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「話すこと」と「読むこと」 その4
ことばの教室 学習室 第7回 「話すこと」と「読むこと」 その4 前回, 「平仮名を一文字ずつ読む」ということと,「単語や文章を読む」とい うことは, 「覚えておくこと」と「意味理解」が関わることについて書きました。 「覚えることが苦手だ。 」という子どもは,読むことがやはり遅くなります。 でも,話すことが苦手でない子ならば,文章の内容をあらかじめ,聞いて理解しておくことで,文章が 読み易くなることがあります。 一文字ずつゆっくり読んでいると,先に読んだ文字を忘れてしまい,文字列がどのような意味を表す 単語なのか分からなくなってしまうのです。しかし,文章の読み聞かせをしてもらい,内容をだいたい 理解していれば,一つ二つの文字が読めたところで,知っている単語を思い出すことができ,読みやす くなります。 「覚えておくことが苦手だけれども,お話しをすることは好き。」という子どもは,本人に読ませる 前に,何度か読み聞かせをしてあげると有効です。滑らかに読めない子どもに,初めて出会う長い文章 を厳しく一人で読ませようとすると,滑らかに読めないし,意味は分からないし,文章を読むことはつ まらないと思ってしまうことでしょう。 「お話しすることは苦手。でもテレビや絵本は楽しんで見ることができる。」という子どもには,読 み聞かせをするときに,その話の内容を表している絵を提示し,話の内容と絵を一致させ理解を促して おく方法がとれます。 絵を見ると理解が楽になることが分かっていれば,すぐに文章を読ませずに,挿絵を見せて,十分に 楽しんでから,読ませるようにするとよいと思います。 これらの方法は,文章を読むときには,意味理解が必要なので,意味理解を先行させて,読みを楽に しようという方法です。 文章を読めるようにするには,ひたすら,何回も読ませればよいわけではありません。読むことが苦 手な子にとっては,何が書いてあるのか分からない文字列を一生懸命読んでいても,徒労感がますばか りです。それならば,何が書いてあるのかを先に理解しておけば,文字列を読んだときに,「そうだ, あの言葉だ。 」と,すぐに理解することができ,読みやすくなるのです。 その他に,文章を分かち書きにして読む方法があります。分かち書きにすると,意味のまとまりごと にことばが並ぶので,意味を捉えやすく,早く読めます。小学校 1 年生の国語の教科書は分かち書きに なっています。学年が上がっても,分かち書きのように区切りの線を入れてあげるとよいようです。 文字を読むときに,大切な働きに視覚(見ること)の力があります。 次回からは,この視覚と,文字の読み書きについて考えたいと思います。