...

Miho Funada

by user

on
Category: Documents
51

views

Report

Comments

Transcript

Miho Funada
ボローニャ県・食文化の旅
Viaggio di Enogastronomia nella provincia di Bologna
船田美穂 Miho Funada
7月 10日 ボ ロ ー ニ ャ 市 内 観 光 、 モ ル タ デ ッ ラ 工 場 見 学
午前十時ホテルの受付で観光局のマリーナさん、ミケランジェロさんと待ち合わせ。精一杯のイ
タリア語で自己紹介、挨拶の後ボローニャ歴史地区の名所観光に出ることに。
まずはボローニャの中心となるマッジョーレ広場へ。広場は昨夜の賑わいも嘘の様に日常を取り
戻していました。というのも昨日はサッカーW杯の決勝戦。広場には母国の優勝を祝う若者が集
い大騒ぎだったのです。今朝はまるで夕べとは違う場所のよう。
旧ボローニャ大学は1088年に創設されたという大学。現在は大学としては使われてはいないが、
この中には歴史上初めて人体解剖が行われたという部屋、テアトロアナトミコTeatro
Anatomicoがある。残念ながら私たちが行ったときは修復期間の為に公開していませんでした。教
会の勢力が強かった時代、反対も押し切って医療発展の為の解剖が行われていたと思うととても
感慨深い。次回来訪の際は必ず見学したい場所。
次は隣接する旧ボローニャ証券取引所へ。現在建物の一部は近代的な図書館として姿を変えてい
る。一階のフロアから下を覗くと、全体がガラス張りの床の下に薄茶色い大きな石が見える。こ
この建設に際し発掘された遺跡を地下にそのまま残し展示している。一見の価値ありです。
ランチはタ ン ブ リ ー ニ Tamburiniにて。とても歴史のありそうなビュッフェスタイルのレストラ
ンで、ショーケースに並べられた色とりどりの料理は見ているだけでもわくわくします。雰囲気
も良く気軽なランチにぴったり。一人でも気兼ねなく入れそう。
食事も終わり午後はボローニャのシンボルともいえる二つの塔(アジネッリ、ガゼンダの塔)へ
。高さ97メートルのアジネッリの塔にエレベーターはなく、木造の階段を一歩一歩498段上ってい
くことになる・・・。この暑さで塔の頂上まで登るのは至難の業。その上軽い高所恐怖症の私は
もう下を見ることができなくなってしまった。やっとのことで塔の屋上に。マッジョーレ広場を
始点に真っ直ぐな道が何本か扇状に伸びている。その間を茶色い屋根の建物がボローニャの街全
体を埋め尽くしている。遠くには山も見え、ボローニャが山に囲まれた盆地であるということが
わかる。頑張って上まで上る甲斐はありますよ
アジネッリの塔から見たボローニ
ャの町並み
モルタデッラを試食
車窓からひまわり畑が見える
続いて、車でモ ル タ デ ッ ラ 工 場 Pasquini&Brusiani見学へ。モルタデッラとはピンク色の切り口
に白い脂肪の部分が散りばめられたボローニャ特産のハムのこと。ボローニャハム(またはボロ
ーニャソーセージ)という名でも世界に知られている。エンニオ・パスクイーニさんから製造工
程の説明を受けながら工場内を見学。その後、事務所に戻りモルタデッラを試食。塩味が効いて
いてとてもおいしい。サンドイッチに入れてもいいし、そのままでお酒と一緒に・・・というの
も合いそう。
その後、これからの拠点となる宿、ロ カ ン ダ ・ ダ ・ ア メ リ ー ゴ Locanda da
Amerigoへ。車窓からひまわり畑が見える。ボローニャからは車で30分ほどのとても小さな街サ
ヴィーニョにあるとてもモダンな宿で、人気デザイナーによるデザインとのこと。私たちが泊ま
ったお部屋は一階と二階部分から成り、まるで小さなギャラリーの様。一階は暖色系の色でまと
められ、ダブルベッドがひとつ。凝った照明や飾られたオブジェがとても素敵。お風呂場はシャ
ワーのみだが、希望すればバスタブ付きのお部屋もあるそう。壁に飾ってある大きな三枚の絵を
見ながら螺旋階段を上って行くと、もう一つダブルサイズのベッドがおいてある二階のお部屋に
。一階とはまた違った寒色系の色でまとめられて、天窓もついている。小さなTVにクーラーも
ついていて機能面も問題ない。ホテルというよりは貸別荘の一部に泊まるみたいな感覚でしょう
か。邪魔されず静かにゆっくり過ごされたい方にはベストなお宿です。
荷物を置いて夕食へ。モンテヴェッリオの丘の上の小さなレストラン、ト ラ ッ ト リ ア ・ デ ル ・
ボ ル ゴ Trattoria del
ロカンダ・ダ・アメリーゴの室内
二階のお部屋は寒色系
Borgo。ボローニャの夏は暑いが夜はとても過ごしやすく、高台にあるレストランの風が心地よ
い。外でのディナーはロマンチックでとても素敵です。いただいたのはボローニャの地元素材を
ふんだんに使ったお料理。中でもとうもろこしの粉から作ったポレンタに薄いラードをまいて焼
いた前菜は絶品。今でも忘れられない味のひとつ。この旅のひとつの楽しみでもあるワインは、
DOCのピニョレットの白を薦めてもらう。この地方特産の発泡ワインで夏のボローニャにはぴっ
たりの飲み物。ミケランジェロさん曰く、「ボローニャの夏はやはりこれ」とのこと。冷えたピ
ニョレットに素朴なボローニャ料理。本当に最高の組み合わせだと思った。
ポレンタにラードを巻いた前菜、
絶品!でした。
7月 11日 ボ ロ ー ニ ャ の 食 文 化 を 体 験
カ ー ゼ ・ ボ ル ト ラ ー ニ Case
Bortolaniへ。手作りのパルミジャーノ・レッジャーノ工房の見学へ向かう。ドアを開けるとチー
ズの強い香りに一瞬ひるむが中を見て感動。4千個にもおよぶチーズが工場の天井まで埋め尽くさ
れている。整然と並べている姿は圧巻です。
製造担当の方の案内で工程を説明して頂く。塩水漬けにされているチーズがプールで泳いでいる
よう。
工場見学も終わり、販売所でチーズの試食。とても深い味で塩味も絶妙。香りも良い。手ごろな
値段な上、好きな量だけパックしてもらえるのでとても便利。田舎の小さな販売所に街の人がた
くさん買いに来ていた。よほど人気のある店なのだろう。
水 車 粉 引 き 工 場 Il Mulino del
Dottoreへ。水による動力を使った昔のままのスタイルで粉をひき、今もなおその伝統を守ってい
る。水路の入り口にある鉄の棒を上に引くと勢いよく水が水路を渡り、粉引きうすが動き出す。
ひいた粉はそのままレストランにおろしている他、直接販売も行っているとのこと。工場に併設
された小さな店舗があり、週に一度だけクッキーやパンを販売している。説明の後クッキーとパ
ンをいただく。とても素朴な味で健康にもよさそう。自然派なお店です。
続いて、ワイナリーの見学。まずは一軒目のテ ヌ ー タ ・ ボ ン ザ ー ラ Tenuta
Bonzaraへ。製造工程を丁寧に説明していただく。ワイン畑やSelezioneという作業も見せて頂く。
これは良い房だけを残し、それ以外のブドウは収穫前に切り落としてしまうという分別作業。な
んか勿体ない気もしますが、こうすると残したブドウの味が凝縮されるそう。その後ワイナリー
に戻りワインティスティング。とても飲みやすいくせのない味。毎日でも飲めそう。赤のピニョ
レット発見。発泡赤ワインって存在するんですね。
パルミジャーノチーズが天井まで
泳ぐパルミジャーノチーズ
二軒目のワイナリーはイ ゾ ラ Isola。一軒目が結婚披露宴もできるような大きな施設であったのに
対し、二軒目のこちらは家族経営の小さなワイナリーといった感じ。とても若い二代目のジャン
ルーカさんが少し照れながら案内をしてくれる。粉ひき工場の三代目のファビオさんといい家業
を若い頃から引き継ぎ頑張っている姿はとても頼もしい。若くともしっかりした二人にとても感
心させられた。粗めの塩がかかったグリッシーニとワインをみんなで頂く。ワイナリー巡りって
良いですね。
水車粉引き工場にて
この日のお昼はアグリツーリズモ、ラ ・ フ ェ ニ ー チ ェ La
Feniceにて。夕食はサモッジャ渓谷のカステッロ・セッラヴァッレへ。とても小さなかわいい村
。村の中には博物館もあり村の歴史や地方の特産品の展示もある。ここでワインのテイスティン
グ会なども開かれるそう。優しい館長さんが館内を案内してくれた。
さて今夜の食事は博物館のすぐ横にあるタ ヴ ェ ル ナ ・ デ ル ・ ボ ル ゴ Taverna del
Borgoへ。前菜にはクリームチーズまたはスパイスを混ぜた生のひき肉を熱々焼きたてのTigella(
小さなパンケーキの様なもの)にはさんで頂く。軽いスナックにもなりそう。盛り合わせの三種の
パスタ。手作りのパスタは超美味!メインにはお肉のグリル盛り合わせ(牛、鶏、猪、なんと馬
肉もありました)を頂く。味付けはシンプルなのになんでこんなにおいしいのかな。
テヌータ・ボンザーラにてワイン
畑を見学
7月 12日 : ア メ リ ー ゴ で の 忘 れ ら れ な い 夕 食
泊まっている宿に朝食のサービスはないので毎朝近くのカフェに行くのが日課になった。サヴィ
ーニョの街にはカフェが二つある。平日遅めの朝、地元のお年寄りが集う中でカプチーノを飲む
のはなんだか不思議で楽しい気分。
今日は一路ボローニャ中心部へ戻り、教会めぐり。聖ステファノ教会は、外見からはわからない
が中は4つの教会がつながった格好になっている。それぞれの教会がとても個性的。イタリアの
宗教の歴史を背景に、増築・改築を繰り返した建物からその歴史を感じることができる。
聖ドメニコ教会もボローニャを代表する教会。中ではちょうどミサが行われていた。賛美歌が聞
こえる。教会内の寄木でできた聖歌隊席の装飾は見事。絵画の様に繊細な技巧に驚いた。
午後は自由行動。ボローニャの中心部は買い物にはとても便利。イタリアの有名ブランドショッ
プからいくつもの書店、カフェなどが広範囲に立ち並ぶ。ポルティコの街なので雨天時のショッ
ピングにも便利だけど真夏の暑い日ざしも避けられて快適。お昼の時間帯は休憩のお店が多いの
で目的のお店に行きたい方は予め営業時間をチェックしておいたほうが安全。
この旅最後の夕食は、宿泊先のロカンダ・ダ・アメリーゴへ。レストランは宿から1分ほど歩い
たところにある。レストランは満席。スーツ姿の人もいる。食通には名の知れたレストランで、
ボローニャ中心部からわざわざ足を運ぶ人も多いとか。前菜のパルミジャーノチーズのアイスク
リーム。初めて食べたけどワインと最高に合う。
メインの魚料理。上にかかっている黒いものは名産のトリュフ。そういえば車で走っていると看
板に「トリュフの街へようこそ」みたいなこと書いてあった。ワイン、チーズ、ハム、バルサミ
コにトリュフ・・・ほんとにボローニャって美食の町ですね。
デザートは手作りのバニラアイスクリームにバルサミコ酢をかけたもの。アイスクリームをこん
なにおいしいと思ったのは生まれて初めてかも。バルサミコ酢とは意外に思ったけど、チョコレ
ートソースの濃密さとフルーツソースの酸味がミックスされた様な感じで、手作りのなぜか優し
い味のアイスにとても合う。さすがイタリアンジェラート。日本に戻った今でもしょっちゅうこ
のアイスクリームの話が話題に出るくらい。
7 月 13日
最後の朝、町の近くにある単線の駅までアメリーゴのオーナーアルベルトさんが送ってくれた。
そこでマリーナさんと落ち合いボローニャ駅へ。マリーナさん、ミケランジェロさんをはじめ、
滞在中、恐縮してしまうくらい皆さんに良くして頂いて本当に良い思い出になった。21世紀の
都市モデルとして注目される「創造都市」ボローニャの文化はまだまだ奥が深い。また近いうち
にここに訪れたい。(きっとまたテーマは食になると思いますが。)まだ訪れたことのない方は
是非足を伸ばしてほしい!
イゾラにて、皆でワインを頂く
アメリーゴでの夕食魚料理に名産
の黒トリュフ
ジェラートにはバルサミコ酢が
出発の日。マリーナさんと
船田さんプロフィール
東京都出身。会社員。趣味 おいしいものを食べること。今回の旅は一緒にイタリア語学学校に通う友人と参加
。もっと話せるようになっていつかはイタリアに短期で留学をしてみたいと思って
います。今回の旅でボローニャは留学先の第一候補になりました。
☆ 「 ボ ロ ー ニ ャ 県 へ の 旅 」 主 催 : ボ ロ ー ニ ャ 県 Provincia di Bologna
Fly UP