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給食センターにおける ISO 認証取得について
1. ISO について
ISO は「国際標準化機構(International Organization for Standardization)」の略称ですが、一般に ISO
と言っているのはその機構で作られた工業分野の国際標準規格のことです。ISO の規格には様々な種
類があり、ISOXXXXX など数字で分類されています。例えば ISO9000 s(シリーズ、ファミリーなどと
呼ばれる)という同じ系統の中で、関連した規格がいくつもあります。例えば ISO9001 は認証規格で
すが、シリーズの中には認証のないシステムを示しただけのものもあります。
ISO 規格の例 ISO 9000 シリーズ(品質保証をはじめとする顧客満足のマネジメントシステム)
ISO 13485(医療産業マネジメントシステム)
ISO 14000 シリーズ(環境への排出や資源削減などの環境負荷管理のマネジメントシステム)
ISO 22000(ISO 22000:2005 食品安全マネジメントシステム 2005 年 9 月制定)
ISO 27000 シリーズ(情報セキュリティマネジメントシステム)
2.ISO9001:2000 について
ISO9001 は、「品質マネジメントシステムの国際規格」で、導入により ISO9000 シリーズが規定して
いる「品質マネジメントシステム(QMS)」の構築を行うことになります。
「品質マネジメントシステム」
とは、組織が提供していく品質方針、品質目標を設定し、その目標を達成し、継続的に改善していく
システムです。基本的な考え方は、プロセス(インプットをアウトプットに換える活動)を PDCA マネ
ジメントサイクル(Plan:目標・計画、Do:実施・運用、Check:点検・検証、Act:見直し・展開)で維持管理・
改善していくことです。この特徴は、「物」の規格ではなく「仕組み」の規格であり、最大の特徴は、
顧客の満足を得ることを第一の狙いとしていることです。ISO9001 の基本は、(1)マネジメントの目標、
ゴールから必要なプロセスを明かにする、(2)仕事を文章化(マニュアル化)する、(3)その文書(マ
ニュアル、手順書)に基づいて仕事をする、(4)その結果を記録する、という一連の流れになっており、
これを継続的に行い、改善していきます。
継続的改善
方針(Policy)
経営者が食品安全に取り組む方針を
打ち出します
計画(Plan)
方針に基づき、目標を設定し、必要な
経営資源(組織、要員、施設、設備、環
境条件等)を検討(計画)します
運用(Do)
確立した FSMS の仕組みを運用、必要
な記録を残します
検証(内部監査及び検証プランに基づ
チェック(Check) く検証)を実施し、検証結果を分析し
た上で、計画した内容が効果をあげて
いるかを確認します
改善(Act)
マネジメントレビューを通じて、FSMS を改善・
更新します
図 PCDA マネジメントサイクルの概念と流れ
企業や工場などが「ISO9001 認証取得」とうたっているのは、この品質マネジメントシステムに基
づいて製品・サービスを提供していることを第三者機関である審査登録機関が審査し、合格し登録さ
れているという意味で、その企業や工場の製品、サービスの品質が高い、顧客満足度が高いことの裏
づけとなります。半年又は1年ごとに維持審査があり、通常3年ごとに更新審査を受けます。
3.ISO22000:2005 について
食品製造業界においては、HACCP の認証制度がありま
す。HACCP は、食品製造における従来の「最終製品の抜
き取り検査による安全性保証」という概念ではなく、食
品製造工程において明らかにした「重要管理点(CCP)を
確実に管理・制御することで、最終製品の安全性を確保
する」という画期的なアプローチで、主に「予防」の観
点に基づいています。日本では 1995 年に「総合衛生管理
製造過程」として、食品衛生法の中に HACCP の手法を用
いた承認制度が取り入れられました。
図 HACCP システムのイメージ
一方、ISO9000 シリーズの「製品の品質保証の仕組
みを標準化する」という画期的な考え方と、
「どのよう
な製品・サービスにも適用できる柔軟性」に加え、
「品質マネジメント」という経営の要素を加えたシ
ステム、第三者による審査登録制度という信頼性などから、食品関連企業においても ISO 9000 シリー
ズを導入する組織が増え始め、食品業界では、HACCP と ISO 9000 シリーズという2つの概念が融合し
ていきました。同時に、1990 年代から 2000 年初頭にかけて、国内外において大規模食中毒や BSE 問
題、鳥インフルエンザ、産地偽装問題など食品の安全性や信頼性を脅かす様々な事件・事故が発生し、
食 に 関 す る 問 題 は グ ロ ー バ ル な テ ー マ と し て 議 論 さ れ 、 こ の 流 れ を く ん で 、 2005 年 9 月 に
「ISO22000:2005 食品安全マネジメントシステム」ができました。これは HACCP と ISO マネジメント
システムの両方の概念を持ち合わせ、グローバル化した食の安全性に関する問題への一つのアプロー
チ方法として期待されています。
4.ISO14001:2004 について
ISO14000 は、環境マネジメントシステムを構築して「環境保全及び汚染の予防」を目的にしていま
す。ISO14000 の基本的な考え方は、ISO9001 と同様に PDCA サイクルにより、組織が環境に与える影響
を継続的に軽減する仕組みです。この特徴は、独立の機能と管理体制が整っていれば、あらゆる種類・
規模の組織に導入することが可能なことです。現在、ISO14001 認証取得組織は一般の企業から自治体、
学校まで広がっています。これは環境負荷を低減するためのシステムを定めたもので、具体的な環境
負荷の低減の結果を定めたものではありません。同時に改善の対象やレベルも自主的に決められます
が、システムを継続的に改善することを要求されます。改善の結果が出ていない場合は、システムが
十分に機能していないという考えができます。
一般オフィスの実施例
・電気の消費削減、・化石燃料の消費削減(所有車の燃料消費削減)、・化石燃料の消費削減(ガスの消
費削減)、・水道水の消費削減、・紙類の消費削減、・廃棄物の排出削減、・グリーン購入の推進
5.給食センターで ISO 認定を取得するケースについて
近年、ISO 認証を取得する企業が増えており、地方自治体など企業以外の組織が認証を受ける例も
多くなっていますが、一方で、毎年の審査や更新時の手数料など事務経費が年平均で数百万円に上る
ことから、財政難に喘ぐ自治体では更新審査を受けずに認証を返上するケースも相次いでいます。審
査、認証を受けずに組織自らが構築・運用を進める「自己宣言方式」を取る自治体もあります。
ISO22000 は民間の給食調理企業で取得している例が既に多数あります。食品の安全のみを考慮する
のであれば、ISO22000 のみの取得で効果がありますが、食品の品質(おいしさなど)、顧客満足の向
上などを追及するのであれば、ISO9001 の認証を併せて取得するのが効果的であると言われています。
公共の給食センターでは単独での ISO 取得が考えにくいため、市町村本体で ISO を取得する(主に
14001)もしくは、給食センターに ISO の概念に基づく運営、概念を導入するという取り組みが考えら
れます。また、調理業務の管理委託やPFI事業などでは、委託先企業やSPC、調理企業、構成員
らに ISO の取得を要求する、ISO 取得企業や取得提案を評価する、などが考えられます。
以上
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