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フロン分野における 地球温暖化対策関連技術開発の取り組み

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フロン分野における 地球温暖化対策関連技術開発の取り組み
NEDO環境部事業報告会
フロン分野における
地球温暖化対策関連技術開発の取り組み
2016年7月15日
環境部 阿部 正道
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
(NEDO)
1
2016 5 15 -16
170
HFCs
HFC
4
2015
1 GWP
2
(Global-warming potential
CO2
)
NF3 140
(+8.9%) +8.4%
SF6 220
( 57.2%)
PFCs 330
( 62.0%)
5.8%
4.5%
HFCs 3,180
(+149.7%) +9.2%
4
: 2013
25
, 2015
NEDO
HFC
: 2013
25
, 2015
NEDO
2020
2009
BAU
BAU
Business As Usual
HFO
3
2010/6
NEDO
2015
2015
2016
4
12
5
COP21
1995
1992
2000
2010
2020
2015
1997
2008 2012
NEDO
GWP
2030
2013
2030
26.0
2013
25.1%
2013
CH4 N2O
CO2
21.9
CO2
0.8
HFC PFC SF6 NF3
0.7
2.6
26.0
:
, 2015
NEDO
2015
27
1
1
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2016fy/000117.pdf
R32
28
R32, R1234yf, R1234ze(E)
yf
ze E
3
3
F-gas
EU
TSC Foresight
http://www.nedo.go.jp/introducing/foresight.html
GWP
NEDO環境部事業報告会
平成23年度~27年度
高効率ノンフロン型空調機器技術の開発
「高効率かつ低温室効果の新冷媒の開発」
旭硝子株式会社
(委託先)国立研究開発法人産業技術総合研究所 機能化学研究部門
(委託先)国立研究開発法人産業技術総合研究所 工学計測標準研究部門
(委託先)国立研究開発法人産業技術総合研究所 構造材料研究部門
(委託先)学校法人東京理科大学 諏訪東京理科大学 工学部
2016年7月15日
講演内容
•
•
•
•
•
事業の位置づけ・必要性
事業の目的と位置付け
事業の計画(スケジュール)
事業実施体制
研究開発の成果
– HFO-1123混合冷媒(R410A・R32代替)
– HCFO-1224yd(R245fa代替)
• まとめ
事業の位置づけ・必要性
• 地球環境保護
– オゾン層を破壊するCFCおよびHCFC類の代替としてHFC
へ移行
– HFC類は大気寿命が長く、温室効果が大きい
⇒排出を抑制する対象ガスとして指定
• 業務用空調機器
– 1台あたりの冷媒充填量が多い
– 設備寿命が長い
• 高効率かつ低温室効果の冷媒の開発が急務
2
事業の目的と位置付け
• 目標性能
–
–
–
–
地球温暖化性能(100年間)GWPが300以下
不燃性~微燃性(ASHRAE安全性区分:1~2)
低毒性(LC50>20,000ppm)
現行冷媒であるR410A又はR134aのCOP及び冷凍能力と同等以上
• 中間目標
– 目標性能を満足する低温室効果を有する新冷媒実用化の見通しを得る
• 最終目標
– 目標性能を満足する市販フロン品と同等以上の性能で温室効果の低い冷媒を開
発する
• 早期に製品化を見出し普及させることにより、代替フロン等温暖化
ガスの排出削減を通じた低炭素化社会の実現に貢献する。
事業の計画(スケジュール)
平成23年度
新冷媒の設計研究
分子設計
合成研究
新冷媒の特性評価研究
新冷媒の最適化
安全性評価
熱力学特性評価
新冷媒の実用化研究
材料適合性評価
冷凍サイクル特性評価
委託研究
(環境影響評価・燃焼性評価)
OHラジカルとの反応速度
赤外線吸収スペクトル
GWP評価
大気中の分解機構
燃焼性評価
安全性リスク評価
物性評価
平成24年度 平成25年度 平成26年度
平成27年度
事業実施体制
国立研究開発法人 産業技術総合開発機構(NEDO)
PL:東京大学大学院 飛原 英治 教授
旭硝子株式会社
千葉研究所 機能商品開発室(基本特性・熱力学特性・材料適合性・冷凍サイクル特性)
横浜研究所 基盤技術開発室(分子設計・合成研究)
環境・安全統括グループ(安全性評価)
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
機能化学研究部門 化学材料評価グループ(環境影響評価・安全性評価)
工学計測標準研究部門 流体標準研究グループ(物性価)
中部センター 構造材料研究部門(安全性評価)
諏訪東京理科大学(燃焼性評価)
研究開発の成果
• パッケージエアコン(R410A・R32代替)
HFO-1123を成分とする混合冷媒
H
F
C
C
F
• 遠心式冷凍機(R245fa代替)
HCFO-1224yd(Z)
F
H
F
F
C
Cl
C
C
F
F
6
研究開発の成果
• 新冷媒開発フロー
分子設計
レベル 1
環境影響(ODP、GWP、大気寿
命)
、基本物性(沸点、臨界温
レベル 2
レベル 3
度)
合成、基礎物性、プロセス開発
安全性
(燃焼性、毒性)
レベル 4
熱力学性質・輸送的性質
レベル 5
材料適合性・冷媒/油特性等
サイクル性能
応用評価(機器設計・耐久性等)
7
研究開発の成果
• 複数の候補媒体(沸点:-60~+50℃)の中から開発目標(冷媒性
能、安全性)の点より2媒体を選定
基本特性
HFO-1123
HFC-32
R410A
HCFO1224yd(Z)
HFC-245fa
標準沸点 [℃]
-58
-52
-51
15
15
臨界温度 [℃]
59
78
71
156
154
4.55
5.78
4.90
3.38
3.65
燃焼範囲 [vol%]
(23℃、50%)
9.9~27.5*
13.5~26.9
(35℃)
なし
なし
なし
燃焼速度 [cm/s]
(25℃、乾燥)
6.6*
6.7
ー
ー
ー
>213,100
>203,000
臨界圧力 [MPa]
安全性
燃焼性
毒性
LC50 [ppm]
AEL [ppm]
環境性能
大気寿命
GWP 0.0(IPCC AR5)
ODP
R32:
>760,000
R125:
>769,000
>206,620
>760,000
(750)
1000
1000
(500)
300
1.4日*
5.2年
ー
21日*
7.7年
<1*
677
1924
<1*
858
0
0
0
0.00015*,**
0
*:国立研究開発法人 産業技術総合研究所 機能化学研究部門評価データ値
**:オゾン層破壊に寄与せず、通常ゼロとみなされる。
8
研究開発の成果(R410A・R32代替)
技術課題:
HFO-1123(単体)は、加圧条件下で高い着火エネルギーを与えると
不均化反応が起こり、急激に温度・圧力が上昇すること。
■HFO-1123混合冷媒
HFC-32等の特定物質を混合することで、HFO-1123の優れた冷媒性能を損な
うことなく、不均化反応を抑制する技術を開発した。
T. Tanaka, H. Okamoto, et al.,: Proc. 2014
AIChE Annual Meeting, Atlanta (2014).
■リスク評価
NEDO-PJ「高効率ノンフロン型空調機器技術の開発・高効率かつ低温室効果の
新冷媒の開発」にて、リスクアセスメントを実施。
不均化反応とは
CF2=CHF →1/2 CF4 + 3/2 C + HF + 250kJ/mol (発熱)
・ 燃焼反応とは異なり酸素がなくても起こる自己分解反応
・ 発熱量が大きいため、急激な温度、圧力上昇を伴う
・ 圧力、温度、着火エネルギーの影響を受ける
研究開発の成果(R410A・R32代替)
HFO-1123/HFC-32混合冷媒は冷媒として
使用可能
不均化反応領域
不均化反応
しない領域
1123/32組成 [wt%]
45/55
50/50
正常運転状態
研究開発の成果(R410A・R32代替)
AMOLEA
®
―
400X
370X
300X
―
―
HFO-1123
[wt%]
0
40
45
60
100
HFC-32
[wt%]
100
60
55
40
0
R410
A
(液)[℃]
-51.7
-54.4
-54.7
-58.3
-56.0
-51.4
(蒸気)[℃]
-51.7
-53.9
-54.2
-57.7
-56.0
-51.4
(差)[℃]
0.0
0.5
0.5
0.6
0.0
0.0
標準沸点・露点
(101.3kPa)
蒸気圧
(25℃)
(液)[kPa]
1690
1923
1949
2079
2122
1657
(蒸気) [kPa]
1690
1892
1920
2055
2122
1652
液密度
(25℃)[kg/m3]
961.0
979.5
981.6
998.1
1015
1059
蒸気密度
(25℃)[kg/m3]
47.3
64.4
67.1
78.6
102.3
66.0
燃焼範囲
[vol%]
13.5~
26.9
11.5
~25.9
11.2
~25.9
10.6
~26.1
9.9
~27.5*
―
燃焼速度
[cm/s]
6.7
<4*
<4*
(<4*)
6.6*
―
GWP
(100年, CO2=1)
677
<407
<373
<271
<1
1924
* 国立研究開発法人
産業技術総合研究所
機能化学研究部門評価データ
11
研究開発の成果(R410A・R32代替)
AMOLEA
®
―
―
300Y
―
HFO-1123
[wt%]
0
0
40
100
HFC-32
[wt%]
100
0
44
0
HFO-1234yf
[wt%]
0
100
16
0
(液)[℃]
-51.7
-29.5
-53.6
-56.0
-51.4
(蒸気)[℃]
-51.7
-29.5
-52.0
-56.0
-51.4
(差)[℃]
0.0
0.0
1.6
0.0
0.0
(液)[kPa]
1690
682.6
1836
2122
1657
(蒸気) [kPa]
1690
682.6
1741
2122
1652
液密度
(25℃)[kg/m3]
961.0
1092
992.9
1015
1059
蒸気密度
(25℃)[kg/m3]
47.3
37.9
65.0
102.3
66.0
燃焼範囲
[vol%]
13.5
~26.9
6.7
~11.7
ND
9.9
~27.5*
―
燃焼速度
[cm/s]
6.7
1.5
(<4.0)
6.6*
―
GWP
(100年, CO2=1)
677
<1
<298
<1
1924
標準沸点・露点
(101.3kPa)
蒸気圧(25℃)
* 国立研究開発法人
産業技術総合研究所
R410A
機能化学研究部門評価データ
研究開発の成果(R410A・R32代替)
AMOLEA
®
400X
370X
300X
300Y
HFC-32
R410A
蒸発圧力
[kPa]
922.2
938.3
1020
845.3
813.1
798.1
凝縮圧力
[kPa]
2767
2802
2980
2594
2478
2422
圧縮比
[-]
3.00
2.99
2.92
3.07
3.05
3.03
圧縮機
吐出温度
[℃]
67.9
66.8
66.5
64.0
76.4
62.4
圧縮機
入口密度
[kg/m3]
28.9
30.1
37.0
29.2
21.4
29.5
温度グライド
(蒸発器)
[℃]
0.6
0.6
0.5
1.8
0.0
0.1
成績係数
[-]
5.28
5.26
5.12
5.17
5.51
5.41
冷凍能力
[kJ/m3]
5695
5719
6080
5133
5476
5019
[-]
0.98
0.97
0.95
0.96
1.02
1.00
[-]
1.13
1.14
1.21
1.02
1.09
1.00
相対成績係数
(R410A比)
相対冷凍能力
(R410A比)
【評価条件:蒸発温度0℃、凝縮温度40℃、過熱度5℃、過冷却度5℃、損失なし、効率100%】
研究開発の成果(R410A・R32代替)
• RAC、PAC、チラーを対象に評価を実施
– R-410Aと同等との評価
• RACに対する一例 (AMOLEA®300Y,400X)
– 通年エネルギー消費効率(APF)
100
APF (HFC-32比)[-]
90
80
70
60
50
40
300Y
400X
研究開発の成果(R410A・R32代替)
冷凍機油との適合性良好
• 相互溶解性:相互溶解性良好
– 二層分離温度:-60℃以下
• 化学的安定性:酸価上昇抑制(水分存在下)
POE
初期
冷凍機油
冷媒
水分濃度
試験温度
試験期間
色度
酸価
g
g
ppm
°C
hr
(ASTM)
mgKOH/g
試験後
30
30
1000
175
168
L0.5
0.01
L0.5
0.01
冷媒:HFC-1123/HFC-32=45%/55%
POE油:安定性向上を目的とした添加剤の最適化実施
研究開発の成果(R410A・R32代替)
AMOLEA®X,Yシリーズは、物性・安全性等の様々な観点において、
空調用途に適した低GWP冷媒である。
物性・性能
環境性能
安全性
将来性
経済性
AMOLEA®Xシリーズ
AMOLEA®Yシリーズ
理論サイクル性能
COP(R410A比)
能力(R410A比)
混合形態
長期安定性
材料適合性
ODP
GWP
0.97~
~1.14
共沸様
○
○
0
370~
0.96~
~1.02
非共沸
○
○
0
300~
燃焼性(ASHRAE)
2L
2L
毒性 (ASHRAE)
A
A
空調機器
◎
◎
他用途への展開
冷凍、冷蔵
冷凍、冷蔵、ヒートポンプ
価格
グローバルな需要開拓
グローバルな需要開拓
供給体制
国内外
国内外
研究開発の成果(R245fa代替)
 HFC-245faに物性が近く、臨界圧力が低いことから、大きな設計変更が不要。
 HFC-245faと相対能力も同等、機器の大型化も不要。
HCFC-123
HFC-245fa
HCFO
-1224yd(Z)
28
183.7
15
153.9
15
156.0
沸点
臨界温度
[℃]
[℃]
臨界圧力
[MPa]
3.66
3.65
3.38
臨界密度
[kg/m3]
550
519
530
蒸気圧(25℃)
[kPa]
91.4
149
149
飽和液密度
(25℃)
[kg/m3]
1464
1339
1364
相対COP*
245fa対比
1.0
1.0
1.0
相対能力*
245fa対比
0.6
1.0
1.0
*条件:蒸発温度5℃、凝縮温度 40℃、過熱度、過冷却度 5℃、損失ゼロ、効率100%相当
研究開発の成果(R245fa代替)
HCFO-1224yd(Z)は、鉱物油、合成油との適合性良好
 化学的安定性
AMOLEA®yd/POE油
冷凍機油
冷媒
試験温度
試験期間
条件
g
g
℃
hour
30
30
175
336
試験結果
初期
試験後
冷媒
酸分(as HCl)
ppm
<1
<1
冷凍機油
色度(ASTM)
酸価
mgKOH/g
L0.5
0.01
L0.5
0.01
 相互溶解性
冷凍機油濃度(POE油)
二相分離温度
10%
-40℃以下/ +40℃以上
研究開発の成果(R245fa代替)
HCFO-1224yd(Z)は、HFC-245faと同等のサイクル性能
AMOLEA®yd
(HCFO-1224yd)
単段サイクル性能
相対COP(R245fa=1)
1.0
相対能力(R245fa=1)
1.0
二段サイクル性能
相対COP(R245fa=1)
1.0
相対能力(R245fa=1)
1.0
条件:蒸発温度 5℃、凝縮温度 40℃、過熱度 5℃、過冷却度 5℃
中間圧力:最適値
損失ゼロ、効率100%
研究開発の成果(R245fa代替)
条件:JIS B8621-2011(遠心式冷凍機)
冷水入口温度12℃、出口温度7℃、冷却水入口温度32℃、出口温度37℃
結果:現行冷媒と同等のCOPを確認
HCFO-1224yd
R245fa
研究開発の成果(R245fa代替)
HCFO-1224yd(Z)は、物性・安全性等の様々な観点において、
低圧ターボ冷凍機用途に最も適した低GWP冷媒である。
HCFO-1224yd(Z)
(AMOLEA®yd)
理論サイクル性能
※HFC-245fa対比
物性・冷媒性能
環境性能
安全性
将来性
経済性
相対COP:1.0
相対能力:1.0
長期安定性
材料適合性
ODP
GWP
相対COP:1.0
相対能力:1.0
熱安定性 良好
懸念なし
≈0*
<1*
燃焼性 (ASHRAE)
1
毒性 (ASHRAE)
A
ターボ冷凍機
◎
他用途への展開
ヒートポンプ、発泡剤
価格
多用途展開による需要創出
供給体制
国内 (海外も検討)
〃
(二段圧縮)
*:国立研究開発法人 産業技術総合研究所 機能化学研究部門評価データ値
5.まとめ
AMOLEA® X、Yシリーズ(HFO-1123混合冷媒)
ポストR410A、HFC-32として環境性能と冷媒性能を両立した冷媒
AMOLEA® yd(HCFO-1224yd)
今後強化が進む規制に先取りで対応し、ターボ冷凍機の地球温暖化問
題に終止符を打つ商品です。
低圧ターボ冷凍機用冷媒として優れた冷媒性能を有し、ヒートポンプ
等にも展開可能
実用化に向けた取り組みを加速し、地球にやさしい
冷凍・冷蔵・空調機器の早期実現に貢献
ご清聴ありがとうございました
NEDO 環境部事業報告会
『高効率ノンフロン型ビル用マルチ空調機の研究開発』
ダイキン工業株式会社
平成 28年 7月 15日(金)
(1)CO2冷媒の物性
R410A使用時に比べて
・GWP値が低い(R410A:2088 CO2:1)
・冷媒圧力が高い ・・・・①
⇒ 配管や要素部品にて肉厚アップなどの高耐圧設計が必要
(例:圧縮機胴体肉厚 CO2:約10㎜ R410A:約5㎜)
・被冷却後のエンタルピが大きく(②)、単位流量あたりの冷凍効果が小さい(③)
⇒ 理論効率がR410Aに対して約60%
②被冷却後のエンタルピ
が大きい
①圧力が高い
③単位流量あたりの
冷凍効果が小さい
CO2とR410AとのP-H線図
(1)CO2冷媒の物性
① CO2冷媒では超臨界サイクルとなる。そのため従来のHFC冷媒のような一定温度での相変化が
なく(凝縮温度が無い)、放熱時の大きなロスが生じる。
② CO2冷媒で差圧がHFC冷媒比で約3倍となり、大きな膨張ロスが生じる。
①冷却ロス
CO2
R410A
温度
温度
②膨張ロス
エントロピ
エントロピ
CO2とR410AとのT-S線図
(2)高効率化手段と開発目標
温度
単純サイクル
多段圧縮冷却サイクル
多段冷却圧縮(疑似等温圧縮)
によるロス低減
膨張ロス低減によるロス低減
エントロピ
圧力
温度
高効率化手段
①多段圧縮(多段圧縮+各段冷却)の採用
圧縮途中の冷媒を断続的に外気で冷却し,再度圧縮することを繰り返すことで,
圧縮動力を低減を図る
②膨張機の採用
膨張ロスを膨張機で回収することで膨張ロスを低減を図る
③エコノマイザサイクルの採用
ガスクーラ出口の一部の冷媒を中間圧力まで膨張させて、ガスクーラ出口の残りの冷媒と熱交換
させたのち圧縮途中の冷媒と合流させる。冷凍能力の増加と圧縮動力低減を図る
エントロピ
圧縮4
圧縮3
削減される
圧縮仕事
圧縮2
中間冷却3
圧縮1
中間冷却2
中間冷却1
容積
冷房COP比(R410A=100)
(2)高効率化手段と開発目標
膨張機なし
膨張機あり
計算条件
単段圧縮
2段圧縮
4段圧縮
+各段冷却
+各段冷却
+エコノマイザ +エコノマイザ
Evaporation Temp.: 10[oC]
Evaporation. outlet superheat : 5[K]
Adiabatic compression efficiency : 70%
Adiabatic expansion efficiency : 65%
- CO2
Gas-cooler and inter-cooler outlet Temp. : 40[oC]
Discharge pressure : 10[Mpa]
- R410A
Condensation Temp.: 45[oC]
Condenser outlet subcooling :5[K]
開発目標値
多段圧縮技術、膨張機技術、エコノマイザ技術の高効率化技術を採用し、CO2冷媒を用いて
冷房定格COPとAPF(2006)をR410A機同等を目指す
Expander
Subcooling HEX
(High Temp.)
Economizer HEX
(High Temp.)
Heat exchange
Liquid-gas HEX
(High Temp.)
Heat exchange
Pressure
(3)要素機器開発内容:高効率サイクル
Gas cooler
4th
Compression
Expansion valve
Inter cooler 3
Traditional
compression
3rd
Compression
Injection
Economizer HEX
(Low Temp.)
Inter cooler 2
2nd
Compression
Liquid-gas separator
Heat exchange
Inter cooler 1
1st
Compression
Subcooling HEX (Low Temp.)
Evaporator
Liquid-gas HEX
(Low Temp.)
Enthalpy
(3)要素機器開発内容:新機構圧縮機
通常4段圧縮を構成すると4台の圧縮機が必要
課題:複数台の圧縮機の潤滑油マネジメントが困難
圧縮機の搭載台数増加による製品重量・コストの増加
⇒1ケーシングで4段圧縮が可能な新機構の圧縮機を考案
シリンダ
中外室
中内室
ブレードブッシュ
ピストン
最外室
最内室
シリンダ, ピストン,ブレードブッシュを組み合わせ
ることで4つの独立した圧縮室と4つの吸入室を
形成する
(3)要素機器開発内容:新機構圧縮機
最外室
(圧縮開始)
0o
90o
最外室
(吸入開始)
最外室
(圧縮)
中外室
(圧縮開始)
中外室
(吸入開始)
中外室
(圧縮)
中外室
(吸入)
中内室
(圧縮)
中内室
(吸入)
中内室
(圧縮)
中内室
(吸入)
最内室
(圧縮開始)
最内室
(吸入開始)
最内室
(圧縮)
最内室
(吸入)
最外室
(圧縮)
最外室
(吸入)
最外室
(圧縮)
最外室
(吸入)
中外室
(圧縮)
中外室
(吸入)
中外室
(圧縮)
中外室
(吸入)
中内室
(圧縮)
中内室
(吸入)
中内室
(圧縮開始)
中内室
(吸入開始)
最内室
(圧縮)
最内室
(吸入)
最内室
(圧縮)
最内室
(吸入)
270o
180o
最外室
(吸入)
(3)要素機器開発内容:新機構圧縮機
2ピストン化
1ピストン
+
4π
2π
クランク角
2π
クランク角
4π
0
2π
クランク角
合成圧縮トルク
合成圧縮トルク
0
0
圧縮トルク比(1段目
の最大トルクを1)
2π
クランク角
圧縮トルク比(1段目
の最大トルクを1)
0
圧縮トルク(ピストン2)
圧縮トルク(ピストン1)
4π
圧縮トルク比
(1段目の最大トルクを1)
圧縮トルク比
(1段目の最大トルクを1)
圧縮トルク比(1段目
の最大トルクを1)
圧縮トルク
0
2π
4π
クランク角
1ピストンタイプでは圧縮機トルク変動が大きい=振動大
⇒2ピストンタイプを採用し、各段ごとで吸入~圧縮~吐出までの工程に180°位相差を与え、
圧縮機トルク変動と吸入/吐出の圧力変動を抑制
4π
(3)要素機器開発内容:新機構圧縮機
試作圧縮機
冷媒の流れ
上側
最外室
蒸発器
下側
最外室
インター
クーラ
下側
中外室
下側
中内室
インター
クーラ
上側
中外室
上側
中内室
インター
クーラ
上側
最内室
ガス
クーラ
下側
最内室
4段目吐出
中外室
中内室
3段目吸入
4段目吸入
1段目吸入
3段目吐出
シリンダ
1段目吐出
ピストン
最外室
最内室
2段目吸入
2段目吐出
クランクシャフト
(3)要素機器開発内容:新機構圧縮機
ブレードブッシュ
ピストン
4th
OUT
580mm
4th
IN
1st
IN
3rd
IN
2nd
IN
1st
OUT
3rd
OUT
2nd
OUT
 145mm
Test Conditions
Injection ratio : 25%
4th discharge pressure : 9.4 [MPa]
1st inlet pressure : 4.6 [MPa]
1st inlet Temp. : 28 [oC]
2nd/3rd/4th inlet Temp. : 38/39/40 [oC]
(3)要素機器開発内容:膨張機
形式
スイング式
スクロール式
レシプロ式
スクリュー式
遠心式
容量
小
中容量
小~大容量
大容量
大容量
性能
○
○~△
○
×(容量が適
さない)
×(容量が適
さない)
トルク変動
△
○
×
○
○
部品形状
○
△
○
△
△
構造
小容量向きで構造が簡単なスイング形式を選択
(3)要素機器開発内容:膨張機
スイング式膨張機(1シリンダタイプ)の作動原理
90°
0°
膨張機試作機
膨張機
圧縮機
ガスクーラ
発電機
G
C
E
CONV
コンバータ
吸入室
M
蒸発器
180°
270°
モータ
吐出室
INV
回収動力
インバータ
<CO2空調条件でのPV線図>
膨張動力
回収できる
膨張動力
回収できないが
全体の10%以下
容積V
吸入閉じ切り機構がないため、完全に膨脹仕事を回
収できないが、今回試作したCO2空調機では膨張機
上流のエンタルピー値は小さいので影響は小さい。
230mm
圧力P
 130mm
(3)要素機器開発内容:熱交換器
CO2冷媒の場合、作動圧力が上昇し、耐圧設計が必要なため熱交換器の重量が大きくなる
ため、重量の低減を目的にアルミ製の熱交換器を試作評価
ガスクーラとインタークーラを
一体化させた室外熱交換器
伝熱促進機構によりコンパクト化
した冷媒ー冷媒熱交換器
内側:ガス
外側:液
(4)CO2室外機
新機構多段圧縮機、膨張機、アルミ製熱交換器を搭載し、5HPクラスの評価機を試作した
R410A
冷媒
定格
能力
[kW]
冷房
[kW]
暖房
[mm]
高さ
※1
[mm]
ケーシング 奥行
緒元
[mm]
幅
※1 熱交換器のサイズは同等
R410A
CO2
14
16
1,680
765
635
930
CO2
(4)CO2室外機
暖房時に、圧縮工程を冷却すると暖房能力が減少する。
⇒冷房時に圧縮工程の各段吐出部分に各段の吐出ガスを冷却するため設置していた
インタークーラに対し、切り替え弁を設置することで暖房時には冷却させない回路とした
冷房運転
試験条件
- Outside: 35oC DB
- Inside: 27oC DB/19oC WB
暖房運転
試験条件
- Outside: 7oC DB/ 6oC WB
- Inside: 20oC DB
(4)CO2室外機:5HP試作機の性能結果と10HPの見通し
5HP試作機性能結果
冷房COP比(R410A機比)
10HP性能見通し
R410A機
CO2
CO24段
単段機(概算) +膨張機(実測)
室外空気熱交換器
サイズ(面積R410A比)
COP比
(対R410A機)
APF(2006)比
(対R410A機)
熱交換器サイズ140%
100%
99.6%
熱交換器サイズ170%
103%
100.8%
多段圧縮サイクル(4段圧縮+3つのインタークーラ)+
膨張機サイクル+熱交換器サイズR410A機比150%を
組み合わせることで、
従来のHFC機並みの効率となる見通しを得た
室外機重量比(R410A機比)
10HP製品重量見通し
244%
その他
圧力容器
熱交換器
157%
圧縮機
&膨張機
100%
CO2室外機は効率を同等とした場合、R410A機に対し
重量は2.4倍の見通しを得た
R410A機
CO2
単段機
CO24段
+膨張機
+熱交換器サイズ大
(5)制御開発
・弊社建屋内の実験室を空調対象部屋に選定した(CO2漏洩検知センサ既設).
・床面積は約98m2であり,通常の事務所として利用を想定すると,5HP程度の必要
空調容量となるため,本制御開発試験に適した部屋広さである.
■堺製作所 金岡工場
■試験対象部屋概略
■室外機(5HP)
■室内機
■計測制御システム
(熱交換器側より)
ダクト型
室内機(2.5HP)×2台
18
(5)制御開発:疑似SC制御
CO2冷媒サイクルでは常用高圧が超臨界のため,
凝縮温度が存在せず,ガスクーラ出口温度に対して高圧
は任意となり,COPが最大となる最適な高圧が存在する.
⇒擬似凝縮温度(その圧力で比熱が最大となる温度)を定
義し,疑似SCを用いて高圧を最適制御する
しかしながら外気温度が低い場合、目標擬似SCが小さいままでは高圧は臨界圧近傍になり
高圧が不安定になる
⇒外気温度に対応して目標SCを変化させる制御を導入することで自動運転が可能となった
■試験結果(改善前)
■試験結果(改善後)
(6)まとめ
◇新形式の多段圧縮機、膨張機、熱交換器等の要素部品を試作評価した。
◇5HPクラスの室外機の試作評価を行い、試験結果から10HP製品の性能を見積もった。
◇多段圧縮サイクル(4段圧縮+3つのインタークーラ)+
膨張機サイクル+製品サイズ増大(熱交換器サイズは1.5倍)
を組み合わせることで、従来のHFC機並みの効率となる見通しを得た。
◇結果として、室外機の重量は従来のHFC機比で2.4倍の見通しを得た。
◇擬似凝縮温度を定義し,疑似サブクールを用いて高圧を最適制御できた。
また外気温度に対応して目標SCを変化させる制御を導入することで
安定した冷房・暖房の自動運転が可能となった。
NEDO環境部事業成果報告会
2016年7月15日
「高効率ノンフロン型空調機器技術の開発」
-低温室効果冷媒の性能、安全性評価-
「高効率ノンフロン型空調機器技術の開発」
サブプロジェクトリーダー
日本冷凍空調工業会 微燃性冷媒安全検討WG主査
藤本 悟
「高効率ノンフロン型空調機器技術の開発」事業成果報告
-低温室効果冷媒の性能、安全性評価-
【目標】
公共的な見地から国際的標準化を注視しつつ、冷媒の性能、安全性評価を
実施する。
【テーマ】
(a)微燃性冷媒の燃焼・爆発性評価と空調機器使用時のリスクアセスメント
-諏訪東京理科大学-再委託先:産業技術総合研究所安全科学研究部門-
(b)エアコン用低GWP冷媒の性能及び安全性評価
-東京大学-再委託先:産業技術総合研究所機能化学研究部門-
(c)業務用空調機器に適した低GWP冷媒の探求とその安全性、物性及び性
能評価
-九州大学-再委託先:いわき明星大学・佐賀大学・九州産業大学-
学会・工業会との連携(微燃性冷媒リスク評価研究会)と成果
2011年
冷凍空調学会
微燃性冷媒
リスク評価研究会
◎ ★
10/27 PR
発足 レポート
図:NEDOプロジェクトと
学会・工業会との
連携体制
主査:東京大 飛原教授
副主査:日冷工 藤本
2012年
2013年
★
PRレポート
●
神戸シンポ
★
PRレポート
リスクアセスメント結果審議
2014年
2015年
★
PRレポート
●
神戸シンポ
情報共有・審議
★
PRレポート
● ●
セミナー,ICR
2016年
●
神戸シンポ
基本的な情報提供
日本冷凍空調学会
日本冷凍空調工業会
微燃性冷媒リスク評価研究会
微燃性冷媒安全検討WG
NEDO
プロジェクト
ミニスプリット SWGⅠ
東京大学
ミニスプリット SWGⅡ
産総研 機能化学部門
ビル用マルチ SWG
諏訪東京理科大学
チラー
産総研 安全科学部門
GHP
SWG
九州大学など
SWG
低温機器冷媒検討WG
保安委員会
自動車工業会
【成果】
本リスク評価研究会により、以下の成果に結びついた。
①低温室効果冷媒の事業化: 家庭用エアコンの100%がR32に転換済み(日本)
②規制の改革:高圧ガス保安法が規制改革予定(本年中)
③国際規格の改正:電気スイッチや冷媒の燃焼性規格の改正(IEC、ISO)
④国際的な熱物性データベースの充実:
(a)微燃性冷媒の燃焼・爆発性評価と空調機器使用時のリスクアセスメント
①実際の事故シナリオに基づくリスク評価(諏訪東京理科大学)
A2L冷媒の規制緩和
取扱シチュエーションに応じた事故シナリオを想定した燃焼性評価を
もとにしたリスクアセスメントが必要
取扱シチュエーション #1
暖房機器とA2L冷媒搭載
器を同時に使用した場合
取扱シチュエーション #2
A2L冷媒のサービス・メンテ
ナンス時
取扱シチュエーション #3
A2L冷媒が多室型空調機器
⑤
(VRF)に搭載される場合
①
A2L冷媒滞留空間内で市販ライターを使用した場合
②
A2L冷媒が配管等に形成されたピンホール等から噴出漏洩
した場合
③
A2L冷媒が回収機等のサービス・メンテナンス機器内に
漏洩した場合
A2L冷媒搭載空調機器のポンプダウン時のディーゼル爆発
東京大で実施
④
(a)微燃性冷媒の燃焼・爆発性評価と空調機器使用時のリスクアセスメント
①実際の事故シナリオに基づくリスク評価(諏訪東京理科大学)
シチュエーション
評価結果
①
暖房機器と同時使 家庭用で4畳半設置の場合、着火や火炎伝播は起こら
用
ない。
②
冷媒滞留空間内で 圧電型、ターボ型の場合、着火あるいは火炎伝播なし。
市販ライター使用 石油ライターの場合に着火・火炎伝播は否定できない。
③
ピンホールからの
漏洩噴出
現実の作業場面で想定される静電気や電気スパーク、
トーチによる火炎伝播はない。
④
回収機等サービス・メ
ンテ機器の漏洩
冷媒が滞留しても着火し火炎伝播する可能性は極めて
少ない。
⑤
他室空調機の
急速漏洩
燃焼範囲内の冷媒量が燃焼威力と相関する。漏れ総量
がLFL以下、あるいは換気がある場合は着火せず。換
気がなくUFLに近い場合のみ火炎伝播する。
(a)微燃性冷媒の燃焼・爆発性評価と空調機器使用時のリスクアセスメント
①実際の事故シナリオに基づくリスク評価(諏訪東京理科大学)
【本実物大実験のリスク評価】
想定シナリオ:床面積4m2のカラオケルームでパーティーを行っている状況下で、天井近辺
設置の天井カセット型室内機(4方向式)から冷媒が急速漏洩(10 kg/h)し、床上
50 cmの小テーブル上に置かれたケーキのろうそくが熱源として存在する
➣容器寸法:
2000mm×2000mm×3000mm
➣開口部:2か所(吸排気)
吸気側には押し込み式ファン(ヘアドライ
ヤー)を設け、室内強制換気を模擬
(排気側に吸引ファンを設置した場合、冷媒漏
洩自体も吸引してしまう可能性があるため)
開口部大きさ:一辺75 mm
(強制換気速度2.0 m/sを想定して、40
m3/hの換気量を確保できる開口面積より)
➣避圧ダンパーを2か所設置(安全対策)
ただし作動圧は2-3 kPaとする
(a)微燃性冷媒の燃焼・爆発性評価と空調機器使用時のリスクアセスメント
①実際の事故シナリオに基づくリスク評価(諏訪東京理科大学)
漏洩前
漏洩後
着火
最大ピーク
過圧 [kPa]
52
×
-
15.3
24
×
-
73
4.8
68
×
-
5.6
58
5.9
47
×
-
1/4LFL
22.7
53
21.8
51
×
-
1/2LFL
-
-
17.8
60
×
-
LFL
19.8
58
16.0
61
×
-
⑧
UFL
19.8
62
14.0
49
×
-
⑨
1/4LFL
4.9
53
4.9
52
×
-
1/2LFL
4.5
61
4.4
58
×
-
LFL
4.2
55
3.2
52
×
-
⑫
UFL
3.7
57
0.7
83
○
4.3
⑬
1/4LFL
19.3
85
18.6
89
×
-
1/2LFL
20.9
83
18.9
81
×
-
LFL
19.9
85
14.4
89
×
-
UFL
1/2LFL
16.3
90
10.1
89
○
4.0
漏洩量
温度
[°C]
湿度
[%R.H.]
温度
[°C]
湿度
[%R.H.]
1/4LFL
15.9
56
16.4
1/2LFL
15.9
26
LFL
4.1
④
UFL
⑤
No.
冷媒種
①
②
③
⑥
⑦
⑩
⑪
⑭
⑮
⑯
R32
R1234ze(E)
R32
R1234ze(E)
換気
あり
なし
全量漏洩時にLFLとなる冷媒量が漏洩しても、実空間(固有の換気量を有する)内
では可燃領域を形成せず、したがって着火しない。
全量漏洩時にUFLとなる冷媒量が漏洩しても、適切な換気により着火を防止できる。
(a)微燃性冷媒の燃焼・爆発性評価と空調機器使用時のリスクアセスメント
①実際の事故シナリオに基づくリスク評価(諏訪東京理科大学)
(a)微燃性冷媒の燃焼・爆発性評価と空調機器使用時のリスクアセスメント
②微燃性冷媒の燃焼爆発影響評価(産総研安全科学研究部門)
爆発影響評価
同一の測定条件で燃焼特性の直接的な比較を行う
ためのアンモニア燃焼試験
特に遅い燃焼速度からくる浮力による燃焼挙動への影響や
規模効果について調査するため、密閉式燃焼反応容器を用
いた予混合燃焼試験装置による燃焼試験を実施。
•
•
•
燃焼性が近いアンモニアを直接の比
較対象として、微燃性冷媒と同じ試
験条件でその燃焼試験を実施した。
KG値の規模効果 15L-500Lの範囲
では、スケール効果によるKG値(爆
発指数)の増加はない。
KG値から見た微燃性冷媒はアンモニ
アと同等
大型燃焼容器
Effect of test volume on KG
measured in spherical vessels.
NH3燃焼挙動(524L, 24vol%)
(a)微燃性冷媒の燃焼・爆発性評価と空調機器使用時のリスクアセスメント
②微燃性冷媒の燃焼爆発影響評価(産総研安全科学研究部門)
過剰なエネルギーによる燃焼爆発評価
自然発火温度
火炎や電気放電などの他にも、高温表面な
ども着火源になりえる。ASTM E659試験
法に基づく試験装置を適用し、微燃性冷媒
の自然発火温度を計測し、また比較のため
アンモニアについても自然発火温度を計測
して比較を行った。
R1234yf
R1234ze(E)
R32
NH3
自然発火試験温度時間履歴
ASTM E 659 自然発火試験装置
(a)微燃性冷媒の燃焼・爆発性評価と空調機器使用時のリスクアセスメント
②微燃性冷媒の燃焼爆発影響評価(産総研安全科学研究部門)
燃焼特性の整理と他媒体との比較
浮力の影響や温度・湿度効果を考慮した場合の微燃性冷媒とアンモニアの燃焼特
性を同じ試験条件で直接比較し、KG値の観点から整理した。
*1 Ref. (NFPA68, 2007), Table E.1
(0.005 ft3 sphere; E = 10 J, normal
condition).
*2 Ref. (NFPA68, 2007), Table D.1.
*3 Ref. (Mannan, 2005), Detonation
limits obtained for confined tube.
*4 Ref. (ISO/DIS 817, 2010)
*5 Ref. (NFPA325, 1994)
*6 Ref. (Mannan, 2005), Table 16.4
*7 Ref. (Kondo, 2014) , at 35°C and
50%RH condition
*8 Ref. (Kondo, 2012), at 35°C and
50%RH condition
*9 Ref. (From SDS sheets provided
by manufacturer)
† This work. (at 35°C and wet
condition).
(a)微燃性冷媒の燃焼・爆発性評価と空調機器使用時のリスクアセスメント
②微燃性冷媒の燃焼爆発影響評価(産総研安全科学研究部門)
爆発強度影響評価 (諏訪理科大実験室)
開放口のある半密閉型の角型燃焼容器を用いた圧
力緩和効果試験
室内空間に外部との開放部があることによる、空
間内の燃焼時圧力の低減効果(Pred)を検証した。
• 緩和圧力と開放口(面積、形状、位置)の関係
• ベント口形状の違いによる緩和効果への影響は
はっきりと現れなかった
• 本実験で得られるベント面積―緩和圧力の関係
を見るとNFPA68による強度が低い容器に対す
るベント面積Av (m2) があれば十分に緩和圧力
を満足することが示された.
矩形燃焼装置
圧力緩和
開放口をもつ矩形容器内での燃焼挙動
緩和圧力と濃度および開放部面積の関係
(b)エアコン用低GWP冷媒の性能及び安全性評価
①微燃性冷媒の安全性評価(東京大学)
微燃性冷媒が室内へ漏洩する時の数値解析
目的:
1. 住空間や機械室に冷媒が漏えいする時
の『可燃濃度』の体積と存在位置,存在
時間をシミュレーションにより解析
2. 危険な時は安全対策の有効性を検証
• 対象冷媒
– R32, R1234yf, P1234ze(E), R290(Propane)
– HFO1123, HFO1123+R32
• 対象機器
–
–
–
–
家庭用ルームエアコン(RAC)
パッケージエアコン(PAC)
ビル用マルチエアコン(VRF)
チラー(空冷式,水冷式)
• 設置位置
– 居住空間
– オフィスルーム
– 機械室
動画 R32が床置き型室内機から急速漏えいすると
きの数値解析結果(燃焼下限の等濃度面を表示)
成果
1. 壁掛け式ルームエアコンや天井カセット式パッケー
ジエアコンなどは危険はない
2. 床置き式エアコン,ビル用マルチエアコン,機械室設
置チラーなどは,安全対策が必要な場合がある
(b)エアコン用低GWP冷媒の性能及び安全性評価
①微燃性冷媒の安全性評価(東京大学)
P_max[-]
目的:
ポンプダウン時
の誤操作により
,冷媒,潤滑油,
空気の混合気が
ディーゼル爆発
を起こす事故が
過去に発生して
いる.微燃性冷
媒の燃焼条件を
求め,安全性評
価を行う.
P_max[-]
エアコン ポンプダウン時のディーゼル爆発の安全性
R32_PAG
4
R32 理論値
without_jet
with_jet(0.7)
with_jet(1.0)
with_jet(1.3)
with_jet(1.6)
3.5
3
2.5
R32_POE
4
without_jet
with_jet(0.7)
with_jet(1.0)
with_jet(1.3)
with_jet(1.6)
R32 理論値
3.5
3
2.5
2
2
1.5
1.5
1
1
0.5
0.5
0
0
0
20
40
60
Cons_ref[vol%]
80
100
0
20
40
60
80
100
Cons_ref[vol%]
図 R32冷媒と潤滑油混合気がディーゼル爆発を起こす条件(濃度範囲)と最大
圧力の実験結果:引火点温度の高いPOEのほうがPAGより燃焼範囲が狭い
成果:
1. 潤滑油の自己着火が着火源となり,冷媒の燃焼へ伝搬してゆく
2. 不燃性冷媒でもディーゼル爆発は起こる
3. 潤滑油の燃焼性が発生条件へ大きく影響する
(b)エアコン用低GWP冷媒の性能及び安全性評価
①微燃性冷媒の安全性評価(東京大学)
微燃性冷媒の高温壁面での熱分解の安全性
目的:冷媒 と空気の混合ガスを加熱管内に通し
,熱分解による冷媒の減少量や生成物量を測
定し,安全性を検討する
・冷媒種類
R32, R1234yf, R134a, R22
・加熱管壁面材質
インコネル600, SUS304, SUS316
・冷媒濃度: 2~10vol.%程度 (LFL以下)
・加熱管通過時間: 10s程度
SUS316
成果:
1. 冷媒の燃焼性と熱分解下限温度には直
接的な関係は見られない.
2. 熱分解温度は湿度の影響を受けない
3. フッ化水素により腐食する金属に接する
場合は,金属表面性状により分解温度は
変化する
管材質→
INC600
↓冷媒
乾燥/加湿
乾燥条件
加湿条件
R32
570~590
550~600
550~600
400~450
R1234yf
550~570
400~450
400~450
400~450
R134a
600~630
600~650
600~650
450~500
R22
450~500
300~350
300~350
300~350
(6[g/kg]程度)
SUS304
乾燥条件
表 熱分解が発生する
下限温度(網掛け部は
インコネルより温度が低
下し,材質や湿度の影
響を受けている)
(b)エアコン用低GWP冷媒の性能及び安全性評価
①微燃性冷媒の安全性評価(東京大学)
微燃性冷媒のリスク評価の推進
日本冷凍空調学会に「微燃性冷媒リスク評価研究会」を発足させ,NEDOプロ
ジェクト参加研究機関と日本冷凍空調工業会などと協力しながら,微燃性冷媒
を実用化する上でのリスク評価を実施した.
1.
成果の公表
– 毎年度末に英文,和文のプログレスレポートを作成してホームページで無償公
開し,国際的なリーダーシップの獲得を目指した
– 国際冷凍会議ICR2015でワークショップを開催:2015年8月
– 冷凍空調学会でシンポジウムを開催(東京,大阪)
2.
規制緩和への貢献
– フロン排出抑制法の政省令の検討時に情報提供を行った
– 冷凍機等への可燃性冷媒再充塡の安全性評価委員会(高圧ガス保安協会)に
対して,情報提供を行った
– 微燃性冷媒の安全ガイドライン(日本冷凍空調工業会)の検討に対して,情報
提供を行った
(b)エアコン用低GWP冷媒の性能及び安全性評価
②実用条件の燃焼性評価と着火エネルギー評価法開発
(産総研機能化学研究部門)
微燃性冷媒の燃焼速度評価法の開発
微小重力を用いることで、強燃~ごく微燃性まで、同一の手法で統一的評価可能に
⇒通常重力の燃焼性評価法の高精度化・標準化を推進中
(b)エアコン用低GWP冷媒の性能及び安全性評価
②実用条件の燃焼性評価と着火エネルギー評価法開発
(産総研機能化学研究部門)
冷媒の燃焼特性の温度・湿度影響評価
 燃焼限界、燃焼速度、消炎距離の温度、湿度依存性を評価し、重要な微燃性冷媒
の燃焼特性が、実用湿度によって大きく変わることを明らかにした
 湿度影響については、ISO, IEC規格で考慮する方向で、現在米国研究PJ立案中
(b)エアコン用低GWP冷媒の性能及び安全性評価
②実用条件の燃焼性評価と着火エネルギー評価法開発
(産総研機能化学研究部門)
微燃性冷媒の消炎距離・消炎直径評価法の開発
微燃性に適用可能な評価法を開発し、強燃~
極微燃まで、消炎距離dqと燃焼速度Suの統一
的相関を得た ⇒測定結果の相互妥当性
Su <10 cm s-1 (微燃性)
dq 5mm
(b)エアコン用低GWP冷媒の性能及び安全性評価
②実用条件の燃焼性評価と着火エネルギー評価法開発
(産総研機能化学研究部門)
実用上の着火危険性評価
 実用上の着火危険性と基礎燃焼特性の相関を明らかにした
 家電コンセントや開閉器に対しては、微燃性冷媒は実用上許容しうる低燃焼性
(c)低GWP冷媒の探求とその安全性、物性及び性能評価
国立大学法人 九州大学 大学院総合理工学研究院
再委託先:学校法人明星学苑 いわき明星大学
再委託先:国立大学法人 佐賀大学
再委託先:学校法人中村産業学園 九州産業大学
現行HFC系代替冷媒に比べて地球温暖化係数(GWP)が大幅に低い新規代
替冷媒を用いる高効率の業務用空調システム(ビル用PAC等)を開発すること
は国際的な急務である。そこで、それらのシステム開発の基盤技術を構築す
るために本開発研究では、以下の目標を設定した。
最終目標
業務用空調機器に適した低GWP混合冷媒の提案および低GWP混合冷媒を用い
た空調機器の共通技術基盤の構築
①R1234ze(Z)などの新規低GWP純冷媒の熱物性、伝熱特性及びサイクル性能の
技術情報の提供
②低GWP混合冷媒の探求と熱物性及び伝熱特性に関するデータベースの提供、
およびサイクル性能の予測
(c)低GWP冷媒の探求とその安全性、物性及び性能評価
① R1234ze(Z)など新規低GWP純冷媒の基本物性およびサイクル性能に関する研究
事業項目
H23年度
H24年度
H25年度
H26年度
①HFO-1234ze(Z)などの基本物性およびサイクル性能に関する研究
(a) 低GWP純冷媒の化学的性質
R1234ze(Z)
の調査 (九州大学)
化学的性質・材料適合性試験 毒性・燃焼性試験
(b)低GWP純冷媒の熱力学的
性質の測定
・測定(いわき明星大学)
R1243zf などの冷媒候補物質
材料適合性,燃焼性,毒性などの調査
R1234ze(Z)
R1243zfなど
飽和蒸気圧,飽和密度,臨界定数の測定
飽和蒸気圧,飽和密度,臨界定数,表面張力の測定
状態式作成
・状態式の作成(九州産業大学)
(c) 低GWP純冷媒の輸送的性質
の測定 (佐賀大学)
・熱伝導率
(d) 低GWP純冷媒の伝熱特性
の測定
・管内 (九州大学)
・管内 (九州大学)
・管外 (九州大学)
R1243zfな ど
飽和液測定 装置改造 高温飽和液測定 装置改造 高温圧縮液測定・相関式作成 液・蒸気の測定・相関式作成
装置設計・製作 予備測定
・粘度
装置改造
高温高圧域圧縮液測定・相関式作成
R1234ze(Z)
・性能解析(佐賀大学)
液・蒸気の測定・相関式作成
R1234ze(Z),R1234ze(E),R1233zdなど
管内装置改造 管内伝熱試験
管内伝熱試験
管外装置改造
プレート熱交装置改造
・プレート熱交(佐賀大学)
(e) 低GWP純冷媒のサイクル
基本特性評価
・性能試験(九州大学)
状態式作成
R1234ze(Z)
文献調査
H27年度
管外伝熱試験
プレート熱交伝熱試験
R1234ze(Z)
装置改造 サイクル試験
サイクル試験
モデルの検討プログラム 基本特性確認 試験と対応させた計算
◎ H23-H25年度:R1234ze(Z)に関して研究
◎ H26-H27年度:R1243zf、R1233zd(E)などの新規低GWP冷媒を追加
(c)低GWP冷媒の探求とその安全性、物性及び性能評価
② 低GWP混合冷媒の探求とその基本物性およびサイクル性能に関する研究
事業項目
H23年度
H24年度
H25年度
H26年度
②低GWP混合冷媒の探求とその基本物性およびサイクル性能に関する研究
(a)低GWP混合冷媒の探求・選定
混合冷媒 R32/R1234ze(E) など
(九州大学)
混合冷媒の簡易状態式作成
低GWP混合冷媒の探求・選定
・探究・選定
熱力学的解析
・サイクル熱力学解析
(b) 低GWP混合冷媒の熱力学的
性質の測定
混合冷媒 R744/R32/R1234yf など
混合冷媒 PvTx性質,気液平衡,臨界軌跡の測定
混合冷媒の状態式の作成
混合冷媒 R744/R32/R1234ze(E) な ど
・熱伝導率
・粘度
装置改造
円管内混合冷媒伝熱試験
装置改造
扁平管内混合冷媒伝熱試験
熱伝導率測定・相関式作成
液粘度測定・相関式作成
液粘度測定・相関式作成
混合冷媒R744/ R32/R1234yf など
円管内伝熱試験
装置設計・製作
管外伝熱試験
(低GWP純冷媒の管外伝熱試験へ)
プレート熱交伝熱試験
相平衡測定・サイクル試験
プレート熱交伝熱試験
混合冷媒 R32/R1234yf,R744/R32/R1234yf など
混合冷媒 R32/R1234ze(E),R744/R32/R1234ze(E)
装置改造モデルの検討
円管内伝熱試験
装置改造 扁平管内伝熱試験
装置設計・製作
・プレート熱交(佐賀大学)
混合冷媒 R744/R32/R1234yf など
熱伝導率測定・相関式作成
混合冷媒 R744/R32/R1234ze(E) など
・管外(九州大学)
(e) 低GWP混合冷媒候補の
サイクル基本特性の評価
熱力学的解析
混合冷媒の状態式の作成
(c) 低GWP冷媒の輸送的性質の
測定(佐賀大学)
・管内(九州大学)
低GWP混合冷媒の探求・選定
混合冷媒 PvTx性質,気液平衡,臨界軌跡の測定
・状態式の作成(九州産業大学)
(d) 低GWP混合冷媒の
伝熱特性の測定
混合冷媒 R744/R32/R1234yf など
混合冷媒 R32/R1234ze(E) など
・測定(いわき明星大学)
H27年度
サイクル試験
相平衡測定・サイクル試験
・性能試験(九州大学)
・性能解析(佐賀大学)
プログラム・基本サイクル計算
熱交換・圧力損失を考慮した計算
試験と対応させた計算
◎ H23-H25年度:R32/R1234ze(E)およびR744/R32/R1234ze(E) 系冷媒
◎ H26-H27年度:R32/R1234yf、R744/R32/R1234yfおよび新規開発中の冷媒
(c)低GWP冷媒の探求とその安全性、物性及び性能評価
[研究成果]
目
標
研究開発成果
① R1234ze(Z) などの新規低GWP純冷媒の基本物性およびサイクル性能に関する研究
(a)新規冷媒の化学的性
質の調査
R1234ze(Z)の材料適合性、燃焼性及び毒性の基本特性を解明。
R1243zfの化学的性質に関する情報を製造会社より取得。
(b) 新規冷媒の熱力学的
性質測定
R1234ze(Z)およびR1243zfの熱力学的性質(PvT性質、臨界定数、蒸気圧)の測定と状態方程式の作成
R1234ze(E)、R1234ze(Z)、R1243zfおよびR1233zd(E)の表面張力測定と推算式作成。
(c) 新規冷媒の輸送的性
質測定
R1234ze(E)、R1234ze(Z)およびR1233zd(E)の熱伝導率および粘度の測定と拡張対応状態原理に基づ
く予測モデルおよび簡易相関式の作成。
(d) 新規冷媒の伝熱特性
の測定
・R1234ze(E)、R1234ze(Z)およびR1233zd(E)の水平平滑管外凝縮・沸騰熱伝達特性の測定。
・R1234ze(E)およびR1234yfの溝付管内凝縮・沸騰熱伝達特性の測定。
・プレート式熱交換器内の水/空気二相流動特性の把握および局所凝縮・沸騰熱伝達特性の測定。
(e) 新規冷媒のサイクルの
基本特性の評価
R1234ze(E)およびR1234(Z)のヒートポンプサイクル性能試験。
② 低GWP混合冷媒の探求とその基本物性およびサイクル性能に関する研究
(a) 低GWP混合冷媒の探
求・選定
R1234ze(E)/R32系およびR1234yf/R32系2成分混合冷媒、並びにR1234ze(E)/R32/R744系および
R1234yf/R32/R744系3成分混合冷媒より、GWP=300およびGWP=200近傍の冷媒組成を熱力学的サイ
クル性能解析より選定。
(b) 低GWP混合冷媒の熱
力学的性質の測定
選定された2成分および3成分混合冷媒の熱力学的性質の測定と状態方程式の作成。
(c) 低GWP混合冷媒の輸
送的性質の測定
R1234ze(E)/R32系およびR1234ze(Z)/R32系2成分混合冷媒の熱伝導率の測定と拡張対応状態原理
に基づく予測モデルおよび簡易相関式の作成。
(d) 低GWP混合冷媒の伝
熱特性の測定
R32/R1234ze(E)系およびR744/R32/ R1234ze(E)系の混合冷媒の溝付管内凝縮・沸騰熱伝達特性の
測定。
(e)低GWP混合冷媒のサイ
クルの基本特性の評価
選定したGWP=200および300近傍の2成分混合冷媒、並びに3成分混合冷媒のサイクル性能試験。
(c)低GWP冷媒の探求とその安全性、物性及び性能評価
[研究成果の具体的な例]
② 低GWP混合冷媒の探求とその基本物性およびサイクル性能に関する研究
(a) 低GWP混合冷媒の探求・選定 (担当:九州大学・いわき明星大学)
◎組成選定条件 (R410Aとの相対値)
◎サイクル計算条件
A
B
< 300
< 200
< 10 K
< 15 K
> 0.80
> 1.00
GWP
Temperature glide
Volumetric capacity ratio
COP ratio
200
300
200
0.96
1.00 300
0.8
1.0
R1234yf
R1234ze(E)
Evaporation Temperature
[K]
270.15
Degree of Superheat
[K]
3
[-]
0.85
R744 (CO
GWP
2)
100
200
8
12
300
TGEVA
VC EVA (R410A比)
300
400
0.96
1.04
1.0
1.6
1.2
1.4
0.98
1.04
1.2
R1234yf
1.00
0.8
500
600
1.4
0.98
1.00
1.4
0.98
0.95
400
1.6
0.96
1.6
R32
100
16
1.00
1.02
COP h(R410A比)
GWP
TGEVA
COP h(R410A比)
VC
200EVA (R410A比)
4
16
400
1.04
0
GWP
COP h(R410A比)
TGEVA
VC EVA (R410A比)
12
15K
[K]
12
100
16
Degree of Subcool
4
4
10K
303.15
8
R744 (CO2) R744
GWP
Temp. glide
COP ratio
Vol. capacity ratio
[K]
Efficiency of Compressor
R744
◎計算結果(3成分混合冷媒の場合)
8
Condensation Temperature
1.02
0.8
500
600 1.0
R32
R1234yf
1.02
ARM-30a (29/71 mass%)
DR-7 (36/64
mass%)
商用冷媒との比較
DR-5 (72.5/27.5 mass%)
0.8
1.2
R32
500
600 1.0
R32
ARM-30a (29/71 mass%)
DR-7 (36/64ARM-30a
mass%) (29/71 mass%)
DR-5 (72.5/27.5
DR-7mass%)
(36/64 mass%)
DR-5 (72.5/27.5 mass%)
(c)低GWP冷媒の探求とその安全性、物性及び性能評価
(b) 新規低GWP混合冷媒の熱力学性質の測定 (担当:いわき明星大学,九州産業大学)
◎これまでの測定結果(気液共存曲線,P-v-T曲線,臨界定数)
臨界軌跡
新規測定対象混合系
 R 1234ze(Z) + R 32 [50/50]
 R 1234ze(Z) + R 134a [50/50]
 R 1234yf + R 1234ze(E) [50/50]
 R 1234ze(E) + R 1234ze(Z) [50/50]
 R 1234yf + R 32 + R 744 [52/44/4]
 R 1234yf + R 32 + R 744 [65/29/6]
 R 1234ze(E) + R 32 + R 744 [54/43/3]
 R 1234ze(E) + R 32 + R 744 [62/29/9]
以上のデータに基づき,九州産業大学で REFPROP の混合パラメータを最適化し
た.最適値は本プロジェクト内で共有し,伝熱およびサイクル試験に活用した.
(c)低GWP冷媒の探求とその安全性、物性及び性能評価
(c)新規低GWP混合冷媒のサイクル性能試験 (担当:九州大学)
R744(CO2)
添加の影響
・R744を添加することによって,温度すべりが大きくなり,熱交換器での不可逆損失に影響を及ぼす.
・作動圧が2成分と比較して上昇するため圧力損失が小さくなる.
・暖房条件2において,yf系へのR744の添加は,熱交換器での損失および圧力損失の低減という観点
では,ze系へのR744の添加に比して効果が期待できる.
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