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コモエの森からの恋文 コモエの森からの恋文

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コモエの森からの恋文 コモエの森からの恋文
ブルキナファソ国
コモエ県における住民参加型持続的森林管理計画(2007-2012)
LETTRE
D’AMOUR
DES
LETTRE
D’AMOUR
desFORETS
FORETSDE
deLA
la COMOE
COMOE
ラブレター
コモエの森
森からの恋文
コモエの
からの恋文
ニューズレター Vol.14 2012年7月
Photo SAKAI Fumiko
4指定林森林整備事業計画の策定の進捗状況
ナショナルコーディネーター
キニ・B・ネストール
プ
ロジェクトの最も期待され
ている成果のひとつが、プ
ロジェクト対象地域の4指定林の
森林整備事業計画の策定である。
この主要な成果を得るために、何
度かの協議を経て、同計画策定を
担う特別チームを設置する必要が
あった。
同チームの構成員には、カスカー
ド 州 局、コ モ エ 県 局 お よ び プ ロ
ジェクトチームの人員から指名さ
れた技術スタッフが入った。計画
策定チームメンバーの能力アップ
を 図 る た め に、プ ロ ジ ェ ク ト は
「森 林 整 備 事 業 計 画 の 策 定 ア プ
ローチ」をテーマに2010年3月24~
25日に研修を実施。環境・持続開
発省森林局が同研修を指導した。
サバンナを主な区分としていたの 第一部は各指定林の概況を示し、
が理由である。
第二部では各指定林の整備内容を
詳述し、第三部では各指定林の管
しかし、持続的発展、貧困撲滅、
理を提示している。
地方分権化などの今日の新たな課
題を考え、「ブ」国政府は今日で 現在の本事業計画は第4版で、これ
は整備指定林の産出物として、薪 は作成担当チームが策定した最終
炭材、用材、棒材、手工芸材など 版である。環境持続開発省森林担
の生産だけではなく、非木材林産 当技術局の技術チームはこの最終
物なども含め、産物を多様化する 版を審査し、その後8月、9月中に
必要性があると考えている。
公的なものとするために承認手続
きを開始する。承認手続きは、県
森林整備事業計画は、森林管理住
国土整備委員会と州国土整備委員
民組織や森林管理住民組織連合及
会それぞれによる承認である。
び関係技術機関にとって、様々な
活動を実施したり、民間企業や公 また、JICAと環境省との話し合いの
共機関などの提携機関との交渉に 結果、3つの認証機関のうちの最終
おいて土台として用いるツールで 機関の国の国土整備委員会(CNAT)
ある。同計画はまた、計画中に含 の認証は本プロジェクトの対象外
まれる諸活動の実施とフォローに となった。
あたっての指針となる。森林整備
キニ・B・ネストール
インスペクター(森林監査官)、
事業計画は状況に応じて5年ごとに
水森林技師。カメルーン国ガル
状況の変化への適合や改訂が予定
ア動物訓練学校、ブルキナファ
されていることから、動的で相互
ソ国立水森林学校、環境・持続
作用的な計画でもある。
開発省オーバッサン州動物保
な お、国 家 森 林 整 備 プ ロ グ ラ ム
(PNAF)に基づいてブルキナファソ
国がこれまで展開した森林整備の
モデルは、燃料木生産を主とする
地域を対象としていた。これは対
象地域が都市の近辺に位置するこ
と、および低木サバンナや小灌木 森林整備事業計画は三部構成で、
コモエの森からの恋文 Vol.14 2012年7月
全ユニットチーフ、カスカード州
自然保全局長を経て、2009年4月14日より、本プ
ロジェクトのナショナルコーディネータに就任。
Page 1
UGGF(
UGGF(森林管理住民組織連合)
森林管理住民組織連合)の紹介
クリバリ・ドゥニーズ、トラオレ・カッソン、トラオレ・モハマドゥ
アシスタント・ファシリテーター
U
GGF(森林管理住民組織連合)は、各GGFの活動をまとめ、統率する役目を担う重要なアクターで
す。今号では、3人のアシスタント・ファシリテーターが全4つの対象UGGFを紹介します。
UGGF: トゥムセニUGGF
対象指定林: トゥムセニ指定林
GGF数: 8GGF
実施活動: 提携協
力 機 関(ラ キ エ
タ・セ ン タ ー、
ア・ダ ン セ、
DAKUYO 博 士 の
フ ィ ト フ ラ 社)
とGGF間の商業活
動 の 調 整、ボ
ボ・デゥラッソのPAGRENプロジェクトと中央西
部州への研修旅行(意見交換会)への参加、連
合の会合、各GGF間の活動の調整、指定林境界
の伐開と指定林掲示板の設置。
GGFへの影響: GGF間の社会的な繋がりの形成。
今後の展望: 森林官とGGF間のつながりの強化、
木材事業者・森林官・UGGFとの間の関係の明確
化、GGFの生産物の販売先の開拓、プロジェク
トから自立する意欲。
UGGF名: ブヌナUGGF
対象指定林: ブヌナ指定林
GGF数: 3GGF
実施活動: ラキエタ・
セ ン タ ー、ア・ダ ン
セ、DAKUYO 博 士 の
フィトフラ社とGGF間
の提携協力 関係の維
持。ボ ボ・デ ゥ ラ ッ
ソ の PAGREN プ ロ ジ ェ
クトと中央・西部州への研修旅行(意見交換
会)への参加。GGFのために販路の開拓。各GGF
間の活動の調整、指定林境界伐開と指定林掲示
板の設置。
GGFへの影響: GGF間の社会的な繋がりの形成。
GGFと提携協力機関との取引の支援。UGGF自ら
の活動のGGFへの反映。
今後の展望: 森林官とGGF間のつながりの強化。
GGFの生産物の販売先の開拓。プロジェクトか
ら自立する意欲 。
UGGF名: コングコUGGF
対象指定林: コングコ指定林
GGF数: 9GGF
実 施 活動: 2010年 に
設置されたコングコ
UGGFの最初の活動は
6月末の執行部メン
バーの初顔合わせで
あ る。2011 年 初、
UGGFは最初の総会を
開催し、会員は年次
活動プログラムを承認した。UGGFはまた指定林
境界の伐開と指定林の掲示板の設置に積極的に
参加。現在、シアバターと薬用植物に関して、
潜在的顧客との営業活動の調整をおこなってい
る。
GGFへの影響: コングコ指定林のGGF連合(UGGF)の
設置が求められていたのは、関係GGFの組織運
営上の問題点を管理する必要があるからで、バ
ナコロGGFやピマGGFでは啓発活動を通じて管理
を実施している。
今後の展望: 森林官と共同で年次活動計画に基
づいてGGFの活動を調整していく。
UGGF名: グァンドゥグUGGF
対象指定林: グァンドゥグ指定林
GGF数: 7GGF
実施活動: 執行部は各GGFの代表と会計担当者か
ら成るメンバー6名と監査委員会メンバー3名で
構成されており、上位レベルの活動全般の調整
の実施。技術面および販売面での協力機関との
提携関係。UGGFの会議を主宰。関係GGFの活動
を調整・支援(活動の記帳、会計帳簿の記帳と
機材管理)。諸活動の効果的な運営とUGGFの情
報 の 広 範 な 伝 播。UGGF の 活 動 の フ ォ ロ ー と
チェック。
GGFへの影響: 社会的な繋がりの強化。グァン
ドゥグ指定林整備活動へのGGFの参加。
今後の展望: 高品質なシアバターの大量生産。
グァンドゥグ指定林に係わるすべてのGGFの木
材林産物と非木材林産物
の合計産出量の把握。シ
アバター生産の向上のた
め、原材料粉砕機の購入
資金の調達。規約に定め
られている諸会員の年次
総会への招聘。
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コモエの森からの恋文 Vol.14 2012年7月
2011年GGF活動総報告1(GGF総会結果より)
小川 奈穂子
参加型村落開発(2)
各
GGFが記録した2011年の総会結果を基に、2011年の1年間のGGF活動を報告します。下線の引いてある活動は、
目標値以上に実施した活動で、実現率は(実施した活動数)÷(計画した活動数(未計画で実施した活動を含
まない))の式に基づき、計算しています。
指定
林名
GGF名
ブヌナ
ブ ヌナ
ラボラ・サ
ンカララ
ラボラ・ナ
ンバルフォ
ジョンゴロ
男
ジョンゴロ女
トゥムセニ
男
トゥムセニ
女
ト ゥムセ ニ
スバカ男
スバカ女
タニャナ男
タニャナ女
ウラテンガ
ダキエ
グ ァンド ゥグ
グァンドゥ
グ
ウェンガ
トンガ
グアラ
ブグッソ
活動
実施した活動(未計画で実施した活
実施しなかった活動
動、一部実施した活動を含む)
シアバター、サバシロップ、総会、会 カスカード州知事との面
合、研修後のGGFメンバーの能力強化、 会、牧養場、トラック購入
指定林内見回り、苗木生産、植林、養 のための積立金、牧草刈
蜂、指定林内のインフラ整備、スンバラ り、ドリバラ
防火線設置、指定林内での活動計画
の策定、研修内容の実践、植林、指
貯蓄、総会
定林内見回り、会合、スンバラ、シ
アバター、サバシロップ
蜂蜜、苗木生産、会合、総会、サバ
野菜栽培、貯蓄、スンバラ
シロップ、シアバター
会合、指定林内見回り、総会、苗木
製炭、薬用植物
生産、植林、蜂蜜
シアバター、スンバラ、会合、総会 ドリバラ、伐採、苗木生産
蜂蜜、ドリバラ、指定林内見回り、
牧草刈り
薬用植物、シアバター、蜂蜜、指定
‐
林内見回り、スンバラ
蜂蜜、薬用植物、伐採、井戸掘削、
苗木生産
製炭
シアバター、会費徴収、会合、総
会、入会金徴収、スンバラ、車両購
入のための積立、薬用植物、蜂蜜、
伐採、倉庫建設、製炭
指定林内見回り、植林、薬用植物、 伐採、製炭、牧草刈り、綿
総会、会合
花栽培、防火線設置
薬用植物、サバシロップ、スンバ
ラ、会合、新規会員の募集、会費徴 苗木生産
収、植林、シアバター
防火線設置、薬用植物、ゴマ栽培、
苗木生産、植林
シアバター、指定林内見回り
防火線設置、苗木生産、シアバ
ター、指定林内見回り、植林、会
薬用植物
合、総会、サバシロップ
蜂蜜、製炭、指定林内見回り、会
苗木生産、薬用植物、植
合、総会、シアバター、防火線設置 林、石鹸生産研修(女性)
防火線設置、苗木生産、植林、シア
バター、薬用植物、サバシロップ、
指定林内見回り
薬用植物、防火線設置、シアバ
ター、会合、総会、蜂蜜、苗木生
産、指定林内見回り
防火線設置、シアバター、指定林内 苗木生産、薬用植物、植林
見回り、会合、総会
指定林内見回り、防火線設置、苗木
生産、植林、シアバター、ゴマ栽
薬用植物
培、会合、総会、牧草刈り
コモエの森からの恋文 Vol.14 2012年7月
収支決算(FCFA)
実現
率 総収入 総支出 差額
69% 735,550 790,130 -54,580
82%
69,840 136,600 -66,760
67% 119,645 252,800 -133,155
75%
17,000
0
57%
96,315 91,260
17,000
5,055
100% 132,010 89,510 42,500
100% 243,175 244,290 -1,115
83% 110,313 155,450 -45,137
100% 329,898 162,448 167,450
50%
80,740 68,240 12,500
89% 447,770 294,512 153,258
71% 109,035 51,675 57,360
89% 193,825 159,735 34,090
56% 358,250 172,510 185,740
100% 249,270 69,975 179,295
100% 569,290 601,691 -32,401
57% 295,620 220,750 74,870
89% 311,110 207,595 103,515
Page 3
2011年GGF活動総報告2(GGF総会結果より)
指定
林名
コン
グコ
活動
実施した活動(未計画で実施した
活動、一部実施した活動を含む)
植林、指定林周辺道路の清掃、シ
ダンドゥグ
アバター
防火線設置、シアバター、蜂蜜、
フガングエ
会合、指定林内見回り
防火線設置、指定林内見回り、会
バデ
合、総会、製炭、シアバター
指定林境界線の清掃、苗木生産、
ジャンガ 植林、防火線設置、指定林内見回
り、シアバター、蜂蜜、会合
GGF名
ピマ
小川 奈穂子
参加型村落開発(2)
収支決算(FCFA)
実施しなかった
活動
-
実現率
総収入 総支出
差額
100%
399,975 248,580 151,395
57%
331,225 252,360 78,865
-
100%
280,050 44,095 235,955
薬用植物
88%
840,120 660,925 179,195
86%
180,025 111,680 68,345
100%
136,900 119,000 17,900
86%
371,645 228,510 143,135
86%
390,335 229,285 161,050
86%
133,760 88,350
苗木生産、植
林、ドリバラ
会合、防火線設置、シアバター、
林間道路の清掃
指定林内見回り、苗木生産、植林
シアバター、指定林内見回り、防
火線設置、予防的火入れ
ドリバラ、苗木生産、防火線設
バナコロ 置、シアバター、蜂蜜、指定林内 植林
見回り、サバシロップ
苗木生産、防火線設置、植林、指
カジョ
定林内見回り、シアバター、ドリ 会合
バラ
指定林境界線の清掃、苗木生産、
ファラジャ
植林、シアバター、防火線設置、 ドリバラ
ン
指定林内見回り、会合
合計実現率
(全GGF)
カサンデ
45,410
82%
記2011年の各GGFの活動実績を通じて、次のようなことが明らかになりました。トンガGGFで支出が多
かったのは養蜂箱を購入したためであり、ブヌナGGFで支出が多かったのは指定林内見回り活動を実
施したメンバーに交通費を支給したためでした。また、サバシロップ生産は、砂糖価格が高く、活動自身の
収入より支出が上回ったGGFが多くありました。苗木生産・植林活動については、井戸がないGGFでは活動実
施が困難でした。
一方で、GGFによって活動実現率にばらつきがあるものの、今までこのような活動計画を立てたことのない
GGFが、プロジェクトによる研修及びフォローアップ活動を通じ、自分たちで活動計画を作成し、計画に基
づき活動していることは、大きなひとつの成果です。計画を実現できた達成感を味わい、これを励みとし今
後もGGFの活動が継続されることを願っています。
* ドリバラ(N’Dribala):ワタモドキ科樹木(Cochlospermum planchonii) 。その根は
薬用となり、抗黄疸・抗マラリア性に優れている。本プロジェクトでは、GGF向けに薬
用植物活用技術研修を行っており、技術研修を受けたGGFは本研修を担当して
いるラボラトワール・フィトフラ社に薬用植物を納入し、収入を得ている。(詳細は
Vol.5やVol.7を参照)
** スンバラ:マメ科樹木であるネレ(Parkia biglobosa)の種子から作る発酵食品。
地域では、広く調味料として利用されている。
*** シアバター:西アフリカ南スーダン気候地域特産の植物油脂。アカテツ科樹
木であるシアバターノキ(Vitellaria paradoxa)の種子から生産される。
小川 奈穂子 (おがわ なおこ)
アイ・シー・ネット株式会社 所属。東京農業大学卒業。
自他ともに認める農業マニア。長いようで短かった、とて
も貴重なブルキナでの105日間でした。環境・持続開発
省、プロジェクトスタッフ、GGFメンバーそして執行部、水
品チーフアドバイザー、酒井専門家を始めコモエ案件日本人専門家
の皆さん、JICAブルキナ事務所の皆さんに、この場をお借りし心より御
礼申し上げます。ブルキナに戻ってこれる日を願い(インシャッラ~)。
本誌「コモエの森からの恋文」に関する皆様のご意見・ご感想をお聞かせ下さい!
お問い合わせ大歓迎!連絡先はこちらです →
コモエ県における住民参加型持続的森林管理計画
プロジェクト専門家チーム
電話:プロジェクト事務所 +226 20 91 00 88
http://www.jica.go.jp/project/burkinafaso/0605205/index.html
コモエの森からの恋文 Vol.14 2012年7月
[email protected]
お断り
一般社団法人 日本森林技術協会
Japan Forest Technology Association
本誌は、プロジェクトの近況や情報を率
直に読者に伝えることを目的としてお
り、国際協力機構(JICA)の意見を代表す
るものではありません。
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