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こうして研修はつくられています!~研修を支える人々~(PDF

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こうして研修はつくられています!~研修を支える人々~(PDF
こうして研修はつ くられています! ∼研修を支える人々∼
特集
ニッポンで学ぶ
日本に来て多くのことを学んでもらいたい 。年間 約1,400コース実施されているJ
ICAの研修は、
その一つ一つがさまざまな人々 に支えられて成り立っている。
コースリーダー※
誰もが効果的に学べる研修を
JICA職員
JICA東北総務課
慶應義塾大学総合政策学部教授
花田光世さん
地域の人とともに取り組む
J
ICA東京が実施している課題別研修「人材
鈴木智良さん
育成プログラム運営」のコースリーダーをし
研
修員受入事業は、全国17カ所にあるJICA
の国 内 機 関が 中 心となって実 施していま
ています。この研修のポイントは、
日本が戦後どのよ
す。私たち担当職員の役割は、
まずは開発途上国
うな過程を経て産業を立て直し、生産性を高めてき
が直面している課題を洗い出すこと。その上で、
日
たのかを学ぶこと。政府機関や企業で産業教育や
本国内で実施できる研修を企画・立案していきま
人材育成に携わる方が全世界から参加するので、
す。東北地方は農業が盛んなので特に力を入れて
出身国にかかわらず、誰もが効果的に学べる内容
になるよう心掛けています。また、単に「日本人は働
「人材育成プログラム運営」の研修員と花田さん
(前列右
から3番目)
いますが、
どの研修も「地域の方と一体になってや
っている」
という感覚。実施機関から地域のボラン
岩手県紫波町で行われた都市開発の研修に同行する鈴木
職員
(右から3人目)
き者だ」
というのではなく、
「働きやすくなるような環
をくんで本当に手厚く迎えてくださいます。私が大切
ティアまで、多くの人に支えられています。研修の空
境づくり」に取り組んできたことを知ってほしい。室
にしているのは
“mission( 使命)
“passion
”
( 情熱)
”
き時間には、研修員の国の状況を市民の方々に話
熱意が伝わっているんでしょうね。人材育成は時間
内の講義だけでなく、実際に
“現場”
に出て、
日本人
“commitment(責任)”
の3つ。研修を通じて、小さ
してもらうなど、地域に還元するイベントなども開催し
がかかる仕事ですが、長い目で見ると途上国を支え
が働く姿、
「 人間力」
を見てもらうようにしています。
なことでもいいので何かを感じ取って帰ってほしいと
ています。いつも驚くのは、研修員の目つきや姿勢
る大きな力になる。彼らは、将来きっと日本の良き理
受け入れ先の企業の方々も、
こちらの研修の意図
思っています。 がどんどん変わっていくこと。きっと、受け入れ側の
解者になってくれると期待しています。
※研修の企画から実施まで、
全体を取りまとめる各分野の専門家。
離島医療の原点に返る
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研修受入機関
鹿児島県薩摩川内市
下甑手打診療所所長
年ほど前から、離島医療などを学びにきた研
修員を受け入れています。JICAの研修の強
瀬戸上健二郎さん
みは、何よりも日本の
“現場”
が体験できること。私の
異国での不安を取り除きたい
2
研修監理員※
修で、
ダリ語の通訳や研修全体の監理をし
ています。20年前に来日したころの自分を思い出し
ながら、研修員の不安を少しでも取り除けるよう、一
診療所でも、患者さんの血圧を測ったり、一緒に訪
問診療や往診をしたりと、
とにかく実務にかかわって
人一人にきめ細やかな配慮をしています。アフガニ
もらうようにしています。離島医療に携わる研修員た
スタンは今、
まさに戦後復興の真っただ中にありま
ちにとって、
日本の離島に住む人たちとの触れ合い
こそが大きな財産になるからです。逆に、彼らから学
アマディヤール
治春さん
003年からアフガニスタン人が参加する研
「Dr.コトー診療所」のモデルにもなった瀬戸上さん
(中央)。
インドネシア、
フィリピンの研修員、診療所のスタッフと
す。研修を通して、戦後半世紀以上かけて発展して
きた日本の様子を肌で感じ、学んだことを持ち帰っ
農業研修で、
自ら田んぼに入って通訳をするアマディヤール
さん
(右)
ぶこともたくさんあります。胃ガンの患者さんを診察
恵まれているのだと気が引き締まります。また、
日本
て役立ててほしい。でも、現在の日本とアフガニスタ
内容になるようアドバイスをしています。アフガニス
している時、
ある研修員が言ったんです。
「私たちに
の離島医師がどのような生活を送っているかを見て
ンとでは状況が大きく異なるので、研修で得たヒント
タンがさまざまな国から支援を受ける中で、日本の
“顔”
の見える支援には本当に感謝しています。研
はスキャンの機械なんてない。手で触って診断する
もらうため、私の家に招待して夕食を振る舞ったりも
を自分の国で応用する方法を彼ら自身で見つけられ
しかない」
と。昔は、私も触診の医学書を片手に診
します。彼らとの出会いは、私にとって医療の原点
るよう、
日本側からの
“伝え方”
には気を配ります。ま
修監理員の仕事をすることで、
日本にも母国にも、
察をしていました。同じ離島でも今の日本は本当に
に返るきっかけになっています。
たアクションプランも
“理想”
ではなく
“現実”
に即した
何か恩返しができると信じています。
※研修中の通訳や調整業務などを担当するスタッフ。
受け入れ地域の人々
着物を通じて地域との交流を
芽室町国際交流協会(北海道河西郡)事務局長
横溝真佐子さん
5
研修監理員※
ワシントン寿代さん
年前から、JICA帯広の研修員を対象に「き
ものパーティー」
を実施しています。きっかけ
メリカ在住ですが、1年の3分の1は日本に
戻り、2∼3コースの研修監理員をしていま
す。研修監理員は、分かりやすく言うと、研修を通じ
が「着物を着てみたい」
と言ったこと。帯広市には
て有意義な成果が得られるよう、
さまざまな面で研
たくさんのJICA研修員がいるので、着物を通じた
修員をサポートする存在。研修に専念できるよう、食
期は毎年7月。英語で七夕の説明をし、地元の民
謡会の演奏を聞いてもらったり、皆で「北海盆歌」
October 2009
ア
は、帯広畜産大学で研究員をしていたタイの友人
異文化交流ができればと思い始めました。実施時
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有意義な研修になる工夫を
事や健康管理にも配慮しますし、通訳をする時は、
今年7月に実施されたきものパーティーに参加する横溝さん
(2列目右)
共通言語が英語でもそれが母国語でない人がほと
んどなので、講師の方の話をどれくらいのスピード
研修員に付きっきりで通訳するワシントンさん
(左から2人
目)
。長い研修は1カ月以上に及ぶこともある
を踊ったりします。外国人と接する機会が少ない芽
すよ。事前準備など大変なこともありますが、参加者
で、
どうかみくだいて訳すかには、
とにかく気を遣いま
室町ですが、小さな国際交流の場になっています。
の笑顔を見るとやっていてよかったと思います。日本
す。それから、研修員がどのくらい講師の方の話を理
れるときには、補足説明をお願いしたりもします。ま
好きな着物と帯を選んでもらうのですが、
自分に似
に来たからには、
日本文化を体験してほしいし、
日本
解できているかにも常に気を配ります。日本と彼らの
た、研修員と講師が双方向でスムーズに情報交換
合う柄を真剣に選ぶ姿は印象的です。皆さん日本
人の友達を作ってほしい。これからもそのお手伝い
国の状況が異なっていたり、
日本独自の事情が背
をすることができるよう、研修員が質問しやすい環境
人と同じように着こなしていて、本当に素敵なんで
ができればうれしいです。
景にあることで意図が正しく伝わっていないと思わ
を作ることも大切だと思っています。
October 2009
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