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犯罪歴
日心第70回大会(2006) 時系列的プロファイリングと犯行予測の可能性について(2) ―連続強姦事件における犯行間隔の類型と犯人属性― 財津 亘 (富山県警科学捜査研究所) key words: offender profiling, the intervals of crimes, the prediction of next crime 行うタイプ(犯行長期型:18 人)の 2 つに分類された.類型別の犯 罪者属性について検討した結果を表3に示す.その結果,犯行 長期型は犯行短期型に比べて,最終学歴が高校卒業以上であ る割合が高かった(χ2(1) = 4.01, p < .05). 総 合 考 察 研究 1 では 5 件の各犯行間隔から,逆 N 字型・N 字型及び逆 U 字型・U 字型という犯行間隔の類型が得られ,それらの類型と 犯人属性(犯罪歴・配偶者の有無,居住形態,犯罪歴の内容)が 関連していることを示唆した.また,研究 2 では犯行間隔の平均 日数から犯行短期型・長期型が得られ,その類型と最終学歴が 関連することを示した. 今後は,それらの類型と犯人属性との関係性を検討するととも に,これらの類型と犯人属性の関係から,ベイジアンネットワーク を用いた犯行予測の可能性についても模索することとする. (ZAITSU Wataru) 1 .5 逆 N字 型 N字型 1 平 0 .5 標 均 0 準 間 - 0 .5 得 隔 点 -1 - 1 .5 ( ) 第1 間 隔 第2間隔 第3間隔 第4 間 隔 図1 .類 型 別によ る 犯 行 間隔 表1.類型別による犯罪者属性の違い 居住形態(*) 犯罪歴(*) 配偶者(*) あり あり 独居 同居 逆N字型(n=53) 39.6 41.5 28.3 71.7 N字型(n=37) 64.9 16.2 48.6 51.4 全体 50 31.1 36.7 63.6 間隔パタン ※表中の数字は,類型ごとの割合(%)を示す. 1 .5 ( U字型 逆 U字型 1 標 平 0 .5 準均 0 得間 点 隔 - 0 .5 -1 ) 研究 1 では前報(2005)に続きデータを追加して,連続犯行の間 隔から発生パターンを分類し,それらの類型と犯人属性との関連 について検討をした.研究 2 では犯行間隔の平均日数を算出し 分類して,犯人属性との関連について検討した. 研 究 1 方 法 分析対象 1981 年から 2005 年までの間に北陸周辺 6 県,東北 6 県,北関東 3 県で発生し,検挙された単独犯による強姦事件のう ち 5 件以上の犯行が確認された事件を分析対象とした.データは 未遂事件を含み,スプリー犯行と正確な日付が確認できないデ ータは除外した(全 90 名:各ケースの犯行件数範囲 5 件~170 件,中央値 6 件,5 件までの犯行期間 5 日~2248 日).また,本 研究では収集したデータの最初の 5 件を分析対象とし統一した. 分析方法 第 1 犯行から第 2 犯行,第 2 犯行から第 3 犯行とそ れぞれの犯行間隔を日数単位で算出し,各ケースで間隔日数に 差があるためにそれぞれの間隔日数をケースごとで標準化した. それぞれの値を第 1・第 2・第 3・第 4 間隔とした.それぞれの犯行 間隔を変数にして Ward 法とグループ内平均連結法の階層的クラ スター分析を行った.距離は平方ユークリッド距離を用いた.その 結果得られた類型別で犯罪者属性(年齢層・学歴・犯罪歴・就業 形態・職業のタイプ・配偶者や子供の有無・居住形態)に違いが みられるか χ2 検定を行い,統計量を比較し検討した. 結 果 Ward 法の階層クラスター分析の結果,犯行間隔のパターンが 逆 N 字型(53 人)と N 字型(37 人) の 2 つに分類された.図 1 は, 類型別で各ケースの犯行間隔を平均したグラフである.また,類 型別の犯罪者属性について検討した結果を表 1 に示す.その結 果,逆 N 字型は N 字型と比べて,犯罪歴を有する者が少なかっ た(χ2(1) = 5.55, p < .05).また,逆 N 字型は N 字型に比べ, 配偶者を持つ者が多く(χ2(1) = 6.47, p < .05),同居している 割合が高かった(χ2(1) = 3.83 , p = .05). グループ内平均連結法の階層クラスター分析の結果,犯行間 隔のパターンが逆 U 字型(41 人)と U 字型(49 人) の 2 つに分類 された.図2は,類型別で各ケースの犯行間隔を平均したグラフ である.また,犯罪歴がある者の中でその犯罪内容を検討した結 果を表2に示す.その結果,犯罪歴がある場合,逆 U 字型で性犯 罪の犯罪歴を有する者が多く,U 字型で窃盗の犯罪歴を有する 者が多かった(χ2(1) = 4.57, p < .05). 研 究 2 方 法 分析対象 研究 1 と同じ. 分析方法 それぞれの犯行間隔を日数単位で算出し,標準化 せずに各ケースの平均日数を算出した.次に,それぞれの犯行 平均日数を変数にして Ward 法の階層クラスター分析を行った. 距離は平方ユークリッド距離を用いた.分類後の分析は研究 1 と 同様に,類型によって犯罪者属性(年齢・学歴・犯罪歴・就業形 態・職業のタイプ・配偶者や子供の有無・居住形態)に違いがみら れるか統計量を比較して検討した. 結 果 Ward 法の階層クラスター分析の結果,犯行を平均 200 日未 満で行うタイプ(犯行短期型:72 人)と犯行を平均 200 日以上で - 1 .5 第1 間隔 第2 間隔 第3 間隔 第4 間隔 図2 .類型別によ る 犯行間隔 表2.類型別による犯罪者属性の違い 犯罪歴内容(*) 間隔パタン 性犯罪 窃盗 逆U字型(n=24) 62.5 37.5 U字型(n=25) 32 68 全体 46.9 53.1 ※表中の数字は,類型ごとの割合(%)を示す. 表3.類型別による犯罪者属性の違い 学 歴 (*) 高校卒業未満 高校卒業以上 犯行短期型(n=72) 54.2 45.8 犯行長期型(n=18) 27.8 72.2 全体 48.9 51.1 間隔パタン ※表中の数字は,類型ごとの割合(%)を示す.