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働きやすさを追求した オフィス変革の手順と要点

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働きやすさを追求した オフィス変革の手順と要点
解 説
●働きやすいオフィスを創る
働きやすさを追求した
オフィス変革の手順と要点
㈱エフエム・ソリューション
後藤隆二
この両方がバランスよく機能展開されるのが理想的
はじめに
― オフィスを考えることは人事の本来業務
なオフィスといえる。
組織としての「人事」のミッションが,会社の方
わが国の現在のオフィス環境については,かつて
針や事業計画を人の側面から保障し,従業員などそ
世間のオフィス環境に大きな影響を与えた1986年
こで働く人のことを考えることであるならば,オ
のニューオフィス化推進運動(当時の通産省が主
フィスを作る部署になれとはいわないが,人事戦略
管)以来のオフィス改革が進行し,第2のオフィス
の目的を達成させる施策手段としてオフィスを考え
変革の波を迎えようとしている。2008年9月のリー
ることは人事の本来業務そのものといえる。
マンショック以来のここ数年はこの進行が滞ってし
この稿では,オフィスの創り方・あり方と「人
まっているが,オフィス変革の動きはまだ続いてい
事」の果たす役割の観点から解説を進めたい。
ると判断している。
現在の経営革新の中心は「人」になっているの
オフィス変革の背景事情と変革の方向性
で,オフィスも「人」に合わせた創り方がされるべ
きであると考える。もう一方で重要なのは,業務が
1980年代までは,工業化社会として均質な製品を
いかにスムーズに遂行されるかという観点である。
効率的に生産することが求められ,生産性は生産量
PLOFILE
30年間富士ゼロックスに勤務後,
2001年 よ り 現 ㈱ エ フ エ ム・ソ
リューションに勤務。1989年か
ら2年 半 は 社 団 法 人 ニューオ
フィス推進協議会に出向し,FM
の導入普及活動を行った。現在
は主にオフィスコンセプト策定
のコンサルや,経営戦略などか
ら課題を抽出し,オフィスへ展
開する手法の開発を手がける。
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人事実務 2011.3.15(No.1098)
の増加やそれにかかわるコストの低減が第一義にと
らえられていた。オフィスも決められたことをいか
に効率的に処理するかということが課題であった。
このような時代背景にあっては,人と違ったこと
をしたり,突出した考え方をする人はあまり受け入
れられず,横並びを是とする考え方が主流であった。
決められた計画を決められた手順でこなしていく
ためには,人と違ったことをするのではなく組織と
●解説
して決められたヒエラルキーに沿って仕事が処理さ
オフィスに机や椅子を並べることが目的ではなく,
れていくことが必要になる。そのため,組織のあり
本来の目的はそこから生まれるワーカーの自立であ
方を図式化した組織表そのままのオフィスレイアウ
り,企業などを支える働き方の変革が求められてい
トが採られるようになった。これがいわゆる島型対
るからである。
向式の机配置である。
そこで,オフィス作りは人の収容という目的か
しかし現在では,集団の評価で行っていた業務も
ら,経営課題の解決策という手段になり,経費対象
個人の能力を重視するようになり,でき上がりの成
から投資対象へと変化していった。そしてオフィス
果をもって業績評価とする成果主義が取り入れられ
「作り」からオフィス「創り」へと質の変化を遂げ
るようになった。個人を評価することは悪いことで
たといえる。したがって,各社の組織制度や慣習な
はないし,時代も知的生産性を求めている。だが,
どによって,オフィスのあるべき機能の内容が吟味
人の能力と仕事の進め方,そして評価内容を十分に
されることとなり,オフィスのあり方も変わらざる
吟味せずにオフィスを作ると,本来ならそこで働く
を得なくなったのである。
ワーカーにとって強い味方になるはずのオフィスが
かえって足を引っ張る結果になってしまうのである。
均質性を求めた従来の工業化社会でのオフィス
オフィス変革をする場合の
基本コンセプト創りと変革へのプロセス
と,クリエイティブワークといわれている,個性な
こうしたオフィスの形と質の変化は,ワーカーの
どを重視した知的創造性を最大限求める現代のオ
モチベーションをも向上させることとなる。モチ
フィスとでは,必然的にそのあり方は違うのであ
ベーションが上がれば,必然的にアウトプットの増
り,その認識をもつべきである。
大という,生産性にプラスになる好循環となり成果
オフィスの移転時やリニューアルに際して,
「社
の向上を呼び起こすことができる。
員の自立を促すオフィス」とか「新しい働き方を取
会社が理念として策定したものに近づくための手
り入れたオフィス」ということが昨今よく聞かれる
段として,オフィスはワーカーという「人」のため
ようになった。これは,経営層が新しい時代への対
に創られ,そのワーカーが行う業務がスムーズに効
応がまだ不十分と考えている証拠でもある。
率よく,高い品質でアウトプットされるのなら,経
当社の研究では「オフィスという形はホワイトカ
営層もワーカーもウィンウィンの状態になるはずで
ラーの生産性を上げる十分条件とはいえないまで
ある。
も,必要条件といえる」との結果が出ている。この
よいオフィスとは,働く人々の目がいきいきとし
ことはオフィスは形だけ作ってもうまく機能しない
て活気がある職場であり,気持ちよく働けるという
ことを示唆している。形はオフィスの機能を具体化
ことは,その人のもつ知的活力が100%,もしくは
する手段の一部になっているが,形だけではその機
それ以上に引き出されることではないだろうか。
能を十分に発揮できないことがある。形にはその形
ワーカーが気持ちよく能力を発揮して働けるという
にした意味があり,目的や使い方が正しく認識され
ことは,業務がスムーズに,そして効果的に進んで
ていないとその効果は期待できない。
いることが第一の要件であると考える。
一昔前のオフィスは,そこで働くワーカーを収容
●オフィスコンセプト
することが大きな目的であった。この考え方では経
オフィスは,働く人の活力を十二分に発揮させる
営層が望んでいる社員の自立とか新しい働き方と
ことを支援する場であるといえる。とすれば,オ
いった目的を達成することは難しくなる。なぜなら
フィスをどのように創るのかというコンセプトを明
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確にする必要がある。
ネスオフィス」が主流となっている。
オフィスコンセプトは,オフィスのあり方を具体
この3項目をすべて合わせて,
「スマートオフィ
的な方針や方向性として示すものである。オフィス
ス」と総称されている。もちろん個々の課題を中心
計画の主要なアウトプットとしてオフィスコンセプ
とするので,たとえば,とくにホワイトカラーの生
トを策定し,経営トップをはじめとして社員全員が
産性を向上させたいのなら,筋肉質に鍛える「スト
共有しなければならない。このコンセプトは,新し
レッチオフィス」を中心にめざすこととなる。ある
いオフィスは何のためにあるのかを示すものである
いは,3項目をバランスよく取り入れるという考え
ので,会社の方針に則っていることが原則であり,
方もある。それらはすべてオフィスの総合コンセプ
企業文化なども反映される。
トによって明らかにされることとなる。
会社や組織の事業計画を構成する要素として,よ
そこで,まずはオフィスのねらいに合わせた要求
くいわれるのが人・物・金・情報であるが,その次
事項を整理することが必要であり,この時点でたと
にあるのがファシリティ(=オフィス)であり,オ
えば自立した社員にしたいとか,新しい働き方のオ
フィスは事業計画を構成する重要項目でもある。そ
フィスにしたいとか,ホワイトカラーの生産性を上
のため,会社や組織がめざすものを十分に咀嚼し,
げたいなどのオフィスのねらいや要求,業務の特性
その課題について一部でも解決できるようなオフィ
を整理しておくことが,形を引き出す大きな要因と
スが計画されるべきである。もちろん,それだけで
なる。
そ しゃく
はオフィスはできないが,将来のあるべき姿を描く
第一歩がオフィスコンセプトである。
変革をする際の各機能のポイント
●調査
オフィスコンセプトを策定するには,会社の方針
オフィスコンセプトから各機能を設定し,設計の
や事業計画の内容を知らなければならない。また,
要求項目として整理することをプログラミングとい
いままでの事業上の問題点・課題などを把握してお
う。この整理されたプログラミングを基に,基本設
く必要がある。それらを踏まえて,現状の組織構成
計として初めてオフィスの設計図が描かれる。この
や役割分掌(部門別業務分掌)を確認しておくのが
工程までが,オフィスを創る前段の企画計画の部分
前段である。
といえる。
オフィスコンセプトの策定は,このような会社の
ここからは,スペース,レイアウト,会議(打ち
基幹情報を分析することから始まり,併せて現状を
合わせ)
,コミュニケーション,リフレッシュエリ
見える化する手段として,数字では表せないオフィ
ア,情報の共有化,セキュリティ,環境(エコ)へ
スの問題点を把握するなどのために調査を行う。こ
の配慮など各機能について,オフィスを創るにあ
の調査はアンケートによるものやヒアリング,実測
たってのポイントを簡単に解説したい。
調査など,適時その企業の状況に合わせて手法が選
これらの各機能のポイントは,一般的にあてはま
択される。
るであろう内容となっているが,各企業や組織に
●スマートオフィス
よって,当然その内容は変わってくる。オフィスは
世間一般にはオフィスの大きな方向性として,無
その企業などの風土や歴史,経営層の考え方,仕事
駄を省いて効率化を徹底しようとする「スリムオ
の仕方,社会環境などに影響されるもので,形も違
フィス」と,筋肉質に鍛えようとする「ストレッチ
えば使い方も違うのが本来の姿といえる。形は人が
オフィス」
,そして,社員や環境に優しい「ウェル
見ることによって人の行動に影響を及ぼすため,施
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人事実務 2011.3.15(No.1098)
●解説
策と一緒に形が整えられれば,その施策を大きく支
多いタイプ,定型的な仕事か非定型の仕事かなど,
援することになる。
執務形態によって適した標準レイアウトがある。ど
●スペース
のような部門の仕事がどのタイプに属するのかは,
全体のスペース配分はそのオフィスに必要な機能
調査すれば概略をつかむことが可能である。
(受付,会議室,役員室,リフレッシュエリア,ワー
管理サイドとしては,すべて統一されたレイアウ
クプレイス,サーバー室,メール室など)が,どれ
トと什器にするほうが管理しやすいが,ワーカーは
だけの広さや設備をもってどこに配置すれば最適か
必ずしもそうではないことを認識することも肝要で
をシミュレーションして算出される。賃貸ビルへの
ある。
入居では借りられる広さや種々の制約があるので,
●会議室(打ち合わせ)
すべてが理想的にスペースを確保できるものではな
ものごとの決定に合議制を採っていたり,チーム
いが,スペース配分は無駄を極力なくすことが必要
やプロジェクトが活発な現在の仕事の仕方では,
である。
人々が集まる機会は多い。そのため,会議室や打ち
オフィスの経費に占める賃貸料は,一般的にはオ
合わせコーナーがミニマムとして置かれているが,
フィスの全体経費の6割以上を占めるため,無駄の
全体には不足感が蔓延している。当社が行ったワー
排除とゆとりのバランスが大切な要点となる。ま
カーのオフィスに対する意識調査でも,満足度ワー
た,全体のスペースは現在必要な各機能がセットさ
スト3の2位にランクされているのが会議室の問題
れることがミニマムであるが,将来あるべき姿とし
である。
てコンセプトに表示されたものが整えられているこ
会議には,周りが囲まれた部屋が必要なケース
とも大切である。またオフィスは日々変化するもの
と,3~4人程度での打ち合わせのケースもある。
であるため,変化にどの程度対応可能かを検討して
打ち合わせであるなら,ワークプレイスの一部を
おく必要がある。
オープンミーティングのスペースとして予約なしで
●レイアウト
使えるようにすればよい。月曜の午前中に会議が集
レイアウトについては前述したとおり,わが国の
中するなら,業務に支障がない範囲で会議の時間を
ごくスタンダードな机の並び方は島型対向式であ
運用でずらすなどの工夫も必要である。
る。これは,その組織や命令系統をそのまま形とし
また,プロジェクターなどの AV 装置は,簡単
たレイアウトである。
なものでもよいから装備しておくことが望まれる。
しかし数年前から,独立した机ではなく連結され
PC は不可欠な業務機器であり,ペーパーレスに貢
たロングテーブルが導入されるようになった。6人
献するなど環境面からも望まれる。
ほどで1つのロングテーブルを共用するもので,全
●コミュニケーション
員が在席しているときは狭いが,隣との境界がない
最近のオフィスの課題として多く取り上げられて
ため不在のときは広く自由に使えるメリットがあ
いるのが,コミュニケーションである。コミュニ
る。席数を削減し,フリーアドレス(各自が固定席
ケーションの活性化やコミュニケーション力の向上
をもたず空いた席に座る方式)として使用すること
といった課題が,経営層から指示されるケースがあ
で,省スペース化の切り札となった。
るが,コミュニケーションの本質についてはあまり
オフィスレイアウトは,仕事の流れや組織の特性
議論されていない。
に合わせるのが基本である。仕事の性質によって個
コミュニケーションを取るための工夫は,さまざ
人で作業をするタイプや人との交渉や打ち合わせの
まな形で行われている。たとえばマグネットエリア
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と称してコーヒーメーカーや飲料水を置いたり,コ
このことは,リフレッシュに対する世間的な認識
ピーコーナーの周りに作業台兼用の立ち話台を設置
ができ上がっていないことに起因しているともいえ
するなどして,人が集まり,滞留しやすくする仕掛
るが,わが国の労働契約が時間拘束で成り立ってい
けである。あるいは,人の動線をわざと曲げたりク
るということも原因かもしれない。1日8時間労働
ロスさせたりすることで,偶発的な出会いも誘導す
で賃金が決まっているなら,たとえ15分でも仕事を
る。また,最近の傾向としてはフロア内に階段を設
抜けることはサボリといわれてもしかたがないから
けて上下階の行き来を活発にさせようとするものも
だ。たとえ15分の休憩でその後の成果が飛躍的に向
ある。
上したとしてもである。
もちろんこれらの工夫はそれなりの効果はあると
リフレッシュの仕方についての研究を進める一方
思われるが,本当にコミュニケーションがどうなっ
で,リフレッシュをしたほうがより効果的との啓蒙
ているのかがわからずに,対策が先行している例も
や,リフレッシュエリアの使い方を周知することが
ある。
肝要である。
オフィスにおけるコミュニケーションは,受け手
●情報の共有化
の人がコミュニケーションをした結果,いかに行動
情報には英語で information と intelligence とい
に移せるかにその成否がかかっている。投げかけた
う2つの単語がある。information は情報資料のこ
相手がなんの行動もしないのでは,コミュニケー
とで intelligence は情報の記録・分析・判定という
ションは成立したとはいえない。送り手が身振り手
意味をもっている。
振りをしたり,相手の気持ちを斟酌するとしても,
情報をうまく整理してコントロールし,必要なと
受け手にその気がなかったり,いわれていることの
きに適時分析してその結果をどのように使うのかを
意味が理解できないようでは,ぜんぜんコミュニ
判断できなければ,情報が役に立ったことにはなら
ケーションにならない。
ない。情報をため込むことはよく行われているが,
これからの社会では,グローバル化が進みさらに
それが正しく整理・記録されているのだろうか。文
コミュニケーションの大切さが実感される。言葉の
書をしまっておくだけでは何の役にもたたず,ス
障害もさることながら,全体でのコミュニケーショ
ペースを取るだけの話である。
ンのための学習と,異分野の人やさまざまなバック
そこで情報を一元管理し,社員の情報活用に対し
グラウンドの人(ダイバーシティ)の考え方を学ん
てセンターで支援する機能が指向されている。いわ
で自分の知識を広めたり振り返ることは,さらに先
ゆる「情報センター」とか「コンシェルジュ・サー
に進むための重要な要素であるだろう。
ビス」といわれるものである。情報の保管はもとよ
●リフレッシュエリア
り,希望の資料などを探し出してくれるサービスま
気分転換のためのリフレッシュエリアがオフィス
で多種多様ではあるが,ワーカーにとっては時間や
にないと不満が高くなる。前述の当社の調査では,
質の効率化であり,その効果は大きい。
満足度ワースト3の3位にランクされている。しか
●セキュリティ
し,あっても使わないという現象が現在いろいろな
オフィスのセキュリティは,いまやミニマム項目
オフィスで見受けられる。欲しいのにどうして使わ
として取り上げなければならない項目である。セ
れないのか。その理由の1つとして,リフレッシュ
キュリティに配慮したオフィスを創るにあたって
は休みに行く(サボリに行く)と受け取られやす
は,まず基本的なセキュリティポリシー(セキュリ
い,というのがある。
ティの考え方や方向性を示したもの)を設定するこ
しんしゃく
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●解説
とが必要である。オフィスのあり方とセキュリティ
変革でもある。
ポリシーは,密接に関係しているからである。
オフィスだけで環境をすべて解決しようとする
たとえば,オフィスレイアウトやそれに伴う人の
と,無理があったり本来の仕事が妨げられたりする
動線はセキュリティの入退室管理システムと連動す
こともあるので,広く働き方全般を考慮して推進す
る。業務上で個人情報を保管する場合などでは,そ
ることが望まれる。
の部屋に入室できる人の制限や入室者のログ管理
(出退の情報を記録に残す)も必要になるケースが
ある。一方で,個室を作れば間仕切りにも関係する
おわりに
― これからのオフィス創りに向けて
し,場合によっては消防法での規制から散水装置な
働きやすいオフィス創りについていろいろな観点
どを作り変えなければならないケースも出てくる。
から述べてきたが,基本は「そこで働く人々がいか
しかし,セキュリティは綿密に計画されて作られ
にいきいきと目を輝かせて働くことができるか」に
ても,他のフロアに簡単に打ち合わせにいけなく
かかっている,といっても過言ではない。そのため
なったり,社外の人との打ち合わせが非常に面倒に
には,その企業の経営理念や方針を社員全員が理解
なったりしては問題である。このようなことから,
していることが前提となる。これが土台となってそ
オフィスの設計時にセキュリティポリシーも同時に
のうえに事業計画などがあり,それを実現するため
策定し,それをオフィス設計に活かすのが大変効果
に人に関しては人事戦略があり,事業を遂行する場
的であろう。別々に考えるのではなく業務の流れや
としてオフィス戦略がある。
関連セクション,そして部門の配置などすべて一元
したがって,経営方針や事業戦略,人事戦略は,
的にとらえることが必要である。
オフィス創りと密接な関係にあるといわざるを得な
●環境(エコ)への配慮
い。この密接な関係を理解し,それを踏まえてオ
オフィスにおける環境配慮としては,形としての
フィス創りはなされる必要がある。
オフィスそのものと,そこで働く人々の双方から考
現在では,ICT(情報通信技術)がさらに業務を
えなければならない。たとえば,ホームオフィスの
サポートしてくれる時代になってきており,ICT
推進などの制度的な削減策,電球を LED に変える
での業務支援をうまく取り込み,人と最新技術の共
ことや空調の温度変更などのオフィスの設備面での
生が必要となってくる。人と人が向き合うことがコ
対応など,多面的に対応する必要がある。
ミュニケーションの原則でもあるので,これからの
ここでの注意点は,ワーカーに働きにくさや面倒
オフィスは人が集まれる,そして人が楽しくなるオ
くさいなどの負担感をかけないように配慮すること
フィスであるべきであると考えている。方針や施策
である。そして,活動経過の周知や結果の報告など
がないままのオフィスは,人を収容するという目的
こまめな広報活動が大切な要点となる。現在の環境
は達成できたとしても,働く人が目をいきいきと輝
指数がどうなっているかがひと目でわかる「環境見
かせることは期待できない。
える化」などのディスプレイの設置も効果がある。
また,組織は常に変化し,人も日々成長変化して
環境への配慮は無駄の排除にもつながることか
いる。そこに組織と人がいる場所なのに,オフィス
ら,効率的・効果的な仕事の進め方も促進すること
が変化しないでいいわけがない。オフィスも生きて
ができる。会議は短く,配布資料はなくしプロジェ
おり常に変化に柔軟に対応できるような仕組みが必
クターで表示するなど,現在行っている仕事の仕方
要である。変化にうまく対応できるオフィスがまさ
を変えることは環境配慮と同時に新しい働き方への
に「働きやすいオフィス」ではないだろうか。
人事実務 2011.3.15(No.1098)
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