...

All for Growth

by user

on
Category: Documents
2

views

Report

Comments

Transcript

All for Growth
アニュアルレポート 2015
横浜ゴム株式会社 2014年12月期
All for Growth
Focusing Our Energy on Growth
プロフィール
横浜ゴムは1917年に設立された世界有数のタイヤメーカーです。また、得意のゴム
高分子技術をベースにホース、
シーリング材・接着剤、
工業資材、
航空部品、
ゴルフ用品など
多彩なビジネスを展開しています。継続的な成長を目指し、
タイヤ、その他の事業ともに
国内および海外において確固たる地位を築くため、高機能商品の開発と生産・販売力の
増強を積極的に進めています。
基本理念
心と技術をこめたモノづくりにより、幸せと豊かさに貢献します
経営方針
技術の先端に挑戦し、新しい価値を創り出す
独自の領域を切り拓き、事業の広がりを追求する
人を大切にし、人を磨き、人が活躍する場をつくる
社会に対する公正さと、環境との調和を大切にする
行動指針
自らを鍛え、自己ベストに挑戦する
たがいに信頼し合い、ぶつかり合い、高め合う
外に向けて開かれた心を育てる
企業スローガン
すごいをさりげなく
目次
1. ステークホルダーの皆様へ
24. コーポレート・ガバナンス
2. 決算ハイライト
26. 海外の主な子会社・関連会社
4. 社長メッセージ
28. 日本の主な事業拠点
8. 中期経営計画「グランドデザイン100」フェーズⅣスタート
29. 取締役・監査役・執行役員
12. Yokohama at a Glance
31. 財務セクション
13. 事業の概況 ー タイヤ事業
48. 投資家向け情報
15. 事業の概況 ー MB事業
49. 株式情報
18. 企業理念とCSRへの考え方
20. CSR特集:コミュニティへの参画およびコミュニティの
発展への取り組み
見通しに関する注意事項
このアニュアルレポートに含まれている将来に関する見通しや予測は、現在入手可能な情報を基に当社の経営者が判断したものです。
実際の成果や業績は、様々なリスクや不確定な要素により、記載されている内容と異なる可能性があります。
ステークホルダーの皆様へ
2 0 1 4 年 の 事 業 環 境 は 、海 外 で は 中 国 や 新 興 国 で
1,000億円、営業利益率10%の達成を掲げ、3カ年を
成長鈍化が見られたものの、欧州の景気は持ち直しの
1フェーズとしています。すでに昨年までに3フェーズ
動きが続き、米国の個人消費も安定的に推移しました。
9年が終了し、本2015年から2017年までの3カ年を
日本は雇用や企業収益の改善を受け、景気は緩やかな
期間とするフェーズⅣをスタートさせました。フェーズ
回復傾向にありました。
タイヤ業界も円安の進展、
原材料
Ⅳは「GD100」の集大成であり、次の100年の飛躍に
価格の下落基調など好材料があった一方で、
世界的に価格
向けた布石を打つと共に、これまで積み残されてきた
競争が激化するなど厳しい環境が続きました。こうした
課 題 を 払 拭 す る フ ェ ー ズ で す 。こ う し た 認 識 の 下 、
中、当社の売上高は前期比3.9%増の6,252億円、営業
フェーズⅣのテーマは「成長力の結集~YOKOHAMAの
利益は同4.3%増の591億円、
当期純利益は同15.7%増
可能性を結集して、
次の100年を切り拓く~」
としました。
の405億円となり、
3期続けて過去最高を記録しました。
財務目標としては、2017年に売上高7,700億円、営業
配当金は前期比4円増配し、年間で1株当たり26円と
利益800億円、
営業利益率10.4%の達成を掲げています。
いたしました。
2015年は、日本においてはさらなる景気回復が期待
当社は現在、
2006年に策定した中期経営計画
「グランド
されますが、為替や原油価格の急激な変動、ウクライナ
デ ザ イ ン 1 0 0( G D 1 0 0 )」に 取 り 組 ん で い ま す 。
問題や欧州債務危機などの地政学リスク、米国の利上げ
「GD100」では策定当初に、創業100周年に当たる
観測など世界経済の動向は大きく変化する可能性が
2 0 1 7 年 度 の 目 標 と し て 、売 上 高 1 兆 円 、営 業 利 益
あり、
不透明な経営環境が続くと予想されます。
こうした
中、本年度は売上高が前期比7.6%増の6,730億円、
営 業 利 益 が 同 8 . 4 % 増 の 6 4 0 億 円 、当 期 純 利 益 が
同11.1%減の360億円を見込んでいます。
横浜ゴムグループは
「GD100」
の目標達成に向け、
様々な
事業戦略や施策に取り組みながらグローバル企業として
成長を続けます。
ステークホルダーの皆様におかれまして
は こ う し た 当 社 の 姿 勢 を ご 理 解 い た だ き 、さ ら な る
ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2015年5月
代表取締役会長兼CEO(右) 代表取締役社長
1
決算ハイライト
12月31日および3月31日に終了した会計年度
※グラフ内の年表記は英語版アニュアルレポートに揃えており、
2010年度
(2010年4月~2011年3月)
は2011
(4/10-3/11)
および2011
(3/31/11)
、
2011年度
(2011年
4月~2011年12月)
は2011
(4/11-12/11)
および2011
(12/31/11)
と表記しています。
なお、
2011年に決算期を変更したため、
経過期間である2011年度は9カ月決算と
なっています。
営業利益と売上高営業利益率
売上高
7,000
6,000
(億円)
6,016
700
6,252
5,000
(%)
400
4,000
9.4
8
263
295
6
3,000
300
2,000
200
4
1,000
100
2
0
2011
2011
(4/10–3/11)
(4/11–12/11)
2012
2013
5.7
5.7
2011
2014
(4/10–3/11)
2011
(億円)
(%)
405
400
326
350
350
139
2.7
100
5.8
8
120
6.5
100
5
80
4
60
116
3
2.5
2
1
50
0
2011
2011
(4/10–3/11)
(4/11–12/11)
当期純利益
2012
2013
2014
(%)
0
(円)
125.34
41.55
40
34.68
20
0
2011
(4/10–3/11)
2011
2012
(4/11–12/11)
2013
2014
総資産と自己資本比率
(%)
14.7
8.6
7,345
7,000
13.6
6,536
6,000
5,000
0
108.32
97.87
(億円)
15
5
売上高営業利益率
8,000
17.8
10
7.1
6.2
5.8
5.8
5,438
5,018
4,789
34.2
4,000
2011
ROE
2.4
2011
(4/11–12/11)
40
37.5
32.3
30
3,000
20
ROA
1,000
2012
2013
2014
50
44.1
41.4
2,000
2.9
(4/10–3/11)
0
2014
売上高当期純利益率
自己資本利益率(ROE)
と総資産利益率(ROA)
20
140
6
5.8
200
150
9
7
300
250
2013
1株当たり当期純利益
当期純利益と売上高当期純利益率
450
2012
(4/11–12/11)
営業利益
2
10
9.4
8.9
14
12
497
500
4,651
591
566
600
5,597
5,197
(億円)
0
2011
(3/31/11)
総資産
2011
(12/31/11)
2012
自己資本比率
2013
2014
有利子負債とD/Eレシオ※
2,000
設備投資額と減価償却費
(億円)
(倍)
1,753
1,620
1,500
1,843
1,468
1.5
400
1.0
0.9
0.7
2011
(12/31/11)
有利子負債
2012
224
2013
250
2014
0.3
0
2011
(4/10–3/11)
2011
(4/11–12/11)
2012
(億円)
800
127
128
126
(億円)
590
592
467
134
412
400
93
286
206
200
53
81
21
0
50
–200
2011
2014
減価償却費
600
2011
(4/10–3/11)
2013
営業活動によるキャッシュ・フローと
フリーキャッシュ・フロー※
150
0
240
199
設備投資額
D/E レシオ ※有利子負債 ÷ 純資産(少数株主持分を除く)
100
274
100
研究開発費
200
249 259
335
281
0.6
0.6
0.6
2011
300
200
500
(3/31/11)
553
1.2
1,000
0
(億円)
500
1,463
0.9
600
(4/11–12/11)
2012
2013
– 185
2014
2011
(4/10–3/11)
2011
(4/11–12/11)
2012
営業活動によるキャッシュ・フロー
2013
2014
フリーキャッシュ・フロー
※(営業活動によるキャッシュ・フロー)-(投資活動によるキャッシュ・フロー)
従業員数
1株当たり配当金
30
(円)
25,000
(人)
26
25
22
20
20
12
7
6
4
4
3
2011
2011
(4/10–3/11)
8
(4/11–12/11)
中間配当金
2012
19,272
19,412
19,770
2011
2012
2013
21,441
15,000
10,000
10
5
0
14
12
15
10
20,000 18,465
10
2013
12
2014
5,000
0
2011
(3/31/11)
(12/31/11)
2014
期末配当金
3
社長メッセージ
「カスタマーロイヤリティの
高い企業に育てたい 」
代表取締役社長 野地彦旬
4
横浜ゴムは本年から中期経営計画
「グランドデザイン100(GD100)」
フェーズⅣ
(2015-2017年)
をスタートさせました。フェーズⅣの狙い、事業戦略のポイントを野地彦旬社長がご説明します。
フェーズⅢの経営環境と目標達成度は?
フェーズⅢの3年間
(2012-2014年)
は2012年後半
フェーズⅣのテーマに込めた思いとは?
フェーズⅠからフェーズⅢでは「収益を伴った成長」
からの為替の円安傾向に加え、
原材料価格の低下もあり、
「高質な成長」
「強くしなやかな成長」
と
「成長」
をテーマに
経営環境は総じて好調だったと言えます。
しかしながら、
掲げましたが、
「GD100」の集大成であるフェーズⅣは
2014年後半は日本の消費税増税による駆け込み需要
次の100年での飛躍に向けた布石を打つとともに、これ
への反動、
主要市場での価格競争の激化、
ウクライナ問題
まで積み残した課題を払拭すべきフェーズと位置付けて
によるロシア経済の低迷など悪化要因も数多くありま
います。
そこで、
これまでの各フェーズで取り組んできた
した。こうした中、フェーズⅢの3年間累計の売上高は
「成長」、グループ全体の成長、個々の成長などあらゆる
1兆7,866億円、営業利益は1,654億円、営業利益率は
成長力を結集して全社一丸で取り組むという思いを
9.3%となり、フェーズⅢの3年間合計の定量目標に
「成長力の結集~YOKOHAMAの可能性を結集して、
対し、売上高は若干下回ったものの、営業利益と営業
次の100年を切り開く~」というテーマに込めました。
利益率は目標を上回りました。
改めて「お客様満足度の向上」を基本方針に掲げた
フェーズⅢの成果と残された課題とは?
理由とは?
大きな成果はタイヤ生産能力の増強とグローバルOE
当社は2006年の
「GD100」
策定当時から
「顧客最優先
(新車装着)
の拡大です。
タイヤ年間生産能力はフィリピン、
の企業風土を作り上げる」を基本方針に掲げ、お客様
タイ、
中国のタイヤ工場の増強、
ロシア工場の稼動、
インド
視点を大切にしてきました。
しかしながら、
フェーズⅢの
工場の新設などにより、2011年の約5,900万本から
課題として顕在化した販売の伸び悩みに対し、もう一度
2014年には約6,800万本まで拡大しました。
グローバル
原点に立ち返り、
お客様にとって魅力的な価値を提供し、
OEは海外に生産拠点を持つ日系自動車メーカー各社を
お客様に選んで頂ける「横浜ゴムらしい商品」をお届け
中心とした取引拡大に加え、欧州のプレミアムカーに
することが必要だと考えています。そこで製品企画から
相次いで装着されるなど世界的認知度を大きく高める
開発・設計、生産・販売に至る全部門が、あらゆる行動を
ことができました。また、MB事業についても商品展開と
お客様満足度の向上に繋げるとともに、
お客様に喜ばれる
生産・販売拠点の拡充をグローバルに強化した結果、
成長
商品をタイムリーに開発・供給していくことが必要と
軌道に乗せることができたと思います。
一方でタイヤ価格
考えたためです。
競争激化への対応遅れが顕在化し、
特に北米、
欧州、
ロシア
での販売が伸び悩み、課題として残りました。
フ ェ ー ズ Ⅳ の 市 場 環 境 を ど う 予 測 し ま す か?
フェーズⅣの外部環境は海外では欧州、中国の景気
減速やロシア問題、国内では2017年に予定されている
消費税増税に伴う内需低迷のリスクが見込まれます。
また、タイヤ・ゴム業界においては原油価格下落による
世界的な自動車利用の増加、
旺盛な自動車需要など好環境
が続くと見られますが、各国での様々な環境規制強化に
伴 う 低 燃 費 タ イ ヤ 技 術 開 発 競 争 の 激 化 、新 興 タ イ ヤ
メーカーの急速な追い上げもあり予断を許さない状況
です。こうした状況を踏まえ、環境変化やリスクへ柔軟
タイヤ事業戦略のポイントとは?
まず、グローバルOEの拡大を重視しています。近年、
OEタイヤには世界的な環境意識の高まりを背景として、
相反する性能である低燃費性能とグリップ性能の両立が
求められます。これをクリアできるメーカーは世界でも
限られていますが、当社はその1社だと自負しており、
他社との差別化により、
大きなビジネスチャンスと捉えて
います。OEタイヤは世界有数のプレミアムカーに装着
されることでYOKOHAMAの知名度と信頼性を高め、
ひいては市販用タイヤの拡販にも繋がります。将来的に
世界のOEタイヤ市場でシェア10%を目指していきます。
に対応すること、独自技術によってビジネスチャンスを
確実に掴むことが重要になってくると考えています。
5
「当社は相反する性能である低燃費性能と
グリップ性能を両立したタイヤを供給できる
数少ないメーカーの1社です。」
もうひとつはトラック・バス用タイヤ、建設車両用
全世界で非常に高いシェアを誇っています。さらなる
タイヤなど生産財の拡大です。私はかねてから生産財を
事業の成長には世界中に供給できる生産・販売体制の
しっかりと作ることがグローバル競争に打ち勝つ上で
充実が不可欠と考えており、
昨年イタリアのマリンホース
重要だと考えていました。それは生産財の開発は非常に
会社を買収したのに続き、本年下期にはインドネシア・
高い技術力を要し、新興タイヤメーカーが簡単に進出
バタム島で防舷材とマリンホースの新工場を稼動させる
できない分野だからです。特に鉱山・建設現場で使用
計画です。
される大型・超大型の建設車両用タイヤ市場はトップ
メーカー2社がシェアを2分している状況で、当社は
技術戦略のポイントとは?
同市場に本格的に参入する考えです。すでに2014年
技 術 戦 略 の ひ と つ に「 お 客 様 に 満 足 頂 く
までに49と51インチの大型ラジアルタイヤを相次いで
YOKOHAMA品質」を掲げました。これを具体的に実現
発売しており、57インチも発売に向け開発中です。
するためにタイヤプラットフォームの共通化を進めて
い き ま す 。プ ラ ッ ト フ ォ ー ム を 共 通 化 す る こ と で 、
M B事 業 戦 略 の ポ イ ン ト と は ?
世界中のあらゆる工場で最高レベルの品質を持った
MB事業の2014年の売上高に占める比率は20%
タイヤを、
タイムリーに生産・供給できるようになります。
ですが、将来的に25%まで引き上げる計画です。これを
従来はメイド・イン・ジャパンが好まれてきましたが、
牽 引 す る 戦 略 は「 自 動 車 部 品 ビ ジ ネ ス の グ ロ ー バ ル
もはやそうした時代ではなく、
同様の品質を実現できれば
展開」と「得意の海洋商品でNo.1カテゴリの拡大」です。
生産国は関係ないと考えています。また、世界各地の
当社はホースや窓枠用接着剤などの自動車部品において
お客様に満足いただけるようタイヤ開発のグローバル化
国内で高い信頼を獲得しており、こうした実績のある
も進めます。現在は日本中心の開発体制ですが、中国
商品の海外展開を加速化させます。
での開発体制を拡充するとともに本年4月、タイに開発
ま た 、海 洋 商 品 の 空 気 式 防 舷 材 と マ リ ン ホ ー ス は
拠点を設置しました。今後、米国にも新設する計画です。
6
「カスタマーロイヤリティはフェーズⅣ
だけで実現できるものではなく、
次の100年もお客様の目線に立った
事業活動を継続していくことが必要です。」
全 社 共 通 戦 略の ポ イ ン ト と は ?
横浜ゴムの将来像をどう描きますか?
当社は2018年以降に売上高1兆円を目指しており、
私は横浜ゴムを「カスタマーロイヤリティ」の高い、
この実現に向けてM&Aや提携は欠かせないと考えて
つまり
「横浜ゴムの商品を買いたい」
という意識を持った
います。自前主義にこだわることなく、M&Aや提携を
お客様が多い企業に育てたいと考えています。フェーズ
通じ、生産・技術・販売などにおいて積極的に外部リソー
Ⅳの基本方針のひとつに「全社一丸で、あらゆる行動を
スを活用していきます。技術開発についても自前主義
お客様満足度の向上に繋げる」を掲げましたが、
「カスタ
に こ だ わ ら ず 、先 端 的 研 究 機 関 と の さ ら な る 連 携 に
マーロイヤリティ」はフェーズⅣだけで実現できるもの
加え、他社などの外部の技術力も活用して、次世代基盤
ではなく、次の100年もお客様の目線に立った事業活動
技術の開発スピードを高めていきます。
を継続していくことが必要です。当社はメーカーです
から、お客様に訴えるものはやはり商品です。お客様に
C SR活 動 へ の 取 り 組 み の ポ イ ン ト と は ?
喜ばれる、または感動を与える商品を高い品質をもって
私はグローバルに成長していくためにCSR活動は
提供し続け、YOKOHAMAファンを世界中に増やして
欠かせないと考えています。環境や人権など国際的に
いきたいと考えています。
共通した課題に取り組むことはもちろん、各地で働く
従業員のモチベーションや可能性を広げる支援も進め
ています。その一例をあげれば、タイの天然ゴム加工
工場では社宅に住む従業員の子供たちが学校へ通う
費用を会社が負担しています。また、本年稼動予定の
米国ミシシッピ工場では高校卒業の従業員に対し、
カレッジ卒業資格を得ることができる教育支援を行う
つもりです。
7
Fly UP