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レストボックス【Rest-Box】 プライベートオファー【Private Offer】 ヴァーチュ
新語アナリスト レストボックス【Rest-Box】 派遣会社などに登録しているワーキングプア層のための 亀井 肇 プライベートオファー【Private Offer】 企業が自社に必要な人材に対してアプローチする方法。 簡易宿泊施設。日雇いで宿なしのフリーターをターゲット これまでは、転職したいと思った人は、自分の行きたいと としている。最低1,000円、平均して１日1,780∼1,880円程 思う業種や企業の求人広告を探して、自分で応募するのが 度が多く、１日目は無料としているところが多い。 普通だった。それとは逆に、企業が自社のほしいと思う人 無料としていても、ワーキングプアの利用者は他に泊ま 材を登録サイトから探して、メールを出す方式である。 る場所はないのだから、２日目からはお金を払うことにな 転職したいと思う人は、自分の職歴や資格を詳細に記し る。２段ベッドや３段ベッドの１つが割り当てられ、共同 た経歴書を匿名で登録して、企業からアプローチがあるの の洗濯機や台所、シャワールーム、トイレなどが利用でき、 を待つ。企業が自社のほしい資格を持った人やキャリアの 洗濯物も干すことができる。 人に対して誘いをかける方式である。 インターネットカフェのようなリクライニングシートに まだ本当に転職は考えていないのだが、「いいところが 横になるのではなく、ちゃんとベッドに横になって寝るこ あれば」という潜在的な転職希望者を掘り起こす効果もあ とができるので、体力の回復度合いも違うし、精神的にも る。経歴書は匿名で、性別の記入もないから、企業の側は 落ち着くことができる。 何の先入観もなく、本当にほしいと思える人材を探すこと 昭和30年代、40年代に東京・浅草の山谷や横浜の寿町、 ができる。「リクナビNEXT」が2005年から始めたサービ 大阪の西成区の釜ヶ崎などにあった「ドヤ」の再現である。 スで、働く女性たちの間にもその話が口コミで伝わり、登 ドヤは宿（ヤド）を逆に読んだもので、人間が泊まるよう 録する人が増えている。 な状態の「宿」と逆ということから、ドヤと呼ばれるよう もう少し上の本当に能力のある社員に対しては「ヘッド になったという。当時のドヤは地方から出稼ぎなどの中年 ハンティング」などの手段が講じられることもあるが、そ 男性が多かったが、レストボックスの場合は20∼30歳台の のレベルに達していない世代が、自分の能力を売り込んで 若者が大半を占めているという。いわゆる「貧困ビジネス」 現在いる会社からより自分のキャリアとなる会社を探すた の１つと言ってよい。 めの１つの手段である。 ヴァーチュ【Vertu】 ボラバイト【Volunteer＋Arbeit】 世界最大手のフィンランドの携帯電話端末メーカー・ノ 「ボランティア」＋「アルバイト」による新造語。かつて キアが日本の通信サービス事業に参入するにあたって、富 は農学部などの学生が夏休みに北海道の牧場などに出かけ 裕層に特化したサービスの名前。 て、それほど高くない賃金のアルバイトで、普段休むこと 2009年２月に東京・銀座に直営店を開き、端末の予約販 のできない牧場主一家を休ませることなどを指していた。 売を受け付けている。投入する端末は全12機種で１台67万 学生にとっては自分の勉強している牧場関係の実務をアル ∼370万円。ダイヤモンドなどの宝石やプラチナ、金など バイトで行うことができるし、休みの取れない牧場主を休 をちりばめた豪華なデザインを採用している。他にも ませるというボランティアも意味していた。 「VERTU Signature」を用意しており、こちらはステン 最近では、それが定年を迎えた中高年のライフスタイル レス（160万円）、イエローゴールド（450万円）、ホワイト の１つとして言われるようになっている。１つの会社で40 ゴールド（500万円）である。 年近く勤め続けてくると、会社を定年退社して、すぐに完 ヴァーチュの誇る４つのサービスとは、「宝飾品として 全に無給のボランティア活動に従事することに対しては、 の質の高さ」＝著名デザイナー・アーティストとのコラボ 何となく違和感が生じる。自分は会社の利益を生み出すた レーションによる質の高いデザイン、 「限定感」＝特別な店 めに働いてきたので、すんなりとボランティア活動に入っ で特別な人だけが買えるという特別限定感、「コンシェル ていけないのである。しかも、退職金と年金とで、それほ ジュサービス」＝ユーザーが専用キーを押すだけでエンタ ど経済的に困っているわけでもない。 ーテインメントや旅行などの詳しい情報だけでなく、予約、 そこで、普通のアルバイト代金に比べれば相当に低いバ 優待料金を24時間利用できる、 「コミュニティ感」＝特別な イト代で、半分以上ボランティア活動のような仕事にも自 メンバーシップ感の演出、である。 分から入り込んでいく。たとえば、有機野菜栽培の活動な 富裕層だけに対するサービスを打ち出しており、他の携 どをアルバイトとして手伝う。そこでわずかでもバイト代 帯電話業者は自社に対する影響はそれほどないのでは、と を受け取るということで、完全なボランティアでないと自 見ている。 分を納得させることができる活動なのである。 Shokokai ● 2009.5 52