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大気球実験 安全手帳

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大気球実験 安全手帳
RBL-09001 C 改訂
大気球実験
安全手帳
連携協力拠点
大樹航空宇宙実験場
宇宙航空研究開発機構
大気球実験室
TEL. 01558-9-9013
RBL-09001 C 改訂
目次
第 1 章 序論.................................................................................. - 5 第 2 章 安全一般心得 .................................................................... - 6 2.1. 一般心得 ............................................................................. - 6 2.2. 火薬・火工品使用時の一般心得.............................................. - 7 2.3. 高圧ガス使用時の一般心得 ................................................... - 7 2.4. 気球放球作業時の一般心得................................................... - 7 第 3 章 火薬類取り扱い心得 ............................................................ - 8 3.1. 用語の定義 .......................................................................... - 8 3.2. 一般的注意事項 ................................................................... - 8 3.3. 火薬類取り扱い作業における注意事項(ロープカッター) ............. - 9 3.4. 火薬類取締法施行規則より .................................................... - 9 第 4 章 高圧ガス安全心得.............................................................. - 11 4.1. 一般知識及び取り扱い上の注意事項 ...................................... - 11 4.2. 高圧ガス取り扱い基準 .......................................................... - 12 4.3. 危険時の応急処置 ............................................................... - 16 4.4. 大気球実験で取り扱うガスの特性および注意事項 ..................... - 19 第 5 章 電気安全心得 ................................................................... - 21 5.1. 一般心得 ............................................................................ - 21 第 6 章 設備取り扱い基準 .............................................................. - 22 6.1. ヘリウムトレーラ .................................................................... - 22 6.2. スライダー放球装置 .............................................................. - 23 6.3. 大重量基準錘 ..................................................................... - 23 第 7 章 機器取り扱い基準 .............................................................. - 25 7.1. クレーン取り扱い基準 ........................................................... - 25 -3-
7.2. フォークリフト取り扱い基準 .................................................... - 27 7.3. 電動台車取り扱い基準 ......................................................... - 30 7.4. 保安電力取り扱い基準 ......................................................... - 31 第 8 章 防消火基準 ...................................................................... - 33 8.1. 防火管理要領..................................................................... - 33 8.2. 消火器設置場所 ................................................................. - 34 第 9 章 通報設備 ......................................................................... - 36 9.1. 構内内線電話番号 .............................................................. - 36 9.2. 拡声器配置 ........................................................................ - 38 第 10 章 放射線障害の防止........................................................... - 40 10.1. 一般心得 ......................................................................... - 40 第 11 章 大樹航空宇宙実験場概略................................................. - 41 11.1. 実験場概観 ...................................................................... - 41 11.2. 大気球指令管制棟概観 ...................................................... - 42 11.3. 大樹町近郊簡易地図 ......................................................... - 43 附 ............................................................................................... - 44 関係機関連絡先(抜粋) .............................................................. - 44 協力会社連絡先(抜粋) .............................................................. - 45 -
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RBL-09001 C 改訂
第 1 章 序論
この安全手帳は、大樹航空宇宙実験場において、大気球実験を進めるにあ
たり、各種の実験準備作業を安全に行う上で心得ておくべき基本的な基準およ
び対策を現場作業者に徹底させることを目的とする。
安全手帳を作成するに当たり、平成 20 年度相模原キャンパス安全ハンドブッ
ク、労働安全基準、火薬類取締法施行規則、高圧ガス保安法、電離放射線障
害防止規則等を遵守している。
大気球実験室で実施される実験に参加される方は、この手帳の内容を熟知し、
作業中もこの手帳を携行し、常に安全に留意すること。
なお、実験時の保安についての特別事項は、実験毎に実験主任等から指示
する。
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第 2 章 安全一般心得
2.1. 一般心得
1. 健康、安全を第一とする。
2. 標識および掲示事項を必ず守る。
3. 危険作業を行う時は、標示あるいは縄張り等を施し、必要に応じ監視者
を配置する。
4. 機械、器具、装置、車両、その他使用前後に必ず安全点検を行う。
5. 担当以外の機械、器具、装置、車両、その他には、許可なく手出ししな
い。
6. 共同作業を行う場合は、特定な指導者の下で行う。
7. 歩行中、作業中での喫煙は禁止する。
8. 喫煙は指定された場所で行う。
火気とは、以下のものを含む。
「裸電球」「ガス切断によるスパーク及び材料の余熱」「溶接作業及び材
料の余熱」「ハンダ付け作業」「静電気」「スパーク」「ストロボ・フラッシュ」
「その他非防爆型電気機器」
9. 小さな事柄でも、不審があれば担当責任者に確認する。
10. 作業中は、作業に支障ない服装、安全靴を着用する。特に、気球放球
時には、指定された放球作業服、安全靴を着用する。
11. 気球放球作業中は、常に安全帽を着用する。
12. 予め決められた作業及び本部より指示された作業以外の作業は、本部
の了解を得た後に行う。
13. 機械の間、装置の間、積荷の間、その他危険な箇所を通行する時は左
右、頭上、足元に注意する。
14. 消火器、出入口、配電盤、メインスイッチ等の付近には物を置かない。
15. 不要な電源、照明は担当者が切る。
16. 実験時における退避は、予め決められた場所とする。
17. 建物内外は常に整理整頓に心掛ける。
18. むやみに担当以外の建物、区域に立ち入らない。
19. 各班は、計器類及び装置等のアース線回りを含めた配線ブロック図を
計測系統の新設または変更毎に保安主任に届けること。
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20. 保安主任は、気球放球点に漏洩電流のないこと、2点アースの発生して
いないことを確認すること。
2.2. 火薬・火工品使用時の一般心得
1. ロープカッター及び火工品は、予め決められた鍵付き防爆保管庫に必
ず保管すること。
2. 防爆保管庫の開閉は、管理責任者の許可を必ず受け、管理責任者の
立ち会いの下で行うこと。
3. 火薬・火工品を防爆保管庫から持ち出す時は、必ず保管ノートに所定
項目を記入すること。
4. その他第 3 章参照のこと。
2.3. 高圧ガス使用時の一般心得
1. 容器のバルブは丁寧に取り扱い、使用後は確実にバルブを閉める。
2. 容器の転倒防止措置を施し、確実に固定して使用する。
3. 容器は常に腐食防止に心がける。
4. バルブには過大な力を与えない。
5. 設置場所は通風の良い場所とする。
2.4. 気球放球作業時の一般心得
1. スライダー放球装置の運転および操作はランチャー主任指名の者が行
う。
2. スライダー放球装置使用後は格納庫内指定の場所に置き、コントローラ
は指定の場所に格納する。
3. 放球作業中は関係者以外スライダー放球装置に近寄らぬこと。
4. 機器を操作する場合は合図をし、関係者は機器の動きに注意すること。
5. 作業上必要な場合以外、走行中のスライダー放球装置に人を乗せて走
行しないこと。
6. 関係者以外は各機器に手を触れぬこと。
7. 作業中は安全帽、放球作業服、安全靴の着用を原則とする。
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第 3 章 火薬類取り扱い心得
3.1. 用語の定義
一般に火薬類と呼んでいるものは法規上、次の三つに分類される。
1. 火薬・・・その燃焼波が音速以下で伝搬し、推進の要に供するもの。
2. 爆薬・・・その燃焼波が音速以上で伝搬し、衝撃波を伴いデトネーション
を起こし、破壊的用途に使用するもの。
3. 火工品・・・火薬・爆薬を利用し、ある目的のために加工したもの。火薬・
爆薬より火工の程度が高い。
3.2. 一般的注意事項
火薬類は爆発性物質であり、火薬類による事故は他の危険性物質に比べて
も非常に大きな災害をもたらす。取り扱いは十分な注意が必要であり、予め爆発
危険性等を十分に調査し、経験者に尋ね、万一事故が起こっても、被害を最小
限度に止めるように対策を考えてから取り扱う。
1. 火薬類を取り扱う時には必要最小限の人員で行う。
2. 火薬類に使用する電気器具は、防爆以外のものを使用しない。
3. 火薬類は定められた場所以外に持ち込まない。
4. 火薬類取扱中は、関係者以外その付近に立ち入らない。
5. 火薬類取扱場所及びその周辺は整理・整頓に留意し、その措置を講ず
る。
6. 火薬類に対する標識、掲示事項を厳守する。
7. 火薬類をみだりに放置しない。
8. 火薬類の盗難・紛失には十分注意し、保管・出納に関しては火薬責任
者の指示に従う。
9. 火薬類の取り扱いにあたっては、火気、電気、直射日光、湿気および衝
撃・摩擦等に十分注意する。
10. 火薬類の改造・分解・修理はしない。
11. 火薬類の作業時は万一の災害発生に備えて、予め避難方法、避難場
所を考慮しておく。
12. 落雷のおそれがある時には、火薬類の取り扱いを一時中断する。
13. 火薬類に使用する機器類は定められたもの以外使用しない。また、使
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用前に点検し正常を確認して使う。
3.3. 火薬類取り扱い作業における注意事項(ロープカッター)
1. 保管庫から取り出す際は必ず使用簿に月日、目的、取り出し者の氏名
を記入する。
2. 火工品のリード線端末は使用時以外短絡し、絶縁しておくこと。
3. 接続前、接続後に点火系各々の抵抗値を測定し、所定の記録簿に記
入する。
3.4. 火薬類取締法施行規則より
大気球に使用する全てのカッターの詳細を以下に示す。
項
目
穴径 (mm)
外形×全長 (mm)
重量 (g)
点火玉抵抗値 (Ω)
最小発火電流 (mA)
点火薬(トリシネート)
装薬(過塩素酸カリ系) (mg)
火薬室
ボディーアース
脚線
温度試験 (℃)
3
3φ
8.1×32
5
0.8
1000
30
なし
より線
ロープカッター(mm)
6
10
18
6×8
10×15
18×25
16×60
22×82 41×115
38
116
370
4 (2 系統)
200
150
200
30
30
30
75
180
185
気
密
脚線片側
より線
単線
より線
-60 ~+70
平成 8 年 8 月に通商産業省告示第 356 号により火薬類取締法施行規則に基
づき、火薬類取締法の適用除外品としてケーブルカッターが以下のように告示
された。
1. 使用する火薬類の量が次の (1) 又は (2) のいずれかであること。
(1) 火薬 0.38 g 以下、爆薬 0.105 g 以下であること。
(2) 火薬 0.8 g 以下であること。
2. 電気点火によりケーブルを切断する構造であること。
-9-
3.
4.
5.
6.
7.
火薬及び爆薬を再度充填することができず、再使用できない構造であ
ること。
カッターシリンダは、気密性を有し、1,000 kgf/cm2 の内圧に耐える材質、
構造であり、爆発、燃焼により塑性変形しない材質であること。
防錆性を有する材質であること。
カッターは、最大変位が 29 mm 以下の鋼製であること。
ケーブル切断後のカッターは固定されカッターシリンダ内の残ガスが外
部に漏れないものであること。
○ 気球で使用するカッターは全て火薬類取締法の適用除外品であるが、少量
でも火薬を取り扱うため宇宙科学研究所内に火薬類取り扱い行為の審査を
独自に受けている。従って記録簿に記録しており取り扱いには十分注意を
要する。
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第 4 章 高圧ガス安全心得
4.1. 一般知識及び取り扱い上の注意事項
高圧ガスは、その取り扱いを誤ると非常に危険なものであることは過去の災害
事故がよく物語っている。従って高圧ガスを取り扱う者は、そのガスの性質及び
取り扱い方法を熟知して、作業上誤りのないように細心の注意を払うよう心掛け
なければならない。また不幸にして事故に遭った場合には、その被害を最小限
にとどめるような処置ができる能力を常々養って置く必要がある。以下に、この目
的を達するために高圧ガスについての一般知識及び取り扱いの注意事項をまと
める。
1. 高圧ガスの定義
高圧ガスは、大気よりも高い圧力で封じ込められているガスのことで、高圧
ガス保安法に次のように定義される。
(1) 常用の温度において圧力(ゲージ圧をいう。以下同じ)が 1 MPa 以上
となる圧縮ガスであって現にその圧力が 1 MPa 以上のもの、または温
度 35℃において圧力が 1 MPa 以上となる圧縮ガス。
(2) 常用の温度で現に 0.2 MPa 以上となる圧縮アセチレンガスであって
現にその圧力が 0.2 MPa 以上であるものまたは温度 15℃において
0.2 MPa 以上となる圧縮アセチレンガス。
(3) 常用の温度で現に 0.2 MPa 以上となる液化ガスであって現にその圧
力が 0.2 MPa 以上であるものまたは圧力が 0.2 MPa となる場合の温度
が 35℃以下である液化ガス。
2. 高圧ガスによる災害
高圧ガスの取り扱いに対する注意が十分でない場合に発生する災害を分
類すると次のようになる。
(1) 高圧ガスであるための災害
高圧ガス容器は一般に 35℃の下で 15 MPa に充填されており、多量
なエネルギーが蓄積されているため、運搬、貯蔵、消費等に関して不
適当な取り扱いをすれば、容器あるいは設備配管等の破裂が起こり
得る。
(2) 可燃性に基づく災害
可燃性ガスを不適当な取り扱いをすれば、当然火災が起こり得るが、
- 11 -
高圧に充填されている可燃性ガスでは、圧力のない場合に比べ、そ
の災害の広がる速さ、その強さが著しく大きく、ガス爆発を起こす場合
が多い。
(3) 支燃性に基づく災害
高純度の酸素ガス中では全ての有機物の他、多くの無機物でも激し
く燃焼を起こす。酸素ガス容器に油を付着させたり、あるいはその容
器を火に近づけたりすることは重大な災害の要因となる。
(4) 窒素による災害
窒素、水素等は少量ならば吸入しても無害であるが、多量に吸入す
ると酸素が肺に達することができなくなり窒息する恐れがある。大量の
消費に際しては、通気に格別の配慮が必要である。
(5) 低温による災害
極低温液化ガスの液体や上記及び低温ガスが被服に接触すると凍
傷になる。また、これらの流体が通る断熱していない配管や容器に接
触しても同様な傷害を起こす。さらに、低温のこれらのガスを吸入した
場合、呼吸障害や呼吸困難に陥る場合があるので注意が必要であ
る。
4.2. 高圧ガス取り扱い基準
1. 高圧ガス容器取り扱い上の注意
高圧ガスは、大気よりも高い圧力で封じ込められているガスのことで、高圧
ガス保安法に次のように定義される。
(1) 容器は充填ガスの種類及び性質により容器の表面積の 1/2 以上に、
下記に示す規定の表示塗色がされている。また、可燃性ガスには
「燃」、毒性ガスには「毒」の文字が明示されている。
ガス名
容器の塗色
酸素ガス
黒色
水素ガス
赤色
液化炭酸ガス
緑色
アセチレンガス
褐色
ヘリウムガス
鼠色
窒素ガス
鼠色
アルゴンガス
鼠色
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(2) 容器には、肩部に次の事項が明瞭に刻印してある。
容器製造業者の名称または符号
(例 丸由工材)
充填ガスの名称(カタカナまたは化学記号) (例 ヘリウム)
容器の記号及び番号
(例 M123456)
(例 V 50.0 ℓ )
内容積(記号V、単位 ℓ )
容器質量(記号W、単位kg)
(例 W 80.0 kg)
耐圧試験年月
(例 平15. 4 )
耐圧試験圧力(記号TP、単位MPa)
(例 TP 25)
最高充填圧力(記号FP、単位MPa)
(例 FP 15)
(3) 容器は注意深く取り扱い、粗暴な取り扱いや打撃および落下は容器、
弁および安全装置を損傷し、漏洩、破壊等の危険の原因となる。
(4) 容器はたとえ空の時でも、容器としての目的以外に使用してはならな
い。
(5) 容器を直立させておく場合には、転倒せぬようアンカー(埋め込みナ
ット式)で固定されたボンベスタンドに鎖により固定すること。
(6) 容器を横にして置いたり運搬したりする場合には、容器が転がらぬよ
う支持具を用いて確実に固定すること。
(7) 夏の直射日光、炉、ストーブ、その他熱い場所の付近や、溶接、溶断
等の場所の付近では、容器の取り扱い作業をしてはならない。
(8) 容器を長期間風雨にさらしたり、土砂等がかかりやすい所に放置して
はならない。
(9) 容器は常にガスが一杯入っているものと考え、注意深く取り扱うこと。
2. 高圧ガス貯蔵上の注意
(1) 容器を規定以上の高温にしないこと。貯蔵中は 40℃以下に保つこと。
また、逆に規定以下の低温にしないこと。
(2) 容器を戸外に置いた場合、風雨にさらさないこと。夏戸外に置く容器
には引き続き直射日光を受けないよう覆いをかけ、温度を 40℃以下
に保つため、通風をよくするなどの措置をとること。
(3) 油、ガソリン、または油ボロのような特に発火しやすい物の近くには容
器を貯蔵しないこと。
(4) 電線やアース線の近くには容器を貯蔵しないこと。
(5) 腐食性のある化学薬品の近くに容器を貯蔵しないこと。
(6) 充填容器は、ガスの種類によってはっきり区別すること。酸素は他の
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可燃性ガスと一緒に貯蔵してはならない。また、空容器を一定の場所
に集めて空であることを表示すること。
(7) 空容器の弁は必ず閉めておくこと。
(8) 消火器を備え、設置場所を周知させておくこと。
3. 高圧ガス運搬上の注意
(1) 容器を特別な手押し車に乗せる場合を除き、移動の前に調整器を取
り外し、弁を閉め、キャップを取り付けること。
(2) 容器を吊り上げる場合には、弁およびキャップの所を吊ってはならな
い。
(3) 容器は吊り鎖を用いて吊り上げないこと。クレーンは容器を安全に収
容する籠がついている場合以外は使用しないこと。
(4) 容器を手で転がす場合には安全靴を着用すること。できる限り運搬具
を備えること。
(5) 容器を落としたり倒したり、あるいはお互いに激突させないこと。
(6) トラックで容器を運搬する場合には、その転落や移動を防ぐため慎重
にロープ掛けすること。
(7) 車両に積み込む場合、その車体に応じた本数までとする。
(8) 車両での輸送では常に低速で運転し、急停車、急速回転による荷崩
れを避けること。
(9) フォークリフトで容器を輸送する場合、必要以上に高く持ち上げない
こと。
4. 高圧ガス使用上の注意
(1) 弁を急激に開けてはならない。開ける場合にはガスのでる向きを横に
して、出口側に人がいないことを確かめ、専用のハンドル、スパナー
を用いて手で静かに開けること。一般のスパナー、ハンマー等を用い
ないこと(弁出口が閉鎖された配管や調整器等に接続されている場
合、急激に弁を開けると断熱圧縮により 1,000℃以上の高温になり、
また、非常に大きいガス流速による摩擦熱や静電気により接続物が
発火することがある)。
(2) ガス使用中は弁を充分開けておくこと。
(3) ガス使用後は完全に弁を閉め、キャップをしておくこと。
(4) 容器に調整器を取り付けた場合は、弁を開く前に調整器のハンドル
(押しネジ)を左に回しゆるめておくこと。
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(5) 調整器、圧力計、ホース、導管等はそのガス専用の物を使用し、他の
ガスの物を流用してはならない。
(6) ゴムホースの接続は、締め具等を用いて確実に行い、作業中にガス
が漏れたり抜けたりしないように注意すること。
(7) 高圧の継ぎ手等に漏れがある場合には、必ず圧力を下げてから増し
締めを行うこと。
(8) 溶接用ホースは常に整頓し、火花がかかったり、熱した金属に触れた
りしないように注意すること。
(9) 通風の良い場所で使用すること。
(10) 使用開始時と使用終了時には、設備や器具の点検を行い、異常のな
いことを確認すること。
5. 耐圧試験・気密試験上の注意
容器、配管等の耐圧試験、気密試験を行う場合には、関係者以外の作業
者に十分な注意を促し、必要に応じてロープ等で立ち入り禁止区域を設ける。
また加圧中(圧力が一定になるまでの間)は、たとえ関係者であっても当該設
備に近づかぬこと。
(1) 耐圧試験
① 耐圧試験は原則として水圧により行う。
② 耐圧試験において、やむをえない理由で水を満たすことが不適当
な場合には、空気、窒素等の危険性のない気体によって行うことが
できる。
③ 耐圧試験圧力は常用の圧力(設計圧力または許容圧力の低い方
の圧力)の 1.5 倍以上とし、その試験圧力保持時間は 5~20 分を
標準とする。
④ 耐圧試験は当該設備が脆性破壊を起こす恐れのない温度におい
て行わなければならない。
⑤ 耐圧試験は、耐圧試験において局部的な膨らみ、伸び、漏洩等が
ない時これを合格とする。
⑥ 耐圧試験を空気、窒素等の気体によって行う場合には、まず設計
圧力の 2 分の 1 の圧力まで上げ、その後設計圧力の 10 分の 1 の
圧力ずつ段階的に圧力を上げて試験圧力に達した後、再び設計
圧力まで圧力を下げた場合に局部的な膨らみまたは伸び、漏れ等
の異常が生じない時、これを合格とする。
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(2) 気密試験
① 気密試験は原則として空気、窒素等の危険性のない気体の気圧
により行う。
② 検査の状況によって危険がないと判断される場合は、当該高圧ガ
ス設備によって貯蔵または処理されるガスを使用して気密試験を
行うことができる。この場合、圧力は段階的に上げ、異常のないこと
を確認しながら行う。
③ 気密試験は常用の圧力(設計圧力または許容圧力の低い方の圧
力)以上で行う。漏洩の確認は試験圧力に加圧後、急激な圧力変
動のないことを確認してから発泡液等を用いて行う。なお、試験圧
力保持時間は 10 分以上とする。
④ 気密試験は当該設備が脆性破壊を起こす恐れのない温度におい
て行わなければならない。
⑤ 気密試験は気密試験圧力において、漏洩等の異常がない時これ
を合格とする。
4.3. 危険時の応急処置
ここで記した応急処置は、高圧ガスの取り扱いに充分な知識と経験を有する
者、およびその教育訓練を受けた者が行い得るひとつの指針であって、誰でも
が行い得るものではない。時々刻々と変化する状況を適格に判断し、人身事故
を未然に防ぐことが第一である。従って、関係者以外は直ちに安全な場所に退
避し、また応急処置を行う当事者も変化する状況の中で、退避の時期を逸する
ことのないよう行動しなければならない。
1. 火災時の処理
(1) ガスに着火した場合
① できる限り容器弁を閉じる。
② 火災が激しくて近づけない場合は、安全な位置より容器に注水冷
却し、火災の拡大をできる限り防ぎ、ガスが燃え尽き火災が衰える
のを待つ。
③ 水素ガスが噴出し燃えている場合は、室内その他ガスの滞留する
恐れのある場所では、ガスの噴出を止めて火を消す以外はその火
災を消してはならない。付近に水素ガスが溜まり再着火して大きな
二次爆発を起こすことがある。
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④
他の容器へ災害がおよぶ恐れがあると判断されるときは、他の容
器を速やかに搬出する。
⑤ 出火を発見した時は、直ちに本部に連絡し、実験主任あるいは保
安主任の指示に従う。
(2) 容器の周囲が火災となった場合
① 高圧ガスの種類を確認し、その危険性をわきまえて消火作業にあ
たる。
② 容器を搬出できる場合は、速やかに安全な場所に搬出する。
③ 搬出不可能な場合は、容器を注水冷却して、容器の破裂および安
全装置からのガス噴出を防ぐ。
④ 火災が拡大し爆発する危険性のある場合は、直ちに消火作業をや
め付近の者に退避するよう知らせる。
2. 漏洩時の処置
高圧ガスが漏洩するのは多くの場合、次の状態である。
(1) 安全装置が作動して大量に噴出する。
(2) 配管の接手や容器弁の取り付け部から少量ずつ漏れ出す。
(3) 容器の転倒、その他により容器や容器弁、配管等が破損して大量に
噴出する。
(4) 容器弁が腐食して少量ずつ漏れ出す。
① 水素ガス・アセチレンガス・酸素ガスの場合
(a) 急に大量漏洩した場合、約 1 分間は漏洩箇所へ近づかない。
付近に火気が存在する場合は漏洩後 1 分以内に着火爆発する
恐れがあるので、すぐ近づくことは危険である。
(b) 屋内では、漏洩ガスが滞留しないように部屋の窓や戸を開けて
換気する。
(c) 付近の作業を中止させ、近くの火気を一切消すとともに火気の
使用を厳禁し、火花の発生源となる電気設備がある場合は離
れた位置にある電源を遮断する。
(d) 漏洩の少ない場合は、漏洩容器を屋外の火気の無い安全な場
所へ搬出する。
(e) 漏洩を止めることができない場合は、全量放出されるまで近寄
ってはならない。
② 窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、炭酸ガスの場合
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(a) 酸素欠乏状態となり、人が窒息する危険性があるため漏洩室内
の換気をはかる。
(b) 大量に漏洩した場合は近づかない。
(c) 屋内では、漏洩ガスが滞留しないように部屋の窓や戸を開けて
換気する。
③ 液化水素、液化酸素、液化窒素、液化炭酸ガスの場合
(a) 気相部にある放出弁を全開して容器内圧を下げ、漏洩量を減
らす。
(b) 低温状態で漏洩部の増締めを行ってはならない。
(c) 貯蔵からの配給配管で漏洩した場合には、直ちに貯蔵の遮断
弁を閉じる。
3. 人身災害の救急処置
(1) 凍傷の場合
① 軽症の場合は、火傷と同様にチンク油、ワセリン等を塗布して患部
を保護する。
② 重症の場合は、急激に暖めないように、冷水で徐々に暖め、患部
をガーゼ等で保護して、できる限り早く医師の治療を受ける。チン
ク油、その他の薬品を塗布しない。
③ 衣類が凍結した時は、直ちに衣類を脱ぎ、乾いた毛布等でくるみ
身体を暖める。衣類が皮膚と密着している場合は、無理に脱いで
はいけない。乾燥した加熱空気や直火等で単純に暖めたり、46℃
以上の温湯につけたりすると凍傷を受けた組織の上にさらに火傷
を受ける。
④ アルコール性飲料やタバコは、凍傷を受けた組織への血液循環が
悪くなるので好ましくない。
(2) 火傷の場合
① 第一度の火傷(皮膚が赤くなっただけの場合)で範囲が狭ければ
チンク油、ワセリン等を塗布して滅菌ガーゼをあてて、軽く包帯をし
ておく。
② 第二度の火傷(水泡ができているもの)は 1,000 倍の逆性石鹸液で
洗い、水泡の上からガーゼをあてて、軽く包帯して医師の治療を受
ける。水泡を破ってはいけない。水泡が破れていたらテラマイシン
軟膏等の感染防止剤の入った軟膏を厚く塗ったガーゼをしわのよ
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RBL-09001 C 改訂
らないように傷面にあてるのがよい。
③ 重症の場合は 1,000 倍の逆性石鹸液で洗った後、ガーゼをあてて、
できる限り早く医師の治療を受ける。チンク油、その他の薬品を塗
布しない。喉の渇きを訴えたら冷水を飲ませてよい。
④ 衣服等が焦げついて皮膚から取れにくい時は無理に取らずに、そ
の部分以外を切り落とし、上からテラマイシン軟膏等を塗布したガ
ーゼをあてておく。
(3) 窒息の場合
① 空気の新鮮な暖かい場所に移し、衣服をゆるめ毛布等で暖かくし
て安静にさせる。
② 呼吸が止まっていれば、直ちに人工呼吸を行い、呼吸が回復する
か医師の指示を受けるまでは中止してはならない。
③ 意識のない間、口から飲食物を与えてはならない。
4.4. 大気球実験で取り扱うガスの特性および注意事項
1. ガスの特性
(1) ヘリウムガス(He)
① 無色、無味、無臭である。
② 吸入しても害はない。
③ 空気より軽い(比重:0.14)。
④ 不燃性である。
(2) 窒素ガス(N2)
① 無色、無味、無臭である。
② 吸入しても害はない。
③ 空気よりやや軽い(比重:0.97)。
④ 不燃性である。
(3) 炭酸ガス(CO2)
① 無色、無味、無臭である。
② 吸入しても害はない。
③ 空気より重い(比重:1.54)。
④ 不燃性である。
(4) アルゴンガス(Ar)
① 無色、無味、無臭である。
- 19 -
② 吸入しても害はない。
③ 空気より重い(比重:1.38)。
④ 不燃性である。
(5) 酸素ガス(O2)
① 無色、無味、無臭である。
② 吸入しても害はない。
③ 空気よりやや重い(比重:1.11)。
④ 支燃性であり、燃焼を助ける。
(6) 水素ガス(H2)
① 無色、無味、無臭である。
② 水素の爆発範囲は以下に示すように広いため非常に危険である。
混合ガス
爆発下限界
爆発上限界
空気と混合
4.0
75.0%
酸素と混合
4.65
93.9%
2. 注意事項
(1) ヘリウムガス、窒素ガス、炭酸ガス、アルゴンガス
① 多量の消費に際しては、窒息しないように通風に注意すること。
② 不活性であるから取り扱い上の問題は少ないが、高圧であるから
一般的な注意事項をよく守ること。
(2) 酸素ガス
① 容器、器具類には油分を付着させないこと。
② 容器、器具類に火花が降り懸かったり、炎がふれたりしないように
する。
③ 酸素容器の中で他のガスを混合してはならない。
④ 可燃性容器と一緒に貯蔵してはならない。
⑤ 圧縮空気の代わりに使用してはならない。
⑥ 圧力計は、「禁油」と表示された酸素用のものを使用すること。
(3) 水素ガス
① 火花や火炎を近づけてはならない。
② 急激に噴出すると火気が無くても発火することがあるから注意す
る。
③ 水素容器は通風のよい場所に貯蔵すること。
④ 酸素容器と一緒に貯蔵してはならない。
- 20 -
RBL-09001 C 改訂
第 5 章 電気安全心得
5.1. 一般心得
1. 濡れた身体や衣服、湿った履物、鋲のついた靴も感電の恐れがあるの
で適当な処理をしてから作業を行うこと。
2. 送電線路、配電線路や電気機械、器具等の電流の通じるものは、電気
工事の有資格者以外の者が修理しないこと。故障を発見し、又は危険
を感じた場合は直ちに保安係員へ通報すること。
3. スイッチ開閉の時ハンドルを握らない片手を他の物、特に金属に触れ
ぬこと。また、スイッチの操作は右手で行うこと。
4. 作業終了、停電等の場合は、必ずスイッチを切っておくこと。
5. スイッチを入れるときは、ハンドルを完全かつ十分に挿入すること。不完
全な時は加熱を生じ火災その他の事故の元となる。
6. 電気工作物の蓋、覆いのあるものの内部のスイッチを操作したときは、
蓋又は覆いを必ず元の位置へ戻すこと。
7. 電線や電気機械、器具に水を掛けたり、湿気を与えないこと。雨漏れを
発見した場合は、直ちに修理の手配を講ずる。
8. 低圧電気であっても絶対に触れぬこと。
9. 電線の被覆は、破れた箇所のないよう注意が必要である。
10. 電気機械、器具のチリは適宜掃除すること。
11. スイッチ、電動機、配電盤等の近くに燃えやすい物や爆発しやすい物
等を置かないこと。
12. 1 kW 以上の負荷を使用する場合はランチャー主任に連絡すること。
13. 水素を取り扱う設備内では、防爆電気器具を用いること。
14. 電気機器使用の際は必ずアース線にてアースをすること。
15. 仮設配線にて電力を供給する時にも必ずアースを施すこと。
16. 平行ビニール線にて電気機器への配線は行わないこと。できる限りビニ
ル・ゴムキャプタイヤケーブル等を使用すること。
- 21 -
第 6 章 設備取り扱い基準
本基準は大気球実験場の設備中のヘリウムカードル、大型放球装置、大重
量基準錘の取り扱いを規定することにより危険を防止し、作業の安全を確保する
ことを目的とする。
6.1. ヘリウムトレーラ
本設備は大気球に充填するヘリウムガスが入ったボンベの集合体である。
1. ヘリウムトレーラ
大気球で使用するヘリウムトレーラは 14 本のヘリウムボンベ(約
14.6m3)が集まったもので約 2,800 kg の浮力が得られる。ボンベのヘリ
ウム充填圧力は 200 kg/cm2 である。結合されたヘリウムトレーラからコ
ントローラを通して 2 本の充填口により気球に充填する。
2. 気球実験開始時の取り扱い
(1) 基準圧力計を用いてヘリウムトレーラの圧力を計測しヘリウムトレーラ
内に設置した温度計の値とともに記録簿に記載する。
(2) ヘリウムトレーラを設置し、充填口を接続後、ガス漏れ試験を行い確
認する。
(3) 実験に使用するヘリウムトレーラの決められたボンベ表面位置にサー
ミスタ温度計を取り付け、動作を確認する。
3. 気球実験終了時の取り扱い
(1) 基準圧力計を用いてカードルの圧力を計測し記録簿に記載する。
(2) ヘリウムトレーラと充填口を分離し、全てのボンベのメインバルブを閉
にする。
(3) 扉は閉め、紐等で固定した状態にする。
4. 納入時および返却時の記録
ヘリウムトレーラの納入時および返却時には基準圧力計で圧力を計
測し、接続した温度計の値とともに記録簿に記載する。
5. ヘリウムトレーラ取り扱い作業時の注意事項
(1) ヘリウムトレーラの返却時はボンベのバルブは全て閉の状態とする。
(2) ヘリウムトレーラの納入時は充填口に結合後結合部のガス漏れ試験
を行い確認する。
(3) 実験時の保管はヘリウムトレーラ内のボンベのバルブは全て開の状
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RBL-09001 C 改訂
態とし、メインバルブは閉の状態とする。
6.2. スライダー放球装置
本装置は大型の気球をスライダー方式で放球する装置である。
1. 指名操作者
(1) 実験主任またはランチャー主任は、適任者をスライダー放球装置の
操作者に指名する。この指名された者を指名操作者という。指名操作
者以外は放球装置の操作を行うことができない。
(2) 指名操作者の職務
装置取り扱い時の注意事項に従い、放球作業時にスライダー放球装
置の操作を行う。
2. 装置取り扱い時の注意事項
(1) 放球台及びマストの昇降操作および回転操作は全体が見渡せる場
所で行う。
(2) 放球板の放球マストへの取り付け操作は取り付け作業者と確認して
行う。
(3) 操作時において異常を認めた場合、安全管理者に報告してその指
示を受ける。
(4) 放球終了後はスライダー放球装置を初期の状態にする。
3. スライダー放球装置の初期状態
(1) 放球台および放球マストは最も下げた状態にし、手すりを立てる。
(2) 放球台は放球方向にする。
6.3. 大重量基準錘
基準錘は気球の浮力を計測するロードセルを較正するための錘である。
1. 大重量基準錘の種類
100 kg、200 kg、500 kg と 3 種類の重さのものがあり、それぞれ専用の鉄
箱に収納されている。
2. 局所型大気球放球ランチャーの校正
ランチャーの加重台の制限から基準錘の 100 kg を最初に乗せる必要が
ある。その上に 200 kg、500 kg を重ねて加重することにより、較正値とし
て 100 kg、300 kg、最大 800 kg まで行うことができる。
3. 大重量基準錘取り扱い時の注意事項
- 23 -
(1)
(2)
(3)
(4)
吊り下げは専用フックを用いて行う。
鉄箱の移動時は車輪に足を巻き込まれないよう十分注意する。
鉄箱が移動しないように車輪の固定を行う。
500 kg のフォークリフトによる吊り下げはフォークの 2 本のつめに専用
フック紐をかけた状態で行う。
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RBL-09001 C 改訂
第 7 章 機器取り扱い基準
7.1. クレーン取り扱い基準
1. 目的
この取り扱い基準は、大気球実験場にある吊り上げ荷重 0.5 トン以上
のクレーン(荷を動力を用いて吊り上げ、これを水平に運搬することを
目的とする機械装置)による不測の事故の発生を防止するためのもの
である。
2. クレーンの種類
大気球実験場にある 0.5 トン以上のクレーンを次の通り区分する。
(1) 天井クレーン(建物に敷設したレール上を走行するもので全て電動
式)。
(2) 電動ホイスト(建物に取り付けられたフックに取り付け使用するもの)。
(3) 移動式クレーン(車の後部に取り付けられたクレーン)。
3. 設置・変更・廃止
吊り上げ荷重 0.5 トン以上 3 トン未満のクレーンを設置した場合は、設
置報告書を、3 トン以上のクレーンを設置した場合はクレーン製造許
可申請書を労働基準監督署長に届出を提出する。これらの届けは設
置担当者が施設設備第 4 課を経由して行うものとする。
4. 落成検査
3 トン以上のクレーンは落成検査申請書を、労働基準監督署に提出
し落成検査を受け、クレーン検査証の交付を受ける。
5. 使用
クレーンの運転は次の通り行うものとし、運転者の氏名を表示する。
(1) 天井クレーンはクレーン運転士の免許を受けた者、技能講習修了者、
特別教育修了者以外の者は、吊り上げ荷重 0.5 トン以上 5 トン未満の
クレーンを運転してはならない。但し、0.5 トン未満のクレーンについ
ては、実験主任又はランチャー主任が指名した者が運転しても差し
支えない。
(2) 移動式クレーンはクレーン運転士の免許を受けた者、技能講習修了
者以外の者は吊り上げ荷重 1 トン以上 5 トン未満のクレーンを運転し
てはならない。
- 25 -
6.
玉掛け
クレーン運転士の免許を受けた者及び玉掛け技能講習修了者以外
の者は、吊り上げ荷重 1 トン以上となる玉掛けの業務(補助作業の業
務を除く)に就いてはならない。但し、吊り金具が荷の一部になってい
て直接クレーンのフックにかける業務又は荷に対して特定された吊り
上げ具を用いて玉掛けを行う業務は含まない。
7. 点検・検査
大気球指令管制棟のクレーンは、主として実験期間中に使用される
特殊性があるので、その検査は次の通り行う。
(1) 作業開始前点検
クレーンを運転する者は作業開始前に次に掲げる項目の点検を行う
とともに無負荷運転によって各部の機械的、電気的故障の有無を検
査すること。
① 過巻防止装置、ブレーキ、クラッチ、及びコントローラの機能
② ランウェイ及びトロリーが横行するレールの状態
③ ワイヤーロープが通っている箇所の状態
(2) 性能検査
吊り上げ荷重が 3 トン以上のクレーンについては、労働安全衛生法の
定めるところにより 2 年に 1 回、業者委託等により性能検査を行う。
(3) クレーンは、毎月 1 回労働安全衛生法の定めるところにより定期検査
を行う。但し、検査の時期に使用を休止しているものについては、検
査を省略することができる。この場合使用再開時に必ず検査を行う。
8. 修理・調整
(1) 点検、検査によって発見された不良箇所又は不良状態は、速やかに
修理、調整して作業に支障のないようにすること。
(2) 修理、調整に日時を要し、且つ、作業に危険を感じると認められた場
合には、そのクレーンの使用を中止し故障の表示をすること。
9. フック、ワイヤーロープ、吊りチェーン
次の各項に該当するフック、シャックル、リング等はクレーン、玉掛け用
具に使用しないこと。
(1) 変形している物又は亀裂のある物。
(2) 錆の甚だしい物。
(3) フック頭部のナット及び割ピンに異常のある物。
- 26 -
RBL-09001 C 改訂
10. 次の各項に該当するワイヤーロープをクレーン、玉掛け用具に使用しな
いこと。
(1) ワイヤーロープひとよりの間において全素線(フィラ線を除く)数の 10%
以上の素線が切断しているもの。
(2) 直径の減少が公称径の 7%を超えるもの。
(3) キンクしたもの。
(4) 著しい型くずれ又は著しい腐蝕があるもの。
11. 次の各項に該当するチェーンをクレーン、玉掛け用具に使用しないこ
と。
(1) 製造された時の長さの 5%を超えた伸びがあるもの。
(2) リンクの断面の減少が製造された時の 10%を超えたもの。
(3) 亀裂のあるもの。
12. クレーンにはその運転をする者又は玉掛けをする者が見やすい位置に
定格荷重を表示すること。
13. 運転者は荷重をかけたままで運転している位置を離れぬこと。
14. クレーンを用いて作業を行う場合、その運転についての合図は指示さ
れた者が行うこと。但し、クレーンを運転する者が単独で作業をする場
合を除く。
15. 吊り上げた荷に同乗しないこと、又その下を通らないこと。
16. 運転中は安全帽を着用すること。
17. 関係者以外運転中のクレーンに近寄らないこと。特にクレーンの進行方
向に注意すること。
18. 運転者及び指定された者以外は運転用機器、安全装置に手を触れな
いこと。
19. 運転終了後は電源又はエンジンを切っておくこと。
20. 不具合箇所を発見した者は、直ちに設置した班に知らせること。
21. 詳細についてはクレーン等安全規則、クレーン等構造規格に準ずるも
のとする。
7.2. フォークリフト取り扱い基準
1. 目的
本基準は、フォークリフトの取り扱いを規制することにより危険を防止
し、作業の安全を確保することを目的とする。
- 27 -
2.
指名運転者
(1) 実験主任あるいはランチャー主任は、フォークリフト運転技能講習を
修了した者をフォークリフトの運転者に指名する。この指名された者を
指名運転者という。この指名運転者以外は、フォークリフトの運転を行
うことができない。
(2) 指名運転者の職務
指名運転者の職務は次の通りである。
① 第 5 項の安全尊守事項に従い、フォークリフトの運転を行う。
② 日常点検を行う。
③ 日常点検および運転時において異常を認めた場合、安全管理者
に報告して、その指示を受ける。
3. 検査
(1) 年次検査
フォークリフトは、1 年を超えない期間毎に 1 回、定期に各部分の異常
の有無について検査を行う。
(2) 月次検査
フォークリフトは、労働安全衛生法に基づき 1 ヶ月を超えない期間毎
に 1 回、定期に次の事項について検査を行う。
① 制御装置、舵取り装置の異常の有無。
② 荷役装置及び油圧装置の異常の有無。
③ オーバーヘッドガード及びバックレストの異常の有無。
(3) 検査の記録
年次検査及び月次検査を行った時は、その結果を記録し、3 年間保
存する。
4. 日常点検
指名運転者は、始業前に次の項目について点検を行う。
(1) 制御装置、舵取り装置、方向指示器及び警報装置の機能。
(2) 車輪の異常の有無。
(3) 荷役装置及び油圧装置の機能。
(4) 燃料、各種オイル及び充電等の補充関係。
5. 指名運転者の安全尊守事項
指名運転者の安全に関する尊守事項は次の通りである。
(1) 安全帽、作業服を着用し、安全靴を履くこと。
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RBL-09001 C 改訂
(2) 人を車に乗せないこと。
(3) 人をフォークの上に乗せないこと。
(4) 予め荷の重量、重心の位置等を確認し、許容荷重を超える荷を積ま
ないこと。
(5) フォークの差し方や抜き方を正しく行うこと。
(6) マストを前傾の状態で、積荷を上げたり走行したりしないこと。
(7) 路面等の状態に注意し、車両が傾いた状態で積荷を上げないこと。
(8) 積荷を急降下させないこと。
(9) 上げられた積荷の下に人を立ち入らせないこと。
(10) 走行する時は、フォークの高さを低く、(フォークの下面又は積荷の下
端を路面上より 15~20 cm 程度とするのが良い)視界を十分にとるこ
と。
(11) 大きな荷物を運搬する時は、バック運転するか又は誘導者をつけるこ
と。
(12) 発進の際(特にバック)は、車両の前後その他まわりに人がいないこと
を確認し、また走行中は進行方向の安全を十分確認すること。
(13) 旋回する時は、後方の安全を十分確認し、徐行して小回りすること。
(14) 建物の出入口その他見通しの悪い所では、一時停止して左右の安
全を確認すること。
(15) 急激な発進、停止及び急旋回をしないこと。
(16) 湿った所、滑りやすい所、不整地、坂道等では徐行すること。
(17) 荷を積んで坂道等を走行する場合においては、登る時は前進運転し、
降りる時はバック運転すること。
(18) 路面上の木片等の散乱物を乗り越えないこと。
(19) 建物の天井や入口上部の障害物等と、マストとの間隔に注意するこ
と。
(20) 車から離れる時は、フォークを床面に下ろし、エンジンを止めてブレ
ーキを完全にかけておくこと(特に坂道では歯止めをしておく)。又、
エンジンキーを抜き確実に保管しておく。
(21) 燃料を補給する時は、エンジンを停止して行うこと。
(22) 車両や安全装置の破損及び不完全箇所等を発見した場合、直ちに
安全管理者に報告し、補修が完了するまで運転しないこと。
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7.3. 電動台車取り扱い基準
1. 目的
本基準は、電動台車の取り扱いを規制することにより危険を防止し、
作業の安全を確保することを目的とする。
2. 指名運転者
(1) 実験主任またはランチャー主任は、適任者を電動台車の運転者に指
名する。この指名された者を指名運転者という。指名運転者以外は電
動台車の運転を行うことができない。
(2) 指名運転者の職務
① 第 5 項の安全尊守事項に従い、電動台車の運転を行う。
② 日常点検を行う。
③ 日常点検および運転時において異常を認めた場合、安全管理者
に報告してその指示を受ける。
3. 検査
(1) 年次検査
電動台車は、1 年を超えない期間毎に 1 回定期に各部分の異常の有
無について次の事項について検査を行う。
① 電磁ブレーキ、発電制動装置の異常の有無。
② 速度可変レバー、走行ハンドルの異常の有無。
③ 安全ブレーキの異常有無。
④ バッテリ充電液と補充。
(2) 検査の記録
年次検査を行った時はその結果を記録する。
4. 日常点検
(1) 電磁ブレーキ、安全ブレーキ、発電制動装置の動作。
(2) 車輪空気圧の確認。
(3) 充電関係。
(4) 走行試験。
5. 指名運転者の安全尊守事項
(1) 人を乗せない。
(2) 安全帽、安全靴の着用。
(3) 許容加重を超える荷を積まない。
(4) 緊急時以外電磁ブレーキは使わない。
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RBL-09001 C 改訂
(5)
(6)
(7)
(8)
(9)
必要以上に速度を上げない。
急激な発進、停止はしない。
車両の前後を確認し、進行方向の安全を十分確認する。
走行から停止操作は発電制動を十分使える距離から行う。
電動台車を使用しない時は常にメインブレーカを切る。
7.4. 保安電力取り扱い基準
発動発電機
1. 目的
発動発電機は、指令管制棟屋外に設置されており、商用電源の停電
を検出し、自動的に起動し、AC 電源を供給するもので取り扱い基準
により事故発生を防止することを目的としている。
2. 取り扱い基準
2 週間に 1 回定期的に自動及び年 1 回、保安法人による手動運転を
行い運転状態の確認を行う。
3. 起動試験における注意
(1) 燃料タンクは残量 100 リットル以上であること。
(2) エンジンオイルはオイルレベルゲージにてオイルの量を調べ、不足し
ている場合はレベル最高位置までオイルを補給する。
(3) 冷却水はラジエータのオーバーフローの位置まで注水し、キャップは
必ず閉めて運転する。
4. 自動運転(待機状態)
商用電源停電時、自動にてエンジンを運転する場合、あらかじめ次
の事項を確認する。
(1) 商用電源にて送電中であることを商用表示灯及び負荷商用表示灯
で確認する。
(2) 発電機遮断器は“入”になっているか確認する。
(3) エンジン計器盤のバッテリースイッチが“入”になっているか確認す
る。
(4) 制御電源が ON(入)(制御電源 LED が点灯)になっているか確認し、
もし ON になっていなければ制御電源開閉器(MCVB-08)ON(入)に
する。
(5) 自動運転(自動 LED が点灯)になっているか確認し、もし自動運転に
- 31 -
なっていなければ自動-試験切替スイッチを押し(1~2 秒間)自動運
転にする。
(6) スイッチ調整器は調整運転で定めた位置にあるか確認する。復電す
ればタイムスケジュールに従って自動的に停止し、待機状態に戻る。
一度商用停電及び復電の操作にて確認する。
(7) 冷却水の保温回路が“入”になっているか確認する。
(8) 自動保守運転回路スイッチが ON(入)になっているか確認する。
取扱注意
冷却水の保温回路は必ず ON(入)とする。OFF(切)の場合、エンジンが
始動しない場合がある。
5.
試験運転
(1) 試験運転(試験 LED が点灯)になっているか確認し、もし試験運転に
なっていなければ自動-試験切替スイッチにて試験運転にする。(ス
イッチは、1~2 秒間押す。)
(2) 始動スイッチを押す。
(3) タイムスケジュール通り自動的に始動する。
(4) 運転は無負荷および負荷運転いずれでも可能。負荷運転の場合、
切替スイッチを操作する。なお、無負荷の場合の運転は 5 分以内で
行う。
(5) 停止は負荷運転の場合、負荷切替スイッチを操作し無負荷運転とす
る。
(6) 停止スイッチを押すと、自動的に停止する。
(7) 自動-試験切替スイッチを押して(1~2 秒間)自動運転にする。
(8) 各種スイッチおよび表示灯が待機状態(自動運転)になっているか、
確認する。
6.
運転中の点検事項
制御電源 ON(入)(制御電源 LED が点灯)の状態でエンジン運転中
に異常があれば、保護回路(取説 P.21 参照)を形成し故障表示する
と共にエンジンを停止するので人為的に何ら施す必要はないが、冷
却水温度、潤滑油温度、圧力等を確認する。
- 32 -
RBL-09001 C 改訂
第 8 章 防消火基準
8.1. 防火管理要領
この要領は実験等の期間中における防火管理の徹底を期し、もって火災を予
防し、災害による人的、物的被害を軽減することを目的とする。
1. 実験等の期間中使用する建物等について、その建物別に協議の上、
定めた「電源・防火責任者」を置く。
2. 「電源・防火責任者」は電気設備、消防用設備その他火気使用又は喫
煙管理について適正な管理と機能保持のため、点検、管理を行う。
3. 高圧ガス、火薬類等の設備については、別に法令の定めるところにより、
その責任者が担当する。
4. 電源・防火責任者並びに高圧ガス、火薬類等の取り扱い責任者は点検
により改善を要する事項を発見した場合は、速やかに実験主任に報告
する。
5. 建物内外において火気厳禁の指定を受けた場所ではこれを厳守する。
6. 大樹航空宇宙実験場において火災発生の発見をした場合は、直ちに
119 番に火災通報を出し、実験主任、保安主任に連絡する。
7. 火災が発生した時は、実験主任の指揮のもとに消火作業又は人命救助
を行う。但し、高圧ガス取り扱い場所及びその近傍における火災につい
ては、高圧ガス取り扱い責任者の指揮のもとに行動する。
- 33 -
第 10 章 放射線障害の防止
10.1. 一般心得
業務従事者として登録された者以外は放射性同位元素をとりあつかってはな
らない。
業務従事者の放射線障害の防止については、放射性同位元素等による放射
線障害の防止に関する法律、労働安全衛生法(電離放射線障害防止規則)、
相模原キャンパス等放射線障害予防規則に基づき、業務従事者が電離放射線
を受けることをできるだけ少なくするように努めなければならない。
大樹町航空宇宙実験場内では大気球指令管制棟内でのみ保存、利用を行
う。
放射線源持ち込みに関しては以下の要領で宇宙科学研究所内からの申請ま
たは宇宙科学研究所以外他大学等から以下の要領で申請を行わなければなら
ない。
1.
宇宙科学研究所内の申請(放射線持ち込み申請書)
宇宙科学研究所 大気球実験室
大気球実験室長
宛
持ち込む期間、場所、持ち込む線源名、使用目的等を記入
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所
放射線取扱主任者
名の申請書を提出する。
2.
宇宙科学研究所以外他大学等の申請
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所
大気球実験室長
様
放射線取扱主任者
様
連名宛
持ち込む期間、持ち込む線源名、使用目的等を記入
持ち込む担当責任者の所属、職名、氏名、連絡先、放射線取扱主任者名
およびその所属、職名、氏名を記入し、上記連名宛申請書を提出する。
これらの申請書により、放射線源の持ち込み許可書を発行する。
- 40 -
RBL-09001 C 改訂
第 11 章 大樹航空宇宙実験場概略
11.1. 実験場概観
- 41 -
11.2. 大気球指令管制棟概観
立面図
- 42 -
RBL-09001 C 改訂
11.3. 大樹町近郊簡易地図
- 43 -
RBL-09001 C 改訂
- 47 -
Fly UP