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1 研究動機 2 仮説 3 研究方法 実験 A

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1 研究動機 2 仮説 3 研究方法 実験 A
色彩がパフォーマンスに及ぼす影響
保健体育班
青木稜弥
大前綾乃
指導教諭
1
千村駿斗
小林浩之 先生
西野孝多朗
柳瀬元 先生
研究動機
ボールの色が変化すると、パフォーマンスにどのような変化が現れるのか調べたいと思ったから。
現在使われているボールの色がプレーをする選手にとって、本当に良いものなのか調べたいと思った
からである。
2
仮説
バレーボール(競技)において、ボールの色を変えるとレシーブに何らかの影響が出るのではないか
と考えられる。
3
①
研究方法
部活動で使われている通常のボールと、無作為に選んだ模様をつけた3種類のボール、黒・白にそ
れぞれ塗りつぶした2つのボールの計6種類のボールを使ってサーブレシーブの正確性を比較する。
②
背景の色と単色に塗りつぶした6種類のボールとの色の補色関係によるパフォーマンスの変化を
調べる。
③
被験者個人の結果を通常のボールを使ったときと比較し、パフォーマンスに変化があったのか調べ
る。
④
各実験に対し「どのように見えるか」というアンケートを行う。
○実験 A
方法
被験者:女子バレーボール部員
サーバー:安川先生
・セッターのポジションをポイント化(5 点~0 点)する(図 1 参照)
。
・サーブを被験者の正面に、6種類のボールを回転・無回転に分けて打つ。
ボールの種類
「通常の試合球」
「ドット」
「ストライプ」
「渦巻き」
「白」
「黒」
*模様に理由なし。無作為に決めた。
・6人の被験者が1人5球ずつサーブレシーブをする。
・レシーブしたボールをセッターが取り、セッターの右足の位置のポイントが被験者の得点になる。
・被験者の左右にサーブがずれたもの、またはオーバーハンドでレシーブしたものはカウントに入れな
い。
・結果は、各被験者の色に対するそれぞれのボールのレシーブ得点を求める。
結果と考察
通常のボールの結果を除いた5つのボールのなかで、被験者の平均が最も高かったのは「白」のボー
ルだった。また最も平均が低かったのは「ストライプ」であった。
つまり、普段使用しているボールと模様が変わるとレシーブの正確性に個人差はあるものの、全体的
に正確性は低下するという結果が得られた。
主観的感想の中に「天井とボールの色が同化して取りにくかった」
「天井とボールの色が同化して落下地点がわからなかった」という感想があった。
このことから背景の色とボールの色に何らかの関係性があるのではないかと考えられる。
○実験 A から実験 B へ
実験 A では、ボールに模様をつけて実験を行った。
また、実験 B は「背景の色とボールの色がパフォーマンスに影響がある」という趣旨で行う。よって、
実験Aのようにボールに模様はつけずにボールの色は単色として、背景の色を変えて実験を行うことに
した。
実験 A を行ってみて、返球がサーブレシーブにより、ボールが大きくそれるということが少なかった。
よって実験 B ではコートのポイントを2つ減らし3~0までのポイントで実験を行う(図1参照)
。
日をまたいで実験してもポイントテープに誤差が出ないように、ポイントテープを実験を行っている
期間は貼ったままにした。
図1
○実験 B
方法
被験者:女子バレーボール部員
サーバー:安川先生、山下先生、中村紗恵さん
・セッターのポジションをポイント化(3 点~0 点)する(図 1 参照)
。
・サーブを被験者の正面に、4 色の背景と6色のボールを無回転で打つ。
ボールの色 「白」
「黒」
「赤」
「緑」
「青」
「黄」
背景の色 「黒」
「白」
「赤」
「青」
・結果は「ボール」
、
「背景」
、
「ボールと背景」の組み合わせの三つに対する平均得点を求める。
・その他、実験 B の条件は実験 A と同様のものとする。
○実験に使用したボール
○結果と考察
図2より、被験者の平均得点がボールの色に関係なく最も高かった背景は「白」であった。その要因
はボールの影が見やすくなり、ボールとの距離感を正確につかめたことではないかと考えられる。
背景の色に関係なく平均得点が高かったボールは「黄」であった。今回使用した背景は全体的に暗い
色調だったため、黄のボールは背景に対して色がよく映えたと考えられる。
背景とボールの組み合わせを見たときに、最も平均得点が高かった組み合わせは「白」と「白」であ
った。主観的感想の中に「背景と同化すると思ったが、ネットを超えた辺りから見やすくなった」とい
う感想があったことが理由と考えられる。
また、今回の実験では、実験を重ねるに連れて色を塗ったところがヒビ割れてしまったので下地の色
が出てしまい完全に同じ白と言えなかったので影ができてしまい、ボールが見やすくなったのではない
かと推測される。
しかし、若干違う白色であったが、白色の持つ特徴として最も視覚的に認証性が高いと言うことが考
えられる。
被験者の平均得点がボールの色に関係なく最も低かった背景は「黒」であった。理由として、黒色は
光を反射することなく吸収し、またほかの色に与える影響が大きい。
また、背景が「黒」だったため「膨張」,「縮小」の関係にどちらも当てはまってしまったため距離感
がつかめなかったと考えられる。
平均得点が低かったボールは「黒」であった。主観的感想から「ボールが迫ってくる感じがして取り
にくい」という感想があった。考えられる理由として、「黒」のボールは明度が低いため視認性や見え
方に大きく影響されたと言える。
背景と同じ色の組み合わせが、最も平均得点が低いのではないかと仮説を立てていた。しかし、最も
平均得点が低い背景とボールの組み合わせは「黒」
「青」であった。よって仮説は成り立たなかった。
理由として「黒」
「青」は明度が近いためボールが認識しにくかったのではないかと考えられる。仮
説に対して同じ色の組み合わせが最も低いと思っていたが、結果を見ると同じ色の組み合わせは、どの
背景の時でも最低得点ではなかった。
また、補色関係にあるため高い得点が出ると考えていた「黒」
「白」の組み合わせは「黒」
「青」の次
に得点が低かった。理由として背景、
「黒」に対して「白」は膨張色なので、主観的感想にもあったよ
うに「ボールが迫ってくる感じ」がしたため、被験者にとってとりにくかったのではないかと考えられ
る。
背景とボールの得点
0
1.8
0.4
1.6
1.8
1.12
黒
平均
平均
0.6
1
0.6
0
1
1.4
0.77
白
平均
平均
平均
平均
1.2
1
1.4
0.4
0
0.4
0.73
青
平均
平均
緑
平均
平均
1.4
0.6
1.8
1.4
2
1.8
1.5
1.10
黄
平均
平均
平均
平均
平均
0.77
1.2
2
2.1
1.3
0.97
1.53
1.93
2.4
1
1.8
1.2
2.6
2.6
1.93
青
平均
1.8
0.8
0.4
1.2
1.6
2.4
1.37
緑
平均
1.8
0.8
2.4
1.2
1.4
2.4
1.67
1.6
黄
平均
平均
赤
青
1.1
1.1
1.1
1.6
1.2
1.4
1
1.6
2
2
1.53
赤
2
1.2
1.6
0.8
1
1.8
1.4
1.22
黄
黒
黒
青
赤
白
平均
2.2
0.4
1.8
1.6
1.8
1.8
1.6
緑
2.4
2.6
2.4
1.4
1.2
2
2
白
1.6
1
1.8
0.2
0.4
1.4
1.07
青
2
0.8
1.2
0.8
0.8
1.6
1.2
平均
1
0.4
0.6
0.6
1.6
1.6
0.97
赤
1.4
1
0.4
1
0.8
2
1.1
黒
2
1.4
0.8
0.6
0.8
1.6
1.2
白
1
1.6
1.2
1
0.6
2.4
1.3
赤
1.6
1
1.2
0.4
1.2
1.2
1.1
黒
白
赤
青
黒
0.73
1.07
1.93
1.6
1.2
1.6
1.37
1.5
1.5
1.4
1.67
2
黒
平均
白
平均
赤
平均
青
平均
緑
平均
1.2
2
1.2
1.4
1.8
2
1.6
1.23
2.2
1.6
2
2.2
2.2
2.4
2.1
1.52
2.2
1.8
2
1.6
1.8
2.2
1.93
1.43
2.2
0.4
1.2
2.2
1.6
2
1.6
1.33
0.8
1.8
1.4
1.4
1.8
1.8
1.5
1.42
1.8
1.4
2.8
1.6
2.2
2.2
2
1.79
黄
平均
平均
白
1.64
被験者ごとの平均得点
被験者B
被験者A
黒
白
赤
青
緑
黄
赤
青
黒
ボール 背景
1
0.6
1
1.2
2
1.4
1.2
1.6
2
1
1.6
2.2
2
1.73
1.4
2.4
1.2
2.4
1.8
1.8
1.83
背景
ボール
白
1.2
2.2
2.2
2.2
0.8
1.8
1.73
黒
白
赤
青
緑
黄
0.4
0.6
0.6
0.2
1.6
0.8
0.7
0.4
0
1
0.4
0.8
1.4
0.67
1.63
白
赤
青
黒
1
1.4
1.6
1.2
1.2
1.2
1.27
1.4
2.2
1.6
2.2
1.4
1.6
1.73
1.09
被験者D
被験者C
黒
白
赤
青
緑
黄
赤
青
黒
背景
ボール
1
1.4
0.4
1
0.4
1.2
0.9
0
1
1.6
1
0.8
0.6
0.83
背景
ボール
白
2
1.6
1.8
0.4
1.8
1.4
1.5
1
2.6
1.4
1
0.8
0.8
1.27
青
黒
黒
白
赤
青
緑
黄
1.6
1
0.6
0
0.8
2
1
1.13
白
赤
0.8
1.2
2
2.6
1.6
1.4
1.6
1.2
0.8
1.6
0.4
1.8
1
1.13
1.8
2.2
1.8
1.6
1.8
2.2
1.9
1.41
2
2.4
2.2
2
1.8
2.2
2.1
1.87
被験者F
被験者E
青
黒
背景
ボール
黒
白
赤
青
緑
黄
赤
黒
白
赤
青
緑
黄
1.2
0.8
0.6
1.8
0.8
1.6
1.13
0.4
2.4
1
1.8
1.4
2.4
1.57
1.2
2
2
1.2
1.4
2.8
1.77
1.45
[ボール]
黒
白
赤
1.8
0.6
1.2
1.4
1.2
1.8
1.33
背景
ボール
白
1.8
1.4
2.4
0.4
1.6
1.8
1.57
図2
2.5
青
緑
黄
2
1.5
1
0.5
0
[背景]
黒
青
赤
黒
白
青
1.2
1.6
1.6
1.4
1.8
1.8
1.57
赤
2
2
2
2.6
2.4
2.4
2.23
白
4
文献調査
○調査動機
昔は、バレーボールは単色の白だったが、現在までに何度も色と模様が変わっていることから、なぜ
カラー化されたのか疑問に思ったため。
○結果(MIKASA、molten)
ボールの変遷
molten
バレーのボールは戦後から1999年まで白一色だったのに1999年からカラー化(白、赤、緑)
し、その十年模様が変わった。
MIKASA
2001年からカラー化(白、青、黄)し、2008年に模様が変わった。
ボールがカラー化された理由
・ボールの回転などがわかりやすいように模様をつけられた(ドリブル、回転の有無の判断)
。
・カラー化はボールにデザイン要素を取り入れると共に、サーブの回転方向が見やすくなるというプレ
ー上のメリットもあった。
・カラー化によりバレーボール人気を高める狙い。
以上のことが各メーカーの HP から分かった。
5
結論
ボールの色を変えると、良くも悪くもパフォーマンスに影響を及ぼすことがあるとわかった。
今回の実験から色が視覚に与える影響として明度が最も重要な要素だと言うことがわかった。
一見補色関係にあるように見える色同士でも彩度、明度によっては補色関係にならないことがわかっ
た。
改めて動機について考えると、現在使われているボールはプレーヤーのパフォーマンス向上のメリッ
トの他にも、回転のわかりやすさやカラー化によりバレーボール人気を高める狙いなど様々な理由で模
様が変化していることが分かった。
6
参考文献・協力
色カラー~色彩を中心とした通信サイト~
http://iro-color.com/episode/about-color/black.html
Mikasa ボールの変遷 http://www.nttcom.co.jp/tera/tera55/pdf/p17_18.pdf
molten ボールの変遷 http://www.molten.co.jp/sports/jp/volleyball/history/
被験者 女子バレーボール部員
サーバー 安川先生 山下先生 中村紗恵さん
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