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案件名 国 名: ドミニカ共和国 案件名

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案件名 国 名: ドミニカ共和国 案件名
案件概要表
1.案件名
国 名:
案件名:
(和名):
(英名):
ドミニカ共和国
北部地域における持続的なコミュニティを基礎とした観光開発のためのメカニ
ズム強化プロジェクト
Project for Enhancing the Mechanism for Sustainable Community Based Tourism
Development in the North Region
2.事業の背景と必要性
(1) 当該国における観光セクターの開発実績(現状)と課題
ドミニカ共和国では、1960 年代から観光産業を開発優先分野として、外資の直接投資による
大型ビーチリゾート開発を積極的に実施してきた。同国の北部に位置するプエルト・プラタ県は、
1970 年代以降、開発優先地として開発が進められた代表的な観光地の一つである。しかし、大
型ビーチリゾートに依存した開発手法では、観光客の消費がホテル内で行われる結果、周辺地域
の自然・文化資源が適切に利用されず、地域住民が利益を得る機会が非常に限られてしまうこと
が課題となっていた。
こうした状況下、
「国家開発計画 2030(Estrategia Nacional de Desarrollo 2030:END 2030)」
では、開発の 4 本柱の一つに「持続的な成長と環境に優しい生産体制を基盤とした革新的な経
済」が掲げられ、この柱のもとで、観光産業の成長が謳われている。
この政策の下で、ドミニカ共和国政府は、官民のステークホルダーが連携し、地元の特性や資
源を十分に活用することで地域の発展に結びつける持続的な観光振興への支援を 2008 年に日本
に対して要請した。これを受けて JICA は、2009 年から 2013 年にかけて、「官民協力による豊
かな観光地域づくりプロジェクト」
(以下、
「先行事業」という)をプエルト・プラタ県において
実施した。
先行事業により、プエルト・プラタ県においては、官民で構成された 10 市の地域力向上ユニ
ットと呼ばれるグループが、各市における魅力を伝える観光商品やサービスを開発して地域ブラ
ンドを構築するとともに、それら地域力向上ユニットをまとめる連合組織として、地域力向上ユ
ニットネットワークが設立された。また、先行事業の実施期間中に実践された観光振興のアプロ
ーチや事例を実施マニュアルとして取りまとめたガイドライン(案)を作成した。さらに、中央
政府レベルでは、観光省(Ministerio de Turismo:MITUR)、職業訓練庁(Instituto Nacional de
Formación Técnico Profesional : INFOTEP )、 経 済 企 画 開 発 省 ( Ministerio de Economía,
Planificación y Desarrollo:MEPyD)が、地域資源活用の視点を取り入れた観光開発の一層の推
進に向けて三者間合意を形成するなど、積極的な取り組みが進められている。
このように先行事業はプエルト・プラタ県をモデルとして、同国の官民の関係者が協力し、地
域性を活かして観光振興を図るためのベースを構築した。一方で、同県の観光振興にあたっては
更なるマーケティング・プロモーションが必要であるとともに、同県の観光振興モデルを他県に
拡大していくにあたっての取組みも求められている。
これらの状況を踏まえ、ドミニカ共和国政府は、同国の北西部 4 県(モンテクリスティ県、
ダハボン県、サンチアゴ・ロドリゲス県、バルベルデ県)において先行事業の経験を基に、小規
模な観光インフラ整備や地域資源を活用した観光振興に関わる活動を実施している。また、同国
内を東部、中北部、南部の 3 つの地域に分け、各地域の特性に合わせた観光資源を特定し、観
光地を結びつけたルート・サーキットを形成する「観光ルート・サーキット計画」を策定する方
針も示した。これを受けて、プエルト・プラタ県や北西部 4 県の観光振興モデルの完成度を高
め、それも活用しつつ上記 5 県が含まれる北部地域 14 県において官民参画(Public Private
Participation:PPP)によるコミュニティベースドツーリズム(Community-Based Tourism:CBT)
振興を図る「北部地域における持続的なコミュニティを基礎とした観光開発のためのメカニズム
強化プロジェクト」(以下、「本事業」という)の実施が我が国に対して要請された。
(2) 当該国における観光セクターの開発政策と本事業の位置づけ
2006 年に策定された「国家競争力強化計画」において、ドミニカ共和国の経済・社会開発を
けん引する最重要産業の一つとして観光産業が位置付けられている。また、上記の END 2030
に「持続的な成長と環境に優しい生産体制を基盤とした革新的な経済」が掲げられ、この柱のも
とで、観光産業の成長が謳われているほか、現政権による「政府計画 2012-2016」においても、
観光セクターの重要性に言及されており、本事業は、これらの政策や計画に沿って実施されるも
のである。
(3) 観光セクターに対する我が国及び JICA の援助方針と実績
我が国の対ドミニカ共和国国別援助方針(2014 年 10 月)では、END 2030 の実施を支援する
上で、3 つの重点分野を定めており、本事業はその一つ「持続可能な経済開発」の中の開発課題
「持続的経済開発を実現するための体制・環境整備」の「競争力向上プログラム」の主要プロジ
ェクトとして位置づけられている。
JICA の観光セクターに対する援助実績として、開発調査「国家エコツーリズム開発計画調査」
(2007 年 6 月~2009 年 3 月)、プエルト・プラタ県の官民協力による観光振興に資することを
目的とした技術協力プロジェクト「官民協力による豊かな観光地域づくりプロジェクト」
(2009
年 12 月~2013 年 11 月)を実施している。
(4) 他の援助機関の対応
1) 米国国際開発庁(USAID)
USAID はドミニカ共和国の観光セクターの競争力強化のため、エコツーリズムや地域産品の
品質向上、地域の同業者を組織した「産業クラスター」の形成、仕入れや販売・マーケティング
の共同化、機材供与や技術提供等の支援を行ってきた。北部地域においては、産業クラスターの
一つである「観光クラスター」が、プエルト・プラタ県、モンテクリスティ県、サマナ県、ハラ
バコア県、コンスタンサ県などで形成され、現在も活動を継続しており、ダハボン県やサンチャ
ゴ県においても新たな観光クラスター形成の動きがみられる。現在も USAID は零細事業者に対
して、製品開発、生産性向上、マーケティングに関するトレーニングや機材供与等の支援を行っ
ている。
2) 米州開発銀行(IDB)
IDB は、2013 年から 2016 年の対ドミニカ共和国政府支援戦略の一つとして「異なるセクタ
ーを結びつけ、中小零細企業の生産性を高めることを強調して生産的な開発と競争力強化を図
る」ことを掲げている。この戦略を実現するための活動として、
(i)東北部ミシュ市における零
細農家の産品の観光業への参入支援、(ii)首都における観光サービスの向上のための技術協力、
(iii)首都における観光インフラ(世界遺産区域)の改善、
(iv)プンタ・カナにおけるサンゴ礁
保全活動を 2012 年から実施しており、2016 年まで実施予定。
上記機関が実施している支援と本事業との重複はない。
3.事業概要
(1) 事業目的(協力プログラムにおける位置づけを含む)
本事業は、ドミニカ共和国の北部地域の 14 県において、地域資源を活用した CBT 推進のた
めの活動計画の策定、実施を支援することにより持続的な CBT 開発を促進するためのキャパシ
ティ及び調整メカニズムの強化を図り、もって CBT が国内外からの訪問者への重要な観光アト
ラクションの一つとなることに寄与するものである。
(2) プロジェクトサイト/対象地域名
ドミニカ共和国北部地域 14 県(1. プエルト・プラタ県、2. サンチャゴ県、3. エスパイジャ
県、4.モンテクリスティ県、5. サンチアゴ・ロドリゲス県、6. ダハボン県、7. バルベルデ県、
8. ラ・ベガ県、9. モンセニョール・ノウエル県、10. マリア・トリニダッド・サンチェス県、
11. エルマナス・ミラバル県、12. ドゥアルテ県、13. サンチェス・ラミレス県、14. サマナ県)
(14 県総面積:18,779.2 km2、14 県総人口:約 324 万人)
(3) 本事業の受益者(ターゲットグループ)
1) 直接受益者:プロジェクト実施機関である MITUR、INFOTEP、MEPyD の関係者
2) 最終受益者:北部地域の CBT に関わる住民及び同地域の観光業に関わるビジネスオーナ
ー、観光振興に関わる他省庁関係者
(4) 事業スケジュール(協力期間)
2016 年 3 月~2021 年 3 月を予定(計 61 ヶ月)
(5) 総事業費(日本側)
約 5.2 億円
(6) 相手国側実施機関
観光開発を所管する MITUR が主たる実施機関となり、計画プロジェクト局(Department of
Planning and Project)を中心に、プロモーション局(Department of Promotion)、トレーニン
グ局(Department of Training)、エコツーリズム局(Department of Eco-Tourism)等がプロジ
ェクトに参加する。また MITUR の調整の下、人材育成の観点から INFOTEP、地域開発・組織
間連携の観点から MEPyD とも連携しつつプロジェクトを実施する。
(7) 投入(インプット)
1) 日本側
① 専門家の派遣(計 約 79.5 M/M)
(ア) 総括:地域観光開発/組織間連携
(イ) 副総括:マーケティング/プロモーション
(ウ) 観光人材育成
(エ) 観光商品開発
(オ) 業務調整/コミュニティ開発
その他プロジェクトの実施に必要な他分野の専門家の投入を想定。
② 研修
(ア) CBT 開発
(イ) マーケティング/プロモーション
(ウ) 観光商品開発
③ ローカルコスト負担への支援
2) ドミニカ共和国側
① カウンターパートの配置
MITUR の大臣がプロジェクトディレクターとしてプロジェクト全体の指揮を執り、以下の
プロジェクトマネジャーなどを配置予定。
(ア) 中央レベルのプロジェクトマネジャー:MITUR 計画プロジェクト局長
(イ) 中央レベルのプロジェクトマネジャー(研修担当):INFOTEP 総裁
(ウ) 北部地域レベルのプロジェクトマネジャー:MITUR サマナ県支局長
(エ) 北部地域レベルのプロジェクトマネジャー(研修担当)
:INFOTEP 北部地域マネ
ジャー
② オフィススペース
(ア) サント・ドミンゴ(MITUR)
(イ) プエルト・プラタ(MITUR)
③ ローカルコスト負担他
(8) 環境社会配慮・貧困削減・社会開発
1) 環境に対する影響/用地取得・住民移転
① カテゴリ分類:C
② カテゴリ分類の根拠
本事業は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(2010 年 4 月公布)」上、環境への望ま
しくない影響は最小限であると判断されるため。
2) ジェンダー平等推進/平和構築・貧困削減
先行事業の活動で形成した地域組織は全部で 156 組織あり、そのうち 23 組織が女性グループ
であった。女性が参加するようになった背景には、手工芸・民芸品の製作や農産加工品の製造等
の観光商品の開発において副業として家でもできるものが多かった、支援スタッフが女性であっ
たことにより、女性が参加しやすい環境が構築された等の要因がある。
本事業においても、先行事業の経験を踏まえ、村落の女性の組織化等を通じて就業機会を増加
させる等、CBT の振興にあたり女性の本事業への積極的な参加を確保するよう留意する。
(9) 関連する援助活動
1) 我が国の援助活動
過去の観光分野の協力として、先行事業に加え、
「国家エコツーリズム開発計画調査」があり、
本事業の実施にあたっては、これらの先行案件の成果(官民が連携した観光振興に関するガイド
ライン、エコツーリズム開発マスタープラン等)を活用する。また、2011 年から 2015 年にか
けてダハボン県において実施された「地方自治体計画策定能力強化プロジェクト」においては、
MEPyD を実施機関として、同県の住民のニーズを反映した中長期的な開発計画の策定・実施を
支援しており、同県を含む北部地域全体を取り上げる本事業の実施にあたっては、同プロジェク
トを通じて得られたダハボン県の経験を、先行する優良事例として活用する。
2) 他ドナー等の援助活動
過去の USAID の支援を通じて北部地域に形成された観光クラスターが現在も活動を継続して
いることを受け、北部地域の市・県レベルの実施体制を形成するにあたっては、観光クラスター
の機能の有効活用を図る。
また、IDB が中小零細業者に対する観光関連のトレーニングの実施を支援していることから、
適宜情報交換を行う。
4.協力の枠組み
(1) 協力概要
1) 上位目標と指標:
上位目標:
北部地域における CBT がドミニカ共和国の国内外からの訪問者への重要な観光アトラクショ
ンの一つとなる
指標:
指標 1: ドミニカ共和国内外の旅行会社が販売する CBT 商品とサービスの数が XX%増加す
る。
指標 2: ドミニカ共和国内外の MITUR 観光プロモーション事務所による北部地域の CBT の
宣伝の実施状況。
2) プロジェクト目標と指標
プロジェクト目標:
北部地域において PPP を通じた持続的な CBT 開発を促進するためのキャパシティと調整メカ
ニズムが強化される。
指標:
指標 1: 北部地域における CBT の取り組みを促進するための中央政府機関と民間セクター
によって構成された国家調整委員会(National Coordination Table: NCT)が、設立
され機能する。
指標 2: 北部地域における CBT 開発を持続的に促進していくことに関する NCT メンバーの
自信の度合い。
指標 3: 7 つ以上の PPP によるテリトリアル・グループが、CBT を調整し促進させるための
仕組みとして組織され機能する。
指標 4: テリトリアル・グループにより、30 品目以上の CBT の新商品とサービスが旅行者
向けに開発、宣伝、販売される。
指標 5: 複数の CBT 観光地を結ぶ観光ルートが 5 つ以上開発され、宣伝される。
3) 成果
成果 1: 参加型手法の紹介・適用と、関係組織との協働を通じて、北部地域における CBT と
地域資源の現状が診断される。
指標 1: 北部地域における地元リーダーとの関係が構築される。
指標 2: CBT の現状、地元資源、及びテリトリアル・グループ候補の情報で構成された診断レポー
トが作成される。
成果 2: プエルト・プラタ県と北西部 4 県の事例をもとに、北部地域における CBT を推進す
るための戦略と計画が策定される。
指標 1: プエルト・プラタ県と北西部 4 県のパイロット活動計画が、策定・実施・モニタリング・評価さ
れる。
指標 2: 中央レベルにおいて CBT をファシリテートするための 1 つの包括的な戦略と活動計画、
及び北部地域で CBT を推進するためのテリトリアル・グループレベルにおける少なくとも 7
つの地元アクションプランが策定される。
指標 3: 北部地域で CBT を推進するための人材育成計画が策定される。
成果 3: 北部地域における CBT を推進するための地域レベル、ローカルレベルのアクション
プランの活動が実施される。
指標 1: 新しい CBT 商品・サービスを作るための地元活動が少なくとも 30 件実施される。
指標 2: 新しい観光ルートを開発するための地元活動が少なくとも 5 件実施される。
指標 3: 各レベル(すなわち、コミュニティレベル、テリトリアル・グループレベル、地域レベル、中央
レベル)において XX 人以上 1が、育成される。
成果 4:
指標 1:
指標 2:
指標 3:
指標 4:
北部地域における CBT 活動を促進するための体制が確立される。
北部地域の CBT の優良事例がまとめられたハンドブックが作成される。
北部地域において CBT 活動をファシリテートするための研修プログラムを作成される。
北部地域の CBT 活動の持続性を確保するための提案がまとめられる。
北部地域における CBT の取り組みを NCT がファシリテートするためのガイドラインが作
成される。
4) 活動
1-1
CBT に関する宣伝や地域開発の戦略・計画に関する既存の情報を収集・整理・分析する。
1-2
北部地域の CBT に関する地元資源、ステークホルダー、観光地等の調査を実施する。
1-3
北部地域の地元リーダーの所在を確認し、関係を構築する。
1-4
プエルト・プラタ県と北西部 4 県の先行事例を参考に、参加型アプローチを改善する。
1-5
参加型アプローチを用いたワークショップを開催し、地元資源を特定する。
1-6
ターゲットとなるテリトリアル・グループの候補を、リーダーシップの有無、地理的な場所、地元
資源が CBT を通じた観光産業として開発していく可能性の有無等のクライテリアに基づいて特
定する。
1-7
診断結果を NCT に報告する。
2-1
プエルト・プラタ県と北西部 4 県の先行の取り組みの経験の分析をもとに、パイロット活動計画
を策定する。
1
活動 2-8 において人材育成計画を策定し、具体的な人数を指標として定める。定義された目標値は、JCC において承認を得る予定。
2-2
2-3
2-4
2-5
2-6
2-7
2-8
3-1
3-2
3-3
3-4
3-5
4-1
4-2
4-3
4-4
4-5
4-6
4-7
プエルト・プラタ県と北西部 4 県でパイロット活動を実施する。
パイロット活動のモニタリングと評価を行い、その結果を NCT に報告する。
パイロット活動の結果を基に、観光ルートの開発とテリトリアル・グループの確定の活動を含む
北部地域における総合的な地域 CBT 戦略を策定する。
総合的な地域 CBT 戦略に基づき、地域 CBT 活動計画を策定する。
総合的な地域 CBT 戦略と活動計画を、NCT に報告する。
INFOTEP との協力のもと、テリトリアル・グループの地元活動計画の策定に対して支援(例:ト
レーニングの実施、ワークショップの開催などを通じて)する。
INFOTEP との協力のもと、テリトリアル・グループのための人材育成計画(例:生産技術、マー
ケティング、宣伝、経営管理、会計などの分野)を、地元活動計画に基づいて策定する。
地域活動計画(例:テリトリアル・グループのリーダーへのトレーニングなど)を実施する。
テリトリアル・グループの地元活動計画(例:地元商品・サービス開発、観光ルート開発など)の
実施に対して支援する。
INFOTEP との協力のもと、人材育成計画の活動を実施する。
知見の交換や経験の共有のためのテリトリアル・グループの相互訪問を行なう。
テリトリアル・グループの活動記録を半年ごとに整理する。
少なくとも年に一回、合同調整委員会(Joint Coordinating Committee:JCC)と NCT にプロジ
ェクトの活動を報告する。
テリトリアル・グループが実施する活動のモニタリング結果を定期的に収集し取りまとめる。
CBT 推進の成功事例を共有するために、ワークショップやイベント(例:年間イノベーション大賞
など)を開催する。
CBT 推進の成功事例をまとめたハンドブックを作成する。
INFOTEP との協力のもと、CBT の取り組みを支援するのに必要な研修プログラムを開発す
る。
CBT の取り組みの持続性を確保するための提言をまとめる。
プロジェクトの経験に基づいて、持続的に CBT のファシリテーションができる組織体制の構築に
係るガイドラインを作成する。
5.前提条件・外部条件
(1) 前提条件
なし。
(2) 外部条件(リスクコントロール)
上位目標に対する外部条件

ドミニカ共和国の観光関連政策において CBT が引き続き重要なものとして位置付けられ
る。
プロジェクト目標に対する外部条件

プロジェクト終了後も CBT 振興に関するドミニカ共和国側の実施体制に大きな変更がな
い。
成果に対する外部条件

C/P 職員が離職しない。
活動に対する外部条件

地元コミュニティのメンバーとビジネスオーナーが CBT の理念とそのアプローチを支持
する意向を示す。
6.評価結果
本事業は、ドミニカ共和国の開発政策、開発ニーズ、日本の援助政策と十分に合致しており、
また計画の適切性が認められることから、実施の意義は高い。
7.過去の類似案件の教訓と本事業への活用
(1) 類似案件の評価結果
先行事業の終了時評価では、「地域住民が広く協力して地域資源を認識・評価し、自らが誇る
地域資源を戦略的に活用し、自らに利益がもたらされる観光地域づくりを図る本事業のアプロー
チは有効に機能した」と評価されている一方で、地域によって差があるものの、各ユニットにお
ける能力、人材、予算が限られていることもあり、開発された観光商品・サービスのモニタリン
グが定期的に実施されていない、観光商品・サービスのプロモーションが十分になされていない、
といった点が課題として挙げられていた。
(2) 本事業への教訓
本事業においては、開発された観光商品・サービスのモニタリングが市、県、地域、国のそれ
ぞれのレベルで定期的に行われるように、CBT 活動全体に対するモニタリングのための体制・
仕組みを構築する活動をプロジェクト計画に盛り込んだ。
また、観光商品・サービスのプロモーションについては、ビジネスである以上、観光商品・サ
ービスが市場に受け入れられないというリスクは常に伴うという共通認識をプロジェクト実施
機関と形成した上で、地方レベルで CBT の振興を図るにあたり、マーケティング、プロモーシ
ョンに関する人材を育成する活動をプロジェクト計画に盛り込んだ。
8.今後の評価計画
(1) 今後の評価に用いる主な指標
4.(1)のとおり。
(2) 今後の評価計画
事業開始 1 年以内 ベースライン調査
事業終了 3 年後
事後評価
9.広報計画
(1) 当該案件の広報上の特徴
1) 相手国にとっての特徴
新しい CBT 商品・サービスが開発されることにより、ドミニカ共和国における観光商品・サ
ービスが多様化されることが想定され、それによって同国政府にとっては観光産業がより魅力の
あるものとなり、同国民にとっては自身のアイデンティティや地元資源の再発見に繋がる。
2) 日本にとっての特徴
日本における地域住民の観光産業への参加を促進する手法を事例として紹介することにより、
ドミニカ共和国の CBT 観光地と日本の CBT 観光地が連携する環境の整備に繋がる。将来的には
両国の CBT 観光地同士が主体的に姉妹都市等の関係を築くことによって、文化交流や親善を行
うことも期待される。
(2) 広報計画
プロジェクト活動の紹介を広報資料の作成(パンフレット、ニュースレター、ポスター、DVD
等)の作成、現地・日本などで定期刊行物へ寄稿、テレビ・ラジオへの発信等を通して行う。ま
た、ウェブサイトや Social Networking Services 等を通じたプロジェクト活動の紹介をスペイン
語のみならず他言語においても積極的に情報を発信する。
日本における研修や第三国研修等の機会を捉え、日本向け・第三国向けにドミニカ共和国の
CBT 観光商品やサービスに関する紹介をするためのセミナーの開催や観光に関わるイベント
(EXPO 等)へ積極的に情報を発信する。
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