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EMC VNXe シリーズ・ストレージ・システム

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EMC VNXe シリーズ・ストレージ・システム
ホワイト ペーパー
EMC® VNXe®シリーズ ストレージ システム
VNXe3100、VNXe3150、VNXe3300
詳細レビュー
要約
このホワイト ペーパーでは、VNXe3100、VNXe3150、
VNXe3300 を含む EMC® VNXe®ストレージ システムのアーキテ
クチャと機能について紹介します。さらに、このストレージ システム
のソフトウェア機能についても説明します。
2 月 2014
Copyright © 2014 EMC Corporation. All rights reserved.
(不許複製・禁無断転載)
EMC は、この資料に記載される情報が、発行日時点で正確
であるとみなしています。この情報は通知なく変更されること
があります。
この資料に記載される情報は、「現状有姿」の条件で提供され
ています。EMC Corporation は、この資料に記載される情
報に関する、どのような内容についても表明保証条項を設け
ず、特に、商品性や特定の目的に対する適応性に対する黙示
の保証はいたしません。
この資料に記載される、いかなる EMC ソフトウェアの使用、
複製、頒布も、当該ソフトウェア ライセンスが必要です。
最新の EMC 製品名については、EMC.com で EMC
Corporation の商標を参照してください。
VMware、ESX、および VMware vCenter は、米国およびそ
の他の国における VMware, Inc.の登録商標または商標で
す。その他のすべての名称ならびに製品についての商標は、
それぞれの所有者の商標または登録商標です。
パーツ番号 h8178.5-J
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
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2
目次
エグゼクティブ サマリー ........................................................................................... 5
対象読者 ............................................................................................................................ 5
用語........................................................................................................................ 5
VNX ユニファイド ストレージ ファミリ ........................................................................ 7
VNXe Series ...................................................................................................................... 8
ハードウェアの概要 ............................................................................................... 10
ソフトウェアの概要................................................................................................. 14
初期構成 .......................................................................................................................... 14
Unisphere ....................................................................................................................... 15
ストレージ プロビジョニング ............................................................................................... 16
Exchange ストレージ .................................................................................................. 17
共有フォルダー............................................................................................................. 18
汎用 iSCSI ストレージ ................................................................................................... 19
VMware ストレージ ..................................................................................................... 20
Hyper-V ストレージ...................................................................................................... 20
ストレージ プールの特性 .............................................................................................. 21
VNXe3100 ........................................................................................................... 21
データ保護 ....................................................................................................................... 23
スナップショット ............................................................................................................. 24
9 倍向上 ...................................................................................................................... 26
バックアップとリストア ................................................................................................... 28
CLI サポート ..................................................................................................................... 28
先進的な機能 ................................................................................................................... 29
リンク アグリゲーション ................................................................................................. 29
FSN .............................................................................................................................. 29
シン プロビジョニング .................................................................................................... 30
FLR(エンタープライズ) ................................................................................................. 31
重複排除 ...................................................................................................................... 32
ウイルスからの保護策.................................................................................................. 32
ユーザー管理 ............................................................................................................... 33
LDAP 統合 ................................................................................................................... 33
高可用性 .............................................................................................................. 34
VMware vSphere との仮想統合 .......................................................................... 35
ASA(アドバンスト ストレージ アクセス) ........................................................................ 35
VAAI(vStorage API for Array Integration) ............................................................. 36
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3
リモート監視 .......................................................................................................... 36
ESRS(EMC Secure Remote Support) ..................................................................... 36
Unisphere Remote .................................................................................................... 36
VNXe シリーズのサポート エコシステム ................................................................. 37
発見事項 .............................................................................................................. 38
関連資料 .............................................................................................................. 39
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
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4
エグゼクティブ サマリー
企業におけるストレージ容量の需要は急増を続けているだけでなく、365 日 24 時間
の可用性が必須となりつつあります。企業の情報量が平均で年 50%増加している
との調査結果もあります。このような情報量の増加の大きな原因は、ファイルのよう
な構造化されていないデータです。
IT 部門がサーバーの追加、アプリケーションの追加、仮想化環境への移行を続けて
きたことで、複雑化も大きな問題となっています。サーバーの仮想化とストレージの
統合によって得られるメリットは魅力的ですが、このような抽象化レイヤーを導入す
るには特別なトレーニングが必要になる場合がほとんどです。これにより増える業務
は、限られた数の IT スタッフがゼネラリストとしてすべてのテクノロジーをサポートし
ている中小企業にとっては重すぎる負担です。
EMC® VNXe®シリーズは、SMB(サーバー メッセージ ブロック)、中小企業、エン
タープライズ規模の組織の ROBO(リモート オフィス/支店)向けのユニファイド ストレ
ージ ソリューションです。前述のような問題を解決するのが、この VNXe シリーズで
す。ストレージに関する専門技術をあまり持たない IT ゼネラリスト向けに設計された
VNXe は、共有ストレージの管理にアプリケーション主体の手法を使用することで、
高度なストレージ機能の導入作業を簡易化しています。VNXe シリーズでは、効率性、
簡易性、経済性が大幅に向上しています。VNXe シリーズには主に次のメリットがあ
ります。
•
アプリケーション中心のプロビジョニングと組み込み型ベスト プラクティス
•
VMware®と Hyper-V サーバーの統合
•
合理化された管理を実現する Unisphere®インタフェース
•
ファイル ストレージ(CIFS および NFS)とブロック ストレージ(iSCSI)のサポート
•
スナップショットとレプリケーション(ローカルおよびリモート)
このホワイト ペーパーでは、VNXe シリーズ ストレージ システムの概要について説
明します。
対象読者
このホワイト ペーパーの対象読者は、EMC 社員、パートナー様、IT プランナー、スト
レージ アーキテクト、管理者など、VNXe ストレージ システムを使用した EMC ネッ
トワーク ストレージ環境の評価、取得、管理、運用、設計に携わっている方です。
用語
•
CLI(コマンド ライン インタフェース):コマンド ラインにコマンドを入力することで
ストレージ関連タスクを実行できるインタフェース。
•
CIFS(Common Internet File System):ネットワーク上の Windows ホストか
らファイルおよびフォルダーにアクセスできるようにするアクセス プロトコル。
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5
•
重複排除:冗長データを圧縮してファイル システム上の領域を節約するために
使われるプロセス。まったく同じデータを持つファイルが複数存在する場合には、
ファイル システム内にコピーが 1 つだけ格納され、そのデータが複数のファイル
間で共有されます。
•
DHCP (Dynamic Host Control Protocol):ネットワーク上のデバイスに動的
IP アドレスを割り当てるために使用されるプロトコル。中央のサーバーから、組
織のネットワークに接続された VNXe システムに IP アドレスを自動的に割り当
てることができます。
•
iSCSI (Internet Small Computer System Interface):ネットワーク接続を経
由して未フォーマットのブロック レベル データ ストレージにアクセスするためのメ
カニズムを提供するプロトコル。iSCSI プロトコルでは、ネットワーク分野で標準と
なっているクライアント/サーバー モデルが採用されています。iSCSI イニシエー
ター(ホスト)はストレージ クライアントとして動作し、iSCSI ターゲットはストレージ
サーバーとして動作します。iSCSI ホストと iSCSI サーバーの間で接続が確立さ
れると、ホストからサーバーに対してストレージ リソースおよびサービスが要求さ
れます。
•
iSCSI サーバー:iSCSI プロトコルを使用して、Microsoft Exchange ストレージ
グループ、汎用ストレージ仮想ディスク、Hyper--V データストア、VMFS ベース
の VMware®データストアを管理する VNXe サーバー。
•
リンク統合:同じスイッチに関連づけられ、特性が似ている Ethernet ポートを、
単一の仮想デバイス/リンクとして集約させる高可用性機能。集約されたリンクは
単一の IP アドレスを持つ場合もあり、複数の IP アドレスを持つ場合もあります。
•
ローカル レプリケーション:同じ VNXe システム内の 2 つのストレージ サーバー
間で実行されるレプリケーション。
•
NFS(Network File System):ネットワーク上の Linux/UNIX ホストからファイル
およびフォルダーにアクセスできるようにするアクセス プロトコル。
•
NDMP (Network Data Management Protocol):ネットワーク上のファイル
サーバーをバックアップするための規格。お客様の環境で実行されているファイ
ル システムを中央アプリケーションでバックアップできます。
•
リモート レプリケーション:特定の VNXe システムから別の(リモート)VNXe シ
ステムまたは VNX®/Celerra®システムに対して行われる、格納されているデー
タのレプリケーション。
•
SMB (サーバー メッセージ ブロック):ネットワーク上で TCP ポート経由でサー
バーにファイル、印刷を要求し、サーバーと通信するために CIFS プロトコルで使
用される、基幹プロトコルです。VNXe ストレージ システムは、CIFS 共有向けの
Microsoft Server Message Block(SMB)2.0 をサポートします。SMB 2.0 プロ
トコルは、Microsoft Windows Server 2008 と Microsoft Windows 7 を実行
するシステム上で Unicode 3.0 標準のすべての文字をサポートします。
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6
•
共有:共有フォルダーまたは VMware VMFS データストアを通じてアクセス可能
な共有フォルダー ストレージ(マウント可能な名前付きインスタンス)。各共有に
は、共有が置かれている共有フォルダーに対して定義されたプロトコル(NFS ま
たは CIFS)を使用してアクセスできます。
•
共有フォルダー:ファイルおよびフォルダーを共有するために個別のファイル シ
ステムへのアクセスを提供する VNXe ストレージ リソース。共有フォルダーには、
Windows 共有(CIFS プロトコルに従ってデータを転送)または NFS 共有(NFS
プロトコルに従ってデータを転送)のいずれかが含まれます。NFS 共有は、NFS
エクスポートと呼ばれる場合もあります。
•
共有フォルダー サーバー:CIFS プロトコルまたは NFS プロトコルを使用して、
指定された共有内でファイルのカタログ化、整理、転送を行う VNXe サーバー。
CIFS 共有、NFS 共有、NFS VMware データストアのいずれかを含む共有フォル
ダーを作成するには、共有フォルダー サーバーが必要となります。
•
スナップショット:ストレージ システム上に格納されたデータの読み取り専用のポ
イント イン タイム コピー。スナップショットからファイルを回復できます。
•
ストレージ プール:特定のストレージ プロファイルを使用して構成されたディスク
ドライブのコレクション。ストレージ プロファイルでは、ストレージを提供するため
に使用されるディスクのタイプと、ディスクに構成される RAID タイプが定義され
ます。ストレージ プールの構成では、プールに関連づけられるディスクの数とスト
レージの容量が定義されます。
•
SP(ストレージ プロセッサ):ストレージ リソースの作成、管理、監視などのストレ
ージ操作を実行するための処理リソースを提供するハードウェア コンポーネント。
•
Unisphere:ストレージ リソースの作成、格納されているデータの保護の構成と
スケジュール、その他のストレージ操作の管理および監視を行うための Web ベ
ースの管理環境。
•
仮想プロビジョニング™:必要に応じてより大規模な予約リソースからストレージを
割り当てるために使用される VNXe ストレージ機能。全リソースの一部分をスト
レージ エレメントに最初に割り当てることを初期割り当てといいます。
VNX ユニファイド ストレージ ファミリ
VNX ファミリは、ミッドレンジとローエンドに相当する EMC の次世代ストレージ プラ
ットフォームです。VNX ファミリ(図 1)は VNX シリーズと VNXe シリーズで構成され
ます。
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図 1:VNX ファミリのモデル
エントリー レベルの VNXe シリーズは、 VNXe3100、VNXe3150、VNXe3300 の
3 モデルです。このエントリー レベル モデルでは、IP ネットワーク経由でストレージ
機能を利用できます。iSCSI、CIFS、NFS の各プロトコルをサポートします。VNXe は、
低価格で設置面積が少なくて済むため、Exchange、VMware、Hyper-V、ファイ
ル サーバー向けのストレージの統合に関心を持つ中小企業および支店に最適です。
VNXe シリーズは、ストレージに関する専門知識があまりない IT ゼネラリスト向けに
設計されています。管理インタフェースである Unisphere は直感的に使用でき、ア
プリケーション管理者はアプリケーション レベルでストレージのプロビジョニング、管
理、監視を実行できます。Unisphere の一元化された GUI を使用して VNXe ストレ
ージ システムを容易に管理でき、VMware サーバーおよび Hyper-V サーバーとも
統合できます。
VNX シリーズは、中堅企業から大企業の環境向けに設計されています。ローエンド
モデルである VNX5100 は、ファイバ チャネルのみのフロントエンド接続性に特化し
たモデルです。VNX5300 から VNX7500 までのモデルは、ファイル環境、ブロック
環境、統合環境(ファイルとブロックの混在)に合わせて構成できます。VNX モデル
は、仮想環境向けに最適化された、シンプルかつ効率的な高性能ソリューションで
す。単独または複数の Symmetrix®アレイ、CLARiX®アレイ、VNX アレイのいずれ
か、またはその組み合わせに対するゲートウェイ アクセスを必要とする環境には、
EMC VG2 プラットフォームと VG8 プラットフォームを使用する必要があります。
VNX シリーズの詳細については、EMC Powerlink®で「Introduction to EMC
VNX Series Storage Systems」ホワイト ペーパーを参照してください。
VNXe Series
VNXe シリーズ ストレージ システムは、アプリケーション データ ストレージのプロビ
ジョニング、管理、監視を行うための統合プラットフォームとなります。各ストレージ
システムでは、効率の高い iSCSI ブロック ストレージとアクセス性に優れたファイル
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ベース ストレージのどちらも利用できるため、ユーザーはネットワーク接続を経由し
てファイルとデータを扱うことができます。
VNXe では、次のプロトコルを使用してストレージ リソースにアクセスできます。
•
iSCSI:ネットワーク接続を経由して iSCSI プロトコルを使用することにより、ブロッ
ク レベルのデータ ストレージ リソースにアクセスできます。CHAP クライアント/
サーバー認証と iSNS の検出および管理もオプションとしてサポートされます。
•
NAS(ネットワーク接続型ストレージ):ネットワーク接続を経由してストレージに
アクセスする多様なクライアントおよびアプリケーションで利用できるファイル ベ
ース ストレージ。特定のプロトコルを使用するファイル システムはこのストレージ
システムに置かれ、管理されます。ファイル共有プロトコルである CIFS または
NFS を使用し、TCP/IP を利用してデータがホストに転送されます。
図 2 に示すように、VNXe ストレージ システムでは特定のアプリケーションのニーズ、
ホスト オペレーティング システム、ユーザーの要件に合わせたストレージ リソースを
提供できます。Unisphere を使用して、次のタイプのストレージ リソースを作成、構
成、監視することができます。
•
Microsoft Exchange:ユーザー数、ユーザー メールボックスの平均サイズなど
の単純なパラメーターに基づいて、Microsoft Exchange データベース、ログ フ
ァイル、パブリック フォルダーを格納するためのリソースを提供します。
•
共有フォルダー:ホストでデータを格納し、共有フォルダーと共有に簡単にアクセ
スできるようにします。共有フォルダーと共有は、次の環境にシームレスに統合さ
れています。

ファイル共有に CIFS プロトコル、認証に Microsoft Active Directory、フォ
ルダーの権限に Windows ディレクトリ アクセスを使用する Windows 環境。

Microsoft Active Directory ドメインが存在しない Windows 環境。

ファイル共有に NFS プロトコルを使用し、フォルダーの権限に POSIX アクセ
ス制御リストを使用する Linux/UNIX 環境。
•
汎用 iSCSI: iSCSI プロトコルを使用して仮想ディスク形式のストレージにアクセ
スするホストとアプリケーション向けの汎用ブロック レベル ストレージを提供しま
す。
•
VMware: NFS プロトコルまたは VMFS プロトコル(iSCSI 経由)を使用してアクセ
スできるデータストアを介して、VMware 仮想マシン向けのストレージを提供し
ます。
•
Hyper-V: iSCSI プロトコルを使用して Windows Server 2008 ホストにアクセス
できるデータストアを介して、Hyper-V 仮想マシン向けのストレージ(仮想ハード
ディスク ドライブ、構成ファイル、スナップショットなど)を提供します。
VNXe シリーズ ストレージ システムでは、超高パフォーマンスのフラッシュ ドライブ、
高パフォーマンスの SAS ドライブ、パフォーマンスと容量のバランスに優れたニアラ
イン SAS(NL-SAS)ドライブがサポートされます。このようなドライブからストレージ プ
ールを作成し、ホストとアプリケーションにストレージを割り当てることができます。
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図 2:VNXe シリーズのモデル
VNXe シリーズは、物理的なサーバー インフラストラクチャを所有する企業だけでな
く、サーバーの仮想化を促進してドライブの統合や効率の向上を目指す企業にも最
適なプラットフォームです。VNXe3100 と VNXe3150 はエントリー レベルの VNXe
ストレージ システムであり、ユーザー構成が小規模でパフォーマンス ニーズが低い
場合に高い価値をもたらします。このストレージ システムは、混在作業負荷で 500
ユーザーまでの小規模の企業およびアプリケーションをサポートできるように設計さ
れています。VNXe3300 システムは VNXe3100/3150 システムの使いやすさとア
プリケーション主体の管理機能をすべて備えているうえに、パフォーマンス、拡張性、
I/O 拡張性が強化され、パフォーマンス要件が高い、より大規模な構成での使用に
対応しています。VNXe3300 システムは、1,000 ユーザーまでの大規模な企業およ
びアプリケーションをサポートできるように設計されています。すべての VNXe シス
テムが、高い容量使用率、データ保護ソリューション、可用性ソリューション、高度な
サポート機能などの包括的な機能セットを備えています。
VNXe シリーズ ストレージ システムの主なメリットとしては、次のようなものがあり
ます。
•
ストレージ統合:VNXe システムにはアプリケーションによるストレージ管理が統
合されており、ベスト プラクティスをユーザー インタフェースに組み込み、ユーザ
ーが日常的な管理タスクを簡単な操作で迅速に実行できるようにしています。
•
シンプルで効率的なユニファイド ストレージ:VNXe システムは、NAS 環境およ
び iSCSI 環境向けの統合 IP ストレージを実現します。アプリケーション中心の管
理とプロビジョニング ウィザードにより、ユーザーが短期間で習熟できるだけでな
く、スナップショットやレプリケーションをストレージ管理ワークフローに統合するこ
とで運用が合理化され、広範囲に均一なデータ保護が適用されます。
•
小型のストレージ プラットフォーム:VNXe システムは非常に設置しやすい設計
になっており、デュアル コントローラはわずか 2U~3U のラック スペースに取り
付けることができます。
VNXe シリーズのその他の機能については、以後のセクションで説明します。
ハードウェアの概要
VNXe3100/3150 システムでは、1 個の SP で最大 50 台のディスクをサポートする
構成と、2 個の SP で最大 100 台のディスクをサポートする構成を使用できます。
VNXe3100/3150 のシングル ストレージ プロセッサ モデルでは、空のストレージ プ
ロセッサ スロットのキャッシュ保護モジュールでライト キャッシュのコンテンツのコピ
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ーが保持されます。シングル SP の VNXe3100/3150 システムは、元のデータを保
持したままデュアル SP の VNXe3100/3150 システムにアップグレードすることがで
きます。ただし、アップグレード中はデータにアクセスできなくなります。VNXe3300
システムは 2 個の SP を搭載し、最大 150 台のディスクをサポートします。
VNXe のすべてのモデルで、1 つの SAS バックエンド バスに DAE(ディスク アレイ
エンクロージャ)をデイジー チェーンすることで、さらにディスクを追加することができ
ます。表 1 では、VNXe ストレージ システムの各モデルのハードウェア機能を比較し
ています。
表 1:VNXe3100、VNXe3150、VNXe3300 の詳細
VNXe3100
SP数
VNXe3150
VNXe3300
シングルSP
デュアルSP
シングルSP
デュアルSP
1
2
1
2
フォーム ファクタ
(最小数)
2U
2
3U
DAEの最大数
1(2.5インチ)
3(3.5インチ)
3(2.5インチ)
7(3.5インチ)
1(2.5インチ)
3(3.5インチ)
3(2.5インチ)
7(3.5インチ)
3(2.5インチ)
7(3.5インチ)
ドライブの
最小数/最大数
6/50
6/100
6/50
6/100
6/150
ドライブ オプション
100 | 200 GBフラッシュ
300 | 600 | 900 GB SAS
1 | 2 | 3 TB NL-SAS
100 | 200 GBフラッシュ*
**
300 | 600 | 900 GB SAS
300 | 600 | 900 GB
1 | 2 | 3 TB NL-SAS
SAS
1 | 2 | 3 TB NL-SAS
DPE
オプション
3.5インチSAS/NL-SAS×12
2.5インチ フラッシュ/SAS×25
3.5インチSAS/NL-SAS×12
CPU
システムあたりのメモリ
3.5インチ フラッシュ/
SAS/NL-SAS×15
2.5インチ フラッシュ/
SAS×25
Intel Xeonデ
ュアル コア×1
Intel Xeonデ
ュアル コア×2
Intel Xeonク
ワッド コア×1
Intel Xeonク
ワッド コア×2
Intel Xeonクワッド コア×
2
4 GB
8 GBまたは
16 GB
4 GB
16(GB)
24 GB
バックエンド接続/
バックエンド ポート数
6 Gb SAS/1
6 Gb SAS/1
1台のSPに装備される
I/Oポート数
1 GbE×2
4 x 1 GbE
SPあたり構成可能な
1
2
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VNXe3100
シングルSP
VNXe3150
デュアルSP
シングルSP
VNXe3300
デュアルSP
I/Oスロット
Flex I/Oモジュールあた
りのポート オプション
1 GBaseT Ethernet×4
10 GBaseT Ethernet×2
1 GBaseT Ethernet×4
10 G Ethernet×2
10 GBaseT Ethernet×2
1/0、5、6
1/0、5、6
LAN 2 x 10/100/1000銅線GbE
LAN 2 x 10/100/
1000銅線GbE
RAIDオプション
管理
制限事項とサポート
サポートされるLUN
の最大数
128
256
128
256
512
LUNの最大サイズ
2 TB
2 TB
最大ファイル システム
サイズ
16 TB
16 TB
未フォーマット時の最大
容量
192 TB
240 TB
最大イニシエータ数
256
256
* フラッシュ ドライブは 2.5 インチ ドライブ タイプのみ
** 200 GB フラッシュ ドライブは 2.5 インチ ドライブ タイプのみ
SP あたりのアドレス可能容量の合計値は、ストレージ システムに構成されている未
フォーマット容量によって決まります。SP ごとの制限はありません。
ドライブ タイプの比較
VNXe3100 ストレージ システムでは SAS ドライブと NL-SAS ドライブがサポートされ
ますが、VNXe3150 および VNXe3300 ストレージ システムではフラッシュ ドライブ、
SAS ドライブ、NL-SAS ドライブがサポートされます。フラッシュ ドライブが推奨される
のは、非常に短いレスポンス タイムと高スループットが求められる、パフォーマンス
重視のアプリケーションまたはアプリケーションの一部です。SAS ドライブは、大容量
および高パフォーマンス要件が求められる環境では引き続き推奨されます。フラッシ
ュ ドライブと SAS ドライブは、読み取り処理と書き込み処理を頻繁に行う必要がある
データベース アプリケーションなどのアプリケーションに適しています。NL-SAS ドラ
イブは、中程度のパフォーマンスと大容量が求められる環境に推奨されます。さらに、
NL-SAS ドライブを使用することで消費電力が少ない大容量ストレージを低コストで
構築できます。NL-SAS ドライブは、ビデオ ファイル、オーディオ ファイル、イメージな
ど、それほど頻繁に使用されないデータを大量に格納する用途に適しています。パ
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フォーマンスの要件がそれほど厳しくないアプリケーションを使用するユーザーにも
推奨されます。
RAID タイプ
VNXe システムを最初に構成したとき、またはドライブを追加したときに、ドライブが
ストレージ プールの一部として構成されます。ストレージ プールは、従来のストレー
ジ システムのプロビジョニングに代わる、経済的で使いやすい手法です。
各ストレージ プールには、目的の容量とドライブ特性が設定された RAID グループ
が 1 つ含まれます。サポートされる RAID レベルは、5、6、1/0 です。ストレージ プ
ールを構成した後は、そのプールの RAID タイプを変更できないことに注意してくだ
さい。
ドライブの最初のセットに置かれた RAID グループには、VNXe システムのオペレー
ティング環境が格納されます。RAID 5 構成を選択した場合、ホット スペアが自動的
に含まれます。
RAID 5 はトランザクション処理に最適であり、汎用ストレージ、リレーショナル デー
タベース、エンタープライズ リソース システムでよく使用されます。MB あたりのコス
トがかなり低く、しかも冗長性が確保されます。RAID 5 ではデータがブロック レベル
で複数のディスクにストライピングされます。また、パリティ データも複数のディスク
に分散配置されます。パリティ データ専用ディスクは存在しません。分散パリティで
はすべてのディスクが使用されます。ディスクで障害が発生するとストレージのパフ
ォーマンスが低下するため、そのディスクをすぐに交換する必要があります。ただし、
ディスクが 1 台故障しただけでは、データ消失は起こりません。
RAID 6 ストレージ プールは RAID 5 と同じタイプのアプリケーションに適しています
が、特に、フォルト トレランスの重要性が高い用途に向いています。RAID 6 は
RAID 5 に似ていますが、ダブル パリティが使用され、さらにパリティがすべてのディ
スクに分散配置されます。このため、フォルト トレランスと耐ディスク障害性が非常に
高くなっています。RAID 6 ではデータはブロック レベルでストライピングされ、パリテ
ィ データがすべてのディスクに分散配置されます。この RAID 構成では、最大 2 台
のディスクで障害が発生してもストレージ システムの運用が継続されます。RAID 6
では、ストレージ プールの再構築が完了する前にさらに別の 1 個のディスクで障害
が発生した場合でもデータが失われないため、再構築の作業時間を確保できます。
RAID 1/0 ストレージ プールの場合、高パフォーマンスと信頼性を中程度のコストで
実現できますが、ディスクあたりの有効容量は少なくなります。RAID1/0 は、エンタ
ープライズ サーバーや中規模データベース システムなど、高速性や高い処理能力
が必要とされるアプリケーションに適しています。VNXe システムで RAID 1/0 ストレ
ージ プールを構築するには、ストライピングされるディスク 1 セット内で 3 セットのデ
ィスクをミラーリングしてフォルト トレランスを確保するため、最低 6 台の物理ディス
クが必要です。ミラーリングによってフォルト トレランスを確保しますが、この構成で
はミラーリング ペアの両方のディスクで障害が発生すると処理不能になるため、い
ずれかのディスクで障害が発生したときには速やかにディスクを交換してプールを再
構築する必要があります。
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ソフトウェアの概要
ここでは、VNXe システムで使用できるソフトウェア機能について説明します。
初期構成
VNXe システムを最初に設定するときに、管理インタフェースに IP アドレスを割り当
てる必要があります。この IP アドレスは、DHCP によって動的に取得するか、
Connection Utility を使用して取得できます。
VNXe ストレージ システムの初回起動時に、ネットワーク上の DHCP サーバーから
IPv4 アドレスを VNXe システムの管理インタフェースに割り当てることができます。
または、Connection Utility を使用して、VNXe ストレージ システムを管理するた
めの IP アドレスを確立します。このユーティリティは、製品サポート ページから直接
ダウンロードできます。VNXe ストレージ システムと同じサブネット上にあるコンピュ
ータで Connection Utility を実行すると、未構成の VNXe システムが自動検出さ
れます。別のサブネット上で Connection Utility を実行した場合は、構成データを
USB ドライブに保存し、VNXe システムに移すことができます。
VNXe システムを構成したら、この管理用 IP アドレスを使って Web ブラウザから
VNXe システムに接続することができます。
VNXe ストレージ システムに初めて接続したときには、VNXe 構成ウィザードが自
動的に起動されます。このウィザードでは、VNXe システムの初期構成を設定できま
す。初期構成を設定したら、ストレージ リソース作成作業を開始できます。構成ウィ
ザードでは次のパラメーターを設定できます。
•
ユーザー「admin」のログイン パスワード
•
「service」アカウントのサービス パスワード
•
DNS サーバーと NTP サーバー
•
共有フォルダー サーバーと iSCSI サーバー(オプション)
•
ディスク プール(オプション)
•
製品サポート オプション用の SMTP サーバー(オプション)
•
EMC オンライン サポート認証情報(オプション)
•
ESRS(EMC Secure Remote Support)
構成ウィザードを実行した後に、VNXe システムでサポートされるソフトウェアおよび
機能を利用するためのライセンス ファイルをダウンロードし、インストールできます。
VNXe ライセンス ファイルのダウンロードとインストールの詳細については、「EMC
Unisphere for VNXe: Next-Generation Storage Management」ホワイト ペ
ーパーを参照してください。このホワイト ペーパーは EMC オンライン サポート用
Web サイト(https://support.emc.com)の「VNXe 製品」ページからダウンロー
ドできます。
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Unisphere
Unisphere は、VNXe シリーズ ストレージ システムの監視と管理に使用されるグラ
フィカル ユーザー インタフェースです。Unisphere には、次の機能を提供するツー
ルがあります。
•
Microsoft Exchange サーバー、VMware サーバー、データベース、ネットワ
ーク ホストのデータのストレージ リソースと、共有フォルダーおよび共有を使用
するユーザーを作成、構成、管理する。
•
Active Directory、NFS、iSCSI の制御を使用して、ユーザー、アプリケーション、
ホスト向けにストレージ リソースへのアクセスを設定する。
•
詳細な視覚的レポート サービスによってストレージの動作とシステム ステータス
を監視する。
•
ストレージ システムのパフォーマンスを監視する。
•
格納されたデータのポイント イン タイム スナップショットの記録を自動的にスケ
ジュール設定することで、ファイルおよびデータを保護する。
•
別のストレージ システムを使用してローカル レプリケーションとリモート レプリケ
ーションを設定することで、ファイルおよびデータを保護する。
•
消失したデータや使用不可になったデータを、記録されたスナップショット イメー
ジから迅速かつ簡単にリカバリする。
•
FAQ ドキュメント、ハウ ツー ビデオ、オンラインのディスカッション フォーラム、
チャット セッションなど、VNXe エコシステム リソースにアクセスする。
•
NDU(無停止アップグレード)プロセスを使用し、VNXe シリーズ ストレージ シス
テムのソフトウェア コードをダウンロードして更新する。
Unisphere のホーム ページ(図 3)からは、ネットワーク アクセスが可能なデータ ス
トレージの設定、データ保護のスケジュール設定、システムの稼働状態とパフォーマ
ンスの監視を行うことができます。
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
15
図 3:Unisphere ホーム ページ
Unisphere ホーム ページでは、次の操作を実行できます。
•
システムの稼働状態、容量、パフォーマンスに関する情報を監視する。
•
言語設定とパスワード設定を指定することで、管理インタフェースのシステム環
境設定を設定する。
•
サポート情報とアクセス情報のリソースを取得する。
VNXe シリーズ ストレージ システム向けの Unisphere の詳細については、「EMC
Unisphere for VNXe: Next-Generation Storage Management」ホワイト ペ
ーパーを参照してください。このホワイト ペーパーは EMC オンライン サポート用
Web サイト(https://support.emc.com)の「VNXe 製品」ページからダウンロー
ドできます。
ストレージ プロビジョニング
VNXe システムがサポートするストレージのタイプは、このシステム上で実行される
ように構成されているストレージ サーバーのタイプ( iSCSI サーバー、共有フォルダ
ー サーバー、またはその両方)によって決まります。VNXe ストレージ サーバーは
VNXe 構成ウィザードを使用して構成できます。ストレージ サーバーを追加する必
要がある場合は、Unisphere の[設定]ページを使用します。
表 2 に、サポートされる VNXe ストレージのタイプを示します。この表では、各ストレ
ージ タイプについて、そのストレージ タイプにアクセスできるホストの種類、そのスト
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
16
レージ タイプで管理されるオブジェクト、そのストレージ タイプの管理に必要な
VNXe ストレージ サーバーのタイプも示しています。
表 2:VNXe ストレージの詳細
ストレージ タイプ
ホスト
管理オブジェクト
ストレージ サーバー
Microsoft
Exchange
Windows ホストで実行
される Microsoft
Exchange
サーバー
Exchange ストレージ グ
ループ、仮想ディスク
iSCSI サーバー
Linux/UNIX ホスト
共有フォルダーと共有
(NSF)
NFS が有効な共有フォルダー
サーバー
Windows ユーザー/
グループ
共有フォルダーと共有
CIFS が有効な共有フォルダー
サーバー
ストレージへの接続に
iSCSI を使用する
Windows ホストまたは
Linux/UNIX ホスト
iSCSI 仮想ディスク
iSCSI サーバー
共有フォルダー
汎用 iSCSI
VMware
Hyper-V
NFS データストア
NFS 経由でアクセスするデー
タストア用の共有フォルダー
サーバー(NFS が有効)
VMFS データストア
iSCSI 経由でアクセスするデ
ータストア用の iSCSI サーバ
ー
VMware ホスト
Windows Server 2008
ホスト
Hyper-V データストア
iSCSI サーバー
Exchange ストレージ
VNXe の Microsoft Exchange ストレージ リソースは、Microsoft Exchange
2003/2007 サーバーまたは Exchange 2010 サーバーの動作をサポートするため
に最適化されています。ストレージを Exchange サーバー用に構成するときには、
Exchange サーバーの要件と Microsoft のベスト プラクティスの推奨事項に従っ
て、VNXe によって必要なストレージ グループが作成され、構成されます。
Exchange サーバーが Exchange ストレージ グループに接続すると、このストレ
ージにローカル リソースと同様にアクセスすることができます
Exchange ストレージ リソースは、特定の Exchange サーバーに割り当てられて
いる iSCSI ストレージ グループのためのコンテナです。各 Exchange コンテナには
1 個以上のストレージ グループを含めることができます。含まれるストレージ グルー
プの数は、Exchange サーバーでサポートされるメールボックスの数、メールボック
スの平均サイズ、または Exchange サーバーで使用されるデータベース、ログ、パ
ブリック フォルダーのサイズに基づいて決まります。
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
17
それぞれのストレージ グループは、Exchange サーバー データを格納する管理対
象リソースです。各グループには、サーバー データベース仮想ディスクおよびログ
ファイル仮想ディスクが含まれています。また、パブリック フォルダー仮想ディスクが
含まれていることもあります。
図 4:Microsoft Exchange ウィザード
Unisphere の Exchange に関する[詳細]ビュー(図 4)には、作成時に指定した平
均メールボックス サイズに基づいて、サポートされるメールボックスの数が表示され
ます。この数は、Exchange サーバー上の実際のメールボックスの数ではありま
せん。
共有フォルダー
共有フォルダーと共有は、Windows ホストおよび Linux/UNIX ホストがネットワーク
接続経由でアクセスできるファイルベースのストレージ リソースを提供します。共有
フォルダーは、特定の容量のストレージとファイル アクセス プロトコル(CIFS または
NFS)が設定された、ファイル ベースのストレージ リソースです。共有は、ホストから
共有フォルダーにアクセスする際に使用されるアクセス ポイントです。
システムでファイル ベース ストレージが有効になっている場合、共有フォルダー
サーバーによって共有フォルダーのファイル システムが保守および管理され、ファイ
ル共有プロトコル(CIFS または NFS)を使用してホストとの間でデータが転送されま
す。共有が CIFS 共有と NFS 共有のどちらであるかに応じて、VNXe 共有に対する
アクセスのタイプが変わります。
Unisphere を使用して VNXe システムに共有フォルダー サーバーを作成する場合、
CIFS プロトコルと NFS プロトコルのどちらかを有効にするか、その両方を有効にす
ることができます。これによって、この共有フォルダー サーバーを使用して作成でき
る共有フォルダーの種類が決まります。ただし、共有フォルダー サーバーで CIFS プ
ロトコルと NFS プロトコルを有効にしても、VNXe システムに作成できるのは 1 種類
のプロトコルの共有フォルダーのみです(図 5 を参照)。たとえば、共有フォルダーの
作成時に CIFS プロトコルを選択した場合、その共有フォルダーに作成できるのは
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
18
CIFS 共有のみです。新しい共有フォルダーを作成して NFS を有効にすることで、そ
の VNXe システムに NFS 共有を作成することができます。
図 5:共有フォルダー ウィザード
共有フォルダー サーバー(CIFS)はドメイン参加サーバーまたはスタンドアロン サー
バーとして作成できます。ドメイン参加サーバーはドメイン ベースの Kerberos 認証
を使用して構成できます。ドメイン参加サーバーはドメインで自分の資格情報を保持
し、ドメイン情報を利用してドメイン コントローラなどのサービスを特定します。スタン
ドアロン サーバーは Windows ドメインにアクセスできません。このようなサーバー
はテスト環境や開発環境に適しています。
Unisphere では、共有フォルダー ウィザードの[Results]ウィンドウでレプリケーショ
ンのオプションを選択できます。このウィザードではデフォルトで、共有フォルダーの
レプリケーションが無効になっています。
レプリケーションは、ローカル、リモート、またはその両方で実行できます。ローカル
レプリケーションでは、ローカル システムに共有フォルダーのレプリカを作成します。
リモート レプリケーションでは、ネットワーク上の別のシステムに共有フォルダーのレ
プリカを作成します。共有フォルダーをレプリケーションする場合、共有フォルダー ウ
ィザードを終了すると、レプリケーション セッション ウィザードが表示されます。共有
フォルダー ストレージ リソースのレプリカを作成しない場合でも、後でレプリケーショ
ンを実行できます。
汎用 iSCSI ストレージ
汎用 iSCSI ストレージ リソースを使用した場合、ホストからネットワーク ベースの
iSCSI 接続を使用して、汎用のブロック レベル ストレージにアクセスできます。また、
ブロック ストレージ リソースのアドレス可能なパーティションを管理できるので、ホス
ト システム上で IP 接続を使用して、これらのストレージ リソース(仮想ディスク)をマ
ウントして使用することができます。ホスト上で汎用 iSCSI 仮想ディスクに接続すると、
その仮想ディスクをローカル ストレージ ドライブのように使用することができます
たとえば、データベース アプリケーションでデータベース用に 1 つの仮想ディスク、
ログ ファイル用にもう 1 つの仮想ディスクが必要であるとします。この仮想ディスクを
汎用 iSCSI アプリケーションに追加すると、Unisphere では同じ汎用ストレージ アプ
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
19
リケーションの下にその仮想ディスクが表示されます。図 6 に、2 個の仮想ディスク
を含む iSCSI アプリケーションを示します。
図 6:2 個の仮想ディスクを含む iSCSI ストレージ アプリケーション
Unisphere では、汎用 iSCSI ストレージに関連づけられている仮想ディスクの作成、
表示、管理、削除を行うことができます。また、汎用 iSCSI ストレージ ウィザードを使
用して保護ストレージを構成することもできます。ストレージ リソースを必要とするサ
ード パーティのバックアップ アプリケーションをサポートするために、VNXe では、
保護が無効な場合でも、割り当てられたストレージの最小限の割合(5%)を保護用
に自動的に予約します。汎用 iSCSI ストレージ リソースの作成後に、リソースに割り
当てられたプライマリ ストレージと保護ストレージの容量を増やすことはできますが、
減らすことはできません。
保護ストレージについては、このホワイト ペーパーで後ほど説明します(詳細につい
ては「データ保護」を参照)。
VMware ストレージ
Unisphere では、VMware vCenter™サーバーおよび VMware ESX®ホストから
の使用に最適化されたストレージ リソースを作成できます。VMware データストア
には、特定のストレージ容量と特定のストレージ アクセス タイプ(VMFS または NFS)
が関連づけられています。データストア設定を構成する VNXe VMware Storage
ウィザードを使用して、VMware データストアを構成できます。
VMFS データストアの場合、ストレージ システム上に iSCSI 共有フォルダー サーバ
ーが必要です。同様に、NFS データストアも共有フォルダー サーバーが使用できる
必要があります。VNXe システムにおける汎用 iSCSI ストレージの制限事項は、
VMware VMFS データベースにも適用されます。VMFS データストアの作成後に、
リソースに割り当てるプライマリ ストレージと保護ストレージの容量を増やすことはで
きますが、減らすことはできません。
[Unisphere Hosts]タブのウィンドウでは、ネットワークから VMware ESX サーバ
ーと vCenter サーバーの情報を検出し、Unisphere に追加することができます。
VMware ホスト情報を Unisphere にインポートすると、これらのサーバーに展開さ
れている仮想マシンの情報が表示され、自動的に更新されます。さらに、Unisphere
を使用して VMware データストアを作成すると、新しいストレージが自動的にスキャ
ンされ、ESX サーバーで使用できるようになります。
Hyper-V ストレージ
Hyper-V データストアを使用した場合、ホストからネットワーク ベースの iSCSI 接続
を使用して、汎用のブロック レベル ストレージにアクセスできます。Hyper-V を実行
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
20
している Windows Server ホストを使用して、IP 接続経由でリソース(仮想ディスク)
をマウントおよびフォーマットし、仮想ディスクをローカル ストレージ ドライブのように
使用することができます。これにより、Hyper-V 仮想マシンでストレージを使用でき
るようになります。Unisphere の Hyper-V ストレージ ウィザードでは、ストレージ シ
ステムに iSCSI ストレージ サーバーを構成するように求められます。
VNXe システムで汎用 iSCSI ストレージに適用される制限事項は、Hyper-V ストレ
ージにも適用されます。Hyper-V データストアの作成後に、リソースに割り当てるプ
ライマリ ストレージと保護ストレージの容量を増やすことはできますが、減らすことは
できません。
ストレージ プールの特性
VNXe ストレージはストレージ プールに含まれます。ストレージ プールは、同様の
種類および速度のディスクをグループ化したものです。ストレージをアプリケーション
用途に割り当てた場合、ストレージ プールのタイプを選択できます。VNXe のモデル
とそのディスク構成に応じて、新しいストレージに対してさまざまなストレージ プール
を選択することができます。使用されているディスクのタイプに応じて、システムによ
って自動的にストレージ プールを作成することも、ウィザードを使用してカスタマイズ
したストレージ プールを作成することもできます。
表 3 に、VNXe システムで作成できるストレージ プールのタイプを示します。
表 3:VNXe ストレージ プールの特性
ストレージ プールのタイプ
VNXe3100
VNXe3150
VNXe3300
最大パフォーマンス プール
(デフォルト)
該当なし
4+1 RAID 5(フラッシュ)
4+1 RAID 5(フラッシュ)
4+1 RAID 5(SAS)
4+1 RAID 5(SAS)
6+1 RAID 5(SAS)
4+2 RAID 6(NL-SAS)
4+2 RAID 6(NL-SAS)
4+2 RAID 6(NL-SAS)
6+1 RAID 5(SAS)
6+1 RAID 5(SAS)
6+1 RAID 5(SAS)
3+3 RAID 1/0(SAS)
3+3 RAID 1/0(SAS)
3+3 RAID 1/0(SAS)
4+2 RAID 6(NL-SAS)
4+2 RAID 6(NL-SAS)
4+2 RAID 6(NL-SAS)
パフォーマンス プール
(デフォルト)
容量プール
(デフォルト)
カスタム プール
自動ディスク構成を有効にすると、システムは使用可能なディスクの数とタイプに基
づいて、既存のディスクを容量プール、パフォーマンス プール、最大パフォーマンス
プールのいずれかに割り当てます。
•
NL-SAS ディスクは、RAID 6(4+2)のグループに 6 の倍数で割り当てられ、スペ
ア ディスクは割り当てられません。たとえば、45 台の NL-SAS ディスクがある場
合、容量プールは 42 台のディスクを使用し(6 台のディスク グループが 7 つ)、
スペア ディスクは割り当てられないので、3 台のディスクが割り当てられずに残り
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
21
ます。必要であれば、NL-SAS ディスクを使用したホット スペアを手動で作成でき
ます。
•
VNXe3300 システムの場合、SAS ディスクは、RAID 5(6+1)グループに 7 の倍
数で割り当てられます。最初の 0~30 のディスクに 1 つのスペア ディスクが割り
当てられます。以降、30 台のディスク グループごとに新しいスペア ディスクが割
り当てられます。たとえば、45 台の SAS ディスクがある場合、パフォーマンス プ
ールは 42 台のディスクを使用し(7 台のディスク グループが 6 つ)、2 台のスペ
ア ディスクが割り当てられ、1 台のディスクが割り当てられずに残ります。
•
VNXe3150 システムと VNXe3300 システムの場合、フラッシュ ドライブが RAID
5(4+1)グループに 5 の倍数で割り当てられます。ドライブが余った場合に、スペ
ア ディスクが割り当てられます。たとえば、11 台のフラッシュ ドライブがある場合、
最大パフォーマンス プールは 10 台のディスクを使用し(5 台のディスク グルー
プが 2 つ)、1 台のスペア ディスクが割り当てられます。10 台のフラッシュ ドライ
ブがある場合は、最大パフォーマンス プールが 10 台のディスクを使用し、ホット
スペアは 0 になります。
•
VNXe3100/3150 システムの場合、SAS ディスクは RAID 5(4+1)グループに 5
の倍数で割り当てられます。最初の 0~30 のディスクに 1 つのスペア ディスク
が割り当てられます。以降、30 台のディスク グループごとに新しいスペア ディス
クが割り当てられます。たとえば、45 台の SAS ディスクがある場合、パフォーマ
ンス プールは 40 台のディスクを使用し(5 台のディスク グループが 8 個)、2 台
のスペア ディスクが割り当てられ、3 台のディスクが割り当てられずに残ります。
ストレージ プールを自動構成するのではなく、カスタム ストレージ プールを構成する
ことで、個々のアプリケーションと使用パターンに応じてストレージを最適化し、特定
のレベルのパフォーマンス、容量、コスト効率を達成することができます。Unisphere
のディスク構成ウィザードには、次のカスタム プール構成オプションがあります。
•
アプリケーションの用途に最適化:ストレージを使用するアプリケーションの種類
およびストレージの使用予測(汎用、バックアップ、データベースなど)に基づいて、
ストレージ プールのプロファイルを選択します。Unisphere では、アプリケーショ
ン プロファイルとして、Microsoft Exchange、汎用ストレージ、共有フォルダー、
VMware、Hyper-V を選択できます。
•
汎用の特性に最適化:ディスク タイプと汎用ストレージの特性に基づいて、
ストレージ プールを作成することができます。オプションとしては、[Balanced
Performance/Capacity]、[High Performance]、[High Capacity]、
[Best Performance]があります。
Unisphere で特定のアプリケーション向けにストレージ プールを作成する場合、プ
ールに割り当てられていないシステム内のストレージ容量に基づいて、さまざまなオ
プションが表示されます。表示されるオプションは、使用可能なディスクの数とタイプ、
アプリケーション プロファイルに関連づけられている RAID レベルによって異なりま
す。たとえば、RAID 1/0(3+3)構成で SAS ディスクを使用するプロファイルの場合、
6 台のディスクのグループにディスクを割り当てる必要があります。このオプションは、
選択したアプリケーション タイプとその意図されている用途に対する、各ディスク タ
イプの全体的な効率性を示すために定められています。
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
22
ストレージ プールを作成したら、新しいディスクを追加してプールの容量を増やすこ
とができます。ストレージ タイプ、RAID レベル、構成によって、各グループ内のプー
ルに割り当てることのできるディスク数が決まります。たとえば、RAID 6 を使用する
NL-SAS ディスクは 4+2 構成になるため、6 台のグループとしてディスクを割り当て
る必要があります。
図 7:ディスク構成ウィザード
Unisphere のディスク構成ウィザード(図 7)でも、VNXe システムのホット スペア デ
ィスクを構成できます。スペア ディスクは、データをアクティブに保存するために使用
するのではなく、障害が発生したディスクを自動的に置き換えるために使用します。
ディスク障害が発生したときにスペア ディスクが存在しない場合、スペア ディスクが
用意されるか障害が発生したディスクが交換されるまでの間、システムが縮退モード
で動作する可能性があります。この間に別の障害が発生すると、データが非常に危
険な状態になります。ディスク構成ウィザードを使用して、ホット スペア ディスクとし
て構成するストレージ ディスクの数を選択することができます。
データ保護
データは中小企業にとって最も価値ある資産の 1 つです。したがって、データの保
護を企業の最優先課題に含める必要があります。VNXe シリーズには、ビジネス継
続性とデータ保護というお客様の目標を達成するための機能が統合されています。
このホワイト ペーパーでは、VNXe システムのデータ保護について、 スナップショッ
トとレプリケーションという 2 つのカテゴリーにまとめて説明しています。これらの機
能の詳細については、「EMC VNXe Data Protection」ホワイト ペーパーを参照し
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
23
てください。このホワイト ペーパーは EMC オンライン サポート用 Web サイト
(https://support.emc.com)の「VNXe 製品」ページからダウンロードできます。
スナップショット
スナップショットは、VNXe システムに格納されたデータの仮想ポイント イン タイム
イメージです。スナップショットは、特定の日時のソース ストレージ内のコンテンツの
読み取り専用記録を提供しますが、データのミラー コピーではありません。ファイル
システムと仮想デバイスのスナップショットを定期的に作成することは、データ保護と
リカバリ要件を満たすための効果的なテクニックになります。
Unisphere では、ストレージ リソースが作成されるたびに、自動的に追加のストレー
ジ(保護ストレージと呼ばれます)がプロビジョニングされます。これは、ホスト、ユー
ザー、アプリケーションのデータを格納するために使用されるプライマリ ストレージと
は別に追加されます。プライマリ ストレージには、Microsoft Exchange サーバー
のデータ、共有フォルダー内のファイル、共有内のファイル、データなどを格納でき
ます。
保護ストレージは、スナップショットやサード パーティのレプリケーション データを格
納し、プライマリ ストレージのリストアまたはリカバリを実行するように、自動的にプ
ロビジョニングされます。すべてのストレージ リソースには、必要に応じてプライマリ
データの手動スナップショットをサポートするために最小容量の保護ストレージが用
意されています。
ストレージ リソースに対するプライマリ ストレージと保護ストレージは、別々に管理
できます。たとえば、あるストレージ リソースの保護ストレージを、そのプライマリ スト
レージに影響を及ぼすことなく、増やすことができます。汎用 iSCSI ストレージ リソー
ス、VMFS データストア、Hyper-V ストレージの場合、ホストに対して、プライマリ ス
トレージと保護ストレージへのアクセス パーミッションを別々に設定できます。ただし、
保護ストレージを作成した後で、保護ストレージのサイズを減らすことはできません。
Unisphere では、プライマリ ストレージのサイズに応じて保護ストレージのサイズを
自動調整することができます。この機能を有効にすると、VNXe はプライマリ ストレ
ージのサイズ変更に比例して保護ストレージのサイズを調整します。
VNXe ストレージ システムには、スナップショット スケジュールを使用してデータの
ポイント イン タイム コピーを作成することで、格納されたデータを保護する組み込み
ツールが用意されています。標準のスナップショット スケジュールを使用するか、カ
スタム スケジュールを作成するか、手動スナップショットを実行して、ストレージ チェ
ックポイントを作成できます。このチェックポイントを使用してデータをリストアまたは
リカバリできます。ソース データの重要性と揮発性に基づいて、スナップショットが取
得される日時と、システムでそのスナップショットを保持する期間を個別に指定する
繰り返しのスケジュールを定義できます。
VNXe には、次のストレージ タイプに対する手動(オン デマンド)スナップショットの
実行、スナップショット スケジュールの構成、スナップショットのリストアおよびリカバ
リの実行のためのツールが用意されています。
•
CIFS 共有フォルダー
•
NFS 共有フォルダー
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
24
•
VMware データストア(NFS を使用)
•
VMware データストア(iSCSI を使用)
•
汎用 iSCSI ストレージ
•
Hyper-V ストレージ
共有フォルダー スナップショットは共有フォルダー全体に対して実行されます。つま
り、共有フォルダーの一部だけのスナップショットを取得することはできません。先ほ
ど説明した iSCSI ストレージ リソースのスナップショットは、Unisphere を使用して取
得した場合、クラッシュ コンシステントです。ただし、スナップショットが取得される前
にアプリケーションが静止状態でなければ、アプリケーション コンシステントにはなり
ません。
EMC Replication Managerソリューションで、Exchange 1、VMware VMFSデー
タストア、Hyper-Vデータストア、汎用iSCSIストレージ向けのアプリケーション コンシ
ステントなスナップショットを作成し、管理します。Replication Managerは、別の
Windowsサーバー上で実行されます。UnisphereのCreate Storageウィザードを
使用して、アプリケーション用のストレージを割り当て、ストレージの保護を構成する
ことができます。
管理者は非表示のスナップショット ディレクトリへの共有パスの末尾に\.ckpt を追加
することで、共有にマウントされたホスト(NFS)または共有にマッピングされたホスト
(CIFS)からスナップショットにアクセスすることができます。CIFS 共有フォルダーの場
合のみ、Microsoft エクスプローラを使用して、共有の[プロパティ]ウィンドウの[以前
のバージョン]タブでスナップショットにアクセスすることもできます。また、Unisphere
でスナップショットから共有フォルダーをリストアすることで、特定の日時に記録された
ファイルやデータを取得することもできます。iSCSI ストレージ リソースの場合(汎用
iSCSI ストレージ、VMware VMFS データストア、Exchange ストレージ、Hyper-V デ
ータストアなど)、共有フォルダーのリストアに使用されたスナップショットの後で作成さ
れたスナップショットは破棄され、リカバリできなくなります。ただし、共有フォルダーと
VMware NFS データストアの場合は、すべてのスナップショットがシステム上に残り
ます。
保護スケジュールを利用してスナップショットの作成をスケジュール設定すると、
保護ストレージの容量が少なくなったときに、新しいスナップショットを保存できるよう
に最も古いスナップショットが削除されます。
VNXe システムでは、スナップショット スケジュールを選択するか、スナップショット
スケジュールをカスタマイズして、スナップショット操作(スナップショットの自動作成
および自動削除)を実行する定期的な時間を指定できます。管理者はスケジュール
内の一連のルールを選択することで、スナップショットが取得される間隔、頻度、時
間を指定できます。管理者が選択した保護スケジュールの複雑さに基づいて、必要
なストレージ保護領域の容量が計算されます。この値は必要に応じて調整できます。
Unisphere を使用して、iSCSI ボリューム上のアプリケーションに対してスナップショ
ット スケジュールを作成した場合、そのスナップショットをバックアップ目的に使用し
Exchange ストレージのスナップショットをスケジュール設定するには、Replication Manager を使用する必要がありま
す。
1
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
25
ないでください。さらに、Unisphere を使用して複数の汎用 iSCSI ストレージを作成し、
アプリケーションに提示している場合、スナップショットはクラッシュ コンシステントで
はありません。
VNXe システムでは、手動でスナップショットを作成することもできます。手動スナッ
プショットには、特定のストレージ リソースの特定の時点のオン デマンド イメージが
含まれます。この機能は、さまざまな状況で役に立ちます。たとえば、一定期間使用
できなくなるデータのスナップショット、異常事態や危険の影響を受けるおそれのあ
るデータのスナップショット、テストまたはデバッグに使用するデータのスナップショッ
トを作成できます。
9 倍向上
ストレージ レプリケーションは、ストレージ データをローカル環境内でまたはリモート
ネットワーク デバイスにコピーして二重化するプロセスです。レプリケーションを実行
すると、元ストレージ データの読み取り専用ポイント イン タイム コピーが生成されま
す。また、このコピーが定期的に更新され、元データとの整合性が維持されます。スト
レージ レプリケーションは、メイン ストレージ バックアップ システムが障害になった場
合に備えて、高度な冗長性を提供します。レプリケーションを使用することで、システ
ム障害発生時のダウンタイムに伴うコストを最小限に抑えるとともに、天災または人
災が発生した際のリカバリ プロセスを簡素化することができます。VNXe には、スト
レージ リソースのポイント イン タイム コピーを作成するための使いやすい非同期レ
プリケーション ツールが用意されています。スナップショットで保存されるのはデータ
に対する変更だけですが、このツールによって作成されるのはデータの完全なコピー
です。
レプリケーションには次の 2 つの種類があります。
•
ローカル レプリケーション:同じ VNXe システム内で実行されます。
•
リモート レプリケーション:ソース VNXe システムとリモート システム(VNXe、
VNX、Celerra)の間で実行されます。
CIFS 共有フォルダー、NFS 共有フォルダー、VMware NFS データストアなどのファ
イル レベル レプリケーションは、すべて VNXe 環境内だけで管理されます。
ブロック レベルのレプリケーション(Hyper-V、Exchange など)では、EMC
Replication Manager を活用して iSCSI レプリケーションを作成、スケジュール設
定、管理します。Replication Manager は、EMC のポイント イン タイム レプリケ
ーション技術を管理し、データ レプリケーション プロセス全体(多数のディスク ベー
ス レプリカの検出、構成、管理)を調整する役割を果たします。
VNXe OE 2.2.x では、汎用 iSCSI ストレージ リソースのレプリケーション セッションを
Unisphere 内で作成できます。レプリケーション セッションが作成されたら、
Replication Manager でそのセッションを見つけてレプリケーションをセットアップす
る必要があり
ます。
EMC Replication Manager には、iSCSI LUN のレプリケーションを管理するため
の GUI が備わっています。Replication Manager は、レプリカを作成する前に、
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
26
アプリケーションが静止状態であることと、キャッシュの内容が書き出されていること
を確認し、クライアント アプリケーション側でのレプリカの整合性が確保されるように
します。
VNXe システムでは、ソース システムとデスティネーション システムの同期の頻度
を指定することもできます。値は 5 分から 1,440 分(24 時間)までの範囲で設定しま
す。デフォルト値は 60 分です。6 時間より長い時間を設定すると、保護リザーブ スト
レージの量をアプリケーションのサイズの 10%に相当する量に増やすよう警告が表
示されます。デフォルトでは保護リザーブとして 5%が確保されており、6 時間以下の
設定ではこれで十分です。
ソース システムとデスティネーション システムの間にレプリケーション接続が確立さ
れたら、レプリケートされたデータセットに対して次の操作を実行できます。
•
レプリケーション フェイルオーバー:フェイルオーバーを実行するのは、本番サイ
トが使用不可となりアクセスもできなくなっている場合です。一般的には災害や
予期しないシステム停止の結果として発生する現象です。この場合、デスティネ
ーション システムからフェイルオーバーを実行できます。レプリケーション フェイ
ルオーバーの実行は自動的には行われず、手動での実行が必要です。フェイル
オーバー動作は非同期なので、フェイルオーバーの実行前にソースとデスティネ
ーションの間でデータが同期化されていなかった場合、データが消失します。
可能であれば、フェイルオーバーの実行前に「今すぐ同期」機能を実行して、本
番システムとデスティネーション システムを同期化し、データの消失を防いでくだ
さい。フェイルオーバー処理中は、デスティネーション システムへの読み取り/
書き込みアクセスが提供されます。本番アプリケーションがアクセス可能になると、
読み取り処理のみが許可されます。本番サイトを使用可能な状態にリストアした
後、本番システムでフェイルバックを実行することにより、元のレプリケーション
セッションを再開することができます。
•
レプリケーション スイッチオーバー:スイッチオーバー機能は通常、災害時用の
テストやデータの移行に使用します。スイッチオーバーはフェイルオーバーとは
異なり、ソースからの差分スナップショットを使用して本番アプリケーションとデス
ティネーション アプリケーションを同期します。スイッチオーバーが実行されると
レプリケーション セッションは停止し、再開されません。ソース サイトが使用可能
で、デスティネーション ファイル システムを読み取り/書き込みでアクティブ化す
る必要がある場合は、このオプションを使用します。レプリケーション スイッチオ
ーバーは、ソース システムからのみ実行してください。このコマンドはレプリケー
ションを一時停止し、ソース オブジェクトを読み取り専用でマウントし、デスティネ
ーション オブジェクトを読み取り/書き込みとしてマウントします。これにより、新
規のソース オブジェクトとして機能できるようになります。
•
レプリケーション ファイルバック:スイッチオーバーまたはフェイルオーバーの後
に、フェイルバックを実行してソースを読み取り/書き込み可能な本番システムと
して復元し、レプリケーション セッションを再開することができます。フェイルバッ
クは本番アプリケーション側からしか開始できません。フェイルバックは、本番ア
プリケーションの[レプリケーション]タブから開始します。フェイルバックを実行す
ると、レプリケーション セッションが再開されます。フェイルオーバー中やスイッチ
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
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オーバー中にデスティネーションに書き込まれたデータは消失しません。これは、
フェイルオーバー処理の一環としてアプリケーションが同期されるためです。
バックアップとリストア
VNXe シリーズでは、バックアップとリストアの操作が簡略化されています。一般的
なデータセンターでは、複数のアプリケーション サーバーでバックアップ操作を実行
する必要があります。VNXe ストレージ システムでは、アプリケーション データが中
央に格納され、そこでデータのバックアップやリストアを必要に応じて実行することが
できます。
VNXe では、次のバックアップ製品がサポートされます。
•
EMC NetWorker®
•
EMC NetWorker FastStart
•
EMC Avamar 6.0
•
EMC Data Domain 5.0
•
CommVault® Simpana®
•
Symantec® Backup Exec™
•
NDMP を備えた Symantec NetBackup™
詳細については、「EMC VNXe シリーズの EMC シンプル サポート マトリックス」を
参照してください(EMC オンライン サポート(https://support.emc.com)>VNXe
製品ページ)。
VNXe ストレージ システムでは、ネットワーク経由の NDMP v2-v4 がサポートされま
すが、直接接続の NDMP はサポートされません。そのため、テープ ドライブはメディ
ア サーバーに接続する必要があります。VNXe システムは、ネットワーク経由でその
メディア サーバーと通信します。NDMP では Windows ACL と UNIX セキュリティ情
報がバックアップされるため、マルチプロトコル ファイル システムを使用する場合にメ
リットがあります。さらに、ファイル システムで重複排除を使用する場合、NDMP を使
用するとファイルが圧縮状態でバックアップされます。
CLI サポート
VNXe システムの CLI を使用して、最もよく実行されるタスクの一部をスクリプト化す
ることができます。Windows コンソールまたは Linux/UNIX コンソールから、CLI で
VNXe 管理 IP アドレスを使用して、VNXe システムにログインし、コマンドを実行す
ることができます。
CLI を使用するにはホスト マシンに CLI クライアントをインストールする必要がありま
す。同じクライアントを使って、複数のストレージ システムを管理できます。CLI の形
式とオプションの詳細については、VNXe システムの製品サポート ページを参照して
ください。
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
28
先進的な機能
VNXe ストレージ システムには、次の高度な機能とネットワーク構成が用意されて
います。
•
リンク アグリゲーション
•
FSN(フェイルセーフ ネットワーク)
•
シン プロビジョニング
•
FLR(ファイル レベル保存期間設定)
•
重複排除
•
ウイルスからの保護策
•
ユーザー管理
•
LDAP 統合
リンク アグリゲーション
リンク統合は VNXe シリーズの全モデルでサポートされます。リンク アグリゲーショ
ンでは、最大で 4 つの Ethernet ポートを 1 つの論理リンクに集約できます。各スト
レージ プロセッサの Ethernet ポートのタイプと数がすべて同じであり、SPA のケー
ブル接続が SPB のケーブル接続と同じであることが必要です。それ以外の場合、リ
ンク統合を構成できません。リンク統合には、次のような利点があります。
•
VNXe とのネットワーク パスの高可用性:統合されたポートの 1 個の物理ポート
で障害が発生しても、VNXe システムが接続を失うことはありません。
•
全体的なスループットの向上の可能性:これは、複数の物理ポートが 1 つの論
理ポートにバインドされるためです。iSCSI プロトコルを使用している場合、マルチ
パスを使ってスループットを向上することもできます。
たとえば、2 個の物理ポートを 1 個の論理ポートに統合しているとき、一方のリンク
で障害が発生しても、もう一方のリンクがネットワーク トラフィックを伝達し、ホスト ア
クセスを維持します。リンクが復旧すると、ネットワーク トラフィックは再び 2 個の正
常なリンクを使って伝達されるようになります。
リンク統合を構成するには、リンクされたポートを両方とも同じスイッチに接続(スイッ
チがスタックの相互接続をサポートし、クロス スタック リンク統合が可能な場合は、
同じ論理スイッチに接続)する必要があります。さらに、LACP(Link Aggregation
Control Protocol)を使用したリンク統合を使用するようにスイッチを構成する必要
があります。
VNXe では、オンボードの I/O ポート(または Flex I/O モジュール)の最初のポート
を、同じカード上の他のポートに統合することができます。
FSN
FSN は、デフォルトで VNXe ストレージ システムに構成されています。ストレージ シ
ステムのポートの 1 つで障害が発生すると、自動的に FSN によって I/O が内部的
にピア ストレージ プロセッサの対応する物理ポートに再ルーティングされます。
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
29
たとえば、スイッチ A とスイッチ B が同じサブネットに属している場合、スイッチ A に
接続された SPA にポート「eth2」、スイッチ B に接続された SPB にポート「eth2」を
構成できます。ホスト アプリケーションが SPA のポート「eth2」を経由してデータを伝
達している場合にスイッチ A で障害が発生すると、FSN によって、スイッチ B を使用
する SPB のポート「eth2」を経由して I/O トラフィックがルーティングされます。このよ
うに、FSN は環境内にスイッチ レベルの冗長性を確保するために役立ちます。
シン プロビジョニング
シン プロビジョニングとは、ストレージ システム内で実際に割り当てられた容量より
も大きい容量をサーバーに認識させることのできる機能です。実質的に、ホストはス
トレージ システムから物理的に割り当てられたのではない容量を使用できることに
なります。
ストレージ リソースのシン プロビジョニングを有効にしても、要求されたストレージ容
量がすぐにリソースに割り当てられるわけではありません。Unisphere は、それより
も小さいストレージ容量をストレージ リソースに割り当てます。ストレージ リソース内
で使用されているストレージ容量が現在の割り当ての上限に到達すると、システム
はプールからストレージ リソースに追加ストレージを割り当てます。
シン プロビジョニングでは、プール内の共通のストレージ容量に複数のストレージ
リソースをサブスクライブすることができます。シン プロビジョニングを使用する場合、
各ストレージ リソースで要求された物理容量の一部のみが割り当てられます。残り
のストレージ容量は、他のストレージ リソースが使用できます。図 8 では、標準プロ
ビジョニングとシン プロビジョニングのプールの使用状況を比較しています。
図 8:標準プロビジョニングとシン プロビジョニングの比較
シン プロビジョニングでは、既存のプール リソースの監視とバランス調整に必要な
時間と労力を軽減すると同時にストレージ効率を向上できます。シン プロビジョニン
グを使用すると、組織であらかじめ購入するストレージの容量を少なくしておき、実
際のストレージの使用状況を確認しながら必要に応じてディスクを追加することで、
使用可能なストレージ容量を増やすことができます。シン プロビジョニングを使用し
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
30
なければ、予測に基づいて、または接続されているホストの要求に基づいて、ディス
クの要件を決定しておく必要があります。
シン プロビジョニングは VNXe ストレージ システムのすべてのストレージ タイプで
サポートされており、Storage Allocation ウィザードのチェックボックスをオンにす
ることで有効になります。ストレージをプロビジョニングする際に、要求するアプリケ
ーションに対して少量のストレージ(初期割り当てと呼ばれます)が割り当てられます。
ファイル ベース ストレージの場合、初期割り当ては 10 GB です。iSCSI ベース スト
レージの場合は 1 GB です。
ストレージ リソースの作成前または作成後に、共有フォルダーと NFS VMware デ
ータストアのシン プロビジョニングを有効化または無効化することができます。ただ
し、iSCSI ストレージ サーバーでプロビジョニングされるストレージの場合、シン プロ
ビジョニングを有効化できるのはストレージ リソースを作成する前に限られ、後でこ
の設定を変更することはできません。
VNXe システムでは、ストレージをオーバーサブスクライブすることができます。オー
バーサブスクライブとは、ストレージのプロビジョニング方法の 1 つです。これにより、
特定のストレージ プール内で物理的に使用可能な量を超える容量をプロビジョニン
グできます。シン プロビジョニングされたストレージ リソース群をストレージ プールに
関連づける場合、そのプール内の実際のストレージ容量を超える容量を要求(サブ
スクライブ)できます。ただし、各ストレージ リソース内で使用されるストレージ容量に
応じて、そのリソースに対してプール内のストレージが追加で割り当てられます。プ
ール内で使用されているストレージ量の合計値がプールの物理容量に近づくと、スト
レージを直ちに追加する必要があるという内容の通知メッセージが Unisphere によ
って生成されます。
管理者は、ストレージ ディスクを増設するか、そのプールに割り当てられる空き容量
を増やすことで対応できます。シン プロビジョニングされたストレージ リソースに接
続しているホストは、プール内で<U>割り当てられた</U>容量ではなく、<U>要求さ
れた</U>容量を認識します。Unisphere ではストレージ プールの使用状況とサブ
スクリプション レベルを監視できるため、プールに対するサブスクリプションの現在
の状況を評価し、ディスク増設の必要性を予測することができます。また、ストレージ
プール使用率通知を生成する使用率閾値を指定できます。デフォルト値は 85%です
が、50~85%の範囲で変更できます。
FLR(エンタープライズ)
VNXe ストレージ システムの FLR により、一定期間ファイルへの書き込みアクセス
を制限するファイル ベースのアクセス許可を CIFS 共有フォルダーまたは NFS 共有
フォルダーに設定できます。FLR を使用すると、変更不能なファイルとディレクトリの
セットを作成して一定期間データの整合性を確保できます。FLR は、共有フォルダー
を作成したときにのみ有効にできます。共有フォルダーを作成し、FLR を有効にした
後で、ファイル単位の保護が適用されます。
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
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31
FLR が有効になっている共有フォルダー内のファイルは常に、次の 4 種類の状態の
いずれかになります。
•
非ロック状態:ロックされていないファイルは、FLR が有効になっていないファイル
システム上のファイルとまったく同じように扱われます。名前の変更、変更、削除
のいずれの操作も可能です。
•
ロック状態:ロック状態のファイルは、特定の日付が過ぎるまでファイルが変更ま
たは削除されないようにする保存期日を設定することで管理できます。
•
追加状態:追加状態のファイルは、削除と名前の変更ができません。ファイル内
の既存データを変更することはできませんが、新しいデータは追加できます。
•
期限切れ状態:期限切れ状態のファイルは、変更、名前の変更、データの追加
ができません。必要に応じて、削除したり、再ロックしたりすることはできます。
重複排除
VNXe ストレージ システムには、ファイル ベース ストレージ(共有フォルダーと NFS
データストア)をサポートする重複排除機能が統合されています。この機能は、格納
されたファイルから冗長なデータを排除することでストレージの効率性を最適化し、
それによってストレージ領域を節約します。エンド ユーザーの視点から見ると、NAS
クライアントからは重複排除されたデータにアクセスしていることが認識されません。
重複排除は、ファイル システムに格納されている全ファイルに対して実施されます。
たとえば、重複排除されるファイル システムに一意のファイルが 10 個ある場合、
この一意の 10 個のファイルは残されますが、データは圧縮され、最大 50%の領域
が節約されます。一方、まったく同じファイルが 10 個ある場合、この 10 個のファイ
ルも残されますが、同じ 1 つのファイル データを共有することになります。1 インスタ
ンスの共有ファイルも圧縮され、さらにスペースが節約されます。
重複排除時に、重複排除が有効になっている各ファイル システムで、特定のファイ
ル タイプや特定の日付より前の変更時刻など、特定の条件に一致するファイルがス
キャンされます。条件に一致するファイルが見つかると、ファイル データが重複排除
され、必要に応じて圧縮されます。同じファイルでもインスタンスが異なれば、名前、
セキュリティ属性、タイムスタンプが異なる場合もありますが、ファイルのメタデータ
は重複排除の影響を受けないため、このようなインスタンスも重複排除の対象となり
ます。重複排除プロセスを制御するポリシー エンジンは SP の使用率に応じて調整
されます。SP の使用率が特定の値を超えると、重複排除プロセスが一時停止され
ます。使用率が閾値よりも低くなると、重複排除プロセスが再開されます。
ウイルスからの保護策
VNXe ストレージ システムは、ウイルス スキャンを実行して VNXe にレポートを返
すサード パーティ製ウイルス対策サーバーをサポートします。たとえば、共有フォル
ダー クライアントがファイルの作成、移動、変更を実行したときに、VNXe ストレージ
システムからウイルス対策サーバーを呼び出し、そのファイルをスキャンして既知の
ウイルスを探します。ファイルにウイルスが含まれていなければ、そのファイルが
VNXe に書き込まれます。ファイルがウイルスに感染していた場合、ウイルス対策
サーバーに定義されているコレクティブ アクションが実施されます。
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
32
VNXe では、次のウイルス対策サーバーがサポートされています。
•
Symantec Antivirus for Network Attached Storage(NAS)
•
Symantec Endpoint Protection
•
McAfee VirusScan
•
Computer Associates eTrust
•
Sophos Anti-Virus
•
Kaspersky™ Anti-Virus
•
Trend Micro™ ServerProtect
ユーザー管理
VNXe ストレージ システムには、VNXe システムを構成して監視するマネージャや管
理者向けのユーザー アカウントを作成するツールがあります。ユーザーが
Unisphere にアクセスすると、システムにアクセスする前にアカウント ベースの認証
情報を使用してログインするように求めるメッセージが表示されます。Unisphere の
アカウントでは、一意のユーザー名とパスワードが、各アカウントに指定された役割と
組み合わされています。役割により、ユーザーがログイン後に実行できるアクション
の種類が決まります。
Unisphere では、次のユーザーの役割を使用できます。
•
•
•
オペレータ:Unisphere システムとストレージのステータス情報を表示できます
が、システム設定を変更することはできません。
ストレージ管理者:VNXe ストレージ システムのデータの表示、Unisphere の設
定の編集、Unisphere のツールの使用、ストレージ リソースとホストの構成の作
成と削除ができます。ただし、この役割ではユーザー アカウントまたはホスト構
成の追加、システムの初期構成の実行、ネットワーク設定の変更、ストレージ サ
ーバーの作成または削除、システム ソフトウェアのアップグレードはできません。
管理者:ストレージ システムのデータを表示し、Unisphere システムの設定を構
成し、Unisphere を通じてアクセス可能なその他のすべてのタスクを実行でき
ます。
LDAP 統合
LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)は、TCP/IP ネットワーク上で稼
働するディレクトリ サービスを照会および変更するためのアプリケーション プロトコ
ルです。LDAP を使用することで、ネットワーク上のユーザーとグループを一元管理
することでネットワーク上の認証処理および許可処理を運用する管理サービスが実
現します。Unisphere ユーザーを既存の LDAP 環境に組み込むことで、LDAP ディ
レクトリ内のユーザー アカウントとグループ アカウントに基づいて、VNXe システム
に対する管理アクセスを制御できます。Unisphere で LDAP 設定を構成するには、
[管理]ウィンドウ内の[ディレクトリ サービス]ページを使用します。
LDAP 設定は、Unisphere に対するアクセスを制御する目的でのみ使用されます。
VNXe ストレージ リソースに対するアクセスの制御には使用されないことに注意して
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
33
ください。また、使用する環境に VNXe システムを統合する前に、Active
Directory を環境内にインストールしておく必要があります。
高可用性
VNXe シリーズ ストレージ システムには、いくつかの HA 機能が組み込まれていま
す。HA は冗長コンポーネントによって実現されます。1 個のコンポーネントで障害が
発生しても、それをバックアップする別のコンポーネントが用意されています。冗長コ
ンポーネントには、SP、冷却ファン、AC 電源ケーブル、電源装置、I/O モジュール、
LCC(リンク コントローラ カード)が含まれます。ネットワーク HA は、リンク統合によ
って実現されます。
ネットワーク HA 機能が動作するには、各 SP のケーブルが同じように接続されてい
る必要があります。SPA のポート 0 がサブネット X に接続されている場合、SPB の
ポート 0 もサブネット X に接続されている必要があります。これは、サーバーのフェ
イルオーバーとネットワークのフェイルオーバーを実行するために必要です。VNXe
サーバーをピア SP に接続されていないポートを使用するように構成すると、アラート
が生成されます。Unisphere では、ポートが同じサブネットに接続されているかどう
かは検証されませんが、フェイルオーバーが適切に実行されるようにするためには、
そうなっていることが必要です。ケーブルがないポートや接続されていないポートで
サーバーを構成した場合、トラフィックはピア SP の同じポートに対する SP 相互接続
を経由してルーティングされます (システム全体で単一のネットワーク接続を使用す
ることは推奨されません)。
VNXe ストレージ システムにおける HA の詳細については、「EMC VNXe High
Availability」ホワイト ペーパーを参照してください。このホワイト ペーパーは EMC オ
ンライン サポート用 Web サイト(https://support.emc.com)の「VNXe 製品」ペー
ジからダウンロードできます。
高可用性の例としては、次のものがあります。
•
SP:フェイルオーバーは、SP でハードウェア障害、ソフトウェア障害、再起動が発
生したり、ユーザーが SP をサービス モードにしたりしたときに発生します。停止
した SP を利用していたストレージ サーバーは、もう一方の SP(使用可能な場合)
にフェイルオーバーします。これにより、VNXe システムとそれに接続していたホ
ストの間での停止状態が最小限に抑えられます。
停止状態のタイプは、ストレージへのアクセスに使用されるプロトコルによって異な
ります。NFS プロトコルではアクティブ I/O の再試行が無制限に続けられますが、
CIFS プロトコルではアクティブ I/O が停止され、ストレージ ボリュームから新しい
I/O が試行されるたびに再試行が行われます。iSCSI ストレージ ボリュームの場
合、アクティブ I/O が再試行される時間を iSCSI ホストが決定します。デフォルト値
は 5 秒ですが、EMC では、この値を 600 秒に増やすことをお勧めしています。元
の SP が再び使用可能になると、ストレージ サーバーはその SP にフェイルバック
します。フェイルバックのポリシーを Unisphere で構成することができます。
•
電源:それぞれの SP コンプレックスには独立した電源が備えられています。
各 VNXe ディスク エンクロージャ(DPE または DAE)の 1 個の電源で障害が発生
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
34
しても、動作を継続できます。また、SP 電源には、電源が停止したときにキャッシ
ュ データを不揮発性メディアに書き込むためのバックアップ電力を供給する BBU
(バッテリ バックアップ ユニット)も搭載されています。
•
ネットワーク リンク:ネットワーク リンクで障害が発生した場合には、リンク統合
によって代替パスを提供できます。
•
ネットワーク パス:VNXe はネットワーク パス スルーをサポートし、ネットワーク
パスに冗長性を持たせます。NIC の障害、スイッチ ポート、ケーブルの断線など
によりネットワーク パスを使用できなくなった場合、ネットワーク トラフィックは SP
間ネットワークを使用してピア SP 経由で再ルーティングされるため、すべてのネ
ットワーク接続はアクティブなまま維持されます。
•
デュアル パス:デュアル パスはすべてのディスクに提供されます。
•
RAID 保護:ディスク上のデータは RAID 5、RAID 6、RAID 1/0 のいずれかによ
り保護されます。RAID 5 の場合、1 台のドライブで物理的な障害が発生した場
合にもデータを引き続き使用できます。RAID 6 の場合、2 台のディスクで障害が
発生した場合でもデータを使用できます。RAID1/0 では、可用性を高めるための
ミラーリングと、パフォーマンスを高めるためのストライピングを利用できます。ミ
ラー ペアの一方のディスクが故障しても、ミラーリングによって引き続きデータに
アクセスできます。
•
ホット スペア:VNXe では、ホット スペア テクノロジーがサポートされます。ドライ
ブで障害が発生すると、システムでホット スペアとして構成されているドライブと
自動的に置き換えられます。
VMware vSphere との仮想統合
VNXe ストレージ システムでは、VMware vSphere との緊密な統合に対応しています。
VMware 管理者は、仮想環境を管理する際にこの機能を利用することができます。
ASA(アドバンスト ストレージ アクセス)
VMware 管理者は ASA を使用することで、NFS ストレージの使用率を最適化する高度なファ
イル操作を利用して、適切に構成された VNXe ホスト構成を管理できます。共有フォルダー ス
トレージまたは VMware データストア(サーバー レベルで構成)で ASA を有効にしておくと、
EMC の VSI Unified Storage Management ツールを利用して、以下の操作を実行でき
ます。
•
•
•
NFS データストアの作成処理を簡素化します。
NFS データストアの仮想マシンを圧縮します。
圧縮と Fast クローン テクノロジーを使用することにより、仮想マシンで消費されるストレー
ジ容量を減らします。クローン機能には以下のものが含まれます。
o VMDF(仮想マシン ディスク ファイル)の FAST クローン(シン コピー/スナップ)
o VMDF ファイルの FULL クローン(フル コピー)
o FULL クローン(コピー)
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
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35
VSI Storage Management の詳細については、Powerlink で「EMC VSI for
VMware vSphere: Unified Storage Management」製品ガイドを参照してくだ
さい。
VAAI(vStorage API for Array Integration)
VAAI 2では、関連するタスクをVNXeにオフロードすることでESXiホストのリソース使用率を向
上させます。VAAIを使用すると、NFSストレージ タスクがストレージ システムによって処理され
るため、特定のストレージ処理を実行するために必要なホスト プロセッサ リソースとストレージ
アダプタ リソースを減らすことができます。
たとえば、使用する仮想環境のフル クローンをテンプレート VM からプロビジョニングするとい
う操作で、VAAI の動作を説明するとします。この例では、ESXi ホストからの書き込みコマンド
が VNXe ターゲットにストリーミングされます。VNXe ストレージ システムは内部でこの要求を
処理し、特定の SP に書き込み操作を実行して、要求が完了したときに更新をホストに返します。
負荷がストレージ システムに移動するため、ホスト リソースおよび VNXe システムのフロント
エンド ポートへの影響は大幅に軽減されます。
リモート監視
VNXe システムのステータスは、EMC の担当者またはお客様によってリモートから監
視することができます。
ESRS(EMC Secure Remote Support)
ESRS(EMC セキュア リモート サポート)機能により、許可された EMC サービス プ
ロバイダが暗号化された安全なトンネルを使用して VNXe システムにリモート アク
セスすることができます。アウトバウンド アクセスを提供するには、VNXe 管理 IP ネ
ットワークでアウトバウンドおよびインバウンドの両方の HTTPS トラフィックが可能で
ある必要があります。また、ESRS によって確立された VNXe デバイスと EMC ネット
ワーク上の許可されたシステムの間の安全なトンネルを使用して、VNXe システム
にファイルを転送したり、逆に EMC ネットワークにファイルを転送したりできます。
Unisphere Remote
Unisphere Remote は、使いやすい集中型ネットワーク アプリケーションであり、管
理者はこれを使って VNXe ストレージ システムを一元的に監視することができます。
Unisphere Remote では、次の操作を行うことができます。
2
•
1 つのインタフェースから最大 1,000 の VNXe システムを監視する。
•
複数のシステムのアラート、稼働状態、容量、CPU 使用率を統合して表示
する。
•
ローカルの Unisphere Remote ユーザーを設定するか、LDAP 対応の既
存ユーザーや既存グループを統合することで、監視インタフェースへのアクセ
スを制御する。
ファイル用の VAAI には VMware vSphere 5.0 が必要です。
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
36
•
VNXe ノードを、場所別、タイプ別、部門別などの論理的な方法で整理して表
示する。
•
Unisphere Remote から Unisphere を起動して個別の VNXe システムを
管理する。
注:Unisphere Remote が能動的に環境内の VNXe システムを管理するわけ
ではありません。代わりに、Unisphere にリンクし、管理する特定の VNXe を起
動することで、Unisphere の機能を活用します。
Unisphere Remote 環境は、VMware 仮想化環境で実行されている Unisphere
Remote サーバー1 台、複数の VNXe システム、および Unisphere Remote サー
バーにアクセスするためのリモート システム 1 台で構成されます。
VNXe シリーズのサポート エコシステム
VNXe シリーズ システムは、お客様自身が導入し、お客様自身が保守することがで
きます。VNXe システムにハードウェアまたはソフトウェアの障害が発生した場合は、
VNXe のアラート メカニズムによってお客様に通知されます。いくつかのポップアッ
プ アラートでは、コンテキスト依存のナレッジベース記事へのリンクが表示され、障
害の解決に役立ちます。たとえば、VNXe システムのディスクで障害が発生した場
合、障害のあるディスクを示すアラート メッセージが表示されます。これには、VNXe
システムで新しいドライブを発注し、故障したディスクを交換する手順が記載された
ナレッジベース ドキュメントへのリンクが含まれています。
Unisphere の[サポート]ウィンドウには、VNXe ストレージ システムについて学習し
たりサポートを受けたりできるリソースへのリンクが表示されます。次のようなリソー
スが用意されています。
•
操作方法ビデオ:ストレージ システムについて解説したビデオ。たとえば、障害コ
ンポーネントを交換する方法を紹介するビデオなどです。
•
オンライン ドキュメント:製品に関する最新情報が記載されたオンライン ドキュメ
ントです。これは定期的に更新され、最新の情報が反映されます。
•
オンライン トレーニング:VNXe システムを学ぶためのビデオ、スライドショーな
どの教育用資料です。
•
ナレッジベースの記事:システムの導入、構成、操作に関する既知の問題やその
解決方法を扱った、記事やホワイト ペーパーなどの情報源です。
•
コミュニティへのアクセス:VNXe を利用する他のお客様と交流し、VNXe ストレ
ージ システムに関する投稿を読んだり、投稿したり、質問をしたりできます。
•
ライブ チャット:サポート担当者にすばやく連絡を取り、チャットすることで、リアル
タイムで支援を受けることができます。ライブ チャットを利用できるのは、EMC
の保証が適用されているお客様だけです。
•
サービス センター:オープン状態のサービス リクエストに関する情報にアクセス
できます。
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
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発見事項
VNXe は、中小規模の組織およびネットワーク上にあるアプリケーション データ スト
レージをプロビジョニング、管理、監視できる統合プラットフォームです。各ストレージ
システムでは、効率の高い iSCSI ブロック ストレージとアクセス可能性の高いファイ
ル ベース ストレージのどちらも作成できるので、ネットワーク接続を経由してファイ
ルとデータを扱うことができます。これらのストレージ システムでは、IP ベースの
SAN(iSCSI)と NAS(ネットワーク接続型ストレージ)のストレージ アクセスがサポー
トされているので、さまざまなオペレーティング システムやアプリケーションを実行し
ているクライアントおよびホストに対して、ストレージ リソースを提供できます。VNXe
は、真の意味でのマルチプロトコル データ ストレージ デバイスです。
ストレージの構成時に、VNXe ソフトウェアによって自動的にベスト プラクティスが実
装されるため、ストレージ テクノロジーやアプリケーション テクノロジーに関する高度
な知識は不要です。VNXe システムは、IT ゼネラリストが簡単に導入し、構成し、保
守できるように設計されています。VNXe サポート エコシステムでは、理解しやすい
包括的なガイダンスも用意されています。
ハードウェアについて言えば、最初はユーザーの現在の要件に基づいて小規模な
構成とし、その後で要件の変化に応じて簡単に拡張することができます。アプリケー
ション ウィザードを使用して非常に簡単に導入できることと、重複排除、シン プロビ
ジョニング、スナップショット、レプリケーションなどの高度なストレージ機能
(VMware vCenter と Microsoft Hyper-V にも統合)を含むソリューションによっ
て、VNXe シリーズは市場で独自の地位を築いています。EMC の VNXe シリーズ
は、中小企業と、エンタープライズ規模の組織の ROBO(リモート オフィス/支店)の
ニーズに合わせて最適化して設計されたストレージ ソリューションです。
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関連資料
以下のドキュメントは、Powerlink または EMC オンライン サポートの「VNXe
Product」ページに記載されています。
•
EMC Unisphere for VNXe: Next-Generation Storage Management—A
Detailed Review
•
EMC VNXe Data Protection—Overview
•
EMC VNXe シリーズの EMC シンプル サポート マトリックス
•
EMC VSI for VMware vSphere: ユニファイド ストレージ管理
EMC VNXe シリーズ ストレージ システム
詳細レビュー
39
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