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諸外国における山百合を通じた地域活動・交流活動を行っている地域・団体の事例

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諸外国における山百合を通じた地域活動・交流活動を行っている地域・団体の事例
海外調査依頼内容
1
回答日:平成 25 年1月 21 日
2
依頼者名:茨城県支部
3
調査依頼事項:諸外国における山百合を通じた地域活動・交流活動を行っている地域・
団体の事例及び行方市内の地域団体との交流可能性に関する調査
4
調査対象国又は対象地域等:イギリス、アイルランド、ドイツ、オーストリア、
スウェーデン、フランス
5
調査の趣旨(調査結果の利用目的・時期を含め具体的に):
茨城県行方市内の地域団体「井上山百合の会」は、山百合の保護活動を通じて市の
地域振興等に貢献している。同団体が活動の範囲を海外との交流に広げることを計画
しているのに当たって、海外でユリ等を通じた地域活動を実施している地域・団体に
ついて把握し、民間団体同士の交流に繋げる。
6
調査内容
(1)ユリによる観光まちづくりを行っている地域はありますか。
ある場合には、その事例について教えて下さい。
(2)ユリの自生地を保全するためどういった活動が行われていますか。
(3)ユリを保護・育成していて、ユリを通じた国際交流をしている団体や希望して
いる団体はありますか。ある場合には、団体の情報や活動内容を教えて下さい。
【ロンドン事務所】
別添1「質問事項」
1.ユリによる観光まちづくりを行っている地域はありますか。
ある場合には、その事例について教えて下さい。
英国
英国には純粋な野生のユリはありません。「スネークヘッドフリティラリー」
(snake’s head fritillary/fritillaria meleagris)という、ユリの一種である植
物がヨーロッパ原産ですが、野生ではあまり存在していません。庭に植える植
物としては一般的な植物です。
英国内には、スネークヘッドフリティラリーが群生し、その開花時期の風景
が観光名所となっている地域がいくつかありますので、ご紹介します。
■オックスフォードシャー(Oxfordshire)・・・
2002 年には「プラントライフ(Plantlife)
」というチャリティー団体が実施
した市民投票においてオックスフォードシャー・カウンティ(Oxfordshire
County:日本でいえば県に近い広域自治体)のカウンティ花としてフリティラ
リーが選ばれました。しかし、公式認定ではなく、カウンティとして公式に使
うような動きはありません。1
1)
マグダレン大学(Magdalen College)の牧草地
マグダレン大学の三角牧草地は大学の校舎のすぐ隣に位置し、歩行者道路
で区切られています。大学に入れる時間は決まっており、入場料が必要です。
春に咲くフリティラリーは見どころとして紹介され、大学全体の見学ツアー
の一部とされています。
(参考)
マグダレン大学見学ツアーについて
http://oxford.openguides.org/wiki/?Magdalen_College
2) イフレー牧草地自然保護区(Iffley Meadows Nature Reserve)(オックス
フォード市)
イフレー牧草地は自然保護区で、バークス・バックス・オクソン 野生生物
トラスト(Berks, Bucks and Oxon Wildlife Trust)によって管理されていま
す。この野生生物トラストはバークシャー(Berkshire)、バッキンガムシャ
ー(Buckinghamshire)、オックスフォードシャー(Oxfordshire)の3つの
1
英国の地方自治の仕組みについては、当事務所ホームページ『英国の地方自治』をご参
照ください。
エリアを管轄しており、英国内に 47 ある野生生物トラストうちの1つです。
(参考)
バークス・バックス・オクソン 野生生物トラストについて
http://www.bbowt.org.uk/who-we-are
イフレー牧草地について(上記野生生物トラストウェブサイトより)
http://www.bbowt.org.uk/reserves/Iffley-Meadows
3) ダックリントン村(village of Ducklington)(西オックスフォードシャー・
ディストリクト・カウンシル(West Oxfordshire District Council).)
ダックリントン村は西オックスフォードシャーディストリクトカウンシル
(日本でいうと市町村の近い基礎自治体)の中のパリッシュ(日本でいうと
地域自治区に近い)です。この村の牧草地のすぐ隣に位置する聖バーソロミ
ュー教会(St. Bartholomew’s Church)において、観光客誘致のために年に
1度「フリティラリーの日曜日(Fritillary Sunday)」というイベントが開催
されています。収益は同教会に寄付されています。
(参考)
「フリティラリーの日曜日」について
http://www.witney.net/fritillary.htm
■ウィルツシャー(Wiltshire)・・・
北 部 牧 草 地 ク リ ッ ク レ ー ド 国 立 自 然 保 護 区 ( North Meadow, Cricklade
National Nature Reserve)
スネークヘッドフリティラリーの単独生息地としてはイングランドで最大の
場所であり、国立自然保護区(National Nature Reserve (NNR))であると同
時に、特別保全エリア(Special Area of Conservation (SAC))に指定されてい
ます。
この保護区は「ナチュラル・イングランド2」とクリックレード町(人口約
4000 人。日本でいうと地域自治区に近い。行政区としてはウィルツシャー・ユ
ニタリー・カウンシル)の人々によって管理されています。
特に、「クリックレード花咲かせ隊(Cricklade bloomers)」(「花ざかりの英
国(Britain in Bloom)
」グループの地域支部)と、
「コートリート(Court Leet)」
(選抜された人々がコミュニティサービスを提供する歴史的な仕組み)の人々
が、特にこの分野では活発に活動しています。
またこの取り組みには、環境庁(公的組織)やその他の半公的なボランティ
ア団体により構成されている「洪水平原牧草地パートナーシップ(Floodplain
2
イングランド地域の自然保護について英国政府にアドバイスする組織。主な運営費は英
国環境省からの補助金。
Meadows Partnership)」も関わっています。
(参考)
北部牧草地クリックレード国立自然保護区について(ナチュラル・イングラ
ンドウェブサイトより)
http://www.naturalengland.org.uk/ourwork/conservation/designation
s/nnr/1006112.aspx
クリックレード国立自然保護区について
http://www.crickladeinbloom.co.uk/north_meadow.html
「洪水平原牧草地パートナーシップ」ウェブサイト
http://www.floodplainmeadows.org.uk/content/steering-group
■サフォーク(Suffolk)・・・
ミックフィールド自然保護区(Mickfield Nature Reserve)
この地域は科学的に重要性の高いエリア(site of special scientific interest
(SSSI))として認定されており、サフォーク野生生物トラスト(Suffolk Wildlife
Trust)によって管理されています。
(参考)
ミックフィールド自然保護区について(サフォーク野生生物トラストウェ
ブサイトより)
http://www.suffolkwildlifetrust.org/reserves-and-visitor-centres/mickf
ield-meadow/
■スタフォードシャー(Staffordshire)・・・
モッティ牧草地国立自然保護区(Mottey Meadows National Nature Reserve)
英国におけるフリティラリー群生地の北限です。
「ナチュラル・イングランド
(Natural England)」と「モッティ牧草地の友人グループ(Friends of Mottey
Meadows Group)」によって管理されています。
(参考)
モッティ牧草地国立自然保護区について(ナチュラル・イングランドウェブ
サイトより)
http://www.floodplainmeadows.org.uk/files/floodplain/Staffordshire%
20NNR%20Poster%202011.pdf
「モッティ牧草地の友人グループ」ウェブサイト
http://www.friendsofmotteymeadows.org.uk/
アイルランド
アイルランドには野生のユリに類する種類の植物はほとんどありません。し
かしながら、南フランスかスペインから持ち込まれたとみられるケリーリリー
(Kerry Lily/Simethis mattiazzii, liliaceae)という植物があり、アイルラン
ド南部のケリー・カウンティ(County Kerry)でのみ生息しています。
このユリは 1999 年 Flora 規則によって保護されており、花を切ること、根
を掘り上げること、どのような方法であってもこの植物を傷つけること、販売
することは違法となります。この禁止は種の販売にも適用されます。また、い
かなる方法によっても、この生息地を変化させたり、傷つけたり、荒らしたり
することも違法です。この禁止は自然保全区であるか否かを問わず、この植物
が見つけられた場合には、どの場所にも適用されます。
インターネットの調査では、このユリまたはほかの花に関しても、アイルラ
ンドでの保全と、それを観光振興に結び付ける住民の取り組みは、見つかりま
せんでした。
(参考)
ケリーリリーについて(アイルランドの野草ウェブサイトより)
http://www.wildflowersofireland.net/plant_detail.php?id_flower=152&wil
dflower=Lily
ドイツ
ドイツ原産のユリ科の植物はいくつか存在します。純粋なユリに類する植物
と言うことでは、タークスキャップリリー(Turk’s cap lily/Türkenbundlilie)
というユリと、ファイヤーリリー、別名オレンジリリー(fire lily, orange lily
/Feuerlilie)とも呼ばれるユリがあります。
(参考)
タークスキャップリリーについて(ドイツ語)
http://www.botanik-bochum.de/html/pflanzenbilder/Lilium_martagon.htm
また、英国でスネークヘッドフリティラリーというユリの一種があると書き
ましたが、この品種はドイツにも生息し、「シャハブルーメ(Schachblume)」
( ド イ ツ 語 で チ ェ ス の 花 と い う 意 味 )「 シ ャ ハ ブ レ ッ ト ブ ル ー メ
(Schachbrettblume)」
(ドイツ語でチェス盤の花という意味)という名前で呼
ばれています。
これらの花はすべて保全されています。これらの生息地の違いや生長パター
ンの違いもあり、純粋なユリに近い植物のほとんどは、保存対象とされるべき
と認識されており、その生息地を特別保護し、開発を防ぐべきだと認識されて
います。
分かりやすい例を1つ紹介します。タークスキャップリリーが生息している、
ノルトライン・ウェストファーレン州(North-Rhine Westphalia)にあるワー
ル ス タ イ ン 市 ( city of Warstein )( 人 口 約 27,000 人 ) の オ ベ ハ ー ゲ ン
(Oberhagen)と呼ばれる元石切り場に隣接した地域の開発について、議論が起
きています。いくつもの環境保全団体によって、タークスキャップリリーとフ
ァイヤーリリーを含む貴重な植物の生息地であるこの地域の保護運動が、ドイ
ツ中で巻き起っているのです。しかしこれは、ユリだけに焦点を当てた運動で
はありません。
(参考)
オベハーゲンの環境保護運動について(ドイツ語)
http://www.initiative-oberhagen.de/Index.htm
ただし、フリティラリーについては少し状況は違っています。この花は特殊
な環境を必要とし、また群生する植物であることから満開の時期には観光客を
ひきつける名所になります。ですので、この花を、地域の知名度向上や観光誘
致のために用いる活動が見られます。下記に2つの事例を紹介します。
■シングルント(Sinngrund)
シングルンド(シン川沿いの谷)はスペサート森(Spessart)として知られ
るヘッセン州及びバイエルン州を含む自然公園の一部です。
自然公園は人口密度の少ないエリアで、農業や林業、観光業などの人間活動
は自然保護とバランスをとるよう制限されています。
バイエルン州側(1,710 km²に及ぶ広い側)では 1961 年に、ヘッセン州側(730
km²)では 1962 年に自然公園が設立されました。
自然公園の内部の、さらに特定のエリアが自然保護エリアとして保護されて
おり、一切の商業目的の活動が禁止されています。シン川沿いの洪水緩衝地域
である牧草地はこのような自然保護エリアとして位置づけられており、ここに
フリティラリーが生息しています。このエリアはドイツにおける最大のフリテ
ィラリー群生地です。
バイエルン州側の自然公園と自然保護地区は「スペサート森自然公園協会
(Naturpark Spessart)」という組織によって管理されています。この組織は、
この地域の地方自治体(3つの郡、1つの大きな市、79 の小さな市町村)が会
費を支払ってメンバーになっています。会費は人口によって計算されています。
ヘ ッ セ ン 州 側 で も 「 ヘ ッ セ ン の ス ペ サ ー ト 森 目 的 組 合 ( Zweckverband
Hessischer Spessart)」と呼ばれる 14 の市町村から構成される同様の仕組みが
あります。
両地域においては、とくに大型プロジェクトに関しては密接な協力関係があ
り、多くのボランティアがガイドツアーを提供しています。
しかしながら、これらの地域は既に特別に保護されていることから、地域住
民が保護活動や手段に関わっている動きはないようです。
(参考)
スペサート森自然公園協会ウェブサイト(ドイツ語)
http://www.naturpark-spessart.de/wandern/naturerlebnis/sinngrund.php
ヘッセンのスペサート森自然公園ウェブサイト(ドイツ語)
http://www.naturpark-hessischer-spessart.de/infos/infos.php?section=aufga
ben
■北ドイツ(ハンブルク(Hamburg)の近く)エルベ川(river Elbe)沿いの
エリア
ヘットリンゲン町(Hetlingen)(人口 1326 人、ピネベルク郡 County of
Pinneberg、シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州(Schleswig-Holstein)、 ハ
ンブルク近郊の町)には、非常に大きなスネークヘッドフリティラリーの群生
地があります。エルベ川沿いの湿地の牧草地に咲き誇っており、自治体の紋章
に採用されています。
環境保全活動に関わる市民の団体である「ハゼルドルフ湿地地域を守る地域
住民の会(Arbeitsgemeinschaft Haseldorfer Marsch Hetlingen e.V.)」が、この
品種と生息地の保全のために非常に活発に活動しています。
また住民の会は「エルベ川下流の総合ステーション(Integrated Station
Lower Elbe River)」という名称の公的施設と協働しています。この施設は自然
保護、観光振興、自然に優しい農業利用や地域発展を担当している「シュレー
スヴィヒ・ホルシュタイン州(Land Schleswig-Holstein)」により設立された
もので、こういった総合ステーションはシュレースヴィヒ・ホルシュタイン州
において4か所存在しています。
毎年4月末(通常最終日曜日)に、花が最盛期を迎えると「フリティラリー
祭り」が開催され、4000 人ほどの人々が近隣・遠方から訪れるそうです。
「ハゼルドルフ湿地地域を守る地域住民の会」
Arbeitsgemeinschaft Haseldorfer Marsch Hetlingen e.V. (ARGE Haseldorfer
Marsch)
連絡先:ラルフ・ハブナーさん 住所 Blink 40d, D- 25491 Hetlingen
Contact: Mr. Ralf Hübner, Blink 40d, D- 25491 Hetlingen
エルベ川下流の総合ステーション「エルブマルシャンハウス」
Integrierte Station Unterelbe – Elbmarschenhaus
連絡先:事務局長 バーンド・ウルリッチ・ネッズさん
Director: Bernd-Ulrich Netz
住所:Hauptstraße 26
D-25489 Haseldorf
Hauptstraße 26
D-25489 Haseldorf
Tel. +49 4129 - 955 4912
Fax +49 4129 - 955 4920
Email: [email protected]
(参考)
エルブマルシャンハウスウェブサイト(ドイツ語)
http://www.elbmarschenhaus.de/tourismus/naturerlebnis/schachblumen/in
dex.html
フリティラリーについて(エルブマルシャンハウスウェブサイトより)
(ドイ
ツ語)
http://www.elbmarschenhaus.de/downloads/layoutschachblumen.pdf
エルブマルシャンハウスパンフレット(ドイツ語)
http://www.elbmarschenhaus.de/downloads/unterelbe.pdf
オーストリア
オーストリアにおいては、タークスキャップリリー、ファイヤーリリー、フ
リティラリーのいずれもが保護されるべき希少種とされています。
ドイツと同様、純粋なユリに近い種類の植物は「展示される」と言うよりは、
特別に保護された自然保護区における希少種としてリスト化されています。
そして、これらの品種の周辺で活動している特別なグループはないようです。
フリティラリーの生息地としては、東シュタイアーマルク州(Oststeiermark)
のグロスシュタインバッハ(Grosssteinbach)という場所が最もよく知られて
いますが、ルイシング(Luising)
、南ブルゲンラント(southern Burgenland)
のハゲンスドルフ(Hagensdorf)という地域もあります。これらの地域の牧草
地は、フリティラリーがあるがゆえに、保護地域という地位を獲得しています。
しかし、これらの花の保全と花を利用した地域振興のための住民活動グルー
プ は 見 当 た り ま せ ん 。「 オ ー ス ト リ ア 自 然 保 護 連 盟 ( Naturschutzbund
Österreich)」というような一般的な自然愛好家グループが見られるだけとなっ
ています。
(参考)
ブルゲンラントの自然保護地域について(ドイツ語)
http://www.burgenland.at/natur-umwelt/geschuetzte-gebiete/naturschutzge
biete/guessing/656
スウェーデン
スウェーデンにおいてもフリティラリーが生息している地域があります。フ
リティラリーはスウェーデン語で、「Kungsängslilja」(王様の牧草地のユリと
いう意味)と呼ばれています。スウェーデンにおいて最初のフリティラリーが
発見されたのが、ウアプサラ市(Uppsala city)の郊外の王家の牧草地であっ
たことから、この名前がつきました。
「Kungsängslilja」はウップランド州(province of Uppland)の州花となっ
ています。
もう1つの生息地は、ストックホルムの群島のダラロ村(village of Dalarö)
の近くにあるサンデマル(Sandemar)海岸牧草地で、ここは自然保護区とな
っています。
なお、スウェーデンに関しては英語の資料から得られる情報に基づいていま
す。この限りでは住民による花を活かした町づくり等についての情報は見つか
りませんでした。
2.ユリの自生地を保全するためどういった活動が行われていますか。
純粋なユリに近い種類の植物に対してはドイツとオーストラリアにおいて保
護活動があります。住民が開発に反対し、主にロビー活動や、PR 活動を通し
て、より多くの地域が自然保護のための公的な特別保護の地位を獲得できるこ
とを目指しています。
フリティラリーについては以下の通りです。
英国
フリティラリーの生息には特別な管理が必要とされます。
1) この花は定期的に洪水の起きるような湿地で生息します。
2) その土壌においては、土壌改良や施肥をしてはならなりません。
3) その牧草地の牧草は花の最盛期が終わり、種子をつけた後、つまり6月
中旬以降に刈り取られなくてはなりません。
したがって、フリティラリーの生息する牧草地を管理しているすべてのグル
ープはこれらの条件を守っています。
英国では「ナチュラル・イングランド(Natural England、前出)
」が管理し
ている場所では、雇用されたナチュラル・イングランドの職員、もしくは牧草
の刈り取り時期や、家畜に牧草を食べさせる時期について、ガイドラインに従
うことに同意した農家によって、実際の作業が行われています。
ドイツ
全てのフリティラリー生息地において、英国と同様の管理条件が適用されま
す。
その実施のため、2004 年に住民が保護に関わる運動をしたヘットリンゲン町
(Hetlingen)においては、住民がその土地を所有者から借り受けました。そ
して、その土地を、特別の方法で管理することに同意した農家へ、市場価値よ
りも安く貸し出しています。市場価格との差額分は住民グループが負担してい
ることになります。
また、最初の数年は、モグラの穴を平らにする作業を、
「ハゼルドルフ湿地地
域を守る地域住民の会」のメンバーが手作業で行ったそうです。農家が使おう
とした器具が花に傷をつけるものだったためです。しかしながら、花に傷をつ
けない器具に変更されたため、現在ではそのようなことはありません。
「フリティラリー祭り」の開催もまた、地域の人々にこのエリアのことを知
ってもらうための重要な役割を果たしています。
3.ユリを保護・育成していて、ユリを通じた国際交流をしている団体や希望
している団体はありますか。ある場合には、団体の情報や活動内容を教えて
下さい。
フリティラリーに関するいずれのグループも、国際交流に関係しているとこ
ろはありません。彼らの活動は純粋に地元での活動に焦点をあてたものとなっ
ているようです。
科学的な見地から、ドイツ国内のフリティラリーの生息地のいくつかで情報
交換が行われていますが、国境を越えての動きはないようです。
【パリ事務所】
諸外国におけるユリ等を通じた地域活動・交流活動を行っている地域・団体
の事例及び行方市内の地域団体との交流可能性
の事例及び行方市内の地域団体との交流可能性に関する調査
調査の回答
平成
平成25年1月14日
パリ事務所
諸外国における山百合を通じた地域活動・交流活動を行っている地域・団体の事例
及び行方市内の地域団体との交流可能性について下記の通り、回答します。
【フランス】
フランスでは、ユリ(lys)はフランス共和国における王室のシンボル
)はフランス共和国における王室のシンボルです
です。伝説による
と、クローヴィス(メロヴィング朝)がフランスの王家の紋章として使用したのが始まり
とされています。フルール・ド・リス
フルール・ド・リス(La fleur de lys)と呼ばれ、フランスのみならず、
と呼ばれ、フランスのみならず、
ヨーロッパで軍隊の記章や旗などに用いられています。ただ、実際には、フルール・ド・
ヨーロッパで軍隊の記章や旗などに用いられています。ただ、実際には、
リスは、ユリではなく、アヤメ
ではなく、アヤメ(アイリス)の花の意匠です。
1.ユリによる観光まちづくりを行っている地域はありますか。ある場合には、その
事例について教えて下さい。
ユリによる観光まちづくりを行っている自治体は該当
による観光まちづくりを行っている自治体は該当ありませんでした
ありませんでした 1。ただ、ピレ
ネー=アトランティック県内に
県内にユリ(lys)という名のコミューンがありまし
りましたが、ユリの
保護育成に関する活動については見つけることができ
保護育成に関する活動については見つけることができませんでした。
なお、1972 年が創設された
たフランス全国
花 委 員 会 ( CNFF : Comite national pour le
fleurissement de la France)による運動2による
影響もあり、フランスのまちづくりにおい
、フランスのまちづくりにおい
て花は欠かせない存在であり、各地で花を
活かした景観を作っています3。ただし、ど
ちらかというと、特定の花の保全を目的と
したものではなく、公園、庭園、建物、公
公園、庭園、建物、公
36000 のコミューンがあり、その全てが情報公開をしているわけではない
ため、インターネットによって検索した結果です。
ため、インターネットによって検索した結果で
1フランスには、約
2参考
URL: http://www.villes-et-villages-fleuris.com/
http://www.villes
3クレアでも「フランスにおける花のまちコンクール」という記事を出しています。
「フランスにおける花のまちコンクール」という記事を出しています。
参考 URL:http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/articles/jimusyo/134PARI/INDEX.HTM
http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/articles/jimusyo/134PARI/INDEX.HTM
的・私的空間の美化と花による緑化によって住環境を整えることを目的としたもので
す。
2.ユリの自生地を保全するためどういった活動が行われていますか。
フランスは、大西洋と地中海に挟まれ、かつ、南西部にピレネー山脈、東部にアル
プス山脈のある自然豊かな国です。
また、同時に、フランスにおいて環境保護活動は大変盛んであり、2007 年、フラン
スではジャン・ルイ・ボルロー(Jean-Louis BORLOO)環境大臣を筆頭に、環境 NGO、
地方団体、企業団体らが一堂に会し、フランスの環境政策に関する「環境グルネル会
議」が開催され、サルコジ前政権において「新たな環境政策」を発表しております。
その中で生物多様性の保全についても取り上げられており、具体的な行動が 2010 年か
ら国・地方レベルで実施されています。なかでも生物多様性市町村アトラス(ABC)4の
実施による市町村別目録の作成があります。
フランスの植物学の専門家、ソフィー・ルベール氏に情報提供をお願いしたところ、ピ
レネー及びアルプスの山間部には、
ユリの一種が自生している場所があるとのことですが、
特定の活動までは情報を得ておりません。
3.ユリを保護・育成していて、ユリを通じた国際交流をしている団体や希望してい
る団体はありますか。ある場合には、団体の情報や活動内容を教えて下さい。
「ユリの保護・育成をしている団体」かつ「(ユリを通じた)国際交流をしている団体」
ということで、ルベール氏に調査を依頼した結果、該当する民間団体はないとの返答を受
けました。なお、パリ事務所でもインターネット等で検索をしましたが、該当する団体を
見つけることができませんでした。
またルベール氏の話によると、ピレネー及びアルプスの山間部においては、ユリを扱う
民間団体も存在するそうですが、純粋な学術団体であり、保護・育成をしている団体とは
言えないとのことです。
以上
4市町村ごとに生物多様性の構成要素目録(動物相、植物相、河川の流れなど)を作成する
ことを目標とします。この地図上に表示された正確な調査結果により、生物多様性の現況
を地方レベルで把握できるようになります。生物多様性保全問題を踏まえた住民や地方議
員の意思決定にも役立つことが期待されています。
参考 URL:http://www.developpement-durable.gouv.fr/-La-biodiversite,4247-.html
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