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チャネル棲み分けに基づく動的チャネル配置を用いた 無線 LAN における
社団法人 電子情報通信学会 THE INSTITUTE OF ELECTRONICS, INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS 信学技報 IEICE Technical Report チャネル棲み分けに基づく動的チャネル配置を用いた 無線 LAN におけるチャネル選択に関する一検討 天間 克宏 1 石原 浩一 2 1, 3 松村 祐輝 1 小原 辰徳 1 ヒランタ アベーセーカラ 2 山本 哲矢 1 熊谷 智明 2 安達 文幸 3 東北大学大学院工学研究科通信工学専攻 〒980-8579 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉 6-6-05 日本電信電話株式会社 NTT 未来ねっと研究所 〒239-0847 神奈川県横須賀市光の丘 1-1 2 E-mail: 1 {tenma, matsumura, obara, yamamoto}@mobile.ecei.tohoku.ac.jp, [email protected] 2 {ishihara.koichi, hirantha.abeysekera, kumagai.tomoaki}@lab.ntt.co.jp あらまし 筆者らは先に,チャネル棲み分けに基づく動的チャネル配置(CS-DCA)を用いる無線 LAN におけるマ ルチチャネルアクセスについて検討した.CS-DCA では,各アクセスポイント(AP)が全てのチャネルについて同一 チャネル干渉(CCI)電力を一定時間ごとに観測し,チャネル優先度を更新する.優先度が高い(CCI 電力の低い)上位 の複数のチャネルを用いてマルチチャネルアクセスを行う.本稿では,AP-端末(STA)間の距離に基づくチャネル選 択規範を用いて各 STA にチャネルを割当てるときの信号対干渉+雑音電力比(SINR)を計算機シミュレーションによ り明らかにしている. キーワード チャネル棲み分け,動的チャネル配置,マルチチャネルアクセス,同一チャネル干渉,無線 LAN, 送信電力制御 A Study of Channel Selection for Wireless LAN using Channel Segregation Based Dynamic Channel Assignment Katsuhiro TEMMA1 Yuki MATSUMURA1 Tatsunori OBARA1 Tetsuya YAMAMOTO1 Koichi ISHIHARA2 B. A. Hirantha Sithira Abeysekera2 Tomoaki KUMAGAI2 and Fumiyuki ADACHI3 1, 3 Dept. of Communications Engineering, Graduate School of Engineering, Tohoku University 6-6-05, Aza-Aoba, Aramaki, Aoba-ku, Sendai, Miyagi, 980-8579, Japan 2 NTT Network Innovation Laboratories, NTT Corporation 1-1, Hikarinooka, Yokosuka-shi, 239-0847, Japan E-mail: 1 {tenma, matsumura, obara, yamamoto}@mobile.ecei.tohoku.ac.jp, [email protected] 2 {ishihara.koichi, hirantha.abeysekera, kumagai.tomoaki}@lab.ntt.co.jp Abstract Recently, we investigated the application of the multi-channel access to channel segregation based dynamic channel assignment (CS-DCA) in Wireless local area network (WLAN). In CS-DCA, each access point (AP) periodically measures the co-channel interference (CCI) and updates the channel priority. The multi-channel access can be realized by using the high-priority channels (i.e. the channels with lower CCI) while mitigating the CCI. In this paper, we introduce the AP-STA distance-based channel selection for multi-channel access in the WLAN using CS-DCA. We evaluate by computer simulation the impact of the AP-STA distance-based channel selection on the signal-to-interference-plus-noise power ratio (SINR) of each channel in the multi-channel access. Keyword Channel segregation, Dynamic channel assignment, Multi-channel Access, Co-channel interference, Wireless LAN, Transmit power control 1. は じ め に 最近,インターネットサービスの高度化や端末の普 及 に 伴 い ,無 線 LAN が 急 速 に 普 及 し て い る .無 線 LAN では,有線ネットワークと接続されたアクセスポイン ト (AP)が そ れ ぞ れ 無 線 セ ル を 形 成 し て い る . 各 無 線 セ ル 内 に 存 在 す る 複 数 の 端 末 (STA)は ,パ ケ ッ ト 衝 突 回 避 機 能 付 き キ ャ リ ア ア ク セ ス 多 重 方 式 (CSMA/CA)[1] を 用 い て 時 分 割 複 信 (TDD)で AP と 通 信 し て い る . 無 線 LAN で 利 用 可 能 な チ ャ ネ ル 数 は 限 ら れ て お り ,同 一 チ ャ ネ ル を 異 な る AP で 再 利 用 し な け れ ば な ら な い . 周 This article is a technical report without peer review, and its polished and/or extended version may be published elsewhere. Copyright ©2013 by IEICE 波 数 利 用 効 率 を 高 め る た め に は ,で き る だ け 近 く の AP で同一チャネルを再利用することが重要である.しか し ,同 一 チ ャ ネ ル 干 渉 (CCI)が 発 生 す る か ら ,同 一 チ ャ ネ ル 再 利 用 に あ た っ て は , CCI が 許 容 レ ベ ル を 超 え な いようにしなければならない. そ こ で , 無 線 LAN で は , AP が 起 動 時 に 周 辺 AP が 送 信 す る 下 り リ ン ク ビ ー コ ン の 受 信 レ ベ ル (RSSI)を 測 定 し , 最 も RSSI の 小 さ い チ ャ ネ ル を 選 択 す る チ ャ ネ ル 選 択 法 が 一 般 的 に 知 ら れ て い る [2](本 稿 で は , こ れ を 起 動 時 最 小 RSSI 法 と 呼 ぶ ).し か し ,起 動 時 最 小 RSSI 法では,起動時に選択したチャネルを利用し続けるた め , 起 動 後 の AP 周 辺 の CCI の 変 化 に 追 従 で き な い . 筆 者 ら は 先 に , チ ャ ネ ル 棲 み 分 け [3], [4]に 基 づ く 動 的 チ ャ ネ ル 配 置 (CS-DCA)の 無 線 LAN へ の 適 用 に つ い て 検 討 し た [5]. CS-DCA で は , 各 AP は 一 定 時 間 毎 に 他 セ ル の STA か ら の CCI を 観 測 し ,自 AP に お け る 平 均 CCI 電 力 が 高 く な る 順 に チ ャ ネ ル 優 先 度 を 低 く す る . 各 AP で は 優 先 度 の 高 い (つ ま り ,平 均 CCI 電 力 が 小 さ い )チ ャ ネ ル を 利 用 す る .こ れ に よ り ,自 AP 周 辺 の CCI の 変 化 に 適 応 し て , 他 STA と 通 信 し て い る 他 AP の 上 り リ ン ク に 与 え る CCI を 最 小 と す る チ ャ ネ ル 再 利 用 パ ターンが自律的に形成される. 最 近 で は ,無 線 LAN 端 末 が 急 速 に 普 及 し て い て ,よ り 多 く の STA を AP と 接 続 す る こ と が 求 め ら れ て い る . そこで筆者らは,優先度 1 位だけではなく 2 位以下の L1 hm,(m,u) () hm(l,)(m,u)(τ τ(ml ),(m,u ) ) (1) l 0 τ(ml ),(m,u ) は 第 l パ ス に お け る 遅 延 時 間 ,hm(l,)(m,u) は 伝 搬 損 失 , シャドウイング損失,及びフェージングにより特徴付 け ら れ る 複 素 パ ス 利 得 で あ る . AP(m)-STA(m,u)間 の チ ャ ネ ル は ,AP(m)-STA(m,u)間 距 離 R m, (m, u ) を 用 い て 次 式 の よ う に 表 せ る [9]. hm( l,)( m ,u ) Rm α,( m ,u ) 10 η m ,( m ,u ) 10 ~ hm( l,()m ,u ) (2) こ こ で , α は 伝 搬 損 失 指 数 で あ る . η m , (m,u ) は AP(m)-STA(m,u)間 に お け る シ ャ ド ウ イ ン グ 損 失 (dB)を 表 し ,平 均 値 0 で 標 準 偏 差 σ の 正 規 分 布 に 従 う ラ ン ダ ~ ム 変 数 で あ る . ま た , h m( l, ()m ,u ) は フ ェ ー ジ ン グ に よ り 変 L 1 ~ ( l ) 2 動 す る 複 素 変 数 で あ り ,E[ l 0 | hm ,( m ,u ) | ]1 で あ る (E[.] は ア ン サ ン ブ ル 平 均 を 表 す ). 上 り リ ン ク に お い て , AP(m)に お け る STA(m,u)か ら の 瞬 時 受 信 電 力 p m( Rx,( m) ,u ) は , STA(m,u)の 送 信 電 力 p ((mTx,u)) を 用 い て 次 式 で 表 せ る . 0 1 9 ・・・ x (0,0) (1,0) m=0 m=1 (0,1) m=10 0 1 (8,0) (9,0) m=8 m=9 (9,1) m=19 (2,2) (3,2) m=22 m=23 (2,3) m=32 (6,2) (7,2) m=26 m=27 (7,3) m=37 (2,6) m=62 (2,7) (3,7) m=72 m=73 (7,6) m=0 (6,7) (7,7) m=76 m=77 (x,y) m ・・・ チ ャ ネ ル を 用 い る CS-DCA マ ル チ チ ャ ネ ル ア ク セ ス に つ い て 検 討 を 行 っ た [6].優 先 度 2 位 以 下 の チ ャ ネ ル の 使 用 に よ り CCI が 増 加 す る も の の , 起 動 時 最 小 RSSI 法 と 比 較 し て 各 STA の 信 号 対 干 渉 電 力 比 (SIR)を 向 上 できることを示した. 本 稿 で は , 複 数 STA へ の チ ャ ネ ル 割 当 て 時 に , AP-STA 間 距 離 に 基 づ く 選 択 規 範 を 導 入 す る . ま た , 筆 者 ら が [7]で 検 討 し た 受 信 信 号 対 雑 音 電 力 比 (SNR)に 基 づ く 送 信 電 力 制 御 (TPC)の 影 響 に つ い て も 検 討 す る . 本稿の構成は以下の通りである.第 2 章でネットワ ー ク モ デ ル と CS-DCA, 受 信 SNR に 基 づ く 低 速 TPC の動作原理を述べる.第 3 章で,複数チャネルの割当 て 動 作 に お け る AP-STA 間 距 離 に 基 づ く チ ャ ネ ル 選 択 規範の原理を述べる.第 4 章で計算機シミュレーショ ン 結 果 を 示 し , AP-STA 間 距 離 に 基 づ く チ ャ ネ ル 選 択 規 範 と 受 信 SNR に 基 づ く 低 速 TPC の 適 用 効 果 に つ い て考察する.第 5 章でまとめる. チ ャ ネ ル 数 を N ch と す る . 各 AP に は U 個 (1≤U≤N ch )の STA が AP か ら 距 離 R m, (m, u) に 存 在 し て お り , そ れ ぞ れ 異 な る チ ャ ネ ル で AP と 通 信 し て い る . STA は 各 セ ル に一様分布で発生するとする. 本稿では全セルが同期的に上りリンク直交周波数 分 割 多 重 (OFDM)[8]伝 送 を 行 う も の と 仮 定 す る .以 降 , シ ン ボ ル 時 間 Ts 間 隔 の 離 散 時 間 低 域 等 価 表 現 を 用 い る .送 信 信 号 は シ ン ボ ル 時 間 間 隔 の L 個 の 離 散 パ ス か ら構成される周波数選択性ブロックレイリーフェージ ングチャネルを伝搬して受信されるものとする.第 mAP を AP(m) , AP(m) と 通 信 し て い る 第 uSTA を STA(m,u)と 定 義 す る と , AP(m)-STA(m,u)間 の チ ャ ネ ル の イ ン パ ル ス 応 答 hm,( m,u ) () は 次 式 で 表 す こ と が で き る . (0,8) m=80 (0,9) (1,9) m=90 m=91 9 : Cell of interest (9,8) m=89 (8,9) (9,9) m=98 m=99 y (a) セ ル 配 置 2. CS-DCA を 用 い る 無 線 LAN に お け る マ ル チ チャネルアクセス 2.1. ネットワークモデル STA(m,U1) AP(m) 本稿におけるネットワークモデルを図 1 に示す.総 セ ル 数 A al l =100 と し , 測 定 対 象 と な る A i n t . =36 セ ル と そ の 周 辺 の 64 局 の セ ル か ら の CCI も 考 慮 す る . 正 方 セ ル 内 に 1 本 の ア ン テ ナ を 有 す る AP が 配 置 さ れ て お り ,隣 接 す る AP 間 の 距 離 を R AP ,各 AP で 使 用 す る 総 RAP/2 Rm,(m,u) STA(m,1) STA(m,0) (b) セ ル 内 の AP 配 置 図1 : Cell ネットワークモデル ) ( Tx ) p m( Rx ,( m ,u ) p ( m ,u ) Rm ,( m ,u ) 10 P ( Tx ) ( m ,u ) m , ( m ,u ) r 10 m , ( m , u ) 10 L 1 ~ | hm( l,()m ,u ) |2 l 0 m , ( m ,u ) 10 (3) L 1 ~ | hm( l,()m ,u ) |2 l 0 AP p R お よ び r m,(m,u) =R m,(m,u) /R AP は そ ここで,P れ ぞ れ AP 間 距 離 で 正 規 化 し た 正 規 化 送 信 電 力 と 正 規 化距離である. ( Tx ) ( m ,u ) ( Tx ) ( m ,u ) 2.2. 信 号 表 現 AP(m)の 第 ch チ ャ ネ ル (0≤ch≤N ch 1)に お け る 周 波 数 領 域 受 信 信 号 Ym( ch ) (k ) は 次 式 で 表 さ れ る . Ym( ch ) ( k ) q((mch,u) ) 2 P((mTx,u )) rm,α( m ,u ) 10 ηm , ( m , u ) H m( ch,( m) ,u ) ( k ) d ( m ,u ) ( k ) (4) 10 I m( ch ) ( k ) N m( ch ) ( k ) d (m, u ) (k)は STA(m,u)の 送 信 信 号 , H m( ch,( m) ,u ) ( k ) は 第 ch チ ャ ネ ル の 第 k 周 波 数 に お け る AP(m)-STA(m,u)間 の チ ャ ネ ル 利 得 で あ る .q ((mch,u) ) は AP(m)-STA(m,u)間 の チ ャ ネ ル が 第 ch チ ャ ネ ル の 場 合 に 1,そ れ 以 外 で は 0 を 取 る 変 数 で あ る .つ ま り ,AP(m)-STA(m,u)間 が 第 ch チ ャ ネ ル を 使 用 し て い な い 場 合 , Ym( ch ) (k ) に は CCI 成 分 I m( ch ) ( k ) と 雑 音 成 分 N m( ch ) ( k ) の み 含 ま れ る . N m( ch ) ( k ) は 零 平 均 で 分 散 2N 0 /T s の 複 素 ガ ウ ス 過 程 で あ る 周 波 数 領 域 雑 音 で あ り , N0 は 加 法 性 白 色 ガ ウ ス 雑 音 の 片 側 電 力 ス ペ ク ト ル 密 度 で あ る .I m( ch ) ( k ) は 第 ch チ ャ ネ ル で 通 信 し て い る 他 セ ル STA か ら の CCI 成 分 で あ り , 次 式 の よ う に 表 せ る . I m( ch ) (k ) Aall 1 U 1 q ( ch ) ( m ,u ) 2P ( Tx ) ( m ,u ) m0 m u 0 ( m ,u ) r H 10 ( ch ) m , ( m , u ) ηm ,( m ,u ) 10 (5) (k ) d ( m,u) (k ) AP(m)は ,次 式 に よ り 第 ch チ ャ ネ ル に お け る 第 k 周 波 数 の CCI+雑 音 成 分 Iˆm( ch ) ( k ) を 求 め る . Iˆm( ch ) (k ) Ym( ch ) (k ) q((mch,u) ) 2 P((mTx,u)) rm,α( m,u ) 10 H ( ch ) m ,( m ,u ) ηm ,( m ,u ) 10 (6) (k ) dˆ( m,u ) ( k ) こ こ で ,dˆ( m ,u ) ( k ) は デ ー タ 判 定 に よ り 推 定 し た STA(m,u) の 第 k 周 波 数 の 送 信 信 号 で あ る .こ れ を 用 い て ,AP(m) の 第 ch チ ャ ネ ル に お け る 第 t タ イ ム ス ロ ッ ト の 瞬 時 CCI+雑 音 電 力 I m( ch ) (t ) は 次 式 で 与 え ら れ る . I m( ch ) (t ) 1 Nc N c 1 Iˆ k 0 ( ch ) m (k ) 2 (7) k 0 ( Tx ) ( m ,u ) rm,α( m ,u ) 10 ηm , ( m , u ) 10 | H m,( m ,u ) (k ) |2 2 1 Nc 1 I ( m,u ) (k ) N (k ) 2 k 0 ( ch ) ( ch ) I m (t ) (1 β ) I m( ch ) (t ) β I m (t 1) こ こ で β( 0 β 1 ) は 一 次 フ ィ ル タ に お け る 忘 却 係 数 を 表している.このフィルタにより,棲み分け開始以降 の CCI 電 力 が フ ィ ル タ リ ン グ さ れ る . β が 0 に 近 い 場 合 , CCI の 瞬 時 的 変 動 の 影 響 を 大 き く 反 映 す る た め , フィルタ出力は不安定となり適切にチャネル再利用パ タ ー ン が 形 成 さ れ な い .こ の た め ,平 均 CCI 電 力 の 計 算 の 際 に は , 1 に 近 い β を 用 い る 必 要 が あ る [5] . 2.4. 受 信 SNR に基 づく低 速 TPC 受 信 SNR に 基 づ く 低 速 TPC で は ,AP(m) の 平 均 受 信 SNR が 目 標 値 と な る よ う な 送 信 電 力 を STA(m,n) が 決 定 す る . 各 STA は , AP か ら の ビ ー コ ン 信 号 に よ り AP(m)-STA(m,u) 間 の チ ャ ネ ル の 電 波 減 衰 量 を 推 定 し , 目 標 SNR と な る よ う な 送 信 電 力 を 決 定 す る . AP(m) の 端 区 間 平 均 ブ ロ ッ ク 平 均 SNR ( m ,u ) は 次 式 のようになる. ( m ,u ) 2 P((mTx,u)) rm,α( m ,u ) 10 ηm , ( m , u ) 10 (10) N START CCI measurement CCI table update Channel assignment (8) (9) CCI table at the AP(m) #ch Ave. CCI power (0) #0 I m (t ) #1 I m (t ) (1) Priority … … … ( m ,u ) 2P CS-DCA の 動 作 フ ロ ー チ ャ ー ト を 図 2 に 示 す . CS-DCA で は , 各 AP が タ イ ム ス ロ ッ ト 毎 に 瞬 時 CCI 電力を測定する.本稿では全セルが同期的に上りリン ク 伝 送 を 行 う も の と 仮 定 し て い る た め , CCI は 他 AP に 所 属 す る STA か ら の も の で あ る . AP は 過 去 に 観 測 さ れ た 瞬 時 CCI 電 力 を 用 い て 平 均 CCI 電 力 を 計 算 し , CCI テ ー ブ ル に 格 納 す る . チ ャ ネ ル 利 用 時 に は , CCI テ ー ブ ル を 参 照 し て 平 均 CCI 電 力 が 小 さ い チ ャ ネ ル を 選 択 し ,セ ル 内 の STA の 使 用 チ ャ ネ ル を 更 新 す る .セ ル 内 の STA は AP か ら の ビ ー コ ン 信 号 に よ り , チ ャ ネ ル が 変 更 さ れ た こ と を 知 る . STA は , 更 新 さ れ た チ ャ ネ ル を 使 用 し て AP に 信 号 を 送 信 す る . AP は , CCI テ ー ブ ル に 保 存 さ れ た 平 均 CCI 電 力 に 基づいて使用チャネルを選択する.本稿では,忘却係 数 を 用 い る 一 次 フ ィ ル タ [4] を 用 い て 平 均 CCI 電 力 を 計 算 す る . AP(m) の 第 t タ イ ム ス ロ ッ ト に お け る 第 ch ( ch ) チ ャ ネ ル の 平 均 CCI 電 力 I m (t ) は 次 式 で 与 え ら れ る . … N c 1 2.3. CS-DCA … N c は OFDM 伝 送 に お け る 離 散 フ ー リ エ 変 換 (DFT)ブ ロ ッ ク サ イ ズ を 表 す .本 稿 で は ,AP は 自 身 の 受 け た CCI+ 雑音電力を理想的に求められると仮定する. AP(m)に お け る STA(m,u)か ら 受 け る 受 信 信 号 の 瞬 時 ブ ロ ッ ク 平 均 SINR ( m ,u ) を 次 式 の よ う に 定 義 す る . た だ し ,E[|d ( m, u) (k)| 2 ]=1 を 仮 定 し た .H m, ( m, u ) (k ) ,I ( m ,u ) (k ) は そ れ ぞ れ , STA(m,u) が 使 用 し て い る チ ャ ネ ル に お け る 周 波 数 領 域 チ ャ ネ ル 利 得 お よ び CCI 成 分 で あ る .本 稿 で は , 式 (8) で 表 さ れ る 瞬 時 ブ ロ ッ ク 平 均 SINR に 基 づき評価を行う. End 図2 CS-DCA の 動 作 フ ロ ー チ ャ ー ト こ こ で , N は 平 均 雑 音 電 力 を 表 す . TPC 適 用 時 に お い て , 送 信 電 力 P((mTx,u)) は 目 標 SNR ( m ,u ) target を 満 た す よ うに設定され,次式で与えられる. N P((mTx,u)) α m ,( m ,u ) 2r 10 ηm , ( m , u ) target (11) 10 ま た , TPC を 行 わ な い 場 合 の 送 信 電 力 は , パ ス ロ ス の み を 考 慮 し た 時 , STA が セ ル 端 か ら 送 信 す る 場 合 の 送 信電力とし,次式のように表される. P((mTx,u)) N 1 2 2 α target (12) 3. マ ル チ チ ャ ネ ル ア ク セ ス に お け る AP-STA 間 距離に基づく使用チャネル選択 CS-DCA を 用 い る 無 線 LAN に お け る マ ル チ チ ャ ネ ル ア ク セ ス で は , 各 AP が 保 持 し て い る チ ャ ネ ル 優 先 度 テ ー ブ ル を 利 用 し て ,セ ル 内 の 複 数 STA へ の チ ャ ネ ル 割 当 て を 行 う .AP は 通 信 開 始 時 ( 第 0 タ イ ム ス ロ ッ ト ) に 各 STA が ど の 優 先 度 の チ ャ ネ ル を 使 用 す る か を 決 定し,チャネルの優先度が更新される度にビーコン信 号 で 各 STA に 使 用 チ ャ ネ ル の 変 更 を 通 知 す る .各 STA は AP か ら 通 知 さ れ た チ ャ ネ ル を 用 い て 通 信 を 行 う . 通 信 開 始 時 に 定 め ら れ た 各 STA が 使 用 す る チ ャ ネ ル の優先度はタイムスロット間で変化しないものとする. 本稿では,マルチチャネルアクセス時のチャネル割 当 て に , AP-STA 間 距 離 に 基 づ く 使 用 チ ャ ネ ル 選 択 を 適用する.概念図を図 3 に示す. 規 範 ① : AP-STA 間 距 離 が 遠 い STA か ら 優 先 度 が 高 い チャネルを割当てる 規 範 ② : AP-STA 間 距 離 が 近 い STA か ら 優 先 度 が 高 い チャネルを割当てる 規 範 ① を 用 い た 場 合 , CCI の 影 響 が 強 い セ ル 端 の STA に 優 先 度 の 高 い チ ャ ネ ル を 割 当 て る . 自 AP か ら 遠 い 位 置 に あ る 自 STA は 他 AP へ よ り 強 い 干 渉 を 与 え るため,受干渉の小さいチャネルを割当てることで与 干渉の影響を抑えられると考えられる. 一 方 , 規 範 ② を 用 い た 場 合 に は セ ル 中 央 付 近 の STA に よ り 優 先 度 の 高 い チ ャ ネ ル を 割 当 て る . 他 AP へ の 与 干 渉 に 強 い 影 響 を 与 え る セ ル 端 の STA に 優 先 度 の 低 い チ ャ ネ ル を 割 当 て る た め ,セ ル 端 の 自 STA に よ る 他 AP へ の 与 干 渉 の 影 響 が 強 ま る 可 能 性 が あ る . 本稿では,上記 2 つの使用チャネル選択規範につい 高 規範①: AP‐STA間距離が遠いSTAから優先度が 高いチャネルを割り当てる #u=1 優先度 CH0 て , 受 信 SNR に 基 づ く 低 速 TPC の 適 用 に よ る 影 響 も 含め検討を行う. 4. 計 算 機 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 計算機シミュレーション諸元を表 1 に示す.総チャ ネ ル 数 を N ch =4 と す る .各 セ ル に U 個 の STA が 一 様 分 布 で 発 生 し , 各 STA は タ イ ム ス ロ ッ ト 毎 に 通 信 確 率 p=1 で パ ケ ッ ト を 送 信 す る も の と す る . ま た , 本 稿 で はタイムスロット毎にパスロスとシャドウイングが変 化せず,フェージングのみが変化する準静止環境を想 定 す る . 各 AP は タ イ ム ス ロ ッ ト ご と に CCI 電 力 を 測 定 し ,CCI テ ー ブ ル と 各 STA の 使 用 チ ャ ネ ル を 更 新 す る.本稿では上りリンク伝送を対象とし,チャネルは 周波数選択性ブロックレイリーフェージングを仮定す る . 一 次 フ ィ ル タ に お け る 忘 却 係 数 β は , U=1 の 場 合 に お い て 安 定 度 が 高 く , CCI 低 減 効 果 が 十 分 に 得 ら れ る β=0.99 と し て い る [5] . TPC に お け る 目 標 SNR は , U=1 の 場 合 に お い て 十 分 に SINR 改 善 効 果 の 得 ら れ る Γ t ar get =30(dB) と し [7] ,各 STA に お け る チ ャ ネ ル の 電 波 減 衰 量 の 推 定 は 理 想 と し て い る . ま た 本 稿 で は , TPC の際に最大送信電力の制限は考慮していない. 4.1. AP-STA 間 距 離 に基 づくチャネル選 択 規 範 の 影響 マ ル チ チ ャ ネ ル ア ク セ ス に AP-STA 間 距 離 に 基 づ く チャネル選択を適用した場合について,各優先度の SINR の 累 積 分 布 関 数 (CDF) を 図 4 に 示 す .比 較 の た め , チ ャ ネ ル 選 択 を 行 わ ず ,ラ ン ダ ム に STA へ チ ャ ネ ル を 割当てた場合の結果を併記する.また,ここでは低速 TPC を 適 用 せ ず ,選 択 規 範 の み の 影 響 に つ い て 検 討 を 行 っ て い る .CS-DCA の 初 期 配 置 は ラ ン ダ ム 配 置 と し , 十分時間が経過した後での配置で瞬時ブロック平均 SINR を 測 定 し た . 図 4 より,規範①を用いた場合には,ランダムに割 当 て た 場 合 と 比 較 し て ,優 先 度 の 高 い チ ャ ネ ル の SINR が劣化し,優先度が低くなるにつれて向上しているこ と が 分 か る . ま た , 優 先 度 が 低 い チ ャ ネ ル 程 SINR が よ い こ と が 分 か る . CDF1% を 与 え る SINR で 比 較 す る と , 例 え ば U=3 の 場 合 , 優 先 度 1 位 の チ ャ ネ ル で 約 1.1dB 劣 化 , 2 位 の チ ャ ネ ル で 約 1.7dB 改 善 , 3 位 の チ 表 1 System Fading type Power delay profile Channel AP CH1 CH2 低 図3 CH3 #u=0 規範②: AP‐STA間距離が近いSTAから優先度が 高いチャネルを割り当てる AP-STA 間 距 離 に 基 づ く 使 用 チ ャ ネ ル 選 択 (U=2) 計算機シミュレーション諸元 No. of channels No. of STAs per cell Transmission probability Target SNR CS-DCA N c h =4 U=2, 3, 4 p=1.0 Γ t a r g e t =30 (dB) Frequency-selective block Rayleigh L=16-path uniform power delay profile Time delay τ (ml ), ( m ,u ) l (l=0~L 1) Pass loss exponent Shadowing loss standard deviation Forgetting factor of first order filtering CCI power measurement α σ=0 (dB) β=0.99 Ideal 1.0E+00 1st 2nd CDF Priority Random w/ criterion ① ② 1.0E-01 Nch=4 U=2 β=0.99 w/o TPC Γtarget=30 (dB) 1.0E-02 0 5 10 15 SINR (dB) (a) U=2 1.0E+00 1st 2nd 3rd CDF Priority 4.2. 低 速 TPC の影 響 Random w/ criterion ① ② 1.0E-01 Nch=4 U=3 β=0.99 w/o TPC Γtarget=30 (dB) 1.0E-02 -5 0 5 10 SINR (dB) (b) U=3 1.0E+00 1st 2nd 3rd 4th CDF Priority Random w/ criterion ① ② 1.0E-01 Nch=4 U=4 β=0.99 w/o TPC Γtarget=30 (dB) 1.0E-02 -10 -5 0 5 10 SINR (dB) 図4 SINR が 劣 化 す る た め で あ る と 考 え ら れ る . 規 範 ② を 用 い た 場 合 , 高 優 先 度 の チ ャ ネ ル の SINR がより改善するが,低優先度のチャネルにおいては SINR が 極 端 に 劣 化 す る 傾 向 が 図 4 よ り 見 ら れ る .一 方 , 規 範 ① を 用 い た 場 合 , 最 も SINR が 悪 い STA で あ っ て も , ラ ン ダ ム 割 当 て と 比 較 し て CDF 低 値 に お け る SINR を 改 善 で き て い る . 従 っ て , 同 時 通 信 STA 全 体 の SINR 向 上 を 目 的 と し た 場 合 に は , 規 範 ① が 適 し て いると考えられる.一方,優先度が高いチャネルで通 信 を 行 っ て い る STA へ の 影 響 を 抑 え つ つ ,低 優 先 度 の チャネルを使用したマルチチャネルアクセスを行う場 合には,規範②が適していると考えられる. (c) U=4 SINR 分 布 の チ ャ ネ ル 選 択 規 範 に よ る 比 較 ( 低 速 TPC な し ) ャ ネ ル で 約 4.4dB 改 善 し て い る . こ の よ う な 傾 向 に な る の は , TPC を 行 っ て い な い た め , 特 に セ ル 中 央 付 近 の STA に お い て 干 渉 よ り も 受 信 信 号 電 力 増 大 の 影 響 が強く見えるためであると考えられる. 一方,規範②を用いた場合,ランダムに割当てた場 合 と 比 較 し て 優 先 度 の 高 い チ ャ ネ ル の SINR が よ り 向 上し,優先度が低いチャネルでは極端に劣化している こ と が 分 か る . CDF1% を 与 え る SINR で 比 較 す る と , 例 え ば U=3 の 場 合 で は , 優 先 度 1 位 の チ ャ ネ ル で 約 4dB 改 善 ,2 位 の チ ャ ネ ル で 約 1.3dB 改 善 ,3 位 の チ ャ ネ ル で 約 1.1dB 劣 化 し て い る . こ れ は , セ ル 中 央 付 近 の STA に 干 渉 の 小 さ い チ ャ ネ ル を 割 当 て る た め ,セ ル 中 央 付 近 の STA で は よ り SINR が 向 上 し , 逆 に セ ル 端 の STA で は 信 号 電 力 の 落 ち 込 み と 干 渉 の 増 大 に よ り マ ル チ チ ャ ネ ル ア ク セ ス に AP-STA 間 距 離 に 基 づ く チ ャ ネ ル 選 択 を 適 用 し た 場 合 に つ い て , TPC を 行 っ た 場 合 の 各 STA の SINR の CDF を 図 5 に 示 す .比 較 の た め ,図 4 中 の チ ャ ネ ル 選 択 と TPC を 行 わ な い 場 合 の 結 果 を 併 記 す る . CS-DCA の 初 期 配 置 は ラ ン ダ ム 配 置 と し,十分時間が経過した後での配置で瞬時ブロック平 均 SINR を 測 定 し た . 図 5 よ り , TPC を 用 い る こ と で CDF 低 値 に お け る SINR を 改 善 で き て い る こ と が 分 か る . こ れ は , TPC により過分な送信電力を抑えているためである.規範 ① を 用 い た 場 合 , TPC を 用 い ず 選 択 規 範 の み 用 い た 場 合 で は , 優 先 度 が 低 い チ ャ ネ ル 程 SINR が よ く な っ て い た が , TPC を 併 用 す る 場 合 で は 逆 に 優 先 度 が 高 い チ ャ ネ ル 程 SINR が よ く な っ て い る こ と が 図 5 よ り 分 か る .こ れ は ,TPC に よ っ て 受 信 信 号 電 力 が 目 標 SNR に な る よ う 制 御 さ れ る た め , SINR に お い て CCI に よ る 影響が支配的になるためである.また,全優先度で, 選 択 規 範 ① を 用 い た 場 合 の SINR が ラ ン ダ ム 割 当 て と 比 較 し て 向 上 し て い る こ と が 分 か る .例 え ば U=3 の 場 合 に お い て , CDF1% を 与 え る SINR で 見 る と , ラ ン ダ ム 割 当 て と 比 較 し ,優 先 度 1 位 の チ ャ ネ ル は 約 1.5dB , 2 位 の チ ャ ネ ル は 約 1dB ,3 位 の チ ャ ネ ル は 約 0.4dB 改 善している. 一 方 , 規 範 ② を 用 い た 場 合 , U=2 に お い て は , 選 択 規範を用いない場合と比較し全優先度のチャネルにお い て SINR が 劣 化 し て い る こ と が 分 か る . TPC を 用 い た 場 合 ,受 信 信 号 電 力 は 補 償 さ れ る た め ,AP が 受 け る 干 渉 が SINR に 大 き く 影 響 す る . 規 範 ② を 用 い た 場 合 は,他セルへの与干渉に大きく影響を与えるセル端の STA に 優 先 度 の 低 い ( す な わ ち 周 辺 AP に 与 え る 干 渉 の 大 き い ) チ ャ ネ ル を 割 当 て る た め , セ ル 端 の STA が 周 辺 AP に 与 え る 干 渉 の 影 響 が 大 き く な り ,SINR が 全 体 的に劣化したものと考えられる. STA 数 U が 3 , 4 と 増 加 す る と , TPC な し の 場 合 と 同 様 に ,規 範 ② を 用 い た 場 合 に 低 優 先 度 (U=3 の 場 合 に は 2 位 以 下 , U=4 の 場 合 に は 3 位 以 下 ) の チ ャ ネ ル の SINR が 劣 化 し ,規 範 ① を 用 い た 場 合 に は チ ャ ネ ル 選 択 規範を用いない場合と比較して全優先度で同等以上の 1.0E+00 1st 2nd CDF Priority Random w/ criterion ① ② 1.0E-01 Random w/o TPC Nch=4 U=2 β=0.99 w/ TPC Γtarget=30 (dB) 1.0E-02 0 5 10 15 SINR (dB) (a) U=2 1.0E+00 1st 2nd 3rd CDF Priority 謝辞 Random w/ criterion ① ② 1.0E-01 Nch=4 U=3 β=0.99 w/ TPC Γtarget=30 (dB) Random w/o TPC 1.0E-02 -5 0 5 10 SINR (dB) (b) U=3 1.0E+00 CDF Priority 1st 2nd 3rd 4th Random w/ criterion ① ② 1.0E-01 Random w/o TPC w/ TPC Nch =4 1.0E-02 0 β=0.99 Γ target =30 (dB) U=4 -5 5 10 SINR (dB) 図5 ャ ネ ル を 割 当 て る た め , セ ル 端 の STA の SINR を 向 上 で き ,ま た 受 干 渉 の 小 さ い チ ャ ネ ル を AP か ら 遠 い STA に 割 当 て る こ と で 周 辺 AP に 与 え る 干 渉 の 影 響 を 抑 え ら れ る .規 範 ② を 用 い た 場 合 に は ,セ ル 中 央 付 近 の STA の SINR を よ り 向 上 で き る も の の , 他 セ ル へ の 与 干 渉 に 大 き な 影 響 を 与 え る セ ル 端 の STA に 優 先 度 の 低 い ( 周 辺 AP に 与 え る 干 渉 の 大 き い ) チ ャ ネ ル を 割 当 て る た め , セ ル 端 の STA が 周 辺 AP に 与 え る 干 渉 の 影 響 が 強まる.計算機シミュレーションより,規範①を用い た場合には,チャネル選択規範を用いない場合と比較 し て , 同 時 通 信 STA 全 体 で 同 等 以 上 の SINR を 達 成 で き,規範②を用いた場合には高優先度のチャネルでは SINR を よ り 改 善 で き る が , 低 優 先 度 の チ ャ ネ ル で は SINR が 極 端 に 劣 化 す る こ と を 明 ら か に し た . (c) U=4 SINR 分 布 の チ ャ ネ ル 選 択 規 範 に よ る 比 較 ( 低 速 TPC あ り ) SINR を 達 成 で き る . 以 上 よ り , チ ャ ネ ル 選 択 規 範 と TPC を 併 用 す る 場 合 , U=2 の 場 合 に は 規 範 ① を 用 い , STA 数 が よ り 増 加 し た 場 合 に は ,同 時 通 信 STA 全 体 の SINR 向 上 が 目 的 な ら ば 規 範 ① ,優 先 度 が 高 い チ ャ ネ ル を 用 い て 通 信 し て い る STA へ の 影 響 を 抑 え る の が 目 的ならば規範②を用いるのが適していると考えられる. 5. ま と め 本 稿 で は , CS-DCA に 基 づ く マ ル チ チ ャ ネ ル ア ク セ ス を 用 い る 無 線 LAN に お い て ,AP-STA 間 距 離 に 基 づ く 使 用 チ ャ ネ ル 選 択 規 範 を 導 入 し た . AP-STA 間 距 離 が 遠 い STA か ら 優 先 度 が 高 い チ ャ ネ ル を 割 当 て る 規 範 ① を 用 い た 場 合 ,CCI の 影 響 が 強 い セ ル 端 の STA に よ り 優 先 度 の 高 い ( 周 辺 AP に 与 え る 干 渉 の 小 さ い ) チ 本報告は,総務省の「情報通信ネットワークの耐災 害 性 強 化 の た め の 研 究 開 発 」( 平 成 23 年 度 補 正 予 算 ( 第 3 号 )) に よ る 委 託 を 受 け て 実 施 し た 研 究 開 発 に よ る 成 果である. 文 [1] 献 守 倉 正 博 , 久 保 田 周 治 , “ 改 訂 三 版 802.11 高 速 無 線 LAN 教 科 書 ,” 4 章 , イ ン プ レ ス R&D, 2008 . [2] B. A. Hirantha Sithira Abeysekera, 石 原 浩 一 , 井 上 保 彦 ,市 川 武 男 ,熊 谷 智 明 ,溝 口 匡 人 , “IEEE802.11 無 線 LAN に お け る マ ス タ ・ ス レ ー ブ 型 チ ャ ネ ル 選 択 法 の 提 案 ,” 電 子 情 報 通 信 学 会 総 合 大 会 , B-5-121, 2012 年 3 月 [3] Y. Furuya and Y. Akaiwa, “Channel segregation, a distributed adaptive channel assignment scheme for mobile communication systems,” IEICE Trans. Communications, Vol. E74-B, No. 6, pp. 1531-1537, June 1991. [4] R. Matsukawa, T. Obara, and F. Adachi, “A dynamic channel assignment scheme for distributed antenna networks,” Proc. IEEE 75th Vehicular Technology Conference, May 2012. [5] Y. Matsumura, S. Kumagai, T. Obara, T. Yamamoto, and F. Adachi, “Channel Segregation Based Dynamic Channel Assignment for WLAN,” 2012 IEEE The 13th International Conference on Communication Systems, Singapore, 21-23 Nov. 2012. [6] 天 間 克 宏 , 松 村 祐 輝 , 小 原 辰 徳 , 山 本 哲 矢 , 石 原 浩一,ヒランタ アベーセーカラ,熊谷智明,安 達 文 幸 , “チ ャ ネ ル 棲 み 分 け に 基 づ く 動 的 チ ャ ネ ル 配 置 を 用 い た 無 線 LAN に お け る マ ル チ チ ャ ネ ル ア ク セ ス に 関 す る 一 検 討 ,” 信 学 技 報 , RCS2012-181, pp. 121-126, 2012 年 11 月 [7] 松 村 祐 輝 , 天 間 克 宏 , 小 原 辰 徳 , 山 本 哲 矢 , 石 原 浩一,ヒランタ アベーセーカラ,熊谷智明,安 達 文 幸 , “チ ャ ネ ル 棲 み 分 け に 基 づ く 動 的 チ ャ ネ ル 配 置 を 用 い た 無 線 LAN に お け る 送 信 電 力 制 御 の 効 果 に 関 す る 一 検 討 ,” 信 学 技 報 , RCS2012-151, pp. 149-154, 2012 年 10 月 [8] R. V. Nee and R. Prasad, OFDM for Wireless Multimedia Communications, Artech House, 2000. [9] J. G. Proakis, Digital communications, 4th ed., McGraw-Hill, 2001.