...

板橋区次世代育成推進行動計画策定協議

by user

on
Category: Documents
15

views

Report

Comments

Transcript

板橋区次世代育成推進行動計画策定協議
「板橋区における次世代育成支援のあり方について」
中間のまとめ
平成 16 年 8 月
板橋区次世代育成推進行動計画策定協議会
も
く
じ
はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
1 次世代育成支援にあたっての基本的考え方
Ⅰ
基本理念と基本目標
Ⅱ
基本的視点
・・・・・・・・・・・・・・・4
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
2 課題と基本的方向
Ⅰ
みんなの力で子育て支援
・・・・・・・・・・・・・10
Ⅱ
子どもと母親の健康づくり
Ⅲ
次代を担う子どもの生きる力の育成
Ⅳ
子どもがのびのび育つまちづくり
Ⅴ
仕事と子育ての両立支援
Ⅵ
みんなで子どもの安全を確保
Ⅶ
特に配慮を必要とする子どもへの支援
Ⅷ
共通課題
・・・・・・・・・・・・11
・・・・・・・・12
・・・・・・・・・13
・・・・・・・・・・・・・14
・・・・・・・・・・・15
・・・・・・・16
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
参考資料
Ⅰ
板橋区の地域特性
・・・・・・・・・・・・・・・・20
⑴
地勢
⑵
昼夜間人口比率・・・・・・・・・・・・・・・・20
⑶
地域活動組織・・・・・・・・・・・・・・・・・20
Ⅱ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
次世代育成支援に関わる現状
1
・・・・・・・・・・・22
少子化の動向
⑴
人口の推移
・・・・・・・・・・・・・・・・・22
⑵
出生の動向
・・・・・・・・・・・・・・・・・24
⑶
婚姻・離婚の動向
⑷
晩婚化・少子化の動向
⑸
児童数の将来予測
⑹
就学前児童の保育等の状況
・・・・・・・・・・・・・・25
・・・・・・・・・・・・26
・・・・・・・・・・・・・・28
・・・・・・・・・・30
2
家族及び地域の状況
⑴
世帯の動向
⑵
就労状況
⑶
産業・雇用の状況
3
・・・・・・・・・・・・・・・・・31
・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
・・・・・・・・・・・・・・33
子育て家庭の生活実態
⑴
子育てに関する不安や悩み
・・・・・・・・・・34
⑵
子どもの居場所
⑶
子ども・子育てをめぐる問題の動向
⑷
保育所の入所状況
⑸
ファミリー・サポート・センター事業の実績
・・・・・・・・・・・・・・・35
・・・・・・36
・・・・・・・・・・・・・・37
・・39
付属資料
板橋区次世代育成推進行動計画策定協議会委員名簿・・・43
板橋区次世代育成推進行動計画策定協議会審議経過・・・44
板橋区次世代育成推進行動計画策定協議会専門部会審議経過・・・44
はじめに
本協議会は、平成 16 年 3 月 1 日の第一回協議会において、板橋区長か
ら「板橋区における次世代育成支援のあり方について」諮問を受けまし
た。
この諮問を受け、区の取組みに資することを目的として、今までに協
議会4回、協議会の下に設置した3つの専門部会それぞれ 4 回ずつ計 16
回の会議を開催し、板橋区における次世代育成支援対策を推進するにあ
たっての現状と課題、基本理念、各専門部会の個別のテーマについて審
議を重ねてきました。
これらの議論に基づき、様々な角度から検討を加え、国の行動計画策
定指針で定められている市町村行動計画に盛り込むべき事項に沿って整
理を行いました。
今回の「中間のまとめ」は、板橋区における次世代育成支援のあり方
について、これまでの審議経過を板橋区長へ報告するとともに、区民に
公表し、広く意見を求めていくものです。
今後は、区民から寄せられた意見を踏まえ、
「中間のまとめ」に示され
た次世代育成支援の基本的考え方、課題と基本的方向についてさらに審
議を加え、板橋区が策定する次世代育成支援を推進するための行動計画
に実りある多くの提言が盛り込まれ、サービスの質が高められるよう、
最終答申に向け検討を進めていく予定です。
1
1
次世代育成支援にあたっての基本的考え方
Ⅰ 基本理念と基本目標
子どもは社会の宝であり、未来への希望です。いつの時代においても、子どもを産
み育てることは何にもまして尊い行為であり、普遍的なものです。
しかし、日本では先進国共通の自然現象ともいえる少子化が、特に都市部を中心に
進行してきており、板橋区においてもそれは例外ではありません。核家族化や都市化
の進行による家庭の養育力の低下、親の就労形態の多様化、家庭生活との両立が困難
な職場のあり方、子どもを取巻く社会環境の悪化、などの問題が背景にあるといわれ
ています。
このような現状を行政だけでなく、事業者や地域、家庭、個人など、社会を構成す
るすべての主体が、それぞれの責任と役割を自覚し、社会全体の問題として真摯に受
け止め、子どもが健やかに育つ社会、子どもを産み育てることに喜びを感じることが
できる社会へ転換することが重要な課題です。
これからは、子どもを産み育てたいと願う人の心理的不安や負担感をできるだけ緩
和し、社会全体で子育ての喜びを理解し、分かち合い、育て合い、支え合い、ふれ合
うなかで、次代を担う子どもたちの成長を見守っていくとともに、家庭や地域などの
あらゆる主体が共に成長していくことが大切です。
さらに、子どもは家庭をその成長の基盤としながらも、地域社会とのかかわりを通
じて、たくましく生きていく力と豊かな心を培い、社会的存在として成長していきま
す。その意味で、子どもたちの成長にとって、地域社会の果たす役割は非常に大きい
といえます。
地域の特性を最大限に活かしながら、行政、事業者、民間組織など、すべての主体
がネットワークを結び、世代を越え、主体を越えて、“未来の大人”の育ちに夢と希
望を託すため、お互いに助け合い、育ち合っていくことが重要です。
以上の考えのもとに、板橋区の次世代育成支援対策の目指す方向として、次の基本
理念と基本目標を設定しました。
4
【基本理念】
いたばしで未来のおとなが育っています
― みんなの力で 人づくり・まちづくり ―
【基本目標】
(1)わたしたちは、安心して子どもを産み育てることのできるまちを
つくります
(2)わたしたちは、家庭と地域で子育てしやすいまちをつくります
(3)わたしたちは、仕事と子育てが両立できるような支援体制をつく
ります
(4)わたしたちは、未来を担う子どもたちが安心していきいきと過ご
せる生活環境をつくります
(5)わたしたちは、次世代を育む親となる子どもたちがたくましく生
きていく力と、豊かな心を培う後押しをします
5
Ⅱ 基本的視点
次世代育成支援を推進するにあたっての基本的視点を次の8項目としました。
(1)子どもの視点
子どもの幸せを第一に考え、子どもの利益が最大限に尊重されるよう配慮すること
が必要であり、特に、子育ては男女が協力して行うべきものとの視点に立った取組が
重要です。
(2)次代の親づくりという視点
子どもは次代の親となるものとの認識の下に、豊かな人間性を形成し、自立して家
庭を持つことができるよう、長期的な視野に立った子どもの健全育成のための取組を
進めることが必要です。
(3)サービス利用者の視点
多様な個別のニーズに柔軟に対応できるように、利用者の視点に立った柔軟かつ総
合的な取組が必要です。
(4)社会全体による支援の視点
親その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の
下に、行政や企業、学校、地域社会を含めた社会全体で協力して取り組むべき課題で
あることから、様々な担い手の協働の下に対策を進めていくことが必要です。
(5)すべての子どもと家庭への支援の視点
子育てと仕事の両立支援のみならず、子育ての孤立化等の問題を踏まえ、広くすべ
ての子どもと家庭への支援という観点から推進することが必要です。
6
(6)地域における社会資源の効果的な活用の視点
地域で子育てに関する活動を行うNPO、子育てサークルをはじめとする地域活動
団体、社会福祉協議会、民生・児童委員など、地域における社会資源の効果的活用を
図っていく必要があります。
また、保育所や児童館、幼稚園・学校施設をはじめとする各種の公共施設の活用を
図っていくことも必要です。
(7)サービスの質の視点
サービスの質を評価し、向上させていくという視点から、人材の資質の向上を図る
とともに、情報公開やサービス評価等の取組を進めることが必要です。
(8)地域特性の視点
地域における人口構造や社会資源の状況、利用者のニーズ、必要とされる支援策な
ど、地域の特性を踏まえて主体的な取組を進めていくことが必要です。
7
2
課題と基本的方向
Ⅰ みんなの力で子育て支援
子どもを安心して育てるためには、地域において子育てを支援する体制・仕組みが
必要です。すべての子育て家庭への支援を行う観点から、新たなサービスの枠組みを
構築する必要があります。
〔具体的取組の提案〕
○ 乳幼児と母親等の居場所のひとつとして、すべての児童館を中心に実施している
「ひろば事業(幼児ふれあいひろば)」の充実を図るとともに、地域にくまなく「子
育て交流の場」を展開するための仕組みを構築し、保育園、幼稚園、健康福祉セ
ンター、子ども家庭支援センター等とのネットワーク化を図る必要があります。
○ すべての子育て家庭への支援を推進する観点から、急病などの緊急時だけでなく、
育児疲れの解消(レスパイトケア)を含む休養、通院、子どもの兄弟姉妹の学校
行事、美容院など、保護者の多様な利用目的に柔軟に対応することができる一時
保育事業の整備・拡充を図ることが必要です。
○ 夏休み期間中など小・中学校の長期休業期間中は、小・中学生が児童館を利用す
ることから、
「ひろば事業」が休止となり、幼児やその保護者が利用できなくなり
ます。そのため、この間に親子が利用できる場を提供していくことが必要です。
○ 子育て支援者を養成する講座等を開設し、子育て支援者の拡大、資質の向上、協
働の促進を図るとともに、子育て支援の担い手である NPO や子育てサークル等の
住民参加も視野に入れながら、地域の子育て力を高めていく必要があります。
○ 保育園保育士、幼稚園・小・中学校教諭などがスキルアップを図る一方で、保育
園、幼稚園、小・中学校、高校が家庭や地域と連携し、親が集うあらゆる場や機
会を捉えて、子どもの発達段階に応じた適切な助言を行うなど、親として育つた
めの家庭教育を推進していくことが必要です。
○ ライフステージに応じた子どもの居場所づくりを進めるとともに、子ども自身が
求める内容として充実させていくことが必要です。
○ 全国に先駆けた取組であり、また対応の柔軟性により評価の高い板橋区ファミリ
ー・サポート・センター事業について、ニーズ量の増大に伴うリーダーへの負担
増など、現行の運営システムのままでは今後の円滑な事業展開に支障をきたすこ
とも懸念されます。今後の事業の発展と充実を図るためには、新たな運営システ
ムを構築することが喫緊の課題になります。
10
Ⅱ 子どもと母親の健康づくり
子どもが健やかに生まれ、成長していくためには、母子保健・小児医療体制の充実
を図ることが不可欠です。子どもと母親(父親を含む)の健康を増進し、父親の子育
てへの積極的な参加を図りながら、保健・医療・福祉・教育などの各分野における連
携を強化しつつ、それぞれの事業を実施する必要があります。
〔具体的取組の提案〕
○ 産後における子育て支援として、産後の家事援助等のニーズが高い実情に鑑み、
産後支援ヘルパーの導入を進めていく必要があります。
○ 妊娠中から心身ともに安定した状態で過ごせるように妊娠初期からの相談体制や
妊婦健康診査、妊婦訪問等の健診相談体制の充実、さらに働く妊婦や父親の積極
的な子育てへの参加に配慮した妊娠中の健康教育の充実を図る必要があります。
○ 健康福祉センターにおける乳幼児健診や相談事業などの母子保健事業は、子育て
の孤立化を予防し、児童虐待の一次予防にとって重要な役割を果たしており、今
後、さらなる充実を図っていくことが必要です。
○ 乳幼児健診は、疾病や軽度の発達障害などを早期に発見できるように、健診の質
の向上を図っていく必要があります。
○ 小児医療体制は、安心して子どもを産み育てることができる環境の基盤となるも
のであり、子どもの日頃の健康状態を把握している「かかりつけ医」を子どもの
時からもつことを推進していくことが必要です。さらに小児救急医療の受入れ体
制の充実を図るとともに、日・祭日のみならず、平日の夜間における受診も可能
な医療体制の整備を進めていく必要があります。
○ 生活習慣病を予防するには、乳幼児期からよりよい生活習慣を身につけることが
必要であり、運動の習慣や歯の健康等に留意した生活習慣が大切です。特に正し
い食事の摂り方や、食を通じた豊かな人間性の形成、家族関係づくりなど、食育
の充実を図る正しい知識の普及に努める必要があります。
○ 10 歳代の人工妊娠中絶、性感染症の増加等の思春期における性の問題に対応す
るため、保健所、健康福祉センター、学校、医療機関等の連携により、性に関す
る健全な意識の涵養と併せて、性や性感染症の予防に関する正しい知識の普及を
図る必要があります。
11
Ⅲ 次代を担う子どもの生きる力の育成
近年、問題となっている「小1プロブレム」にみられるように、情緒面に問題を抱
える子どもが増えており、こうした子どもの育成に関し、就学前の子どもに関わって
いる幼稚園と保育所が、それぞれの特性を活かしつつ、子どもたちの育つ環境をより
豊かなものとなるよう取り組むことが必要です。
また、次代の親(未来のおとな)が育つという観点から、地域との連携をより強化
した特色ある学校づくりの推進、地域や家庭の教育力の向上など、教育環境づくりに
取り組む必要があります。
〔具体的取組の提案〕
○ 子どもが小学校における教育へ円滑に移行できるよう、幼稚園、保育所、小学校
の教員、保育士のすべてを対象とした研修や交流事業の実施など、関係機関が組
織的・継続的に連携を図る体制を構築し、アプローチしていく必要があります。
○ 現代では幼い子どもと接する機会が少ないことから、特に次代の親となる中高生
に対して、幼い子どもとのふれあい体験などを通じて子どもや家庭を知り、子ど
もとともに育つ機会を多く設けることが大切です。これにより、生命の尊さを実
感したり、人への関心や共感を高める心の育成を図り、社会とのかかわりや人と
のつながりを大切にすることについて、家庭、学校、地域社会において理解を深
める取組を推進していく必要があります。
○ 将来親となる子どもが心身ともに調和のとれた人間として成長し、規範意識、感
性、社会性等を身につけ、意欲や体力を養っていくことができるよう支援してい
く必要があります。そのため、地域の青少年団体やスポーツ指導者等と連携し、
部活動や総合的な学習の時間などを活用した伝統芸能体験、農業体験、自然体験
などの体験活動や、高齢者等との世代間交流、ボランティア活動の普及・促進を
図っていくことが必要です。
○ 早い時期からの就業意識を地域の中で醸成していくことが必要です。そのため、
地域の中で働いている大人の姿を見学してもらうための仕事場を指定し、一定の
ルールの下、子どもたちがいつでも仕事をしている様子を見学できる制度・仕組
みづくりを検討していく必要があります。
12
Ⅳ 子どもがのびのび育つまちづくり
子どもが健やかに育っていくためには、子ども連れの親や子どもが安心して活動で
きるような、ゆとりある快適な生活空間が必要となります。
〔具体的取組の提案〕
○ 子ども向け公園、子ども専用公園に対する要望が高いことから、乳幼児や小学生、
中学生、高校生といったような利用者の発達段階にあわせた対象別公園を視野に
入れて、児童遊園、子ども公園(チャイルドパーク)等の整備を推進していく必
要があります。
○ 区内で整備を行っている自転車道について、その促進を図ることにより、歩行者・
自転車・自動車の分離による安全性・快適性の向上を図っていくことが望まれま
す。
○ 利便性とともに、子どもの視点、子ども連れの親の視点等に立脚し、子どもや子
ども連れの親と家族が、安全かつ安心して利用できる幅が広い歩道の設置などの
環境整備に努めるとともに、子育て中の親と家族が円滑に社会参加が行えるよう
に公共空間のバリアフリー化を進めるなど、都市環境の整備をさらに推進してい
く必要があります。
13
Ⅴ 仕事と子育ての両立支援
保育需要の増加に対応して、平成 13∼15 年度の期間だけでも 600 人の定員拡大を
行うなど、区では待機児解消に努めてきましたが、現在も解消されていません。幼稚
園で実施している預かり保育の推進を視野に入れつつ、保育を必要とする児童がすべ
て利用できる量的な充足を図るとともに、待機児解消を目指すことが必要です。
〔具体的取組の提案〕
○ 待機児解消対策を含めた保育施策推進にあたっては、認可保育所を基本としつつ、
認証保育所、保育室、家庭福祉員等、それぞれの特徴を生かした多様な保育を進
めていく必要があります。
○ 平成 16 年 4 月 1 日現在の待機児 228 人のうち 7 割強の 165 人の保護者の状況が
求職中というのが板橋区の特徴です。仕事と子育ての両立支援の観点から、この
対応策について検討する必要があります。
○ 保育サービスの質を担保する観点から、現在設けている苦情解決制度に加え、第
三者機関によるサービス評価システムの導入・実施等についての取組を検討して
いくことが必要です。
○ 就学前の子どもに関し、それまで育ってきた幼稚園や保育所といった環境の相違
による実態と子どもへの影響を明らかにし、すべての子どもが等しく同じ環境を
享受できる道筋を探るため、幼稚園と保育所が連携して、一元化の可能性を探る
試みについて検討していくことが必要です。
○ 延長保育、休日保育、夜間保育、病後児保育の実施にあたっては、保護者のニー
ズを精査し、需要に応じた保育サービスの提供を推進していくとともに、特に配
慮を必要とする障害児の保育については、受入れ態勢を整備しつつ、障害児の保
育状況の観察及び指導助言をしながら対応していく必要があります。
○ 保育行政の実施にあたっては、保育サービスに伴う受益者負担の算定方法を見直
し、保育料負担の公平性の確保を図っていくことに留意していく必要があります。
○ 保育需要に応じたサービスを提供するためには、公立・私立それぞれの特性を活
かしながら進めていくことが大切です。このことを踏まえた上で、特に配慮を要
する子どもへの対応など、公立保育所の果たすべき役割について確認しつつ、柔
軟で機動的なサービスを提供するため、区立保育所の民営化を視野に入れて検討
する必要があります。
14
Ⅵ みんなで子どもの安全を確保
乳幼児期以降の子どもの死亡原因として最も多いのが、交通事故や溺死等の「不慮
の事故」であり、特に乳幼児期の事故予防は重要な課題となっています。
また、最近は、子どもの連れ去り事件や子ども自身が犯罪の加害者・被害者になる
事件が多発しており、重大な社会問題となっています。
地域の中で安心して生活できるように子どもの安全を確保することが必要です。
〔具体的取組の提案〕
○ 子どもを交通事故から守るため、警察をはじめとする関係機関・民間団体等が連
携して、交通安全教室を開催するなど、子どもと子育て中の親等に交通安全意識
を身につけさせる取組を推進していくことが必要です。
○ 子どもが犯罪の被害に遭わないようにするための防犯講習の実施など、子どもの
犯罪被害防止意識を高めることを目的とした取組を進めていく必要があります。
○ 乳幼児期は不慮の事故に遭遇する割合が高く、家庭内・外で発生する事故予防が
重要な課題です。乳幼児が安全に過ごせるように家庭内を点検し、あらゆる機会
を通して、親や家族に子どもの事故防止のために、正しい知識を賦与する仕組み
を用意する必要があります。
○ 「板橋セーフティーネットワーク事業」の充実を図り、子どもをはじめ地域住民
を犯罪等の被害から守るため、地域をあげた防犯活動に積極的に取り組んでいく
ことが必要です。
○ 子どもたちに「ピーポ 110 番」のプレートが掲げられている家などの役割につい
て、その意味を周知させるなどの意識化を促進し、この仕組みの一層の定着を図
るとともに、まち全体として防犯体制を強化していくよう取り組んでいくことが
必要です。
15
Ⅶ 特に配慮を必要とする子どもへの支援
これまでの取組のほか、児童虐待防止への積極的な取組、ひとり親家庭への自立支
援、障害児に対するサポートが求められています。
〔具体的取組の提案〕
○ すべての子育て家庭への支援を充実させるため、特別な配慮を必要とする子ども
と家庭も視野におき、様々なかたちで親子に対して交流・集いの場を提供し、育
児不安の軽減、孤立した育児の予防を図るとともに、児童虐待の一次予防を図る
必要があります。
○ 児童館などで行われている「ひろば事業」や、健康福祉センターで実施している
乳幼児健診など、子育て支援サービスを利用せず、孤立した育児に陥っている親
子への支援体制を充実する必要があります。延いては児童虐待の未然防止や早期
発見、養育力不足の家庭の早期把握を目的とした家庭訪問など、積極的なアプロ
ーチを試みることが必要です。
○ 就職に際し、十分な準備のないまま職に就かなければならない母子家庭における
母の能力開発の取組を支援し、母子家庭の自立の促進を図っていくことが必要で
す。
○ 乳幼児健診や就学児健康診断のさらなる充実により、障害の早期発見に努めるこ
とが求められています。また、障害があっても、関係機関同士の連携により、適
切な医療及び療育が受けられ、発達段階に応じて、健常児との集団保育や障害児
通園施設等を利用しながら、地域で生活できるための子どもと家族への支援体制
の充実・整備を図る必要があります。
○ 発達の遅れが疑われる子どもについては、関係機関が連携を深めることによって
適切な療育機関へつなげることが重要です。親の心理的不安や心情的抵抗感を理
解しつつ、関係機関が連携し、特別支援教育制度の導入の動きなどを踏まえ、支
援が途切れることのないよう継続的に関わっていくためのバックアップ体制を構
築するよう努めていくことが必要です。
16
Ⅷ 共通課題
以上Ⅰ∼Ⅶまでの取組を補完する観点から、また、区民と区政の協働の見地から、
以下に示す5つの項目が、すべての事業・取組にわたる共通の取り組むべき課題とし
て挙げられます。
(1)世代の連続性への配慮
これまでの子どもに対する取組は、就学前児童、小学生、中学生、高校生といった
ように、それぞれの年代に応じて行われることが殆どでした。「小1プロブレム」へ
の対応として幼稚園、保育所、小学校の連携が必要なように、次代の親となる子ども
の健やかな育ちを支援していくためには、様々な取組について、世代の連続性に配慮
しつつ、支援が途切れることのないように進めていくことが求められています。
(2)ネットワークの構築
次世代育成支援対策は、行政はもとより、企業や地域を含めた社会全体で協力して
取り組んでいくことが課題です。このため、人を含めた地域における数多くの社会資
源をどのようにネットワークで結ぶかが最も重要な鍵となります。関係する様々な主
体がネットワークを構築し、点から線へ、線から面となるよう、手を携えて取り組ん
でいくことが求められています。
(3)人材の育成
次代の親となる子どもを育成していくためには、保護者の親としての力量を高め、
次の子育て支援の担い手としてエンパワーメントしていくほか、地域においてコーデ
ィネーター的役割を担い、子育て支援や人と人との輪づくりを進めていく中心となる
人を育てていくことが重要です。
このため、既存の社会資源の効果的な活用に加え、子育て支援の支え手である人材
を養成するとともに、資質を高めていく仕組みづくりが求められています。
17
(4)サービスの質の確保
利用者が安心してサービスを利用できる環境を整備するためには、サービス供給量
を適切に確保するとともに、サービスの質を確保することが重要です。
このため、サービスの供給者となる人材の資質の向上を図るとともに、情報公開や
第三者機関によるサービス評価等の取組を進めることが求められています。
(5)情報の一元化と総合化
様々な事業や取組において、適切な情報提供が課題とされることがありますが、次
世代育成支援を進めていくにあたっても、常に意識して取り組むべき課題の一つです。
情報は必要とするときに、タイムリーに入手できてこそ、有益なものとなります。
身近なところでわかりやすく適切な情報提供を行うことと、それぞれの事業や取組
に関する総合的な相談から的確なサービスへとつなげる一環した支援システムの構
築が必要となっています。
今後は、サービスの利用者とそれぞれの提供者の間に立って、適正な情報を仲介し、
調整してくれる組織や人材が必要となることから、情報のコーディネート機能をもっ
た機関を地域において整備することが求められています。
18
参
考
資
料
Ⅰ 板橋区の地域特性
(1)地勢
板橋区は、23 区の北西部に位置し、東は北区、南から西にかけては、豊島区、練馬
区と接し、西から北にかけては白子川、荒川をはさみ埼玉県と相対しています。面積
は 32.17km2 で、23 区の中で9番目に広い区です。
また、武蔵野台地の北東端付近に位置しており、おおむね南西部は高台に、北東部
は荒川の沖積低地になっています。北部の荒川、新河岸川のほか、南部の石神井川、
高島平・徳丸の前谷津川、成増の百々向(ずずむき)川、板橋の谷端川など多くの河
川が流れ、複雑な地形が刻まれましたが、一方で斜面林など豊かな自然が育まれてき
ました。
(2)昼夜間人口比率
板橋区の平成 12 年 10 月 1 日における夜間人口は、
512,459 人、
昼間人口は 470,917
人となっており、昼夜間人口比率は 91.9 です。平成2年の 90.0、平成7年の 90.7 と
比較して微増傾向にあります。
(表1)
(表1 流入・流出人口の推移)
(各 10 月1日)
年次・年齢 夜 間 人 口
平成 2 年
7
12
513 438
509 578
512 459
*昼夜間人口比率=
流 入 人 口
総
数
通 勤 者 通 学
133 719
107 421
26
134 769
110 293
24
124 378
103 828
20
昼間人口
流 出 人 口
者 総
数 通 勤 者 通 学
298
185 793
152 594
33
476
182 384
152 390
29
550
165 920
141 544
24
×100
者
199
994
376
昼夜間人口
比 率
461 364
90.0
461 963
90.7
470 917
91.9
昼間人 口
資料:板橋区の統計(平成 15 年版)
夜間人口
(3)地域活動組織
板橋区では、町会・自治会活動のほか、13 ヶ所の区民センターが設置され、区民セ
ンター運営委員会を中心に活発な活動を展開しています。このような地域での活動に
加えて、近年、ボランティア・NPO活動などが盛んになり、福祉・環境・まちづく
り・教育など、身近な問題に対して広まってきています。
子育てサークルについては、平成 15 年度では 12 のサークルが活動しています。ま
た、平成 16 年3月1日現在、区内では 75 のNPO法人が認証を受けて活動していま
20
すが、このうち子どもの健全育成の分野で活動している法人は 25 あります。
また、子ども家庭支援センターでは、地域における育児の相互援助を行うファミリ
ー・サポート・センター事業を実施しています。そのほか、いきいき寺子屋事業とし
て、保護者や地域の団体などが協働で運営する「学校開放協力会」が様々な教室やプ
ログラムを実施するなど、地域で様々な取り組みが行われています。
21
Ⅱ 次世代育成支援に関わる現状
1 少子化の動向
(1)人口の推移
① 総人口
板橋区の人口は、戦後ほぼ一貫して増加を続け、昭和 53 年に 50 万人を突破しまし
た。その後、平成4年をピークにして人口の減少が続きましたが、平成 10 年からま
た増加に転じており、平成 15 年4月1日現在(東京都の人口(推計)*)は、525,238
人となっています。人口は微増傾向にあるものの、出生率の低下などにより人口増加
率の低下傾向が顕著になっています。
(図1)
*
直前の国勢調査人口を基準として,これに毎月の住民基本台帳の登録増減数を加減して推計したもので,東京
都総務局統計部から公表されたもの。
(図1 総人口の推移)
(万人)
総人口の推移
60
50
40
30
20
10
0
昭
和
22
年
25
年
28
年
31
年
34
年
37
年
40 43
年 年
46
年
49
年
52
年
55
年
58
年
61
年
平
成
元
年
4
年
7
年
10 13
年 年
資料:板橋区の統計(平成 15 年版)
22
② 年齢3区分別人口
年齢3区分別に見ると、幼年人口(0∼14 歳)は、平成7年には 65,247 人と、総
人口(497,671 人)の 13.1%でしたが、平成8年には幼年人口の割合(12.8%)が老年
人口の割合(13.0%)を下回るようになりました。
平成 16 年には 58,424 人と総人口の 11.5%まで減少しており、この少子高齢化の傾
向は今後も一層進行するものと考えられます。(図2)
(図2 年齢3区分別人口の推移)
年齢3区分別人口の推移
100.0%
12.4%
13.0%
13.6%
14.2%
14.8%
15.4%
16.0%
16.5%
17.0%
17.4%
74.5%
74.3%
73.9%
73.6%
73.1%
72.8%
72.2%
71.8%
71.4%
71.1%
13.1%
12.8%
12.5%
12.2%
12.1%
11.9%
11.7%
11.6%
11.6%
11.5%
平
成
7
年
8
年
9
年
10
年
11
年
12
年
13
年
14
年
15
年
16
年
80.0%
60.0%
40.0%
20.0%
0.0%
幼年人口
生産年齢人口
老年人口
資料:板橋区の統計(平成 15 年版)
23
(2)出生の動向
昭和 50 年代後半は、出生数が毎年 6,000 人を越えていましたが、以降減少を続け、
近年は 4,100∼4,300 人で推移しています。
(図3)
(図3 出生数の推移)
(千人)
出生数の推移
7
6
5
4
3
2
1
0
昭
和
57
年
58
年
59 60 61 62 63 平 2 3 4 5 6 7 8
年 年 年 年 年 成 年 年 年 年 年 年 年
元
年
9 10
年 年
11 12 13
年 年 年
14
年
資料:板橋区資料
出生率(人口千対)も、昭和 57 年に 13.0 から低下を続けており、平成 14 年には
8.6 となっています。
(図4)
(図4 出生率(人口千対)の推移)
(‰)
出生率の推移
14
12
10
8
6
4
2
0
昭 58 59 60 61 62 63 平 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
和 年 年 年 年 年 年 成 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年
57
元
年
年
資料:板橋区資料
24
母親の年齢階級別の出生数(平成 14 年)は、30∼35 歳での出産が最も多く、次い
で 25∼29 歳が多くなっています。
(図5)
(図5 母親の年齢階級別出生数)
図.母親の年齢階級別出生数
2,000
1,800
1,788
1,600
出 1,400
生 1,200
数
1,000
人 800
1,236
︵
795
︶
600
400
200
0
345
146
33
15歳∼19歳
20∼24
25∼29
30∼34
35∼39
40∼44
6
3
45∼49
50以上
年齢階級
資料:板橋区資料
(3)婚姻・離婚の動向
少子化の要因の1つとされている未婚率は、平成 12 年は平成7年と比べてほぼか
わりませんが、有配偶率は低下しています。
(図6、7)
(図6 男女別未婚率の推移)
男女別未婚率の推移
37.0%
35.0%
34.9%
34.6%
33.0%
男
女
31.0%
29.0%
27.9%
27.7%
27.0%
25.0%
平成7年
平成12年
資料:板橋区資料
男女別有配偶率の推移
46.0%
45.5%
45.8%
(図7
男女別有配偶率の推移)
45.4%
45.0%
44.7%
44.5%
44.5%
男
女
44.0%
43.5%
(図6 男女別有配偶率の推移)
平成7年
平成12年
資料:板橋区資料
25
また、近年の婚姻件数、離婚件数の推移をみると、婚姻件数は 3,600∼3,900 件で
推移しているのに対し、離婚件数は微増傾向にあります。(図7)
(図8 婚姻及び離婚件数の推移)
婚 姻(件)
離 婚(件)
婚姻及び離婚件数の推移
4
4
3
3
2
2
1
1
(件)
500
000
500
000
500
000
500
000
500
-
3 971
3 972
1 239
1 243
1 283
11
12
13
3 696
3 607
3 573
1 132
1 203
10
平成 9
年
3 668
1 350
14
資料:板橋区資料
(4)晩婚化・少子化の動向
① 母親の年齢階級別出生数
女性の年齢階級別出生数の推移をみると、20 歳代の出生数が減少傾向にありますが、
30 歳代の出生数は近年横ばいを続けています。
(図8)
(図8 母親の年齢階級別出生数の推移)
母親の年齢階級別出生数
3500
3000
2500
15∼19歳
20∼24歳
25∼29歳
30∼34歳
35∼39歳
40∼44歳
45∼49歳
2000
1500
1000
500
0
昭
和
57
年
59
年
61
年
63
年
平
成
2
年
4
年
6
年
8
年
10
年
12
年
14
年
資料:板橋区資料
26
② 合計特殊出生率
板橋区の合計特殊出生率をみると、昭和 60 年頃までは 1.5 を越えていましたが、以
降減少を続けています。平成2年には 1.27、平成7年には 1.12 となり、近年では 1.1
を下回っています。
板橋区の合計特殊出生率は東京都の平均値よりも若干高いですが、国の平均値と比
べると、低い水準となっています。(図9)
(図9 合計特殊出生率の推移)
合計特殊出生率の推移
1.90
1.80
1.76
1.70
1.60
1.54
1.51
1.50
1.40
1.42
1.36
1.44
1.27
1.30
1.20
1.33
1.12
1.23
1.07
1.10
1.09
1.00
1.04
昭 58 59 60
和 年 年 年
57
年
61 62
年 年
63 平
年 成
元
年
2 3
年 年
1.30
4 5
年 年
板橋区
都
6 7
年 年
8 9 10 11
年 年 年 年
1.06
1.02
12 13 14
年 年 年
国
資料:板橋区資料
厚生労働省「平成 15 年人口動態統計月報年計」
27
③ 児童数の推移
児童数の推移を見ると、昭和 57 年では、0∼5歳が 37,084 人、6∼11 歳が 42,904
人であったのに対し、平成 14 年では、それぞれ 24,302 人、22,710 人にまで減少して
います。(図 10)
(図 10 児童数の推移)
児童数の推移
(千人)
45
40
35
30
25
20
0∼5歳
15
6∼11歳
10
5
0
昭 58 59 60 61 62 63 平 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
和 年 年 年 年 年 年 成 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年
57
元
年
年
資料:住民基本台帳
(5)児童数の将来予測
平成 11 年から平成 15 年までの住民基本台帳人口(外国人登録を含む)を基礎デー
タとして、
コーホート変化率法を用いて就学前児童数と小学生児童数を推計しました。
結果は以下のとおりです。
(各年4月1日現在時点)
(表2,3、図 11)
(表2 就学前児童数の推計値)
区分
平成17年
平成18年
平成19年
平成20年
平成21年
0歳児
4,600
4,602
4,594
4,567
4,526
1歳児
4,599
4,618
4,620
4,612
4,585
2歳児
4,215
4,541
4,560
4,562
4,554
3歳児
4,175
4,167
4,489
4,508
4,510
28
4歳児
4,147
4,179
4,171
4,494
4,513
5歳児
4,140
4,125
4,157
4,148
4,469
0∼5歳児
25,876
26,232
26,591
26,891
27,157
(表3 小学生児童数の推計値)
区分
平成17年
平成18年
平成19年
平成20年
平成21年
6歳児
3,953
4,092
4,078
4,108
4,101
7歳児
3,909
3,971
4,111
4,097
4,128
8歳児
4,027
3,907
3,969
4,109
4,095
9歳児
3,869
4,017
3,898
3,960
4,100
10歳児
3,916
3,856
4,003
3,885
3,946
11歳児
6∼11歳児
3,738
23,412
3,937
23,780
3,877
23,936
4,025
24,184
3,906
24,276
(図 11 児童数の将来推計値)
図.児童数の将来推計値
28,000
︵
児 27,000
童
26,000
数
推 25,000
計
値 24,000
23,000
︶
人
22,000
21,000
平成17年
18年
19年
20年
年次
就学前児童数
29
小学生児童数
21年
(6)就学前児童の保育等の状況
就学前の児童が日常過ごす場を、子どもの年齢別にみると、0歳児では8割以上が
家庭で過ごしていますが、年齢が上がるにつれて保育園または幼稚園に通う割合が高
くなっています。4,5歳では、保育園・幼稚園をあわせると9割を越えています。
(図 12)
(図 12 就学前児童が日常過ごす場)
(平成 15 年4月1日)
0%
0歳
1歳
2歳
20%
40%
60%
80%
100%
84.9%
13.4%
1.6%
70.2%
26.2%
64.8%
33.5%
3歳
39.1%
4歳
39.9%
5歳
41.6%
3.5%
1.8%
46.3%
57.9%
57.6%
保育園
幼稚園
在宅
13.9%
0.6%
1.8%
0.4%
0.8%
0.1%
その他
注1)他の自治体からの入所者は除いている(板橋区民のみ)
注2)幼稚園・幼稚園類似施設入所者は5月1日現在
資料:板橋区児童女性部資料
30
2 家族及び地域の状況
(1)世帯の動向
平成7年以降の世帯数の推移を見ると、一貫して増加しており、平成 16 年には
249,204 世帯と平成7年の 223,191 世帯に比べ、26,013 世帯増加しています。
(図 13)
(図 13 世帯数の推移)
世帯数の推移
(千世帯)
255
250
245
240
235
230
225
220
215
210
平
成
7
年
8
年
9
年
10
年
11
年
12
年
13
年
14
年
15
年
16
年
資料:板橋区の統計(平成 15 年版)
また、全世帯数は増加し、全親族人員は横ばいを続けていますが、18 歳未満の親族
のいる世帯数・18 歳未満の親族人員は減少傾向にあります。
(図 14)
(図 14 18 歳未満の親族のいる世帯数・親族人員の推移)
18歳未満の親族のいる世帯数・親族人員の推移
300000
600000
250000
500000
200000
世
帯 150000
数
100000
400000
300000
18歳未満の親
族のいる世帯数
全世帯数
18歳未満の親
族人員
全親族人員
200000
親
100000 族
人
員
0
50000
0
昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年
31
資料:国勢調査報告
(2)就労状況
就業者数の推移をみると、平成 12 年の総数 259,822 人のうち、女性が 106,531 人と
全体の 41.0%を占めています。平成7年と比べると、景気の低迷等で男女ともに就業
者数は減っていますが、女性の就業者割合の変化でみると、39.7%から 41.0%と相対的
に女性の割合が高くなっています。(図 15)
(図 15 男女別就業者割合の推移)
男女別就業者数の推移
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
37.5%
38.6%
39.7%
41.0%
女
男
62.5%
61.4%
60.3%
59.0%
昭和60年
平成2年
7年
12年
資料:板橋区の統計
また、女性の年齢別就労状況をみると、25∼29 歳でピークを迎え、30 歳代で出産・
育児等の要因で落ち込み、その後 45∼49 歳で次のピークを迎えており、いわゆるM字
型カーブを描いています。
(図 16)
32
年齢・男女別就労状況
(%)
100
90
80
70
60
男
女
50
40
30
20
10
1
5∼
19
20 歳
∼
25 24
∼
30 29
∼
35 34
∼
40 39
∼
45 44
∼
50 49
∼
55 54
∼
60 59
∼
65 64
∼
70 69
∼
75 74
∼
7
8 80∼ 9
5歳 84
以
上
0
(図 16 男女別の年齢別就労状況)
資料:板橋区の統計(平成 15 年版)
(3)産業・雇用の状況
板橋区の夜間人口における就業者数をみると、サービス業や卸売・小売業、飲食店
を主体とした第3次産業が 72.6%と高くなっています。
平成 12 年における女性が従事する産業をみると、サービス業が 40.8%、卸売・小売
業、飲食店が 29.2%と、サービス業に従事する人が多くを占めています。
(図 17)
(図 17 女性が従事する産業)
女性が従事する産業
0.2
3.3
0%
13.3
3.7
20%
29.2
5.0 2.4
40%
40.8
60%
建設
電気・ガス・熱供給・水道業
卸売・小売業,飲食店
不動産業
公務
80%
2.0
100%
製造
運輸・通信業
金融・保険業
サービス業
資料:板橋区の統計(平成 15 年版)
33
3 子育て家庭の生活実態
(1)子育てに関する不安や悩み
平成 16 年1月に実施した次世代育成支援に関するアンケート調査では、就学前保
護者・小学生保護者に、子育てに関する不安や悩みを聞いています。
就学前保護者では、
「子どもが事故や犯罪にあうこと」が 57.2%と最も多く、次いで
「自分の自由な時間がもてない(53.0%)」
「自分や家族が病気の時、子どもをみられな
い(38.1%)」
「経済的負担(37.3%)」が多くなっています。
小学生保護者では、同じく「子どもが事故や犯罪にあうこと」が 66.3%と最も多く、
次いで、
「経済的な負担(36.8%)」
「進路や通学先のこと(33.8%)」
「子どもの健康・性格・
くせなど(28.1%)」が多くなっています。(複数選択可)(図 18)
(図 18 子育てに関する不安や悩み)
【就学前児童保護者】
80.0%
60.0%
40.0%
【小学生保護者】
20.0%
0.0%
0.0%
28.8%
37.3%
53.0%
子育てによる身体の疲れが大きいこと
1
子育てで出費がかさみ経済的負担を感じる
こと
こと
2
自分の自由な時間が持てないこと
3
子育ては親の責任といわれ、精神的に負担
を感じること を感じること
夫婦あるいは家族間で子育てについて考え
方が違うこと 方が違うこと
自分や家族が病気の時、十分に子どもを見
られないこと られないこと
17.4%
11.3%
38.1%
13.8%
5.3%
子育てへの第三者の干渉が多いこと
8
22.9%
17.8%
16.4%
13.2%
11.0%
近所に子どもの遊び友達がいないこと
11
放課後の子どもの居場所がないこと
12
親子で遊べる施設がないこと
13
異なる年代の子どもとのふれあいの機会が
少ないこと
少ないこと
14
気軽に相談できるところがないこと
15
14.0%
子育てをしている親同士の交流が少ないこと 16
12.7%
希望する保育園に入れないこと
17
就学先(幼稚園、小学校)をどうするかという
こと
こと
18
進路や進学先のこと
19
子どもの健康、性格や癖などのこと
20
子どもが事故や犯罪にあうこと
21
5.3%
その他
22
4.4%
特に不安や悩みはない
23
不明
24
20.2%
34.0%
57.2%
0.6%
80.0%
20.2%
15.9%
12.0%
23.0%
6
7
60.0%
36.8%
5
配偶者の子育てへのかかわりが少ないこと
40.0%
10.7%
4
育児休業の取得など、子育てについて職場
9
で理解が得られないこと
で理解が得られないこと
子どもとのふれあいやしつけが十分にできな
10
いと感じること いと感じること
9.4%
20.0%
12.2%
3.4%
4.6%
23.5%
9.7%
15.5%
15.2%
8.1%
12.0%
33.8%
28.1%
66.3%
4.3%
7.9%
1.7%
資料:板橋区次世代育成支援行動計画策定
に係るアンケート調査報告書
34
(2)子どもの居場所
「小学生高学年児童アンケート」によると、放課後や休日の居場所は、
「自分の家」
が 82.7%と最も多く、次いで「友だちの家(48.9%)」
、「学習塾や習い事(48.2%)」、「家
族とでかけるところ(47.3%)」、「近所の公園・空き地(44.0%)」が多くなっています。
(複数選択可)
(図 19)
(図 19 小学生高学年の子どもの居場所)
90%
82.7%
80%
70%
60%
48.9%
50%
48.2%
44.0%
47.3%
40%
30%
20.2%
20%
20.1%
15.8% 14.5%
8.3%
10%
6.7%
7.8%
5.9%
0.4%
不明
そ の他
家 族 と で か ける と ころ
フ ァー ス ト フー ド 店
ゲ ー ム セ ンタ ー
コンビ ニ ・スー パー な ど
学 習 塾 や 習 いご と
図書館
児童館
学 校 ︵校 庭 や 体 育 館 な
ど ︶
近 所 の 公 園 ・空 き 地
友 だ ち の家
親 類 の家
自 分 の家
0%
資料:板橋区次世代育成支援行動計画策定
に係るアンケート調査報告書
35
(3)子ども・子育てをめぐる問題の動向
児童虐待の認知件数は、平成 13 年度 80 件(実人数 77 人)
、14 年度 67 件(実人数
52 人)、15 年度 59 件(実人数 53 人)となっています。母親からの虐待が半数程度を
占めています。
平成 15 年度における虐待の種別は、
「身体的」が最も多く(30 件、約 51%)、「ネグ
レクト(22 件、約 37%)」、
「心理的(7件、約 12%)」が続いています。
(板橋区子ども
家庭支援センター資料による)
また、不登校・いじめ・暴力行為といった問題行動の認知件数は、下表に示すよう
になっています。中学校での不登校が多いことが特徴的になっています。
(表4)
(表4 問題行動の認知件数)
年度
小学校
13
中学校
14
13
合 計
14
13
14
不登校
106
82
389
344
495
426
いじめ
12
11
15
10
27
21
0
2
16
19
16
21
暴力行為
資料:板橋区資料
36
(4)保育所の入所状況
社会的、家庭的要因による保育需要の増加に対応して、板橋区では保育所の充実を
図ってきました。平成 16 年4月1日現在、保育所は、区立・私立あわせて 85 ヶ所、
定員の弾力化を図った入所総定員は 7,889 人で、
保育所数は 23 区中第二位の規模とな
っています。(図 20)
(図 20 保育所の定員の推移)
(園)
90
(人)
9,000
保育園の定員の推移
園数
15
13
11
9
7
5
3
元
62
60
5,000
58
50
56
6,000
54
60
52
7,000
50
70
48
8,000
年
度
80
定員
資料:板橋区文教児童委員会
関係事務事業概要(平成 16 年度)
待機児数は、下表のようになっています。定義の変更により減少していますが、旧
定義で比較すると、平成 11 年度から 16 年度の5年間で1割強の増加が見られます。
(表5)
(表5 保育所待機児数の推移)
年度 0歳児 1歳児 2歳児 3歳児 4歳児 5歳児
8
合 計
旧定義
対前年
新定義
対前年
308
−
−
−
11
63
108
100
29
12
51
129
86
51
20
5
342
34
−
−
13
61
212
60
50
7
9
399
57
−
−
14
11
124
81
14
13
5
(未算出)
−
248
−
15
26
77
76
51
7
2
(526)
−
239
-9
16
21
121
43
31
8
4
(357)
-169
228
-11
*11∼13年度は旧定義(区民待機児−転園希望者数)による。
*14年度以降は新定義(区民待機児−転園希望者数−他保育施設入所中の希望者数−特定希望園希望者数)によ
る。
資料:板橋区資料
37
(表6 板橋区保育所待機児対策の推移)
区
分
認可新設・改築
13 年度
14 年度
(人)
15 年度
37
87
60
認証保育所
111
87
158
暫定定員等
18
22
10
定員増計
166
206
228
4月 1 日現在の待機児
180
248
239
38
16 年度
228
(5)ファミリー・サポート・センター事業の実績
ファミリー・サポート・センター事業の会員数は、援助会員・利用会員ともに増加
傾向にありますが、援助会員の増加率に比べ、利用会員の増加率が高い状況となって
います。(図 21)
(図 21 ファミリー・サポート・センター事業の会員数の推移)
ファミリー・サポート・センター事業の会員数の推移
(人)
3,000
2,614
2,366
2,500
1,849
2,000
1,479
1,500
1,000
500
116
128
133
147
0
12年度
13年度
14年度
援助会員
15年度
利用会員
資料:板橋区資料
活動実績については、平成 15 年度の活動件数は 11,724 件、合計時間は 24,493 時
間となっており、平成 12 年度と比べて件数では2倍以上、合計時間でも 1.6 倍以上に
増えています。
(図 22)
(図 22 ファミリー・サポート・センター事業の活動実績の推移)
(件)
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
ファミリー・サポート・センター事業の活動実績の推移
12年度
13年度
14年度
活動件数
(時間)
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
15年度
合計時間数
資料:板橋区資料
39
付
属
資
料
板橋区次世代育成推進行動計画策定協議会委員名簿
氏 名
所 属 団 体 等
役 職
専門部会
会長
第3部会
備 考
片岡 輝
東京家政大学 学長
中村 敬
大正大学 人間学部教授
副会長
第2部会
新澤 誠治
東京家政大学 児童学科教授
副会長
第1部会
天木 聡
板橋区医師会
委員
第2部会
竹林 農晃
板橋産業連合会
委員
第1部会
南雲 芳治
板橋区青少年健全育成地区委員会連合会
委員
第3部会
木下 久枝
板橋区青少年委員会
委員
第3部会
山口 邦代
板橋区民生・児童委員協議会
委員
第2部会
束原 伸枝
区民公募委員
委員
第1部会
重田 浩一
区民公募委員
委員
第3部会
東野 和加子 区民公募委員
委員
第2部会
中田 忠征
板橋警察署 生活安全課長
委員
第3部会
内田 睦夫
東京都立高島高等学校校長
委員
第3部会
中澤 知子
東京都北児童相談所所長
委員
第2部会 平成16年4月1日から
山口 洋一
板橋区立中学校PTA連合会
委員
第3部会
土居 重一
板橋区立加賀中学校校長
委員
第3部会
坂本 健
板橋区立小学校PTA連合会
委員
第3部会
吉越 順
板橋区立中台小学校校長
委員
第3部会
寺西 素美
板橋区私立幼稚園PTA連合会
委員
第2部会
明角 幸一
私立ときわ幼稚園園長
委員
第1部会
伊崎 守
私立大禮保育園園長
委員
第1部会
北川 容子
板橋区健康生きがい部長
委員
平成16年4月1日から
山口 鶴子
板橋区保健所長
委員
平成16年4月1日から
吉田 昌弘
板橋区福祉部長
委員
久保田 直子 板橋区児童女性部長
委員
第1部会
松浦 勉
板橋区教育委員会事務局次長
委員
平倉 秀雄
東京都北児童相談所所長
委員
平成16年3月31日まで
安井 賢光
板橋区健康生きがい部長
委員
平成16年3月31日まで
大井 照
板橋区保健所長
委員
平成16年3月31日まで
梅宮 行雄
板橋区教育委員会事務局次長
委員
平成16年3月31日まで
43
平成16年4月1日から
板橋区次世代育成推進行動計画策定協議会審議経過
回数
開催月日
第一回
平成16年
3月1日
主な審議事項等
○ 会長及び副会長の選任
○ 諮問「板橋区における次世代育成支援のあり方について」
○ 専門部会の設置及び部会委員の氏名
○ 板橋区における次世代育成支援関連事業について
第二回
4月26日
○ (仮称)板橋区次世代育成推進行動計画の策定について
・ 板橋区の現状と課題
・ 計画の基本方向(基本理念)の検討
第三回
7月1日
○ 各専門部会の審議状況について
○ 基本理念(案)について
第四回
8月2日
○ 各専門部会の審議状況について
○ 中間のまとめ(案)について
板橋区次世代育成推進行動計画策定協議会専門部会審議経過
【第一部会】
回数
開催月日
主な審議事項等
第一回
第二回
平成16年
5月21日
6月15日
○ 板橋区保育計画の策定について
○ 板橋区における保育園のあり方について
第三回
7月14日
○ 待機児解消対策について
第四回
7月20日
○ 多様な保育サービスについて
【第二部会】
回数
開催月日
第一回
平成16年
5月20日
6月3日
第二回
主な審議事項等
○ 板橋区における乳幼児に対する取組について
○ 子育て支援サービスの現状とニーズについて
○ 板橋区が取り組むべき子育て支援サービスについて
○ 経済的支援の必要性について
第三回
7月8日
○ 児童虐待防止対策について
第四回
7月15日
○ 母と子の保健サービスについて
【第三部会】
回数
開催月日
第一回
平成16年
5月27日
6月21日
第二回
審議事項等
○ 子どもの居場所づくりについて
○ 「親育ち」について
○ 子育て人材の育成について
第三回
7月12日
○ 子どもの居場所と安全・安心のまちづくりについて
第四回
7月20日
○ 子育てを支援する生活環境の整備について
44
「板橋区における次世代育成支援のあり方について」
(中間のまとめ)
板橋区次世代育成推進行動計画策定協議会
平成 16 年(2004 年)8 月発行
発行 板橋区児童女性部児童課
〒175-8501
板橋区板橋 2−66−1
電話
03−3579−2471
刊行物番号
16−79
古紙配合率 100%、白色度 70%の
再生紙を使用しています。
Fly UP