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株式会社 双和建築事務所

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株式会社 双和建築事務所
株式会社 双和建築事務所
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【1】温度の不思議・・なんか変じゃないですか??
体温 36,5℃より低い気温 30℃、なのに何故暑い!?
体温 36,5℃より高い湯温 39℃のお風呂、なのに何故ぬるい??
(暑
(ぬるい)
い)
(気温 30℃)
(体温 36,5℃)
(お風呂 39℃)
この様な体験や会話を私共は日常的に行っています。しかし、良く考えてみる
とちょっとおかしくありませんか。気温 30℃は、体温より 6,5℃も低い温度で
すから本来は涼しく感じなければなりません。しかし、室内 30℃ではとてもク
ーラーが無くては暑くてすごせません。ましてや、表に出ると汗が吹き出る様
な暑さとなります。また、体温より 2,5℃も高い湯温 39℃のお風呂では本来相
当温かく感じる筈ですが、実際にはとても寒くて入って入られません。一般に
は、41℃から 42℃くらいで入る人が多いようです。
では一体この様な事が、何故起こるのでしょうか。そして、私達は何故不思議
に感じないのでしょうか。
【2】熱の3要素
まず熱の性質について考えて見ましょう。
熱はエネルギーの移動形態の一つで、伝導、対流、輻射という形態を通して移
動します。移動したエネルギーの量を熱量といいます。熱は、必ず高温の物体
から低温に移動します。低温の物体から低温の物体に自発的に移動することは
ありません。前述の気温に関しては輻射熱によるものですが、そのメカニズム
について詳しく説明しておきます。
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【3】輻射熱の“輻”は車編
輻射熱とは、1 点から一直線に放射状に放射される熱線のことで、アメリカで
は自転車の車輪にたとえられています。輻射熱の“輻”が車偏を書くのもその
意味をよく表している様に思います。代表的なものとして、太陽から地球に放
射される電磁波です。特徴は、途中の空間では熱を発しませんが物にあったて
熱を発する性質を持っています。例えば、太陽からの電磁波は地球に届くまで
は熱を発しませんが、地表のガスや埃に当って熱を発します。又、地表に届い
た電磁波は地表で熱となり波長を変え再度宇宙空間に放出されます。
【4】電子レンジで食物を焼くのも輻射熱(電磁波)
電子レンジに食物を入れスイッチを入れると、途中の空気は温まりませんが
電磁波が食物にあたり熱を発することにより調理することが出来ます。食物が
焼けるとその温度が周囲の空気に伝わり、今度は空気が尐し温まります。
これは輻射熱(電磁波)が物に当って熱を発する為で、空気は食物からの伝
導熱により尐しずつ温まることになります。勿論、電磁波を照射しない限り調
理は出来ません。これも輻射熱が物に当たって熱を発する証明です。
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【5】暑さの正体は電磁波の量の影響が大きい。
気温30度でも、表に出るとジリジリ汗が出るほど暑さを感じます。しか
し、木陰や建物の影に入ると涼しく感じます。体温 36,5 度より低い温度な
のに、何故暑さを感じるのでしょうか。これは、電子レンジで魚が焼けるの
と同じ理屈で、太陽からの輻射熱が人体に照射されることによって体自体が
温まってしまうためです。日陰に入ると、若干ですが輻射熱がカットされる
ため涼しく感じます。この様に、
私達が暑さを感じるのは実は温度によるものより輻射熱の量によ
るものが大きいのです。
以下の図を見て頂くと解りますが、何れも気温は同じ30℃です。しかし、
太陽からの輻射熱(電磁波)を受ける量によって体感温度が変わる事がご理
解出来ると思います。
輻射熱(電磁波)
超日陰(遮熱)
日陰
日向
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【6】建物を通過する熱移動の75%は輻射熱
ペンシルバニア州立大学の報告によると、建物を通過する熱の大半は伝導
熱と対流熱と考えられていましたが、実際には建物を通過する熱量の 75 パー
セントは輻射熱であると報告されております。又、全米の多くの機関でも同様
の数値を出しております。下の図はその割合を示したものです。下向きとは、
屋根から室内に侵入する熱の割合と考えれば良いでしょう。この場合、断熱材
が処理できる伝導熱の量は全体の5~7%程度しかなく、93%が輻射熱であ
ることが解ります。
よく見ると、伝導熱の割合はどの方向でも同じ量ですが、輻射熱は方向によ
ってその割合が違います。しかし、何れの方向を見ても圧倒的に輻射熱の量が
多いことが解ります。従って、この輻射熱をカットしない限り省エネは難しい
と言えます。
建物内を移動する熱の割合
トップヒートバリアーはこの輻射熱の97パーセントをカットしてしまいます。
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【7】輻射熱カットには素材の反射率が重要
輻射熱をカットするには、反射させることが最も有効的です。しかし現
在我々が使用しているガラス、木材、断熱材等建材の多くは下表の通り
反射率が15%以下で、殆ど熱を吸収してしまうことになます。レンガ
においては反射率が5%程度ですから、95%の熱は吸収してしまうこ
とになります。輻射熱を反射するには金属が有効で、特に貴金属は高い
反射率を持っています。その様な中で貴金属ではありませんが、アルミ
ニウムは価格も安く96~97%の高反射率を持っているので殆どの遮
熱材に使用されています。
素材の反射率
素材
反射率
レンガ
5~7%
断熱材
5~10%
コンクリート
6~15%
窓ガラス
5~10%
木
8~10%
白金
93%
真鍮
93%
銅
95%
アルミニウム(トップヒートバリアー)
96~97%
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【8】鉄骨工場の天井裏遮熱試験
鉄骨造の50坪平屋建て工場の天井裏にトップヒートバリアーを施工しま
した。施工前と施工後の温度測定は同時には出来ませんので、測定日は異な
ります。従いまして、効果の確認は外気温との差、即ち相対的温度差の比較
となります。この工場では、結果的にエアコンを使用していないのですが、
その理由として重要なポイントは以下です。
①天井裏遮熱により、相対的室内温度低下は11,8度であった。
②体感温度の変化で、29度でも暑さを感じなくなった。
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【A】室温
イ)施工前温度・・・外気温プラス 6,3℃
ロ)施工後温度・・・外気温マイナス 5,5℃
(結果)相対室温低下は、11,8℃です。室温 1℃低下で10%の
省エネと考えると、118%省エネとなります。
【B】小屋裏温度
イ)施工前・・・外気温プラス 38,4℃
ロ)施工後・・・外気温プラス 37,2℃
(結果)遮熱による小屋裏温度の上昇はありません。良く小屋裏の
火災報知機の変更が必要かとの質問がありますが、基本的
に温度上昇はないので従来のままで問題はありません。
【9】省エネにはデマンド値低下が効果的
①デマンド値
デマンド値とは最大需要電力の事で、1年間の使用量を30分ごとに分
割した17,520回の中の平均使用電力のことです。基本料金を決定
するに当たり、過去12ヶ月間で最も大きな最大デマンドが契約電力に
なります。従って、この最大デマンドを下げる事により、大幅な電力削
減が可能となります。日本では、エアコン等の使用の多い8月の使用電
力が最大となっていますので、ここの電力を如何に尐なくするかにかか
っています。
②デマンド値低下は遮熱によって実現!
前述の断熱材の様に、一度室内に熱を取り込んでしまうとそれを冷却す
る為に多くの電力が必要となります。重要なのは、如何に室内に熱を取り
込まないかであります。従って、トップヒートバリアーの様に建物を通過
する熱量の最も多い輻射熱の97%を反射させてしまう遮熱が効果を発揮
するのです。又、デマンド値は電気を小まめに切ったりしても殆ど改善し
ません。
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【遮熱施工前】 【遮熱施工後】
基本料金設定
100
90
100
90
デマンド
(KW)
デマンド
(KW)
9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8
月度
7 8
9 10 11 12 1 2 3 44 55 6 7 8
月度
トップヒートバリアー遮熱工事は、
真夏の最大デマンドを大幅に低下できる為使用量のみならず、
基本料金削減メリットが大きくなります。
【10】まとめ
①遮熱の特徴
イ)天井裏遮熱だけでも夏場約10℃以上の温度低下を実現します。
冬場は、5℃くらい室温を上げます。
ロ)体感温度が変わります。当たり前の事ですが、室温が30℃でも暑さを感じな
くなります。
②デマンド値低下により大幅な電力削減が実現します。
③工事費は、通常1,5~2年程度で回収可能です。
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