Meeting on Search for permanent EDM of Francium atom①
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Meeting on Search for permanent EDM of Francium atom①
Meeting on Search for permanent EDM of Francium atom① EDM collaboration meeting at Kyoto Univ. 2-August-2005, 13:30 ~ 18:30 Y.Sakemi,T.Murakami, Y.Takahashi 1 概要 最も重いアルカリ元素フランシウムの永久電気双極子モーメント(EDM)を探索する。 2 フランシウム生成方法 融合反応:18O+197Au→210Fr、19F+198Pt→212Fr を用いる。19F を用いると、より寿命 が長い 212Fr が大量生成が可能となり、測定精度が高くなると期待され、かつ、世界で も初めての試みとなるので、最終的には 19F での EDM 探索をめざしたい。ただし、19F の加速方法の検討が必要。 3 実験装置開発・建設現状 核物理研究センター(RCNP)AVF サイクロトロンからの重イオンビーム(18O,19F) と金、白金等との融合反応を用いてフランシウムを生成する。生成されたフランシウム は表面イオン化器を用いていったん 1 荷にイオン化され、反応点から離れた実験室 (RCNP 西実験室)までイオンビームとして伝送する。フランシウムは磁気光学トラッ プ装置で捕獲され、後段に配置されたレーザートラップ装置によりさらに冷却し、EDM の精密測定を行う。実験装置の概観図を図1に示す。 実験装置としては、①ビームライン、②表面イオン化器、③フランシウムイオン 伝送ライン、④トラップ装置、⑤検出器の4つの要素から構成される。以下、各構成要 素に関して現状と方針を記述する。 3.1 ビームライン ① 現状 2004 年度 AVF 更新計画に伴って、AVF サイクロトロンからのビームを、リ ングサイクロトロンを経由せずに、直接各実験室に伝送するビームライン (「分析ビームライン」と呼ぶ。)の建設を行った。分析ビームラインは、各 実験室へのビーム伝送機能のほかに、加速器からのビームの診断・分析を行 う機能をもつ。2005 年春に完成し、基本的なビームトランスポートテストを 終えている。詳細は、資料1を参照。 ② 方針 (1) 所定のイオンビーム強度(放射線管理上の最大値:6 pμA)が、表 面イオン化器設置予定場所で、得られることを確認する。 議論結果: 偏向磁石内の真空槽等に、BT 系の不具合によるビーム照射がなさ れたときの対策(バッフル、スリット、冷却系等)を行うことを意 識・検討する必要あり。また、charge state が変わったときのビー ムの偏向による対策。 (2) ビームの伝送効率を測定し、損失が少ないトランスポートを確立す る。イオン光学計算からのフィードバックが必要。 18 (3) O ビームとともに、19F ビームの加速を検討する。国内では、理研 での加速テストが唯一あるのみ。 (4) 伝送テストには、建設中の超伝導ECR重イオン源ではなく、既存 のECRイオン源で行うことも検討。 ③ その他 超伝導ECR重イオン源は、夏季保守期間中に建設完了、秋からテスト開始 予定。 3.2 表面イオン化器 ① 現状 SUNY の表面イオン化器を参考に、デザイン検討を開始。SUSY での開発の 論文から、ビームによるターゲット温度上昇と、ヒーターによるターゲット 温度上昇を考慮し、ターゲットの融点直前で温度を一定に制御することが必 要であり、また難しい点であることがわかる。そこで、現在、熱拡散方程式 を数値計算するコードを準備(TOSCA)し、評価中。しかし、まだまともな 解は得られていない。 ② 方針 (1) 収束電極 TOSCA で、最適な電極形状を評価。ただし、空間電荷効果は無視 する。 (2) ヒーター TOSCA で、どの程度のヒーターのパワーが必要か、また、温度制 御を行うための最適なヒーターの構造を検討。 (3) ターゲット材料 2 種類のターゲット:金および白金を使用可能な構造にする。 また、 ビームスポットを確認するためのビューアー、そして、通常の分析 ビームラインとしての使用に支障をきたさないよう、ブランクの部 分も作る。 (4) 駆動 合計、4 種類(金、白金、ビューアー、ブランク)のターゲット駆 動が必要。 (5) 設置場所 分析ビームラインの下流で、ダブルフォーカス可能な点を、表面イ オン化器設置場所の候補とする。非常に局所的にビームが 1 点に集 中すると、融点直前での温度制御が困難であることも考えられるの で、上流の 4 重極磁石の調整により、ビームスポットのサイズはあ る程度、大きくすることが可能である。この設置場所を中心に、融 合反応による低エネルギー中性子が大量に発生するので、近辺に設 置しているある程度の集積度をもった制御機器に対する放射線対 策を、将来的には検討する必要がある。 ③ コンタクトしている業者 表面イオン化器を製作可能な業者を、いくつか、打診中。 ¾ 株式会社 サンリック 東京 http://www.sunric.com ¾ 株式会社 エピクエスト(高橋先生の紹介):担当 山本氏 京都、亀岡 http://www.epiquest.co.jp 3.3 フランシウムイオン伝送ライン ① 現状 イオン源のイオン光学系をベースに設計を進めている。静電 BT 系を構築。 収束系はほぼ同様の仕様でよいが、偏向部分は、新たに設計する必要あり。 ② 方針 静電収束系の電極設計は、現在のイオン源トランスポート系の設計を確認の うえ、電極サイズ、ダクト径など最適化する必要があるか、検討を行う。イ オン光学系の計算は、以下の点を境界条件として考慮の上、最終案をまとめ る。 (1) 加速器保守が容易なように、本体室の中央付近に配置するビームダ クトは可能な限り、取り外し・アラインメントが容易な構造にする。 (2) 「開発・建設予定」で記載するように、フランシウム伝送用ビーム ラインの建設は、放射線管理上の変更申請の前後で、2 段階にわけ て行う。最終的には、リングサイクロトロン加速器本体室に設置し た新しいビームライン+表面イオン化器から、融合反応により多量 に生成される中性子のバックグラウンドを避けるため、厚いコンク リートシールドで隔てられた隣の実験室:西実験室までフランシウ ムイオンを伝送する。しかし、変更申請前は、本体室までで伝送ラ インを限り、フランシウムの収量が所定どおり得られるか、確認す る。そこで、2 段階にビームラインが自然に拡張できるような構造 にする。 (3) ビームトランスポートが容易なように、各所にビーム診断系を設置 できる構造にする。 議論結果: イオン源トランスポートの静電電極のデザインを基礎にする。改造が必要か、 検討。 真空度を、表面イオン化器からトラップ装置に至るまで、段階的にあげてい く必要がある。表面イオン化器周辺では 10-6 Torr、磁気光学トラップ装置で は 10-8~10-9、光トラップ装置では 10-10~10-11 をめざす。 フランシウムイオン伝送ラインは、イオン源 BT 系をベースとすると、ビー ムラインダクトの直径は 10cm 程度。真空度を高くするために、各収束要素 ごとに、エレメントをまとめて配置し、その間のドリフトスペースは、コン ダクタンスを悪くして真空度をあげるために、細いダクトを用いる。イオン 光学の計算をする際に、ビームが細いダクトを損失なく通過できるよう、収 束点を中心にドリフトスペースを配置する。また、各収束エレメントごとに、 ポンプステーションを設置できるよう、ポートを備えた構造にする。 高真空領域は、パーマネントに移動等行わなくていいように、配置する。 ③ 放射線管理上の課題 放射線管理室と相談。S実験室を代案として提案されたが、現在、S実験室 は放射化学用の照射装置が新たに配置されており、使用は不可能。したがっ て、当初の予定通り、本体室でのフランシウム生成を検討する必要あり。放 射線管理上の評価も開始する必要あり。 ④ 制御等の組み込み フランシウム伝送ビームラインも、加速器制御と同じ制御(Intouch)がベ スト。どの程度の作業量か、稲田さん@SAS に確認。 3.4 トラップ装置 ① 現状 Study 中。磁気光学トラップとレーザートラップの 2 種類が必要。各々に必 要な仕様を検討中。高橋先生@京大の指導をうける。 ② 方針 設計開始。9 月末をめどに、見通しをたて、必要物品リストを作成。10 月に は発注。年末までに、納品完了させる。 (1) 磁気光学トラップ 捕獲効率を高めるために、以下の装置のパラメータに関して評価を 行い、捕獲効率が最大になるようなデザインにする。 トラップレーザーサイズ トラップレーザー強度 セルサイズ セル形状 原子導入口・出射口のサイズ セル内壁コーティング その他 レーザービームに関しては、安価な半導体レーザーで代用可能か、 検討の必要あり。光学系の設計。 (2) レーザートラップ 必要なレーザーの波長、出力。その他、検討事項を確認する。 (3) その他 議論結果: ① Neutralizer ヒーターではなく、仕事関数分のエネルギーの紫外線を照射すると、表 面に吸着したアルカリ原始が蒸発してくる。LED を照射することで、フ ランシウム原子が蒸発してくる可能性があるが、問題は、本当に表面に 吸着している原子のみ、解離できる。原子層より、1 層でも深いところに 入ると、紫外線では無理。→評価を検討。 電通大の中川さんが、エキスパート。 評価検討結果: 212Fr+のイオンを 10keV に加速して、neutralizer(Y)で捕獲するとき、 212Fr は 0.0025um=25 オングストローム程度、深部に進入してとまる。 ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ 原子の大きさが、1 オングストローム程度であることを考慮すると、原子 の表面層(第一層目)から、かなり深く進行したところにとどまる。し たがって、表面層に吸着した原子を遊離するのに活用される紫外線では、 効率よくフランシウムを蒸発させることは困難と考えられる。したがっ て、ヒーターで温めることにより、遊離させる方式を採用する。 セル構成 実機は、トラップチェンバー(磁気光学トラップ)+サイエンスチェン バー(光トラップ)の 2 つのチェンバーを連結する。磁気光学トラップ チェンバー内では、Neutralizer を高温にしてフランシウム原子を蒸発さ せるため、真空度が悪くなりトラップ寿命が短くなるので、EDM の高精 度測定が困難になる。そこで、大量にフランシウム原子を捕獲・冷却す るトラップチェンバーと、高真空に保って、光トラップによる冷却を行 うサイエンスチェンバーに分割して、機能を独立させる。トラップチェ ンバーからサイエンスチェンバーへの移動は、 光を用いる。 MIT では BEC を 40cm 程度、ほとんど個数の損失なく、移動させている。 今回、開発にあたって、1 つのチェンバーでテストを行う。つまり、トラ ップチェンバーを製作する。操作方法を、コイルによる磁場を用いた磁 気光学トラップで、原子を捕捉したあと、磁場をきって、レーザーのみ による光トラップを行う。開発にあたって、磁気光学トラップと光トラ ップ用の 2 種類のレーザーが照射できるように設計する。また、将来的 に、後段にサイエンスチェンバーを接続できるよう、接続ポートを準備 しておく。 チェンバー材質 ガラス・ステンレス、どちらがよいか、検討する。 EDM 測定を考慮すると、非磁性体(ガラス等)がよい。また、紫外線で のフランシウム原子蒸発を試みる場合も、透明な物質(ガラス等)がよ い。工作の容易さ、等、考慮のうえ、判断。 セル形状に関して 立方体。 コイルに関して 磁場勾配:10G/cm 程度∼14MHz/cm∼加速度(減速)? 30 ターン あるいは、3 ターン@100A ホロコン使用(冷却水必要) 製作、取扱の容易さを考慮して、細い線で多重ターンを採用。 レーザーに要求される性能に関して 時間領域∼測定時間に依存する。 測定時間は、トラップ寿命に対応する。 トラップ寿命、トラップ体積は、レーザー強度、波長に依存する。 (1) トラップポテンシャル:U~I/⊿ (2) photon scattering rate:Rs~I/⊿2 検討結果: 磁気光学トラップ用レーザーに関して 2 種類の波長が必要。 (1) トラップレーザー@718 nm ⑧ ¾ ¾ ¾ ⑨ ⑩ ⑪ ECDL: External Cavity Diode Laser : 半導体レーザー+grating+テーパーアンプの構成 (20 万+20 万+20 万)∼合計 100 万程度で可能か? 種の光∼半導体レーザーからの 1 mW 程度の光。Grating で波 長を調整・狭くする。その光をテーパーアンプに入射して増幅。 500mW 程度の出力が得られる。該当波長があるか、確認する必 要あり。コンタクト:M2K@ドイツ (2) リポンプレーザー@817 nm 半導体レーザー:イーグリアード@ドイツ、花村オプティクス 光トラップ用レーザーに関して 以下の 3 つのレーザーが候補。 ファイバーレーザー@1 um, a few W Yag レーザー@1.06 um, a few W ∼取扱:技術要 CO2 レーザー@10 um ∼比較的安価、ただし不可視なので調整難 レーザー波長のフィードバック 2 段階で行う。波長計(wave meter)でモニター。そして、さらに高精 度なモニターとして、高精度に安定化したヘリウムネオンレーザーを reference に、波長をモニターするシステムを構築。あるいは、ULE cavity (Ultra Low E?)@100 万程度 を用いてレーザー波長のフィード バックを行う。 光学機器に関して AOM∼レーザーのオン・オフ∼20 万∼30 万 その他 ③ 開発部屋の整備 安全衛生管理上、高出力レーザーを使用する上で、最低限、整備しないとい けない項目を準備。部屋の候補も早急に検討する。 3.5 4 5 検出器 ① 現状 全く手をつけていない。 ② 方針 設計開始。9 月末をめどに、見通しをたてる。 担当(案) 4.1 ビームライン 4.2 表面イオン化器 4.3 フランシウムイオン伝送ライン 4.4 トラップ装置 4.5 検出器 酒見(RCNP) 村上(京大) 酒見(RCNP) 高橋(京大:Supervisor)、酒見(RCNP) 村上(京大) 予算・マンパワー 5.1 科研費と共同利用実験費採択分の内訳は下記のとおり。なお、予算項目の詳細は 別途資料2を参照。現状、使える予算は、合計:720 万円程度。実験の Feasibility を確認したあと、あるいは、見通しをつけたあと、大型外部予算と RCNP への プロジェクト申請を行う必要がある。 予算項目 科研費(萌芽) 実験費(E264) 5.2 H17 240 万 400 万 H18 80 万 使用目的 トラップ装置 Fr 生成 備考 マンパワー 京大、RCNP∼酒見 6 開発・建設予定(案) 放射線管理上の施設変更申請を伴う大掛かりな工事は、RCNP に対してプロジェクト 申請を行って、RCNP のインフラ整備として行うことを検討する。ただし、プロジェ クト申請にあたっては、実験の Feasibility を示すことが必要。そこで、以下の2つの 段階で進める。具体的なスケジュール案は、資料3参照。 6.1 プロジェクト申請前∼Feasibility check Feasibility 確認の必要条件として、 ① フランシウム生成収量の確認 ② トラップ装置の技術検討確認 ③ EDM 測定の見通し を確認し、所定の性能に達しているか、示す必要がある。 そこで、コストが非常に高い磁気光学トラップ装置のレーザーの仕様を落として 安価な半導体レーザーにして原理実証を行う。 また、放射線管理上の手続きは、RCNP の正式なプロジェクトとして認められた あとに行うのが自然であるので、フランシウム生成ビームラインは、表面イオン 化器を設置するリング本体室内に設置して、最終的な目標より、短い伝送ライン でのテストを行う。 6.2 プロジェクト申請後∼正式なビームライン設置 大型外部資金の獲得努力を行い、磁気光学トラップ装置のレーザー増強を行う。 また、RCNP の正式なプロジェクトとして、放射線管理上の施設変更申請を行い、 生成されたフランシウムビームを、非常にクリーンな測定環境となる西実験室ま で伝送するよう、ビームラインを拡張する。 7 議論事項 7.1 表面イオン化器の開発について∼村上さん 7.2 トラップ装置の設計に関して∼高橋さん 8 次の目標 2つのグループに分かれて、開発を進める。目標は今年度いっぱい(2006 年 3 月) 8.1 京大 表面イオン化器及びフランシウム検出用測定器の設計・開発。イオン伝送ライン のビームダクト、電極、電源等も集積して、ルビヂウムを用いたオフラインのビ 8.2 9 ーム伝送系の構築・テストを行う。 RCNP トラップ装置の設計・開発。磁気光学トラップとレーザートラップの 2 種類のト ラップ装置が必要となる。最初は京大で製作開始し、見通しがたった時点で、 RCNP に移設することも検討。レーザーを使用する部屋の整備を行う必要あり。 そのほか、特記事項 フランシウム生成、トラップ装置の技術確認ができた段階で、研究会を開催し、プロ ジェクト申請や大型外部資金獲得のための方向性を議論・検討したい。1 年後、2006 年秋を目標。2006 年度第 2 回目の B-PAC(2007 年 2 月)までには、プロジェクト申 請を行うことを目標。 議論結果: ① Physics :フランシウムの BEC ② 19F+198Pt → 212Fr の断面積測定