床心理実践学
年からやや公開的な形で門戸を開いていた。昭和55(1980)年4月1
等の教授以下10名の教育職員、1名の嘱託相談員、3名の事務員のほ
日、国立大学で初めて、文部省の認可による有料の
「心理教育相談室」
か、大学院学生と特別に許可を得た研修員から成り、常時60名を越
として正式に発足した。
える相談員によって個別的な相談にあたっている。
本相談室は、
市民の
「こころ」
の諸問題について、
実際的な相談活動を
展開し、
専門的な相談活動実績はもとより、
わが国における教育訓練及
び相談施設のモデルとしての役割を果たしている。
その存在は、
すでに
広く市民及び他の教育・医療機関等にも定着し、
近年とくに子どもの問
題が多発する状況の中で、
ますますその重要な役割が期待されている。
2015年度の相談は、年間新規受理件数約100件、相談実数約
平成27年度附属臨床教育実践研究センター主催イベント
日付
表題
公開講座
「複雑系科学からみたこころ」
4月29日㈷
講師:Joseph Cambray、河合俊雄(通訳・解説)
場所:京都テルサBC会議室
リカレント教育講座
「『心の教育』
を考える」
8月 2日㈰
講師:本間友巳
(京都教育大学・教授)
窪田由紀(名古屋大学・教授)
桶谷 守(京都教育大学・教授)
場所:京都大学百周年時計台記念館
概要
講演では、
まず複雑系科学の系譜について説
明があり、特に生態学において重要度を増して
きているネットワーク理論について、
ユング心理
学との関連に触れながら解説がありました。 後半では、
それらと心理臨床との関連について
解説があり、人間のこころをネットワーク的観
点から理解しようとすることの重要性について
も語られました。指定討論においては、脳の働
きや自閉症スペクトラム障害について、ネット
ワーク理論の観点から議論がなされました。
「いじめへの対応と心のケア」
を全体テーマとし
て開催し、95名が受講しました。午前には、
これ
までいじめの問題に対して様々な形で関わって
来た経験を持つ3名の先生方をシンポジストに
迎えてシンポジウムを行い、午後には分科会に
分かれて事例研究を行いました。
シンポジウムでは、3名のシンポジストがそれぞ
れ、
いじめという現象への理解とその対応や、予
防教育について、第三者委員会の活動を通して
見えてきたものなど、幅広い視点から
「いじめへ
の対応と心のケア」
について話しました。事例研
究では、
いじめや不登校等の問題を抱えた個別
事例を中心として受講生と講師が活発に意見
を交わしました。
平成27年度こころの支援室主催イベント 東日本大震災に関連して関西に避難・移住しているご家族を対象とした支援活動
日付
5月31日㈰
11月 1日㈰
3月 6日㈰
26
表題
「花山天文台ツアー&星をつくろう」
◉場所:京都大学理学研究科 花山天文台
「恐竜の卵を取りかえせ!&和・話・輪の会」
◉場所:総合研究1号館
「舟をつくろう&砂マンダラ体験」
」
◉場所:総合研究1号館
概要
理学研究科附属天文台の協力のもと、前半では、天文台ツアーとして、太陽スペクトル
の観察や4Dデジタルシアターの見学を行いました。
後半では、
「自分だけの星をつくろう」
と題して、半球の上に各参加者が思い思いの材
料を使って
「自分だけの星」
を制作しました。
①子どもプログラム:
「恐竜の卵を取りかえせ!」
ハンターに盗まれた恐竜の卵を取り返すために、子ども達が力を合せてミッション
に取り組み、無事卵を取り返しました。
その後は、粘土制作で恐竜を作りました。
②親プログラム:
「和・話・輪の会」
臨床心理の専門家を交えて、参加者が今困っていることや誰かに聞いてみたいこと
などを自由に話し合い、
心が和み、
つながりの輪が広がるような時間を過ごしました。
①子どもプログラム:
「フィンガーペインティング&舟を作ろう」
スタッフと一緒に、大きな紙にみんなでフィンガーペインティングをしました。
その
後、
その紙を使って自分だけの舟を作りました。
②親プログラム:
「砂マンダラ体験」
カラフルな砂を用いて、
グループで手を加えながら自由に絵を描く、
「砂マンダラ」
を
体験しました。
教育実践コラボレーション・センター
教育実践コラボレーション・センターは、京都大学大学院教育学研究科の
「子どもの生命性と有能性を育てる教育・研究推進事業」
を推進すべく、
2007年4月に設置されたセンターです。
当センターの目的は、現場から持ち込まれた具体的な問題に対し、異分野融合チームを組織するなどして、教育学研究科としての組織的な対応を
コーディネートすることにあります。
その際、子どもをめぐる教育問題の中心を、
「生命性を深めること」
(心の問題)
と
「有能性を高めること」
(学力問
題)
という2つの軸として取り出し、
そのトータルな育成の方法を探ります。
また、教育研究におけるマクロ的アプローチ
(教育制度学や教育社会学や比較教育学)
とミクロ的アプローチ
(認知心理学や心理臨床学や教育哲
学)
を統合しつつ研究を進めます。
「生命性と有能性」
「マクロとミクロ」
など、
これまで分断されてきた領域間のコラボレーションを組織することで、子どもの全体性を捉え、複合的な
教育問題の解決に真に寄与しうる教育学の構築を目指します。
さらに、教育問題の解決と新しい教育空間のデザインの場に大学院生が参加すること
で、実践的な理論の力と理論的な実践の力を持つ研究者・実践者の養成も実現できると考えます。
27
附属施設
教育実践コラボレーション・センター
アクションプログラム:5つのプロジェクト
現在、
京都府内および近隣において、
現場の教師や地域住民と教育学研究科の教員や学生・大学院生との間での協動的で継続的な研究・実践が展
開されています。
【学校改善プロジェクト】
学校現場に教員・院生が定期的、継続的に授業研究に入り、秩序形成の主
体を育てるという目標のもとに構築されるカリキュラムや指導方法、教育内
容、
そしてそれを取り巻くコンテクストに関して、
モジュール化された研究が
統合的に行われています。
【不適応対応プロジェクト】
新しい教育関係を構築しようとする学校を教員や臨床心理学を学ぶ院生
が訪問し、教師とともに運営を考えています。不登校、
いじめ、問題行動な
ど、現代にみられる不適応行動を単なる
「問題」
と捉えず、新たな力動的秩
序形成への契機とみなして、
その秩序の解明に取り組んでいます。
【家族研究プロジェクト】
現代においては、
これまでの家族の枠組が揺らいでおり、新たな法整備、離
婚をめぐる親子間の調整など、
様々に生じる問題について取り組んでいます。
【グローバル化対応プロジェクト】
グローバル化の動き、
あるいは社会変容によって教育制度や教育そのもの
が変容を迫られています。
そうした変容に制度・政策レベルでどのように対
応しつつあるのかを明らかにしています。
【新しい交流空間プロジェクト】
地域・社会における、新たな交流空間の創造実践から力動的秩序形成の在
り方をさぐっています。
野殿・童仙房の生涯学習の取り組み,京都府立ゼミナールハウスを拠点とす
る京北地域での調査・実践研究、異業種専門職比較研究・異業種連携教育
(Inter Professional Education)
のプログラム開発の3つの柱で取り組み
を行っています。
★詳細につきましては、
センターのウェブページをご覧ください。
http://www.educ.kyoto-u.ac.jp/collabo/
教育・研究プログラム
《国際関係》
国内のフィールドと連携機関で行った各プロジェクトの成果を踏まえ、
日本の状況を相対化してその特徴をより明確にするとともに、
力動的秩序
形成を理解する、
より適切な手がかりを得る試みに取り組んでいます。
《研究開発コロキアム》
院生主体の課題研究・討論科目である
「研究開発コロキアム」
とは、主に博士後期課程の院生が中心となって、時には所属講座や専攻を超えた横
断的な研究組織を立ち上げ
「授業」
として展開するものです。
平成27年度教育実践コラボレーション・センター開催イベント
8月 1日㈯
セミナー
8月22日㈯
23日㈰
研修会
E.FORUM教育研究セミナー
「高等学校における探究の評価」
佐藤哲也(高松第一高等学校)、
村井昴介(京都市立堀川高等学校)
京都大学人間・環境学研究科大講義室
E.FORUM全国スクールリーダー育成研修
「学校教育研究フェスタ」
平田オリザ
(東京藝術大学・教授)、
杉本均、大山泰宏、子安増生
京都大学人間・環境学研究科大講義室
話題提供
小滝篤夫(京都府立大学)
10月 3日㈯
ワークショップ
教育実践コラボレーションセンター
「減災の集い−地震に備える」
10月18日㈰
ワークショップ
公開ワークショップ
『InterProfessional(多職種連携・異業種交流)
から
プロフェッショナリズムを考える
−木に関わる専門職の協業を手がかりに−』
10月31日㈯
教育実践コラボレーションセンター
ワークショップ 「野童いなか塾 2015自然観察会」∼大人と子どもの地学教室∼
2月20日㈯
講演会
2月21日㈰
講演会
旧野殿童仙房小学校
(京都府相楽郡南山城村童仙房)
【話題提供者】 一瀬章弘 北銘木生産協同組合
藤井俊二 (有)Run設計集団 荒木 勇 (株)
アラキ工務店 芝蘭会館別館 研修室2
旧野殿童仙房小学校
(京都府相楽郡南山城村童仙房)
話題提供
小滝篤夫(京都府立大学)
E.FORUM制野俊弘先生 講演会
制野俊弘
(東松島市鳴瀬未来中学校 教諭)
命と向き合う教室∼子どもが
「命」
に見える学校・学級づくり∼
教育実践コラボレーションセンター
「生涯学習講演会「『学問』
の世界への誘(いざな)
い」
京都大学総合研究2号館 第2講義室
旧野殿童仙房小学校
(京都府相楽郡南山城村童仙房)
高野秀晴先生(仁愛大学人間生活学部)
話題提供
3月26日㈯
須﨑 貫
(京都市立洛風中学校校長)
教育実践コラボレーションセンター
京都大学医学部芝蘭会館
小泉隆平(京都府立清明高等学校 教諭/ 京都教育大学 准教授)
シンポジウム 公開シンポジウム
2階稲盛ホール
『新しい学校のかたちを考える−学校を問い直す子どもたち−』 コメンテーター
廣井良典(千葉大学法政経学部総合政策学科 教授)
3月27日㈰
話題提供
教育実践コラボレーションセンター
京都大学医学部芝蘭会館
木村 敦子(京都大学大学院法学研究科 准教授)
シンポジウム 公開シンポジウム
2階稲盛ホール
『新しい家族のかたちを考える−家族を問い直す子どもたち−』 藤田 智(京都家庭裁判所 主任家庭裁判所調査官)
知的コラボの会
第13回知的コラボの会『モダンガールの戦後―石垣綾子という人―』
稲垣先生
5月28日㈭
第14回知的コラボの会『世界神話の中の日本神話−比較神話の立場から日本の神々の解釈−』
シャロンドン研究員
7月 9日㈭
第15回知的コラボの会『指導要録改訂史にみる教育評価観の変遷』
田中先生
9月16日㈭
第16回知的コラボの会『複雑系からみた心理臨床』
廣瀬先生(愛知教育大学)
第17回知的コラボの会『パラダイム破壊型イノベーション入門−未来ビジョンをデザインするイノベーション・ソムリエのために』
山口先生(思修館)
10月22日㈭
28
会場:教育学部本館1階 第1会議室
5月 7日㈭
E.FORUM(教育研究開発フォーラム)
現在の日本においては、学校や地域の教育改革を推進するスクールリーダー(教育委員会の指導主事、学校管理
職、研究主任、地域の教育サークルのリーダーなど)
の育成・力量向上が急務となっています。
そこで、京都大学大学
院教育学研究科では、2006年度、全国の希望者に研修機会を提供するE.FORUMを設立しました。2012年度から
は、教師をめざす学生たちにも積極的な参加を呼び掛け、教師のライフコース全体を見通した力量向上のネットワー
クとなることをめざしています。
具体的には、下記の活動を行っています。詳細については、E.FORUMのウェブページをご覧ください。
http://e-forum.educ.kyoto-u.ac.jp/
①「全国スクールリーダー育成研修」
の実施
毎年8月と3月に研修を提供しています。教育の本質について考える講演、最新の研究や政策の動向を踏まえたワークショップ、参加者間の実践
交流を促進する交流会などを提供しています。
②「教育研究セミナー」
の開催
学校の教員と、大学の学生や研究者がともに、教育に関する時事的な問題を考えるセミナーを開催します。2015年度は、
「高等学校における探
究の評価」
などをテーマとしたセミナーを実施しました。
③「E.FORUM Online(EFO)」
の管理・運営
情報共有上のルールなどを定めた
「E.FORUM会則」
を作成し、会員の皆様に各種の実践資料を共有していただけるデータベースを開設してい
ます。EFOには掲示板もあり、研修の案内や日常的な意見交流に役立てています。
魅力的な講演
現場で活かせる講義
最新の知見を得られる講義
分科会での活発な議論
29
文部科学省による事業
博士課程教育リーディングプログラム
文部科学省によるこの事業は、優秀な学生を俯瞰力と独創力を備え広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーへと導くため、国内外の第
一級の教員・学生を結集し、産・学・官の参画を得つつ、専門分野の枠を超えて博士課程前期・後期一貫した世界に通用する質の保証された学位プロ
グラムを構築・展開する大学院教育の抜本的改革を支援し、最高学府に相応しい大学院の形成を推進する事業です。
オールラウンド型「京都大学大学院総合生存学館(思修館)」
本プログラムでは、志、
自鍛、責任感を重視し、専門分野の深い知識・経験と幅広い学識を兼ね備えるとともに、柔軟性ある思考で既存
の学問や課題領域を束ねることができ、
かつ国内外での豊富な実践教育を通じて、現地実践力と突破力を備えたグローバルリーダーたる
人材を育成します。
本研究科からは4名の教員が総合生存学館の学生指導に協力しています。
複合領域型(安全安心)
「グローバル生存学大学院連携プログラム」
現代の地球社会は、
(1)巨大自然災害、
(2)突発的人為災害・事故、
(3)環境劣化・感染症などの地域環境変動、
(4)食料安全保障、
と
いった危険事象や社会不安がますます大きく、
かつ、広がっています。本学位プログラムでは、
「グローバル生存学」
という新たな学際領域
を設定し、
1.人類が直面する危機を乗り切り、人間社会を心豊かにし、
その安寧に貢献するという使命感・倫理観にあふれた人材
2.自らの専門性に加えて幅広い視野と知識・智恵によって的確に対策を行うことのできる判断力・行動力を備えた人材
を育成します。
本研究科からは3名の学生が参加しています。
複合領域型(情報)
「デザイン学大学院連携プログラム」
国際社会は今、温暖化、災害、
エネルギー、食糧、人口など複合的な問題の解決を求めています。
そこで、教育学研究科では、
「 社会のシ
ステムやアーキテクチャ」
をデザインできる博士人材を育成するために、心理学の専門家が、情報学、機械工学、建築学、経営学の専門家
と協力して、
デザイン学の学位プログラムを構成しています。具体的には、心理学領域のデザインに関わる科目として、
「認知デザイン特論」
などの講義科目と、
スキル科目として、
「心理デザイン研究法演習」、
「デザイン学コミュニケーションストラテジー」
などを提供しています。
あ
わせて、他の専門領域の教員と協力して、領域横断的なデザイン手法に関わる科目として、
「フィールド研究法」、
および問題発見型/問題
解決型学習
(FBL/PBL)
などを提供しています。
さらに、博士後期課程では、国内外の研究機関、民間企業、行政と協力して、
「オープンイノ
ベーション実習」、
「フィールドインターンシップ」、
「リサーチインターンシップ」
をおこないます。
すなわち、専門家の
「共通言語と」
してデザイン学を教育し、社会を変革する専門家の育成を目指しています。
こうした人材を、
ジェネラリ
ストを意味する
「T字型人材(T-shaped
people)」
と対比させ、専門領域を超えて協働できる突出した専門家という意味を込めて
「十字
型人材(+-shaped people)」
と呼び、本プログラムにより養成すべき人材像としています。
本研究科からは、予科生に4名、本科生に11名の学生が参加しています。
30
刊行物・図書室
研究紀要及び編集誌等
『京都大学大学院教育学研究科紀要』
昭和30年(1955)『教育学部紀要』創刊
平成11年(1999)
より
『研究科紀要』現在62号
京都大学大学院教育学研究科附属『臨床教育実践研究センター紀要』
平成10年(1998)創刊、現在19号
心理教育相談室紀要『臨床心理事例研究』
昭和49年(1974)創刊、現在42号
臨床実践指導学講座紀要『心理臨床 スーパーヴィジョン学』
平成27年(2015)創刊、現在2号
教育方法学講座紀要『教育方法の探究』
平成9年(1997)創刊、現在18号
教育社会学講座紀要『教育・社会・文化』
メディア文化論研究室紀要『京都メディア史研究年報』
平成6年(1994)創刊、現在16号
平成27年(2015)創刊、現在2号
生涯教育学講座紀要『京都大学 生涯教育学・図書館情報学研究』
比較教育政策学講座紀要『教育行財政論叢』
平成14年(2002)創刊、11号終刊
昭和57年(1982)創刊、現在11号
『京都大学生涯教育フィールド研究』
『アジア教育研究報告』
平成25年(2013)創刊、現在4号
平成11年(1999)創刊、現在13号
Lifelong Education and Libraries
臨床教育学講座紀要『臨床教育人間学』
平成13年(2001)創刊、現在11号
平成11年(1999)創刊、現在12号
図書室及び蔵書
教育学研究科・教育学部図書室の蔵書は、教育方法・教育思想・教育心理学を主な内容とする
「文学部移管図書」
を基礎にして、認知心理学や発
達心理学をはじめとする心理学、教育社会学を中心とした社会学及び図書館学などの文献を系統的に収集し、最近は臨床心理学領域の文献収集に
も力を注いでいる。
閲覧室には参考図書と利用者用パソコン4台を設置しており、KULINE(蔵書検索)、京都大学の提供する文献データベース、電子ジャーナルが利
用できる。平成16年の閲覧システム導入に伴い、遡及入力を積極的に行っており、
ほぼすべての図書がオンライン検索可能である。
蔵書数
和 書 109,963冊
洋 書
合計
73,194冊
183,157冊
和雑誌
2,302種
洋雑誌
800種
合計
3,102種
(2016年3月現在)
・文学部からの移管図書
9,376冊
・フランス教育史コレクション
225冊
・池田(進)文庫
394冊
・小西(重直)文庫
482冊
・篠原(助市・陽二)文庫
2,751冊
・高橋(俊乗)文庫
1,364冊
・山中(康裕)文庫
1,145冊
・教育課程文庫
5,341冊
・日本近代化研究会文庫
927冊
・梅本(堯夫)文庫
672冊
・小林(哲也)文庫
冊数不明
・高瀬(常男)文庫
冊数不明
・前田(博)文庫
969冊
(2016年4月現在)
31
教職員・学生数・進路等の現況
教職員数(平成28年4月1日現在)
教育学研究科教員
教授
准教授
講師
助教
小計
事務系職員
計
17
17
1
5
40
8
48
教育科学専攻
科学研究費補助金採択状況(平成27年度)
種 目
件 数
新学術領域研究
教育学研究科長・教育学部長 高見 茂
副研究科長 稲垣 恭子・楠見 孝
教育学
臨床教育学
教 授 鈴木 晶子
教 授 矢野 智司
31,700
教 授 駒込 武
教 授 西平 直
准 教 授 山名 淳
准 教 授 齋藤 直子
准 教 授 田中 智子
准 教 授 JEREMY RAPPLEYE
金額(千円)
3
基盤研究( A )
3
22,500
基盤研究( B )
9
31,600
基盤研究( C )
9
14,300
挑戦的萌芽研究
7
5,900
若手研究( A )
0
0
若手研究( B )
5
4,500
若手研究(スタートアップ)
2
1,600
研究成果公開促進費・学術図書
0
0
特別研究員奨励費
21
20,040
計
59
127,640
(平成28年10月1日着任予定)
准 教 授 NIELS VAN STEEN PAAL
教育方法学
教 授 田中 耕治
教 授 明和 政子
准 教 授 西岡加名恵
准 教 授 石井 英真
准 教 授 森口 佑介
助 教 田中 友香理
特定助教 今福 理博
特定助教 日吉 和子
研究拠点形成費補助金採択状況(平成27年度)
種 目
件 数
リーディング大学院構築事業
金額(千円)
2
21,447
教育認知心理学
教 授 楠見 孝
教 授 MANALO EMMANUEL
教 授 川左紀子
外部資金受入状況(平成27年度)
種 目
件 数
金額(千円)
寄附金
8
7,267
受託研究
0
0
共同研究
4
3,550
12
10,817
計
国際交流
留学生数(平成28年5月1日現在)
国名等
中華人民共和国
学部
大学院
研究生等
1
12
2
大韓民国
2
台湾
タイ
1
計(人)
4
イラン
1
1
トルコ
1
1
バングラディシュ
1
1
学術交流協定締結大学
教育社会学
教 授 岩井 八郎
教 授 稲垣 恭子
26
ハーバード燕京研究所(アメリカ合衆国)
カリフォルニア大学ロサンゼルス校教育学部
(アメリカ合衆国)
北京師範大学教育学院(中華人民共和国)
ランカスター大学心理学部(英国)
中国教育科学研究院(中華人民共和国)
ソウル大学校師範大学教育学科(大韓民国)
ドルトムント工科大学教育・心理・社会学部
(ドイツ連邦共和国)
心理臨床学
教 授 桑原 知子
教 授 河合 俊雄
准 教 授 田中 康裕
准 教 授 大山 泰宏
准 教 授 立木 康介
臨床実践指導学
教 授 皆藤 章
准 教 授 高橋 靖恵
臨床心理実践学
教 授 岡野憲一郎
准 教 授 松下 姫歌
特定助教 時岡 良太
客員教員
教 授 谷口 淳一
(本務先:京都教育大学)
教 授 澤崎 俊之
(本務先:埼玉大学)
教 授 冨永 吉喜
准 教 授 竹内 里欧
(本務先:京都府立盲学校)
生涯教育学
(本務先:京都教育大学)
教 授 佐藤 卓己
講 師 福井 佑介
1
3
特定准教授 高橋 雄介
2
1
21
准 教 授 野村 理朗
准 教 授 渡邊 洋子
1
2
教 授 齊藤 智
15
モンゴル
計
32
3
1
臨床教育学専攻
比較教育政策学
教 授 高見 茂
准 教 授 田爪 宏二
准 教 授 浅田 剛正
(本務先:新潟青陵大学)
情報関連
助 教 橋本 敦史
教 授 杉本 均
准 教 授 南部 広孝
准 教 授 服部 憲児
高等教育開発論
教 授 飯吉 透
教 授 松下 佳代
教 授 溝上 慎一
准 教 授 田口 真奈
准 教 授 酒井 博之
准 教 授 山田 剛史
国際関連
助 教 渡辺 雅幸
学生の動態
学部入学者・卒業者数及び進路状況
学生数(平成28年5月1日現在)
大学院(人)
1年次
2年次
37
(5)
53
(7)
1年次
27
3年次
31
(2)
42
(7)
2回生
63
(1)
3回生
4回生∼
72
95
(1)
64
100
(9)
60
定員
1
入学者数
(人)
3
294
(2)
※
( )
内は留学生で内数
定員
志願者数
入学者数
平成
24年度
平成
25年度
平成
26年度
平成
27年度
平成
28年度
42
42
42
42
42
42
141
106
113
113
114
91
37
36
42
42
47
37
※
( )
内は留学生、
[ ]
内は社会人、
〈 〉
内は専修コースでいずれも内数
博士後期課程入学者数
定員
平成
23年度
平成
24年度
平成
25年度
平成
26年度
平成
27年度
平成
28年度
25
25
25
25
25
25
49
45
33
46
44
45
志願者数
(5)
[12]
(3)
[6]
(1)
[6]
(7)
[17]
(2)
[16]
[28]
入学者数
(5)
[6]
(2)
[5]
(1)
[3]
(5)
[7]
(2)
[6]
[12]
36
27
22
30
32
27
60
60
60
(6)
209
216
228
229
203
195
(25)
[1]
63
61
61
62
62
62
(5)
[1]
定員
10
10
10
10
10
10
10
志願者数
18
23
23
25
20
23
26
入学者数
5
6
8
8
6
11
9
71
進路別
卒業者数(人) 就職者数
61
61
73
63
69
22
16
25
24
29
21
〈18〉
〈16〉
〈17〉
〈23〉
〈23〉
〈19〉
35
38
41
33
37
42
4
7
7
6
3
8
その他
※
( )
内は特色入試、
[ ]
内は外国人留学生特別選抜、
〈 〉
内は本学教育学研究科進学者でいずれも内数
(11)
[29]
〈47〉 (9)
[22]
〈37〉 (6)
[30]
〈47〉 (6)
[23]
〈32〉 (15)
[28]
〈27〉 (8)
[26]
〈26〉
(3)
[6]
〈10〉 (4)
[6]
〈9〉 (3)
[7]
〈10〉 (3)
[5]
〈9〉 (6)
[8]
〈11〉 (5)
[8]
〈9〉
60
62
進学者数
平成
23年度
60
入学者数
卒業者数(人)
大学院修士課程入学者数
60
志願者数 232
年次
90
(12)
2年次
1回生
年次
博士後期課程
修士課程
平成
平成
平成
平成
平成
平成
平成
22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 27年度 28年度
学部(人)
学部卒業者の就職状況
平成
22年度
平成
23年度
平成
24年度
平成
25年度
教育職
6
1
10
9
4
3
公務員
4
5
3
6
3
5
19
28
22
18
27
34
6
4
6
0
3
8
35
38
41
33
37
50
民間企業
その他
計
平成
26年度
平成
27年度
※
( )
内は留学生、
[ ]
内は社会人でいずれも内数
大学院修了者数及び進路状況
大学院修了者の就職状況
平成
24年度
平成
25年度
平成
26年度
平成
27年度
0
0
0
0
1
0
5
3
7
3
3
4
その他
1
0
0
0
3
1
国家公務員
2
0
0
2
1
1
地方公務員
1
3
4
1
0
3
2
6
2
8
2
16
11
12
13
14
10
25
大学教員
修士課程︵人︶
教育関係 中・高校教諭等
公務員
民間企業等
小計
京都大学教員
1
2
0
2
4
4
他国立大学教員
1
0
1
2
2
0
教育関係 公立大学教員
博士後期課程︵人︶
私立大学教員
0
0
0
0
0
0
12
4
10
6
5
3
博士後期課程︵人︶
平成
23年度
平成
22年度
平成
23年度
平成
24年度
平成
25年度
平成
26年度
平成
27年度
修了者数
43
37
35
38
38
45
進学者数
27
23
19
23
26
20
就職者数
11
12
13
14
10
18
5
2
3
1
2
7
学位取得修了者数
11
3
8
5
7
6
学修認定退学者数
21
17
14
31
15
14
修士課程︵人︶
平成
22年度
進路
状況
その他
博士学位授与件数
∼平成
22年度
平成
23年度
平成
24年度
平成
25年度
平成
26年度
平成
27年度
0
0
1
0
1
0
課程博士
111
17
21
13
13
17
研修員 京都大学
6
0
2
1
1
0
論文博士
144
5
0
4
2
0
研究員 京都大学
0
4
1
3
3
2
小計
255
22
21
17
15
17
学術振興会特別研究員
5
0
3
4
2
0
総授与数
255
277
298
315
330
347
中・高校教諭
7
7
8
8
3
11
小計
32
17
26
26
21
20
合計
43
29
39
40
31
45
民間企業等
33
アクセス
至梅田駅
至京都駅
至淀屋橋駅
総合研究2号館
総合研究1号館
教育学部本館
JR京都駅から市バス
(206・17)
で百万遍下車
阪急河原町駅から市バス
(201・31・3・17)
で百万遍下車
京阪出町柳駅から東へ徒歩約10分
34
京都大学
大学院教育学研究科
〒606-8501 京都市左京区吉田本町
tel.075-753-3003 fax.075-753-3025
URL.http//www.educ.kyoto-u.ac.jp/
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