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サツマイモプロジェクト活動報告2009(PDF/6.55MB)

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サツマイモプロジェクト活動報告2009(PDF/6.55MB)
ャンパス
キ
谷
ケ
・市
目 次
はじめに………………………………………………………………… 3
サツマイモプロジェクトの概要……………………………………… 4
サツマイモプロジェクト推進キャラクターの紹介………………… 6
2009年度 活動年表… ………………………………………………… 7
2009年度 活動記録… ………………………………………………… 8
サツマイモ生育状況………………………………………………… 14
サーモカメラ画像…………………………………………………… 17
日常点検・観測記録………………………………………………… 18
プロジェクトメンバーの感想……………………………………… 20
来年度に向けて……………………………………………………… 23
編集後記……………………………………………………………… 23
は じ め に
2009年度市ケ谷キャンパス
サツマイモプロジェクトを振り返って
国際文化学部教授 堀上 英紀
本年度のサツマイモプロジェクトは、新しい試みとして2つのことを行った。ひとつは、外
濠校舎屋上の一角にある緑化コーナーで、土壌栽培によるサツマイモ(紫芋=パープルスイー
トロード)の定植も同時に取り入れたことである。そのネライは、(株)NTTファシリティー
ズ管理の最新設備である水気耕栽培と土壌栽培とではどのような違いがあるかを比較すること
であった。昨年度、58年館大内山庭園菜園コーナーで、サツマイモの土壌栽培を試みた結果、
サツマイモの葉の繁り具合は水気耕栽培と比較して遜色のない程順調であった。しかし、日照
時間不足のためサツマイモの収穫量が水気耕栽培の十分の一以下に終わったためである。そこ
で、今回は水気耕栽培の3台ある水槽の内、1台を休止して、その代わりに大型のプランター
4台に黒土などを入れ同種の苗を定植したものを設置することにした。
公募で集まった学生たちによる管理と測定が行われたが、プランター土壌栽培のサツマイモ
は夏に近づくにつれて蔓の生育が悪くなり、その後はほとんど蔓が伸びなくなった。その時点
で、千葉大学園芸学部の藤井英二郎教授および同大学院園芸学研究科の永瀬彩子助教の指導を
仰ぐことにした。両先生に法政大学までお出でいただき、直接診ていただいた結果、プランター
内の土壌量が十分でないため土壌温度が上昇したことが原因と判明した。
2009年10月末に行われたサツマイモの収穫祭では、水気耕栽培はほぼ前年同様の収穫があっ
たが、プランター土壌栽培は蔓の生長が貧弱であったにも拘わらず収穫量は水気耕栽培のほぼ
半分となった。
もうひとつの試みは、参加学生の発案からサツマイモプロジェクトの宣伝を兼ねて、収穫し
たサツマイモを用いてスイーツを作り、秋の大学祭に参加したことである。出店と売り歩きを
併用した結果、予想以上の収益があり、その全額をWFP(国連世界食糧計画)が推進する「世
界の学校給食プログラム」に寄付することにした。これは、貧困のため飢餓に苦しむ開発途上
国の子どもたちに学校給食を提供することで健康状態の改善と就学率を高める目的で実施され
ているものである。後日、WFPから感謝状が届いたことは、サツマイモプロジェクト参加者
にとって、思わぬ喜びであり、今後の励みとなった。
一方、大学内での第10回「環境展」(2009.11.9〜11.13)への出展、サツマイモの収穫後の蔓
を使ったクリスマス・リースの製作講習会、および東京ビッグサイトで開催された日本最大級
の環境展示会「エコプロダクツ2009」にも参加し、学生による「市ケ谷キャンパス・サツマイ
モプロジェクト」の発表(2009.12.11)も行われた。
3
サツマイモプロジェクトの概要
プロジェクトの目的
2007年度から始まったサツマイモプロジェクトは、以下を目的
に掲げて活動しています。
一、サツマイモの蒸散作用を利用したヒートアイランド対策
一、都心のキャンパスにおける自然体験
一、作物の栽培を通して食の問題について考える
プロジェクト推進キャラクター
べじた坊
これまでの取り組み
本学におけるサツマイモ栽
培は、2007年度に竣工した
外濠校舎に水気耕栽培システ
ムが設置されたことがきっか
けで始まりました。 品種は紅
あずま、 紅まさり、 翠王の3
種類を植え、 病気等の被害も
ありましたが、約11kgのサツ
マイモを収穫することができ 2008年度 外濠校舎屋上の収穫の様子 栽培の説明を聞く2009年度メンバー
ました。
2008年度からは全学的なプロジェクトとして発足し、幅広い学部から50名以上の学生が参加しました。
また、2008年度は屋上における水気耕栽培との生育比較のために、58年館大内山庭園菜園コーナーを活
用して地上における土壌栽培にも取り組みました。品種は病害虫に強いパープルスイートロードを使用し、
日常点検や自然農薬作り等、グループ毎の活動も活発に行いました。収穫量は1年目に比べ大きく増加し、
水気耕栽培では約50kg、土壌栽培では約2kgとなりました。
2009年度の活動については、本報告書で詳しくご紹介します。
水気耕栽培システムの仕組み
参照:(株)NTTファシリティーズ提供資料を参考に作成
・水 に肥料を溶かした「液肥」を各栽
培ユニットにポンプで循環させる。
・通 常の緑化と違い、屋上に土を持ち
込む必要がなく軽量なため、 既存ビ
ルの屋上へ適用しやすい。
・液 肥調整タンクへの給水や追肥は自
動制御。
●サツマイモが適している理由●
⃝優れた生成性…1㎡の栽培ユニットから約25㎡を緑化する。
⃝優れた蒸散作用、高い遮熱性…芝生・セダムに比べて単位面積あたりの蒸散量が大きく、遮熱効果が期
待できる。
※蒸散とは植物が自らの温度調節のために水分を大気中に放出する現象のことで、それが緑化空間表面や上部の
温度上昇抑制になっています。
(国土交通省屋上庭園HP参照)
4
⃝栽培が容易…やせた砂地土壌、乾燥した気候でも栽培でき、風雨にも強い。
市ケ谷キャンパス
サツマイモ栽培マップ(2009年度)
58年館大内山庭園菜園コーナー
栽培環境
・校舎の裏側にあり、日照時間は
短い
・土壌は粘土質が多い
・面積:約5㎡
・栽培品種:紅あずま
❻
❹
靖国
通り
❷
❺
❸
❶
←JR飯田橋駅
JR市ヶ谷駅→
外濠校舎屋上(7F)
外堀通り
栽培環境
・遮るものがなく、日照時間は長い
・屋上のため風速が強い
・面積:約113㎡
水気耕栽培システム
土壌栽培プランター
N
・栽培品種:パープルスイートロード
❶ 55年館
❷ 58年館
❸ ピロティ
❹ 80年館
❺ 外濠校舎
❻ ボアソナード・タワー
2009年度の新たな取り組み:屋上に土壌プランターを設置!
2008年度は、屋上の水気耕栽培と地上の土壌栽培で生育比
較を行ないました。しかし、屋上と地上では日照条件等が異
なります。より条件の近い比較を行なうため、2009年度は屋
上水気耕栽培の水槽の近くに土壌栽培用のプランターを設置
しました。水気耕栽培システムとの違いがどのように出るか
注目です。
5
サツマイモプロジェクト推進キャラクターの紹介
た坊
じ
べ
ぼう
正 体 サツマイモのような不思議な生きもの
家 族 構 成 父、母(法政大学OB・OG)
性 別 男の子
好きなこと 日光浴、サツマイモ料理づくり
年 齢 不明
苦手なもの ヨトウムシ
出身地 やきいも村
友 達 法政大学環境改善活動
生息地 法政大学市ケ谷キャンパスのどこか
推進キャラクター「えこぴょん」
2008年、両親の出身校である法政大学にあこがれてキャンパス見学に来たべじた坊。しかし、町
にもキャンパスにも緑が少ないことにショックを受ける。そこで、市ケ谷キャンパスで行われていた水
気耕栽培を活用して学生に植物と触れ合うきっかけを作り、自然や食についてもっと考えてもらいたい
と「サツマイモプロジェクト」の推進役として立ち上がった。
普段は、キャンパス内の植物の世話や近隣の畑めぐりなどをして過ごしている。
多くの人にサツマイモや日本の食べ物の魅力を知ってもらうことに使命を感じて活動中。
品種は「紅あずま」
某キャラクターのよう
にお腹を空かせた人に
顔をあげられるように
なりたいと思っている
手は蔓の緑色
サツマイモの
輪切り型ボタン
法政カラーと“H”を
デザインした服
坊の
た
べじ
栽培品種紹介
紅あずま
2009年度に栽培した2種類の
サツマイモを紹介するよ!
パープルスイートロード
2007年度には、 葉や葉柄も食
べられる白いサツマイモ「翠王」
も栽培したよ。
甘みが強く、 蒸かして美味しく
食べられる黄色いおいも。 一般
的によく売られている品種だね。
関東を中心に栽培されているよ。
病気や虫にはちょっと弱い。
6
きれいな赤紫色でお菓子等によ
く使われるよ。 病気や虫に強く
て、 紅あずまより貯蔵性も高い
んだ。 千葉県や茨城県を中心に
全国で栽培されているよ。
※日本いも類研究会HP さつまいも品種詳説「農林認定品種」参照
2009年度 活動年表
No.
活動日
活動内容
関連
ページ
1 2009年4月28日
第1回プロジェクト打合せ
2 2009年4月29日
プロジェクト説明会開催(堀上ゼミ)
3 2009年5月19日
菜園コーナー土づくり
P8
4 2009年5月20日
菜園コーナー畝起こし、屋上プランター土入れ
P8
5 2009年5月26日
サツマイモ定植作業および打合せ
P8
6 2009年5月28日
第2回プロジェクト打合せ
7 2009年6月17日
葉の異変点検
8 2009年6月18日
データ観測会
9 2009年6月22日
第3回プロジェクト打合せ
栽培場所・栽培品種の検討
2009年7月13日、
サーモカメラ撮影、データ観測会
15日
12 2009年7月16日
誘引用プランターの川砂を天日干し消毒
13 2009年7月21日
誘引用プランターへ川砂入れ作業
14 2009年7月22日
第5回プロジェクト打合せ
定植の様子が
5月27日付の読売新聞
(東京23区版)に
載りました!
09年度の栽培計画について
P9 測定項目や測定方法の確認
日常点検グループ分け、活動
日時の決定
2009年6月29日、
第4回プロジェクト打合せ
10
30日
11
写真、詳細
P9、
P17〜18
サツマイモ見学ツアーの検討
No.17
16 2009年8月3日
蔓の誘引作業、土壌酸度測定(外濠校舎屋上)
17 2009年8月12日
ペットボトル灌水装置設置作業、屋上プランター
P9
段ボール設置作業
18 2009年8月24日
菜園及び屋上プランター害虫駆除作業
自然農薬「竹酢液」を散布
19 2009年10月5日
第6回プロジェクト打合せ
収穫芋の利用方法について
20 2009年10月21日
第7回プロジェクト打合せ
大学祭出店について
21 2009年10月28日
第1回収穫祭
22 2009年10月29日
平成21年度新宿区エコリーダー養成講座入門編・
オープン講座II(主催:新宿区立 環境学習情報 P12
センター)に協力
23 2009年11月2日
大学祭へ出店、収益をWFPに寄付
P10
〜11
24 2009年11月5日
第34回消費生活展にパネル出展
P12
2009年11月9日
〜13日
第10回「環境展」にパネル出展
P12
環境展特別企画「山の幸染め体験会」
P12
25
26 2009年11月11日
27
2009年11月16日、
サツマイモの蔓でリース台作成
19日、12月3日
P9
P10
プロジェクトメン
バーが「エコプロ
ダクツ2009」で活
動報告しました!
P13 No.30
28 2009年11月26日
第2回収穫祭
P13
29 2009年12月8日
第3回収穫祭
P13
30
2009年12月10日 「エコプロダクツ2009」にパネル出展、活動報告
P13
〜12日 プレゼンテーション
31
2009年6月18日
〜10月8日
日常点検及びデータ測定(計26回実施)
自動灌水装置
15 2009年8月1日 『雑誌法政』インタビュー取材
P18
〜19
7
2009年度 活動記録
春
サツマイモプロジェクトの一年は、土壌づくりから始まります。慣れ
ない作業も皆で協力しました。
栽培準備
日 時 2009年5月19日(火)13:00〜15:30
20日(水)13:00〜15:30
参加者 学生21名(1日目)、12名(2日目)、堀上教授
サツマイモプロジェクトは、2009年度も様々な学部から応募
があり、50名以上の参加者が集まりました。
第1回の作業として、地上と屋上における土壌栽培の土づくり
を行ないました。2日間でのべ33名ものメンバーが作業に参加し
ました。
(地上)菜園コーナー:土を約50cm掘り起こして石等を取り除い
た後、【赤玉土・腐葉土・けいふん・リンカリ肥料】を埋め込んで
平らにならし、畝を2つ作りました。
(屋上)土壌栽培プランター:プランターの底に軽石を敷き、【赤
玉土・黒土・腐葉土・有機肥料】等を入れました。
いい土壌づくりは大変!
プランターの設置と土入れ
定植(苗の植え付け)
日 時 2009年5月26日(火)13:00〜14:30
参加者 学生18名、堀上教授
水気耕栽培の定植は、水の入った栽培ユニットの中にサツマイ
モの苗の根の部分を入れ、葉は外に出しておきます。品種は、昨
年度同様、病害虫に強いパープルスイートロードを植えました。
また、今年度の新たな試みとして、水気耕栽培システムを設置
した屋上の半分にプランターを置き、土壌栽培との生育比較を行
なうことにしました。 水気耕と土壌以外の条件を統一するため、
品種は同じパープルスイートロードです。
地上の菜園コーナーには、 紅あずまという品種を植えました。
屋上に比べ日照時間が短い場所ですが、昨年度以上の収穫量を目
指し、土づくりに力を注ぎました。
場 所
8
栽培方法
株 数
品 種
屋 上
水気耕(システム)
12株
パープルスイートロード
屋 上
土壌(プランター)
12株
パープルスイートロード
地 上
土壌(地植え)
16株
紅あずま
水気耕栽培の定植
土壌栽培プランターの定植
菜園コーナーの定植
夏
日常点検
最も生長する夏は、草取りや病害虫点検など作業が多く大変ですが、
秋の収穫のためにと頑張りました。
サーモカメラ撮影
回数 2009年6月18日(木)〜10月8日(木)計26回
内容 データ測定および生育状況の観察、サーモカメラ撮影
サツマイモによる温度上昇の抑制効果を調べるため、各栽培箇
所における【気温・湿度・サツマイモの葉の陰の温度等】を計測し、
同時に葉枯れや害虫被害等も点検しました。また、生育状況の記
録撮影や、サーモカメラによる熱画像撮影も行ないました(サー
モカメラ熱画像はp17〜掲載)。
日常点検は担当グループを決めて行なったため、夏休み中も継
続的に活動することができました。
屋上での日常点検
サーモカメラ撮影
蔓の誘引
土壌酸度測定
日 時 2009年8月3日(月)①11:00〜 ②16:00〜
参加者 学生3名
水気耕栽培の誘引
水気耕栽培システムでは根にサツマイモがならないため、伸び
た蔓の先をプランターの土に誘引して実を育てます。今年度、比
較として取り入れた土壌プランター栽培においても、同様に伸び
た蔓を誘引しました。
また、土壌プランターは水気耕栽培に比べて蔓の伸びが遅かっ
たため、土壌酸度(ph値)が簡単に測定できる「アースチェック液」
を使用して土壌の状態を調べました。測定結果はph5.5とサツマ
イモにとって適した数値(※)であり、肥料の過不足が原因では
ないようでした。葉の生育不良は、⑴プランターをコンクリート
に直接置いたこと、⑵土壌量が少なかったことにより土壌温度が
高くなり過ぎたためであると推測されます。
土壌栽培もプランター(茶色)に誘引
〈アースチェック液〉
土壌酸度を測定しています
Ph5.5くらいを示しています
8/12に熱除けの段ボールを敷いて
みましたが、効果はあまりみられま
せんでした
(↓8/20撮影)
※アースチェック液(住化タケダ園芸(株))付属「主な植物の適正土壌酸度一覧表」を参照
9
秋
いよいよ収穫の時期! 秋はイベントが盛りだくさんです。今年度は、
大学祭に出店する等、プロジェクトとして収穫芋を活用することができ
ました。
第1回 収穫祭
日 時 2009年10月28日(水)12:50〜13:30
参加者 学生5名、堀上教授
水気耕栽培の収穫
土壌プランターからの収穫
第1回目の収穫祭は、屋上のサツマイモスペースの一部で行な
いました。収穫量は以下の通りです。
・水気耕栽培システム1台(6株): 57個、9.8kg
・土壌栽培プランター3台(6株): 62個、7.4kg
計119個、17.2kg
土壌栽培は葉の伸びが良くなかったためサツマイモのでき具合
が心配でしたが、思った以上に収穫できました。プランター栽培
では、水気耕栽培と異なり、誘引した蔓の先に実はなりませんで
した。水気耕栽培は、水槽1台につき3台の誘引プランターを設
置しましたが、誘引プランターの数を増やすことで収穫量も増え
るのか等、今後検証していく必要があります(※2008年度は水
槽1台につき4台の誘引プランターを使用しました)。
収穫したサツマイモは参加者に数本ずつ配布し、残りは大学祭
出店用に保管しました。
大学祭への出店
日 時 2009年11月2日(月)
参加者 学生7名
第1回収穫祭でとれたサツマイモで「和風スイートポテトと芋
けんぴセット」を作り、11月1〜4日に開催された自主法政祭に
おいて販売しました。
出店は1日だけでしたが、計96個を完売することができました。
プロジェクトメンバーの提案により、収益は全額「WFP学校給食
プログラム」に寄付し、途上国における約318人分の学校給食を
支援することができました(物価変動等の影響があるため目安の
数値です)
。
歩き売りで販売しました
WFP「学校給食プログラム」とは
WFP(国連世界食糧計画)が実施している、開発途上国の学校に給食を提供する活動です。貧しい子ど
もたちが栄養価の高い食事を食べ、また教育を確実に受けられるよう保証することを目的として行なわれ
ています。
「学校給食プログラム」による成果
・子どもたちは少なくとも1日に1回は栄養価の高い食事を取ることができます。
・子どもたちの健康と栄養状態が向上します。
・就学率と出席率が著しく向上します。
・親も子どもたちを働かせるより、通学させることを選ぶようになります。
・空腹が満たされれば、児童は学習に専念できるようになります。
・家にいることが当然だとされていた女子にも学習の機会が与えられます。
*詳細はこちら→http://www.wfp.or.jp/activities/sfp.html
10
食の問題を考える。
サツマイモプロジェクトでは、実際に食物を栽培することで「食の問題を考えていこう」というテーマを掲げ
ています。今回の大学祭出店における収益金の寄付は、さまざまな食の問題があるなかで、少しでも何かに貢献
できないだろうかとのメンバーの想いから発案され、他のメンバーの賛同によって実現したものです。
企画の提案者:法学部4年 雫石彩さんのコメント
サツマイモは日本に於いては江戸時代以降飢饉対策としてつかわれ
たこと。また、大学という高等教育の場に学ぶ私たちは、学びたいと
思っている子どもたちに手を差し伸べる場所に生きていること。
こういった理由から給食プログラムへの寄付を提案しました。
サ
ツ マ イ モ プ ロ ジ ェ ク ト
に対して
W F P より 感 謝 状 をいただきました!
11
地域との連携
〈新宿区エコリーダー養成講座への協力〉
2009年10月29日(木)、 本学において、「平成21年
度新宿区エコリーダー養成講座入門編・ オープン講座II
(主催:新宿区立 環境学習情報センター)」が実施され、
屋上緑化の取り組みの一環として、サツマイモの栽培場
所を紹介しました。
〈第34回 消費生活展にパネル出展〉
2009年12月5日
(土)に開催された「第34回新宿区
くらしを守る消費生活展」において、活動報告のパネル
展示を行ないました。
地域の方々にサツマイモ畑をご案内しました。
地域の方々にサツマイモ畑をご案内しました
第10回 「環境展」への出展
日 時 2009年11月9日(月)〜13日(金)
会 場 外濠校舎1階メディアラウンジ
毎年学内で開催されている「環境展」 において、
活動報告のパネル展示を行ないました。
パネルだけでなく、実際に収穫したサツマイモや
観測結果の記録台帳も展示し、活動が具体的に伝わ
るような展示を心がけました。プロジェクトメンバー
の有志にも準備に協力していただきました。
環境展の出展パネル
山の幸染め体験
日 時 2009年11月11日(水)13:00〜14:30
参加者 11名
環境展特別イベントとして、収穫後のサツマイモの
葉を利用した「山の幸染め体験会」を行ないました。「山
の幸染め」とは、紙状の染料を使って植物等の形を布
に転写する方法です。火や水を使わないため廃液も出
ず、環境配慮型の染色技法といえます。
サツマイモの葉脈まではっきりと染まり、収穫後の
新たな楽しみ方として有意義な体験会となりました。
参加者は、それぞれ工夫を凝らしてオリジナルのハン
カチを完成させていました。
12
参加者の作品
冬
収穫後の活動は、蔓や葉をどう活用するかがポイントとなりました。
また、学外イベントでの発表もあり、昨年度とは一味違った取り組みが
できました。
クリスマスリース作り
収穫後の蔓を利用して
リースの土台を作りました。
装飾には、刈込みが必要な屋上庭園の
ローズマリーを使い、豪華なクリス
学生の作品
マス用の飾りが完成しました。
楽しいだけでなく、廃棄物抑制に
つながる資源の有効活用が
できました。
第2回 収穫祭
第3回 収穫祭
2008年度の菜園コーナー収穫量
より1kg増えました!
土づくりの成果でしょうか?
日 時 11月26日
(木)
第2回
参加者 学生5名
収穫場所:大内山庭園菜園コーナー4面(16株)
収 穫 量:20個、3.0kg
第3回 日 時 12月8日(火)
参加者 学生3名
収穫場所:水気耕栽培システム1台(6株)収穫量:32個、6.3kg
土耕栽培プランター1台(2株)収穫量:26個、4.0kg
計 :58個、10.3kg
菜園コーナーでの収穫
エコプロダクツ2009への出展
日 時 2009年12月10日(木)〜12日(土)
会 場 東京ビッグサイト
エコプロダクツ出展ブース
国内最大の環境展示会である「エコプロダクツ2009」に法政大学と
して初出展し、サツマイモプロジェクトの活動紹介を行ないました。3
日間で600名を超える方がブースに立ち寄ってくださり、活動に関する
質問等が寄せられました。
また、 プレゼンテーションステー
ジにおいて、 法学部法律学科4年の
雫石彩さんが「サツマイモプロジェ
クト活動報告2009」 と題した発表
を行ないました。
発表者 雫石さん
13
サツマイモ生育状況
外 濠 校 舎 屋 上 水 気 耕 栽 培
14
2009年5月26日 定植
2009年6月5日
2009年6月19日
2009年7月1日
2009年7月13日
2009年7月21日
2009年8月10日
2009年8月20日
2009年8月24日
2009年9月7日
2009年9月16日
2009年9月16日
生長記録:7月中は水気耕栽培システムの一部が見えていましたが、8月に勢いよく生長し、9月初旬には土壌プランターに覆い
かぶさるほど葉が広がりました。試し掘りのサツマイモはまだ小ぶりでした。
外 濠 校 舎 屋 上 土 壌 栽 培 プ ラ ン タ ー
2009年5月26日 定植
2009年6月19日
2009年7月1日
2009年7月1日
2009年7月13日
2009年7月27日
2009年8月3日 誘引
2009年8月24日
2009年9月11日
2009年9月14日
2009年9月16日
2009年9月16日
生長記録:7月に入ると蔓が伸びなくなりました。葉は水気耕栽培より色・厚さともに薄く、途中で黄色く変色したものもありま
した。試し掘りでは、根元に丸々としたサツマイモが確認できましたが、プランターに誘引した蔓の先には実がなりませんでした。
15
58 年 館 大 内 山 庭 園 菜 園 コ ー ナ ー
16
2009年6月3日
定植一週間後
2009年6月19日
2009年7月1日
2009年7月13日
2009年7月22日
2009年7月22日
2009年8月4日
2009年8月20日
2009年8月20日
2009年9月14日
2009年9月16日
2009年9月16日
生長記録:屋上に比べ日照時間が少なく、追肥も行ないませんでしたが、8月下旬には菜園全体に葉を茂らせるほどに成長しまし
た。一方、試し掘りでは小さなサツマイモしか見当たりませんでした。
サーモカメラ画像
栽培場所や栽培方法の違いによって遮熱効果にも違いがあるのか。2009年9月16日に撮影した
サーモカメラの熱画像を比較します。
水気耕栽培システム
※Sp=スポットの略
Sp1 :39.0℃
Sp2 :25.4℃
温度差:13.6℃
Sp2 25.4
Sp1 39.0
今回測定した栽培箇所の中で最も温度
差があったのは外濠校舎7Fの水気耕
栽培でした。コンクリートの温度が著
しく高かったこともあり、13.6℃の
差でした。
土壌栽培プランター
Sp2 22.6
Sp1 30.5
Sp1 :30.5℃
Sp2 :22.6℃
温度差:7.9℃
コンクリート面ほどではありません
が、プランターも30.5℃と高温に
なっていました。そのため土壌温度が
上昇し、葉の生長が悪くなる原因とな
りました。葉の部分との温度差は
7.9℃でした。
17
菜園コーナー土壌栽培
Sp2 22.4
Sp1 34.7
Sp1 :34.7℃
Sp2 :22.4℃
温度差:12.3℃
菜園コーナーは、屋上に比べて日照時
間が短いため地表温度も屋上より低め
でしたが、サツマイモの葉の下との温
度差は12.3℃ありました。
撮影日の観測条件
実施日時 : 2009年9月16日
(水)13 : 00∼14 : 00
外気状況 : 気温 27.8℃ 湿度 38% (気象庁発表 13 : 30時点)
使用機器 : サーモカメラFLIR i60(フリアーシステムズジャパン
(株))、
放射率設定 : 0.95
日常点検・観測記録
プロジェクトメンバーで数人ずつのグループを作り、各栽培箇所を回って気温や湿度等のデータ測定を
行ないました。6月18日∼10月8日の間に計26回実施し、観測結果は「見回り記録帳」に記入しまし
た。記録帳には、測定データだけでなく、葉枯れや虫食われ等の気づいたことも記録しました。
測定項目
・気温/湿度
・日照度
・風速
・葉のないコンクリート表面温度/湿度
・葉の下のコンクリート表面温度/湿度
・水温(水気耕栽培)/
土中温度(プランター、菜園コーナー)
使用機器:マルチ環境計測器LM-8000
(製造メーカー Lutron)
見回り記録帳と測定器
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データ測定結果
日常点検で測定したデータをグラフ化しました。以下は、外濠校舎屋上の水気耕栽培における温度と湿度の測
定数値です。測定条件に多少ばらつきがあるため目安の数値となります。今後、測定項目やデータの活用方法等
が検討課題です。
【測定位置】コンクリート表面温度/湿度:コンクリート面に測定器を置いて測定
気温:地上1.5m ※いずれも直射日光を避けて測定
水気耕栽培 温度(℃)
(℃)
45
葉のないコンクリート
表面温度
(℃)
40
35
気温
(℃)
30
葉の下のコンクリート
表面温度
(℃)
25
20
15
10
10
/8
10
/1
9/2
4
9/1
7
9/3
9/1
0
8/2
7
8/2
0
8/6
8/1
3
7/3
0
7/2
3
7/1
6
7/2
6/1
8
6/2
5
0
7/9
5
コメント:葉のある部分のコンクリート表面温度が葉のない部分より低い傾向にあり、サツマイモの葉に
よる遮熱効果がみられます。
水気耕栽培 湿度(%)
(%)
90
(℃)
40
80
35
葉のないコンクリート
表面湿度
(%)
30
気温
(℃)
25
葉の下のコンクリート
表面湿度
(%)
70
60
50
20
40
15
30
10
20
/8
10
/1
10
4
9/2
7
9/1
0
9/1
9/3
7
8/2
0
8/2
3
8/1
8/6
0
7/3
3
7/2
7/1
7/2
6/2
6/1
6
0
7/9
0
5
5
8
10
コメント:葉のある部分のコンクリート表面湿度は葉のない部分より高い傾向にあります。これは、サツ
マイモの葉の蒸散作用による影響と考えられます。
19
プロジェクトメンバーの感想
文学部 地理学科 1年
田村 穂波
さつまいもが大好きで、好きな食べ物を育てながら環境問題について考えられることに魅力を感じ、こ
の活動に参加しました。さつまいもが育っていく様子を見るのは楽しかったです。また、観測の為に照度
計やサーモカメラなど普段は使う機会のない器具を使うことができたのも良い経験となりました。観測し
た結果が少しでも役立てば良いなと思います。収穫したさつまいもは、話し合いの結果、スイートポテト
と芋けんぴにして学祭で売って、収益を学校給食プログラムに送ることになりました。自分たちが育てた
さつまいもがおいしいと言って食べてもらえたこと、発展途上国の子どもたちに給食を提供することがで
きたことは、本当に良かったと思います。この活動に参加することで、屋上緑化などについて考えること
ができたし、学校給食プログラムのことなど、今まで知らなかったことをたくさん知ることができました。
今までよりもっとさつまいもが好きになりました。
文学部 地理学科 3年
江夏 あき子
サツマイモプロジェクトに参加したきっかけは、「大学で野菜を育てられるなんて面白そう」ということ
で始めましたが、日常点検を通して野菜は予想以上に繊細である事を実感しました。水やりや日射しの量
が足りないとしおれてしまうし、逆に十分な水と栄養を与えられたものは、葉の周辺部の温度を2〜3℃
下げてしまう程ヒートアイランド現象への効果を与えていました。
真夏の炎天下で行った点検では、葉がある地表と何もない地表とでは、葉のある地表の温度の方が断然
低く、サツマイモは本当にヒートアイランド現象に効果があると感じました。
やはり、一番楽しかったのは収穫です。土を掘り返した時に、次々とサツマイモが出てきたときには感
動しました。そして、自分で作ったサツマイモは何よりも美味でした!自然と触れ合うのが好きな私にとっ
て、このような形で学校で野菜を育てつつ、ヒートアイランド現象効果の研究が出来たことはとても有意
義でした。本当に楽しかったです!
20
デザイン工学部 システムデザイン学科 2年
戸田 光紀
前年度に引き続き参加させていただきました。
今回は、他の予定などで活動に参加できないことも多かったの
ですが、収穫や学園祭での販売、クリスマスリースの作成など、
昨年と同じように様々な体験をさせてもらい、良い経験になった
と思います。
また、この活動をきっかけに農業ボランティアにもお邪魔させ
ていただいておりますが、部分的ながらも実際に農作業に関わる
ことで、農家さんの苦労や大変さ、そして農作物を育てる楽しさ
が実感できました。生き物に触れ、農業というものを間近で見ら
れたこの経験を活かして環境についてより深く考えていきたいです。
そして、この活動で学部を超えて様々な人と関われました。普段あまり接する機会がない人とも意見を
交わし、一緒に作業できる良い機会となりました。
このプロジェクトを通し、様々な活動に関わることができました。農業ボランティアへの参加や、水気
耕栽培の装置を間近で見られるので、活動に興味を持った方はぜひ参加をお勧めします。
法学部 法律学科 2年
町田 千笑
2009年は初めて「サツマイモプロジェクト」に参加し、自然
と触れ合い又根気よく向きあって後、大学祭に参入、葉を使い水
を汚さぬ山の幸染めに、太い蔓からのリース作りも体験し、さま
ざまな活用もあった関わりの全てに感謝しています。
サツマイモの定植後、継続して水やりとデータ観測も担当した
中で、生育してゆくサツマイモの様子をつぶさに見て親しみも湧
きましたが、土を耕すところから葉が茂り収穫に至るまでの初づ
くしは長いものに感じました。
環境を意識したヒートアイランド現象対策の実証実験3年目の
2009年は、法政での3ヶ所比較栽培方法に各条件の違いの難しさを感じながらも屋上緑化の方は、より
多くの栄養土面積が必要と考えています。
最後に、ご支援ご指導くださった方々やメンバーの皆さん、本当にありがとうございました。
21
人間環境学部 人間環境学科 1年
関 哲也
サツマイモプロジェクトには収穫からしか関わっていませんが
非常に楽しく活動させていただきました。
都会にある大学のキャンパスであんなに立派なサツマイモが育
つなんて驚きでした。
大学祭出店では、いもけんぴ作りや売り歩くための入れ物を作
り、大学祭当日も売り歩きをし、たくさんの方に買っていただけ
て非常に嬉しかったです。その収益をWFPに届けるという活動は
素晴らしいアイディアだと思います。世界のためになる活動に携
われたことをうれしく思います。
この活動に携わる人がもっと増えればいいなぁと思います。また、このサツマイモプロジェクトをきっ
かけに、第一次産業に触れ合うきっかけになるような場があればいいのになぁと思いました。
具体的には、サツマイモ農家の見学や、サツマイモ以外の作物でもし屋上緑化をやっている企業や団体
があればそれの見学などです。
楽しい活動に携わらせていただいてありがとうございました。
法学部 法律学科 4年
雫石 彩
3年次、そして4年次とサツマイモプロジェクトに参加しまし
た。今回は大学祭での出店、エコプロダクツへの参加と、新しい
試みがありました。
大学祭で出店し、収益をWFPに寄付したのは本プロジェクトの
活動目的に適うものです。
「食」の問題について語る時、国内に目
を向けながらも世界に目を向ける姿勢は、今後ますます重要性を
増していくでしょう。その意味で、環境問題から視野を広げる一
つのきっかけを作れたように思います。
エコプロダクツへの参加は、そのことをより深く考える上で大
いに参考になりました。各教育機関、企業がどのような取り組みをしているのかを知ることができ、次年
度以降の活動に活かせそうです。
解決すべき課題はまだ多いと思います。測定時間や場所の統一、大学祭やエコプロダクツへの参加の是
非などは早めに決定した方が目的が明確になり、取り組みやすくなります。しかし、今回こうして新しい
試みをしたことで、次回に繋げる布石ができました。今後プロジェクトがどのように葉を茂らせるのか楽
しみにしています。
22
来年度に向けて
2007年から始まった市ケ谷キャンパス・サツマイモプロジェクトは今回で3年目と
なりました。これまで数多くの学生および教職員が関わってきましたが、グリーン・
ユニバーシティ構想の一環であるこのプロジェクトが学内者の眼にどのように映って
いるのか見直す時期を迎えていると思います。そこで、2010年度はアンケートなど
を用いて客観的な評価を行い、改善点など探りたいと思います。
その一方で、日本における食料自給率はカロリーベースで約40%と先進国中最低で
あることから、「食とは何か」について考える取り組みに繋げたいと思っています。
また、「生物多様性」すなわち生態系の保全のみならず遺伝子資源の保全にも目を向
けられればと思っています。
堀上 英紀
編 集 後 記
2007年度に始まり3年目となるサツマイモプロジェクト。栽培場所や栽培方法等、毎年新たな活動内
容に取り組んでいます。プロジェクトメンバーには2008年度に引き続き50名以上の応募があり、「都心
において自然と触れ合う体験」への学生の関心の高さがうかがえます。また、今年度は大学祭出店におけ
る収益の寄付という学生発案の取り組みによって、「食の問題を考える」というプロジェクトの目的に近づ
く活動ができました。今後もプロジェクトメンバーの意見を取り入れながら、前年度までの経験を活かし
た活動にしていけたらと思います。
本報告書を通し、より多くの方にサツマイモプロジェクトへ関心をもっていただければ幸いです。ご意
見等ございましたら、環境センターまでお気軽にご連絡ください。
企画・協力
法政大学サツマイモプロジェクト
担 当 教 授:堀上 英紀(法政大学国際文化学部教授)
報告書作成協力者:江夏あき子(文学部3年) ・雫石 彩(法学部4年)
・
関 哲也(人間環境学部1年) ・田村 穂波(文学部1年)
・
戸田 光紀(デザイン工学部2年)
・町田 千笑(法学部2年)
発 行 法政大学環境センター
【五十音順】
発 行 日 2010年3月31日
報告書作成事務局
鈴木 広行・榎本 直子・徳田 一絵(法政大学環境センター)
作成協力 大東印刷工業株式会社
03-3625-7481
23
2008年11月に法政大学
環境改善活動推進キャラクター
「えこぴょん」が誕生!
★
ECO
環境センター
〒102−8160 東京都千代田区富士見2−17−1 TEL. 03−3264−5681 FAX. 03−3264−5545
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