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パワーゴジラ選定・施工基準書

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パワーゴジラ選定・施工基準書
技 RPG569
制定(初版)2002 年 7 月 18 日
改訂(第 2 版)2007 年 6 月 26 日
(第 3 版)2013 年 1 月 29 日
株式会社三桂製作所
プリカ事業部技術 1 部
パワーゴジラ選定・施工基準書
本基準書はケーブル・ホースを可動させるために用いるパワーゴジラに対し、パワーゴジラの選定基
準及びパワーゴジラの施工方法を規定するものです。
検
印
吉元
担
当
石田
目次
<第1部> ................................................................................................. 2
1. 目的 .................................................................................................... 2
2. 基本的な考え方 .................................................................................. 2
<第2部> ................................................................................................. 3
1. パワーゴジラ関係部品名の定義 ........................................................ 3
2. 選定基準 ........................................................................................... 4
3. 形式一覧表 ........................................................................................ 6
4. 一般施工基準 .................................................................................... 6
5. 移動距離が長い場合(7m 以上)
..................................................... 11
6. 油圧ホースを有する場合 ................................................................ 12
7. パワーゴジラ用ガイドチャンネル製作及び据え付け基準 .................. 13
8. 取付ボルトの締付けトルク ............................................................. 19
9. 保守点検について ........................................................................... 20
<参考> ............................................................................................... 22
1. パワーゴジラの一般的な動作 ......................................................... 22
2. パワーゴジラ使用例 ....................................................................... 22
1/22
<第1部>
1. 目的
ケーブル・ホース等(以下ケーブルという)を可動させるために用いるパワーゴジラに対し、
(1) パワーゴジラの選定基準
(2) パワーゴジラの施工方法
を規定するものです。
2. 基本的な考え方
設計・施工不良によるパワーゴジラの破損・動作不良を防止し、耐久性・保全性・信頼性の向上を
図ります。
2/22
<第2部>
1. パワーゴジラ関係部品名の定義
1.1.
パワーゴジラ(1)
ケーブルを可動させるために用い支持案内する装置です。
油圧ホースの場合は6.油圧ホースを有する場合を参照下さい。
1.2.
スライダー(2)
移動距離が長い場合ではスライド走行で樹脂製パワーゴジラを使用しますが、高速、高負荷が加わ
る状況で、スライド面の摩擦係数を低くするためにスライド走行専用のプレートをリンクに取付け
る部品です。
1.3.
スライドレール(3)
スライド走行時、パワーゴジラの移動端が固定端上を過ぎる際のスライド面に用いる装置です。
備考:安定した摩擦係数を維持するために基本的には樹脂製を使用して下さい。
1.4.
ガイドチャンネル(4)
移動距離が長い場合において、スライド走行でのパワーゴジラの動きをスムースにするためのガイ
ド装置です。
備考:スライド走行でのガイドチャンネルの精度は、パワーゴジラの耐久性に大きな影響を与えるため
設置は十分に注意して行って下さい。
図1 パワーゴジラ関係部品名
3/22
2. 選定基準
表1 選定基準一覧
分類
動作
仕様
収容
関係
取付
関係
周囲
環境
項目
内容
二次元動作
三次元動作
ねじれが加わる動作
長距離:7m以上
距離
中距離:2~7m
短距離:2m以下
高 速:2m/sec以上
速度
中 速:1~2m/sec
低 速:1m/sec以下
高加速度:1G以上
加速度
中加速度:0.5~1G
低加速度:0.5G以下
高質量:10kg/m以上
質量
中質量:5~10kg/m
軽質量:5kg/m以下
細いケーブルが多い
内容
太いケーブルが多い
取付部のスペースが狭い
スペース
取付部のスペースが広い
可動部のスペースが狭く干渉物あり
干渉
可動部のスペースが広く干渉物なし
防水性
防水性 必要
耐油性
耐油性 必要
切粉・スパッタ 切粉・スパッタあり
電磁波
シールド性 必要
動き
○:適している
×:適していない
フレキ
○
○
○
×
△
○
○
○
○
×
△
○
×
△
○
○
△
○
○
×
○
○
○
○
○
パワーゴジラ
○
×
×
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
×
○
×
○
○
○
×
○
○
×
△:条件が合えば使用できる
(1) 収納するケーブルの目視点検容易化及び粉塵、切粉等の内部滞留防止のためステーは梯子形(図3)
を推奨します。
図2 密閉形
図3 梯子形
4/22
(2) ステー外れ防止のためステーを上側よりはめこむタイプは極力使用せず(図4、図5)、スライドさ
せてはめこむタイプを使用して下さい(図6)。
図4 はめ込みタイプ1
図5 はめ込みタイプ2
図6 スライドタイプ
(3) 収納するケーブルの許容曲げ半径以上の曲げ半径を有するものを使用して下さい。
図7 曲げ半径
(4) 移動距離が2m 以上の場合、ステー長さが極端に短く曲げ半径が大きい場合は、転倒する可能性が
あるため注意して下さい。
目安として、曲がり部分の総高さ(2R+リンク高さ)とリンク外幅の比率が30%以上です。
図8
図9
H1
H2
W1
W2
W2<0.3H2
W1≧ 0 .3 H1
(5) 高速、移動距離が長い場合(7m以上)は、相応の仕様のものを選定して下さい(詳細は5.移動距離
が長い場合(7m以上) を参照下さい)。
表2 移動距離とガイドチャンネルの関係
移動距離
移動距離タイプ
ガイドチャンネル
2m以下
短距離形
不要
2~7m
中距離形
必要
7m以上
長距離形
必要(詳細は5 項参照)
5/22
3. 形式一覧表
2項を満足したものを使用するようにして下さい。以下に例を示します。
表3 形式一覧表
用
途
形
短い移動距離(水平走行)
式
解
説
KOL
簡易形のリンク一体成形タイプで小形軽量。
PKK※21
組合せ形でリンク接続強度があり、様々な用途
収容ケーブル少ない
オールラウンド
に使用出来るオールラウンドタイプ。
PKK※28
長い移動距離
(スライド走行)
PKK※21 にスライダーを取付けたスライド
走行専用タイプ。
収容質量:10kg/m 以下
PL※
動作速度:0.5~1m/sec
ステーがアルミ製で指定長さに合せて切断し
て組立てるタイプ。最大600mm の内幅対応。
(大形樹脂製)
収容質量:10kg/m 以上
KL※
動作速度:0.5m/sec 以下
樹脂製では対応不可能な環境(高温、高荷重、
スパッタ等)に対応可能。
(金属製)
4. 一般施工基準
(1) ケーブルを複数本布設する場合、乗り上げ又は乗り越えがないようにして下さい。
図10
図11
図12
図13
6/22
(2) ケーブルを複数本布設する場合で乗り上げが発生する場合はケーブル同士の擦れ、ねじれによる断
線防止のため仕切板で分割・整理して下さい。
図14
図15
図17
図16
図18
仕切板は原則として2リンク毎に取付。
(3) 外径が大きく異なるケーブルを混在・隣接させないようにして下さい。
備考:大きいケーブルに小さいケーブルが挟まれて動きを抑制してしまい小さいケーブルにストレスを
与えるため。
図19
図20
7/22
(4) ケーブル収容の際は適切な隙間を確保して下さい(図22、図24)。また、ケーブルの収容率は40%
以下を目安として下さい。
備考:収容の際、占有率より分割・整理を優先します。
図21
図22
(5) ケーブルに対して、パワーゴジラが広すぎるとケーブルが蛇行するため仕切板で適切な幅にして下
さい。
図23
図24
(6) パワーゴジラの外幅が200mm 以上で収容ケーブルの本数が多い場合は質量バランスを考慮して左
右対称に配置します。
この時、質量の重いケーブルは端に配置して軽いものは中央に配置します。また、質量だけでなく
ケーブルの種類によって曲げに対する反発力が個々に違うため種類の同じものを対称に配置する
ことも重要です。
図25
図26
図27
図28
8/22
(7) ケーブルをパワーゴジラ内に布設するときはケーブルにねじれが生じないようにして下さい。
備考:ねじれた状態で布設すると、パワーゴジラ内で無理な力が加わりケーブル断線及び破損などの恐
れがあります。
図29
図30
図31
図32
(8) ケーブルの布設時、張力を取り除き曲がり部分に余裕をもたせるようにして下さい。
(適切な長さで布設します。)
図33
図34
図35
(9) ケーブルは固定端及び移動端で治具等により固定して下さい。
備考:可動するパワーゴジラにケーブルを固定・結束しないで下さい。パワーゴジラ内でケーブル同士
を固定しないで下さい。また、ケーブルに張力がかかっていないように注意して下さい。
図36
9/22
(10) ケーブルを出入口で固定するときは、個々に全周を固定して下さい。また、出入口部分で急激に曲
げないで下さい。
図37
図38
図39
図40
図41
(11) 原則として走行時のブレ防止のためのガイドチャンネルを使用します(図42)。
(移動距離が短距離の場合は除く)
図42 ガイドチャンネル
S:パワーゴジラの有する当り面の幅以上
W:ガイドチャンネル内幅
(関連基準書:パワーゴジラ用ガイドチャンネ
ル製作及び据え付け基準に規定します。)
H:上側リンク中心高さと同じとし上縁部面取
注:底部は機械構成上可能な限り全面板張とはしないようにして下さい。
(切粉、砂、水、油脂類の堆積、滞留防止)
10/22
5. 移動距離が長い場合(7m以上)
移動距離が長く、パワーゴジラの有する最大水平部保持長さ(図43)を超える場合は以下を実施して
下さい。
図43 最大水平部保持長さ
(1) 可能であれば、上側パワーゴジラのたわみを防止するため、スライド板又は、スライドレールで面
支持します。
備考:サポートローラはローラー部に荷重が集中するため使用しないで下さい。
図44 サポートローラー
図45 スライド板
移動端
サポートローラー
固定端
(2) (1)が不可能な場合、移動端を極力低くし、上下のパワーゴジラを積極的に接触させます。この時、
接触部が下側パワーゴジラの終端部を超える場合はスライドレールを設定します。この場合これが
可能なパワーゴジラ(スライダー装着品)を選定するようにして下さい。
図46
図47
積極的に接触させる
移動端(極力低くする)
スライダー
スライダー
スライダー
スライドレール
(3) 上記により終端部の曲げ半径の確保が困難な場合は、終端部のガイドチャンネルを傾斜させ、(図
48)かつ、ガイドチャンネルが下側に傾斜する部分にはリンク局部に負荷が加わらないように、な
だらかなR形状の底板を取りつけます。
移動端取付位置を低く配置(曲げ半径以下)することで移動端付近に発生する負荷集中を分散させ、
耐久性を向上させることができます。
図48
11/22
(4) 上下パワーゴジラを接触させる場合(スライド走行)は、ガイドチャンネルの高さはH'とします
(図49)。
図49
6. 油圧ホースを有する場合
油圧ホースは高圧のため強い力でパワーゴジラに接触し、ホース破れの恐れがあるために原則として
パワーゴジラに収納させないで下さい。やむをえず、油圧ホースを収納する場合は、パワーゴジラと
ホースとの接触が少なくなるよう、ホースの屈曲半径等を考慮のうえ油圧ホースメーカーの選定基準
に従い支障がないよう施工して下さい。
12/22
7. パワーゴジラ用ガイドチャンネル製作及び据え付け基準
7.1.
内容概略(目的)
樹脂製のパワーゴジラ PKK タイプを長い移動距離のスライド走行で使用する場合、ガイドチャンネ
ルの性能がスライド走行に大きな影響をあたえパワーゴジラの寿命に関係してくるために製作及び据
え付けに関しては十分な注意が必要です。パワーゴジラのスライド走行に必要なガイドチャンネルの構
造、製作時の基準、注意点及び据え付け時の注意点等について説明します。
7.2.
構造
ガイドチャンネルの構造(部品構成)は図 50 のようにパワーゴジラ PKK の固定端を中央にスライドレ
ールがある側(スライド側:図の中央から右側)と無い側(転がり側:図の中央から左側)に分類できます。
個々の部品については以下の通りです。
ガイドチャンネル
A
A
固定端
移動端
B
B
スライドレール
スライドレール
A-A断面
(転がり側)
B-B断面
(スライド側)
図 50
ガイドチャンネル側板は転がり側(図 51)とスライド側(図 52)ではスライドレールの取付穴が有るか無
いかの違いだけで基本的な構造は同じです。
ガイドチャンネル接続部ねじ
ガイドチャンネル側板
ガイドチャンネル側板
スライドレール
接続プレート
構造物に固定する部品
(転がり側ガイドチャンネル)
(スライド側ガイドチャンネル)
図 51
①
図 52
接続プレート
ガイドチャンネル側板同士を接続するプレート
②
スライドレール
低摩擦係数によりスライド時の抵抗をより少なくするために樹脂製のスライドレール(角棒)を使用しま
す。
③
固定端用スライドレール
固定端のパワーゴジラ PKK にはスライダーが取り付かないため(固定ボルトが入るため)にその上部に
取り付ける樹脂製スライドレール。これは②のスライドレールを加工して製作します。
④
その他
ガイドチャンネルを構造物に固定する部品(設置方法で検討する)、ボルト関係等
13/22
7.3.
材料(使用材質)
7.3.1. ガイドチャンネル側板の材質
ガイドチャンネルの材質は以下の通りとする。
(1) ガイドチャンネル側板の材質は屋外で使用する場合は耐腐食性を有したものを使用すること。また、
通常の鉄板に塗装したものでも問題は有りませんが内面のスライド面(PKK と接触する面)は塗装
が早期に剥がれますが問題は有りません。
(2) ガイドチャンネル内面はパワーゴジラがスライドするために表面粗さの細かいものを使用して下
さい。
【ガイドチャンネル材質例】溶融亜鉛めっき鋼板
7.3.2. スライドレールの材質
スライドレールの材質は樹脂製で滑走性、低摩擦係数、耐候性(屋外使用の場合)を有したものを使用し
て下さい。
【スライドレール例】三桂製作所製パワーゴジラ用スライドレール(ポリエチレン製 25×25×2000)
7.3.3. その他の部品の材質
その他の部品の材質はスライド接触面とならないので適度な強度を有した材質であれば特に規定しま
せん。また、屋外使用の場合は防錆を考慮した材質または表面処理等が必要です。
7.4.
製作基準
7.4.1. ガイドチャンネル側板
ガイドチャンネル側板の製作基準は以下による。
(1) 高さ(H)
ガイドチャンネルの高さ(H)は通常はパワーゴジラ高さの 2 倍であるが、パワーゴジラの幅に対して曲
げ半径が極端に大きい場合はパワーゴジラの曲がり部分の倒れを防止することでガイドチャンネルの
高さはパワーゴジラの曲げ半径と同じ高さが必要です。また、機器の振動が大きい場合も同様です。こ
の基準としてはパワーゴジラの外幅に対して曲がり部分の最大高さ(リンク高さ+曲げ半径×2)の比率が
30%以上、振動が激しい場合には 35~40%以上であれば転倒しませんのでガイドチャンネルの高さはリ
ンク高さの 2 倍(またはそれ以上)で製作下さい。
α゜
α゜
上部折り返し
ガイドチャンネル側板
スライドレール
H
接続プレート
ゴジラの高さ
H
c
ガイドチャンネル側板
b
b
内面に突起が出ないこと
※溶接ナット等を使用して内面に
加工面が無い構造が良い。
S
S
図 53
図 54
14/22
(2) 上端折曲げ角度(α)及び長さ(b)
ガイドチャンネルの上端部の曲げ角度(α)は 20°~30°の範囲とし、この部分の長さは 20mm 以上と
して下さい。これはパワーゴジラがガイドチャンネル内にスムースに誘導されるためのものです。
また、上部の折り返し部分はガイドチャンネルのたわみ、歪み(変形)防止のためのリブ形状で他にたわ
みが発生しない処置が出来れば特に必要ありません。
(3) ガイドチャンネル端面形状
ガイドチャンネル側板を製作する時に鋼板を切断するとバリの出る側が有りますが、製作時にこの側を
極力ガイドの外側方向になるように加工するようにすることで内面に不要なバリが発生しません。
(4) 内面側の表面状態
ガイドチャンネルの内面側の表面状態は突起、バリ等のスライド走行を阻害するようなものが有っては
ならない。
(5) ガイドチャンネル接続部
ガイドチャンネル側板同士を接続プレートにより接続していきますがガイドチャンネルの両端部に接
続用のめねじを取り付けます。形状及び位置は特に規定しないがガイドチャンネル側板の取付用ねじ部
は内面に突起等が出てはいけない。また内面からめねじ端部までの距離(c)が均一でないと取付時に内面
段差が出来るために製作時にはこの距離(c)の許容差を±0.1 として下さい。
7.4.2. 接続プレート
接続プレートの製作基準は寸法及び取付位置等は特に規定しないがガイドチャンネル側板同士を確実
に固定できる形状で十分な強度を有していること。また、接続プレートを利用して構造物に固定する場
合は確実に固定できる構造及びガイドチャンネルの位置を調整できる(設置時に内幅を決めながら固定
する場合)構造とする。
7.4.3. スライドレール
スライドレールの製作及び取り付け基準は以下による。
7.4.4. 固定端用スライドレール
固定端取付部分に使用するスライドレールの製作は基本的にパワーゴジラのスライダー面と同一高さ
で滑らかなスライド走行が出来ることであればどのような仕様であっても問題はないが下記の点に注
意して行って下さい。
(1) リンク上面のスライドレール厚さ(t):(PKK※28 スライダー仕様の場合)
リンク上面のポリエチレン製スライドレールの厚さはリンクに使用しているスライダーと同一厚さと
する。
(PKK128 は 3mm、PKK228 及び PKK328 は 5mm)
(2) スライダー側長さ(L) :(PKK※28 スライダー仕様の場合)
リンク固定部分からスライダー側に張り出しているスライドレールの長さは PKK328 で 35mm(最大
45mm)、PKK228 で 30mm(最大 32.5mm)とする。
15/22
※極端に長すぎると隣のスライダーに干渉または引っかかりの原因になりますので上記の寸法は基準
として下さい。
(3) スライドレール端のスライド面側角部面取り
スライドレールの角部は R10~R15 の面取り加工を施すこと。
皿ボルト用ザグリ穴(皿ボルトの頭部が露出しないこと)
L
スライドレール厚さ(t):5mm
ゴジラ高さ
ゴジラ高さ
スライダー厚さ:5mm
R1
0~
R1
5
(4) 固定端取付ボルト部分:(PKK※28 スライダー仕様の場合)
円錐状のスペーサーでザグリを埋める
ゴジラの固定端は図のように皿ボルトとナットでガイドチャンネルに固定
図 55
固定端取付ボルト部分は皿ボルト(PKK328 は M8 ボルト、PKK228 は M6 ボルト)の頭部が入るザグリ
加工をし、皿ボルト頭部がスライド面に出ないこと。取付時は図のように PKK リンク本体のザグリ穴
を皿ボルト形状(円錐状、またはワッシャー等)の物で埋めて取付を行う方法と他にもスライドレール先
端形状を L 字型に加工してリンク上部にスライドレールを回り込ませる方法でスライドレール先端の
強度を確保し取付けることも出来ます。
(5) 固定端取付ボルト及びスライドレール部分:(PKK※21 のリンクスライドの場合)
スライダーを使用しないタイプでは固定端取付ボルト部分は皿ボルト(PKK321 は M8 ボルト、PKK221
は M6 ボルト)を使用してリンクの皿ボルト用ザグリ部分にボルトの頭部が上面に露出しない様にリン
クを固定します。また、スライドレールは図 56 のように固定端のリンクに極力近づけて隙間のない様
5
隙間はリンクピッチ以下
R1
R1
R1
0~
0~
R1
皿ボルト用ザグリ穴(皿ボルトの頭部が露出しないこと)
5
に取り付けます。
図 56
7.4.5. その他のスライドレール
(1) スライドレール端のスライド面側角部面取り
スライドレールの角部は R10~R15 の面取り加工を施すこと。
(2) 取付ボルト位置
取付ボルト位置は以下による。
a)
ボルトの間隔は最大で 480mm 程度とする。(スライドレールは柔らかい為にたわみやすため)
b)
レール端部からの取付位置は 100mm 以内とする。
c)
使用ボルトは特に規定しないが、ねじ頭部がスライド面に干渉しないこと。
16/22
段差
隙間
R
R
スライドレール
スライドレール継ぎ目
図 57
7.4.6. スライドレールの取付基準
(1) スライドレール接続部の段差
スライドレールの接続部(継ぎ目部分)の段差は±0.5mm 以内で取付を行うこと。
(2) スライドレール接続部の隙間
スライドレールの接続部(継ぎ目部分)の隙間は 5mm 以内で取付を行うこと。
7.5.
注意事項
基本的にガイドチャンネル内面にスライド走行を阻害するような部分が無く、スムースなスライド走行
が可能なものであれば問題は無いと考えます。以上の製作基準に関して注意事項についてまとめると以
下のようになります。
【注意事項】
(1) ガイドチャンネル内面(スライド部接触面)は突起、バリ等が無く平滑でなければならない。
(2) ガイドチャンネル接続部の内面(スライド部接触面)は取付時に段差が出ないような構造であること。
(3) ガイドチャンネル接続部は内面にバリ等が出ないこと。
(4) スライドレール上面(スライド面)は段差が無く平滑な状態となるような取付構造であること。特に
パワーゴジラのスライダーからスライドレールになる固定端部分の段差が無いように注意下さい。
(5) ガイドチャンネルの内幅はパワーゴジラ外幅に対して+6mm(許容差±3mm)であること。
(6) ガイドチャンネル設置時に曲がりが出ない構造であること。(直線性は走行の基準直線に対して±
5mm 以内)
パワーゴジラPKK幅:W
ガイドチャンネル内幅:W+6(許容差±3)
図 58
17/22
7.6.
据え付け(設置)に関して
ガイドチャンネルを据え付ける場合に下記の点を基準に据え付け(設置)を行って下さい。
(1) 移動端取付は走行ラインに対して±3°以内の角度で取り付けて下さい。
(2) ガイドチャンネルの直線性は全長にわたって±5mm 以内で設置して下さい。
(3) ガイドチャンネル接続部分は段差が無いように設置のこと。
(4) ガイドチャンネル内幅は全長にわたって規定内寸法であること。
移動機器
移動機器の走行ライン
K±5mm
90゜±3°
図 59
18/22
ガイドチャンネル
8. 取付ボルトの締付けトルク
パワーゴジラの取付ボルトについて、均一な締付管理が出来るように締付トルク値を規定します。この
締付トルクは樹脂製パワーゴジラについてのみ適用します。
8.1.
取付ボルトと適用パワーゴジラ一覧
パワーゴジラの取り付けに使用するボルトは下表の通りです。
使用ボルト
M4
M5
M6
M8
適用パワーゴジラ
KOL 0/0.3/01.3/1.3/2.3/3.3/02/03/05/06/06.4
PKK 120/121/123/125/128
KOL 10.0/11.0/12.0/13.0/14.0/16/17/10.5
PFR 121/122/123
KOL 19.0/20.0/21.0/22.0/29.0/19.5/20.5/21.5/24.5/25.5/27.5
PKK 220/221/223/225/228
PL※220
PFR 221/222/223
PKK 320/321/323/325/328
PL※320
PL※520
PFR 322/323
※ 使用ボルトは PKK 以外は六角ボルトまたは六角穴付ボルトを使用して下さい。
※ PKK に使用するボルトは標準は六角穴付皿ボルトです。リンク面よりボルトの頭が出てよい場合は
六角穴付ボルトも使用できます。
8.2.
締付トルク
各サイズのボルトに対する締付トルクは下表の通りです。
(ボルトの呼びに対してトルク値を規定します)
使用ボルト
締付トルク(Ncm)
M4
115
M5
140
M6
700
M8
1200
締付け後、リンクを手でゆすって動かないことを確認して下さい。
19/22
9. 保守点検につて
全般
9.1.
(1) パワーゴジラがスムースに往復運動しているか、収容ケーブル及びホースの状態が正常であるか定
期的に点検して下さい。パワーゴジラは可動部品ですので定期的に摩耗及び損傷状態を確認して下
さい。定期点検の目安としては走行距離 1 万 km 毎です。
(2) 走行部分のガイドチャンネル内及びスライド走行時のスライドレール等のスライド面上に異物が落
ちたり堆積しないように注意して下さい。
9.2.
スライダーについて
パワーゴジラPKK※28(スライダー仕様)のスライド走行用スライダーは長い移動距離の走行仕様で
スライド走行を円滑に行うための仕様です。この部品はスライド走行で繰り返し摺動するために摩耗し
ますので基本的には消耗部品ですので定期点検による摩耗状態の確認及び以下の交換基準をもとに交
換するようにお願い致します。
9.2.1. 適応機種
このスライダーは PKK の以下の機種に適応します。
番号
1
2
3
4
PKK 品番
PKK228
PKK328
PKK225 スライダー仕様
PKK325 スライダー仕様
仕様詳細
カタログ標準品:PKK221 にスライダー取付
カタログ標準品:PKK321 にスライダー取付
特殊組立品:PKK225(密閉型)にスライダー取付
特殊組立品:PKK325(密閉型)にスライダー取付
スライダ部品番
SLPK220
SLPK320
SLPK225
SLPK325
9.2.2. 交換基準
交換基準は下表のとおりです。スライダーの厚さは、図のとおり底面のスライド面の厚さを示します。
リンク全長で最も摩耗の進行している部分を計測して下さい。
スライダー状態
新品状態
摩耗交換基準値
摩耗限界値
内 容
新品状態のスライダー厚さ
3.5mm 摩耗して残り 1.5mm が交換基準値です。
約 0.5mm 程度まで摩耗すると走行中に脱落の可能性あります。
スライダー厚さ
スライダー厚さ
5.0mm
1.5mm
0.5mm
図 60
9.2.3. 交換について
スライダー交換を部分的に行いますと、摩耗品と新品の間でスライド面に段差が出来るため、摩耗し
た部分だけではなくスライダー全部を新品に交換して下さい。またリンク本体取付面が摩耗している場
合はリンク毎交換してください。
20/22
9.2.4. スライダー摩耗量と周囲環境について
スライダーは常時スライド走行によりスライダー同士またはスライダーとスライドレールが摺動す
るため摩耗しますが正常な環境では摩耗進行速度は走行距離 1 万 km で約 1mm 摩耗が標準的な目安で
す。
(環境以外の様々な使用条件によっても変化しますのであくまで目安です。)しかし、環境によって
は急激に摩耗する場合がありますので注意して下さい。考えられる環境としては以下の通りです。
1) スライド面に摩耗促進物質(鉄粉等)が存在する場合。
※目視ではわからないような金属粉もありますので、ドライ加工のラインにおいては走行距離で最
低 10、000km 毎に点検を行ってください。
2) 周囲温度が 60℃を超える場合。
3) 収容重量が重く、移動速度が極端に速い場合。(例:収容重量 8kg/m、移動速度 240m/min など)
9.3.
ステー、リンクについて
パワーゴジラは繰り返し往復動作をしますので、使用頻度、高加速度、収容物の影響などによって摩
耗が促進する場合があります。定期点検によって摩耗状態を確認し、摩耗が大きい場合は交換するよう
にして下さい。考えられます摩耗部分は以下の通りです。
1) リンク同士の接続軸及び穴部分:リンクは常時可動するために軸及び穴は摩耗します。
2) リンクのステー取付部:ステーはリンクに取付けられていますが収容物の影響により取付部が摩耗
する場合があります。これは収容ホース等がステーに押しつけられた状態で往復動作するとステー
も前後に繰り返し動かされ摩耗しますので収容物の状態には注意して下さい。以下の点に注意して
下さい。
① 収容ケーブル・ホースは長さを調節しパワーゴジラの曲がり部分で余裕があるようにして下さ
い。
② 収容ケーブル・ホースは移動端及び固定端で必ず固定してください。
③ 収容ケーブル・ホースは高さ方向でパワーゴジラ内に余裕があるようにセットしてください。
④ 収容ケーブル・ホースはデバイダー(仕切板)で分割整理して下さい。
⑤ 収容ケーブル・ホースは極力 2 段重ねしないのが望ましいですが、2 段重ねする場合はステーや
デバイダーを圧迫しないように余裕をとってください。
⑥ 収容ケーブル・ホースは滑りのいいものを使用してください。
パワーゴジラのリンク及びステーの摩耗が大きい場合は、交換するようにして下さい。
9.4.
その注意点
その他の注意点は下記の通りです。
①
パワーゴジラの上に人間や重量物などを載せないで下さい、破損の原因になります。
②
パワーゴジラが走行時には可動範囲には危険ですから入らないで下さい。
③
パワーゴジラは、取り扱い時に自重で転がる場合があり十分注意して下さい。
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<参考資料>
1. パワーゴジラの一般的な動作
付図1 標準形
付図2 吊下げ形
付図3 長距離形
付図4 遠近形
2. パワーゴジラ使用例
付図5 工作機械
付図6 ローダ関係
スライダー
スライドレール
◆移動距離短い(水平走行)
◆移動距離長い(スライド走行)
◆収容重量 20kg/m 以下
◆収容重量 20kg/m 以下
◆油圧ホース 無
◆油圧ホース 無
◆加速度 0.5~1.5G
◆加速度 0.5G 以下
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