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SDM の設定
C H A P T E R 10 SDM の設定 この章では、Catalyst 2948G-L3/4908G-L3 スイッチ・ルータに組み込まれている SDM(スイッチン グ・データベース・マネージャ)の機能について説明します。ここで説明する内容は、次のとおり です。 • SDM の概要(p.10-1) • SDM の設定(p.10-2) SDM の概要 ギガビット・イーサネット・インターフェイスでは、フォワーディング・エンジンおよび TCAM (3 つ 1 組のコンテンツ・アドレス可能メモリ)を使用して、レイヤ 3 スイッチングを実現します。 レイヤ 3 スイッチング情報は TCAM で維持されます。SDM は、レイヤ 3 ソフトウェア・サブシス テムであり、TCAM で維持されているレイヤ 3 スイッチング情報を管理します。 レイヤ 3 の SDM は、TCAM のスイッチング情報をプロトコル固有の領域単位で編成し、各プロト コル領域のサイズを設定します。SDM により、完全一致および最長一致のアドレス検索が可能に なり、その結果、高速転送が実現します。SDM は、プロトコル固有のスイッチング情報を複数の 領域に分割することにより、TCAM スペースを管理します。 ギガビット・イーサネット・インターフェイス上のフォワーディング・エンジンは、複数のチャネ ルで同時にパケット処理を実行し、パケット・ヘッダ情報を抜き出します。さらに、このパケッ ト・ヘッダ情報を使用して、TCAM に保管されているスイッチング情報に対する完全一致または最 長一致アドレス検索要求を発行します。 TCAM は、レイヤ 2 またはレイヤ 3 のロケーション・インデックスを識別し、フォワーディング・ エンジンに伝えます。フォワーディング・エンジンでは、このロケーション・インデックスを使用 して、個々のレイヤ 2 およびレイヤ 3 アドレスに対応する情報を引き出します。 レイヤ 3 スイッチングで SDM を利用する大きな利点は、TCAM 内のスイッチング情報をプロトコ ル固有の領域として編成でき、このようなプロトコル領域のサイズを設定できることにあります。 SDM により、完全一致および最長一致のアドレス検索が可能になり、その結果、高速転送が実現 します。 SDM 領域 SDM は TCAM スペースを複数のプロトコル固有領域に分割し、個々のプロトコル制御レイヤと対 話して、レイヤ 3 スイッチング情報を保管します。SDM は、次のタイプの領域で構成されます。 • 完全一致領域 ― 完全一致領域は、IP 隣接、IPX ノードなど、複数のプロトコル領域に対応す るレイヤ 3 エントリからなります。 Catalyst 2948G-L3/4908G-L3 スイッチ・ルータ・ソフトウェア・コンフィギュレーション・ガイド 78-10408-02-J 10-1 第 10 章 SDM の設定 章 SDM の設定 • 最長一致領域 ― 各最長一致領域は、複数のバケットすなわちマスク長に従って降順で並べら れたレイヤ 3 アドレス・エントリのグループからなります。バケット内のすべてのエントリが 同じマスク値および鍵サイズを共有します。バケットは、隣接バケットからアドレス・エント リを借用することにより、サイズを動的に変更できます。プロトコル領域全体のサイズは決 まっていますが、設定を変更できます。 TCAM スペースは 32,000 のエントリからなり、各エントリは 32 ビット幅です。SDM は TCAM ス ペースの管理を担当するので、ユーザの設定に基づき、TCAM スペース全体を各プロトコル領域に 分割します。全プロトコル領域の最大サイズは決まっていますが、個々のプロトコル領域のサイズ 設定は変更できます。このパーティション設定を変更した場合、次回のシステム再起動によって変 更が有効になります。 表 10-1 に、TCAM の各プロトコル領域に対応するデフォルト・パーティションを示します。 表 10-1 TCAM 内のプロトコル領域別に示したデフォルト・パーティション プロトコル領域 検索タイプ (注) デフ ォル ト TCAM エントリ数 鍵サイズ のサイズ ipx-bvi-network 完全一致 32ビット 32 32 ip-adjacency 完全一致 32ビット 2048 2048 ipx-node 完全一致 64ビット 2048 4096 ip-prefix 最長一致 32ビット 8192 8192 ipx-network 完全一致 32ビット 6144 6144 ip-mcast 最長一致 64ビット 3072 6144 l2-switching 完全一致 64ビット 1024 2048 access-list 初回一致 128 ビット 512 8192 拡張ギガビット・イーサネット・インターフェイスは、32K の TCAM スペースで利用で きます。 SDM の設定 ここでは、SDM を設定するためのコマンドについて説明します。SDM の autolearn 機能を設定する コマンド、および SDM 領域のサイズを設定するコマンドが含まれます。ここで説明するのは、レ イヤ 3 スイッチング・ソフトウェアに固有のコマンドです。 SDM autolearn の設定 SDM はマスク長に基づいてエントリをまとめ、 バケットにします。プロトコル領域における各バ ケットのサイズはさまざまです。autolearn 機能は、スイッチング・データベースの最長一致(最長 一致)領域に対応するマスク長ディストリビューション(バケット・サイズ・ディストリビュー ション)を自動的に保存します。SDM はこの情報を使用して、パーティションを設定しますが、そ のパーティションが有効になるのは次回のシステム再起動後です。 レイヤ 3 スイッチングでは、autolearn 機能はデフォルトでイネーブルです。no 形式の sdm autolearn コマンドを使用すると、autolearn 機能がディセーブルになります。autolean を再びイネーブルにす るには、グローバル・コンフィギュレーション・モードから sdm autolearn コマンドを入力します。 Router# configure terminal Router (config)# sdm autolearn Router(config)# end Catalyst 2948G-L3/4908G-L3 スイッチ・ルータ・ソフトウェア・コンフィギュレーション・ガイド 10-2 78-10408-02-J 第 10 章 SDM の設定 章 SDM の設定 SDM 領域の設定 TCAM スペースは 32,000 のエントリからなり、各エントリは 32 ビット幅です。SDM は TCAM ス ペースの管理を担当するので、ユーザの設定に基づき、TCAM スペース全体を各プロトコル領域に 分割します。この区画設定を変更した場合、変更が有効になるのは次回のシステム再起動後です。 SDM のプロトコル領域サイズは、32 ビットまたは 64 ビット・エントリの数で表します。すべての アプリケーション領域を結合したサイズを 32 ビット TCAM エントリ換算で計算します。総 TCAM サイズである 32K を超えてはなりません。 (注) プロトコル領域全体のサイズはデフォルトで設定されますが、再設定できます。変更し たプロトコル領域のサイズは、次回のシステム再起動によって初めて有効になります。 各プロトコル領域の SDM サイズを設定するには、グローバル・コンフィギュレーション・モード から始めて、次の作業を行います。 コマンド ステップ1 ステップ Router(config)# sdm size region-name {k-entries}num-of-entries ステップ2 ステップ Router(config)# end 目的 サ イ ズ を 設 定 す る プ ロ ト コ ル 領 域 の 名 前 を 指 定 し ま す。1K (1024)エントリの倍数でサイズを指定するか、またはエントリ の絶対数で指定します。 イネーブル EXEC モードに戻ります。 Router# 次に、ip-prefix 領域に 2K エントリを設定した場合の出力例を示します。 Router# configure terminal Router (config)# sdm size ip-prefix k-entries 2 Router (config)# end すべてのプロトコル領域に入力した値の合計が総 TCAM サイズである 32K を超えないようにしな ければなりません。サポートされる SDM サイズを表示するには、グローバル・コンフィギュレー ション・モードから show sdm size コマンドを入力します。 Router # show sdm size Switching Database Region Sizes : IPX Direct Network :256 32-bit entries IP Adjacency :2048 32-bit entries IPX Node :1024 64-bit entries IP Prefix :2048 32-bit entries IPX Network :2048 32-bit entries IP Multicast :1024 64-bit entries MAC Addr :2048 64-bit entries Access List :512 128-bit entries 次の出力例では、IPX ネットワーク領域から 1K の 32 ビット・エントリを借用し、256 の 128 ビッ ト・エントリとして ACL 領域に追加しています。 Router# configure terminal Router (config)# sdm size ipx-network k-entries 1 Router (config)# sdm size access-list 256 Router (config)# end Catalyst 2948G-L3/4908G-L3 スイッチ・ルータ・ソフトウェア・コンフィギュレーション・ガイド 78-10408-02-J 10-3 第 10 章 SDM の設定 章 SDM の設定 Router # show sdm size Switching Database Region Sizes : IPX Direct Network :256 32-bit entries IP Adjacency :2048 32-bit entries IPX Node :1024 64-bit entries IP Prefix :2048 32-bit entries IPX Network :1024 32-bit entries IP Multicast :1024 64-bit entries MAC Addr :2048 64-bit entries Access List :768 128-bit entries 次に、32K TCAM の中で、IP adjacency および IP prefix プロトコル領域を可能なかぎり最大のサイ ズに設定し、他の領域を可能なかぎり最小のサイズに設定する例を示します。すべてのプロトコル 領域のサイズ合計が、TCAM サイズである 32K を超えないようにしなければなりません。 Router# show sdm size Switching Database Region Sizes : IPX BVI Network :32 32-bit entries IP Adjacency :16240 32-bit entries IPX Node :32 64-bit entries IP Prefix :16240 32-bit entries IPX Network :32 32-bit entries IP Multicast :32 64-bit entries MAC Addr :32 64-bit entries Access List :512 128-bit entries TCAM における ACL サイズの設定 拡張ギガビット・イーサネット・インターフェイス・モジュールは、32K の TCAM サイズをサポー トします。プロトコル領域とアクセス・リストを合わせた容量が TCAM スペースを超えないよう にしてください。32K の TCAM の場合、ACL(アクセス制御リスト)のデフォルト・サイズは 512 です。sdm access-list コマンドを入力すると、ACL 用に TCAM スペースを分割できます。 アクセス・リスト用に TCAM スペースを分割するには、次の作業を行います。 コマンド 目的 sdm access-list num-entries サイズを設定するプロトコル領域の名前を指定 します。サイズは、エントリの絶対数で入力でき ます。 TCAM のアクセス・リスト領域を設定する前に、TCAM に ACL 領域が収まるだけのスペースがあ るかどうかを確認してください。TCAM スペースが不足している場合は、あまり使用されていない 他の領域からスペースを借用できます。show internal all-regions コマンドを入力して、TCAM で利 用できるスペースの大きさを調べてください。 次に、TCAM の ACL 領域に 8192 エントリを設定した場合の出力例を示します。 Router#configure terminal Router(config)# sdm access-list 8192 Router(config)# end Catalyst 2948G-L3/4908G-L3 スイッチ・ルータ・ソフトウェア・コンフィギュレーション・ガイド 10-4 78-10408-02-J