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IEA 実施協定(ヒートポンプセンター)最新情報
IEA HP 実施協定(ヒートポンプセンター)ニューズレター 国内版 第 16 号(平成 20 年 6 月発行) NEWS 1. 第 9 回 IEA ヒートポンプ国際会議(速報) ・開催時期: 2008 年 5 月 20 日~5 月 22 日 ※国際会議に合わせて 5 月 19 日、5 月 23 日にワークショップが開催された ・場所:スイス チューリッヒ(チューリッヒホテル) ・国際会議参加状況 (1) 参加者は合計 447 名が参加。そのうち日本から 48 名が参加した。 (2) 参加国は 36 カ国。 アジア: 中国、日本、韓国、オーストラリア、タイ、インド 欧州: スエーデン、フィンランド、ノルウエー、アイルランド、ポルトガル、スペイ ン、フランス、ベルギー、オランダ、イタリア、ギリシャ、マルタ、クロアチア、チ ェコ、スイス、オーストリア、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、ルーマニア、イギ リス、ウクライナ 中東:イスラエル、トルコ アフリカ:ウガンダ 北米:カナダ、アメリカ合衆国 (3) 口頭発表は 71 件。その内日本からは基調講演 1 件(関西電力;松村幹男氏)、論文 発表 7 件、アジア・日本の報告 2 件の合計10件の発表を行った。 (4) ポスター発表は 150 件。その内日本からは29件の発表を行った。 ・プログラム Session 1 オープニングセッション Session 2 持続可能な社会に向けたヒートポンプ Session 3 先進技術-1 Session 4 地中熱源及び水熱源ヒートポンプシステム Session 5 ヒートポンプの応用 Session 6 市場と応用研究 Session 7 ローエネルギー住宅へのヒートポンプの応用 Session 8 先進技術-2 Session 9 カントリーレポート 1 Session 10 クロージング 上記の通りセッション1~9のテーマに分けて行われ、オープニングセッションではスイス 代表,IPCC,IEA, IIR, ASHRAE,EHPA などから挨拶後、各地域(アジア・北米・欧州)の報告が あった。 セッション2は主に政策提言が行われ、IPCC,IEA, HPP の基調講演の後、オランダ、日本、 ベルギー、ドイツ、オーストリア、カナダの口頭発表後、30分ほどのパネルディスカッシ ョンが行われた。昨今地球温暖化対策の目玉として、ヒートポンプの果たす役割について活 発な議論が行われた。特に欧州委員会は6年間のエネルギー政策を提案し、2020年まで に一次エネルギー消費量を20%削減するアクションプランを発表。また全エネルギーの2 0%を再生可能エネルギーへの転換も定めている。EHPA(欧州ヒートポンプ協会)はヒ ートポンプ技術が再生可能エネルギーに組み入れられるよう、ヒートポンプのアクションプ ラン(2008年3月に公開)を通じて継続的な情報提供が必要であることも紹介された。 クロージングセッションでは、今回から始めた〝ベストポスター賞〟に日本から参画され た、東京大学の金田一様のポスターが選ばれ、表彰された。ベストポスターは2件であった。 概略プログラムは以下の通り。 Conference Program (Posted April 24, 2008) Registration Sunday May, 18th 3 pm to 6 pm Monday May, 19th 7 am to 9 pm Tuesday to Friday May, 20th to 23th 7.30 am to 6 pm Monday, May 19th AM 08.00 to 12.30 12.30 to 13.30 PM 13.30 to 18.00 EV 19.00 - Workshops - Annex 29 - Annex 30 - 9 am - Lunch - Workshop - Annex 31 - Annex 32 Tuesday, May 20th - Exhibition - Ladies Program 10.00 to 16.30 - 1 - Opening Session - 9 am - Lunch - 2 - Session I - 3 - Session I - Poster 3 and 8 - - Workshop Welcome Reception - Annex 34 - 6 pm to 8 pm - 7 pm Wednesday, May Thursday, May 21th 22th - Exhibition - Exhibition - Ladies Program 10.00 to 16.30 - 4 - Session II - 6 - Session III - Poster 4 - Poster 2 and 6 - 5 - Session II - 7 - Session III - Poster 5 - Poster 7 - Lunch - Lunch - Technical Tours - 8 - Session III - EHPA Meeting - 9 - Session III - Workshop - 10 - Closing - Annex 33 Session Friday, May 23th - Exhibition - Cultural Visits - Groundreach Workshop - 9 am - Lunch - Groundreach Workshop - Reception & Conference Banquet - 7 pm <参考> -IEA ヒートポンプ国際会議の経緯- IEA ヒートポンプ国際会議は今回で第9回を迎える。3年毎に開催されており以下が過去 の国際会議となっている。欧州~北米~アジア地域を順番性で担当し、次回はアジアを候補 に検討することとなっている。今までは欧州 4 回、北米 3 回、アジア 2 回となっている。 第1回:1984 年 オーストリア(Graz) 第 2 回:1987 年 アメリカ(Orlando) 2 第 3 回:1990 年 日本(Tokyo) 第 4 回:1993 年 オランダ(Maastricht) 第 5 回:1996 年 カナダ(Toronto) 第 6 回:1999 年 ドイツ(Berlin) 第 7 回:2002 年 中国(Beijing) 第 8 回:2005 年 アメリカ(Las Vegas) 第 9 回:2008 年 スイス(Zurich) 第 10 回:2011 年 ※今回 アジア開催を検討する オープニングセッション(IEA) セッション2:パネルディスカッション ポスターセッション NEW PUBLICATIONS 1.IEA HPC NEWSLETTER Volume 25 2007/4 号の発行 本号は、“ヒートポンプと他の再生可能エネルギーとの結 合”(Combining Heat Pumps and other Technologies)特 集として、下記の5件の特集記事と、3件の一般記事が掲載さ れています。 (IEA HPC Newsletter を添付ファイルとして配布していまし たが、容量オーバーによるトラブルの発生が多いためとり やめました。ご面倒ですが、IEAヒートポンプセンターのホ ームページ http://www.heatpumpcentre.orgより各自直接 ダウンロードして頂きますようお願いいたします。) (特集記事) (1) 多機能型地中熱源ヒートポンプシステムにおける暖冷房・給湯同時出力時の性能に関する分 析(Vasile Minea/カナダ) (2) 地中熱源ヒートポンプシステムにおける太陽熱の利用(Elisabeth Kjellsson/スウェーデン) (3) 星野軽井沢における日本式の温泉ホテル-日本で最大の地中熱源ヒートポンプシステムに ついて(Takashi Matsuzawa, Yoshiro Shiba/日本) (4) バイオマス-冷暖房用小型アンモニア/水吸収式ヒートポンプ(Harald Moser, Rene Rieberer/ オーストリア) (5) 下水熱源ヒートポンプシステム(Kazutoshi Ito/日本) 3 (一般トピック記事) (1) ゼロエネルギー住宅が電力ピークの削減に寄与する(Jeffrey E. Christian/米国) (2) R744/CO2 は自動車のエアコンシステムの代替冷媒になり得るか -大量生産に向けた検討 (Hans E.H. Fernqvist/スウェーデン) (3) スウェーデンのパルプ工場における蒸気再圧縮ヒートポンプについて(Torbjorn Harrysson/ スウェーデン) ON GOING ANNEXES 1.ANNEX 29「土壌(地中)熱源ヒートポンプ-市場と技術の障壁の克服」(Ground Source Heat Pumps / Overcoming Market and Technical Barriers) (OA:オーストリア、分科会主査:北 海道大学、長野教授) 2004 年 9 月にスタート、地中熱源ヒートポンプシステムの普及阻害の要因となっている市場 の障壁や技術的な問題点について討議し、それらを克服するための解決策について検討してい ます。当財団の「地下熱利用とヒートポンプシステム研究会」の中に「IEA ANNEX 29 分科会」 を設置して活動しています。現在、ファイナルレポートを作成中です。 第1回専門家会議は 2004 年 9 月 13 日~15 日、ウィーン(オーストリア)にて開催されました。 また、2005 年 5 月 30 日にはラスベガス(米国)にて Annex29 ワークショップが開催されまし た(第 8 回 IEA ヒートポンプ国際会議と併催)。さらに、第2回専門家会議及びワークショップ は 2006 年 5 月リンツ(オーストリア)にて、第3回専門家会議及びワークショップは 2007 年 1 月札幌・登別(日本)にて、それぞれ開催されました。2008 年 5 月 19 日に、第 9 回 IEA ヒート ポンプ国際会議に併せ、チューリッヒ(スイス)にてワークショップが開催されました。ワー クショップの出席報告については、本号のスペシャルレポートとして掲載されている。 2. ANNEX 30「建築物へのヒートポンプのレトロフィット」(Retrofit Heat Pumps for Buildings)(OA:ドイツ、日本は参加していません) 2006 年 4 月にスタート、欧州の市場で注目されている既築住宅へのヒートポンプのレトロフ ィットを中心テーマとしたものです。2008 年 5 月 19 日に、第 9 回 IEA ヒートポンプ国際会議に 併せ、チューリッヒ(スイス)にてワークショップが開催されました。 3. ANNEX 31「スーパーマーケットシステムにおけるエネルギー消費のモデリングと解析ツール」 (Advanced Modeling and Tools for Analysis of Energy Use in Supermarket Systems) (OA:スウェーデン、日本は参加していません) 2006 年 1 月にスタート、スーパーマーケットにおける冷凍・空調システムについて、シス テム全体のエネルギー性能を明らかにする解析ツールを開発し、最適運転のための制御方法や エネルギー効率を表す指標について検討するものです。2008 年 5 月 19 日に、第 9 回 IEA ヒート ポンプ国際会議に併せ、チューリッヒ(スイス)にてワークショップが開催されました。 4. ANNEX 32「ローエネルギー住宅の経済的な冷暖房システム」(Economical Heating and Cooling 4 Systems for Low Energy Houses)(OA:スイス、分科会主査:北海道大学、長野教授) 2006 年 1 月にスタート、ローエネルギー住宅に適した、冷・暖房、給湯、換気、除湿などが 可能な多機能・複合ヒートポンプシステムに関する調査やエネルギー消費・コストなどのシス テム評価を通して、最適なシステム構成に関する検討や設計手法(ガイドライン)の確立を行 うものです。 第1回専門家会議(キックオフミーティング)は 2006 年の 4 月にムーテンツ(スイス)で、 第 2 回専門家会議は 2006 年 11 月にアルクマール(オランダ)で、第 3 回専門家会議は 2007 年 5 月にアーリントン(米国)で、第 4 回専門家会議及びワークショップは 2007 年 12 月 5-7 日、 京都(日本)にて開催されました。2008 年 5 月 19 日に、第 9 回 IEA ヒートポンプ国際会議に併 せ、チューリッヒ(スイス)にてワークショップが開催されました。国内体制として IEA Annex 32 分科会を設置して活動しています。 5. ANNEX 33「ヒートポンプ用コンパクト熱交換器」( Compact Heat Exchangers in Heat Pumping Equipment)(正 OA:イギリス、副 OA:スウェーデン、分科会主査:九州大学、小山教授) ヒートポンプで使用される各種の熱交換器(蒸発器、凝縮器など)について、マイクロチャ ネル熱交換器などの高性能化・コンパクト化の可能性について検討しています。 2006 年 7 月にロンドン(イギリス)で立ち上げのための準備会合が開催され、イギリスの Brunel 大学が OA(幹事国)、スウエーデンの王立工科大学が副 OA に決まりました。活動期間 は 3 年間とし、2006 年 11 月にスタートしました。第 1 回の専門家会議・ワークショップは 2007 年 5 月にストックホルム(スウエーデン)にて開催されました。2008 年 5 月 21 日に、第 9 回 IEA ヒートポンプ国際会議に併せ、チューリッヒ(スイス)にてワークショップが開催されました。 国内体制として IEA Annex 33 分科会を設置して活動しています。 NEW ANNEXES 1.提案・検討中のアネックステーマ 現在下記の5件のテーマ(アイデア)が各国から提案され、検討されています。参加したい テーマなどのご意見をお待ちしています。詳細については事務局までお問い合わせ下さい。そ の他、新しいテーマのご提案などにつきましても、事務局までご連絡下さい。 (1) Common calculation method for SPF, annual energy savings and “carbon foot prints”(SPF と年間省エネルギー、“カーボン・フットプリント”の計算方法の確立) (2) Real-time performance database “heat pump systems”(「ヒートポンプシステム」にお けるリアルタイム性能のデータベース) (3) Hot water domestic heat pumps (住宅用給湯ヒートポンプ) (4) Heat pumping technologies and the industrial sector(ヒートポンプ技術と産業分野) (5) Future potential and needs for heat pump systems(ヒートポンプシステムの将来ポテン シャルとニーズ) 5 IEA HPC NEWSLETTER 1. 原稿募集 2008 年中に発刊予定の IEA HPC ニューズレター記事(Article)およびニュース(News)への寄 稿を募集しています(随時)。下記のトピックス(特集)記事以外の記事(Article)も歓迎いた します。投稿に関するお問い合わせは事務局までお願いします。 (1) March/2008: Air source heat pumps (空気熱源ヒートポンプ)(済) (2) June/2008: Heat pumps for low energy buildings (ローエネルギー建物におけるヒー トポンプ) (済) (3) September/2008: 9th IEA heat pump conference (第9回IEAヒートポンプ国際会議特集) (4) December/2008: Natural working fluids(自然作動媒体)(募集中) 6 SPECIAL REPORT:IEA HP ANNEX 29(土壌(地中)熱源ヒートポンプ – 市場及 長野克則(北海道大学)、葛隆生 び技術の障害の克服)ワークショップ出席報告 ((株)藤原環境科学研究所) 日時:2008 年 5 月 19 日 8:00~12:30 場所:Swissotel(チューリヒ、スイス) “1. Annex 29 Activities” 発表者 Hermann Halozan (Graz University of Technology、オーストリア) (1)IEA の地中熱ヒートポンプ(GSHP)システムに関するこれまでの Annex についての紹介 ヒートポンププログラムの GSHP システムに関する Annex Annex 2:垂直型地中熱交換器の GSHP システム Annex 8:ヒートポンプシステムのための発展型地中熱交換器 Annex 15:直膨型地中熱交換器の GSHP システム 蓄熱プログラムの GSHP システム(または地下蓄熱)に関する Annex Annex 13:地下蓄熱井戸とボアホールの設計、施工と維持方法 (2)Annex 29 の活動内容について 参加国:オーストリア(ホスト国)、カナダ、日本、ノルウェー、スウェーデン、USA 活動計画 Task 1: State of the Arts (最先端情報), 市場解析 Task 2: GSHP マトリックス Task 3: 部材とシステムの改良 Task 4: 法的規制の克服 Task 5: 経済性の克服 Task 6: 啓蒙普及 “2. Buildings and buildings characteristics” 発表者 Hermann Schranzhofer (Graz University of Technology、オーストリア) (1) シミュレーションソフトを用いた建物の暖冷房負荷の計算 シミュレーションソフト→TRNSYS、Design builder 計算対象→ダマスカス (2) 計算結果 日射→特に夏の水平面日射量が大きい 窓面の設置について→南面の設置は暖房負荷の削減効果が大きい、ただし、冷房負荷は 増大する傾向にある(図 2-1 参照) 冷房負荷の削減方法→日射遮蔽と夜間換気、屋根の断熱などが有効(室内温度の計算結果 より) (図 2-2~図 2-4 参照) 7 図 2-1 図 2-2 ガラス面の設置による暖冷房負荷の変化 ガラス面の設置による暖冷房負荷の変化(遮蔽を入れた場合) 図 2-3 日射の遮蔽による冷房負荷の削減効果 8 図 2-4 夜間換気による冷房負荷の削減効果 “3. GSHP for single-family houses in Sweden – Present status and trends” 発表者 Roger Nordman (SP、スウェーデン) スウェーデンの家庭用ヒートポンプの市場について紹介 (1)ヒートポンプの市場 地中熱ヒートポンプの市場→2006 年 40,000 台 市場の変遷 1980 年代 排熱回収 HP と水平型が多数を占める 前半には地域熱供給への大型 HP の導入もあった 1980 年代後半 補助金制度がなくなり導入数が減少する 直膨型地中熱 HP と空気熱源 HP が増える 新築の住宅市場が減少する(3.5 万→4 千件) 1990 年代 空気熱源 HP の導入がピークを迎える 地中熱・排熱回収 HP 市場が増大 2000 年代 2007 年に地中熱 HP の導入台数が 15 年ぶりに減少 空気熱源 HP の導入台数が地中熱を上回る 暖房(二次側)システムの変遷 1970 年代 高温水暖房 1980 年代 中温水暖房 1990 年代 中温・低温水暖房 2000 年代 床暖房(低温水暖房) ヒートポンプの競争力→1980 年以降は灯油システム等と比較して優位性を保っている(図 3-1) (2)ユーザーからの実態調査 対象:450 ユーザー、回答数 251(56%)、1996 年~2003 年に垂直熱交換器が導入された住 宅 GSHP システムの導入理由 ・ ランニングコスト削減率:75% 9 ・ 灯油ボイラーからの変更:57% ・ 環境的な配慮:34% ・ プラグアンドプレイの快適性:20% 購入プロセス ・ 基本的には請負業者が設計、施工、運転までの全ての過程を担当 ・ 受注から設置までの日数:7 日以下 ・ ユーザーはシステムを選定する請負業者を選択投資コスト:12.400 ・ 運転状況 ・ 91%が満足 ・ 苦情はたいてい施工過程に起因するもので、ハードそのものではない ・ 騒音が問題(18%) ・ 圧縮機の故障などは問題にはなっていない(2%程度) (3)最近のスウェーデンのトレンド(要求されているシステム)について ・ 暖房負荷を 100%カバーできるシステム ・ 温水加熱(給湯用)も兼ねている ・ 大規模(集合住宅用)ヒートポンプ ・ 冷房 図 3-1 電気と灯油の価格および各システムの優位性 10 図 3-2 図 3-3 スウェーデンにおけるヒートポンプの導入台数 スウェーデンにおけるヒートポンプ容量毎に占める割合 “4. The best practice GSHP system for a modern low energy house in northern part of Japan” 発表者 Sayaka Kindaichi (University of Tokyo、日本) 北海道長沼町に建てられた実ローエネルギーハウスにおける GSHP システムの性能評価 (1)システムの特徴 ヒートポンプ:10kW(サンポット GSHP1001) 11 ボアホール:シングル U チューブ型 100m×2 本 床暖房面積:200m2 (2)結果 暖房期間出力合計値:12674kWh COP:5.14 SCOP:4.45 CO2 排出量削減効果:59%(灯油ボイラとの比較) “5. Residential heat pump with staged vertical ground-coupled direct expansion heat exchanger” 発表者 Vasil Minea (Laboratoire des Technologies de L’nergie、カナダ) 住宅用の直膨型ヒートポンプ (1)システムの特徴 3~4 本程度のボアホール(長さ 31m 程度)を掘削(図 5-1) 専用小型掘削機(図 5-2)を用い、垂直に 1 本、斜めに 2、3 本のボアホールを掘削 地中熱交換器の採熱量は 1 本あたりおよそ 3.5kW 程度 銅チューブを使用 ヒートポンプの出力は冷房時最大 8kW 程度 (2)試験結果 暖房運転時の COP は凝縮温度 33.5℃、蒸発温度-10℃程度で 2.4 長期間試験中に圧力損失が増大→チューブの破損による (3)システムの課題 チューブの破損防止 ・ 鉄のスリーブ(枠)による締め付けをきつくしない、できればスリーブを使用しない ・ グラウトにはシリカサンドを使わず、ベントナイトを使用する オイルリタン 起動時の運転方法 図 5-1 カナダの直膨式ヒートポンプの系統図 12 図 5-2 図 5-3 小型掘削機 カナダの直膨式ヒートポンプ熱源機 “6. Enhanced ground coupling of heat pumps with solid water sorbents” 発表者 Van Baxter (Oakridge National Laboratory、アメリカ) (1)アメリカの地中熱ヒートポンプ市場 2007 年 49000 台 (2)大規模地中熱ヒートポンプシステムのコスト削減方法について検討 基礎スラブの地中熱交換器としての利用(Foundation Heat Exchanger) →水平型地中熱交換器(図 6-1)参照 効率改善のためのループを短くする Solid water sorbent (SWS) research (3)テスト建物におけるフィールド試験(図 6-2) Foundation Heat Exchanger により、従来の水平型地中熱交換器と比較して約 34%の地中 熱交換器長さの削減効果がある 13 図 6-1 図 6-2 Foundation Heat Exchanger の概念図 Foundation Heat Exchanger のフィールド試験の系統図 “7. CO2 ground heat exchangers” 発表者 Rene Rieberer (Graz University of Technology、オーストリア) オーストリアの CO2 地中熱交換器についての紹介 (1)オーストリアのヒートポンプ市場 2006 年 13000 台(70%が地中熱、20%が空気熱源、10%が地下水など) (2)CO2 プローブの特徴 CO2 の蒸発圧力→R410A などより大きい CO2 の冷凍能力→20℃付近までは R410A などより大きい 14 CO2 プローブの施工方法・冷媒地上熱交換器部分の紹介 (3)CO2 プローブの導入数 2006 年 500 本 2007 年 400 本 60~75m 程度の地中熱交換器の導入数が多い (4)新しい CO2 地中熱交換器の導入検討 水平型地中熱交換器 採放熱用地中熱交換器 図 7-1 図 7-2 CO2 プローブ地中熱交換器の施工例(最新) CO2 プローブ地中熱交換器の地上部熱交換器(最新) 15 図 7-3 CO2 冷媒採放熱用水平型地中熱交換器 “8. Situation of Japanese GSHP Market and New Technology” 発表者 Katsunori Nagano (Hokkaido University、日本) (1)日本の GSHP システムの市場 2006 年 125 台程度 導入コスト 2007 年 100 台以上 ボアホール掘削費:50 ユーロ/m 程度 ヒートポンプ:10kW 出力のもの(住宅規模)で 4000 ユーロ (2)最新の GSHP システムに関する技術の紹介 家庭用ヒートポンプとその導入事例 ビルマルチヒートポンプを用いた GSHP システム GSHP システム性能予測プログラムとその設計事例 地下水流れを有する地盤における採熱量と地中温度予測手法の検討 光ファイバー温度計を用いた地中温度の測定とその応用 “9. Large-scale Ground Source Heat Pump Systems in Norway” 発表者 Jorn Stene (SINTEF、ノルウェー) ノルウェーの大規模 GSHP システムの紹介 (1)ノルウェーの GSHP システムの市場 約 15000 台の導入があり、そのうち 270 システム程度(20 システム程度が地下水利用、250 システム程度がボアホール)が 50kW~8MW の大規模システム (2)導入事例 ①オスロ空港 ・ 地下水利用、ヒートポンプ冷媒はアンモニア(R717) ・ 45m×9 本×2(暖房用と冷房用) ・ 暖房時は 9 本から取水、9 本に還元、冷房時はそれが入れ替わる ・ ヒートポンプ出力は暖房時で最大 7.5MW、冷房時で最大 6.0MW 16 ・ 冷房時の SPF は 5.5 ②Nydalen ビジネスパーク ・ ボアホール 180 本(7m 間隔)×200m、冷媒は R134A ・ シングル U チューブ ・ ヒートポンプ出力は暖房時で最大 6.0MW、冷房時で最大 4.0MW (暖房時の COP が 4 であれば、長さあたりの最大採熱量は 125W) ・ エネルギー消費量はボイラの約半分 ③その他 病院(地域熱供給システムの一部)、スタジアム(アイスリンクと併用)など 図 9-1 図 9-2 オスロ空港の地下水利用 GSHP システムの系統図 Nydalen ビジネスパークの地中熱ヒートポンプ熱源機 17 図 9-3 Nydalen ビジネスパークの GSHP システムの系統図 図 9-4 病院の地域熱供給システムの GSHP システム平面図 “10. Large-Scale Heat Pump Applications in Sweden” 発表者 Goran Hellstrom (Lund University, スウェーデン) スウェーデンの大規模 GSHP システムに関する検討 (1)スウェーデンの大規模 GSHP システムの導入数 10 本以上のボアホールを用いた GSHP システム→300 程度 (2)検討内容 対象建物→主に都市中心部の集合住宅や住宅街など ボアホール同士の採熱による干渉などについて計算 80 本のボアホールを用いた場合の結果→夏期のリチャージにより地中温度の減少を抑え られる リチャージの方法→太陽集熱器が有望 18 図 10-1 スウェーデンの大規模 GSHP システムの導入数(ボアホール 2 本以上) “11. Ground Source Heat Pump in China” 発表者 Xu Wei (China Academy of Building Research(中国建築科学研究院), 中国) (1)市場状況 導入されている GSHP システムの割合 →直接利用型(地下水利用型):45% 間接型:35% 浅水型:20% 建物面積の割合 →10000m2 以下:42% 10000~50000 m2:42% 50000m2 以上:16% プロジェクトに要するコスト →500 万元(=約 7500 万円)以下:62% 500~1000 万元:21% 1000 万元以上:17% (2)地中熱利用プロジェクトの代表例 ①Beijin Jiuhua Hotel ・ 間接型地中熱交換器を用いた GSHP システムと氷蓄熱の併用システム ・ 暖冷房供給面積:131262 m2 ・ 冷房容量:13126 kW ・暖房容量:10500 kW ・ ボアホール数:700 本(ダブル U チューブ) ・ボアホール長さ:100 m ・ 推定長さあたりの採放熱量(暖冷房時の COP を 4 とした場合):暖房時 112W ②Beijin Yongyou Software center ・ 間接型地中熱交換器を用いた GSHP システムと氷蓄熱の併用システム ・ 暖冷房供給面積:160000 m2 ・ 冷房容量:15784 kW ・暖房容量:13391 kW ・ ボアホール数:616 本(ダブル U チューブ) ・給湯容量:1722 kW ・ボアホール長さ:120 m ③Nanjing Lang Shi Yuan ・ 間接型地中熱交換器を用いた GSHP システムによる ・ 冷却塔を補助熱源として有している ・ 暖冷房供給面積:68115 m2 ・ 冷房容量:2337.1 kW ・暖房容量:1827.8 kW (面積・容量については一桁ずれている可能性有) 19 冷房時 234W ・ ボアホール数:1187 本(ダブル U チューブ) ・ボアホール長さ:60 m ④2008 年北京オリンピック選手村 ・ 処理水利用ヒートポンプシステム ・ 空調面積:393000 m2 ・ イニシャルコスト:1.2 億元(=約 18 億円) ・ 処理水量:400000 トン/日 ・ 処理水の温度:16~20℃(冬期)、20~25℃(夏期) ・ 全配管長:3km ・輸送能力:100000 トン/日 ・ 冷房容量:32 MW ・暖房容量:37 MW ⑤その他 浅水利用のヒートポンプシステムなど 図 11-1 図 11-2 中国の地中熱利用・設計ガイドブック Beijing Yongyou Software center のボアホール掘削現場 20 OTHERS このニューズレターの効果的な活用のために、今後、改善を図っていきたいと考えていますの で、忌憚のないご意見、ご要望など下記事務局までお寄せ下さい。 (事務局連絡先)(財)ヒートポンプ・蓄熱センター 技術研究部 IEA ヒートポンプ実施協定(IEA HPP Net Japan)事務局 (TEL: 03-5643-2404/ FAX: 03-5641-4501/ e-mail: [email protected]) 21